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井上尚弥がパヤノ3発70秒KO/寺地拳四朗の一撃

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズバンダム級トーナメント WBAバンタム級タイトルマッチ 1回戦・井上尚弥対フアンカルロス・パヤノ(手前) 1回、フアンカルロス・パヤノを攻めダウンを奪い、そのままKO勝ちする井上尚弥(2018年10月7日撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~6>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。

WBC世界ライトフライ級王座を7連続防衛中の寺地拳四朗(28=BMB)の「一撃」は、モンスターの右ストレートだ。WBA、IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦で、元同級スーパー王者フアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を70秒で沈めた一撃。具志堅用高氏の日本記録、連続13回防衛更新を目指す現役王者の視点で「倒す」難しさを語った。(取材・構成=実藤健一)

▼試合VTR 18年10月7日、横浜アリーナでWBSS1回戦が行われ、井上がパヤノと激突した。開始40秒すぎに繰り出した右アッパーが距離を縮めてきた相手のあごをかすめると、50秒経過直後に左ジャブでパヤノの視界を奪い、即座に放った右ストレートでフィニッシュ。繰り出したパンチはわずか3発。1分10秒のKO勝ちは、日本選手世界戦最速KOタイムを更新した。

◇ ◇ ◇

衝撃というより、あれ!? いつの間にという印象しか残っていない。一瞬やった。知らん間に終わってしまったという感じ。それが逆にすごい。

井上選手はプレッシャーのかけ方がすごくうまい。自分はスタイルが違うし、戦い方も違うけど、ボクサーとしては早く終わらせるにこしたことはない。テレビ局は大変ですけど。

あらためて思ったのは狙って倒すのは難しいな、と。あの試合の井上選手も狙って打ったというより、流れの中で繰り出したパンチだと思う。自分の経験を振り返っても、たまたまのパンチで倒したというケースは少なくない。

ただ、その「たまたま」は、それまでの練習の積み重ねから生まれるもの。練習で死にものぐるいにやっていないと、体に染みこんでいかない。やればその分、試合で発揮できる。

「知らん間に終わった」井上選手のあの試合は、その典型のように思う。

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう) 1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。奈良朱雀高から関大に進み国体優勝。14年8月プロデビュー。17年5月にWBC世界ライトフライ級王座を獲得し、7連続防衛中。拳四朗は漫画「北斗の拳」の主人公に由来しリングネームにしてきたが前回防衛戦から本名。戦績は17勝(10KO)無敗。父で会長の永氏は元日本ミドル級、東洋太平洋ライトヘビー級王者。身長164・5センチの右ボクサーファイター。

寺地拳四朗

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井上尚弥が日刊バトル大賞2年連続MVP「嬉しい」

日刊バトル大賞2年連続3度目のMVPとなった井上尚弥

読者が選ぶ第24回日刊バトル大賞(対象は19年1月15日~20年1月14日)のボクシング部門は、WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が2年連続3度目のMVPとなった。

井上が、2年連続でMVPを受賞した。バンタム級最強を決める、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝では、元世界5階級制覇王者ノニト・ドネアと、全米ボクシング記者協会の年間最高試合に選ばれる激闘の末、勝利をつかみ、世界にその名をアピールした。飛躍を続ける「怪物」は「ファンの人に評価していただいたのは素直にうれしい。これからも、自分が目指すボクシングを追求して、上にいきたい」と力を込めた。

20年の初戦は、4月25日(日本時間26日)に、米ラスベガスでWBOバンタム級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)と、日本人初の3団体統一戦で激突する。世界が注目する才能が、目標に掲げる4団体統一に向け、一気に突っ走る。

