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高安、大関昇進目安33勝「大きな一番」藤島副部長

2敗を守った高安は懸賞金の束を手に引き揚げる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇12日目◇25日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)が平幕の宝富士(30=田子ノ浦)を、守勢に回りながら上手投げで破り、2桁10勝目をマーク。過去の例から大関昇進の目安とされる「三役で3場所合計33勝」に届いた。

 日本相撲協会の幹部からは「昇進」を示唆するような言葉は出なかった。それでも、高安の力を高く評価する声は変わらない。八角理事長は「安定した力はつけたという印象。特に今場所は落ち着いている」と話した。大関昇進には、千秋楽まで見て、審判部の総意を受けて場所後の理事会招集-という流れがある。ましてや理事長判断で決まるものでもなく「(昇進は)審判部が(自分に)言ってきてからの話。33勝は関係ない」と、昇進をにおわす言葉は当然、差し控えた。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、高安の心理を読み解くように「今場所初めて(立ち合いで)もろ手で行った。ぎこちなかったですね。いつもの(体当たりではじくような)立ち合いの方が良かったと思いますが、思うところがあったのか。(2桁勝利の)意識があったのかもしれませんね」と分析。ただこの1勝の重みについては「12日目で一応の目安ですからね。何となく勝っているわけでなく、力があるなという勝ち方。大きな一番であることには変わりない」と評価。13日目の日馬富士戦にも「どっちが勝っても激しい相撲になる。勝つことで自分の優勝の道も開けるかもしれない。集中していってほしい」と期待した。

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八角理事長「気持ちの面で余裕」V争いは白鵬有利

全勝を守った白鵬はおいしそうに栄養補助食品をほおばる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇11日目◇24日◇東京・両国国技館

 全勝の横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)に土がつき、無傷の横綱白鵬(32=宮城野)が単独トップに立った。

 まだ4日の土俵を残し、差もわずか「1」。それでも八角理事長(元横綱北勝海)は「1差のリードですが」という報道陣の問いかけに「だいぶ有利。それ(1差)以上だ」と、数字以上の重みと読み「気持ちの面で余裕がでる。1つ負けても(決定戦)というね」と続けた。37度優勝の実績からくる経験値、過去の対戦成績(白鵬の34勝21敗)などから、白鵬有利とみた。

 またこの日、幕内後半戦の審判長を務めた審判部の山科副部長(元小結大錦)も「白鵬が有利になったね。断然ね」と強調。「余裕が出てくるんじゃないかな、1番(1差)で」と続けた。優勝パターンを熟知している白鵬の、逃げ切りを推測するようだった。

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八角理事長が白鵬の立ち合い分析、相手の力を封じた

懸賞金の束を手に持つ白鵬(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇10日目◇23日◇東京・両国国技館

 今場所の優勝を占う結びの一番は、横綱白鵬(32=宮城野)が関脇高安(27=田子ノ浦)の挑戦を、気迫のこもった相撲で寄り倒しで退けた。協会幹部は、両者の経験値の違いなどを勝敗の分かれ目として分析した。

 右から張ると右に変化気味に体を開き、右を差した白鵬。粘られると今度は横綱が頭をつけ、勝利への執念を見せた。以前の白鵬なら、強引に投げを打つことも考えられたが、そんな強引さは封印し、勝ち方も念には念を入れる慎重さ。八角理事長(元横綱北勝海)は「白鵬は高安に力を出させない立ち合いをした。相手が強いと認めた証拠だろう」と、まずは立ち合いに注目。頭をつけたことには「危機感だろう。力をつけた相手に確実に勝つという余裕というかな」と推測した。

 37度優勝の横綱だけに、高安との経験値の差を挙げ「(持っている)勝ち方のバリエーションの違いでしょう。今日の相撲が大事なこと、優勝の仕方が分かっている」と評価。高安については「立ち合いが正直すぎた。心の準備が出来ていなかったような気がする」と読み解いた。自分の立ち合いが出来なかった時、その後の対処法に難があることは、かねて指摘していた。

 土俵下で審判長を務めた二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「反対だよな。反対に(高安が)頭をつけないといけない」と挑戦する立場の高安が、受けに回ってしまったことを敗因として指摘。一方で「しぼって、まわしを取りにいっている。横綱がうまいということ」と百戦錬磨の白鵬を評価した。

全勝を守り支度部屋で笑顔を見せる白鵬(撮影・小沢裕)

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稀勢の里読まれていた…V3絶望3敗目に深いため息

栃煌山(左)に寄り切られ、悔しそうな表情で土俵から落ちそうになる稀勢の里(撮影・狩俣裕三)

<大相撲夏場所>◇9日目◇22日◇東京・両国国技館

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が痛い3敗目を喫した。東前頭4枚目の栃煌山に立ち合いでもろ差しを許して、あっけなく寄り切られた。日馬富士、白鵬の両横綱が全勝を守ったため、首位とは3差。37年夏場所の双葉山以来80年ぶりの初優勝からの3連覇は、絶望的となった。

 花道をとぼとぼと引き揚げる背中は寂しげだった。付け人に力なくタオルを放るのは、らしからぬ姿。左腕を曲げて、患部の上腕から胸の辺りを気にするしぐさもあった。深いため息の中で、稀勢の里は2個目の金星を許した。3連覇が大きく遠のく3敗目だった。

 立ち合いが全てだった。前日の碧山と同じく右から張って左差しにいった。だが、この日は差し身のうまい栃煌山。勝手が違った。協会幹部の言葉が厳しい。

 八角理事長(元横綱北勝海) 張り差しが読まれていた。気持ちが張り手の方にばかりいっていた。もったいない。

 審判長を務めた藤島審判部副部長(元大関武双山) 今日は左が甘すぎた。脇が甘いのは悪い癖。もろ差しになってくださいと言わんばかりだった。

 張り手の右を意識するあまり、差し手の左が弱く、差し負けた。もろ差しを許して防戦一方。左から突き落とそうとするも、けがの影響もあってか、弱い。あえなく寄り切られた。

 9日目までの3敗は、16年初場所以来1年半ぶり。2横綱とは3差がついた。3連覇はもはや絶望的。支度部屋で無言を貫いた稀勢の里に、理事長は「(優勝の可能性が)数字上、残っている以上、頑張らないといけない。明日からきっちり勝つのが横綱の務め」と促した。【今村健人】

