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パッキャオのワンツー!因縁の幕開け/八重樫の一撃

マニー・パッキャオ(2015年8月6日撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~1>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。世界3階級王者八重樫東(37=大橋)の忘れられない一撃は「パッキャオのマルケス戦の左ストレート」です。

    ◇    ◇

▼試合VTR 04年5月8日、フライ級とスーパーバンタム級で世界王座を獲得した当時25歳のパッキャオが、米ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで、WBA、IBFフェザー級統一王者ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)に挑戦。後に6階級制覇を達成する「フィリピンの英雄」パッキャオが、1回に3度のダウンを奪うスタートとなったが、その後はマルケスが挽回し、試合はジャッジが三者三様のドロー。ここから3度の対戦を重ねる因縁のカードの幕開けとなった。八重樫が選んだのは、その1回、1分30秒の最初のダウンを奪った左ストレートだった。

    ◇    ◇

パッキャオが、まさに世界のスーパースターに駆け上がろうとする、粗削りで、一番生きが良い時期だったと思います。

試合開始からわずか1分半。遠い距離から「打つぞ」と小さく体を沈めるフェイントを入れた直後に、ありえないスピードで放ったワンツーに、マルケスはまったく反応できず、コロンと後ろに倒されました。

僕はパッキャオは、足の選手だと思っています。足があれだけ速く動くから、手が連動して回転の速い連打が出せる。そして、手が出ることが前への推進力につながり、あの爆発的な攻撃力が生まれているんです。試合当時、僕は大学生でした。あの一撃は衝撃でしたし、大好きなフェイントからのワンツーということもあり、こういうパンチを打ちたいと、何度も映像を見返しました。

ただ、何度やってもただのモノマネで、試合では使えませんでした。自分のものになったなと思ったのは、世界王者になり、下半身と上半身の連動が理解できた2年前ぐらいです。頭の中にずっとあったパンチですし、脳裏にイメージが焼き付いていたんだと思います。

パッキャオ-マルケスは、この一戦から始まり、4度も対戦する因縁の相手となりました。ちなみに、第4戦でパッキャオがマルケスにダウンを奪われ失神したパンチは、この第1戦と同じワンツーをパッキャオが放った瞬間に、右と左の間にマルケスがカウンターの右を合わせたものでした。ドラマ性という意味でも、特別な一撃だったと思います。

◆八重樫東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手・北上市生まれ。黒沢尻工3年でインターハイ、拓大2年で国体優勝。05年3月プロデビュー。07年の7戦目でWBC世界ミニマム級王座挑戦も失敗。11年にWBA同級王座を獲得、13年にWBCフライ級王座獲得で3度防衛。15年にIBFライトフライ級王座を獲得し、3階級制覇を達成。160センチの右ボクサーファイター。

八重樫東

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井上尚弥3団体統一王者へ、初ベガスでカシメロ戦

WBAスーパー・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦の発表会見に臨む井上尚(撮影・小沢裕)

本場で3本目のベルトをつかみ取る。ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級統一王者井上尚弥(26=大橋)が1月31日、都内で会見し、4月25日(日本時間26日)に米ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノで、3階級制覇の実績を持つ、WBO同級王者ジョンリール・カシメロ(30=フィリピン)と対戦すると発表した。

井上は、プロ20戦目で初のラスベガス進出で、日本人初の3団体統一王者を目指す。

    ◇   ◇   ◇

ラスベガスのメインイベント。日本人初の3団体統一戦。難敵カシメロ。気持ちが高ぶる要素の比重を問われた井上尚は「全部です」と即答し、プロ20戦目の重要性をにじませた。荒々しいファイトを武器に11月に3階級制覇を果たしたカシメロについては「野性味あふれる選手。危険なハードパンチを持っている」と警戒しつつ、「プレッシャーはない。じっくり、じっくり、ダメージを与えて削っていく」と、落ち着いた口ぶりで試合を見据えた。

プロ6戦目での世界王座奪取や、伝説となったナルバエス戦での2階級制覇。数々の扉を拳でこじ開け、米老舗ボクシング専門誌「ザ・リング」選定のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級を超越した最強王者)で日本人初のトップ3入りを果たした「怪物」に、新たな勲章もかかる。

これまで日本ジム所属王者で、2団体統一を果たしたのはミニマム級の高山、井岡、ライトフライ級の田口とバンタム級の井上尚の4人。「スーパーフライ級ではかなえられなかった」と目標に掲げる4団体統一にさらに近づく一戦に向け、準備に余念はない。ラスベガスの乾燥した気候での減量対策や時差などを考慮し、一般的なスケジュールより2週間近く早い、試合3週間前の渡米を計画。2月中旬からは海外から3人の世界ランカーをスパーリングパートナーとして招く予定と、じっくりと仕上げていく。

