阿炎が夏場所への意気込み「妻、娘が安心して暮らせるように」家族や支えてくれた人へ感謝

大相撲夏場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた7日、両国国技館で本場所の安全を祈願する土俵祭りが行われた。春場所を途中休場した横綱照ノ富士や新関脇優勝した若隆景らに注目が集まる。そんな中、関脇阿炎(28=錣山)がこのほど、日刊スポーツの電話取材に対応。同居を始めた家族や支えてくれた人への感謝を口にし、夏場所への意気込みを語った。
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ようやく家族と一つ屋根の下での生活が始まった。阿炎は「妻、娘が安心して暮らせるように強くならないといけない」と、父親としての一面を見せた。
20年6月に一般女性と結婚し長女が誕生。しかしコロナ禍の同年7月場所中、キャバクラ通いなどの日本相撲協会のガイドライン違反で3場所の出場停止を科せられた。住居は錣山部屋に移す処分も下された。
力士生命を絶たれていたかもしれない危機を師匠らに救われ、感謝の一念で生まれ変わった。別居中は毎晩電話し、妻からは「これからだから一緒に頑張っていこう」との言葉を励みにしていたという。一時は幕下に陥落も、昨年九州場所で返り入幕。3月の春場所では新関脇昇進を果たした。
「幕内に定着するまでは」との思いで約2年間、夫人と愛娘とは別居していたが、4月下旬から家族との同居を再開。1歳の長女との待ちに待った生活でもあった。日々の成長は写真や動画、電話口で確認していたが、阿炎は「毎朝、時計でたたかれて起こされる。それが幸せ」と成長を間近に感じられる日常に目尻を下げる。「また(自分が)変わるきっかけになった。家族のおかげでいい方向に向いている」とより一層気合も入る。
昨年九州場所と1月の初場所では2場所連続で優勝次点と結果を出した。「結果は意識していない。今は恩返しというか、みなさんに認めてもらいたくて一生懸命やっているだけ」と殊勝に話す。家族の元に戻り、より太くなった大黒柱が夏場所での奮闘を誓った。【佐々木隆史】