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若返りの白鵬39度目V、故障からはい上がった理由

名古屋場所で優勝した白鵬は後援会関係者から祝福され杯に注がれたお酒を飲む(撮影・小沢裕)

<大相撲名古屋場所>◇千秋楽◇23日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が、2場所連続39度目の優勝を決めた。1差に迫っていた平幕碧山が勝ったため、結びの一番で横綱日馬富士に敗れれば優勝決定戦にもつれ込むところだったが、1分9秒5の長い相撲を制して賜杯を手にした。昨年名古屋場所で負傷した右足親指を手術し、翌秋場所を全休。先場所で1年ぶり優勝を果たし、今場所は13日目に通算勝利数歴代1位を達成した。その裏には「断食パワー」があった。秋場所は9月10日に東京・両国国技館で始まる。

 2場所連続の優勝インタビューで、ちゃめっ気たっぷりに答えた。「名古屋のみなさん。サン・キュー」。自身が持つ最多優勝記録を更新する39度目の優勝。「39」と書かれたうちわを持ったファンを見つけてひらめいた。「天才だね」。自画自賛するほど、気持ちは舞い上がっていた。

 勝てば無条件で優勝が決まる一番。左に動いて左上手を取り、すかさず右を差した。盤石の体勢。ただ「投げが強いからね。よく見ていた」と互いに四つに組んだまま、土俵中央で動きが止まった。先に仕掛けたのは日馬富士。強引な寄りをこらえて、体勢を入れ替えて寄り倒した。

 苦しい1年だった。昨年名古屋場所の勢戦で、右足親指を負傷して手術に追い込まれ、翌秋場所を全休。復帰した去年の九州場所は11勝止まりで、春場所は右足親指を再び痛めて途中休場した。1年間、賜杯から遠ざかったのは自身最長ブランク。悪夢のきっかけとなった名古屋で、完全復活とも言える2場所連続優勝。その裏には、昨年秋場所を全休した間に行った断食の存在があった。

 サポートしたのは、杏林予防医学研究所の山田豊文所長だ。12年から白鵬の食生活を含めたコンディショニングづくりを支えている。断食の効果を「我々が物を食べていない時に細胞が体内の不要な物を食べる。だから若返る」と説いた。山田氏の断食法は、準備期間を含め約1カ月を要する。秋場所の全休で1カ月が生まれた白鵬には、うってつけのタイミングだった。

 断食期の3日間で口にできたのは水と、酵素の働きをサポートするマグネシウム入りのドリンクのみだった。そんな断食を終えた横綱について、山田氏は「明らかに体も心も若返ってきている。普通なら晩年なのに」と驚き、白鵬自身も先場所の優勝後に「検査したら血管年齢が25歳だった」と明かしたように、肉体の復活を感じ取っていた。

 前人未到の優勝40回に王手をかけ、通算勝利数も歴代1位になった。「15日間大きなケガなく全うできた。大満足ですよ」とやり切った表情。そして「とりあえずゆっくり休みたい」。また1つ歴史に名を刻んだ大横綱。来場所に向けて、今は羽を休める。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海) 決して慌てない白鵬に対し、日馬富士はしがみつくのがやっとだった。今場所の白鵬は落ち着いて気力も充実していた。勝負どころで集中力を出して勝ち方も知っている。常に先手先手を取っていた。(大台の優勝40回は)今年中にと思っているだろう。

白鵬の16年名古屋場所以降

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碧山自己最多12勝で夢つないだ、新妻もドキドキ

豪風を押し出しで破る碧山(撮影・渦原淳)

<大相撲名古屋場所>◇14日目◇22日◇愛知県体育館

 東前頭8枚目の碧山(31=春日野)が、12年夏場所旭天鵬以来の平幕優勝に夢をつないだ。幕内最年長の豪風を押し出し、自己最多の12勝目を挙げ、2敗を守った。今日23日の千秋楽で嘉風に勝ち、1敗の横綱白鵬が日馬富士に敗れれば、優勝決定戦へ。鳴戸親方(元大関琴欧洲)に次ぐ2人目のブルガリア人力士として来日。14年九州、15年初場所では関脇だった実力者が、番狂わせを狙う。

 左上手をがっちり引いて、碧山が前に出た。豪風を191センチ、195キロの巨体で抱え込み、体を預けて押し出した。「よかった。膝をしっかり曲げて、前に出られたし」。幕内35場所目で初の12勝を挙げ、優勝争いに残った。「久しぶりに緊張した」。たどたどしい日本語に実感がこもる。

 8年前のデビューから将来を嘱望されながら、左膝、腰などの負傷で伸び悩んだ。今場所の快進撃は地道な稽古のおかげだ。場所中の朝稽古でも栃煌山、栃ノ心と関取3人で相撲を取る。ただ当初は1人約10番とっていたが、前日は6番、この日は4番。内容も1勝3敗と圧倒された。夜7時間、昼2時間も寝ているが、疲れはピーク。この日の取組後は「早く布団に入りたい」とこぼした。

 それでも、まだ頑張れる。今年2月に挙式した同郷のビオレタ夫人が東京の自宅で祈っている。物言いの末に白星を手にした前日の夜は、テレビ電話で「ドキドキした」とこぼされた。「1人で待っているからね。ドキドキして倒れられたら、大変だよ」。元気な相撲で安心させたい。

 東前頭8枚目とあって、三役以上と1度も当たらず、星を重ねた。「10日目ぐらいに横綱戦を組まれるんじゃないかと思ったけどね。関脇経験者に失礼だけど、凡人にはそういうの(運)も必要」と春日野親方(元関脇栃乃和歌)。八角理事長は「碧山がいなかったら大変だったよ」と2横綱1大関が休場した場所の“立役者”に感謝する。

 千秋楽に白鵬が勝てば優勝は消滅するが、やるしかない。12年2月に急逝したかつての師匠、先代田子ノ浦親方(元前頭久島海)が「白鵬に勝てる力士に育てたい」とほれた逸材ももう31歳。「とりあえず明日の一番に集中して、勝ったらいいな…」。最後の力を振り絞る。【加藤裕一】

 ◆碧山亘右(あおいやま・こうすけ)本名ダニエル・イバノフ。1986年6月19日、ブルガリア生まれ。レスリングに打ち込みながら、クラブの用心棒などをしていたが、鳴戸親方(元大関琴欧洲)に次ぐ史上2人目のブルガリア人力士として田子ノ浦部屋入門。09年7月初土俵。11年九州場所で新入幕。最高位は関脇。12年2月の先代田子ノ浦親方(元幕内久島海)の死去に伴い、同年春場所から春日野部屋へ。家族はビオレタ夫人。191センチ、195キロ。

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白鵬万全星「いつもと一緒」39度目Vへ抜かりなし

豪栄道をはたき込みで破る白鵬(撮影・渦原淳)

<大相撲名古屋場所>◇14日目◇22日◇愛知県体育館

 通算勝利数歴代1位になった翌日も、横綱白鵬は集中力を切らさなかった。「かち上げから起こしていく。1つのそういう作戦」。立ち合いで左右に動く場面が目立っているが、この日は得意の右のかち上げで攻めて豪栄道が頭を下げたタイミングではたき込んだ。「いつもと一緒と自分に言い聞かせた。達成感、満足感というのがあった気がする」。冷静さを忘れなかった。

