上へ戻る

au版ニッカン★バトル

記事検索

井上尚弥「KO決着なら序盤か中盤」ラスベガス初陣

井上尚弥(2019年10月28日撮影)

WBA、IBF世界バンタム級統一王者井上尚弥(27=大橋)が9日、オンラインで会見し、10月31日(日本時間11月1日)に、米ラスベガスのMGMグランドで、WBO同級1位ジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)と対戦すると発表した。

WBAは4度目、IBFは2度目の防衛戦。当初は4月にWBO王者カシメロ(フィリピン)との3団体統一戦を予定も、コロナ禍の影響で延期となり、半年遅れでラスベガス初陣の舞台が整った。約1年ぶりの試合で「怪物」の新章が幕を開ける。

   ◇   ◇   ◇

19歳のプロデビューから8年、引退時期と公言する35歳まで、残り8年。4月で27歳になった井上は、モロニー戦のテーマについて「折り返しであり、区切り。第2章のスタート」と表現した。当初予定されていたカシメロとの3団体統一戦が延期となり、約1年ぶりのリング。コロナ禍後、日本人で初の世界戦に「ベルトがかかっているかは関係ない。この状況で試合ができることに感謝しながら戦いたい」と力を込めた。

半年遅れとなったラスベガス初陣は、井上にとっても未知の舞台となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、試合は無観客で行われる予定。大橋会長も、現地での練習環境や行動制限などについて「現時点では分からない」と話すなど、通常とは異なる調整を強いられる可能性は高い。井上は、いとこの井上浩樹が7月に行った無観客試合を観戦し、「引っかかった」と通常の試合との違いを実感。ジムでの練習を音楽を消して行っていると明かし「ピンチになった時の精神力が重要。リングに立った時にどう感じるか。集中力が大切になってくる」とイメージを膨らませた。

モロニーは、井上が優勝した昨年の「ワールドボクシング・スーパーシリーズ」初戦で、井上が準決勝で下したロドリゲスと対戦し、1-2の判定負け。それでも井上は「タフでスタミナがあり、技術も高い。カシメロより穴のない選手」と実力を認め、「しっかり対策していかないと危ない相手」と気を引き締めた。

昨年11月のドネア戦で右目眼窩(がんか)底骨折、右まぶたのカットに見舞われたが、試合から遠ざかったことで「今は万全の状態」と不安はなくなった。「KO決着なら序盤か中盤。後半にもつれたらお互いの精神力の戦いになる」と井上。日本が世界に誇る「怪物」が心身を研ぎ澄ませ、ゴングの時を待つ。【奥山将志】

関連するニュースを読む

井上尚弥、10・31ラスベガスでモロニーと防衛戦

井上尚弥(20年2月撮影)

ボクシングのWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27=大橋)が9日、オンラインで会見し、10月31日(日本時間11月1日)に、米ラスベガスのMGMグランドで、WBO同級1位ジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)と対戦すると発表した。

井上は昨年11月、バンタム級最強を決める「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」決勝で、元世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちして以来、約1年ぶりの試合となる。

ラスベガスで初の試合で、WBAは4度目、IBFは2度目の防衛戦となる。

当初は、今年4月25日にWBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)との3団体統一戦を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期となっていた。

モロニーはここまで21勝(18KO)1敗の戦績で、18年10月の試合で、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に1-2で判定負けしたのが唯一の敗戦となっている。

井上の戦績は19戦全勝(16KO)。

井上は「4月の試合が延期になってからも、ずっと試合モード。すごく楽しみ。(ドネア戦での)目のけがもあり、プラスの期間とポジティブにとらえてやってきた」と心境を語った。モロニーについては「タフでスタミナもあり、技術も高い。総合的にはカシメロより高い選手。1カ月半しっかりと対策していかないと危ない相手だと思っている」と話した。

大橋秀行会長は「延期になっていろいろな気持ちがあったと思うが、目のけがもあったのでプラスに捉えている。ラスベガスの試合が楽しみ。(WBSS後の初戦は)すごく重要。その舞台がラスベガス。ある意味で、ここが井上尚弥のスタートだと思っている」。モロニーについては「カシメロよりも怖くて、やりにくい相手」と警戒した。

関連するニュースを読む

ドネア、12月にウバーリ戦 井上尚弥戦以来の試合

ウバーリ(左)、ドネア

ボクシング元5階級制覇王者ノニト・ドネア(37=フィリピン)が、12月に米国で王座返り咲きに挑戦する。

米王手ピロモーターのPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と中継局ショータイムが22日、年内に開催する9つのイベントを発表した。8月1日から、いずれも米コネティカット州アンキャスビルで無観客開催される。

ドネアは12月12日の最後のイベントに登場し、WBC世界バンタム級王者ノルディ・ウバーリ(33=フランス)に挑戦する。昨年11月のWBAスーパー&IBF世界同級王座統一戦で井上尚弥(27=大橋)に判定負け以来の試合となる。セミファイナルで井上の弟拓真(24=大橋)から王座を奪ったのがウバーリ。その初防衛戦で、WBC1位として王座奪回を狙う。

井上尚弥はWBO王者ジョンリル・カシメロ(31=フィリピン)と、3団体王座統一戦を予定している。これに勝てば、次はWBC奪取で4団体完全統一が標的となる。ウバーリが相手なら拓真の敵討ち、ドネアなら激闘再現で連破がかかることになる。

関連するニュースを読む

頭部陥没させたドネア左フック/山下正人会長の一撃

ノニト・ドネア(19年11月撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~14>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。