年間最優秀選手
年間最高試合

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井上尚弥らボクシング最優秀選手賞候補 2・7発表

アリトロフィーを掲げる井上尚弥(2019年11月7日撮影

日本ボクシングコミッションと東京運動記者クラブのボクシング分科会が12日、都内で19年の年間表彰ノミネート選考会を開いた。

最優秀選手賞候補はワールド・ボクシング・スーパーシリーズを制した井上尚弥(大橋)、日本人初の4階級制覇の井岡一翔(Reason大貴)、ミドル級王座奪回の村田諒太(帝拳)、唯一世界戦3勝の田中恒成(畑中)の4人。受賞者は2月7日に都内のホテルで発表、表彰される。他の各賞候補は次の通り。

◆技能賞 井岡、寺地拳四朗(BMB)、田中

◆殊勲賞 岩佐亮佑(セレス)、村田、井岡

◆KO賞 村田、寺地、栗原慶太(一力)、吉野修一郎(三迫)、勅使河原弘晶(輪島功一)

◆新鋭賞 重岡銀次朗(ワタナベ)、井上浩樹(大橋)、中谷潤人(M.T)

◆努力敢闘賞 野中悠樹(井岡弘樹)、渡部あきのり(角海老宝石)、永野祐樹(帝拳)、田中教仁(三迫)

◆年間最高試合 WBA&IBFバンタム級井上-ノニト・ドネア(フィリピン)、同井上-エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、WBOスーパーフライ級井岡-アストン・パリクテ(フィリピン)、WBAミドル級村田-ロブ・ブラント(米国)

◆世界戦以外の最高試合 日本ミドル級竹迫司登(ワールド)-加藤収二(中野サイトウ)、WBOアジア太平洋ウエルター級別府優樹(久留米櫛間&別府優樹)-矢田良太(グリーンツダ)、日本ユース・バンタム級石井渡士也(REBOOT.IBA)-石川春樹(RK蒲田)

◆女子最優秀選手賞 天海ツナミ(山木)、佐伯霞(真正)、吉田実代(EBISU K’s BOX)

◆女子最高試合 WBCフライ級藤岡菜穗子(竹原&畑山)-天海、WBOミニマム級佐伯-エリザベス・ロペス(メキシコ)、WBAアトム級モンセラッット・アラルコン(メキシコ)-宮尾綾香(ワタナベ)

バトラーに5回TKO勝利して初防衛を果たし、1本指を立てる村田諒太(2019年12月23日撮影)

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井上尚弥の右目経過は良好、1月末から次戦へスパー

ジムワークを再開した井上尚弥(撮影・奥山将志)

ボクシングの2団体(WBAスーパー、IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が6日、横浜市内で20年最初のジムワークを行った。

弟の前WBC同級暫定王者拓真(24)とのマスボクシングやミット打ちなどで汗を流した。19年はワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)を圧倒的な強さで制し、年末はテレビ出演など多忙な日々を送った。米ラスベガスで4月末に予定される次戦に向け「ここからはボクシングに集中していく。スタートとしてはすごく良かった」と話した。WBSS決勝で負傷した右目の経過も良好で、1月末からスパーリングを始める予定という。

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那須川誓う打倒五輪「面白いことしようじゃねえか」

那須川対江幡 勝ち名乗りを受ける那須川(撮影・滝沢徹郎)

<RIZIN20>◇31日◇さいたまスーパーアリーナ

ライバルは東京五輪だ。那須川天心(21)が新日本キックボクシング協会のエース江幡塁(28)と56キロ契約で戦い、1回2分46秒TKO勝利した。

1年前の大みそかにボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーとエキシビションマッチで戦い、1回TKO負け。大みそかに借りを返すとともに、20年は五輪を超える活躍をすると宣言した。

   ◇   ◇   ◇

那須川が日本人最強の刺客ともいえる江幡を一蹴した。試合開始早々、前へ突進し、左ハイキック、ワンツーをさく裂。強烈な連打でダウンを2度奪っても手を緩めない。この日のために用意してきた回転回し蹴りを見事に決め、粘り強く立ち上がる相手に再びパンチを連打。予告通りのKO勝利を果たし、「めちゃくちゃ気持ちよかった」と笑顔で叫んだ。