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日馬富士7戦全勝支える秘密兵器「ハイボルト療法」

嘉風(左)を押し出しで破る日馬富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、過去8勝8敗と五分だった小結嘉風(35=尾車)を下して全勝を守った。初日から7連勝は14年春場所以来9度目で、そのうち6度は優勝につなげた経験がある。春場所後は右膝や左肘に痛みを抱えながら、巡業を皆勤。自腹で購入した電気治療機器を愛用しつつ、9度目へ前進した。横綱白鵬も平幕大栄翔を下し、全勝を守った。

 日馬富士は、身長で10センチ低い嘉風の胸に頭からぶつかった。常に主導権を握って圧倒した。押し出した後、両腕で相手を抱く余裕もあった。過去の対戦は五分だった難敵に「当たるのが楽しみだった。燃える相手の1人」と笑みをこぼした。

 体は万全ではない。支度部屋では左肘をさすりながら「しびれている」と漏らした。春巡業中から右膝や左肘など、全身に痛みを抱えていた。支えたのは、数百万円で自腹購入した伊藤超短波の電気治療機器による「ハイボルト療法」。日本電気治療協会の杉浦直行理事によると「従来の治療法が家庭用ホースの水だとすれば、このハイボルト療法は消防車のホース」と説明する。インナーマッスルの腫れ、炎症をなくす効果があるという。日馬富士も「これだと一瞬で良くなる」と効果を口にする。場所中も、夜に1日1時間半は使用してきた。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「決して膝や肘が良くなってるわけではないはず」と見抜く。それでも、14年春場所以来の初日から7連勝。「勝つことが何よりの薬です」と言う日馬富士が、昨年名古屋場所以来9度目の優勝へ、ひた走っている。【佐々木隆史】

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八角理事長、負けなし白鵬と日馬富士の心理読み解く

大栄翔(左)の顔面に張り手を浴びせる白鵬(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

 稀勢の里(30=田子ノ浦)ばかりに話題が集まる横綱勢にあって、日馬富士(33=伊勢ケ浜)と白鵬(32=宮城野)という序列で東西2枚目の両横綱が無傷の7連勝とした。

 2横綱の初日から7連勝以上は、15年名古屋場所の白鵬(9連勝)、鶴竜(8連勝)以来約2年ぶり。全勝を続ける両横綱の心理について、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「最近、主役というか話題を取られているから、今場所にかける思いは2人ともあると思う。『今場所はオレだ』というね」と読み解いた。優勝争いは当然、2人が中心になると展望し「経験、優勝回数からいって白鵬と日馬富士という感じだね。稀勢の里とも当たるわけだし、いいんじゃないですか。強い人、強い横綱がいて(場所が)締まる」と期待した。

嘉風(左)を押し出しで破る日馬富士(撮影・鈴木正人)

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高安初黒星、八角理事長「1発間違えるとこうなる」

立ち合い後、玉鷲(左)と激しい攻防を見せる高安(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇6日目◇19日◇東京・両国国技館

 コンマわずかの差が勝敗を分けた。高安は、玉鷲に立ち遅れた。すると踏み込めず、自慢のかち上げは空を切り、上体を起こされた。あえなく押し出されて、連勝は5でストップ。悔しさから支度部屋で言葉を発することはできなかった。

 朝に強調していたのは攻めの姿勢だった。「攻めの厳しい力士(玉鷲)にこそ、攻めることが大事」と。ただ、思い描いた相撲は取れず、八角理事長(元横綱北勝海)は「いろいろ考えて集中できなかったんじゃないか。1発間違えると、こうなる」と分析した。

 優勝争いから1歩後退。それでも、まだ1敗。理事長は「玉鷲を褒めるべきだろう」と切り替えをうながした。スポーツ紙の1面も飾った朝に「そういう風に自分中心に動かすんだという気持ちでやっていきたい」とも語った。意欲はちっとも薄れていない。大関とりの視界はまだ開けている。

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八角理事長「柔らかさがない」初黒星の高安に指摘

悔しそうな表情で土俵を下りる高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇6日目◇19日◇東京・両国国技館

 大関とりの関脇高安(27=田子ノ浦)に今場所初黒星がついた。場所後の大関昇進には、目安として残り9番で5勝と、依然として数字上の可能性は高そう。ただ、かねて危惧されていた不安点が露呈したことを、協会関係者は指摘した。

 相手の関脇玉鷲(32=片男波)に対し、わずかだが立ち遅れたことを八角理事長(元横綱北勝海)は「立ち合いちょっと遅れた。いろいろ考えたんじゃないかな。立ち合いで集中できず当たりきれなかった。1発間違えるとこうなる」と分析した。さらに、立ち合いで失敗した後の対処法についても「土俵際で残る柔らかさがない」と指摘。再び攻めに転じる動きに、立ち合いで成功した時ほどの鋭さや攻めに工夫がないことは、かねて口にしていた。また勝った玉鷲について「玉鷲を褒めるべき。力をつけている」とも続けた。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、強烈な破壊力を持つ玉鷲に対しても、ここまでの相手と同様に胸ではじくように当たりに行った、高安の立ち合いに注目。「相手をはじくような立ち合いがベストなのかどうか。頭で行った方がいい時もある。相手によって変えてもいいのかもしれない」と指摘した。勝負に関しては「互いに駆け引きしない真っ向勝負だった」と、好評した。

立ち合い後、玉鷲(左)と激しい攻防を見せる高安(撮影・神戸崇利)

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鶴竜の休場に横審苦言「横綱の責任果たしていない」

鶴竜

<大相撲夏場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

 5日目から横綱鶴竜(31=井筒)が休場した。番付上は2場所連続の4横綱時代だが、やはり白鵬(32=宮城野)が途中休場した先場所に続き「4横綱皆勤」はならず-。協会関係者も残念がった。

 八角理事長(元横綱北勝海)は鶴竜に対し、気持ちを切らさず早期回復を願った。「若手が出てきていろいろ大変だろうけど、体を治して横綱らしい相撲を。(最近は相撲が)あっさりしすぎていたからね」。番付降下がなく、引退しか道は残されないのが横綱の宿命だが「気持ちを切らさないこと。達成感を感じるにはまだ早い」と精神面の立て直しにも期待した。

 また、横綱審議委員会の本場所総見だったこの日、両国国技館に観戦に訪れた北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)も「(稀勢の里より)鶴竜の方が心配。どこが本当に悪いのか。(鶴竜の通算休場は)6回目? もう少し頑張ってもらわないと」と苦言。横綱昇進後、19場所目で5度目の休場の多さもあり「横綱としての責任を果たしていない」と苦言を呈した。

