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大島、友綱親方が名跡交換「明るい部屋に」襲名披露

集まった関係者の前で並ぶ、友綱改め大島親方(右)と大島改め友綱親方

 大相撲の友綱改め大島親方(元関脇魁輝)の定年祝い及び、大島改め友綱親方(元関脇旭天鵬)の襲名披露式が11日、東京・墨田区のホテルで行われた。

 12日に65歳の定年を迎える先代友綱親方は「入門当初は今の自分を想像できなかった。現役時代は大きなケガもすることなく過ごせた。師匠としては、魁皇のおかげでいろいろな経験をすることができました。これは人生の宝です。そして大島親方が継ぐことになり本当に幸せです」とあいさつした。

 11日付で名跡を交換し、モンゴル出身力士として初の師匠となる新友綱親方は「15年に親方になっていろいろな経験をした。これからは友綱部屋の師匠として相撲で盛り上げて、明るい部屋にしたい」と抱負を語った。12日から新友綱親方の稽古指導が始まる。部屋の看板も、先代と自分の木札も変えないという。なじみの部屋で、新しい風を吹き込んでいく。

 八角理事長(元横綱北勝海)も出席し「部屋持ちの親方として大事なのは新弟子を入れること。肝に銘じて部屋の経営を頑張って下さい」とエールを送った。横綱白鵬、日馬富士、鶴竜、伊勢ケ浜一門の関取や後援会関係者ら約800人が出席して盛大に行われた。

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佐田の海挙式「父追い越さないと」夫人の妊娠も判明

ウエディングケーキに入刀する佐田の海(左)と麻里菜夫人

 大相撲の十両佐田の海(30=境川)が11日、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで、今月3日に婚姻届を提出した新婦の麻里菜さん(29)と挙式、披露宴を開いた。披露宴には春日野親方(元関脇栃乃和歌)、出羽海親方(元前頭小城ノ花)、前頭宇良(木瀬)ら出羽海一門の親方衆、関取衆らが出席。また、父で元小結佐田の海の宏司さん(60)の現役時代に親交があった八角理事長(元横綱北勝海)、二所ノ関親方(元大関若嶋津)、陸奥親方(元大関霧島)ら、一門の枠を超えた親方衆も列席。約600人が2人の門出を祝った。

 東京・足立区の境川部屋から徒歩数分ほどの所に住んでいた新婦とは、後援会関係者の紹介で知り合い、昨年9月に婚約を発表。今年4月下旬には新婚生活をスタートさせるなど順調に愛をはぐくみ、約5年の交際を経てのゴールインとなった。

 5月の夏場所で約3年ぶりに十両へ陥落した佐田の海だが、東十両筆頭で迎えた夏場所は9勝6敗と勝ち越し。名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)では、1場所での返り入幕が確実となっている。挙式を終えた佐田の海は「緊張しました。もっともっと自分らしい相撲を取って、15歳で入門した時からの目標だった父に追いつき、追い越さないといけない」と節目の日に、誓いを新たにした。またつい最近、麻里菜夫人の妊娠が分かり、来年1月に第1子誕生と、二重のおめでたに包まれた。

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佐田の海挙式、約5年の交際を経てゴールイン

結婚式を挙げた後、披露宴会場に向かう佐田の海(左)と新婦の麻里菜夫人

 大相撲の十両佐田の海(30=境川)が11日、東京・日本橋蛎殻町のロイヤルパークホテルで、新婦の麻里菜さん(28)と挙式、披露宴を開いた。披露宴には八角理事長(元横綱北勝海)はじめ、出羽海一門の親方衆、関取衆や、二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)らが出席。約600人が2人の門出を祝った。

 東京・足立区の境川部屋から徒歩数分ほどの所に住んでいた新婦とは、後援会関係者の紹介で知り合い、昨年9月に婚約を発表。約5年の交際を経てゴールインした。

 5月の夏場所で約3年ぶりに十両へ陥落した佐田の海だが、東十両筆頭で迎えた夏場所は9勝6敗と勝ち越し。名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)では、1場所での返り入幕が確実となっている。

披露宴会場に飾られた佐田の海(左)と新婦の麻里菜夫人の似顔絵

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八角理事長 大関高安「私生活でも力士の手本に」

高安

 日本相撲協会は31日午前、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、関脇高安(27=田子ノ浦)の大関昇進を満場一致で決めた。

 理事会終了後、八角理事長(53=元横綱北勝海)が報道陣に対応。「相撲もさることながら、私生活でも力士の手本となってほしい。日ごろの稽古の積み重ねがあってこその馬力。その馬力を維持するには、稽古しかない。今までもやってきたと思うが、それ以上、倍やる気持ちで上がってほしい」と、期待と注文の言葉を並べた。

 照ノ富士に続く、平成生まれ2人目の大関誕生だ。横綱4人は、いずれも30代で世代交代の一翼としての期待もかかる。そのことには「世代交代といっても横綱も元気。たいへんだろうが、その一角に入るという気持ちで(横綱戦は)力ずくで勝つぐらいの取組を見せてほしい」と期待。中卒たたき上げで、若手への刺激となることにも同理事長は「下の者を“やれば出来る”という気持ちにさせる。気持ちが受けに回らないよう、今まで通り強きの攻めを見せてほしい」と語った。

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「大関」高安31日誕生、本名に誇りしこ名変えない

樽酒の前で握手を交わす高安(左)と田子ノ浦親方(撮影・横山健太)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)の大関昇進が事実上、決まった。審判部が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、了承された。過去に理事会で見送られた例はない。その高安は大関照ノ富士に敗れて11勝4敗。来場所、優勝争いを演じることを誓った。また、昇進後もしこ名を変更せずに本名の「高安」で取ることを明言。31日に正式に「大関高安」が誕生する。

 最初はひたすら無言だった。負けた悔しさだけが込み上げた。高安は、照ノ富士に小手投げを食らった。支度部屋では、きめられた右肘を氷で冷やすだけ。ふがいない自分へのいら立ちがあった。その姿は、大関昇進を決めた場所の兄弟子稀勢の里とうり二つ。重い口を開いたのは、技能賞の表彰が終わった後だった。