本物の戦いを求めている。1カ月半前の昨年11月7日。さいたまスーパーアリーナでワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)の井上尚弥-ノニト・ドネア戦を生観戦。世界最高峰の攻防に胸を熱くし、嫉妬した。「誰も文句言えない。比べるのは失礼かもしれないけど、格闘技をやっている者として負けたくない」。

キックボクシングは現在日本ではメジャーな競技とはいえない。だからこそ、那須川自身が知名度アップへ先頭に立つ。昨年5月にはAbemaTVの企画「那須川天心にボクシングで勝ったら1000万円」に参加。同6月は再びAbemaTV企画で亀田興毅氏と特別ボクシングルールで対戦。この日も、試合直前に裏番組「ガキ使」に出演した。「試合を見たことなくても僕を見たことがある人に『すごい』と思ってほしい」。狙い通り、格闘家としてもすごみを示した。

「2020年は東京五輪がある。五輪より面白いことしようじゃねえか。自分でもどういう風に成長するかわからない。もっと強くなりたい」。現在世界中の格闘技団体からオファーを受けており、20年は世界進出が濃厚。天心の野望は続く。【高場泉穂】

那須川対江幡 江幡(右)に蹴りを見舞う那須川(撮影・滝沢徹郎)

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村田諒太「尚弥の試合も」今年の注目マッチ振り返り

WOWOWのエキサイトマッチ総集編の収録に臨んだWBA世界ミドル級王者村田諒太(中央)

23日に初防衛に成功したボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)が27日、都内のWOWOWでエキサイトマッチ総集編(30日午後9時、WOWOWライブ)の収録に参加した。

WOWOWで今年放送された試合の中から視聴者投票、有識者の意見をまとめてベストマッチが決まった。世界戦を中心にビッグネームの試合がめじろ押しで、ゲスト出演した村田は「今年は面白い試合が多かったので(WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・)ワイルダーが入ってくるだろうし、(2団体統一バンタム級王者井上)尚弥の試合も。どれが入ってもおかしくない」と数多くの注目マッチをチェックして満足そうな表情を浮かべた。

特に米老舗ボクシング専門誌「ザ・リング」も年間最高試合に選出した11月7日、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズのバンタム級決勝となる井上-ノニト・ドネア(フィリピン)戦については「緊張感のある試合だった。ボクシングの面白さが凝縮された、両者の駆け引きがちりばめられている」と感想を口にしていた。

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井上尚弥「ありがとう」ドネア戦が年間最高試合選出

ドネアに勝利しアリ・トロフィーを掲げる井上尚弥(2019年11月7日撮影)

ボクシングの聖書と呼ばれる米老舗専門誌「ザ・リング」は23日(日本時間24日)、1928年から継続する年間表彰を発表。

年間最高試合として11月7日、さいたまスーパーアリーナで開催されたワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝となる井上尚弥(大橋)-ノニト・ドネア(フィリピン)戦を選出した。12回判定勝ちし、WBAスーパー、IBF世界バンタム級王座を統一した井上は自身のツイッターで「皆さん本当にありがとうございました!」とつづった。

年間最優秀選手は同誌がパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強王者)1位にも推す4階級制覇王者で、ミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級の3階級同時で世界王座を保持するサウル・アルバレス(メキシコ)が選ばれた。なお年間KO賞には11月24日、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米国)が右ストレー1発でルイス・オルティス(キューバ)を7回KOした試合が選出された。

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井上尚弥、山田哲人ら他競技アスリートから刺激

最強スポーツ統一戦の収録に参加したボクシングチーム。前列左から山中氏、井上拓、井上尚、後列左から鈴木、伊藤(c)フジテレビ

ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が20年4月に控える聖地・米ラスベガスデビュー戦に向け、他競技のトップアスリートから刺激を受けた。

今月上旬に都内で収録に臨んだ「最強スポーツ統一戦2019」が30日午後6時、フジテレビ系列で全国放送されることが20日、発表された。プロ野球、ラグビー、サッカーなどのトップアスリートと競演し「他競技の選手と番組でお会いして、体の厚みや大きさを感じます」と目を輝かせた。