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稀勢の里の一番を関係者分析「左はまだ完全でなく」

千代翔馬に上手投げで振られる稀勢の里(撮影・丹羽敏通)

<大相撲夏場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

 館内をヒヤヒヤさせた横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の一番を、協会関係者は冷静な目で見守った。

 この日は、横綱審議委員会による本場所総見の日。間近で観戦した北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「稀勢の里人気はすごい。勝った時(の大歓声)はめちゃくちゃだった。稀勢の里のおかげで相撲人気も上がっている」と驚きつつも、取り口から負傷の回復具合について「だんだんと良くなってきているのかな、と思ったけど左はまだ完全でなく、おっつけが効かない」と冷静に分析。万全でないため、連続優勝した最近2場所の相撲は求めるべくもないようで「この場所に関しては優勝を求めない。(出場は)ファンも望んでいるが、全て勝てとは思っていない」とファン目線からの心理を読み解いた。

 また八角理事長(元横綱北勝海)も、左おっつけから差す形になれない横綱を「(本来なら)左をあおりながら早く自分の形になれるのが、痛めている影響があるのだろう」と分析。今後もヒヤリとさせる相撲が続くことを見越し「今場所は今日のような感じではないか。完璧な相撲は、慣れてきて最後に出るかも、ぐらいの感覚では」と横綱の心中を推察した。

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稀勢の里、初の無言…墓穴堀り2敗でV3黄信号

遠藤に押し出される稀勢の里(左)(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇4日目◇17日◇東京・両国国技館

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が初金星を配給した。西前頭筆頭の遠藤が足を滑らせたところではたきに動き、まともに呼び込んで押し出された。平幕力士11人目で初めて金星を与え、早くも2敗目。37年夏場所の双葉山以来80年ぶりの初優勝からの3連覇が険しくなった。遠藤は自身3個目の金星。

 横綱昇進から11人目にして、とうとう平幕力士に負けた。初めて許した金星とあまりに悔しい内容に、支度部屋では生返事と無言だけ。稀勢の里は今場所初めて、言葉を発しなかった。

 つい、体が反応してしまった。突き押しの応酬の中、右手で強烈な張り手を見舞った。すると、下がった右足が仕切り線で滑ったのか、遠藤の体がガクッと落ちた。一瞬の間が生まれた。反応がわずかに遅れた。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「『アレ?』って感じだろう。頭が下にいっちゃったから、つい押さえにいったんじゃないか」。思わず出てしまった引き技。だが、遠藤は既に体勢を戻していた。まともに呼び込み、一方的に押し出された。理事長は「『何やってんだ、オレは』という感じだろう。負けた気がしないんじゃないのか」と察した。

 鬼門なのか「横綱2場所目の4日目」は昭和以降、先代師匠の隆の里ら4人も初金星を配給していた。5人目の屈辱。平幕力士11人目で初めて与えた金星は苦い。ただ、日馬富士は「横綱だって人間ですから。(配給の少ない)白鵬関らと比べちゃうけど…」。横綱誰もが通る道だと話した。

 朝、新しい反物が部屋に届いていた。しこ名に、横綱だけが許される「綱」の絵柄が染め抜かれていた。「『綱』は横綱にならないと入れられない。一番(綱の)白に合う」と選んだ紺色の品は、周囲に配る物。先代師匠は言っていた。「自分のしこ名が入った浴衣を自分で着るのは粋じゃない。人に着てもらってこそ意味がある」。痛い2敗目だが、大勢に喜んで着てもらうためにも、止まってはいられない。【今村健人】

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稀勢の里、初の金星配給「何やってんだ」理事長代弁

支度部屋で悔しそうな表情をする稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇4日目◇17日◇東京・両国国技館

 不運と言うべきか、それとも相撲の神さまのいたずらなのか。

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が西前頭筆頭の遠藤(26=追手風)に押し出されて、横綱昇進後、初めて金星を配給した。

 立ち合いは突き、押しの応酬。押し込むだけの力は見られなかった。強烈な右の張り手を見舞った瞬間、遠藤の右足が下がり、そして滑った。ガクッと下がる相手の体。すると稀勢の里の体が一瞬、止まった。間があった。そして、体が思わずはたき込みにいってしまった。これがまともに呼び込む形となって、あえなく押し出されてしまった。

 悔しさのあまり、支度部屋でほとんど口を開かなかった稀勢の里に代わり、八角理事長(元横綱北勝海)は「(遠藤の)頭が下に行っちゃったから、つい頭を押さえにいったんじゃないか。負けた気がしないだろう。『何やってんだ、オレは』という感じでは」と心情を推察した。

 平幕力士11人目で許した初金星。何より、3連覇に挑む優勝争いから後退する2敗目。左上腕付近のけがを抱える稀勢の里にとって、試練の場所になっている。

稀勢の里(右)は遠藤に押し出しで敗れる(撮影・柴田隆二)

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稀勢の里、執念の白星 強靱な下半身に親方衆うなる

千代の国(奥)に土俵際まで追い込まれた稀勢の里(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇3日目◇16日◇東京・両国国技館

 起死回生で白星をものにした横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の一番に、協会関係者も思わずうなった。

 立ち合いから劣勢だった横綱の一連の流れに、八角理事長(元横綱北勝海)は「(千代の国に)いなされて腰がだんだんと高くなっている。立ち合いも棒立ちだ」と本調子でないことを指摘。

 それでも執念で白星を呼び込んだことに「膝が棒立ちになりながら、最後の最後に力を振り絞って、よく足がついていった。足腰が重くて柔らかい」と下半身の強靱(きょうじん)さを強調。

 善戦した千代の国(26=九重)については「惜しいというより、最後の一押しが大変なんだ。自分も大乃国さん(元横綱=現芝田山親方)と対戦した時がそうだった」と地力の違いも指摘した。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、稀勢の里の残り腰を「初場所千秋楽の白鵬戦のような残し方だった。絶体絶命の体勢で、相手が引いてくれなかったら負けていたかもしれない」と分析。さらに「(劣勢でも)稀勢の里は引こうとしなかった。それが、この結果になったのでは」と、精神的な強さを勝因の一端に挙げていた。

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稀勢の里の平常心、週刊誌カメラマンに「大変だね」

土俵から落ちてきた照ノ富士(左)が、稀勢の里の左腕にぶつかる(写真=上)。下は左を差し、隠岐の海(右)を寄り切る稀勢の里(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇2日目◇15日◇東京・両国国技館