元世界3階級王者の長谷川穂積らを育てた、真正ジムの山下正人会長(58=西日本ボクシング協会会長)があげた一撃は「戦慄(せんりつ)の左フック」。11年2月のWBO、WBC世界バンタム級タイトルマッチで、挑戦者ノニト・ドネア(フィリピン)が、統一王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)を沈めた一撃。倒す要素が詰まった理想の1発を振り返る。(取材・構成=実藤健一)

▼試合VTR 11年2月19日、米ラスベガスでのWBO、WBC世界バンタム級タイトルマッチ。3階級制覇の統一王者モンティエルと2階級制覇王者のドネアが激突。軽量級屈指の好カードは、挑戦者のドネアが圧倒した。立ち上がりから右ストレートからの左フックのコンビネーションで主導権を奪い2回、強烈な左フックでキャンバスに沈んだモンティエルは大の字で動けず2分25秒TKO負け。モンティエルの右側頭部は陥没していた。

◇ ◇ ◇

最もインパクトあったんがドネアの左フック。モンティエルが衝撃的な倒れ方やった。パンチというのは当てるだけやない。大事なのは呼吸、タイミング。それをあらためて思い知らされた一撃やった。

選手を指導する上で、常に選手に教え込むのがタイミング。言葉にするのは難しいけど、そこは0コンマ何秒の世界。たいがいはタイミングが早かったり遅かったり。ここで打たなあかん! というのは練習で体に覚え込ますしかない。その点でドネアの左フックはすごい、完璧なパンチやった。

ドネアの場合、あの左フックにたどり着くまで、いっぱいの伏線があった。右ストレート、ジャブ、いろんな伏線を張り巡らして、最後だけは左フックで仕留めると決めている。

1発で、狙い澄まして、というのは難しい。自分が最も自信があるパンチをいかに効果的に打てるか。そういう視点からも、あの試合から学ぶものは少なくなかった。

選手には「半呼吸」を教えている。打たれてすぐに打ち返しがちだが、そこで半呼吸ためることができれば、相手もタイミングがとれずに隙が生まれやすい。倒すのは決して力ではない。ドネアの左フックは、自分が指導する上で理想としている。

◆山下正人(やました・まさと)1962年(昭37)4月30日、兵庫県伊丹市生まれ。伊丹東中から村野工へ。野球部で俊足巧打の1番打者として活躍。3年夏の県大会ではベスト4と甲子園に迫った。卒業後、兵庫県警で暴力団対策の刑事。99年に民間の警備会社に移り、千里馬神戸ジムでトレーナー。長谷川穂積を世界王者に育て、05年度にトレーナーのMVP「エディ・タウンゼント賞」。07年に真正ジムをたち上げる。昨年度から西日本ボクシング協会会長。

関連するニュースを読む

井上尚弥の第2章、真の頂へ「勝ち続けるしかない」

2019年11月7日、ボクシングWBSS世界バンタム級トーナメント 決勝 井上尚弥対ノニト・ドネア ノニト・ドネアに勝利しアリ・トロフィーを掲げる井上尚弥

ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級統一王者井上尚弥(26=大橋)が5日、日刊スポーツの電話インタビューに応じた。

新型コロナウイルスの感染拡大により、25日(日本時間26日)に米ラスベガスで予定されていたWBO同級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)との3団体統一戦が延期となり、本格的な米国進出は仕切り直しとなった。6日で、14年の世界奪取から丸6年。世界が注目する「モンスター」が、これまでの歩み、「第2章」と位置づける今後についての思いを語った。【取材・構成=奥山将志】

   ◇   ◇   ◇

新型コロナウイルスの影響で、3月17日に日本人初の3団体統一戦の延期が正式発表された。

井上 世界的な状況をみて、何となく無理なのかなと思っていたので、延期が決まった時も「これは仕方ないな」って感じでした。減量に入るギリギリのタイミングでもあったので、キャリアが浅い時期だったら、精神的に動揺したかもしれませんが、そこは20歳から世界戦を14回戦ってきた経験なのかなと思います。

現在は横浜の所属ジムにも行かず、サンドバッグなどをつるした自宅前の練習スペースを中心に調整を続けているという。

井上 試合がいつになるか分からない状況ですが、切り替えはスムーズにできています。それよりも、自分にも子どもが2人いますし、近所には90歳を超えたひいおばあちゃんも住んでいる。今はボクシングのことを過剰に考えるよりも、不要な外出を控えたり、当たり前のことをやることが大切だと思っています。

昨年末に米プロモート大手トップランク社と複数年契約を結び、今後は主戦場を米国に移す。延期となったが、その1戦目となるカシメロ戦では、軽量級では異例となる、本場ラスベガスのメインイベントを任された。キャリアの「第2章」のスタートと位置づけた重要な一戦に向け、これまで以上に高いモチベーションを保ってきた。

井上 今までは日本国内で、「世界王者」としてやってきた選手だったが、トップランクと契約し、求められてラスベガスでメインを張る。ここまできたという思いももちろんありますが、満足はしていない。ここが、自分が本当の意味で成功するか、失敗するかの分かれ目だと思っています。米国のファンを満足させる内容も求められますし、気持ちの面でもこれまでの試合とは大きく違います。日本人が立ったことがない舞台ですし、新たなステージの始まりだと思っています。

14年4月6日に初めて世界王者となり、6年がたった。「強い相手としか戦わない」と宣言して飛び込んだプロの世界。6戦目での国内最速(当時)の世界王座奪取に始まり、8戦目で名王者ナルバエスを破り2階級制覇を達成。ここまで完璧なキャリアを歩んできたように思えるが、井上自身が思い描いていたものとは違ったという。