プロ野球ヤクルト山田哲人から「試合を見ていますよ」と声をかけられると照れ笑い。2連覇のかかるボクシングチームの一員として参戦し「(山田らが)同世代なので刺激を受けます」と触発された。米ラスベガスで組まれる20年初戦の相手はWBO世界同級王者カシメロ(フィリピン)らが候補で、日本人初の3団体統一戦に臨む可能性も高い。井上は「19年は、日本でWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)に優勝できて、子供(第2子)も生まれ、本当に充実していました。来年4月に向けて、100%に仕上げます」と決意を新たにしていた。【藤中栄二】

最強スポーツ統一戦の収録に弟拓真(右端)と参加した井上尚弥(中央)。左端は山中氏(c)フジテレビ
最強スポーツ統一戦の収録で苦笑いをみせる井上尚弥(c)フジテレビ

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井上尚弥は「ドネアの呪い乗り越え勝った」大橋会長

自身の著書イベントに参加した大橋秀行会長(撮影・藤中栄二)

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26)らが所属する大橋ジムの大橋秀行会長(54)が13日、東京・新宿区の紀伊国屋書店で自身初の著書「最強モンスター 井上尚弥はこうして作った~5人の世界チャンピオンを育てた大橋流マネジメント術」(12月2日発売、1500円+税)の発売記念サイン会&トークイベントを開催した。

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズで優勝を飾った井上をはじめ、ジム初の世界王者となった元WBC世界スーパーフライ級王者川嶋勝重らの育成法、ジム運営、マッチメークなどの秘話、元WBA、WBC世界ミニマム級王者となった現役時代のエピソードなどが盛り込まれている。約2カ月かけて書き下ろしたという大橋会長は「負けから巻き返していくところをみてほしい。ボクらの年代は負けてからの方が大事。負けてもただでは転ばないぞというところを読んでほしいですね」とPR。初版は1万部が発行され、売り上げも上々。既に増刷の話も出ているという。

この日のトークイベントには、購入者先着50人が招待され、多くの女性ファンも集結。決勝で井上が対戦した元5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)が1回戦でWBAスーパー王者だったバーネット(英国)が試合途中の原因不明の背中痛で棄権して勝利。準決勝ではWBO王者だったテテ(南アフリカ)が1週間前に右肩負傷で欠場し、代替選手のヤング(米国)に勝って決勝進出していた経緯を「ドネアの呪い」と表現。同会長は「決勝でも何かが起こると思ったら右目上のカットと眼窩(がんか)底骨折だった。でも尚弥はドネアの呪いを乗り越えて勝った。やっぱりモンスターだった」と振り返っていた。

自身の著書のサイン会、トークイベントでファンと触れあう大橋ジムの大橋秀行会長

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井上尚弥が振り返るドネア戦死闘の裏側/取材ノート

11月、ドネアに勝利しカップを掲げる井上尚

<取材ノートから ボクシング・井上尚弥>

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が11月7日、さいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者ノニト・ドネア(37=フィリピン)を下し、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズを制した。2回に右目をカット。右眼窩(がんか)底など2カ所を骨折しながらも11回に左ボディーでダウンを奪って12回の激闘を制した。過去1度も経験したことのないダウンの対処までイメージトレーニングをしている井上が唯一、想定していなかったことが起きた。2回の骨折後から「相手が二重に見える」ことだった。

井上が「あの時、ドネアが言っていた言葉がパッと浮かんできた」と明かす動画がある。13年4月、米ニューヨークで開催されたWBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ。王者ドネアが挑戦者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)に12回判定負けでプロ初黒星を喫した試合だ。「試合後にドネアが『リゴンドーが2人に見えた』と。右目を隠して焦点を合わせていたと話していた」。とっさに、ぼやけた右目を右手グローブで覆い、急場をしのいでレジェンドを倒した。