 「素直に喜びたいですね。やっと終わったという気持ちが大きい。この15日間に懸けてきた。今は肩の力が抜けました」。ようやく、胸のつかえが下りた。

 「高安」。この本名のしこ名に誇りを持ってきた。発祥は大阪府八尾市。「高安一族はそこの武家につかえていたそうです」。当地には今も高安城や高安山(標高488メートル)があり、駅もある。ただ「いくさで負けて討伐隊に追われ、全国に散ったと聞きました」。

 角界の「高安」は茨城から名を上げた。当初、先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)は関取昇進時にしこ名をつける考えがあった。だが、父栄二さんが本名を希望すると、先代も受け入れた。「高安の高ははしごの髙。1段1段、上っていけばいい」。

 願い通り、1歩ずつ歩んできた。昨年九州では初めて大関とりに挑み、失敗した。「目が覚めた。大関は目指していたが、自信はなかった。でも、自分も挑戦していいんだという気持ちが強くなった」。2度目の挑戦で成し遂げた。「よく『しこ名をつけないと、力士になった意味がないのでは』と言われますが、これが自分のしこ名。1段ずつ歩く。引退するまで『高安』で行きます」と誓った。 13日目で日馬富士を倒し昇進を確実にした。ただ、それから2連敗もした。「2桁は勝てる。でも、貴重な星を1つ、2つ落として優勝から遠ざかる」。反省の言葉は視線の先にあるモノの裏返し。優勝、そして稀勢の里の姿がある。「しっかり追いかけて、いつか肩を並べてみたい」。また1段、はしごを上っていく。【今村健人】

 ◆しこ名が本名のままで大関になった力士 本名で入幕した力士は47年夏場所の岩平(元小結若葉山)を最初に、今年春場所の宇良まで45人。そのうち本名のしこ名で大関になったのは過去3人しかいない。最初は輪島で、そのまま横綱に上り詰めた。2人目は北尾。横綱昇進時に「双羽黒」にあらためた。3人目の出島は本名のまま引退した。

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高安両親感激「よく頑張った」幼少時明るい甘えん坊

高安との思い出を笑顔で語る母のビビリタさん(左)と父の栄二さん(撮影・横山健太)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)の大関昇進が事実上、決まった。審判部が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、了承された。

 高安の両親も大関昇進に「よく頑張った」と感激もひとしおだった。フィリピン出身の母ビビリタさん(54)は幼少時代の関取を「明るくて甘えん坊」と述懐した。「絶対嫌だ」と相撲を拒否する高安少年を入門に導いた父栄二さん(66)は「先代親方が甘えっ子だった子どもを心の折れない強い人間につくってくれた。健康に注意して、堂々と自信みなぎる相撲を取り続けてほしい」と望んだ。

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満場一致で臨時理事会招集、30日に使者待ち会見

今後について語る高安(撮影・横山健太)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)の大関昇進が事実上、決まった。

 結びの一番終了直後、審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)と山科副部長(元小結大錦)が、理事長室に八角理事長(元横綱北勝海)を訪ね、高安の大関昇進を諮る31日の臨時理事会の招集を要請し、了承された。同部長によれば、審判部の意見の集約は前日から千秋楽にかけて行ったそうで「異論を挟む余地はなかったのか」の問いに「そうです。満場一致です」と答え「後ろ姿に強くなっている空気が出ている」と評価した。

 ◆大関昇進への流れ 過去に理事会で昇進が見送られた例はない。高安は今日29日に一夜明け会見、30日に「使者待ち会見」を行うのが通例。31日の名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)番付編成会議と臨時理事会を経て、正式決定する。直ちに同じ二所ノ関一門の理事と審判委員が使者として出向き、伝達式が行われる

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高安の大関昇進、千秋楽後に臨時理事会招集へ  

高安

 大相撲で昇進を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)は夏場所千秋楽の28日、関脇高安(27=田子ノ浦)について、大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請する意向を示した。この日の昼までに審判部の意見をまとめ「結びの一番が終わってから、理事長に要請しようと思っています」と明かした。過去、理事会で昇進が見送られた例はない。

 二所ノ関部長は「昨年九州場所で7勝だった以外、ここ何場所かはずっと安定している。内容はいいと思う。はたきもあるけど力強い」と評価した。

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高安3敗に八角理事長は「2つくらいミスしている」

支度部屋で無言だった高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

 大関昇進が確実な関脇高安が課題を突きつけられた。平幕正代に寄り倒されて3敗目。無言だった関取に代わり、八角理事長は「2つくらい、ミスをしている」と相撲内容を分析した。

 立ち合いで得意のかち上げを見舞うも、押し込めないうちに引いたことが1度目の失敗。右上手を引くも後ろに下がり、圧力を受けながら投げにいったのが2度目の失敗だった。理事長は「今日は悪いところが全部出た」と厳しかった。

 昇進を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)は、審判部内での会議は「今日は全くしていない」とし「もう(大関に)なったんだと思ってもらっても困るしね」と言い添えた。昇進は確実でも、千秋楽まで見る姿勢は変わらない。

 審判長を務めた山科審判部副部長(元小結大錦)は「引いちゃいかん。癖になっているみたいだ」と指摘し、理事長も「はたきは癖になる。そこが課題。稽古で直してほしい」と注文をつけた。角界の看板力士たる「大関」になるがための要望だった。負けて覚える相撲かな、とはよく言ったもの。大関昇進を前に、攻め抜く心構えをあらためて問われた一番だった。

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審判部が千秋楽に高安の大関昇進協議、部内異論なし

 日本相撲協会で昇進問題を預かる審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)は大相撲夏場所14日目の27日、関脇高安の大関昇進を協議する会議を千秋楽の28日に開くことを明らかにした。

 意見が昇進に一本化されれば、場所後の臨時理事会の開催を八角理事長(元横綱北勝海)に要請する。二所ノ関部長は「皆さんの意見がどう出るか分からない」と慎重に述べたが、関係者によると部内で異論は出ていない。これまで理事会で昇進が見送られた例はなく、理事長が開催を承諾すれば、高安の大関昇進が事実上決定する。

