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辰吉丈一郎の次男寿以輝「当然KO」4・5に松浦戦

プロ11戦目を発表した辰吉寿以輝、右は大阪帝拳の吉井寛会長(撮影・加藤裕一)

元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(48)の次男でスーパーバンタム級の辰吉寿以輝(22=大阪帝拳)が12日、大阪市内のジムで次戦を発表した。4月5日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で松浦大地(29=ワタナベ)と56・5キロ契約の8回戦を行う。

松浦はプロ11戦6勝(2KO)3敗2分けの右オーソドックス。辰吉は10戦全勝(7KO)で最新の日本ランクで同級22位となった。「左を突いて、足を使うスタイルをもっと極めたい。当然KOで勝つつもりです」と話した。

父との関係は良好だ。最近ではロッキーのスピンオフ映画「クリード 炎の宿敵」を公開日の1月11日に2人で見に行ったという。

「嫁さんは子どもの世話してくれてるからダメなんで、僕から誘いました。まあまあ仲いいんですよ」

映画館では、意外にも父の存在が気づかれなかったようで、映画を見た後は「なんか『気持ちわかるわ~』とか、ブツブツ言うてました」と笑った。

ただし、父からのボクシングに関する“小言”には一切耳を貸さず、マイペースを貫く。日本タイトル挑戦には12位以内にいることが必要で、現在はまだ圏外。「タイトル戦はやりたいですけど、早くという気は全然ないです。ちゃんと力をつけてからやないと、イヤですから」。地道にコツコツというスタイルを守って「ボクサー辰吉寿以輝」を完成させていく。

プロ11戦目を発表した辰吉寿以輝(撮影・加藤裕一)

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日本王者の池本夢実が凱旋試合で白星 支援者に感謝

鋭いまなざしでリングへ向かう池本

ボクシング女子の日本フライ級チャンピオン池本夢実(22)の凱旋(がいせん)試合(フライ級8回戦)が10日、静岡県・川根本町本川根B&G海洋センターで行われ、池本が東洋太平洋バンタム級3位グレテル・デ・パズ(フィリピン)に3-0で判定勝ちした。練習通りの振り子の動きで相手を揺さぶりながら、右ストレートで有効打を決めて勝利をたぐり寄せた。

池本にとって初の地元マッチ。会場に集まった約700人のうち、半分弱は町内から駆けつけたという。また、インターネットで資金を集める「クラウドファンディング」を活用するなど、地元開催実現に多くの支援があった。池本は「ここでやるのは難しいと思っていたので、地域の皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」と感無量だった。

後援会「夢実隊」の会長を務める上中通寿(みちとし)さん(50)は、「昨年11月に試合が決まってから、多くの人が協力して準備してくれて、地域のパワーや団結力を感じました」と、町が一丸となったことを強調。「故郷に錦を飾って、恩返ししてくれました。これをステップに世界に飛び込んでほしいです」と、これから世界タイトルを目指す町のスターにエールを送った。【和田憲明】

◆池本夢実(いけもと・ゆめみ)1996年(平8)5月1日、静岡県川根本町生まれ。5歳から空手を始め、常葉大菊川高在学時には全国大会3位に入賞した実績を持つ。琉球大に進学後、琉球ボクシングジムに入り、2016年にプロデビューを果たした。昨年3月には日本女子フライ級のタイトルを奪取。今春、沖縄県警に就職予定。

右ストレートを放つ池本(左)
相手との間合いをうかがう池本(右)
池本の凱旋(がいせん)試合に、多くの地元ファンが声援を送った

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亀田和毅「敵討ちしたい」正規王者の試合生観戦へ

優秀選手賞に選ばれる亀田和毅(撮影・河田真司)

2018年のボクシング年間表彰式が8日、東京ドームホテルで行われ、昨年11月にWBAスーパーバンタム級暫定王座となり2階級制覇を達成した亀田和毅(27=協栄)が優秀選手賞に選ばれた。

亀田は「チャンピオンらしく、おしゃれに」と金糸でペイズリー柄が刺しゅうされたジャケットを羽織って登場。「初めてのことなのでうれしいですね」と初受賞を喜ぶと同時に「まずは1試合1試合。きっちり倒していきたい」と引き締まった表情で正規王者の座を見据えた。

まずは相手を知ることから。9日(日本時間10日)に米国カリフォルニア州インディオで行われるWBC正規王者レイ・バルガス(28=メキシコ)の初防衛戦を「目の前で見たい」と生観戦するため、9日に出発する。

10年前、アマチュア時代にメキシコで戦い、1-2の判定で敗れた因縁の相手。その時の「敵討ちをしたい」と熱い思いをたぎらせる一方「スーパーバンタムで180センチぐらいある、あの身長はでかい。リーチもスタミナもスピードもあり、素晴らしい選手」と冷静に実力を認める。今の姿をしっかり目に焼き付け、大一番に生かすつもりだ。

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アスンソンvsモラエス ブラジルで待望のリマッチ

バンタム級のランカー対決に臨むアスンソン(左から2番目)とモラエス(同3番目)。左端はアルド、右端はモイカノ

総合格闘技UFC ESPN+2大会は2日(日本時間3日)、ブラジル・フォルタレザのセントロ・デ・フォルマソン・オリンピカ・フォルタレザで開催される。メインイベントのバンタム級5分5回で激突する同級3位ハファエル・アスンソン(36)、同級4位マルロン・モラエス(30=ともにブラジル)が1日(同2日)、同地で前日計量に臨んだ。136ポンド(61・69キロ)でクリアしたアスンソンに対し、モラエスは135ポンド(61・24キロ)でパスした。