ドネアがリゴンドー戦で右目を隠したのは、12回途中からの約2分間程度しかない。試合終了後、リゴンドーの勝利インタビューが長くあり、その後にようやく敗者ドネアが「ダメージはなかったが、二重に見えたので目を隠した」と話していた。試合映像の最後の最後まで目を通さなければ気がつかない。井上の研究は試合内容だけでなく、試合後コメントまでが材料だった。「頭の中にドネアが入っていますから」とまで言い切る理由がこれだった。

通常のカットはパンチで切れるものだが、井上によれば「パンチをもらったのはカットしたところではない。(骨折した)ほおにもらった反動で切れた」とも明かした。2カ所骨折に追い込まれたドネアの突き上げてくるような左フックの破壊力に「1発の怖さ、でかさはこれからも気をつけないといけない」と肝に銘じたという。

井上は振り返る。「こういう試合をすごくしたかった。成長できる試合というのはこういう試合。ボクサーとしても、人としても成長できた」。アマ時代から“教科書”として技術を取り入れてきたドネアから新たな「教え」をもらったような気持ちだった。この先10年は現役を続けたいとするモンスター。37歳直前だった「先生」ドネアと拳を交え、自らの将来像という新しい1ページも手に入れていた。【藤中栄二】

11月、ドネアの顔面に強烈なパンチを見舞う井上尚

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井上尚弥、来年4月ベガス「確定している」大橋会長

11月、WBSS世界バンタム級トーナメント決勝でドネアに勝利し、カップを力強く掲げ、雄たけびを上げる井上尚

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が来年4月に聖地デビューすることが内定した。

11月7日のワールド・ボクシング・スーパーシリーズで優勝して以来、約1カ月ぶりとなる9日、横浜市の所属ジムで本格始動。大橋秀行会長は20年初戦が「4月ぐらいにラスベガスでほぼ確定している」と明かした。右眼窩(がんか)底を含む2カ所の骨折も回復し、今週中には都内の病院で再検査する予定。井上は「試合を逆算して調整していきたい。みなさんが期待するファイトをみせられたら」と意欲を示した。

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WBO会長バンタム級統一戦へ「動く」後押し明言

11月、WBSS世界バンタム級トーナメント決勝でドネアに勝利し、カップを力強く掲げ、雄たけびを上げる井上尚

WBO(世界ボクシング機構)のフランシスコ・バルカルセル会長(71)が2団体(WBAスーパー、IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)とWBO世界同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)戦の実現を後押しすると明言した。3日、都内で開幕したWBO年次総会のために来日中の同会長が会見。「この試合が実現できるように動きたい」との意向を示した。

来春、米国で20年初戦を予定する井上は11月にワールド・ボクシング・スーパーシリーズ制覇後、米プロモート大手トップランク社と契約を締結。カシメロは現WBA世界ウエルター級スーパー王者の6階級制覇王者マニー・パッキャオ(40=フィリピン)が経営するMPプロモーションと契約を結ぶ。同会長は「トップランク社とパッキャオは良好な関係にある」と説明した上で、総会開催中に両プロモーターが来日予定と明かした。「半信半疑かもしれないが、2日後に何が起こるか楽しみに。両者が集まればそういう話にもなる」と付け加えた。

海外報道などを通じ、カシメロから対戦ラブコールを受けた井上は2日に「ボクも標的にしている。大橋(秀行)会長にもやらせて下さいと伝えました」と話すなど、前向き。WBO会長の後押しで、対戦交渉が進む可能性が高い。

11月、WBO世界バンタム級タイトル戦でテテに勝利したカシメロ(ロイター)

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WBO王者テテがカシメロに敗れる 7年ぶりの黒星

テテ(左)からダウンを奪うカシメロ(ロイター)

<プロボクシング:WBO世界バンタム級王座統一12回戦>◇11月30日(日本時間1日)◇英バーミンガム・バーミンガムアリーナ

正規王者ゾラニ・テテ(31=南アフリカ)が約7年ぶりの黒星で、王座統一に失敗した。同暫定王者ジョエルリエル・カシメロ(30=フィリピン)とWBOベルト統一を懸けて拳を交えたが、3回、右フックを被弾してダウン。何とか立ち上がったものの、ロープに追い込まれて左フックからの連打を食らってレフェリーに試合を止められた。同回2分14秒、TKO負けとなった。

