岩田翔吉、世界初挑戦は0-3判定負け ジョナサン・ゴンサレスに敗れ早大出身初の世界王者逃す

<プロボクシング:WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇1日◇さいたまスーパーアリーナ
WBO世界ライトフライ級2位岩田翔吉(26=帝拳)が世界初挑戦で王座獲得を逃した。同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)に挑戦し、0-3で判定負けを喫した。過去早大出身ボクサーの世界挑戦は高山将孝、三谷大和、佐々木基樹に続き4人目だったが、同大出身初の世界王者誕生はならなかった。
9歳の時、人気総合格闘家だった故山本“KID”徳郁さんのジム「KILEER BEE」で格闘技を始めた。K-1やDREAMのリングでファイトする「師匠」の勇姿に「小さい体で大きな選手を倒すKIDさんが格好良かった」という。KIDさんから直接指導も受けながらレスリング、総合格闘技、ムエタイを学び、向上したのが打撃レベル。中学2年から「パンチの方が得意だった」とボクシングに専念した。
高校3年時には田中恒成、井上拓真というのちの世界王者を下して高校総体制覇したが、同学年のライバルとは違い、早大へ進学してアマを継続した。大学4年になってプロ転向を決意。18年12月には米国でプロデビューした後、名門・帝拳ジム所属で国内プロテストを受験。史上5人目の3冠(日本、東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック王座)を獲得した。実力がついてから世界挑戦の機会をつくる帝拳ジムでプロ10戦目の世界挑戦は異例。同門のWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(36)の13戦目よりも速かった。本田明彦会長は「いろいろな格闘技経験、アマ経験もあるから」と評価と期待を受けての「スピード挑戦」だった。
19年2月の国内プロテスト時、岩田はこう言った。「今までの日本人ボクサーとは違うことをやっていきたい」。競技こそ違うものの、人気格闘家だったKIDさんの「魂」をボクシング界で受け継ぐ岩田だったが、幼少時代からの夢に見ていた世界王座をつかむことはできなかった。
◆岩田翔吉(いわた・しょうきち)1996年(平8)2月2日、東京・渋谷区生まれ。9歳で総合格闘家の故山本“KID”徳郁さんのジムで格闘技を開始。中学2年でボクシングに転向し2、3年でU15全国大会を制覇。東京・日出高3年時に高校総体で優勝し、早大へ進学。18年12月、米カーソンでプロデビューし4回TKO勝ち。19年2月に帝拳ジムからプロテスト受験し、国内ライセンス取得。21年11月、日本ライトフライ級王座獲得。22年7月に東洋太平洋、WBOアジア・パシフィック同級王座獲得。身長163センチの右ボクサーファイター。家族は両親と妹2人。
- 9回、ゴンサレス(右)の左フックを顔面に受ける岩田(撮影・菅敏)
- 7回、ゴンサレス(右)に左フックを入れる岩田(撮影・菅敏)
- 6回、ゴンサレス(手前)に右フックを入れる岩田(撮影・菅敏)
- 2回、ゴンサレス(右)とバッティングする岩田(撮影・菅敏)
- WBO世界ライトフライ級タイトルマッチでリングに登場する岩田。左はラウンドガールの雪平莉左(撮影・菅敏)
- ラウンドガールを務める雪平莉左(撮影・菅敏)