 高安は14日目に平幕正代に敗れて3敗目を喫したが、八角理事長は「ひと山を越えた感じがする」と、印象が変わっていないことを認めた。

 6場所連続で三役に在位する高安は13日目に横綱日馬富士を破り、3場所合計の勝利数で、昇進の目安とされる33勝を上回る34勝とした。力強い突き、押しなど相撲内容も高評価を受けている。

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八角理事長「勢いがある」横綱撃破の高安を高評価

高安(右)ははたき込みで日馬富士を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇13日目◇26日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)が、優勝争いで全勝の白鵬を1差で追う横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)を、力強い相撲で倒し11勝目(2敗)を挙げた。

 前日12日目に、大関昇進の目安とされる「直近3場所合計33勝」に届いていたが、さらに星数を上乗せ。先場所は横綱戦に2戦2敗だっただけに、価値ある白星となった。

 「昇進」に関しては、軽々に口は出せない協会トップの立場から、八角理事長(元横綱北勝海)はこの日も「(千秋楽が)終わったら言う」とくぎを刺しながらも、相撲内容には高評価する言葉しか出さなかった。今年に入り実感している高安の強さについては「今場所、特に強くなったという感じ」と評し、今場所も「序盤戦から『勝っているな』ではなく『力強いな』というイメージ。怖いもの知らずというか勢いがある。今日も『まわしを取って行ける』という自信をつけた」と話した。

 一方、大関昇進が決まる段取りで最初の手順となるのが、審判部から理事長への理事会招集の要請がある。審判部の総意があれば千秋楽に要請するが、その審判部トップの二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「あと2日ある。千秋楽を見てからね」と一応の予防線? を張る一方で「大きい一番ですよね。皆さんが思うのと一緒。明日か明後日に意見を聞きますよ」と、審判部内で昇進OKか否かの意見を聞き、総意としてまとめることを明かした。

懸賞金の束を受け取った高安(撮影・神戸崇利)

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高安狙うVで大関昇進、休場稀勢の里の無念も背負う

宝富士(後方)を上手投げで破り大関昇進目安の10勝目を挙げた高安(撮影・丹羽敏通)

<大相撲夏場所>◇12日目◇25日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)が、場所後の大関昇進をほぼ確実にした。西前頭4枚目の宝富士を上手投げで退けて10勝目。昇進目安となる直近3場所での33勝に届いた。八角理事長(元横綱北勝海)や昇進を預かる審判部からは相撲内容の評価も高く、今日13日目の横綱日馬富士に勝って確定させる。横綱白鵬は平幕栃煌山を退けて全勝を守り、この日は不戦勝だった日馬富士が1敗で追う。

 高安もやはり人の子。硬さがあった。今場所初めてもろ手で立つと、突っ張る意識とは裏腹に「反射的にまわしを取りに行ってしまった」。肩越しの右上手。宝富士を呼び込む「危ない相撲」だった。だが、思い切りが良いのも今場所の高安。「1度行ったら、上手から振り切るしかない」。強引に振り回し、最後は力ずくで転がした。割れんばかりの拍手が身を包んだ。

 昇進目安の33勝に届いた。明確な昇進の声はまだないが、内容への評価は高い。八角理事長は「安定した力はつけた印象。特に今場所は落ち着いている」とし、審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「12日目で一応の目安ですからね。内容は力強い。何となく勝っているわけではなく、力がある勝ち方だ」と示唆した。

 05年2月に門をたたいた鳴戸部屋。そこに入幕直後の稀勢の里はいた。初めて胸を借りたのは1年目。今でも覚えている。「きついぶつかり稽古はその時が初めて。胸がすごく重かった。食らいつくのがやっと。初めて稽古の厳しさを感じることができました」。2年半で三段目上位に上がると毎日のように鍛えられた。夜も連れ出されると「おいしいものがたくさん」。一心不乱に食べた。だから感謝に堪えない。「この体は横綱のおかげです」。

 今、稀勢の里はいない。10日目の夜に、こう言われた。「休場するけど、頑張ってな」。大関とりにではなく、優勝争いだと受け止めた。13日目は1敗の日馬富士。勝てば昇進は確実になる。だが「自分のこれからの相撲人生で大事な一番。しっかりついていきたい」。その目は賜杯争いしか見ていない。【今村健人】

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高安、大関昇進目安33勝「大きな一番」藤島副部長

2敗を守った高安は懸賞金の束を手に引き揚げる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇12日目◇25日◇東京・両国国技館

 関脇高安(27=田子ノ浦)が平幕の宝富士(30=田子ノ浦)を、守勢に回りながら上手投げで破り、2桁10勝目をマーク。過去の例から大関昇進の目安とされる「三役で3場所合計33勝」に届いた。

 日本相撲協会の幹部からは「昇進」を示唆するような言葉は出なかった。それでも、高安の力を高く評価する声は変わらない。八角理事長は「安定した力はつけたという印象。特に今場所は落ち着いている」と話した。大関昇進には、千秋楽まで見て、審判部の総意を受けて場所後の理事会招集-という流れがある。ましてや理事長判断で決まるものでもなく「(昇進は)審判部が(自分に)言ってきてからの話。33勝は関係ない」と、昇進をにおわす言葉は当然、差し控えた。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、高安の心理を読み解くように「今場所初めて(立ち合いで)もろ手で行った。ぎこちなかったですね。いつもの(体当たりではじくような)立ち合いの方が良かったと思いますが、思うところがあったのか。(2桁勝利の)意識があったのかもしれませんね」と分析。ただこの1勝の重みについては「12日目で一応の目安ですからね。何となく勝っているわけでなく、力があるなという勝ち方。大きな一番であることには変わりない」と評価。13日目の日馬富士戦にも「どっちが勝っても激しい相撲になる。勝つことで自分の優勝の道も開けるかもしれない。集中していってほしい」と期待した。

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八角理事長「気持ちの面で余裕」V争いは白鵬有利

全勝を守った白鵬はおいしそうに栄養補助食品をほおばる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇11日目◇24日◇東京・両国国技館

 全勝の横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)に土がつき、無傷の横綱白鵬(32=宮城野)が単独トップに立った。