王座統一に成功したカシメロは29勝(20KO)4敗、12年9月以来の黒星となったテテは29勝(20KO)4敗。

2団体統一同級王者井上尚弥(26=大橋)らとともに18年秋からワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)に出場していたテテは4月に5階級制覇王者ノニト・ドネア(37=フィリピン)とのWBSS準決勝(米国)1週間前に右肩の異常を訴えて棄権。18年10月以来、約1年ぶりの実戦だった。カシメロ戦前まで12連勝中。来年には井上との王座統一戦を希望していた。

パンチを打ち合うカシメロ(左)とテテ(ロイター)
勝利を飾り喜ぶカシメロ(ロイター)

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井上浩樹がいとこ尚弥らの熱戦に触発も気負い厳禁

太田トレーナー(右)とともに軽めのスパーリングに臨んだ日本スーパーライト級王者井上浩樹

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥のいとこで日本スーパーライト級王者の井上浩樹(27=大橋)が「気負い厳禁」でアジアのベルト獲得を狙う。 WBOアジア・パシフィック・スーパーライト級王座を目指し、同級1位として12月2日に東京・後楽園ホールで同級5位ジェリッツ・チャベス(28=フィリピン)との王座決定戦に臨む。29日が横浜市の所属ジムでの練習打ち上げ。

いとこ2人の熱戦が脳裏に焼き付いている。尚弥が11月7日のワールド・ボクシングスーパーシリーズ決勝で世界5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)との激闘を制し、2団体統一バンタム級王者に。拓真はノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との王座統一戦でダウンを喫しながらも最終12回まで戦い抜いて判定負け。井上は「刺激は多分にある。良い試合に感動して、意識して燃える」と触発されたことは認めつつ、あえて気負わないことを心掛けているという。

「意識して燃えるとスパーリングが良くない。本当に自分のボクシングをすればいいと思います」

今回の井上兄弟のダブル戦は殴り合いの展開が多かった。「言葉にするのは難しいのですが、感じるものがありました」としながらも、幼少時代から一緒に続けてきたスタイルは「打たせずに打つ」。展開次第ではあるものの、リスク覚悟の勝負ではなく、常に追求する自らのボクシングでアジアのベルトもつかむ構えだ。

同門で同階級のIBF世界同級14位平岡アンディが30日(日本時間12月1日)にラスベガスで米デビューする。出発前には「お互いに頑張ろう」とガッチリと握手を交わした。また試合翌日の12月3日からWBO総会が都内で開催。バルカルセル会長をはじめとした理事が2日までに来日する予定で、試合視察の可能性もある。また同総会ではランキング委員会も開催予定でもあり、世界ランク入りへのアピールにもある。

発奮材料ばかりの環境下で拳を交えるチャベスは1発のパンチ力を警戒しなければならない相手となる。「1発が怖いので気が抜けないところはあります」と警戒しつつ、今にも力が入りそうな両肩をリラックスさせる。

「(WBO首脳へのアピールとして)チャンスですけれど、あまりいいかっこしないように。いつも通りに自分のボクシングをやりたいと思います」。

いくつもの「刺激」を受けながらも、井上家3人目の男は静かな闘志を燃やしている。

WBOアジア・パシフィック・スーパーライト級王座決定戦で2本目のベルトを狙う日本同級王者井上浩樹

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最強・井上尚弥育成の秘密本 大橋秀行会長が出版

12月2日に刊行される元WBA・WBC世界ミニマム級王者大橋秀行氏の本「最強モンスター井上尚弥はこうして作った」の表紙

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26)が所属する大橋ジムの会長で元WBA・WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行氏(54)の本「最強モンスター井上尚弥はこうして作った」(本体価格1500円)が12月2日、祥伝社から発売される。