 逆算がうまく出来ている。ここ数場所は、場所前に調子を上げすぎ、場所後半でバテる場面が目立った。しかし、今場所は場所前の稽古をあえて抑えた。これまでの場所中の朝稽古ではやらなかった、重りを使ったすり足やスクワットを場所中に行っている。「体がここにきて反応している」と効果を実感。今日勝てば決まる2場所連続39度目の優勝へ向けて抜かりはない。

 幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)の話 白鵬が負けることは想像できない。後半戦はいつも対戦している相手でデータも入ってやりやすいだろうし集中力もある。

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 白鵬は(最多勝利)記録より優勝に比重を置いていると思うが優勝争いの後半戦に記録(のかかった相撲)があり、集中力も切れなかった。後半戦は対戦経験豊富な相手で自信を持っている。優勝決定戦になっても経験が生きるだろう。

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白鵬1048勝も通過点、次に狙うは最長横綱在位

1048勝目を挙げた白鵬は報道陣からプレゼントされた記念のボードを手にNO・1ポーズ(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇13日目◇21日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が、新大関高安を押し倒しで下し、元大関魁皇(現浅香山親方)を抜いて単独史上1位となる通算1048勝目を挙げた。序ノ口デビューから16年余り、所要97場所で新記録を樹立した。数々の記録を塗り替えた大横綱は次の目標に幕内1000勝と北の湖が歴代1位の横綱在位63場所を掲げた。今日14日目の大関豪栄道戦に勝ち、1差で迫っている碧山が敗れれば、2場所連続39度目の優勝が決まる。

 支度部屋に戻って来た白鵬を付け人らが特製のシャツとステテコを着て待ちかまえた。場所前に作っていた特注品。深緑色の生地で背中には「最多勝利1048勝達成」と濃いオレンジで書かれていた。「横綱おめでとうございます」と言われ、表情が緩む。「こんなのいつのまに。みんなのおかげだね。よく隠し通したね。あとで叱らないとな」。満面の笑みがはじけた。

 歴史に残る白星へ、今場所初めて右に動いた立ち合い。「今日は離れた勝負になると思った」と四つに組まず、のど輪で攻め立てた。何度も食い下がる高安を先手先手で攻め立てて、最後は右のおっつけで押し倒した。通算勝利単独1位の達成に「いい相撲だった。喜びは昨日より倍増したかな」。千代の富士と魁皇に並んだ時は「並んだときの方がうれしいね」と話していたが、だれも到達していない領域に踏み込んだ喜びはなお格別だった。

 入念な体作りが実を結んだ。名古屋入り前に、滋賀・長浜で3泊4日の合宿を行った。稽古場で汗を流すのは2時間程度だが、それとは別に稽古をしていた。住宅街にある宿舎近くの小さな公園で約1時間、四股を踏むなど体を動かした。近所の住民は「毎日やってますよ」と驚いていた。「場所前に体いじめてましたから」。数々の記録を打ち立てても、おごることなく、精進を続けてきたからこそ、今がある。

 次の目標も明確だ。支度部屋では「今日はとりあえずおとなしくしたい」と冗談交じりで答えた。だが、魁皇に並んで迎えたこの日の朝稽古で、はっきりと口にした。「ふと思ったのは幕内1000勝と北の湖さんの63場所」。1000勝まではあと46勝。歴代1位の北の湖にはあと3場所で並ぶ。2場所連続優勝も目前に迫る。白鵬の挑戦はまだまだ終わらない。【佐々木隆史】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 誰も勝ったことのない数字。立派です。白鵬はこれ(記録)を目標にやってきたと思う。この記録は通過点。残り2日も気持ちを切らさないでほしい。今日の相撲でも、離れても自分の方から動いて攻めていた。安定している。

「最多勝利1048勝達成」と書かれたシャツを着る付け人たち(撮影・小沢裕)
横綱長期在位5傑

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八角理事長「上の数字ない中で勝っていくのが白鵬」

「白鵬メーター」に貼る「7」を手に笑顔を見せる白鵬(撮影・渦原淳)

<大相撲名古屋場所>◇12日目◇20日◇愛知県体育館

 大相撲の横綱白鵬(32=宮城野)が関脇玉鷲を寄り切り、通算勝利歴代1位となる魁皇の1047勝に並んだ。01年春場所の初土俵から、魁皇より42場所早く達成。

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 白鵬には「これで決める」という気迫があったと思う。並大抵の努力では出来ない。体調管理も素晴らしく、努力する性格、プレッシャーに負けない強さ、稽古の積み重ね。どれが欠けてもできない。(頂点に立ち)この上(の数字)がない中で勝っていくのはつらいだろうが、白鵬ならやってくれる。今日の気迫を見るとまだ続くと思う。

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宇良勝ち越し黄信号、八角親方「上位にいてほしい」

宇良(下)は逸ノ城に寄り倒しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲名古屋場所>◇12日目◇20日◇愛知県体育館

 宇良は、巨漢逸ノ城に押しつぶされるように、寄り倒しで敗れた。

 2日前の高安戦で痛めた右膝に、前日はしなかったテーピングを施していた。相撲への影響を問われて「ないです」というが…。残り3日で6勝6敗となり、勝ち越しに黄信号がともった。2横綱2大関ら上位陣との奮闘で連日館内を沸かせる小兵力士に、八角理事長は「宇良とか(番付)上位にいてほしいな」と話した。

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八角理事長「体調管理、維持…素晴らしい」白鵬絶賛

八角理事長(2017年1月27日撮影)

<大相撲名古屋場所>◇12日目◇20日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が通算勝利数で魁皇(元大関魁皇=現浅香山親方)が持つ史上最多の1047勝に並んだ。

 役員室で白鵬の一番をテレビで見届けた八角理事長(元横綱北勝海)は「これで決める、という気迫があったんじゃないか」と張り手で攻めた白鵬の執念を察した。

 「ここまで来るには、並大抵の努力ではできない」とし、白星を積み重ねた要因として、まず体調面を挙げた。「太りすぎていないし、ケガも少ない。体調管理、維持するのが素晴らしい。立派だ」と称賛。また「四股とか基本動作を大切にしている」と稽古に裏付けされた体の柔らかさなどに加え「努力する性格、プレッシャーに負けない気持ちの強さも」と心技体の充実も高く評した。

 30歳6カ月で現役引退した元大関若嶋津で審判部長の二所ノ関親方(60)はこの一番を、正面土俵下の審判長として見届けた。「気合が入ってたね。顔に(張り手が)入ったからね」と白鵬の気迫に驚いた様子。通算515勝で現役を退いた同親方は、白鵬の記録について「すごいね。オレなんかには考えられない。オレなんか29歳ぐらいで(体に張りがなく)しぼんじゃったけど、白鵬は32歳でまだ張っている。内臓も強いんじゃないかな」と肉体的な若さを記録達成の要因と推測。今後については「大横綱だから(今後)続けて負けるようになったら引退しかないけど、まだまだじゃない?」と太鼓判を押した。