 伝家の宝刀が出た。左上腕付近にけがを抱える横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が、東前頭2枚目の隠岐の海を得意の左おっつけから寄り切り、初日を出した。優勝制度が確立された1909年(明42)夏場所以降、初日から連敗しての優勝は皆無。負ければ37年夏の双葉山以来80年ぶりの初優勝から3連覇が絶望的になっていた。ハプニングを笑い飛ばす切り替えの力で、横綱として国技館初白星を手にした。

 誰もが待ち望んだ瞬間だった。満員札止めの館内で拍手が鳴りやまなかった。勝ち名乗りを受けて41本の懸賞を手にすると、歓声はひときわ、とどろいた。両国国技館で横綱として初めて勝ち取った白星。稀勢の里は「いいんじゃないですか」と静かに息をついた。

 伝家の宝刀を抜いた。テーピングをした左を固めてぶつかった立ち合い。左脇を締めて、隠岐の海の右差しを殺そうとする。得意のおっつけの形だった。相手を横向きにするだけの威力はまだない。それでも初日は見せられなかった形で、何よりも攻めに出た。巻き替えて左を差す。かいなを返せば、後は寄るだけ。8秒2の相撲には光が見えた。その左のおっつけに「まあ、いつも通りじゃない? 問題ないですよ」と強がってみせた。

 横綱として初めて横綱以外に敗れた初日。一夜明けた稽古場では、これまで以上に引きずらない姿があった。結果に一喜一憂すれば、かえって身動きは取れなくなる。「仕切り直してやるだけ。(東の正位を守るという)執着もないし、力みもない」。昇進後に増えた言葉は「平常心」。その“証拠”を見せる出来事がこの日、2つあった。

 朝稽古のために到着した部屋の前で、写真週刊誌のカメラマンが待っていた。大関時代はなかった光景。初日に負けただけで注目を浴びる横綱の宿命だが「大変だね。オレを載せても面白くないのに」と笑い飛ばす余裕があった。

 土俵下の控えに座っていた出番前、押し出された照ノ富士が落ちてきた。187キロの体が左腕にぶつかり、左足も踏まれた。思わずしかめた顔が周囲を心配させたが、その後のたたずまいは平然としていた。「いいんじゃないの? 気が紛れて」と再び笑い、患部も「大丈夫ですよ」と問題なしを強調した。“ハプニング”もいなせる心。横綱として身につけた力で、初日黒星から乗り越えた。

 優勝制度が確立された1909年夏以降、連敗発進の力士が優勝した例はない。負ければ80年ぶりの初優勝からの3連覇が遠のいた一番で踏みとどまり、八角理事長(元横綱北勝海)は「1つ勝ってホッとするんじゃないか」と心情を察した。それでも「今日は今日で、明日は明日。しっかり集中してやります」。負けを引きずらず、勝っても浮かれず-。稀勢の里はやはり、素早く気持ちを切り替えていた。【今村健人】

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稀勢の里「ふー」左腕使えず完敗…3連覇へ不安発進

稀勢の里(後方)は嘉風に、押し出しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

 大相撲夏場所で注目の初日、左上腕付近にけがを抱える横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が一方的に敗れた。患部にテーピングをして臨んだ結びの一番で、小結嘉風の右おっつけに上体が浮き、なすすべなく押し出された。稀勢の里フィーバーで始まった今場所、満員札止めの館内に初めて座布団を舞わせてしまい、3連覇に向けて苦しい出だしとなった。

 「ふ~~~」最高位に就く者だけが座ることを許される東の支度部屋の最奥。初めてそこに位置した稀勢の里の口から長く、深いため息が出た。「(左は)悪くないけど、相手が強いから負けたんじゃないですか。相手が上回ったのではないですか」。

 春場所の逆転優勝から49日。左腕の回復具合に注目が集まった結び。結果は防戦一方だった。分厚いテーピングを施した左から得意のおっつけは出ず、差そうとするも、反対に嘉風のおっつけで体が浮いた。右の上手も引けずに後退。苦し紛れの右からの突き落としも決まらず、あえなく押し出された。目の前を座布団が舞う。「我慢してできれば…」。皇太子ご夫妻を迎え、満員札止めの館内からもため息が漏れた。

 この49日のうち、1カ月半はけがを治す期間だった。本格的に関取衆と相撲を取ったのは初日の8日前から。1週間前には二所ノ関一門の連合稽古があった。実は「そこでどう取れるかで判断すると話していた」と関係者は言う。結果、琴奨菊の圧力を受け止められたことで出場に傾いた。出番前、左腕で付け人を突き倒す姿にも迫力があった。「本当にけがしているのかと思った」と、付け人が驚くほどだった。

 だが、相撲勘は戻りきらなかった。異例の5日連続出稽古で状態を上げようとしたが、稽古で下地をつくる横綱にとって不足は否めなかった。八角理事長(元横綱北勝海)は「よほど踏み込まないと今場所は苦しくなる。不安を払拭(ふっしょく)するまでの稽古はできなかったのかな」と心配した。稀勢の里も稽古場と本場所の違いを聞かれて「それはあると思います」と認めざるを得なかった。

 双葉山以来80年ぶりとなる初優勝からの3連覇が懸かる。挑んだ力士は過去6人で、序盤に黒星を喫した3人は失敗した。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「下半身を鍛えているんだから、自分に自信を持って。まだ初日なので」と鼓舞した。賜杯返還や優勝額除幕式など、初日独特のリズムがあったのも事実。稀勢の里は「また明日、切り替えてやるだけ。集中してやりたい」と言った。試練の場所は覚悟の上。立て直せるか。【今村健人】

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兄「ラオウ」敗れても弟「ケンシロウ」高安は好発進

大栄翔(手前)を、はたき込みで破る高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

 16年九州場所以来、2度目の大関とりの関脇高安(27=田子ノ浦)が、東前頭3枚目の大栄翔をはたき込みで下し、新大関へ1歩踏み出した。1年ぶりの対戦で持ち前の突き押しで圧倒。場所前に追手風部屋への出稽古で相撲を取ったこともプラスになった。

 高安は立ち合いでかち上げ気味にぶつかって距離を取り、激しい突き押しで大栄翔の首元を攻め立てた。突き押しが得意な相手を防戦一方にさせ、懐に飛び込んできたところを右に体を開きながらはたいた。「前でしっかりと踏み込んで、突いて前に出られたので良かった。初日が肝心ですから」と満足した表情で話した。

 対策はすでに練られていた。高安は突き押しを得意とする相手が苦手で、克服のため場所前に追手風部屋へ出稽古。突き押しが自慢の大栄翔と胸を合わせていた。この日の取組後には「相手どうこうというよりは自分の相撲を取るだけ」と気にするそぶりは見せなかったが、良いイメージは脳裏にあったはずだ。