11月7日のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝で5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)を下して優勝した井上尚。大橋会長はいかに世界最強までに育成したのかという秘密を書き明かしている。井上尚とともに川嶋勝重、八重樫東、井上拓真、宮尾綾香と計5人の世界王者を誕生させた同会長の手腕を知ることができる一冊となる。

また今回の出版を記念し、大橋会長が12月13日には紀伊国屋新宿店9階イベントスペースで出版記念イベント(トーク&サイン会)に出席する。

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ネリ、山中戦に続きまた体重超過 試合はキャンセル

ルイス・ネリ(18年3月撮影)

ボクシング元WBC世界バンタム級王者で現WBC同級1位のルイス・ネリ(24=メキシコ)が、またも体重超過の失態を犯した。

23日(日本時間24日)に米ネバダ州ラスベガスのMGMグランドで元IBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)とのWBC世界同級挑戦者決定戦に向けた前日計量が22日(同23日)、同地で開かれ、ネリはリミットの118ポンド(53・5キロ)を1ポンド(約400グラム)上回る119ポンド(約53・9キロ)で計量失敗した。

米メディアによると、再計量の意思を示さず、ネリの1ポンド超過が確定。このため、ロドリゲス陣営は金銭的なペナルティーを科しての試合を拒否。試合キャンセルが決まった。今年5月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ準決勝で現2団体統一同級王者井上尚弥に2回TKO負けしたロドリゲスの再起戦でもあった。

ネリは18年3月、山中慎介との再戦で体重超過してWBC世界バンタム級王座をはく奪。WBCから6カ月の資格停止処分を受けていた。また17年8月、WBC世界同級王者だった山中への挑戦後、禁止薬物の陽性反応が出て物議を醸した。

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PFP3位の井上尚弥 選考段階では1位に推す声も

2019年11月7日、ドネアに勝利しアリ・トロフィーを掲げる井上尚弥(撮影・鈴木みどり)

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、1922年創刊の米老舗専門誌「ザ・リング」選定のパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じた最強ランキング)で日本人初のトップ3入りを果たした。16日(日本時間17日)に最新ランクが更新され、井上が4位から3位に浮上した。今月7日、5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝で、2回に右眼窩(がんか)底など2カ所の骨折を抱えながら判定勝ちした結果を反映させた。

「ザ・リング」公式サイトによると選定に関して長い議論が続き、意見も割れたものの、選考者数人が「100%の主導権を握れない時に井上がどう対応するかの疑問に答えた。負傷と厳しい相手を勝ち抜いて優勝した。井上が最高だ」と1位に推す声もあったという。

◆パウンド・フォー・パウンド(PFP) ボクシングの全階級を通じた最強ランキング。1944~60年代にミドル級などで活躍し、日本で「拳聖」と呼ばれるシュガー・レイ・ロビンソン(米国)をたたえる造語として誕生。その後89年にPFPランクを導入した。日本人では元WBC世界バンタム級王者山中慎介や元WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志もトップ10入りしている。現在はESPNやボクシング専門サイトなども独自のPFPランクを選定する。

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井上浩樹2本目ベルト狙う いとこ尚弥の優勝刺激に

12月2日、東京・後楽園ホールで開催される第70回フェニックスバトルのポスター

12月2日、東京・後楽園ホールで開催されるボクシングの第70回フェニックスバトル(日刊スポーツ新聞社後援)の主要カードが12日までに発表された。

メインはWBOアジア・パシフィック・スーパーライト級王座決定戦に同級1位井上浩樹(27=大橋)が出場。同級7位ジェリッツ・チャベス(28=フィリピン)と拳を交える。7日にさいたまスーパーアリーナで開催されたワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝で、いとこの井上尚弥(26)が優勝を飾り、刺激を受けた井上浩樹。無敗の日本同級王者が2本目のベルトを狙う。