井上 ライトフライ級で初めて世界王者になった時は、想像していたものと現実のギャップに悩んだこともありました。辰吉(丈一郎)さんとか、幼い頃に見ていた畑山(隆則)さんの時代の華やかさとは違い、世間の反応もそんなに大きくなかった。街を歩いても自分のことを知っている人の方が少なかった。実際に、1つの階級に4人も世界王者がいて、誰が強いのかも分かりにくい。ゴールだったはずが、ここではないとすぐに思いを新たにしました。

それでも、存在をアピールするための話題づくりなどには走らず、「リング上がすべて」と信念を貫き続けた。試合内容で、「世間」と闘い続けた6年間。まっすぐ進んできた先に、現在の確固たる立場がある。

井上 振り返ってみれば、ここまでくるのに時間がかかったなという印象はあります。スーパーフライ級で2階級制覇をしても、防衛戦では、名前のある相手との試合は決まらなかった。ただ、冷静にみれば、当時の自分も世界的には名前がなかったですし、「食ってもうまみがない選手」だったということ。時代とか、環境は関係なくて、ただ自分がそこまでの存在ではなかったということです。

18年にバンタム級に階級を上げたことで、流れは一変した。強豪がひしめく伝統の階級で、その名は瞬く間に世界にとどろいた。転級初戦でWBA王者マクドネルを1回TKOで破り、3階級制覇を達成。続くパヤノ戦、IBF王者ロドリゲス戦と、階級のトップ選手3人を計わずか441秒で撃破。衝撃的な試合を連発し、昨年11月には、バンタム級最強を決めるトーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ」決勝で、5階級制覇王者ドネアを破り、頂点に立った。会場のさいたまスーパーアリーナは2万2000枚のチケットが完売した。

井上 バンタム級に上げたことで、理想と現実がかみ合い、求めてきた戦いができるようになったと思っています。減量でパフォーマンスが落ちることもないですし、今は誰もが納得する相手と戦えることが楽しいですし、うれしいです。

ドネア戦は、全米ボクシング記者協会の年間最高試合に選ばれ、世界にその名をとどろかせた。米国で最も権威ある専門誌「ザ・リング」認定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級を超越した最強ランキング)で最高3位に入るなど、世界の中心選手の仲間入りを果たした。

井上 PFPの存在は大きいですね。そのランクに入っていることで、同じ階級の選手だけでなくロマチェンコ、クロフォードといったPFPの前後の選手とも比較される。だからこそ、変な試合はできない。もっと上を目指さないといけないと思いますし、自分の意識を変えることにもつながっています。

階段を駆け上がり続けても、「強くなりたい」という思いは揺るがない。

井上 バンタム級に上げてから、これまで以上に海外の選手の映像を見るようになりました。以前から父に「見ろ」と言われていたのですが、やっとその意味が分かってきました。

圧倒的なパフォーマンスの裏には他選手からのヒントも影響しているという。

井上 映像を見て、無理にまねをするのではなく、イメージを整理してストックしておくことが大切なんです。たとえば、メイウェザーの防御はこういう特徴があって、ロマチェンコのサイドへのステップはこうとか。そうやってインプットしておくことで、ミットの練習をしている時とかに急に動きのイメージが頭におりてくるんです。このタイミングなら、あの選手のあの動きが使えそうだとか。ただ、パッキャオの2段階の踏み込みだけはいまだにできない(笑い)。あれが自分のものにできれば、もっと強くなれると思うんですけどね。

刺激を求める先は、リング以外にも向かうようになってきた。バスケットボール日本代表の富樫勇樹(26)、ラグビー日本代表の松島幸太朗(27)ら、他競技のアスリートとも交流を深めるようになった。

井上 以前はほかのスポーツにあまり興味がなかったんですが、最近は少し変わってきました。富樫と幸太朗は気が合う友人というのが大前提なのですが、他のスポーツを見に行けば、そこの会場の空気で感じることもある。世界王者になって、周囲からちやほやされる部分もありますし、「慣れ」が、知らない間に心の隙につながると思っています。居心地がよくない新しい感覚にさらされることで、自分が今やらなければいけないこと、進むべき道が整理できるんです。

世界のライバルが「INOUE」「MONSTER」の名を挙げ、挑発し、対戦を熱望している。だが、「強い相手としか戦わない」というデビュー当時の思いは今も変わっていない。

井上 周りからいろいろ言われてなんぼの世界ですし、そこは望むところ。1度負けたら今まで積み上げてきたものがすべて崩れるという恐怖心もありますが、負けを恐れていたらボクシングをやる意味がない。結局、勝ち続けるしかないんです。ただ、弱い相手に勝っても意味がない。どちらが勝つか分からない本物同士のドキドキ感を自分は求めていますし、ファンの方もそれを望んでくれていると思うんです。

35歳での引退を公言し、今月10日には27歳になる。見据える先はどこまでも高い。

井上 自分がどこまでいけるかは、ここからの2~3試合の内容にかかっていると思っています。パッキャオのようにアジアから世界の頂点に上り詰めたいですし、ファイトマネーという意味でもそう。何のためにボクシングをしているかと言えば、当たり前ですが、1つは稼ぐためです。残り8年と考えれば、やれても20~30試合。そう多くはないと思っています。その中で、自分がどんな試合を残せるか。「ボクシングって面白い」「井上の試合は面白い」と思ってもらえる戦いを、これからも見せていきたいですね。

◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。元アマ選手の父真吾さんの影響で小学1年から競技を開始。相模原青陵高時に史上初のアマ7冠。12年7月にプロ転向。当時の国内最速6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)奪取。14年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速(当時)の8戦目で2階級制覇。18年5月にWBA世界バンタム級王座を奪取し、3階級制覇。家族は咲弥夫人と1男1女。165センチの右ボクサーファイター。

2018年10月7日、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズバンダム級トーナメント WBAバンタム級タイトルマッチ 1回戦・1回KO勝ちで、フアンカルロス・パヤノ(手前)を倒し、ガッツポーズする井上尚弥
2014年4月6日、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ 井上尚弥対アドリアン・エルナンデス KO勝利して新王者となった井上尚弥(中央)は、家族と記念撮影。左から姉晴香さん、弟拓真、1人おいて父真吾トレーナー、母美穂さん

関連するニュースを読む

ボクシング松本圭佑、井上尚弥に感銘しプロ入り決意

プロ転向会見を行った松本圭佑(右)と父の好二トレーナー

ボクシングの元東洋太平洋フェザー級王者松本好二氏(50=大橋ジムトレーナー)の長男圭佑(20)が20日、横浜市内で会見し、大橋ジムからプロ転向すると発表した。

U-15全国大会で5連覇を果たすなど、幼少期から活躍してきたが、目標としていた東京五輪出場を逃し、昨年末に東農大を中退。「小さい頃からの憧れの舞台に立ててわくわくしている。ラスベガスや東京ドームで試合ができるような世界王者になりたい」と意気込みを語った。

プロ転向のタイミングを悩んでいたが、昨年11月の井上尚-ドネア戦を観戦し「こんなにすごい方が身近にいる。同じ環境で練習がしたい」とプロ入りを決意。父が3度の挑戦でつかめなかった世界王者を目指す道を選び「小さい頃から父の映像を見るたびに、悔しい気持ちを持っていた。父を超えること=世界王者になること。そこもモチベーション」と力を込めた。

プロではスーパーバンタム級を主戦場とする予定で、3月11日にプロテストを受け、5月28日のデビューを目指す。世界王者の八重樫、川嶋勝重を育ててきた松本トレーナーは「八重樫のハートと、尚弥の技術を併せ持ったような選手を目指して欲しい」と話した。【奥山将志】

◆松本圭佑(まつもと・けいすけ)1999年(平11)7月17日、横浜市生まれ。小3でボクシングを始め、みなと総合高では選抜ライトフライ級優勝、総体3年連続準優勝など。東農大では全日本選手権バンタム級準優勝。アマ戦績は95戦80勝15敗。175センチ。家族は父、母、妹。

関連するニュースを読む

井上尚弥3団体統一王者へ、初ベガスでカシメロ戦

WBAスーパー・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦の発表会見に臨む井上尚(撮影・小沢裕)

本場で3本目のベルトをつかみ取る。ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級統一王者井上尚弥(26=大橋)が1月31日、都内で会見し、4月25日(日本時間26日)に米ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノで、3階級制覇の実績を持つ、WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)と対戦すると発表した。

井上は、プロ20戦目で初のラスベガス進出で、日本人初の3団体統一王者を目指す。

    ◇   ◇   ◇

ラスベガスのメインイベント。日本人初の3団体統一戦。難敵カシメロ。気持ちが高ぶる要素の比重を問われた井上尚は「全部です」と即答し、プロ20戦目の重要性をにじませた。荒々しいファイトを武器に11月に3階級制覇を果たしたカシメロについては「野性味あふれる選手。危険なハードパンチを持っている」と警戒しつつ、「プレッシャーはない。じっくり、じっくり、ダメージを与えて削っていく」と、落ち着いた口ぶりで試合を見据えた。

プロ6戦目での世界王座奪取や、伝説となったナルバエス戦での2階級制覇。数々の扉を拳でこじ開け、米老舗ボクシング専門誌「ザ・リング」選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級を超越した最強王者)で日本人初のトップ3入りを果たした「怪物」に、新たな勲章もかかる。

これまで日本ジム所属王者で、2団体統一を果たしたのはミニマム級の高山、井岡、ライトフライ級の田口とバンタム級の井上尚の4人。「スーパーフライ級ではかなえられなかった」と目標に掲げる4団体統一にさらに近づく一戦に向け、準備に余念はない。ラスベガスの乾燥した気候での減量対策や時差などを考慮し、一般的なスケジュールより2週間近く早い、試合3週間前の渡米を計画。2月中旬からは海外から3人の世界ランカーをスパーリングパートナーとして招く予定と、じっくりと仕上げていく。

昨年11月の元5階級王者ドネア戦では右眼窩(がんか)底など2カ所の骨折を負ったが、患部は順調に回復。米プロモート大手トップランク社との契約後、初めての試合で「パウンド・フォー・パウンド3位にふさわしい試合を世界のみなさんにお届けしたい」と井上尚。本場のリングで、世界に「モンスター」の力を見せつける。【奥山将志】

◆日本のジム所属王者の複数団体統一 12年6月に井岡一翔が八重樫東とのミニマム級王座統一戦を制し、初のWBA、WBC統一王者となった。ミニマム級では、高山勝成もWBO、IBFの両団体の王座を獲得。17年12月にはWBAライトフライ級王者田口良一がIBF王者との統一戦に勝利し、2団体の王座を統一した。WBAバンタム級王者井上は、昨年5月にIBF王座を奪い、4人目の複数団体王者となった。

WBAスーパー・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦の発表会見に臨んだ井上尚。左は井上トレーナー、右は大橋会長(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