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御嶽海が白鵬止め座布団ひらひら、浅田真央さん驚愕

白鵬(左)が敗れる番狂わせで場内に飛び交った座布団がぶつかり、驚く浅田真央さん(中央)。同右は小塚崇彦さん(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇11日目◇19日◇愛知県体育館

 新関脇御嶽海(24=出羽海)が、大記録目前の横綱白鵬を止めた。右上手を離さずに、寄り切り。今場所2人目の横綱撃破で、勝ち越しを決めた。初黒星の白鵬は、元大関魁皇と並ぶ歴代最多の通算1047勝が持ち越しとなった。

 頭上を飛び交う無数の座布団に、御嶽海は酔いしれた。「久々だなぁ」。大記録達成の瞬間を待ち望む空気が一変。押し相撲の力士が白鵬を寄り切った。まさに番狂わせ。観客は狂喜乱舞した。その表れの座布団に「今までで一番多く舞ったんじゃないですか」。そう、それだけのことをしてみせた。「いや~、うれしい。今までで一番うれしい」と何度も顔が緩んだ。

 初めて対戦した1年前の名古屋場所の経験が生きた。当時は左ほおを張られて、予想と違う左四つで一気に寄り切られた。

 今回もまた右張り手が飛んできて左四つになった。「自分の右に変化すれば右を差して持っていこうと思っていた。でも、張られた瞬間、状況が全部変わった」。一瞬の戸惑い。だが、瞬時に1年前が頭をよぎった。同じ-。ためらわずに右上手を握った。「止まらずに出ないと勝てない」。

 体が動いた。出し投げを打って体が入れ替わると、ひたむきに前へ出た。外掛けを食らおうとも、命綱の上手は離さなかった。4横綱の中で1人、土俵上での勝ちがなかった白鵬を倒して勝ち越した。「また1つ自信になった」と喜んだ。

 歴代最多の1047勝に挑まれた。その意識は実は「全然なかった」。だから心が冷静だった。「横綱の緊張が伝わってきました。オーラや感覚で。毎場所やっているから分かる。思い込みかもしれないけど」。

 朝、白鵬の存在についてこうも話していた。「人気が落ちたときも上がってきたときも、1人で相撲界を支えてきた。(その意味で)ほぼ日本人です。だからこそ何が何でも勝つという姿勢を見せる。そこは見習いたい。いい相撲でも勝たないと意味がないんです」。その横綱の強さの源と見た「気持ち」で上回った。

 「ちょっとでも記憶に残ればいいですね」。大記録を、すぐには決めさせなかった男。御嶽海は、後世にそう残る。【今村健人】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)の話 白鵬は左を差して少し安心したのか。(記録への影響は)楽しみが先延ばしになった、ぐらいの気持ちだろう。御嶽海は、出し投げ気味に投げてうまく回り込んだが、あの展開は本人も思ってもみなかっただろう。優勝争いという意味では大殊勲だ。

 ◆幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)の話 御嶽海は今までの対戦を踏まえてうまく考えて取った。立ち合いの変化はやめて前に出る相撲を続ければ、関脇以上が見えてくる。白鵬は、記録への意識はあまりないのではないか。意識するとすれば優勝の方でしょう。

懸賞金の束を手にガッツポーズする御嶽海(撮影・小沢裕)

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こんな相撲見たことない!宇良が敢闘精神の力士1位

高安(左)に勢いを付けて飛び込む宇良(撮影・小沢裕)

<大相撲名古屋場所>◇10日目◇18日◇愛知県体育館

 平幕宇良(25=木瀬)が豪快な負けっぷりで館内を沸かせた。大関高安に対し、バックステップ、助走つきの体当たり、足取りなど手の内を出し尽くし、最後は首投げで吹っ飛ばされた。横綱日馬富士を破った初金星から一夜明け、負けても見る者を魅了する策士ぶりを発揮した。

 宇良が高安にぶつかるたびに館内が沸いた。立ち合いで当たり、バックステップして距離を置く。レスリングのフリースタイルのような構えから、左張り手をかわして中に入った。4度目の攻めで右足に手がかかり、左腕をつかみかけた。6度目は土俵際までわざわざ下がり、助走をつけて突っ込んだ。7度目の攻めでやっと右膝を取って出たが、逆に首投げを食い、土俵下に吹っ飛ばされた。

 もろ手突きして、下がる-。取組前の支度部屋で何度も反復した動きは完璧に封じられた。取組後は「…いや~強かった…強かったですね…」「あれだけ(自分の動きを)見られたら…僕より強い相手に…大関に…」。左手親指から血が流れ、両肩は激しく上下する。33秒7の熱戦から数分たってもまともにしゃべれぬ力士が、この日の来場者アンケート「敢闘精神あふれる力士」で1位になった。

 横綱初挑戦で白鵬に裏返され、日馬富士から涙の金星を奪い、高安にたたきのめされた。そんな激闘が、宇良の地元を動かした。今日11日目の取組で豪栄道-宇良戦が決まると2人の出身地の大阪・寝屋川市は、市役所ロビーでパブリックビューイングを行うと発表した。「寝屋川市出身者同士の対戦は初めて。上位力士の休場が続出した時から準備を進めていた」(同市広報広聴課)という。

 この日、右足を負傷した可能性があるが「それは場所中なので」と答えなかった。横綱・大関4連戦の締めくくりは同郷の先輩との対戦する。「思い切って、やりたいですね」。残り5日。宇良劇場が続く。【加藤裕一】

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安は足を取られても慌てず冷静だった。度胸がある。宇良は自分のペースに巻き込んだが、足を取ったまま行きたかっただろう。こんな相撲はなかなかない。何十年という(歴史の)中で、ここまで大胆(な相撲を取れる)というかな。

 幕内後半戦の山科審判長(元小結大錦)の話 宇良の相撲は私らが現役の時だったら怒られる。押さば押せ、引かば引けと習った古い人間から見れば駄目だろう。まあ今風に言えばいいんだろうけどね。高安はよく残った。白鵬には余裕がある。このまま行くだろう。

高安(左)と距離を置いてにらみあう宇良(撮影・小沢裕)
高安に攻められながら土俵際でこらえる宇良(右)(撮影・渦原淳)
高安の足をとるが、首をつかまれ投げられる宇良(左)(撮影・渦原淳)
高安の首投げに敗れた宇良(手前)(撮影・渦原淳)

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初金星の宇良が見せた涙のワケ、「色物と見られて」

初金星を挙げた宇良は涙を拭いながらインタビュールームを出る(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇9日目◇17日◇愛知県体育館

 東前頭4枚目の宇良(25=木瀬)が涙の初金星を獲得した。立ち合いで横綱日馬富士の右腕にしがみつき、とったりを決めた。15年春場所の初土俵から所要15場所目の初金星は歴代2位のスピード記録で、日本出身力士では北勝富士と並ぶ最速となった。65キロ未満の軽量級だった関学大2年から5年で体重137キロまで増量。8日目の白鵬戦は完敗だったが、創意工夫を重ねてきた業師は日馬富士を土俵にはわせ、歓喜の涙をこぼした。

 立ち合いの低さ、鋭さが武器の日馬富士より、宇良はさらに低く前に出た。下から当たると同時に右腕をつかんだ。振り回すように左に回りながら、両腕でしがみつくように引っ張り込む。気付けば横綱が前のめりに倒れていた。