また軽量級ホープとなる日本フライ級13位桑原拓(24)がリカルド・スエノ(25=フィリピン)と同級8回戦、18年2月に世界挑戦を経験した日本スーパーバンタム級3位松本亮(25)が伊藤仁也(24=三河)とフェザー級8回戦で対戦する。また保田克也(27)らも出場予定だ。

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井上尚弥「振り返ると見応えある」ドネア戦自ら解説

WOWOWの収録に参加した2団体統一バンタム級王者井上尚弥(左から3番目)

ボクシング2団体(WBAスーパー・IBF)統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、自らの試合放送にゲスト出演する。11日午後9時からWOWOWライブの人気番組「エキサイトマッチ」で階級最強を決める5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝、弟拓真(23=大橋)が臨んだWBC世界同級王座統一戦が放送される。井上は試合2日後の9日、都内で収録に参加した。

井上は「振り返ると見ごたえある試合だなと自分で思いますし、楽しかったですね。やっぱり1発のこわさ、でかさというものは今回の試合でしっかり経験しました。すごくキャリアを感じました」と感想を口にした。またプロ初黒星を喫した弟拓真に向けて「ゆっくりと一からやろうと話した。もう拓真も吹っ切れているし、やることは分かっているから」と再び兄弟で世界に立ち向かっていくことを強調していた。

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右眼窩(がんか)底など顔面2カ所の骨折を公表した王者井上尚

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が右目眼窩(がんか)底など、2カ所骨折の重傷を負っていたことが9日、分かった。

同日、東京後楽園ホールで同門選手の試合を応援後、取材に応じて骨折を公表した。7日の5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝の2回に浴びた左フックで負傷。全治は不明ながら、手術の必要はないという。

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階級最強を決めるWBSS制覇の代償は、予想以上に大きかった。軽量級レジェンドのドネアを撃破した翌8日、井上は都内の病院で精密検査を受けた。その診断は右眼窩底、鼻の右下部の骨折と診断されていた。この日夜、東京・後楽園ホールで開催された同門でバンタム級の中嶋一輝の試合応援後、取材に応じて公表した。

右目上にガーゼをあてたままの井上は「会長と相談して公表する形にしました。(右)目にパンチをもらって二重に見えた時点でしびれていました。『ヤバイ、(骨折を)やったかな』という感覚があった。痛みがいつもと違いました。かするだけで痛い」と明かした。

1カ月後に再検査を受け、今後の練習再開の時期を判断する予定だ。担当医からは2カ所とも手術の必要がないと説明されている。全治は不明で、井上は「1カ月後の検査で分かるかなと。次戦に影響はないと言われてホッとしました」と強調した。右眼窩底骨折は最低でも2カ月程度の安静が必要だとみられるものの、まずは安静にしながら回復を待ち、今後の経過を見極める方針だ。

WBSS制覇後、米プロモート大手トップランク社と契約を結んだことが発表された。20年初戦は米国で内定している。所属ジムの大橋秀行会長(54)は「1カ月後の検査結果を待ってから次戦は考えたい」と言うにとどめた。2回の骨折後も、軽量級レジェンドと残り10回を戦い抜いた井上のタフネスぶりに、同会長は「見たことにない左ジャブのもらい方をしていたので、骨折と聞いて納得もしました。相当痛かったと思う。あの状況で良くやった。新たなモンスター伝説になった」と、激闘を制した3階級制覇王者の実力を再認識していた。【藤中栄二】

◆眼窩(がんか)底骨折 眼窩底とは、目のくぼみ=眼窩の下方にある骨の壁。程度の差はあるが、目を強打し眼窩底に骨折を起こし、その骨の裂け目に眼筋やその他の組織などが落ち込んだことをいう。眼球を動かす眼筋がはまり込んだ場合は、眼球運動に障害が起こる。眼球後部の組織が落ち込むと、目が陥没することもある。陥没が激しい場合、また3~4週間たっても、眼球の運動障害がある場合は、眼筋を引っ張り出すための手術が必要になる。

ドネア戦の2回、右目をカットする井上尚(2019年11月7日撮影)

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