 さらに時津風部屋での出稽古では横綱鶴竜と、二所ノ関一門の連合稽古では横綱白鵬と胸を合わせた。「得た物はたくさんあった。いい勉強」と充実の内容。けがの影響があった兄弟子の横綱稀勢の里とは部屋で一緒に稽古をすることはかなわなかった。しかし、他の2横綱から吸収していた。

 大関とりのボーダーラインとなる10勝まで、あと9勝。「今日勝ったことで明日良いイメージできます」。兄弟子のまさかの黒星にも、気にすることなく突き進む。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安は自信に満ちた相撲。思い切って突っ張るより安全に勝ちたいと思いがちだが、思い切りが良かった。(場所後の大関昇進を)やってくれそうな予感がある。

 ◆「北斗の拳」懸賞旗に歓声 当日券を求めて長蛇の列ができた国技館は、午前8時5分に完売を意味する「札止め」となった。売店でも「普段の2倍の量にした」という稀勢の里弁当は瞬く間に完売。漫画「北斗の拳」のラオウの化粧まわしで土俵入りを行った稀勢の里には「日本一!」の声。ケンシロウの太刀持ち高安、トキの露払い松鳳山の取組では各人が締めたキャラクターの懸賞旗が土俵を1周、館内を盛り上げた。

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稀勢の里2枚の優勝額前に「力んでもしょうがない」

優勝額贈呈式で両手を広げる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

 大相撲の夏場所は今日14日、東京・両国国技館で初日を迎える。37年夏の双葉山以来80年ぶりに初優勝からの3連覇に挑む横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は13日、優勝額贈呈式に初めて出席した。1人で大関と横綱という、違う姿が2枚並ぶ式は、62年初場所前の大鵬以来55年ぶり。07年初場所前に消えた貴乃花以来、日本出身横綱の額が10年ぶりに国技館内に飾られる夏場所へ、意を決して臨む。

 化粧まわしだけのシンプルな姿と、綱を締め、左手で太刀をつかんだ堂々たる姿。1人の男が、格好の異なる2枚の優勝額を並べた風景は壮観だった。大関時代の初優勝と、新横綱優勝の偉業を記した額。2枚の前に1人で立った稀勢の里は「うれしいです。こんな立派な優勝額を頂いて、ありがたい」と感謝した。

 掲額制度の始まりは1910年(明43)。56年春場所から地方場所の優勝力士も飾られ始めた。東京場所前恒例の贈呈式は、直近の東京と地方の優勝力士が額になる。そこで大関と新横綱で連続優勝を飾り、異なるいでたちの絵が並んだのは、62年初場所前の大鵬だけ。大関、新横綱で連続優勝を果たした先代師匠の隆の里と貴乃花も地方→東京の優勝で、贈呈式で2枚同時に並びはしなかった。「また頂けるように、しっかりやりたい」と誓った。

 春場所で負った左上腕付近のけがは完治していない。だが、出ると決めた以上、八角理事長(元横綱北勝海)は「横綱の立場だから、けがは理由にできない」とした。稀勢の里も受け止める。並んだ2枚の額は格好こそ異なるが、いずれも前を向く。「なるべく正面を向きたいと思った」。その思いで、土俵に上がる。

 07年初場所前に消えた貴乃花以来、10年ぶりに日本出身横綱の額が戻る国技館。「稀勢さま~」の声が飛び、拝むファンもいた。そんな熱気を帯びる周囲をよそに「力んでもしょうがない。今から硬くなっても、熱くなっても意味がない」。稀勢の里は、落ち着き払っていた。【今村健人】

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稀勢の里「美談にしないでほしい」月末から漫画連載

北斗の拳ラオウの化粧まわしの後ろに立つ稀勢の里(撮影・神戸崇利)

 大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が「北斗の拳」テイストで漫画になることが6日、分かった。「稀勢の里物語(仮)」として、北斗の拳の三つぞろいの化粧まわしを贈ったコアミックス(本社・東京)が夏場所後にもリリースする漫画アプリ「マンガほっと」と雑誌「月刊コミックゼノン」に掲載される。左上腕部付近に負傷を抱える横綱はこの日、九重部屋に出稽古して関取衆と稽古を再開。午後は都内で横綱昇進披露宴を行い、約1500人から祝福された。

 早熟でいて晩成-。艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて横綱に上り詰めた稀勢の里の生きざまが「稀勢の里物語(仮)」として漫画になることが分かった。関係者によると、実在の力士が漫画誌で連載されるのは03年の朝青龍以来だという。

 物語は北斗の拳の三つぞろい化粧まわしを贈呈したコアミックスが編集。春場所逆転優勝の場面をプロローグとしてネット上で“チラ見せ”。続いて同社が夏場所後にも立ち上げる漫画アプリ「マンガほっと」で幼少期から初優勝の前編と、横綱昇進から逆転優勝まで描いた後編を配信する。「月刊コミックゼノン」でも5月25日発売号から掲載。前後編で計100ページほどになるという。

 著者の山田俊明氏を北斗の拳を描く原哲夫氏のスタッフがサポートし、原氏も監修。まさに北斗の拳のテイストが入った作画になる。担当者は「春場所で負ったけがの場面を横綱の知られざる心情を中心に描きます。横綱は『美談にはしないでほしい』と話されていました」と明かした。

 その人生が少年らの手本となる稀勢の里は、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けてせわしなく動いた。午後から横綱昇進披露宴を控え、部屋は稽古休みにもかかわらず、九重部屋へ出稽古。幕内千代大龍、十両千代皇と8番ずつ、春場所以降初めて関取衆と相撲を取った。結果は14勝2敗で「基本運動をやっていたせいか、違和感なく取れた。内容が非常に良かった」と笑顔。出場についても「今日の稽古の状況、内容なら問題ない。これから(幕内)上位とやっていく」と前向きに話した。

 披露宴には八角理事長(元横綱北勝海)やほかの3横綱ら約1500人が集まった。急逝した先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)に思いをはせ「あまりにも出世が遅くてこのような姿を見せられなかった。感謝の気持ちを忘れずに精進していきたい」と誓った。強い生きざま。手本となるのは少年らだけではない。

 ◆漫画で描かれた主な力士 以前は横綱の漫画物語が多く、栃錦や初代若乃花、朝潮や大鵬は何度も漫画で描かれている。双葉山は地元大分・宇佐市で漫画化され、千代の富士も「千代の富士物語 北の大将」として漫画になった。また、最近では03年に週刊漫画サンデー(実業之日本社)で「蒼き狼-実録! 朝青龍物語」が描かれた。