昨年11月の元5階級王者ドネア戦では右眼窩(がんか)底など2カ所の骨折を負ったが、患部は順調に回復。米プロモート大手トップランク社との契約後、初めての試合で「パウンド・フォー・パウンド3位にふさわしい試合を世界のみなさんにお届けしたい」と井上尚。本場のリングで、世界に「モンスター」の力を見せつける。【奥山将志】

◆日本のジム所属王者の複数団体統一 12年6月に井岡一翔が八重樫東とのミニマム級王座統一戦を制し、初のWBA、WBC統一王者となった。ミニマム級では、高山勝成もWBO、IBFの両団体の王座を獲得。17年12月にはWBAライトフライ級王者田口良一がIBF王者との統一戦に勝利し、2団体の王座を統一した。WBAバンタム級王者井上は、昨年5月にIBF王座を奪い、4人目の複数団体王者となった。

WBAスーパー・IBF・WBO世界バンタム級王座統一戦の発表会見に臨んだ井上尚。左は井上トレーナー、右は大橋会長(撮影・小沢裕)

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完敗の八重樫「進退考えなきゃ」大橋会長も引退示唆

ムザラネに敗れ肩を落とし引き揚げる八重樫(中央)(撮影・横山健太)

<プロボクシング:IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇横浜アリーナ

世界王者返り咲きを狙った八重樫東(36=大橋)はIBF世界フライ級王者ムザラネ(南アフリカ)に完敗も今後の明言は避けた。

   ◇   ◇   ◇

八重樫は9回にワンツーを浴びてのけ反った。ここから防戦一方で、何度もロープを背にした。大橋会長がコーナーの階段で、この試合3度目となるストップの準備。残り10秒の拍子木が鳴ったが、残り6秒でレフェリーに止められた。

左目周囲は青く腫れていた。「力不足」と繰り返した。「途中でいけるかと思ったが、甘かった。王者が強かった」。敗北を認めたが、中盤までは八重樫ペースにも見えた。ドゥワルテ・ジャッジは南アフリカ出身も6回まで五分だった。

序盤は足を使い、4回から接近戦に挑んだ。ボディーを見舞うが、距離が開くとクリーンヒットされた。8回は右ストレートに後退。「左を注意していた。やべえと思った」。予想以上にパンチが強かった。

17年に3度目王座から陥落した。半年以上ジムを離れたが「やっぱりボクシングが好き」と現役続行。今もジム一番の練習量。引退を勧めた会長をうならせ、2年7カ月ぶりでこぎつけた世界戦だった。

試合前は家族と離れての生活で、今回は約2カ月も帰宅は2回だけ。次女一永(ひとえ)ちゃん(6)の「頑張って」との涙声の留守電にも我慢した。「結果を出せず、子供に何も言えない」と肩を落とした。

勝てば日本人男子最年長奪取だったが、来年2月には国内規定では定年の37歳となる。元世界王者は続行可能だが「進退を考えなきゃいけない。のんびり考えます」。大橋会長は「限界か」と報道陣に問われて「ちょっとね」と答えた。激闘王がグローブをつるす時が来たようだ。【河合香】

◆八重樫東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手・北上市生まれ。黒沢尻工3年でインターハイ、拓大2年で国体優勝。05年3月プロデビュー。06年東洋太平洋ミニマム級王座獲得。7戦目で07年にWBC世界同級王座挑戦も失敗。11年にWBA同級王座を獲得し、13年にWBCフライ級王座獲得で3度防衛。15年にIBFライトフライ級王座を獲得し、日本から4人目の3階級制覇を達成した。2度防衛。家族は彩夫人と1男2女。160センチの右ボクサーファイター。

9回、試合後、ムザラネ(中央右)を称える八重樫(撮影・狩俣裕三)
9回、レフェリーストップでムザラネ(左上)にTKO負けの八重樫(撮影・狩俣裕三)

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村田V1!八重樫● 拳四朗○/トリプル世界戦詳細

<プロボクシング:トリプル世界戦>◇23日◇横浜アリーナ

◆WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦

WBA世界ミドル王者村田諒太(33=帝拳)がKO率8割を誇るホープの同級8位スティーブン・バトラー(23=カナダ)の挑戦を受け、5回TKO勝ちを収めた。

【村田の話】控え室で調子が良くて、倒せると空回りした。負けたら(アナウンサーの)木村さん泣くでしょ。だから一生懸命やったんですよ。(次戦に向けて)会長、リアルな試合をお願いします。トップ・オブ・トップに行きつきたい。(来年に向けて)東京五輪で花を添えるためにも頑張ります

村田諒太5回TKOバトラー

試合後、腫れた左目で会見を行う村田(撮影・狩俣裕三)

【5回】王者村田はプレッシャーを強めたまま。村田陣営は「力まないように」。王者村田がコーナーに追い詰め右連打。王者村田が再び強烈な右ストレート。バトラーの足が一瞬ひるむ。王者村田がさらに圧をかけ手を出していく。王者村田の左フックでバトラーがダウン!審判が試合を止め王者村田が初防衛!