17年にモラエスに判定勝ちしているアスンソンは「ここが自分の頑張りどころ」と気合を入れ直す。バンタム級では11勝1敗。1敗は現王者T・Jディラショーに喫したもの。「ずいぶん前から王座挑戦する覚悟があると思ってきた。本当のチャンスがそのうちやってくると信じて戦うことにする」とモラエスを返り討ちすることに集中する。一方のモラエスは12年に米国を拠点としてから強さをみせはじめ、前の主戦場となるWSOF(現PFL)ではバンタム級王座を5度防衛と実績は十分。次期挑戦者候補決定戦とも言われる待望のリマッチとなる。

またセミファイナルは、元フェザー級王者で同級2位ジョゼ・アルド(32)が、同郷の後輩となる同級5位ヘナート・モイカノ(29=ともにブラジル)を同級5分3回で迎え撃つ。

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王者セフード「ガリガリになったディラショー倒す」

19年最初のUFCは「王者対決」でスタートする。19日(日本時間20日)に米ニューヨーク州ブルックリン・バークレイズセンターで開かれるUFC ESPN+1大会のメインカードにはUFCフライ級タイトルマッチ5分5回が組まれ、同級王者ヘンリー・セフード(31)がバンタム級王者T・Jディラショー(32=ともに米国)を挑戦者に迎える。18日(同19日)の前日計量では、セフードが124・4ポンド(約56・0キロ)、ディラショーは124・6ポンド(約56・2キロ)でそれぞれクリアした。

昨年8月、11回防衛を誇ったデミトリアス・ジョンソン(米国)を下し、史上初めて五輪(08年北京五輪レスリングフリースタイル55キロ級)金メダリストとしてUFC王者となったセフード。1階級下げて2階級制覇を狙う挑戦者に対し「普通なら階級アップで2階級を狙うもの。ガリガリになった弱いディラショーを倒す」と自信満々だ。初防衛戦となるセフードの挑戦状を受ける形で階級を落とし、王者対決に臨むバンタム級王者ディラショーは「派手なフィニッシュをみせる」と燃えている。

計12勝を挙げたバンタム級マッチで8回のフィニッシュ(KO、一本)勝利、パフォーマンスボーナスも8回獲得しているディラショーは同級史上最強の呼び声も高い。勝てばコナー・マクレガー(アイルランド)、ダニエル・コーミエ(米国)、アマンダ・ヌネス(ブラジル)に続き、4人目の2階級同時制覇王者となる。12週間かけて通常の減量に加え、さらに10ポンド(約4・5キロ)を落とした。初めてのフライ級での試合のため、減量苦からの回復具合も気になるところ。それでも「ノープロブレム」と自信たっぷり。

さらにディラショーは2階級だけでなく、3階級制覇を狙っていると宣言。「オレは史上初めて、ベルトを3本巻く選手になりたい。すでに2本は取ったも同然、3本目も取れることは分かっている。フェザー、バンタム、フライの各階級でベストコンディションを作ることができるからだ。(フェザー級王者)マックス・ホロウェイと戦ってほしいという声は届いている。オレもそうしたい。しかしまずはセフードだ」と強気の姿勢でオクタゴンに臨む。

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高橋竜平11回TKO負け/IBF世界Sバンタム戦

<プロボクシング:IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇18日◇米ニューヨーク

ボクシングIBF世界スーパーバンタム級10位高橋竜平(28=横浜光)が18日、米ニューヨークで同級王者T・Jドヘニー(アイルランド)に挑戦し11回TKO負けし、世界王座奪取とはならなかった。

◆IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦

ドヘニー11R
TKO
×高橋竜平

計量をクリアした高橋竜平(右)と王者TJドヘニー

【11回】 高橋のパンチに対応したドヘニーは、左右の連打で高橋を攻める。2分過ぎ、高橋はドヘニーの連打を食らいレフリーが試合を止め、敗れた。

【10回】 高橋の右がヒットするが、王者もボディ打ちで反撃する。終了間際にドヘニーのパンチがあたる。

【9回】 ドヘニーは的を絞らせないように体を左右に振ったり前後に移動、たまにカウンターやアッパーで高橋のパンチに対応する。1分40秒過ぎ、ドヘニーの左ストレート、ボディと打ち分けたパンチがヒットする

【8回】 高橋は右の構えを左に変えたりしながら、前に詰めてパンチを繰り出すが空を切る。対しドヘニーは的確にボディやテンプルへのパンチをヒットさせる。

【7回】 高橋は前進して距離を縮めてパンチを繰り出す。終了間際にドヘニーのボディがヒットするがラウンド終了

【6回】 開始早々、高橋の右ストレートが顔面にヒット。1分30秒ころドヘニーの左ストレートがクリーンヒット。その後はともに決定打なく6回終了

【5回】 中盤を迎え、高橋は前に出てパンチを繰り出す。そこにドヘニーはボディやアッパーで迎撃する展開が続く。2分30秒過ぎ、高橋の右ストレートがヒットする

【4回】 両者、出血は止まった模様。高橋がパンチを繰り出すと、ドヘニーがカウンターから連打を繰り出す展開。高橋は右のジャブから左を出し、いくどかヒットする

【3回】 高橋は手数を増やして試合を作る。しかしドへニーもステップかわす。2分すぎドヘニーの左の連打で高橋がダウン。攻撃を緩めないドへニーに対し、高橋はクリンチで逃れる。

【2回】 高橋は左ジャブで試合を作ろうとするが、ドヘニーのボディが入る。1分すぎ、両者の顔どうしが当たるバッティングで高橋の眉間から出血。ドヘニーも眉間から出血した。