井上尚弥がスパー再開「怖さなかった」ドネア戦骨折

スパーリングを再開したWBA、IBFバンタム級王者井上尚。右は父の真吾トレーナー

ボクシングのWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が28日、横浜市内のジムでスパーリングを再開した。日本ユース同級王者石井渡士也(19=REBOOT)をコンビネーションで崩すと、中盤には強烈な右を打ち込むなど、軽快な動きで5回を消化した。

久しぶりの実戦練習に「無駄なパンチはもらったが、動けているし、出だしは好調。修正できる幅はかなりある」とうなずいた。昨年11月のノニト・ドネア戦で右眼窩(がんか)底など2カ所の骨折を負ったが、影響がなかったことを強調。「(1月に)最終的な診察を受け、問題ないと言われた。傷もしっかりとくっついているし、スパーでも怖さはまったくなかった」と振り返った。

ドネア戦が、全米ボクシング記者協会の19年の年間最高試合に選ばれるなど、世界から注目を集める存在となった。それでも「うれしいことではあるが、自分が求めているのはそこではない。人が決めた評価ではなく、誰と戦って、どんな試合をしたとか、自分の出す結果を求めていきたい」と力を込めた。

4月末に米ラスベガスで予定される20年初戦は、WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)との統一戦がうわさされる。カシメロについては「動きや戦い方のイメージはわいている」とし、「ドネア戦でもスタミナに問題はなかったが、もっと上げていきたい。4月に向けてラウンド数を重ねていきたい」と実戦重視で調整を進めていく方針を示した。

ボクシング16年世界ユース王者堤駿斗(右)とのスパーリングに臨んだWBA世界バンタム級王者井上尚弥

関連するニュースを読む

井上尚弥「ありがとう」ドネア戦が年間最高試合選出

ドネアに勝利しアリ・トロフィーを掲げる井上尚弥(2019年11月7日撮影)

ボクシングの聖書と呼ばれる米老舗専門誌「ザ・リング」は23日(日本時間24日)、1928年から継続する年間表彰を発表。

年間最高試合として11月7日、さいたまスーパーアリーナで開催されたワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝となる井上尚弥(大橋)-ノニト・ドネア(フィリピン)戦を選出した。12回判定勝ちし、WBAスーパー、IBF世界バンタム級王座を統一した井上は自身のツイッターで「皆さん本当にありがとうございました!」とつづった。

年間最優秀選手は同誌がパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強王者)1位にも推す4階級制覇王者で、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級の3階級同時で世界王座を保持するサウル・アルバレス(メキシコ)が選ばれた。なお年間KO賞には11月24日、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米国)が右ストレー1発でルイス・オルティス(キューバ)を7回KOした試合が選出された。

関連するニュースを読む

井上尚弥は「ドネアの呪い乗り越え勝った」大橋会長

自身の著書イベントに参加した大橋秀行会長(撮影・藤中栄二)

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26)らが所属する大橋ジムの大橋秀行会長(54)が13日、東京・新宿区の紀伊国屋書店で自身初の著書「最強モンスター 井上尚弥はこうして作った~5人の世界チャンピオンを育てた大橋流マネジメント術」(12月2日発売、1500円+税)の発売記念サイン会&トークイベントを開催した。

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズで優勝を飾った井上をはじめ、ジム初の世界王者となった元WBC世界スーパーフライ級王者川嶋勝重らの育成法、ジム運営、マッチメークなどの秘話、元WBA、WBC世界ミニマム級王者となった現役時代のエピソードなどが盛り込まれている。約2カ月かけて書き下ろしたという大橋会長は「負けから巻き返していくところをみてほしい。ボクらの年代は負けてからの方が大事。負けてもただでは転ばないぞというところを読んでほしいですね」とPR。初版は1万部が発行され、売り上げも上々。既に増刷の話も出ているという。

この日のトークイベントには、購入者先着50人が招待され、多くの女性ファンも集結。決勝で井上が対戦した元5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)が1回戦でWBAスーパー王者だったバーネット(英国)が試合途中の原因不明の背中痛で棄権して勝利。準決勝ではWBO王者だったテテ(南アフリカ)が1週間前に右肩負傷で欠場し、代替選手のヤング(米国)に勝って決勝進出していた経緯を「ドネアの呪い」と表現。同会長は「決勝でも何かが起こると思ったら右目上のカットと眼窩(がんか)底骨折だった。でも尚弥はドネアの呪いを乗り越えて勝った。やっぱりモンスターだった」と振り返っていた。

自身の著書のサイン会、トークイベントでファンと触れあう大橋ジムの大橋秀行会長

関連するニュースを読む

井上尚弥が振り返るドネア戦死闘の裏側/取材ノート

11月、ドネアに勝利しカップを掲げる井上尚

<取材ノートから ボクシング・井上尚弥>

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が11月7日、さいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者ノニト・ドネア(37=フィリピン)を下し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズを制した。2回に右目をカット。右眼窩(がんか)底など2カ所を骨折しながらも11回に左ボディーでダウンを奪って12回の激闘を制した。過去1度も経験したことのないダウンの対処までイメージトレーニングをしている井上が唯一、想定していなかったことが起きた。2回の骨折後から「相手が二重に見える」ことだった。

井上が「あの時、ドネアが言っていた言葉がパッと浮かんできた」と明かす動画がある。13年4月、米ニューヨークで開催されたWBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ。王者ドネアが挑戦者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)に12回判定負けでプロ初黒星を喫した試合だ。「試合後にドネアが『リゴンドーが2人に見えた』と。右目を隠して焦点を合わせていたと話していた」。とっさに、ぼやけた右目を右手グローブで覆い、急場をしのいでレジェンドを倒した。

