井上尚弥、拳交えることができるならどこへでも…年内統一戦開催へバトラーに強烈な「果たし状」

プロボクシング日本人初の3団体統一を果たしたWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が、WBO世界同級王者ポール・バトラー(33=英国)に「果たし状」を出した。
7日にさいたまスーパーアリーナで世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)と再戦し、2回TKO撃破。一夜明けた8日、横浜市内で会見。英国などWBO王者の希望地で統一戦に臨む姿勢をみせた。また試合当日、神奈川県内の井上の自宅が空き巣被害に見舞われたことも分かった。
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世界で過去に8人しか達成していない4団体統一へ。衝撃的なレジェンド撃破から一夜明け、井上の照準はWBO王者バトラーに絞られていた。自らのモチベーション維持も考慮し、年内に4本のベルトをまとめる意識は高い。開催地のこだわりも一切、なかった。
「日本、英国、どちらでもいい。バトラーが日本に来るというのであれば日本でいいし。英国でないとやらないというのであれば行きますし」
3本の世界ベルトを保持する「格上」王者にもかかわらず、拳を交えることができるならどこへでも行く。そう、バトラーに向けて強烈な「果たし状」のメッセージを送った。
19年5月、井上は英グラスゴーで世界戦を経験済み。階級最強を決めるワールド・ボクシング・スーパーシリーズ準決勝で、当時のIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との2団体王座統一戦に臨んで2回TKO勝ち。世界戦の日本人欧州初勝利を挙げた。英国で日本人が英国人相手に臨んだ世界戦は過去6戦全敗。そのジンクスも「面白いですね」と不敵な笑みを浮かべた。
バトラーが契約を結ぶ米プロモート・プロベラム社は英国だけでなく、中東でも興行開催の実績を持つ。バトラー自らも昨年12月、当時のWBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)とドバイで挑戦する予定だった。大橋秀行会長(57)は「日本でも、海外でも。年内にできたら実現させたい」と明言。既にプロベラム社とも本格的な交渉を開始している。
スーパーバンタム級で4階級制覇を目指すことも「視野に入れている。会長、父と相談していきたい」と将来的な目標に掲げた。ただ、「バンタム級で本当のナンバーワンを目指してやっていきたい。ここまできたら、こだわっていきたい」と強調。最優先は4団体統一。バトラー対策はこれからだが「今、やりたいことは練習。このモチベーションで練習に入りたい」と気持ちのスイッチは入っている。【藤中栄二】
- 3団体王座統一の快挙から一夜明け、1面で報じた本紙を手に笑顔を見せる井上尚(撮影・菅敏)
- 3団体王座統一の快挙から一夜明け、3本のベルトを手に大橋会長(右)、父真吾トレーナー(左)と記念写真に納まる井上尚(撮影・菅敏)
- 1回、ドネア(左)にパンチを見舞う井上尚(2022年6月7日撮影)
- 1回、ドネア(左)からダウンを奪う井上尚(2022年6月7日撮影)
- 3団体のベルトを肩にガッツポーズする井上尚弥(2022年6月7日撮影)
- WBO王者のポール・バトラー(ロイター)
- 【イラスト】井上尚弥とバトラーの比較表
- 【イラスト】WBO王者ポール・バトラーのプロフィル