【1回】 ドヘニーは右ジャブで間合いを詰め左ストレートをボディに。高橋は右ジャブから左ストレートを狙うもヒットせず。ドヘニーの左が高橋の顔面にヒットしていく

【試合前】 笑顔でリングイン。

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伊藤礼がバンタム級Vで悲願へ前進 高校ボクシング

選抜予選の部バンタム級決勝 左をヒットさせる新潟南・伊藤(左)

<県高校ボクシング新人戦>◇14日◇最終日◇新潟南高ボクシング場

男子バンタム級で伊藤礼(らい、新潟南2年)が優勝した。高桑勝翔(巻総合2年)に5-0で判定勝ちした。

昨年の福井国体を経験しているホープが目標の全国制覇に向け、1歩前進した。同女子フライ級は水落優宝(ゆほ、北越2年)が優勝。選抜予選の部の優勝者は全国高校選抜大会(3月25~28日、群馬・ALSOKぐんま総合スポーツセンター)への出場をかけた北信越予選(2月1~3日、福井・羽水高体育館)に進出する。

伊藤の繰り出すパンチが的確にヒットした。「足を使って距離を取り、長いパンチで組み立てる。それができた」。リードブローで相手の接近を止め、間合いが詰まれば連打。フットワークを生かし有利な位置に立つ。高桑とは初対戦だったが落ち着いて得意のアウトボクシングを展開。5人のジャッジのうち4人が伊藤に満点の30点をつけた。

今年は飛躍の年だ。昨秋は福井国体に出場。初の全国舞台を踏んだ。ただ初戦2回戦で昨夏の全国高校総体3位の橋本仰未(岐阜工2年)に判定負け。広い会場で多数の観客に囲まれ雰囲気にのまれもしたが、何より「相手が強かった」。トップレベルの実力を見せつけられた。

敗戦から成長材料を見つけた。「相手は体をつけてからがうまかった」と接触してからの連打や離れ際の技術の高さを感じた。パンチのバリエーションにボディーブローを加えた。「自分はボディー打ちが弱い」。課題克服のため練習を続け「どちらも出せたと思う」。県制覇に成果を感じ取った。

五泉中では野球部に所属。ボクシングは「もともと興味があった」。WBA世界バンタム級王者・井上尚弥や元WBAスーパーフェザー級王者・内山高志の動画をよく見た。高校受験時は県内有数の進学校・新潟南に「ボクシング部があるから」と進学先を決め猛勉強。文武両道を貫く上で欲しいのは全国での結果だ。「北信越を突破して全国選抜で優勝したい」。目標に1歩近づき、意欲はさらに増した。【斎藤慎一郎】

◆伊藤礼(いとう・らい)2001年(平13)7月21日生まれ、五泉市出身。五泉南小4年から野球を始め、五泉中では捕手。新潟南では昨年の県高校新人戦1年の部ライト級で優勝。172センチ、普段は60キロ。

選抜予選の部バンタム級決勝 新潟南・伊藤(左)は試合後、判定勝ちのコールを受けてホッとした表情

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練習積む井上兄弟はスタミナが切れない/川島郭志

WBC世界バンタム級暫定王座決定戦 7回、サラパットにパンチを見舞う井上拓(撮影・たえ見朱実)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦>◇30日◇東京・大田区総合体育館

WBC世界バンタム級5位の井上拓真(23=大橋)が3-0の判定で同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)を下し、暫定王座を獲得した。序盤に攻め、2回の偶然のバッティングでペースを崩されながらも、相手パンチを外し、確実にカウンターを打ち込んだ。現WBA世界同級王者の兄尚弥(25)に続き、同じ階級で念願の緑ベルトをつかんだ。亀田兄弟に続いて国内2例目となる兄弟世界王者が誕生した。

  ◇  ◇  ◇

井上拓真は、想像以上にやりにくい相手に対し、テクニックで勝ち切った。サウスポーにあれだけプレッシャーをかけられると体力を消耗するが、中盤から左回りに足を使うように切り替えて、うまく戦った。初回に強引に攻めに出たのは悪いことではない。相手は効いていたし、そこで倒しにいくのがボクサー。中盤からは打ち終わりのカウンターを効果的に使い、試合の指導権を渡さなかった。

井上兄弟はしっかりと練習をしているから、スタミナが最後まで切れないのも武器。心技体が高いレベルにあるから、悪い局面になっても立て直せる。兄の尚弥と比較される立場だが、強引にパワーで倒しにいく必要はない。今日のようなタイミングを生かした戦いでも、十分にKOできると思う。左ジャブを使ったり、急に右構えに変えた相手との戦い方など、今後は対応力も身につけながら、防衛を重ねていって欲しい。

伊藤は米国での勝利の自信が戦い方から伝わってきた。パンチもシャープで連打でも乱れないし、上下の打ち分けもうまい。選手層の厚い階級だが、被弾の少ない選手だし、長期政権も期待できる。(元WBC世界スーパーフライ級王者)

WBC世界バンタム級暫定王座決定戦 井上拓真に指示を出す兄尚弥(撮影・たえ見朱実)

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父真吾氏、19歳で夜遊び卒業「自分より家族」で悲願

勝利した井上拓(左から2人目)は兄尚弥(左)、父真吾トレーナー(右)ら家族と記念撮影(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦>◇30日◇東京・大田区総合体育館

WBC世界バンタム級5位の井上拓真(23=大橋)が3-0の判定で同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)を下し、暫定王座を獲得した。現WBA世界同級王者の兄尚弥(25)に続き、同じ階級で念願の緑ベルトをつかんだ。亀田兄弟に続いて国内2例目となる兄弟世界王者が誕生した。