ドネアがリゴンドー戦で右目を隠したのは、12回途中からの約2分間程度しかない。試合終了後、リゴンドーの勝利インタビューが長くあり、その後にようやく敗者ドネアが「ダメージはなかったが、二重に見えたので目を隠した」と話していた。試合映像の最後の最後まで目を通さなければ気がつかない。井上の研究は試合内容だけでなく、試合後コメントまでが材料だった。「頭の中にドネアが入っていますから」とまで言い切る理由がこれだった。

通常のカットはパンチで切れるものだが、井上によれば「パンチをもらったのはカットしたところではない。(骨折した)ほおにもらった反動で切れた」とも明かした。2カ所骨折に追い込まれたドネアの突き上げてくるような左フックの破壊力に「1発の怖さ、でかさはこれからも気をつけないといけない」と肝に銘じたという。

井上は振り返る。「こういう試合をすごくしたかった。成長できる試合というのはこういう試合。ボクサーとしても、人としても成長できた」。アマ時代から“教科書”として技術を取り入れてきたドネアから新たな「教え」をもらったような気持ちだった。この先10年は現役を続けたいとするモンスター。37歳直前だった「先生」ドネアと拳を交え、自らの将来像という新しい1ページも手に入れていた。【藤中栄二】

11月、ドネアの顔面に強烈なパンチを見舞う井上尚

関連するニュースを読む

井上尚弥がロマチェンコと初対面「対戦なくもない」

握手を交わす井上(左)とロマチェンコ(撮影・横山健太)

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、世界最速3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)との将来的な対戦を口にした。

5日、都内のホテルで行われたWBO(世界ボクシング機構)年次総会のフィナーレとなる表彰式でロマチェンコと初対面。檀上でガッチリ握手を交わした。「リスペクトを込めてオーラがありましたね」と第一印象を口にすると身長差がほぼない4階級上の3団体統一ライト級王者との将来的な対戦に言及。「今は階級も違うし、現実的ではない」と前置きした上で「将来的な対戦はなくもない。そういうイメージで少し見ていました」と、ライバル心もチラリとのぞかせた。

現在、米老舗ボクシング専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強選手)のランキングで2位がロマチェンコ、3位に井上が入っている。表彰式前に取材に応じたロマチェンコは「あまり詳しくないが、早い時間でKOする選手。(WBSS決勝の)ドネア戦はハイライトで見ました」と口にしていた。

ポーズを決める井上(左)とロマチェンコ(撮影・横山健太)

関連するニュースを読む

初来日ロマチェンコ「好き」村田諒太のパンチ力評価

日本の印象について語るロマチェンコ(撮影・横山健太)

世界最速3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)が5日、都内で開催されたWBO総会に出席した。

初来日という現3団体統一ライト級王者は日本人選手に言及。ロンドン五輪金メダルでプロの世界王者となったWBA世界ミドル級王者村田諒太(帝拳)について「金メダルで世界王者の同じ経歴なので注目していた。ラスベガスで試合も見た。私が好きなパンチ力のある強い選手」と口にした。2団体統一バンタム級王者井上尚弥(大橋)に関して「あまり詳しくないが、早い時間でKOする選手。(WBSS決勝の)ドネア戦はハイライトで見ました」と話した。

村田諒太(2019年8月1日撮影)

関連するニュースを読む

岩佐亮佑12・7暫定王座戦「ラストチャンスだと」

12月7日に米ニューヨークでIBFスーパーバンタム級暫定王座戦を行う岩佐亮佑

元IBF世界スーパーバンタム級王者で同1位岩佐亮佑(29=セレス)が王座返り咲きへのチャンスをつかんだ。12月7日に米ニューヨーク・バークレイズセンターで同3位マーロン・タパレス(27=フィリピン)と暫定王座戦を行うことが決定し、12日千葉・柏市内の所属ジムで会見を行った。

岩佐は「ラストチャンスだと思っている。泥臭くても、かっこ悪くてもいいのでとにかく返り咲く姿をみせたい」と決意を語った。

昨年8月の初防衛戦でドヘニーに敗れ、陥落も、今年2月セサール・フアレス(メキシコ)との挑戦者決定戦で勝利。WBA、IBF同級統一王者ダニエル・ローマン(米国)が9月に左肩を負傷したことで、IBFから暫定王座戦の指令がおりた。

今回暫定王者となれば、熱望していたローマンとの統一王座戦がみえてくる。「統一戦となれば、チャンピオン同士で条件がよくなる。ありがたい」と、ローマンのけがでもたらされた状況をむしろ歓迎した。

小林会長は「ドヘニーに負けてから向上心がより強くなった」と心身ともにレベルアップしたと説明。「今までの岩佐の中で1番強いんじゃないかと思う。このチャンスをものにしたい」と語った。

相手タパレスは元WBOバンタム級王者の強敵。岩佐も「覚悟はしてます。フィリピン人独特のタイミングの真骨頂みたいなボクサー」と警戒する。タパレス対策のため、16日からはIBFバンタム級1位のマイケル・ダスマリナス、アンソニー・ヘラルドのフィリピン人トップボクサーを呼び、10日間毎日スパーリングを予定。「そこで感覚を合わせていく」とイメージを膨らませた。

会見の後には、現地で観戦したという7日の井上尚弥-ノニト・ドネア戦にも言及した。2回のドネアの右フックで右眼窩(がんか)底を骨折しながら判定勝ちした井上尚に対し、「どこで経験したんですか、あの子は」とあまりのすごさにあきれ顔。「前世はいろんな修羅場をくぐり抜けてきた戦国時代の将軍だったなんじゃないですか」とモンスターの前世を分析した。