 乱れたまげに上気した顔。ぼうぜんとしていた。勝ち残りで土俵下にいるときも目はうつろ。NHK中継のインタビューで涙をこぼした。「もう力を出し切れて良かったです…。明日からも頑張ります…」。声は震え、指で目を押さえ、鼻をすすった。支度部屋でも泣いた。「本当に分からないです」「いやもうちょっと…ないですね」。いつも取り口を聞かれると定番のように「分からないです」とはぐらかすが、この日の「分からない」は正真正銘だった。

 涙には理由がある。関学大2年だった12年8月26日、西日本学生個人体重別選手権65キロ級1回戦で敗れた。自分より2センチ低く、4キロ軽い京大の1年生に負けた。全国大会に行けず、無差別級に転向した。

 高タンパクの具材を食べ、一方でバック転もできる運動能力を維持してきた。場所中は稽古場に現れず、自分の時間をつくり、考える。体重が5年前の倍以上になった今も四股を踏めば、足先は頭上約15センチまで上がる。だが、11勝4敗の先場所で「技能というより異能」という声も出て、技能賞を逃した。今場所前の7月1日、関学大名古屋支部同窓会では、あいさつで「周りから色物と見られてるんで」とこぼした。

 初土俵から15場所目。日本出身力士では史上最速タイの金星奪取は、まぐれではない。懸命の5年間で作った“宇良オリジナル”で、角界の頂点に土をつけた。「横綱に、自分の相撲が通用したとは思ってないです。これで終わりじゃない。自信をもっていきたいです」。進化を続ける男が、はっきりと今後への決意を語った。【加藤裕一】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 日馬富士は踏み込んではいたが、やりにくそうだった。見ていくのか、そのまま行くのか、中途半端で無理に行く必要もなかった。宇良が良かったということ。いろいろなことが出来るし昨日(の白鵬戦)にしても気後れしていない。

 幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)のコメント 宇良は運動神経がいいね。取ろうと思って(相手の腕を)取れるものではない。とったりは、とっさに出たのでは。面白い力士がまた1人、出てきたね。

初土俵からのスピード金星

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白鵬1045勝に千代の富士思う「左前みつまねた」

全勝を守った白鵬は懸賞金の束を手に頭を下げる(撮影・小沢裕)

<大相撲名古屋場所>◇9日目◇17日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が平幕輝をはたき込みで下して初日から9連勝とし、元横綱千代の富士に並んで歴代2位となる通算1045勝目を挙げた。01年春場所の初土俵から、千代の富士よりも27場所早い98場所目で達成した。歴代1位の元大関魁皇の1047勝まであと2勝だ。大関高安が小結嘉風に負けて、白鵬を追う1敗は平幕碧山だけとなった。

 支度部屋で白鵬は、万歳で喜びを表現した。輝をはたき込みで下して、ついに到達した1045勝。「場所前からこの数字が目標だった。達成してほっとしてます」と喜んだ。

 場所前の力士会後、「歴代1位の魁皇まであと11勝に迫ったが」と聞かれた時だった。「同じ横綱の千代の富士関が先」。その後も、通算勝利数への質問には「まずは同じ横綱の千代の富士関を目標に」と繰り返してきた。入門以来、「左前みつの取り方は千代の富士関のをまねました」とビデオも見て研究した。この日はまわしを取る相撲ではなかったが「千代の富士関に近い、速い立ち合いをした。上手は取れなかったけどね」と体現しようとした。

 千代の富士の53連勝を塗り替えた10年秋場所で、励まされた思い出がある。「花道で『おめでとう。まだまだあるからな』と声をかけてもらったね」と懐かしがった。今は天国から見守っている先輩横綱。「『よくやった。あと2つ、3つ』と言っていただけるかな。明日勝って相撲界の兄弟子を超えることで恩返ししたい」。今日10日目、歴代1位の1047勝に王手をかけて、大きく育った背中を見せる。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 周りから見ればスンナリという感じだが、白鵬本人の努力があったればこその記録。本人の努力以外の何物でもない。(兄弟子だった千代の富士との)共通点は集中力ではないか。

 幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)のコメント 白鵬には余裕がある。まだまだ若い。筋肉の衰えがなく張っている。引退する時は尻の筋肉がしぼんでくるものだが、まだ張っている。

白鵬と千代の富士の地位別成績

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白鵬ニヤリ「宇良を裏返したね」通算勝利数2位王手

宇良をつかまえた白鵬は、体を合わせてすくい投げで裏返し(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇8日目◇16日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が、横綱初挑戦の平幕宇良を右すくい投げで下し、千代の富士の持つ歴代2位の通算1045勝に王手をかけた。自己最多を更新する43度目の中日8日目での勝ち越しを果たし、全勝で並んでいた平幕碧山が負けたため、単独トップに立った。

 支度部屋に戻った白鵬は、記者の質問に満面に笑みを浮かべて答えた。「宇良を裏返したね」。観客が固唾(かたず)をのんで、見守った一番。土俵上で2人が動き回るたびに、歓声が湧き上がった。「やる方は大変ですよ」と話しながらも笑みを浮かべる姿には、気持ちの余裕が見えた。

 立ち合いは「どっちかにズレようかと思った」と右手を出して、左に動いた。一瞬、両足を取られかけたが、持ち前のバランス力でいなし、体勢を崩したのを見逃さずに右を差す。土俵際でこらえられたが、強引なすくい投げで背中から落とした。「ああいうタイプは初めて。お客さんも満足したと思う」。自画自賛の一番で、2場所連続の中日勝ち越しを決めた。

 2カ月半ぶりに土俵上で相まみえた。4月22日の春巡業・東京八王子場所。ぶつかり稽古の相手に指名したのは、春場所で新入幕昇進した宇良だった。約5分間、胸を出したが「勢いがなかった。一生懸命やった感じはあるけど」と物足りなさを感じた。しかしこの日は「柔らかさがあった。いいものがあった」と、短期間での成長に感心した。

 この日の朝稽古で、戦闘態勢は整っていた。立ち合いの確認の相手に、小兵の石浦を指名。小さい相手にぶつかった時の感触を確かめた。見学に来ていた、親交のあるトヨタ自動車の豊田章男社長は「相撲以外の話をした時にリラックスしていたけど、体は緊張していた」と伝わるものがあったという。体と心の準備は万全だった。

 01年春場所の初土俵から積み上げた白星は1044個。歴代2位の千代の富士まで、あと1つに迫り「一番一番」と右手人さし指を立て「1」のポーズを作り意識した。歴代1位の魁皇の1047勝も手に届くところまできた。だが、まずは先輩横綱の横顔をのぞき込む。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 白鵬は右を差し左を抱えながら起こして宇良の動きを止めた。押し込んでるから余裕もある。うまく取った。負けない安定感があり気持ちの乱れもなく平常心でやっている。後半戦の盛り上がりには日馬富士、高安の頑張りが必要。

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宇良「もっと強くなりたい」横綱初挑戦も動き貫いた

白鵬(左)に、敗れた宇良(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇8日目◇16日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が、横綱初挑戦の平幕宇良(25=木瀬)を右すくい投げで下した。

