白鵬4連勝「経験かな」土俵際で隆の勝の動き見切る

<大相撲7月場所>◇4日目◇22日◇東京・両国国技館
横綱白鵬(35=宮城野)が東前頭2枚目隆の勝(25)を突き落とし、初日から4連勝とした。初対戦の若手に経験の差を示し、初顔合わせは横綱昇進後50勝4敗。本来なら22日に競技が始まる予定だった東京五輪にも思いをはせた。新大関の朝乃山(26)も4連勝を飾った。
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右を差されて土俵際まで寄られたが、白鵬は慌てない。左から突き落とし。「重さと圧力があったんじゃないかな」と隆の勝をたたえつつも、勝負を分けた身のこなしには「そのへんはやっぱり経験っていうのかな…。だったのかなと思いますけどね」と振り返った。
横綱昇進後の初顔合わせは50勝4敗で勝率9割2分6厘。横綱初挑戦の平幕力士には負けたことがない。隆の勝とは稽古で胸を合わせたこともあり、「体が硬いからね。稽古したことありますけど、体が硬い人、大好きですね」とも指摘する余裕もあった。
7月22日は、本来なら東京五輪の競技が開会式に先立って行われる日でもあった。東京五輪開会式での土俵入りを希望し、現役を続ける上でのモチベーションにしてきたこともある。五輪の話題を振られると「さみしいけど、延期ですからね。また来年、東京でオリンピックを見たいな、というのが今の気持ちです」とコメントした。
出稽古なしで迎える4カ月ぶりの本場所に違和感を覚える力士もいるが、始まってみれば白鵬はいつも通り。報道陣は支度部屋に入れず、力士はパソコンの画面を通じてリモート取材に応じている。白鵬はこの日、マスクを着けながらマイクに顔を近づけ、取材終わりにこう言った。「近づくとちゃんと聞こえるでしょ? お疲れさんでした」。
異なる環境に順応し、結果を出す。来年を語れるだけの強さがまだまだ、白鵬にはある。【佐々木一郎】
▽初の横綱戦、結びの一番で白鵬に敗れた隆の勝 味わったことのない感覚で緊張した。(攻めたが)横綱は余裕があったと思う。
▽八角理事長(元横綱北勝海) 白鵬は少しはヒヤッとしただろうが(隆の勝とは)足が出るか出ないかの差だろう。隆の勝はよく健闘したと思う。朝乃山は相手に先に力を出させたのが大きい。それにしても落ち着いている。琴勝峰は怖いもの知らずの感がある。
- 勝ち名乗りを受ける白鵬(撮影・丹羽敏通)
- 懸賞を手にする白鵬(撮影・小沢裕)
- 白鵬(左)は隆の勝の健闘をたたえるように隆の勝の体に触れる(撮影・小沢裕)