関連するニュースを読む

井上尚弥「振り返ると見応えある」ドネア戦自ら解説

WOWOWの収録に参加した2団体統一バンタム級王者井上尚弥(左から3番目)

ボクシング2団体(WBAスーパー・IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、自らの試合放送にゲスト出演する。11日午後9時からWOWOWライブの人気番組「エキサイトマッチ」で階級最強を決める5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝、弟拓真(23=大橋)が臨んだWBC世界同級王座統一戦が放送される。井上は試合2日後の9日、都内で収録に参加した。

井上は「振り返ると見ごたえある試合だなと自分で思いますし、楽しかったですね。やっぱり1発のこわさ、でかさというものは今回の試合でしっかり経験しました。すごくキャリアを感じました」と感想を口にした。またプロ初黒星を喫した弟拓真に向けて「ゆっくりと一からやろうと話した。もう拓真も吹っ切れているし、やることは分かっているから」と再び兄弟で世界に立ち向かっていくことを強調していた。

関連するニュースを読む

骨折の井上尚弥「痛みいつもと違う」大橋会長も納得

右眼窩(がんか)底など顔面2カ所の骨折を公表した王者井上尚

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が右目眼窩(がんか)底など、2カ所骨折の重傷を負っていたことが9日、分かった。

同日、東京後楽園ホールで同門選手の試合を応援後、取材に応じて骨折を公表した。7日の5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝の2回に浴びた左フックで負傷。全治は不明ながら、手術の必要はないという。

   ◇   ◇   ◇

階級最強を決めるWBSS制覇の代償は、予想以上に大きかった。軽量級レジェンドのドネアを撃破した翌8日、井上は都内の病院で精密検査を受けた。その診断は右眼窩底、鼻の右下部の骨折と診断されていた。この日夜、東京・後楽園ホールで開催された同門でバンタム級の中嶋一輝の試合応援後、取材に応じて公表した。

右目上にガーゼをあてたままの井上は「会長と相談して公表する形にしました。(右)目にパンチをもらって二重に見えた時点でしびれていました。『ヤバイ、(骨折を)やったかな』という感覚があった。痛みがいつもと違いました。かするだけで痛い」と明かした。

1カ月後に再検査を受け、今後の練習再開の時期を判断する予定だ。担当医からは2カ所とも手術の必要がないと説明されている。全治は不明で、井上は「1カ月後の検査で分かるかなと。次戦に影響はないと言われてホッとしました」と強調した。右眼窩底骨折は最低でも2カ月程度の安静が必要だとみられるものの、まずは安静にしながら回復を待ち、今後の経過を見極める方針だ。

WBSS制覇後、米プロモート大手トップランク社と契約を結んだことが発表された。20年初戦は米国で内定している。所属ジムの大橋秀行会長(54)は「1カ月後の検査結果を待ってから次戦は考えたい」と言うにとどめた。2回の骨折後も、軽量級レジェンドと残り10回を戦い抜いた井上のタフネスぶりに、同会長は「見たことにない左ジャブのもらい方をしていたので、骨折と聞いて納得もしました。相当痛かったと思う。あの状況で良くやった。新たなモンスター伝説になった」と、激闘を制した3階級制覇王者の実力を再認識していた。【藤中栄二】

◆眼窩(がんか)底骨折 眼窩底とは、目のくぼみ=眼窩の下方にある骨の壁。程度の差はあるが、目を強打し眼窩底に骨折を起こし、その骨の裂け目に眼筋やその他の組織などが落ち込んだことをいう。眼球を動かす眼筋がはまり込んだ場合は、眼球運動に障害が起こる。眼球後部の組織が落ち込むと、目が陥没することもある。陥没が激しい場合、また3~4週間たっても、眼球の運動障害がある場合は、眼筋を引っ張り出すための手術が必要になる。

ドネア戦の2回、右目をカットする井上尚(2019年11月7日撮影)

関連するニュースを読む

井上尚弥「2重に見えた時点で折れたかと」一問一答

右眼窩(がんか)底など顔面2カ所の骨折を公表した王者井上尚弥(撮影・藤中栄二)

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が右目眼窩(がんか)底骨折の重傷を負っていたことが9日、分かった。

同日に東京・後楽園ホールで報道陣の取材に応じ、同眼窩(がんか)底と鼻の右下付近の2カ所を骨折していると明かした。7日にさいたまスーパーアリーナで開催された5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝の2回に浴びた左フックで右目上をカット。この時のパンチで大ダメージを受けていという。井上との主な一問一答は次の通り。

-骨折の診断結果は

井上 試合翌日の検査で聞いていて、会長と相談してちょっと公表する形にしました。一夜明け会見後の検査ですね。

-骨折の実感はあったか

井上 目がパンチもらって2重に見えた時点で折れたかなと。(検査後に)医師が深刻そうな顔で待っていたので。入っていったら眼窩(がんか)底骨折と言われました。手術するほどではない。まずは安静で、経過をみながらです。

-全治は

井上 とりあえず1カ月後に病院に来てということだったので、聞いていないです。

-なぜ今、公表

井上 最初は公表する気なかったけれど、会長と相談しました。

-復帰時期は

井上 次戦も1カ月後の経過次第でどうするか、です。

-痛みは

井上 患部は普通にしていたら痛くないですけれど、触ると痛いですね。

-ドネアの左フックは

井上 あのパンチは下から突き上げられた感じで、カットはその反動でしてしまった感じです。

関連するニュースを読む

井上尚弥が眼窩底など2カ所骨折 再検査で次戦判断

右眼窩(がんか)底など顔面2カ所の骨折を公表した2団体統一バンタム級王者井上尚弥

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が右目眼窩(がんか)底骨折の重傷を負っていたことが9日、分かった。