 まだ4日の土俵を残し、差もわずか「1」。それでも八角理事長(元横綱北勝海)は「1差のリードですが」という報道陣の問いかけに「だいぶ有利。それ(1差)以上だ」と、数字以上の重みと読み「気持ちの面で余裕がでる。1つ負けても(決定戦)というね」と続けた。37度優勝の実績からくる経験値、過去の対戦成績(白鵬の34勝21敗)などから、白鵬有利とみた。

 またこの日、幕内後半戦の審判長を務めた審判部の山科副部長(元小結大錦)も「白鵬が有利になったね。断然ね」と強調。「余裕が出てくるんじゃないかな、1番(1差)で」と続けた。優勝パターンを熟知している白鵬の、逃げ切りを推測するようだった。

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八角理事長が白鵬の立ち合い分析、相手の力を封じた

懸賞金の束を手に持つ白鵬(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇10日目◇23日◇東京・両国国技館

 今場所の優勝を占う結びの一番は、横綱白鵬(32=宮城野)が関脇高安(27=田子ノ浦)の挑戦を、気迫のこもった相撲で寄り倒しで退けた。協会幹部は、両者の経験値の違いなどを勝敗の分かれ目として分析した。

 右から張ると右に変化気味に体を開き、右を差した白鵬。粘られると今度は横綱が頭をつけ、勝利への執念を見せた。以前の白鵬なら、強引に投げを打つことも考えられたが、そんな強引さは封印し、勝ち方も念には念を入れる慎重さ。八角理事長(元横綱北勝海)は「白鵬は高安に力を出させない立ち合いをした。相手が強いと認めた証拠だろう」と、まずは立ち合いに注目。頭をつけたことには「危機感だろう。力をつけた相手に確実に勝つという余裕というかな」と推測した。

 37度優勝の横綱だけに、高安との経験値の差を挙げ「(持っている)勝ち方のバリエーションの違いでしょう。今日の相撲が大事なこと、優勝の仕方が分かっている」と評価。高安については「立ち合いが正直すぎた。心の準備が出来ていなかったような気がする」と読み解いた。自分の立ち合いが出来なかった時、その後の対処法に難があることは、かねて指摘していた。

 土俵下で審判長を務めた二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)は「反対だよな。反対に(高安が)頭をつけないといけない」と挑戦する立場の高安が、受けに回ってしまったことを敗因として指摘。一方で「しぼって、まわしを取りにいっている。横綱がうまいということ」と百戦錬磨の白鵬を評価した。

全勝を守り支度部屋で笑顔を見せる白鵬(撮影・小沢裕)

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稀勢の里読まれていた…V3絶望3敗目に深いため息

栃煌山(左)に寄り切られ、悔しそうな表情で土俵から落ちそうになる稀勢の里(撮影・狩俣裕三)

<大相撲夏場所>◇9日目◇22日◇東京・両国国技館

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が痛い3敗目を喫した。東前頭4枚目の栃煌山に立ち合いでもろ差しを許して、あっけなく寄り切られた。日馬富士、白鵬の両横綱が全勝を守ったため、首位とは3差。37年夏場所の双葉山以来80年ぶりの初優勝からの3連覇は、絶望的となった。

 花道をとぼとぼと引き揚げる背中は寂しげだった。付け人に力なくタオルを放るのは、らしからぬ姿。左腕を曲げて、患部の上腕から胸の辺りを気にするしぐさもあった。深いため息の中で、稀勢の里は2個目の金星を許した。3連覇が大きく遠のく3敗目だった。

 立ち合いが全てだった。前日の碧山と同じく右から張って左差しにいった。だが、この日は差し身のうまい栃煌山。勝手が違った。協会幹部の言葉が厳しい。

 八角理事長(元横綱北勝海) 張り差しが読まれていた。気持ちが張り手の方にばかりいっていた。もったいない。

 審判長を務めた藤島審判部副部長(元大関武双山) 今日は左が甘すぎた。脇が甘いのは悪い癖。もろ差しになってくださいと言わんばかりだった。

 張り手の右を意識するあまり、差し手の左が弱く、差し負けた。もろ差しを許して防戦一方。左から突き落とそうとするも、けがの影響もあってか、弱い。あえなく寄り切られた。

 9日目までの3敗は、16年初場所以来1年半ぶり。2横綱とは3差がついた。3連覇はもはや絶望的。支度部屋で無言を貫いた稀勢の里に、理事長は「(優勝の可能性が)数字上、残っている以上、頑張らないといけない。明日からきっちり勝つのが横綱の務め」と促した。【今村健人】

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日馬富士7戦全勝支える秘密兵器「ハイボルト療法」

嘉風(左)を押し出しで破る日馬富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、過去8勝8敗と五分だった小結嘉風(35=尾車)を下して全勝を守った。初日から7連勝は14年春場所以来9度目で、そのうち6度は優勝につなげた経験がある。春場所後は右膝や左肘に痛みを抱えながら、巡業を皆勤。自腹で購入した電気治療機器を愛用しつつ、9度目へ前進した。横綱白鵬も平幕大栄翔を下し、全勝を守った。

 日馬富士は、身長で10センチ低い嘉風の胸に頭からぶつかった。常に主導権を握って圧倒した。押し出した後、両腕で相手を抱く余裕もあった。過去の対戦は五分だった難敵に「当たるのが楽しみだった。燃える相手の1人」と笑みをこぼした。

 体は万全ではない。支度部屋では左肘をさすりながら「しびれている」と漏らした。春巡業中から右膝や左肘など、全身に痛みを抱えていた。支えたのは、数百万円で自腹購入した伊藤超短波の電気治療機器による「ハイボルト療法」。日本電気治療協会の杉浦直行理事によると「従来の治療法が家庭用ホースの水だとすれば、このハイボルト療法は消防車のホース」と説明する。インナーマッスルの腫れ、炎症をなくす効果があるという。日馬富士も「これだと一瞬で良くなる」と効果を口にする。場所中も、夜に1日1時間半は使用してきた。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「決して膝や肘が良くなってるわけではないはず」と見抜く。それでも、14年春場所以来の初日から7連勝。「勝つことが何よりの薬です」と言う日馬富士が、昨年名古屋場所以来9度目の優勝へ、ひた走っている。【佐々木隆史】

