13場所ぶりVの貴景勝、春場所で綱とりへ 進化示す投げ技、義父・北天佑の優勝回数超えた

<大相撲初場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館
125年ぶりの1横綱1大関となった異例の場所を、残った看板力士が締めた。大関貴景勝(26=常盤山部屋)が結びの一番で東前頭13枚目の琴勝峰(23=佐渡ケ嶽)との相星決戦を制し12勝3敗で13場所ぶり3度目の優勝を果たした。大関以上の優勝は昨年夏場所の横綱照ノ富士以来4場所ぶり。前例通りなら、優勝力士として春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)で横綱昇進に挑むことになる。
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13場所ぶりの賜杯に実感がこもった。琴勝峰との相星決戦を制して支度部屋へ引き揚げてきた貴景勝は、振り絞るように言った。「1日、1日の積み重ねでした。苦しい場面もあったけど、いろんな人に支えられて元気づけてもらった。最後まであきらめずにやって良かった」。館内インタビューでは義父で06年に亡くなった元大関北天佑の優勝回数(2回)を超えたことにも触れ、喜びをかみしめた。
大一番に進化が見えた。思いきり頭から当たって琴勝峰を後退させ、すかさず左を差した。攻め手を緩めることなく、鮮やかにすくい投げを決めた。今場所は投げ技から3勝。20~22年は1年に1勝しか挙げていないことを考えると、その多さが際立つ。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)は「(平幕の)隆の勝との稽古でもたまにやる。押しだけでは勝てない。止まった時とかを想定して、最近増えている」。地道に磨いてきた成果が実を結んだ。
19年春場所後に、大関昇進。22歳だった。わずか2場所で陥落と苦汁を味わった。再び大関に戻り20年11月場所で2度目の賜杯を抱いたが、度重なるけがで3場所で途中休場し、3度のかど番も経験した。
大関にのしかかる重圧を実感しているからこそ、自分への厳しい言葉が並ぶ。昨年7月の名古屋場所から2桁白星を続けても賜杯には1歩届かない状況に、「大関は優勝か、優勝じゃないかしかない」と言った。
今場所は横綱照ノ富士の休場で看板を1人で背負った。圧倒的な優勝での綱とりを目指し10日目まで1敗も、そこから2連敗。それでも、13日目以降は再び白星を積み上げ、12勝3敗という結果を残した。佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は「何とも言えないですね」と口にしたが、準ご当地の大阪での春場所には、再び綱とりがかかる可能性が十分。「謙虚に日々の生活と稽古をしていけば、いずれ報われる」と前を向く。横綱不在で出場力士最上位として5度も取組で血を流す闘志むき出しの相撲をみせた。この優勝を来場所につなげる。【平山連】
- 優勝パレードで手を振る貴景勝(右)。左は隆の勝(撮影・狩俣裕三)
- 優勝パレードで国技館を出発する貴景勝(撮影・足立雅史)
- 貴景勝(中央)は常盤山親方(左)とおかみの留美子さん(右)、後方左から隆の勝、貴健斗の祝福を受けながらビールで乾杯する(撮影・小沢裕)
- 大相撲初場所 千秋楽 優勝インタビューに答える貴景勝(代表撮影)
- 大相撲初場所 千秋楽 優勝した貴景勝(右)はパレードに出発する車上で両手を上げた。左は隆の勝(代表撮影)
- 祝勝会の前にビールで乾杯する、左から師匠の常盤山親方、貴景勝、おかみの留美子さん、後方左から隆の勝、貴健斗(撮影・小沢裕)
- 大相撲初場所 千秋楽 関係者らに祝福される大関貴景勝(左端)(代表撮影)
- 大相撲初場所 千秋楽 関係者らに祝福される大関貴景勝(前列左)(代表撮影)
- 大相撲初場所 千秋楽 関係者らに祝福される大関貴景勝(前列中央)(代表撮影)
- 子どもを抱く有希奈夫人(右)ら家族や関係者に祝福される大関貴景勝(中央)(代表撮影)
- 優勝インタビューに答える貴景勝(撮影・狩俣裕三)
- 八角理事長(左)から賜杯贈呈を受ける貴景勝(撮影・小沢裕)
- 優勝し、鈴木俊一財務大臣(右)から内角総理大臣杯を受け取る貴景勝(撮影・狩俣裕三)
- 琴勝峰(後方)をすくい投げで破り優勝を決めた貴景勝(撮影・足立雅史)
- 琴勝峰(右)をすくい投げで破り、優勝を決める貴景勝(撮影・狩俣裕三)
- 琴勝峰(右)をすくい投げで破り、優勝を決める貴景勝(撮影・狩俣裕三)
- 琴勝峰(左)をすくい投げで破り優勝を決めた貴景勝(撮影・足立雅史)
- 琴勝峰をすくい投げで破り優勝を決めた貴景勝は大量の懸賞を手にする(撮影・足立雅史)
- 優勝し賜杯を手にする貴景勝(撮影・足立雅史)