息子2人を兄弟王者に育てた父真吾氏は「ほっとしました。実は泣きそうでした」と笑みを浮かべた。自らは小学校低学年で両親が離婚し、母子家庭に育った。中学卒業後に塗装業の世界に入った。10代は夜遊びに明け暮れ、悪友も多かったが、19歳で美穂夫人と結婚する前に「自分は家族が宝物。覚悟を決めたかった」と携帯電話の番号を変え、悪友との関係を断絶。20歳で師匠から独立、明成塗装を設立し「大卒のヤツに負けたくない」と不眠のまま働くことも当たり前だった。

24歳の時、中学時代の友人に誘われ、ボクシングジムに通い始めた。アマで2戦2勝。多忙な仕事のためプロにはなれなかったが、ジムワーク不足を補うために休日は自宅に設置した器具などで練習に励んだ。休日のある日、シャドーボクシングをしている時、長男尚弥から「ボクシングをしたい」と言われ、拓真と3人で一緒にトレーニングを始め、ボクシングが3人共通のツールになった。「まず自分がやってみる」と尚弥の高校時代までスパーリングの相手も務めた。

競技に打ち込む子供たちの姿に「自分は職人で、退職金もない。環境を整えなければ」と34歳からアパートとマンションの経営も始め、現在は数棟を持つオーナーだ。39歳の時には練習環境の確保の意味も込め、秦野市にアマチュアジムを設立。尚弥がプロ転向するまでジム運営も続けた。「(妻と)一緒に(会社の)ビラ配りをしたり、練習を見てもらったり。1人ではここまでできなかった」と妻や長女晴香さんのサポートにも感謝した。

リング外の指導も徹底した。幼少時代には仕事現場に連れて行き、プロ転向前の尚弥には倉庫仕分けのアルバイトも経験させた。拓真には今も月数万円の家賃を徴収し「お金を稼ぐことは簡単ではない」と徹底させている。和尚の尚を入れ「まっすぐ育ってほしい」と命名した尚弥、そして「たくましく育って欲しい」と名付けた拓真。由来通りの道で世界王者にたどり着いた。20歳の時に「自分のことはどうでもいい。家族のため」と覚悟を決めた願いは、27年後に兄弟王者を誕生させた。「まだ暫定王座。バンザイで喜べない。正規王者になって喜びたい」と気を引き締めつつ「今夜は家でチビチビ飲みます」とも。真吾氏が支える息子2人の物語は19年も続いていく。【藤中栄二】

◆井上真吾(いのうえ・しんご)1971年(昭46)8月24日、神奈川・座間市生まれ。中学卒業後、塗装業の仕事に就いて修業。20歳で明成塗装を起業。ボクシングはアマで戦績2戦2勝。39歳でアマチュアの井上ジムを設立したが、長男尚弥の大橋ジム入門に合わせ、大橋ジムのトレーナーに就任。家族は美穂夫人と1女2男。

暫定王者に輝いた井上拓を抱き寄せる父でトレーナーの真吾さん(撮影・たえ見朱実)

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井上拓真、負傷めげず2年の回り道乗り越え兄弟王者

9回、サラパット(左)に右フックを放つ井上拓(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦>◇30日◇東京・大田区総合体育館

モンスターの弟が世界王座をつかんだ。WBC世界バンタム級5位の井上拓真(23=大橋)が3-0の判定で同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)を下し、暫定王座を獲得した。序盤に攻め、2回の偶然のバッティングでペースを崩されながらも、相手パンチを外し、確実にカウンターを打ち込んだ。現WBA世界同級王者の兄尚弥(25)に続き、同じ階級で念願の緑ベルトをつかんだ。亀田兄弟に続いて国内2例目となる兄弟世界王者が誕生した。

新品のWBCベルトを手にした井上拓は少し顔をほころばせた。「率直な気持ちは、最高です」。試合直前に「人生かけて臨めよ」と猛ゲキを飛ばした兄尚弥もWBAベルトを持参。リングで2人並び「小さい頃から一緒にやってきたので同じ舞台に立てるのは素直にうれしい」とほっとした表情を浮かべた。

勝利に徹した。序盤にワンツーをヒットさせ、相手をぐらつかせた。10月に70秒KO劇でインパクトを残した兄を「意識して攻めた」。ところが2回に偶然のバッティングで鼻を負傷。痛みでペースが乱れると兄から「空回りしている。切り替えよう」と助言を受けた。5回以降、前に出るサラパットのパンチを見切って空を切らせ、返しのパンチを合わせてジャッジの支持を得た。「すごく良い経験。ナオ(尚弥)以上のインパクトを残すのは大変ですが、少しでも近づくように」と決意を新たにした。

2年前の16年11月、WBO王座挑戦の発表会見に臨んだ後の夜練習で右手を負傷。手の甲と手首をつなぐ関節の脱臼を治す手術を受け、世界戦は中止に。スマホには右拳のエックス線写真が残る。「すごくヘコみましたが、この2年はすごくいい経験だった」。昨年は4度の世界挑戦を経験した久高、元日本王者の益田、今年9月には当時の東洋太平洋王者ヤップも下し、世界切符をつかんだ。大橋会長が「ジム内で一番厳しいマッチメーク」と振り返る険しい道を乗り越えた。