 裏返された宇良は、横綱の力を痛感した。まげの後ろ、背中にべったり砂がついたまま、白鵬の印象を「すごく緊張しました。とても強かったです」と語った。「バシッと受け止められて、宙を舞って、頭から落ちて…もうなんか」と取組を振り返った。

 豪快に負けたが、負け方は普通じゃない。土俵際で横綱に右から打たれたすくい投げ。最後はあおむけにされたが、頭が下につく寸前まで、右足はブリッジを効かせるように土俵内に残っていた。身長174センチ、体重135キロの体で、涼しい顔をして片足スクワットをこなす。負けてなお、たぐいまれなバランス感覚と柔軟性を見せつけた。

 八角理事長は「宇良」を満喫したようだ。取組前から「どんな相撲を取るのか、想像するだけでもおもしろい」と話し、勝負が決まった後も「善戦じゃないの? (今日のような)上位戦じゃなくても楽しみな力士。何でもできる器用さ。動くのが“宇良の型”だね」と解説した。

 「もっと強くなりたいな」と感じた一番を経て、今日9日目も横綱戦。日馬富士に挑む。結果を問わず館内をわかせる男が、再び名古屋の土俵を熱くする。【加藤裕一】

 幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)の話 白鵬は中に入られないように、うまく取った。このまま(優勝争いは)白鵬が行くような流れでは。(横綱初挑戦の)宇良は目いっぱい行ったし、輝も押し込んで善戦した。2人ともいい勉強、いい稽古になったのでは。

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宇良三役初挑戦は完敗も「ここまできた」さあ白鵬戦

御嶽海(左)に押し倒しで敗れる宇良(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇7日目◇15日◇愛知県体育館

 東前頭4枚目宇良の三役初挑戦は黒星だった。初顔合わせとなった同学年の御嶽海に押し倒された。アマ時代にも1度だけ戦い、負けているが「あの時は(体重が)85キロでしたから…。でも(御嶽海に)強くなったと思ってもらえたら、うれしい」と話した。

 2敗目を喫したが、今日8日目は横綱白鵬と初対戦だ。本人は「ここまで来たんだな」と言葉少なだったが、周囲は盛り上がる。八角理事長は取組を聞いて「お~っ」と興味深げにもらした。「白鵬はどうさばくのかな? 宇良みたいなタイプはまずいないからね。宇良は(白鵬が)焦るのを待つしかない。焦ってくれなかったら仕方ない。でも、そういう(イチかバチかの)度胸が(宇良には)ある」と楽しみにしていた。

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まだまだ横綱のプレッシャー経験しないと/八角親方

13日、3敗目を喫した稀勢の里は、足取り重く土俵に戻る(撮影・岡本肇)

 稀勢の里は前日の左足首の負傷で2場所連続の途中休場が決まった。

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 「来場所とはこだわらず、とにかくきっちり治して15日間、戦える体を作って出てくること。今場所は不安がありながら出ていた印象。何とか出来るかな、という考えが甘かった。休む勇気も責任。まだまだ横綱としてのプレッシャーを経験しないと。それが将来の財産になる。のたうち回って1つ勝つ必死さが、精神面を強くさせる」。

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理事長「申し訳ない」稀勢の里、照ノ富士休場に謝罪

 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は名古屋場所6日目の14日、横綱稀勢の里と大関照ノ富士が同時に休場したことを受け「上位陣が休むと寂しい。率直に申し訳ない」と謝罪を口にした。

 17年ぶりの4横綱3大関という豪華番付で初日を迎えたが、前半戦だけで2横綱1大関が休場。屈指の人気を誇る平幕の遠藤も離脱し、看板力士が続々と不在となった。八角理事長は「番数が減るし、楽しみも減る。逆に若い力士が伸びるチャンス。残った元気な力士が頑張るしかないだろう」と、新大関高安を筆頭に期待を寄せた。

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白鵬に懐の深さと余裕、柔らかさ/八角理事長の見方

貴景勝を寄り切りで破る白鵬(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇4日目◇12日◇愛知県体育館

 2場所連続優勝を狙う横綱白鵬(32=宮城野)が、初金星を狙う西前頭筆頭の貴景勝の挑戦をはね返した。突き合いの応酬の中、突如仁王立ち。ぶつかり稽古さながらの構えで相手を呼び込んで寄り切った。

 八角理事長(元横綱北勝海) 最後は差しに行ってつかまったが、貴景勝は相手を十分にさせずに冷静だった。来場所以降も楽しみだ。白鵬にも来るなら来いという余裕、懐の深さ、柔らかさがあった。稀勢の里は当たって圧力をかけているから差しやすくなる。

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鶴竜が今年4場所中3度目休場、次の場所で進退明言

病院で診察を受け、部屋宿舎に戻った鶴竜(撮影・加藤裕一)

<大相撲名古屋場所>◇4日目◇12日◇愛知県体育館

 横綱鶴竜(31=井筒)が4日目の12日、日本相撲協会に「右足関節外側靱帯(じんたい)損傷で約3週間の安静加療を要する」との診断書を出して休場した。3日目の北勝富士戦で右足首を土俵に打ちつけていた。

 鶴竜は2場所連続7度目、今年4場所で3度目の休場になる。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)と話した上で「厳しいことを言われても仕方ない。次に出るときは結果を出さないといけない」と、次に出場する場所に引退覚悟で臨むことを明言した。

 井筒親方は「こういう結果が出てしまったことは、しっかり受け止めなければいけない、と(鶴竜に)言いました。休場が多いのは力が落ちたことだと思います」とした上で「今度、土俵に上がるときは、前半で連敗が続いたり、途中休場したときには、きっちり決断しないと…と思います」と厳しい言葉を残した。

 八角理事長(元横綱北勝海)は鶴竜の今後について「自分でプレッシャーをかける必要はない。きっちり治して、いい相撲をとるという気持ちでいい。苦しさの後には必ずいいことがある」と言い、奮起を促していた。【加藤裕一】

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北勝富士うれし泣き初挑戦初金星、台頭若手また新生

鶴竜(右)を押し出しで破った北勝富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇3日目◇11日◇愛知県体育館

 次代の主役は俺だ! 西前頭2枚目の北勝富士(24=八角)が、横綱鶴竜を押し出しで破り、初金星を挙げた。所要15場所目は年6場所制となった1958年以降で2位タイのスピード記録で、日本出身力士では最速となった。横綱初挑戦での初金星は14年秋場所の逸ノ城以来。同期の関脇御嶽海、平幕宇良の活躍に隠れていたが、一気に注目を集める存在になってきた。

 勝ち名乗りを受けるとき、座布団が1枚足元に落ちてきた。それは大番狂わせが起こった証しだった。北勝富士は土俵下で思わず涙をこぼした。支度部屋に戻っても時折、左目から光るものが流れ落ちた。「横綱戦を夢見てたので。久しぶりにうれし泣きしました」と照れ笑いを浮かべた。

 横綱の当たりにもひるまなかった。低く低く、突き押した。「前みつを取らせないのと引かせることでしか勝機がない」。鶴竜が嫌って後ろに引いたところを押し出した。狙い通りにも「がむしゃらだったので覚えてないです。早く帰って(相撲を)見直したい」と興奮は冷めなかった。