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稀勢の里「先代にまたいい報告を」横綱昇進披露宴

「稀勢の里横綱昇進披露宴」で鏡開きを行う4横綱。左から白鵬、稀勢の里、鶴竜、日馬富士(撮影・神戸崇利)

 大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の横綱昇進披露宴が6日、都内のホテルで行われ、八角理事長(元横綱北勝海)や白鵬、日馬富士、鶴竜の3横綱ら約1500人が訪れた。

 開演を前に取材に応じた稀勢の里は「(披露宴は)本当に、ここまでしてくれた方々のおかげ。感謝の気持ちを伝えたい」と話した。

 会場入り口には三つぞろいの化粧まわしが飾られ、新たに3組が初披露された。そのうちの1つは漫画「北斗の拳」の化粧まわし。自身が選んだ長兄ラオウの前に立った横綱は、職人が2カ月半かけて、苦労しながら立体的に描いたデザインを眺めて「話を聞くと、ずいぶんと時間を費やしてつくってくれた。そういう人たちや、贈ってくれた人たちの気持ちも考えながら土俵に上がりたい」とあらためて感謝した。

 今後の目標について聞かれると「万全で15日間、やり通すというのが一番だと思うし、優勝争いに絡むのが一番」ときっぱり。6年前に急逝した先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)には、5年前の大関昇進披露宴も、この日の横綱昇進披露宴も、その勇姿を披露することができなかったが「あまりにも出世が遅くて、このような姿を見せられなかったが(全ては)基本をつくってくれた先代のおかげだと思っている。感謝の気持ちを忘れず、またいい報告ができるように精進したい」と誓っていた。

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稽古総見欠席の稀勢の里 優先させた相撲勘の回復

横綱稀勢の里(2017年5月1日)

 大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が知らぬ間にレッテルを貼られてしまった。夏場所(14日初日、東京・両国国技館)の横綱審議委員会による稽古総見は3日、国技館で開催。無料の一般公開とあって3年ぶりに約8000人が訪れたが、左腕などにけがを抱える稀勢の里は欠席した。これが、師匠の連絡ミスで“無断欠席”とされる一騒動に。本人も苦笑いしつつ、来週から関取衆と稽古を再開する考えも示唆した。

 前夜から人が並び、開場の午前7時前には2300人もの列ができた国技館。夏場所前恒例の一般公開の稽古総見は、14年以来の約8000人も訪れた。だが、大勢の目当てであろう稀勢の里は来なかった。何より欠席の連絡がなかった。それが混乱をきたした。

 春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は「これはダメ。自覚を持たないと。大関とは違うんだから」と苦言を呈し、横綱審議委員会の北村正任委員長は「土俵に上がらないまでも、まわしを締めて姿を見せてくれたら…」と残念がった。

 この“無断欠席”騒動。一番驚いたのは稀勢の里本人だった。「びっくりしました」。実は前夜、田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)と話して欠席を決めていた。この連絡を、師匠が失念していた。八角理事長(元横綱北勝海)に「『もっと早く伝えなきゃ』と厳しく言われた」という親方は「僕の不手際です」と謝った。

 騒動となっていた時間、何も知らない横綱は部屋で調整していた。「関取衆と相撲が取れないので休ませていただいた。四股や基本動作だけなら行くことはできたけど(下位力士で)相撲を取ってみたかった。申し訳なかったですが」。

 総見の欠席自体が珍しい稀勢の里が、優先させた相撲勘の回復。「日に日に良くなっている。来週から(本格的に)行けそうな気がする。今日の感じを見ると、もっと早くなるかも」。不安を広げた騒動と裏腹に、表情は日に日に明るさを増している。【今村健人】

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稀勢の里「無断欠席」に本人ビックリ、師匠が不手際

横綱稀勢の里(2017年5月1日)

 大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)の横綱審議委員会による稽古総見が3日、国技館で行われた。

 夏場所前恒例の無料の一般公開とあって、約8000人が訪れたが、左上腕部などをけがしている横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は欠席した。

 この連絡が日本相撲協会になかったため、春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は「これ(無断欠席)はダメ。自覚を持たないと。大関とは違うんだから」と苦言を呈した。だが、この“無断欠席”騒動に一番驚いたのは、稀勢の里本人だった。

 前夜に師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)と話し合い、欠席すると決めた。「関取衆と相撲が取れないので、休ませていただいた。四股や基本動作だけなら行くことはできたけど(部屋で若い衆と)相撲を取ってみたいのがあった。申し訳なかったですけど」。それだけに、騒動となっていることをニュースで知って「びっくりしました」と驚いた。

 実は欠席するという連絡を、師匠が失念していたという。その後、八角理事長(元横綱北勝海)に謝罪したという田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「本人から聞いていたので、連絡しなければと思っていたのですが…。僕の不手際です。迷惑をかけて申し訳ない」と謝っていた。

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稀勢の里ら1000人マナー講習会「今後生かして」

集合写真に納まる左から鶴竜、小久保監督、白鵬、稀勢の里(代表撮影)

 日本相撲協会は27日、東京・墨田区の両国国技館で「社会人として守るべきルール・マナーについて」と題した研修会を開いた。公益財団法人となってからは、昨年4月に続き2度目の開催となった。

 八角理事長(元横綱北勝海)、横綱稀勢の里(田子ノ浦)ら協会員や関係者ら約1000人が聴講。来賓として鈴木大地スポーツ長官があいさつ。元警視庁で組織犯罪対策部長などを歴任した頼本和也氏(読売新聞東京本社・社長直属統括参与)が「各種不法事案排除の総合的対策について(違法薬物、賭博、暴力団排除)」のテーマで現代の犯罪事情や抑止法などを説明。また3月のWBCで野球日本代表「侍ジャパン」を監督として率いた小久保裕紀氏も講演。「角界には野球にはない『相撲道』という言葉がある。礼に始まり礼に終わるという姿は必ず道につながる。それを採り入れさせていただきました」と、監督就任時に選手たちに話した逸話などを壇上で披露。初めて相撲観戦した時を思い出し「あの時の迫力、感動は今でも忘れられない。(力士も)初めて相撲を見に来る人がいつもいるんだ、と分かってもらえたらいいなと思いました」などを感想を述べた。

 稀勢の里は「力士として、人として、今後生かしていければいい」と話した。

研修会に出席した4横綱 左から白鵬、鶴竜、日馬富士、稀勢の里(撮影・鈴木正人)