4歳の時、兄尚弥を追い、父真吾氏から指導を受けた。メニューは2歳年上の兄と同じで「ついていくので精いっぱい」。中学卒業後、プロ転向を直訴したが、家族の反対にあい、諦めた。一時は16年リオデジャネイロ・オリンピックを目指したが「先に感じたから」と迷わずプロへ。過去にけんかもしたが「途中でナオが競技を辞めていたら自分も続けていたかどうか。兄は優しくて友達みたい」と感謝した。

お祝いとして大橋会長、父、兄の3人が資金を出した約400万円のロレックス製時計がプレゼントされる。来年1月19日に米国で同級1位ウバリ(フランス)と同級3位ウォーレン(米国)の正規王座決定戦が控え、同会長は「次は正規王者との統一戦」と明言。モンスターが愛称の兄に続き、ついに井上拓も世界にインパクトを与えるスタートラインに立った。【藤中栄二】

◆兄弟世界王者メモ アッテル兄弟(米国)は兄エイブが1901年にフェザー級、弟モンテが1909年にバンタム級で世界王座を獲得したのが史上初。92年9月、ブレダル兄弟は兄ジミーがWBO世界スーパーウエルター級、弟ジョニーもWBO世界スーパーフライ級の王座を奪取し、兄弟同時制覇を達成。日本では亀田兄弟が3兄弟世界王者、3兄弟世界同時王者、3兄弟複数階級制覇。クリチコ兄弟(ウクライナ)はヘビー級で兄ビタリがWBC、弟ウラジミールがWBA、WBO、IBF王座に君臨し、同一階級で世界主要4団体を独占した。

6回、サラパット(右)に左パンチを放つ井上拓。左はセコンドで見守る兄尚弥(撮影・小沢裕)

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「人生かけていけ」尚弥が描いたバンタム支配プラン

サラパットに勝利した井上拓(中央)は兄尚弥(中央左)、父真吾トレーナー(同右)と記念撮影(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦>◇30日◇東京・大田区総合体育館

WBC世界バンタム級5位の井上拓真(23=大橋)が、同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)に3-0判定で勝利した一戦を、「怪物」WBA同級王者の兄尚弥(25=大橋)はリング下から見守った。

「人生をかけていけよ」。弟がリングインする直前、耳元でハッパを掛けた。幼少期から2人で切磋琢磨(せっさたくま)してきた。兄弟で世界王者になることは悲願だった。目の前の夢に向かって、兄もしっかり戦っていた。

「普段のスタイルに戻した方が良い」。倒しにいった序盤からの流れが止まったと見るや、インターバルの間にアドバイスした。足を使う本来の動きが戻ると、サラパットの猪突(ちょとつ)猛進をいなしながら、的確にパンチを当てる「普段」の動きがよみがえった。誰よりも弟の長所を知るからこそ、世界戦でも通用すると確信していた。

「兄弟で比べられますが、自分はこう、拓真はあのスタイル。あのスタイルで倒せるきっかけを作ればいい」。ボクシングの米専門誌「ザ・リング」の「年間間最高KO」に選ばれた10月のWBA世界バンタム級タイトル戦。兄の衝撃の初回70秒KO勝利の印象があまりに衝撃的すぎるため、その影響は弟を見る目にも及ばざるを得ない。ただ、兄弟でも持ち味は違って当たり前。最も身近にいるからこそ、分かることがある。

逆に聞かれた。「弟に勝てないところは?」。答えは「ない!」。笑顔だった。そして続けた。「ないように練習しているんで」。すがすがしい兄弟のライバル関係に、偉業を続ける兄の自負。年が明ければ、自身はWBSSバンタム級トーナメントの準決勝が控える。2勝して優勝まで駆け上がれば、IBF、WBOのベルトも手に入る。「拓真が決定戦に勝って、あと自分が2勝すれば、バンタムをがさっと、ですね」。井上家による4団体のベルト総取りも現実的な目標になってきた。

WBC世界バンタム級暫定王座決定戦 井上拓真に指示を出す兄尚弥(撮影・たえ見朱実)
WBC世界バンタム級暫定王座決定戦 7回、サラパットにパンチを見舞う井上拓(撮影・たえ見朱実)

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拳四朗V5、拓真は判定勝ち、伊藤V1/世界戦詳細

WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(26=BMB)は同級7位サウル・フアレス(28=メキシコ)を判定で下し5度目の防衛。

WBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)の弟でWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)は判定勝ちで亀田3兄弟以来となる国内2例目の兄弟王者となった。

国内で初の世界戦メインを務めるWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪(27=伴流)は同級1位エフゲニー・チュプラコフ(28=ロシア)を7回TKOで下し2度目の防衛に成功した。

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦


王者拳四朗(26=BMB)判定(3ー0)サウル・フアレス(28=メキシコ)

終始試合を支配した拳四朗が危なげなく判定勝ちした。序盤から距離を保って闘い、2回にはパンチが顔面を捉える頻度が増えた。中盤からは上下に打ち分けてダメージを与えた。フアレスをコーナーに追い詰める場面もあったが、ダウンを奪うには至らなかった。フアレスは前に出る迫力に乏しく、有効打も少なかった。

「すごくフアレス選手が頭を動かして。相手に合わせすぎたこところあって反省点。素直に喜べないけれど。来年につなげられたらと思います。(この1年で)やっぱ距離的は成長したかなと。また距離が分からなくなって相手に付き合いすぎた。また反省して、強くなるので」

4回、フアレスにパンチを見舞う拳四朗(撮影・たえ見朱実)

8回、サウル・フアレス(左)に右パンチを放つ拳四朗(撮影・小沢裕)

フアレスに判定勝ちしダブルピースする拳四朗(撮影・鈴木みどり)

WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦


井上拓真(23=大橋)判定(3ー0)タサーナ・サラパット(25=タイ)