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八角理事長、負けなし白鵬と日馬富士の心理読み解く

大栄翔(左)の顔面に張り手を浴びせる白鵬(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

 稀勢の里(30=田子ノ浦)ばかりに話題が集まる横綱勢にあって、日馬富士(33=伊勢ケ浜)と白鵬(32=宮城野)という序列で東西2枚目の両横綱が無傷の7連勝とした。

 2横綱の初日から7連勝以上は、15年名古屋場所の白鵬(9連勝)、鶴竜(8連勝)以来約2年ぶり。全勝を続ける両横綱の心理について、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「最近、主役というか話題を取られているから、今場所にかける思いは2人ともあると思う。『今場所はオレだ』というね」と読み解いた。優勝争いは当然、2人が中心になると展望し「経験、優勝回数からいって白鵬と日馬富士という感じだね。稀勢の里とも当たるわけだし、いいんじゃないですか。強い人、強い横綱がいて(場所が)締まる」と期待した。

嘉風(左)を押し出しで破る日馬富士(撮影・鈴木正人)

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高安初黒星、八角理事長「1発間違えるとこうなる」

立ち合い後、玉鷲(左)と激しい攻防を見せる高安(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇6日目◇19日◇東京・両国国技館

 コンマわずかの差が勝敗を分けた。高安は、玉鷲に立ち遅れた。すると踏み込めず、自慢のかち上げは空を切り、上体を起こされた。あえなく押し出されて、連勝は5でストップ。悔しさから支度部屋で言葉を発することはできなかった。

 朝に強調していたのは攻めの姿勢だった。「攻めの厳しい力士(玉鷲)にこそ、攻めることが大事」と。ただ、思い描いた相撲は取れず、八角理事長(元横綱北勝海)は「いろいろ考えて集中できなかったんじゃないか。1発間違えると、こうなる」と分析した。

 優勝争いから1歩後退。それでも、まだ1敗。理事長は「玉鷲を褒めるべきだろう」と切り替えをうながした。スポーツ紙の1面も飾った朝に「そういう風に自分中心に動かすんだという気持ちでやっていきたい」とも語った。意欲はちっとも薄れていない。大関とりの視界はまだ開けている。

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八角理事長「柔らかさがない」初黒星の高安に指摘

悔しそうな表情で土俵を下りる高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇6日目◇19日◇東京・両国国技館

 大関とりの関脇高安(27=田子ノ浦)に今場所初黒星がついた。場所後の大関昇進には、目安として残り9番で5勝と、依然として数字上の可能性は高そう。ただ、かねて危惧されていた不安点が露呈したことを、協会関係者は指摘した。

 相手の関脇玉鷲(32=片男波)に対し、わずかだが立ち遅れたことを八角理事長(元横綱北勝海)は「立ち合いちょっと遅れた。いろいろ考えたんじゃないかな。立ち合いで集中できず当たりきれなかった。1発間違えるとこうなる」と分析した。さらに、立ち合いで失敗した後の対処法についても「土俵際で残る柔らかさがない」と指摘。再び攻めに転じる動きに、立ち合いで成功した時ほどの鋭さや攻めに工夫がないことは、かねて口にしていた。また勝った玉鷲について「玉鷲を褒めるべき。力をつけている」とも続けた。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、強烈な破壊力を持つ玉鷲に対しても、ここまでの相手と同様に胸ではじくように当たりに行った、高安の立ち合いに注目。「相手をはじくような立ち合いがベストなのかどうか。頭で行った方がいい時もある。相手によって変えてもいいのかもしれない」と指摘した。勝負に関しては「互いに駆け引きしない真っ向勝負だった」と、好評した。

立ち合い後、玉鷲(左)と激しい攻防を見せる高安(撮影・神戸崇利)

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鶴竜の休場に横審苦言「横綱の責任果たしていない」

鶴竜

<大相撲夏場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

 5日目から横綱鶴竜(31=井筒)が休場した。番付上は2場所連続の4横綱時代だが、やはり白鵬(32=宮城野)が途中休場した先場所に続き「4横綱皆勤」はならず-。協会関係者も残念がった。

 八角理事長(元横綱北勝海)は鶴竜に対し、気持ちを切らさず早期回復を願った。「若手が出てきていろいろ大変だろうけど、体を治して横綱らしい相撲を。(最近は相撲が)あっさりしすぎていたからね」。番付降下がなく、引退しか道は残されないのが横綱の宿命だが「気持ちを切らさないこと。達成感を感じるにはまだ早い」と精神面の立て直しにも期待した。

 また、横綱審議委員会の本場所総見だったこの日、両国国技館に観戦に訪れた北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)も「(稀勢の里より)鶴竜の方が心配。どこが本当に悪いのか。(鶴竜の通算休場は)6回目? もう少し頑張ってもらわないと」と苦言。横綱昇進後、19場所目で5度目の休場の多さもあり「横綱としての責任を果たしていない」と苦言を呈した。

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稀勢の里の一番を関係者分析「左はまだ完全でなく」

千代翔馬に上手投げで振られる稀勢の里(撮影・丹羽敏通)

<大相撲夏場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

 館内をヒヤヒヤさせた横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の一番を、協会関係者は冷静な目で見守った。

 この日は、横綱審議委員会による本場所総見の日。間近で観戦した北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「稀勢の里人気はすごい。勝った時(の大歓声)はめちゃくちゃだった。稀勢の里のおかげで相撲人気も上がっている」と驚きつつも、取り口から負傷の回復具合について「だんだんと良くなってきているのかな、と思ったけど左はまだ完全でなく、おっつけが効かない」と冷静に分析。万全でないため、連続優勝した最近2場所の相撲は求めるべくもないようで「この場所に関しては優勝を求めない。(出場は)ファンも望んでいるが、全て勝てとは思っていない」とファン目線からの心理を読み解いた。

 また八角理事長(元横綱北勝海)も、左おっつけから差す形になれない横綱を「(本来なら)左をあおりながら早く自分の形になれるのが、痛めている影響があるのだろう」と分析。今後もヒヤリとさせる相撲が続くことを見越し「今場所は今日のような感じではないか。完璧な相撲は、慣れてきて最後に出るかも、ぐらいの感覚では」と横綱の心中を推察した。