同日、同門の中嶋一輝(大橋)の試合応援に来ていた東京・後楽園ホールで取材に応じ、同眼窩(がんか)底と鼻の右下付近の2カ所を骨折していると明かした。

7日にさいたまスーパーアリーナで開催された5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝の2回に浴びた左フックで右目上をカット。この時のパンチで大ダメージを受けたという。

階級最強を決めるWBSS制覇、軽量級レジェンド撃破の代償は大きかった。井上は試合翌日8日に都内の病院で精密検査を受け、2カ所の骨折と診断されていたという。右目上にガーゼを装着して取材に応じ「会長と相談して公表を決めました。(右)目が2重に見えた時点でしびれていましたし『ヤバイ、(骨折を)やったかな』という感覚があった」と覚悟していた。1カ月後に再検査し、今後の練習再開のメド、米国での次戦の時期を判断する。

担当医からは2カ所ともに手術の必要がないと説明された。「次戦に影響はないと言われてホッとした」とも口にした。米プロモート大手トップランク社と契約を結び、20年初戦は米国と決定済み。大橋秀行会長(54)は「1カ月後の再検査の結果を待って次戦は考えたい。骨折した中でドネアと残り10回を戦った。新たなモンスター伝説になった」と話した。

◆眼窩(がんか)底骨折 眼窩底とは、目のくぼみ=眼窩の下方にある骨の壁。程度の差はあるが、目を強打し眼窩底に骨折を起こし、その骨の裂け目に眼筋やその他の組織などが落ち込んだことをいう。眼球を動かす眼筋がはまり込んだ場合は、眼球運動に障害が起こる。眼球後部の組織が落ち込むと、目が陥没することもある。陥没が激しい場合、また3~4週間たっても、眼球の運動障害がある場合は、眼筋を引っ張り出すための手術が必要になる。

後楽園ホールで、元WBC世界バンタム級王者山中氏(右)と試合観戦する2団体統一同級王者井上

関連するニュースを読む

井上尚弥5億円オファー スポンサー10社超名乗り

一夜明け会見後、世界地図の米国を指し、記念撮影をする井上尚(撮影・狩俣裕三)

ボクシング2団体(WBAスーパー・IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)に10社以上の企業から総額約5億円ものスポンサー契約オファーが届いたことが8日、分かった。7日にさいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)を12回判定で下し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)を制覇。米本格進出も発表され、国内外の有力企業からの注目度が跳ね上がった井上尚は同日、横浜市の所属ジムで会見した。

   ◇   ◇   ◇

世界主要4団体中3団体の王者がエントリーした階級最強を決めるトーナメントを制した井上の価値は確実に高まった。2階級で2団体統一王者になった5階級制覇王者ドネアとの血のにじむ激戦を制したインパクト、米プロモート大手トップランク社と契約を結び、米国への本格進出も決まったモンスターに届く企業からの熱視線は大きく、強くなっていた。

井上のスポンサー担当者によると、既に10社以上の有力企業からスポンサー契約に関する打診、オファーが届いたという。さいたまスーパーアリーナの試合会場にも、スポンサー契約に興味を示す数社の企業側が視察していた。同担当者は「平均で1社あたり4000~5000万円の条件」と明かした。単純計算でも5億円近くになる。

現在、井上尚は通信事業大手のNTTぷららとメインスポンサーを結ぶ。繊維製品大手グンゼのボクサーパンツ「ボディーワイルド」のイメージキャラクターも務める。今回もテレビCMを含めた幅広いオファー内容のスポンサー契約が舞い込んでいる。同担当者は「すべての企業の方と契約はできないですが、1つ1つ話をうかがっていきたい」と慎重に話した。

フジテレビ系で生中継されたWBSS決勝は平均視聴率が15・2%、瞬間最高は20・5%をマークした(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。会見に臨んだ井上尚は高視聴率に「トーナメントが決勝ということもあり、注目度も高く、ボクシングをあまり知らない多くの人にも見てもらえたのかなと思うとうれしいです」と手放しで喜んだ。

右肩上がりで注目は増すばかり。パフォーマンスで鮮烈な印象を与えているが「ここまできたら最強を証明していくだけ」と充実の笑み。来年の米本格進出を楽しみにしていた。

関連するニュースを読む

井上尚弥「バンタム級で最強証明したい」一問一答

一夜明けの会見で笑顔を見せる井上尚弥(左)(撮影・狩俣裕三)

ボクシング2団体(WBAスーパー・IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が8日、横浜市の所属ジムで会見を行った。

-決勝から一夜明け

井上 眠いです。眠れないけれどアドレナリンで眠れなかったです。

-ダメージは

井上 筋肉痛、打たれて後頭部とか痛みあったり。今までにない体の痛みが、心地よい。やっと世界戦をやったというか、ボクサーになったというか、傷がうれしいというか。何か変な気持ちです。

-ドネアのパンチは

井上 効きました。持ちこたえたのは息子(明波君)の存在。効いた瞬間に息子の顔がよぎり、そこで持ちこたえた。初めてですね。家族の存在がボクシングに与える影響はでかい。

-11回は10カウントKOに近いダウンを奪った

井上 幻の10カウントですね。ダウンを取れて12回は気持ちの余裕があった。

-前夜の食事は

井上 焼き肉。体に染みたのはウーロン茶です。

-次の対戦希望選手は

井上 (WBC王者)ウバーリと(WBO王者)テテぐらい。ここまできたらバンタム級で最強を証明したい。

関連するニュースを読む