井上拓は賢く闘い、逃げ切った。1、2回は攻勢を仕掛けてポイントを取った。3回からはフットワークを使って後退しながら有効打を稼いだ。タサーナの出はなや打ち終わりに、左フックや右を的確に合わせた。4回には右のカウンターでぐらつかせた。タサーナは前進を繰り返したが、最後まで間合いをつかめず、打撃の威力、的中率とも欠いた。

「最高です。みなさんの声援のおかげで最後まで踏ん張ることができました。1回でインパクトある試合を狙いすぎてズルズルいってしまった。こんな内容じゃナオ(兄尚弥)に並んだとは言えない。これから並べるように精進していきたいです。まだまだ暫定。正規のチャンピオンじゃないので喜んでいられない」

2回、サラパットにパンチを見舞う井上拓(撮影・たえ見朱実)

6回、サラパット(右)に左パンチを放つ井上拓。左はセコンドで見守る兄尚弥(撮影・小沢裕)

サラパットに勝利した井上拓(右)は兄尚弥と記念撮影(撮影・鈴木みどり)

WBO世界スーパーフェザータイトルマッチ12回戦


王者伊藤雅雪(27=伴流)TKOエフゲニー・チュプラコフ(28=ロシア)

伊藤が冷静な試合運びを披露した。立ち上がりは頭を下げて密着する相手にてこずったが、中盤以降は的確なジャブとフットワークを生かしたワンツーから主導権を握る。5回からは出足の鈍った相手をロープ際に追い詰めて有効打を当て、7回の連打で一気に畳み掛けて仕留めた。チュプラコフは粘り強く食い下がったが、手数が少なかった。

「僕には一撃必殺のパンチもないですし、井上尚弥君みたいなスペシャルな選手にもまだまだなれないですけど、ハートがある。そういう気持ちをどんどん見せていって、僕にしかなれないチャンピオンになっていきたい。来年はもっと大きな試合をして、強い相手とどんどん戦っていきたい」

1回、チュプラコフにパンチを見舞う伊藤(撮影・たえ見朱実)

7回、チュプラコフ(右)をコーナーに追い詰めTKO勝ちを収めた伊藤(撮影・小沢裕)

エフゲニー・チュプラコフに勝利し、初防衛を果たした伊藤(撮影・たえ見朱実)

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井上拓真が判定で暫定王者「まだ兄に並んでいない」

井上拓(中央)は判定勝ちし父真吾氏(中央左)から祝福を受ける(撮影・小沢裕)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級暫定王座決定戦12回戦>◇30日◇東京・大田区総合体育館

WBC世界バンタム級5位の井上拓真(23=大橋)が、同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)に3-0判定で勝った。

試合後「最高です。みなさんの声援のおかげで最後まで踏ん張ることができました」と喜んだ。初の世界戦、1回から積極的に前に出て打ち合った。「1回でインパクトある試合を狙いすぎてズルズルいってしまった」。序盤の勢いが最後まで続かなかったが、ポイントは相手を上回り続けた。

井上拓にとって、悲願の世界タイトルだった。2年前の16年11月、1度は世界初挑戦の発表会見が開かれた。WBO世界バンタム級王者マーロン・タパレス(フィリピン)への挑戦。会見当日夜に早速、タパレスと同じサウスポーの練習パートナーとスパーリングに臨んだ際、右拳に激痛が走った。手の甲と手首をつなぐ関節を脱臼し、その後に手術を受けた。世界戦中止という憂き目を見た。

「悔しい思いもあり、すごくへこみました。ただ今思えば、この2年間はすごくいい経験をした」

復帰戦は17年8月。世界挑戦経験があり、その後に日本スーパーフライ級王者に就いた久高寛之(仲里)に10回判定勝ちを収めて再起を飾ると、同12月には元日本バンタム級王者益田健太郎(新日本木村)に10回判定勝ち。今年9月には東洋太平洋王者だったマーク・ジョン・ヤップ(六島)とのWBC指名挑戦者決定戦も制した。「ベテラン選手と対戦して結果を出した。2年前よりも(世界王座を)取れる自信がある」。井上拓が右拳を痛める直前までスパーリング相手を務めていた元IBF世界スーパーバンタム級王者岩佐は11月に2年ぶりに再び練習パートナーを務め「前よりパワーアップしている。特に体幹が強くなっている」と成長ぶりに目を見張ったほど。自他ともに納得した調整、減量で準備を整え、初世界挑戦に臨んでいた。

3階級制覇王者で現WBA世界バンタム級王者の兄尚弥(25)の背中を常に追ってきた。「ボクシングを始めてから意識している存在。ずっと追いかけている感じ」。2歳違いの兄弟。比較されることも多かったが「それはしようがない。多分、ナオ(尚弥)がいなかったらボクシングをやっていないし。途中でナオが辞めていたら、自分も続けていたかどうか…」と大きな刺激を受けてきた。先陣を切って走り続ける兄は優しく「友達のようです」と明かす。嫉妬は1度も感じたことがないという。「とにかく追いつきたい気持ちが一番です」。優しく見守ってくれる兄に続く世界王座獲得に集中していた。

兄と同様に世界王者に育てるために指導を続けてくれた父真吾氏への恩返しもしたかった。「父もナオだけでなく、自分も王者にすると言ってくれていた。小さい頃からみんなでやってきた目標。しっかり結果を出したいと思っていると思う」。母美穂さんからは食事と体調の管理、姉晴香さんは予備検診、記者会見、計量などを撮影するカメラマンとしてサポートしてくれた。「家族の夢をかなえたい」。亀田3兄弟以来となる国内2例目の兄弟世界王者への気持ちを強くしながら、年末の大舞台に立っていた。