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稀勢の里、初の無言…墓穴堀り2敗でV3黄信号

遠藤に押し出される稀勢の里(左)(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇4日目◇17日◇東京・両国国技館

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が初金星を配給した。西前頭筆頭の遠藤が足を滑らせたところではたきに動き、まともに呼び込んで押し出された。平幕力士11人目で初めて金星を与え、早くも2敗目。37年夏場所の双葉山以来80年ぶりの初優勝からの3連覇が険しくなった。遠藤は自身3個目の金星。

 横綱昇進から11人目にして、とうとう平幕力士に負けた。初めて許した金星とあまりに悔しい内容に、支度部屋では生返事と無言だけ。稀勢の里は今場所初めて、言葉を発しなかった。

 つい、体が反応してしまった。突き押しの応酬の中、右手で強烈な張り手を見舞った。すると、下がった右足が仕切り線で滑ったのか、遠藤の体がガクッと落ちた。一瞬の間が生まれた。反応がわずかに遅れた。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「『アレ?』って感じだろう。頭が下にいっちゃったから、つい押さえにいったんじゃないか」。思わず出てしまった引き技。だが、遠藤は既に体勢を戻していた。まともに呼び込み、一方的に押し出された。理事長は「『何やってんだ、オレは』という感じだろう。負けた気がしないんじゃないのか」と察した。

 鬼門なのか「横綱2場所目の4日目」は昭和以降、先代師匠の隆の里ら4人も初金星を配給していた。5人目の屈辱。平幕力士11人目で初めて与えた金星は苦い。ただ、日馬富士は「横綱だって人間ですから。(配給の少ない)白鵬関らと比べちゃうけど…」。横綱誰もが通る道だと話した。

 朝、新しい反物が部屋に届いていた。しこ名に、横綱だけが許される「綱」の絵柄が染め抜かれていた。「『綱』は横綱にならないと入れられない。一番(綱の)白に合う」と選んだ紺色の品は、周囲に配る物。先代師匠は言っていた。「自分のしこ名が入った浴衣を自分で着るのは粋じゃない。人に着てもらってこそ意味がある」。痛い2敗目だが、大勢に喜んで着てもらうためにも、止まってはいられない。【今村健人】

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稀勢の里、初の金星配給「何やってんだ」理事長代弁

支度部屋で悔しそうな表情をする稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇4日目◇17日◇東京・両国国技館

 不運と言うべきか、それとも相撲の神さまのいたずらなのか。

 横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が西前頭筆頭の遠藤(26=追手風)に押し出されて、横綱昇進後、初めて金星を配給した。

 立ち合いは突き、押しの応酬。押し込むだけの力は見られなかった。強烈な右の張り手を見舞った瞬間、遠藤の右足が下がり、そして滑った。ガクッと下がる相手の体。すると稀勢の里の体が一瞬、止まった。間があった。そして、体が思わずはたき込みにいってしまった。これがまともに呼び込む形となって、あえなく押し出されてしまった。

 悔しさのあまり、支度部屋でほとんど口を開かなかった稀勢の里に代わり、八角理事長(元横綱北勝海)は「(遠藤の)頭が下に行っちゃったから、つい頭を押さえにいったんじゃないか。負けた気がしないだろう。『何やってんだ、オレは』という感じでは」と心情を推察した。

 平幕力士11人目で許した初金星。何より、3連覇に挑む優勝争いから後退する2敗目。左上腕付近のけがを抱える稀勢の里にとって、試練の場所になっている。

稀勢の里(右)は遠藤に押し出しで敗れる(撮影・柴田隆二)

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稀勢の里、執念の白星 強靱な下半身に親方衆うなる

千代の国(奥)に土俵際まで追い込まれた稀勢の里(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇3日目◇16日◇東京・両国国技館

 起死回生で白星をものにした横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の一番に、協会関係者も思わずうなった。

 立ち合いから劣勢だった横綱の一連の流れに、八角理事長(元横綱北勝海)は「(千代の国に)いなされて腰がだんだんと高くなっている。立ち合いも棒立ちだ」と本調子でないことを指摘。

 それでも執念で白星を呼び込んだことに「膝が棒立ちになりながら、最後の最後に力を振り絞って、よく足がついていった。足腰が重くて柔らかい」と下半身の強靱(きょうじん)さを強調。

 善戦した千代の国(26=九重)については「惜しいというより、最後の一押しが大変なんだ。自分も大乃国さん(元横綱=現芝田山親方)と対戦した時がそうだった」と地力の違いも指摘した。

 土俵下で審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)は、稀勢の里の残り腰を「初場所千秋楽の白鵬戦のような残し方だった。絶体絶命の体勢で、相手が引いてくれなかったら負けていたかもしれない」と分析。さらに「(劣勢でも)稀勢の里は引こうとしなかった。それが、この結果になったのでは」と、精神的な強さを勝因の一端に挙げていた。

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稀勢の里の平常心、週刊誌カメラマンに「大変だね」

土俵から落ちてきた照ノ富士(左)が、稀勢の里の左腕にぶつかる(写真=上)。下は左を差し、隠岐の海(右)を寄り切る稀勢の里(撮影・神戸崇利)

<大相撲夏場所>◇2日目◇15日◇東京・両国国技館

 伝家の宝刀が出た。左上腕付近にけがを抱える横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が、東前頭2枚目の隠岐の海を得意の左おっつけから寄り切り、初日を出した。優勝制度が確立された1909年(明42)夏場所以降、初日から連敗しての優勝は皆無。負ければ37年夏の双葉山以来80年ぶりの初優勝から3連覇が絶望的になっていた。ハプニングを笑い飛ばす切り替えの力で、横綱として国技館初白星を手にした。

 誰もが待ち望んだ瞬間だった。満員札止めの館内で拍手が鳴りやまなかった。勝ち名乗りを受けて41本の懸賞を手にすると、歓声はひときわ、とどろいた。両国国技館で横綱として初めて勝ち取った白星。稀勢の里は「いいんじゃないですか」と静かに息をついた。