 地道に続けてきたことが実を結んだ。小学4年から地元の埼玉・所沢の相撲クラブに入った。徹底して言われてきたのは、前みつを取って低く拝むように押す相撲。その教えは今も変わらない。「まわしを取るなと言われている」と師匠の八角親方(元横綱北勝海)から指導があり「低く前みつを取る相撲。体に染みついてます」。ぶれずにやってきたことを横綱初挑戦の一番でも発揮。2位タイのスピード金星を獲得した。

 最大のライバルは同期の御嶽海だ。日体大4年時の全国学生選手権決勝で東洋大4年だった御嶽海に負けた。「今でもたまに夢にでますよ」というほど悔しかった。ともに角界入りし、今年初場所で初対戦したが敗れ、2度目となった今場所2日目も土をつけられた。番付でも常に先を走られ「早く追いつきたいし、追い越したい」と対抗心を燃やす。一方で「一緒に相撲界を盛り上げていきたい」と刺激にもなっている。宇良も含め、15年春場所初土俵の同期で世代交代を推し進めるつもりだ。

 この日手にした懸賞は4本。使い道は「師匠に渡します。初めてもらった時は『横綱に勝った時でいいよ』と言われたので、やっと渡せます。親方孝行できますね」と誇らしげに話した。相撲界に新星が現れた。【佐々木隆史】

 ◆北勝富士の師匠・八角理事長(元横綱北勝海)の話 北勝富士は、自分十分でなく相手を不十分にさせた。その意味ではいい相撲。師匠としてはうれしいが達成感があったら大間違い。その気になられたら困る。まだ全てが足りないし、もっと自覚してやらないと駄目。

 ◆北勝富士に金星を許した鶴竜の話 (右足をひきずりながら支度部屋に戻り)自分で退いてしまった。最悪。もったいない? まさにそうです。(右足で)変な残り方をして。冷やせば大丈夫と思う。

初土俵からのスピード金星

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稀勢の里体動かず2敗「しっかりやるだけ」悲壮決意

稀勢の里(右)は栃ノ心に寄り切られ2敗目を喫する(撮影・加藤哉)

<大相撲名古屋場所>◇3日目◇11日◇愛知県体育館

 休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が早くも2敗目を喫した。東前頭2枚目の栃ノ心を立ち合いで突き放せずに前まわしを許すと、なすすべなく寄り切られた。苦しい場所になってきた。横綱日馬富士と大関照ノ富士、豪栄道は初日を出したものの、横綱鶴竜が初黒星を喫したため、全勝は早くも横綱白鵬と小結嘉風、平幕阿武咲、碧山、錦木の5人だけとなった。

 何度か首をかしげた。頭で考える相撲が、体で表現できないもどかしさ。稀勢の里は大きなため息をついた。3日目での2敗は大関だった昨年秋場所以来になる。苦しい立場に追い込まれた。

 立ち合い、いつもの右足ではなく左足から踏み込んだ。負傷した春場所13日目の日馬富士戦以来で、左上腕付近をけが後は初めて。栃ノ心を突き放す狙いだった。だが、腰が高く、右の突きに威力がない。反対に右前まわしを許して左も封じられた。そこでおっつけに行くこともなく、頭をつけた相手を止められない。なすすべなく寄り切られて、大量の座布団が舞った。

 左足からの踏み込みは、左腕が回復した証しになるはずだった。だが…。二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「(まわしを)切ろうとしても切れない。(腰が)高い」と指摘し、不調だった二所ノ関一門の連合稽古を引き合いに「1週間程度ですぐには良くならない」とばっさりと言った。

 2場所連続で味わう苦しみ。今後について「明日しっかりやるだけです」と力なく言った。出る以上、横綱には結果が求められる。八角理事長(元横綱北勝海)は「苦しい場所になるな。苦しいところで勝っていかないと。明日は勝つんだと思って続けていくしかない」と巻き返しを願った。【今村健人】

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高安大関1勝「自分も頑張ろうと」若手活躍に発奮

大関1勝をあげた高安(右)(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇2日目◇10日◇愛知県体育館

 高安(27=田子ノ浦)が、東前頭3枚目の勢を寄り切って新大関初勝利を挙げた。過去8人、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では5人しかいない、新大関優勝への望みは消えなかった。

 高安は得意の立ち合いで新大関初勝利をたぐり寄せた。初日の北勝富士戦では不発に終わったかち上げが、勢の胸をとらえた。勢の上体を起こして左を差す。右に動かれたが、すぐに反応した。頭は下がっていたが、左を差したまま必死に食らいつく。最後は前のめりに土俵に倒れながら寄り切った。「弱いから負けた。しっかり反省して、しっかり1敗でついていきたい」と気持ちを新たに臨んだ一番。「流れでしたけど、しっかりとついていくことが出来ましたので良かったですね」と振り返った。

 敗れた初日に、いい刺激があった。自身も含めて、2横綱3大関が敗れた。その波乱のスタートの立役者となったのは24歳の御嶽海と北勝富士、20歳の貴景勝だった。27歳の新大関は「下の力士が頑張れば、自分も頑張ろうと思います。ありがたい限り。自分も一生懸命やります」と発奮材料にしていた。

 初勝利にも安堵(あんど)感はない。「千秋楽まで取り終えるまでは、ホッとできないでしょう」と気が緩むことはない。ましてや、高い目標を設定している。場所前から何度も「優勝」を公言してきた。新大関での優勝は過去8人しかいない。平成以降では栃東と白鵬しかいない。「前向きに明日も取り組みたい」。挑戦はまだ始まったばかりだ。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安は立ち合いの当たりから圧倒していた。1つ勝ったことで(今後の流れも)違ってくるだろう。日馬富士は勝ちたいという気持ちが強すぎて冷静に取れなかった。ただ、立て直す精神力はあると思う。

 幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山)の話 初日は硬かった高安は、1つ勝ってホッとしたのでは。まだ2日だから、圧力が相手に(完全には)伝わっていないが徐々にでしょう。日馬富士は厳しいが、状態は悪くない。

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稀勢の里1勝、20歳貴景勝に19歳の自分重ね応戦

貴景勝(右)を突き落としで破り気合の表情を見せる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇2日目◇10日◇愛知県体育館

 初日に黒星を喫した休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、初顔合わせの西前頭筆頭の貴景勝を突き落として初日を出した。四つに組みにいかず、押し込みながらの相撲で20歳の若武者の横綱初挑戦を退けた。優勝制度が確立された1909年(明42)夏場所以降、初日から連敗しての優勝は皆無だっただけに、踏みとどまった。

 初めてだった。左上腕付近を負傷してから、左差しにこだわらなかったのは。稀勢の里は立ち合いから突いていった。「気合を感じた」という、必死に向かってくる貴景勝の突き、押しに呼応するように。黒星発進で迎えた2日目。自然と、自らの心に火がついた。

 思えば、05年九州場所3日目。19歳4カ月で初めて横綱に挑んだ。相手は朝青龍。以前、恐怖心を抱いたことがあったかと問われると「ありますよ。あの顔を見たら誰でも怖いでしょ」と笑った。速さに圧倒され、何もできないまま小またすくいで敗れた。ただ、朝青龍からは「若手なのに顔に気合が入っていた。ほめますよ」とたたえられた。自身は引き揚げる花道で「クッソー」と悔しがった。