「こんな内容じゃナオに並んだとは言えない。これから並べるように精進していきたいです。まだまだ暫定。正規のチャンピオンじゃないので喜んでいられない」と井上は次をにらんだ。

サラパットに勝利した井上拓(左から2人目)は兄尚弥(左)、父真吾トレーナー(右)ら家族と記念撮影(撮影・鈴木みどり)

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井上拓真に援軍 大橋会長の戦友「韓国の鷹」

大橋会長(左)が現役時代に2度挑戦したWBC世界ライトフライ級王者張正九氏が井上拓の応援のため来日

30日に世界初挑戦(東京・大田区総合体育館)を控えるWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)に、強力な「援軍」がサポートする。

井上拓の師匠となる所属ジムの大橋秀行会長(53)が現役時代に2度挑戦した元WBC世界ライトフライ級王者張正九氏(55=韓国)が29日に来日。試合会場に足を運び、戦友の弟子が同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)とWBC世界バンタム級暫定王座決定戦で拳を交える姿を見届けるという。張氏の現役時代の愛称は「韓国の鷹」だった。大橋会長は現役引退後も張氏との交流を続けている。

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井上拓真、母セレクト甘いはちみつで兄弟世界王者に

計量を1回でクリアした2位タサーナ・サラパット(左)とWBC世界バンタム級5位井上拓(撮影・たえ見朱実)

ボクシングWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が29日、世界初挑戦に向けた前日計量をパスした。

兄弟世界王者を目指す井上拓は、母美穂さんセレクトのマヌカハニー摂取で万全の体調を整えた。ニュージーランド原産で、先住民マオリも薬として用いたとされる女性に人気のはちみつ。殺菌効果があり、風邪予防や体調管理に役立った。甘味で舌鼓を打ちながら減量も進められ、計量はリミットでパス。「調整、減量とすべて順調にいきました」と母のサポートに感謝しながら「目の前にWBCのベルトがあって今まで以上にワクワクします」と決意を新たにしていた。

計量を1回でクリアしたWBC世界バンタム級5位井上拓(撮影・たえ見朱実)

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尚弥と同じ回復法、井上拓真にもスッポンパワー注入

計量を1回でクリアしたWBC世界バンタム級5位井上拓(撮影・たえ見朱実)

ボクシングWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が、世界初挑戦に向けた前日計量をパスした。

30日の同級暫定王座決定戦(東京・大田区総合体育館)に備え、29日に都内で開かれた前日計量に臨み、対戦相手の同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ、リングネームはペッチ・CPフレッシュマート)とともにリミットの53・5キロでクリア。計量時のボクサーパンツはグリーンを着用。井上拓は「WBC(ベルト)の緑ですね」とのこだわりを明かした。

計量後、大橋秀行会長(53)が慶長年間に創業した老舗店から取り寄せた肉入りスッポンスープに卵黄を混ぜて口にした。

兄の3階級制覇王者井上尚弥(25=大橋)と同じルーティンで減量で疲労した肉体を回復させ「おいしかったです」と満足そうな笑みを浮かべた。井上拓は「(世界戦が)めちゃくちゃ楽しみです。やっぱり目の前に(WBC)ベルトがあるので。今まで以上にワクワクしますね。ここまですべて順調にきましたから」と気持ちの高ぶりをみせた。

2年前の16年11月、世界戦発表会見が開かれた夜の練習で右拳を負傷。右拳の手術を受け、世界戦は中止となった。その後、日本王者クラスのベテランとの試合も経て、WBC指名挑戦者決定戦も制してつかんだ世界挑戦のチャンス。兄に続く世界王座奪取へ、井上拓は「勝ちに徹することをしっかり頭にいれていきたい」と気持ちを引き締めた。昼食には雑炊、うどんを口にし、夕食には焼き肉店に足を運び、パワーを回復させる予定だという。

計量を1回でクリアした2位タサーナ・サラパットとWBC世界バンタム級5位井上拓(撮影・たえ見朱実)

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井上拓真「牛若丸」戦法 相手の長いリーチかわす

ファイティングポーズをする井上拓(左)とサラパット(撮影・横山健太)

ボクシングのWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が「牛若丸」戦法で世界王座をつかむ。明日30日のトリプル世界戦(東京・大田区総合体育館)の記者会見が28日、都内のホテルで開かれ、同級暫定王座決定戦で拳を交える同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)らと出席。背が高く、なぎなたのような長いリーチを持つ弁慶=サラパットの攻撃をかわし、牛若丸=井上拓が華麗に強烈パンチを打ち込み、とどめを刺す腹づもりだ。

目の前に輝く新品のWBCベルトを見つめながら、井上拓は胸の高鳴りを実感した。暫定王座決定戦を制すれば手に入る念願の世界王座。「目の前にWBCのベルトがあるので気持ちが高ぶっていて。2日後の試合が楽しみです」。緊張感が漂う厳しい表情に、少しだけ笑みが浮かんだ。

「気持ちはいつもと変わらずに」と自信を持って言えるだけの対策は練ってきた。身長で4・7センチ高いサラパットは上体を起こし、長いリーチを生かしてワンツーを放ってくるスタイル。リーチは11・4センチも長い。父真吾トレーナーは「パンチが伸びてきそう」と警戒しつつ「距離を見切れば。フットワーク、スピード、ステップは拓真が上」と分析。背が高く、なぎなた並みの長いリーチから出る相手の両拳をヒラリとかわし、牛若丸のごとく前後左右に動き回って強烈なパンチを打つ-。五条大橋の戦いを再現するつもりだ。