 伝家の宝刀を抜いた。テーピングをした左を固めてぶつかった立ち合い。左脇を締めて、隠岐の海の右差しを殺そうとする。得意のおっつけの形だった。相手を横向きにするだけの威力はまだない。それでも初日は見せられなかった形で、何よりも攻めに出た。巻き替えて左を差す。かいなを返せば、後は寄るだけ。8秒2の相撲には光が見えた。その左のおっつけに「まあ、いつも通りじゃない? 問題ないですよ」と強がってみせた。

 横綱として初めて横綱以外に敗れた初日。一夜明けた稽古場では、これまで以上に引きずらない姿があった。結果に一喜一憂すれば、かえって身動きは取れなくなる。「仕切り直してやるだけ。(東の正位を守るという)執着もないし、力みもない」。昇進後に増えた言葉は「平常心」。その“証拠”を見せる出来事がこの日、2つあった。

 朝稽古のために到着した部屋の前で、写真週刊誌のカメラマンが待っていた。大関時代はなかった光景。初日に負けただけで注目を浴びる横綱の宿命だが「大変だね。オレを載せても面白くないのに」と笑い飛ばす余裕があった。

 土俵下の控えに座っていた出番前、押し出された照ノ富士が落ちてきた。187キロの体が左腕にぶつかり、左足も踏まれた。思わずしかめた顔が周囲を心配させたが、その後のたたずまいは平然としていた。「いいんじゃないの? 気が紛れて」と再び笑い、患部も「大丈夫ですよ」と問題なしを強調した。“ハプニング”もいなせる心。横綱として身につけた力で、初日黒星から乗り越えた。

 優勝制度が確立された1909年夏以降、連敗発進の力士が優勝した例はない。負ければ80年ぶりの初優勝からの3連覇が遠のいた一番で踏みとどまり、八角理事長(元横綱北勝海)は「1つ勝ってホッとするんじゃないか」と心情を察した。それでも「今日は今日で、明日は明日。しっかり集中してやります」。負けを引きずらず、勝っても浮かれず-。稀勢の里はやはり、素早く気持ちを切り替えていた。【今村健人】

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稀勢の里「ふー」左腕使えず完敗…3連覇へ不安発進

稀勢の里(後方)は嘉風に、押し出しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

 大相撲夏場所で注目の初日、左上腕付近にけがを抱える横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が一方的に敗れた。患部にテーピングをして臨んだ結びの一番で、小結嘉風の右おっつけに上体が浮き、なすすべなく押し出された。稀勢の里フィーバーで始まった今場所、満員札止めの館内に初めて座布団を舞わせてしまい、3連覇に向けて苦しい出だしとなった。

 「ふ~~~」最高位に就く者だけが座ることを許される東の支度部屋の最奥。初めてそこに位置した稀勢の里の口から長く、深いため息が出た。「(左は)悪くないけど、相手が強いから負けたんじゃないですか。相手が上回ったのではないですか」。

 春場所の逆転優勝から49日。左腕の回復具合に注目が集まった結び。結果は防戦一方だった。分厚いテーピングを施した左から得意のおっつけは出ず、差そうとするも、反対に嘉風のおっつけで体が浮いた。右の上手も引けずに後退。苦し紛れの右からの突き落としも決まらず、あえなく押し出された。目の前を座布団が舞う。「我慢してできれば…」。皇太子ご夫妻を迎え、満員札止めの館内からもため息が漏れた。

 この49日のうち、1カ月半はけがを治す期間だった。本格的に関取衆と相撲を取ったのは初日の8日前から。1週間前には二所ノ関一門の連合稽古があった。実は「そこでどう取れるかで判断すると話していた」と関係者は言う。結果、琴奨菊の圧力を受け止められたことで出場に傾いた。出番前、左腕で付け人を突き倒す姿にも迫力があった。「本当にけがしているのかと思った」と、付け人が驚くほどだった。

 だが、相撲勘は戻りきらなかった。異例の5日連続出稽古で状態を上げようとしたが、稽古で下地をつくる横綱にとって不足は否めなかった。八角理事長(元横綱北勝海)は「よほど踏み込まないと今場所は苦しくなる。不安を払拭(ふっしょく)するまでの稽古はできなかったのかな」と心配した。稀勢の里も稽古場と本場所の違いを聞かれて「それはあると思います」と認めざるを得なかった。

 双葉山以来80年ぶりとなる初優勝からの3連覇が懸かる。挑んだ力士は過去6人で、序盤に黒星を喫した3人は失敗した。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「下半身を鍛えているんだから、自分に自信を持って。まだ初日なので」と鼓舞した。賜杯返還や優勝額除幕式など、初日独特のリズムがあったのも事実。稀勢の里は「また明日、切り替えてやるだけ。集中してやりたい」と言った。試練の場所は覚悟の上。立て直せるか。【今村健人】

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兄「ラオウ」敗れても弟「ケンシロウ」高安は好発進

大栄翔(手前)を、はたき込みで破る高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

 16年九州場所以来、2度目の大関とりの関脇高安(27=田子ノ浦)が、東前頭3枚目の大栄翔をはたき込みで下し、新大関へ1歩踏み出した。1年ぶりの対戦で持ち前の突き押しで圧倒。場所前に追手風部屋への出稽古で相撲を取ったこともプラスになった。

 高安は立ち合いでかち上げ気味にぶつかって距離を取り、激しい突き押しで大栄翔の首元を攻め立てた。突き押しが得意な相手を防戦一方にさせ、懐に飛び込んできたところを右に体を開きながらはたいた。「前でしっかりと踏み込んで、突いて前に出られたので良かった。初日が肝心ですから」と満足した表情で話した。

 対策はすでに練られていた。高安は突き押しを得意とする相手が苦手で、克服のため場所前に追手風部屋へ出稽古。突き押しが自慢の大栄翔と胸を合わせていた。この日の取組後には「相手どうこうというよりは自分の相撲を取るだけ」と気にするそぶりは見せなかったが、良いイメージは脳裏にあったはずだ。

 さらに時津風部屋での出稽古では横綱鶴竜と、二所ノ関一門の連合稽古では横綱白鵬と胸を合わせた。「得た物はたくさんあった。いい勉強」と充実の内容。けがの影響があった兄弟子の横綱稀勢の里とは部屋で一緒に稽古をすることはかなわなかった。しかし、他の2横綱から吸収していた。