 あれから12年。今度は自らが横綱として、20歳の若武者の横綱初挑戦を受けた。けがの影響があろうが、気合が入らないわけがない。自身がされたのと同じように途中、相手の左ほおを張った。左からは決して強烈なおっつけは出ない。それでも、四つにこだわらなかった。最後まで応戦しながら、1歩も下がらない。足のそろった瞬間に、タイミング良く突き落とした。

 前に出る。若手に挑まれたことで思い出した攻めの姿勢が、休場明けの最初の白星を呼び込んだ。「ああいう展開でも、しっかりやれた」とうなずいた稀勢の里に、八角理事長(元横綱北勝海)は「前に圧力をかけていた。その攻防があったからこそ突きが効いた。1つ勝って落ち着くだろう。相手に合わせたとはいえ受けたのだから、ある意味で横綱相撲だ」と評した。

 優勝制度が確立された1909年夏以降、初日から連敗した力士が優勝した例は1度もない。その壁はひとまず乗り越えたが、関門はまだまだ高い。横綱として初めての休場明けの場所で、1場所15日制の49年夏以降に昇進した横綱で復活優勝できたのは30人中7人だけ。初日黒星からの優勝は北の湖しかいない。再び休場に追い込まれる危険がなくなったわけでもない。

 それは稀勢の里自身が一番、分かっている。「今日は今日。また明日、しっかり集中してやるだけです」。若手の力も吸収して、気の抜けない日々に向かう。【今村健人】

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白鵬「いいところで出られた」通算最多勝利へあと9

栃ノ心(右)を寄り切り2連勝の白鵬(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇2日目◇10日◇愛知県体育館

 横綱白鵬(32=宮城野)が過去24戦全勝と相性抜群の栃ノ心を、右四つ、左上手を引きつけ寄り切った。

 胸が合うガップリ四つにも「脚の柔らかさ、腰の構えも違う。脚から力が出ている感じ」と八角理事長(元横綱北勝海)が評する下半身の強さは盤石だった。「タイミングよくいいところで出られた」と満足そう。通算最多勝利記録に、カウントダウン開始の残り9勝とした。

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稀勢の里が黒星発進、ケガ回復も「心の壁」不安的中

御嶽海(右)に寄り切られ初日黒星の稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇初日◇9日◇愛知県体育館

 休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、いきなり黒星を喫した。新関脇御嶽海に立ち合いでもろ差しを許して寄り切られた。夏場所に続く初日黒星で、2場所連続で黒星発進となった横綱は08年夏、名古屋の朝青龍以来9年ぶりとなった。稀勢の里のほか、横綱日馬富士、大関照ノ富士、豪栄道、高安が黒星を喫した。00年九州場所14日目以来17年ぶりに2横綱、3大関が敗れる波乱で、荒れる名古屋が幕を開けた。

 休場明けの初日。左上腕付近の回復具合が測られる大事な一番で、稀勢の里はなすすべなく敗れた。引き揚げる花道では首をかしげた。支度部屋では「うーん…まぁ」とだけ言葉を発して、あとは目を閉じた。同じように初日に敗れても口数が少なくなかった先場所とは違った。2場所連続の黒星発進に無言のまま、愛知県体育館を後にした。

 5戦全勝だった御嶽海との一番。差そうとした左は厳しく封じられ、代わって生命線となる右もまわしに届かなかった。もろ差しを許して後退。俵で4秒間粘ったが、防戦一方の腰高の状態では防ぎようもなかった。今場所、上位に台頭してきた若手に「負けないように、気合を入れてやりたいと思います」と話していたが、止められなかった。

 春場所13日目に負い、夏場所を途中休場に追いやられた左上腕付近のけが。6月から精力的に稽古を積み重ね、テーピングをする必要もない状態にまで回復した。ただ、連日の稽古は最初の一番でほぼ勝てなかった。けがの再発、痛みのぶり返しを怖がり慎重に入る気持ちがどこかにあった。

 「全然、普通にできる。ただ、最初からギアが入らない。(左上腕に)もう違和感はないけど、最初の4、5番くらいはどうしても、なかなか力が入らない。そこが良くなってくれば完璧じゃないかな」。そう漏らしていた場所前。この日の朝も「いい調整ができた」とは言ったが、唯一の心配の種だった、その「心の壁」が、やはり本場所最初の相撲で出てしまった。

 初日黒星は幕内76場所で27度目。過去26場所では最高でも11勝止まりと大きな1敗で、八角理事長(元横綱北勝海)は「今日の相撲を見る限りはね」と、苦しい場所になりそうな予想を示した。ただ、先場所より腕の状態が良いのも確か。心の壁を振り払えるか。試練の場所は、名古屋も続く。【今村健人】

 ◆出場した横綱、大関が5人以上敗れた日 昭和以降、この日が13度目。最多は06年秋場所6日目の6人全滅。1人横綱の朝青龍に白鵬、千代大海、魁皇、琴欧州(のち琴欧洲)、栃東の5大関が敗れた。この日と同様、2横綱と3大関が敗れたのは00年九州場所14日目以来となる。また4横綱&3大関の豪華番付時の大荒れでは、61年九州場所6日目、8日目に2横綱と3大関が敗れたことがある。

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17年ぶりの波乱、八角理事長「上位に大変な場所」

御嶽海(右)に寄り切られ初日黒星の稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇初日◇9日◇愛知県体育館

 約17年ぶりに2横綱&3大関が敗れるという、大荒れの場所を予感させるスタートとなった。

 上位の経験を積み重ね、実力をつけた関脇御嶽海(出羽海)はもちろん、今場所は平幕上位に20代前半で自己最高位で臨む生きの良い力士が多い。

 そんな状況を協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「上位にとっては、やりずらい相手が多い気がする。宇良にしても貴景勝にしても、大きい力士がドンと来るこれまでとは勝手が違って、上位にとっては、動かれてやりずらい相手が多い気がする」と推測。波乱を演じた若手力士に対し「下の方の力士が、考えていい相撲を取っている。三役以下は『よし、オレも』という気になる」と相乗効果を予測。それに対し「上位にとって、大変な場所になるだろうが、そうはさせてはいけない」と番付上位の奮起も促していた。

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横綱稀勢の里、初日黒星に「うーん」問いかけに無言

御嶽海(左)に寄り切りで敗れる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇初日◇9日◇愛知県体育館

 休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、新関脇御嶽海(24=出羽海)になすすべなく敗れた。夏場所に続いて、2場所連続での初日黒星。支度部屋では「うーん…」と答えたきり、問いかけには無言だった。

 新進気鋭の若手を、立ち合いで1歩も押し込めなかった。差そうとした左をおっつけで封じられ、右も上手が引けない。あっさりともろ差しを許すと、防戦一方で後退した。朝には「負けないように、気合を入れてやりたいと思いますよ」と話していたが、力ない負け方。「苦しい15日間になりそうか」と問われた八角理事長(元横綱北勝海)も「今日の相撲を見る限りは」と険しい表情だった。

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稀勢の里「自分らは相撲しか」被災九州へV届ける

土俵祭の前に談笑する稀勢の里(左から2人目)。左端は白鵬、右端は高安、同2人目は照ノ富士(撮影・岡本肇)