会見に同席した大橋会長には「おそらく1回から拓真が飛ばしていく。相手は無敗で手数が多く、スタミナがあって好戦的。いい試合になる中で(兄のWBA世界同級王者井上)尚弥以上のインパクトある試合で王者になってくれると思う」と“刺激的”なエールを送られた。直後に同会長から「プレッシャーをかけ過ぎた」と謝られた井上拓だが「ナオ(兄尚弥)以上のインパクトを残したいというのもありますけど、勝ちに徹し、インパクトを残せたらいい」と臆することなく言い切った。

3階級制覇王者の兄に続き、世界王座を獲得すれば国内では亀田兄弟以来、日本2例目の兄弟王者となる。「大一番に勝つことが大事。兄の尚弥だけでなく、弟の拓真もいるんだということを全国に見せつけたい」と井上拓。「牛若丸」のような華麗さで、インパクト十分な王座奪取劇を演出する。【藤中栄二】

試合への意気込みを語る井上拓(撮影・横山健太)

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井上拓真に大橋会長は兄尚弥以上のインパクト期待

ファイティングポーズをする井上拓真(左)とペッチ・CPフレッシュマート(撮影・横山健太)

ボクシングWBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が、兄弟世界王者誕生を願う師匠の大橋秀行会長(53)から“刺激的”なエールを送られた。

30日の同級暫定王座決定戦(東京・大田区総合体育館)に備え、28日には対戦相手の同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ、リングネームはペッチ・CPフレッシュマート)ら同日、同会場でトリプル世界戦に臨む選手との記者会見に出席。「気持ちはいつもと変わらず、試合に向けてやってきました」と自信をのぞかせつつ、目の前に置かれた緑のWBCベルトを見つめ「目の前にWBCのベルトがあるので気持ちが高ぶっていて、2日後の試合が楽しみです」と決意を口にした。

井上拓とともに会見に同席した大橋会長からは「おそらく1ラウンドから拓真が飛ばしていくと思う。ペッチ選手も無敗で手数多く、スタミナあって好戦的。いい試合になる中で(兄のWBA世界バンタム級王者井上)尚弥以上のインパクトある試合でチャンピオンになってくれると思います」と期待を寄せられた。直後に同会長から「プレッシャーをかけ過ぎた」と謝られた井上拓だが「やっぱりナオ(兄尚弥)以上のインパクトを残したいというのもありますけど、まず勝ちに徹して、インパクトを残せたらいいと思います」と、自らのペースを崩すことはなかった。

2年前の16年11月、世界戦発表会見が開かれた夜の練習で右拳を負傷。右拳の手術を受け、世界戦は中止となった。井上拓は「ケガして2年という長い月日がありましたけれど、ベテラン選手と対戦して経験値も上がったと思う。やっぱり、この大一番に勝つことが大事だと思う。家族の夢をかなえたいと思います」と自信に満ちた表情。3階級制覇王者の兄に続く世界王座奪取に向け「兄の尚弥だけでなく、弟の拓真もいるんだということを全国のみなさんにみせつけていきたいです」と力強く宣言していた。

フアンカルロス・パヤノからダウンを奪いガッツポーズする井上尚弥(2018年10月7日撮影)

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井上拓真「兄超え」の肉体 予備検診で判明

予備検診を受ける井上(左)。後ろはサラパット(撮影・林敏行)

WBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が「兄超え」の肉体を証明した。

30日の同級暫定王座決定戦(東京・大田区総合体育館)に備え、27日には対戦する同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)と予備検診に臨んだ。体格面では身長、リーチともに上のWBA世界同級王者の兄尚弥(25)の最新データに比べ、首回りが1・5センチ、胸囲も0・5センチ太かった。兄弟のミット打ちを担当する太田トレーナーも「兄弟で遜色ない」というパンチ力を裏付ける数値だ。サラパットと初対面した井上拓は「一層、試合の高ぶりがある」と気持ちを引き締めた。

予備検診を終え、ファイティングポーズを見せる井上(左)。右はサラパット(撮影・林敏行)

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井上拓真、リーチ11・4センチ差も「問題ない」

硬い表情を崩さず会見する井上拓(撮影・林敏行)

30日の世界初挑戦(東京・大田区総合体育館)に備え、WBC世界バンタム級5位井上拓真(23=大橋)が27日、都内のホテルで予備検診に臨んだ。同級暫定王座決定戦で拳を交える同級2位タサーナ・サラパット(25=タイ)とともに検診を受け、ともに異常はなかった。対戦相手と初対面した井上拓は「より一層、試合への高ぶりがある。コンディションを整えていきたい」と決意を新たにした。

身長、リーチの計測ではサラパットの168・7センチ、174・4センチに対し、井上拓は164センチ、162・6センチ。身長差は4・7センチと大きくなく「そこまで(差が)なかったですね」と安堵(あんど)の笑み。逆にリーチ差は11・4センチもあったが「これまでもリーチの長い選手と対戦しているし問題ない」と口調を強めた。父真吾トレーナーも「(井上拓の)スピードと出入りで問題ない。想定内です」と付け加えた。

大橋秀行会長も「(サラパットと)会った時から手が長いと思っていた。数字に出た通り。ただしリーチのある練習パートナーとスパーリングしてきた。まったく問題ない」と自信を示していた。

予備検診を終え、ファイティングポーズを見せる井上拓(左)。右はサラパット(撮影・林敏行)
予備検診を受ける井上拓(左)。中央はサラパット(撮影・林敏行)

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