 大関とりのボーダーラインとなる10勝まで、あと9勝。「今日勝ったことで明日良いイメージできます」。兄弟子のまさかの黒星にも、気にすることなく突き進む。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安は自信に満ちた相撲。思い切って突っ張るより安全に勝ちたいと思いがちだが、思い切りが良かった。(場所後の大関昇進を)やってくれそうな予感がある。

 ◆「北斗の拳」懸賞旗に歓声 当日券を求めて長蛇の列ができた国技館は、午前8時5分に完売を意味する「札止め」となった。売店でも「普段の2倍の量にした」という稀勢の里弁当は瞬く間に完売。漫画「北斗の拳」のラオウの化粧まわしで土俵入りを行った稀勢の里には「日本一!」の声。ケンシロウの太刀持ち高安、トキの露払い松鳳山の取組では各人が締めたキャラクターの懸賞旗が土俵を1周、館内を盛り上げた。

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稀勢の里2枚の優勝額前に「力んでもしょうがない」

優勝額贈呈式で両手を広げる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

 大相撲の夏場所は今日14日、東京・両国国技館で初日を迎える。37年夏の双葉山以来80年ぶりに初優勝からの3連覇に挑む横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は13日、優勝額贈呈式に初めて出席した。1人で大関と横綱という、違う姿が2枚並ぶ式は、62年初場所前の大鵬以来55年ぶり。07年初場所前に消えた貴乃花以来、日本出身横綱の額が10年ぶりに国技館内に飾られる夏場所へ、意を決して臨む。

 化粧まわしだけのシンプルな姿と、綱を締め、左手で太刀をつかんだ堂々たる姿。1人の男が、格好の異なる2枚の優勝額を並べた風景は壮観だった。大関時代の初優勝と、新横綱優勝の偉業を記した額。2枚の前に1人で立った稀勢の里は「うれしいです。こんな立派な優勝額を頂いて、ありがたい」と感謝した。

 掲額制度の始まりは1910年(明43)。56年春場所から地方場所の優勝力士も飾られ始めた。東京場所前恒例の贈呈式は、直近の東京と地方の優勝力士が額になる。そこで大関と新横綱で連続優勝を飾り、異なるいでたちの絵が並んだのは、62年初場所前の大鵬だけ。大関、新横綱で連続優勝を果たした先代師匠の隆の里と貴乃花も地方→東京の優勝で、贈呈式で2枚同時に並びはしなかった。「また頂けるように、しっかりやりたい」と誓った。

 春場所で負った左上腕付近のけがは完治していない。だが、出ると決めた以上、八角理事長(元横綱北勝海)は「横綱の立場だから、けがは理由にできない」とした。稀勢の里も受け止める。並んだ2枚の額は格好こそ異なるが、いずれも前を向く。「なるべく正面を向きたいと思った」。その思いで、土俵に上がる。

 07年初場所前に消えた貴乃花以来、10年ぶりに日本出身横綱の額が戻る国技館。「稀勢さま~」の声が飛び、拝むファンもいた。そんな熱気を帯びる周囲をよそに「力んでもしょうがない。今から硬くなっても、熱くなっても意味がない」。稀勢の里は、落ち着き払っていた。【今村健人】

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稀勢の里「美談にしないでほしい」月末から漫画連載

北斗の拳ラオウの化粧まわしの後ろに立つ稀勢の里(撮影・神戸崇利)

 大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が「北斗の拳」テイストで漫画になることが6日、分かった。「稀勢の里物語(仮)」として、北斗の拳の三つぞろいの化粧まわしを贈ったコアミックス(本社・東京)が夏場所後にもリリースする漫画アプリ「マンガほっと」と雑誌「月刊コミックゼノン」に掲載される。左上腕部付近に負傷を抱える横綱はこの日、九重部屋に出稽古して関取衆と稽古を再開。午後は都内で横綱昇進披露宴を行い、約1500人から祝福された。

 早熟でいて晩成-。艱難(かんなん)辛苦を乗り越えて横綱に上り詰めた稀勢の里の生きざまが「稀勢の里物語(仮)」として漫画になることが分かった。関係者によると、実在の力士が漫画誌で連載されるのは03年の朝青龍以来だという。

 物語は北斗の拳の三つぞろい化粧まわしを贈呈したコアミックスが編集。春場所逆転優勝の場面をプロローグとしてネット上で“チラ見せ”。続いて同社が夏場所後にも立ち上げる漫画アプリ「マンガほっと」で幼少期から初優勝の前編と、横綱昇進から逆転優勝まで描いた後編を配信する。「月刊コミックゼノン」でも5月25日発売号から掲載。前後編で計100ページほどになるという。

 著者の山田俊明氏を北斗の拳を描く原哲夫氏のスタッフがサポートし、原氏も監修。まさに北斗の拳のテイストが入った作画になる。担当者は「春場所で負ったけがの場面を横綱の知られざる心情を中心に描きます。横綱は『美談にはしないでほしい』と話されていました」と明かした。

 その人生が少年らの手本となる稀勢の里は、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けてせわしなく動いた。午後から横綱昇進披露宴を控え、部屋は稽古休みにもかかわらず、九重部屋へ出稽古。幕内千代大龍、十両千代皇と8番ずつ、春場所以降初めて関取衆と相撲を取った。結果は14勝2敗で「基本運動をやっていたせいか、違和感なく取れた。内容が非常に良かった」と笑顔。出場についても「今日の稽古の状況、内容なら問題ない。これから(幕内)上位とやっていく」と前向きに話した。

 披露宴には八角理事長(元横綱北勝海)やほかの3横綱ら約1500人が集まった。急逝した先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)に思いをはせ「あまりにも出世が遅くてこのような姿を見せられなかった。感謝の気持ちを忘れずに精進していきたい」と誓った。強い生きざま。手本となるのは少年らだけではない。

 ◆漫画で描かれた主な力士 以前は横綱の漫画物語が多く、栃錦や初代若乃花、朝潮や大鵬は何度も漫画で描かれている。双葉山は地元大分・宇佐市で漫画化され、千代の富士も「千代の富士物語 北の大将」として漫画になった。また、最近では03年に週刊漫画サンデー(実業之日本社)で「蒼き狼-実録! 朝青龍物語」が描かれた。

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