 大相撲の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が復活優勝で、九州豪雨に苦しむ被災地に勇気を与える。名古屋場所は今日9日、愛知県体育館で初日を迎える。8日は同所で土俵祭を開催。稀勢の里は、記録的豪雨で犠牲者の出ている福岡、大分を思い「自分らは相撲しかできないですから」と語った。先場所は左上腕付近の負傷で途中休場。約17年ぶりに4横綱3大関が居並ぶ今場所は本来の“強い横綱”を見せ、九州場所で世話になっている土地に力を送る。

 雲1つない夏空の下で、稀勢の里の表情が曇った。

 「災害はどうしてもね…。自分らは相撲しかできないですから。少しでも協力できることがあれば、考えていきたいです」

 土俵祭を終え、屋外に出て、犠牲者が出た九州豪雨について質問を受けた。軽はずみなことは言えないが、大勢の人が苦しむ福岡は、11月九州場所の地。04年にはしこ名を萩原から稀勢の里に改め、新入幕で挑んだ思い出もある。

 名古屋場所では、横綱初Vの“代償”に左上腕付近に深手を負った春場所、その影響で途中休場した夏場所からの完全復活を狙う。そこに、被災地への思いを込める。

 協会トップが出した注文も、望むところだろう。八角理事長は言う。「何とか調整しての出場ですね。『ちゃんと治して…』と言われるけど(横綱は)出るのが務め。だからすぐ休まないのは立派です。いつも万全とはいかなくても、勝つのが役目。絶好調でなくても、勝つのが横綱の使命だからね」。

 初日の相手は御嶽海だ。過去5戦すべて寄り切って勝った。だが、自己最高位の関脇となった24歳には、勢いがある。「しっかり集中してやりたいです」と気を緩めない。この日は宿舎を構える愛知・長久手市の稽古場に午前7時半に姿を見せた。2日連続で本番用のなす紺の締めこみをつけ、四股で体をほぐすと立ち合いの稽古を7本こなした。入念な1時間を過ごしてから、午前10時からの土俵祭へ向かった。

 00年春場所以来となる4横綱3大関の豪華布陣。戦闘準備は整った。「(状態は)いいと思います。(調整は)いつもと同じようにしてきた。自信を持ってやれる。1日1日を大事に、集中してやりたいです」。横綱として白星を重ね、強い稀勢の里の姿が、福岡の、九州の人の心に届くように。【加藤裕一】

 ◆角界の主な災害復興支援 日本相撲協会は東日本大震災、熊本地震、新潟・糸魚川大規模火災などに際して、場所、巡業中に募った支援金を被災地に贈っている。また巡回慰問なども実施しており、8月14日には東日本大震災の被災地である岩手県釜石市を横綱2人が訪れ復興祈願の土俵入りを行う予定。個人で支援活動を行う力士もいる。

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八角理事長、V争いは白鵬中心と予想「守備が強い」

 大相撲名古屋場所の初日を翌日に控えた8日、本場所会場となる愛知県体育館で、場所中の安全と興行の成功を祈願する土俵祭が行われた。

 相撲人気を反映するように、愛知県体育館には昨年から1100人増の約2500人のファンが、土俵祭に詰めかけた。八角理事長(53=元横綱北勝海)は「(連日)満員のお客さんが、楽しんで帰ってもらえるよう、いい相撲をお見せするのが務め。力士には気力のある相撲を取ってほしい」と期待した。

 優勝争いについては「精神面の強さ、負けない相撲で守備が強い」と評する横綱白鵬(32=宮城野)を中心に展開すると予想。「白鵬は(序盤に)1つ、2つ負けても最後まで優勝争いすると感じさせる。(残る)3横綱は序盤が大事」と展望した。

 横綱3場所目で休場明けの稀勢の里(31=田子ノ浦)については「やはり出場するのが(横綱の)務め。(簡単には)休めないという気持ちは立派だと思う」と評価した上で「万全でない中でも勝っていくのが使命」と期待を寄せた。新大関の高安(27=同)については「気持ちが受けに回らないよう、攻めの気持ちを忘れないでほしい」と注文した。

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大島、友綱親方が名跡交換「明るい部屋に」襲名披露

集まった関係者の前で並ぶ、友綱改め大島親方(右)と大島改め友綱親方

 大相撲の友綱改め大島親方(元関脇魁輝)の定年祝い及び、大島改め友綱親方(元関脇旭天鵬)の襲名披露式が11日、東京・墨田区のホテルで行われた。

 12日に65歳の定年を迎える先代友綱親方は「入門当初は今の自分を想像できなかった。現役時代は大きなケガもすることなく過ごせた。師匠としては、魁皇のおかげでいろいろな経験をすることができました。これは人生の宝です。そして大島親方が継ぐことになり本当に幸せです」とあいさつした。

 11日付で名跡を交換し、モンゴル出身力士として初の師匠となる新友綱親方は「15年に親方になっていろいろな経験をした。これからは友綱部屋の師匠として相撲で盛り上げて、明るい部屋にしたい」と抱負を語った。12日から新友綱親方の稽古指導が始まる。部屋の看板も、先代と自分の木札も変えないという。なじみの部屋で、新しい風を吹き込んでいく。

 八角理事長(元横綱北勝海)も出席し「部屋持ちの親方として大事なのは新弟子を入れること。肝に銘じて部屋の経営を頑張って下さい」とエールを送った。横綱白鵬、日馬富士、鶴竜、伊勢ケ浜一門の関取や後援会関係者ら約800人が出席して盛大に行われた。

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佐田の海挙式「父追い越さないと」夫人の妊娠も判明

ウエディングケーキに入刀する佐田の海(左)と麻里菜夫人

 大相撲の十両佐田の海(30=境川)が11日、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで、今月3日に婚姻届を提出した新婦の麻里菜さん(29)と挙式、披露宴を開いた。披露宴には春日野親方(元関脇栃乃和歌)、出羽海親方(元前頭小城ノ花)、前頭宇良(木瀬)ら出羽海一門の親方衆、関取衆らが出席。また、父で元小結佐田の海の宏司さん(60)の現役時代に親交があった八角理事長(元横綱北勝海)、二所ノ関親方(元大関若嶋津)、陸奥親方(元大関霧島)ら、一門の枠を超えた親方衆も列席。約600人が2人の門出を祝った。

 東京・足立区の境川部屋から徒歩数分ほどの所に住んでいた新婦とは、後援会関係者の紹介で知り合い、昨年9月に婚約を発表。今年4月下旬には新婚生活をスタートさせるなど順調に愛をはぐくみ、約5年の交際を経てのゴールインとなった。

 5月の夏場所で約3年ぶりに十両へ陥落した佐田の海だが、東十両筆頭で迎えた夏場所は9勝6敗と勝ち越し。名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)では、1場所での返り入幕が確実となっている。挙式を終えた佐田の海は「緊張しました。もっともっと自分らしい相撲を取って、15歳で入門した時からの目標だった父に追いつき、追い越さないといけない」と節目の日に、誓いを新たにした。またつい最近、麻里菜夫人の妊娠が分かり、来年1月に第1子誕生と、二重のおめでたに包まれた。

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