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日本相撲協会、昨年度決算は6億4千万円の黒字

満員御礼となった両国国技館(2016年9月11日撮影)

 日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で評議員会を開いて2016年度決算を承認し、経常収益から経常費用を差し引いた額は約6億4000万円のプラスだった。2年連続の黒字で、昨年より約3億9400万円増。

 昨年は相撲人気が定着し、本場所開催90日間で88日間の大入り。入場券の売り上げは約1億8300万円増加した。巡業は22年ぶりの70日間以上となる75日間の実施で、興行契約金は約7500万円アップ。放送権料も増え、事業収益は昨年より約5億9300万円の増加だった。国技館の土地、建物を含めた正味財産は前年より約6億円増えて、約371億円。

 相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「協会員が頑張ったから、こういう結果になった。脇を締めてやっていかないといけない」と話した。元文部科学副大臣の池坊保子評議員会議長は黒字分の還元策について「力士の環境整備のためにお金を使うべきだ」と述べ、巡業でのトレーナー増員や、将来的な給与の引き上げを提案した。

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八角理事長「語り継がれる逆転優勝」稀勢の里を絶賛

八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 後世にまで残る一番で連続優勝を果たした横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の相撲に、協会関係者も賛辞を惜しまなかった。

 役員室で見届けた協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)は、優勝決定戦で勝負が決まった後、開口一番で「今後、語り継がれる逆転優勝だ」とテレビ画面にくぎ付けになった。もろ差しを許しながらの逆転勝ちに「最後まであきらめないことが大切だということ。稀勢の里は本当に大したもんだね。きのう、おとといのことを考えたら、こんなことが起こるとは」と話し、敗者にも「右足が送れなかった。やりづらかったと思うけど、照ノ富士もよくやったと思う」と労をねぎらった。

 6月に65歳の定年を迎え、審判部も春場所が最後の友綱副部長(64=元関脇魁輝)は、この歴史的一番を幕内後半戦の審判長として土俵下から見届けた。「自分にとって最後の最後に、こんな相撲を見られるなんて、審判をやってきて良かった」と巡り合わせに感謝。「稀勢の里に勝てる要素はなかったのにビックリした。体勢は良くなかったけど、動き続けた分、照ノ富士はついて行けなかった。決定戦もうまく逃げ回るようにして、最後は(ケガをしていなくて)使える手の方に回った」と逆転の投げを打ったシーンを述懐した。

 2場所連続で稀勢の里に優勝旗を渡した二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)も「みんな泣いていた。本人は特に(目が)真っ赤だった。感動的だったよね。(お客さんも)2番勝つとは思わなかったんじゃないの」と間近で号泣した新横綱の姿に驚いた様子。稀勢の里の横綱昇進には「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」という横綱審議委員会(横審)の内規に満たないなど、多少の物議はあった。審判部のトップとして自信をもって推薦しただけに「これで納得でしょう」と笑みを浮かべて話した。

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照ノ富士、V王手も立ち合い変化で理事長ら苦言

照ノ富士(右)は立ち合い右に跳び、はたき込みで琴奨菊を破る(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が1敗を守り、単独首位に立った。大関復帰を目指す関脇琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)をはたき込みで下し優勝次点だった15年春場所に並ぶ自己最多の13勝目を挙げた。15年夏場所以来2度目の優勝をかけ、今日26日の千秋楽で2敗の稀勢の里との直接対決に臨む。

 異様な雰囲気が会場を包んだ。大関復帰まで1敗も許されない琴奨菊相手に、照ノ富士は立ち合いで右に変化した。前のめりになった相手の頭を右手で押してはたき込み、わずか0秒6で決着。「お前なんか応援しねーぞ」「そこまでして勝ちたいんか」「2度と横綱目指すなんて言うな」。まさかの展開にブーイングが飛び交った。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「良くない」と苦言を呈した。

 誰も予想していなかった立ち合いの変化。「上がってから」と土俵の上で決めていた。1度立ち合いが合わなかったが「1度決めちゃったから」と気持ちは変わらなかった。だが、予兆はあった。初顔合わせとなった14年秋場所で、照ノ富士が右に変化してはたき込んで白星。15年夏場所の千秋楽では、今度は琴奨菊が左に動いてはたき込んで勝ち越しを決めた。ここ一番で互いに注文相撲を選ぶ因縁があった。

 今場所初めて昨年初場所を途中休場して手術した左膝のテーピングの上からサポーターを着けた。「大丈夫です」とあっけらかんと話すが、ダメージは確実に蓄積されている。この日の朝稽古は四股を数回踏んで終わり、足を引きずりながら引き揚げ、病院に向かった。場所中盤から「痛いのを我慢してる」と漏らしていた左膝で、立ち合いで踏み込むのは厳しかった。

 15年夏場所以来2度目の優勝をかけて今日26日の千秋楽で稀勢の里と直接対決する。「自分もケガして苦しいとき、ちょっとずつ良くなってきた。良くなってほしい」と回復を願ったが、土俵の上では関係ない。「全力でやるだけです」。真っ向勝負を挑む。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント (照ノ富士には)真っすぐ行ってほしかった。勝ちたい気持ちは分かるけど大関だからね。残念は残念。お客さんもいい相撲を見て満足してくれる。その見せるという認識がね。

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八角理事長「残念は残念」照ノ富士の変化に注文

立ち合いに右へ変化した照ノ富士は、琴奨菊をはたき込みで破り13勝目を挙げる(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 立ち合いの変化で勝負をつけ、館内に大ブーイングと落胆の嵐を巻き起こした大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)の相撲に、協会関係者も残念そうな言葉を口にした。

 役員室のテレビで見守った協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)は「真っすぐ行ってほしかった。勝ちたい気持ちは分かるけど、大関だからね」と、穏やかな口調ながら注文をつけた。満員御礼が続くファンあっての大相撲。「いい相撲を見て、お客さんは満足してくれる。残念は残念だね。(ファンに)見せるという認識がね」と、大関の意識不足を指摘した。

 幕内後半戦の審判長として正面土俵下から見守った審判部の二所ノ関部長(60=元大関若嶋津)も「上(=横綱)を狙う人がガッカリだね」とチクリ。照ノ富士が今場所優勝すれば「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規に照らせば、来場所は綱取りになるが「今日みたいな相撲だと印象がね」と、昇進問題に影響しかねないことも示唆した。

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八角理事長「気持ちがいい」稀勢の男気に胸打たれた

声援に応えられず花道を引き揚げる稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 手負いで臨んだ横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の土俵態度には、協会関係者の胸を打つものがあったようだ。

 左が使えず、横綱対決で鶴竜(31=井筒)にあっさりと土俵を割った一番を、会場の役員室で見守った八角理事長(53=元横綱北勝海)は、しばしの間を置いて「思うように使えないね。(ケガをしたのが得意の)左だからね」と発した後に「出来ることを精いっぱいやってる」と新横綱の必死さを評価した。この状態で出場した以上は、千秋楽も「出るでしょう。精いっぱい取るでしょう。今の精いっぱいを出せばいいんじゃないか。必死にね」と見通した。

 この日、出場に踏み切ったことにも「土俵に立ちたいという気持ちがいい。力を出し切れず本人は残念だろうが明日一日ある。それに期待したい。(今場所)最後の一番、と思えばまた力も違うだろう」と触れた。

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稀勢の里が緊急搬送 きょう出場は親方「相談して」

日馬富士に寄り倒しで敗れ土俵下に転落した稀勢の里は、左胸付近を押さえ苦痛に顔をゆがめる(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 ただ1人勝ちっ放しだった新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)に、まさかの悪夢が襲いかかった。初めての横綱対決で日馬富士に寄り倒されて、初日からの連勝が12で、初場所10日目からの連勝が18で止まった。その際に左肩から胸付近を負傷し、救急車で大阪市内の病院へ直行した。新横綱優勝の可能性が一転、出場すら危ぶまれる事態に陥った。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は14日目の出場について「明日、相談して決めたい」と話すにとどめた。

 痛がるそぶりをめったに見せない男が、何度もうめき声を上げた。そのことが異常事態を物語っていた。

 稀勢の里は左腕を動かせなかった。右手は左胸にあてる。痛みをこらえ、歩いて中に入った支度部屋で気を抜いた瞬間に「ウゥーッ!!」「アァッ!!」と表情をゆがめた。「フー、フー」と呼吸も荒い。親方衆も駆けつけるほど緊迫した空気。全勝街道を走っていた新横綱が、悪夢に襲われた。

 同格の地位に立って初めて迎えた日馬富士との横綱戦。左足から踏み込み、おっつけた左手が、空を切った。八角理事長(元横綱北勝海)も藤島審判長(元大関武双山)も、負傷したのは「立ち合いで左がすっぽ抜けたときではないか」(同審判長)と推察した。

 上体を起こされ、もろ差しを許すと、下がりながら左から振る。その直後から顔がゆがんだ。寄り倒されて、転げ落ちて土俵下に打ちつけたのも左肩から。すぐに左胸を押さえ、土俵に戻ることもできなかった。

 12連勝で止まった以上に大きな代償。支度部屋で応急的に触診した医師の「音がしたか」の問いにうなずき「動かない。動かすと痛みがあって怖い」と漏らした。医師は「外れている感じでも、骨が折れている感じでもない。『外れた』とも『切れた』とも言っていなかった」と説明した。肩か、それとも大胸筋か。新横綱は三角巾で患部を固定し、氷で冷却。午後6時19分に救急車に乗り込んだ。問いかけにも無言だった。

 大阪市内の搬送先の病院に駆けつけた師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は負傷箇所について「テレビで見たようなところ」と左肩から胸付近を指して「まだ場所があるので」と詳細は明かさなかった。鶴竜と対戦する14日目の出場についても「今日は様子を見る。明日、相談して決めたい」と話すにとどめた。

 単独トップで新横綱優勝も見えてきた矢先。朝には先代師匠の隆の里だけが成し得た新横綱全勝優勝に向けて「1日1日、しっかり力を出し切ることが大事」と話していた。そこからの暗転。八角理事長は「緊張感のある中で痛がるんだから、よほどだろう。軽傷であってほしい」と願った。【今村健人】

 ◆稀勢の里のけが 綱とりだった14年初場所12日目の琴欧洲戦で敗れた際に右足親指を負傷。「右母趾(ぼし)MP関節靱帯(じんたい)損傷で約3週間の安静加療」と診断され、7勝7敗で迎えた千秋楽を休場して負け越した。02年春場所の初土俵から初めての休場で通算連続出場は953回で途切れ、14年春場所は初めてのかど番となった。これまで稀勢の里の休場はこの1日だけ。

救急車で大阪市内の病院に向かう稀勢の里(右)(撮影・鈴木正人)

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稀勢の里負傷に八角理事長「軽傷であってほしい」

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 2場所連続優勝に向けて単独首位を走ってきた新横綱稀勢の里がまさかの負傷に見舞われ、大詰めを迎えた春場所は一転して荒れ模様となった。

 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、横綱日馬富士との結びの一番で寄り倒され、土俵下で左肩付近を押さえて苦痛に耐える稀勢の里の姿を役員室のテレビで見つめ、しばらく絶句。「どういう状況か。軽傷であってほしい」と言葉を絞り出した。

 土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は左大胸筋負傷の可能性に言及し、「立ち合いで左(の攻め)がすっぽ抜けた時かもしれない。相当な痛がり方だった」と話す。新横綱が近くに落ちてきた片男波審判委員(元関脇玉春日)は「かなり痛そうだった。私にもたれかかってきて、なかなか立てなかった」と語った。

 左腕を三角巾でつった稀勢の里が救急車に乗り込む際、駆け付けた大勢のファンから「頑張って!」の声が飛ぶなど周囲は騒然。田子ノ浦部屋付きの西岩親方(元関脇若の里)は「本当に心配だ。大胸筋が切れていたとしたら長引くかもしれない」と視線を落とした。

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照ノ富士の豪腕に山科副部長うなる「すごかった」

遠藤(手前)と激しい取り組みをする照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)の“豪腕復活”ぶりに協会関係者も、驚きの声を上げた。

 照ノ富士が前頭遠藤(26=追手風)を浴びせ倒した一番を、正面審判長として目の当たりにした審判部の山科副部長(63=元小結大錦)は「あの引きつけはすごかった。ひねり倒したもんなぁ」とうなった。好調の要因は「膝がよほど良いんだろう」とし、豪快さを取り戻した今場所の照ノ富士を「大関になった頃の相撲を取れている」と評した。

 また、協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)も「膝の不安がないのは大きい。ようやく体に力が入るようになった。体を生かした豪快さというか」と、古傷の膝の状態の良さを好調の要因として指摘。横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)を1差で追う残り3日の土俵も「優勝経験もあるし、今日のような相撲なら『今場所は行ける』と思えるようになるのでは」と期待した。

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