5回、バトラーにKO勝ちし、両手を突きあげる村田(撮影・鈴木みどり)

5回、バトラー(下)からダウンを奪い、TKO勝ちした村田(撮影・鈴木みどり)

【4回】王者村田が距離を詰めプレッシャーを強めてくる。バトラーが右ストレート。王者村田も負けじと返す。王者村田は接近戦に持ちこむ。王者村田がワン、ツー。バトラーは王者村田の打ち終わりを狙う。終盤に激しいパンチの交換。王者村田が右フック。王者村田はバトラーを逃がさない

4回、バトラー(左)に右ストレートを食らわす村田(撮影・狩俣裕三)

【3回】王者村田は手数を増やしてきた。王者村田はコツコツと当てて右ストレートを狙う。王者村田が右アッパー。王者村田がコーナーに追い詰め連打。すかさず相手がクリンチ。王者村田がロープ際で右ストレート。終盤にも王者村田が圧をかけ連打。王者村田は上々の立ち上がり

3回、バトラー(左)をコーナーに追い込む村田(撮影・狩俣裕三)

3回、バトラーをリング際に追い込む村田(撮影・鈴木みどり)

【2回】この回もお互いに距離をつめる。王者村田が右ストレート。バトラーも左のカウンターを合わせる。村田陣営は「バトラーの右に警戒」と指示。バトラーの積極的な手数に王者村田は多少後手に。王者村田が終盤に圧をかけ左ジャブから右ストレート

2回、バトラー(左)に強烈な右フックを食らわす村田(撮影・狩俣裕三)

【1回】王者村田いざ初防衛へ!お互いに前に出る。王者村田がいきなり右ストレート。王者村田は細かいパンチで組み立て。王者村田が右から左ボディー。バトラーも足を使わず細かいパンチ交換。王者村田は圧をかける

1回、パンチを放つ村田(撮影・横山健太)

【入場】王者村田は厳しい表情でリングへ。KO率80%を誇る相手にどんな戦いをみせるか

大歓声を浴びながら入場する村田(撮影・鈴木みどり)

後頭部へ「村田」と書き込んで、入場する村田(右)とタッチを交わそうと手を伸ばす観客(撮影・横山健太)

◆IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦

元世界3階級制覇王者の八重樫東(36=大橋)は、IBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南ア)に挑戦し9回TKO負けを喫した。

【八重樫の話】久しぶりの世界戦で楽しかったし、やれることはやった。結果を出せなかったのは悔しい。自分の力のなさを受け止めて考えたい。

八重樫東9回TKO ムザラネ

ムザラネ(後方)に敗れ天を仰ぐ八重樫(撮影・横山健太)

【9回】ピンチを脱した八重樫。八重樫はセコンドの問いかけに「まだまだ」と闘志をみせる。八重樫は距離をとり再度組み立て。王者ムザラネのジャブが伸びてくる。八重樫の左目が腫れてきた。王者ムザラネの右。八重樫がコーナーに追い詰められる。王者の連打。八重樫は懸命に腕を振るも審判が試合を止める。八重樫は王座獲得ならず。

9回、レフェリーストップでムザラネ(左上)にTKO負けの八重樫(撮影・狩俣裕三)

9回、レフェリーストップでムザラネ(右)にTKO負けする八重樫(撮影・鈴木みどり)

【8回】八重樫が前に出て手を出す。王者ムザラネの強烈左ボディー。王者ムザラネの連打に八重樫ふらつく。八重樫が防戦一方。王者ムザラネの手は止まらない。大橋会長はタオルを持ち立ち上がる。なかなか八重樫はクリンチできず。耐えるか八重樫。八重樫が闘志で耐えた

8回、ムザラネ(右)と打ち合う八重樫(撮影・鈴木みどり)

8回、ムザラネ(右)にボディを食らう八重樫(撮影・鈴木みどり)

【7回】八重樫は足を止めて打ち合いに持っていく。お互いに頭がつく距離。八重樫は王者ムザラネのコンビネーションをもらうも八重樫は前に出る。王者ムザラネのガードはなお堅い。八重樫がワン、ツー。八重樫の手数は落ちない。

【6回】八重樫の顔が腫れてきた。八重樫は突進のごとく相手の懐へ。八重樫がボディーからアッパー。ガードの堅い王者ムザラネに手数で攻める。八重樫が低い姿勢から右ボディー。八重樫はひたすらボディー。王者ムザラネもコンビネーションで対応。八重樫が終盤にも右ボディー

6回、パンチを浴びる八重樫(撮影・横山健太)

【5回】この回も八重樫は打ち合う構え。八重樫が激闘スタイルにスイッチ。王者ムザラネの強烈ボディーもお構いなし。八重樫が強烈な連打。王者ムザラネの懐で勝負。王者ムザラネも長いリーチを駆使し腕を振る

【4回】八重樫は足で王者ムザラネのリーチを上手く外す。八重樫が強烈ボディー。王者ムザラネの足が止まる。八重樫はすかさず連打。王者ムザラネも負けじとパンチを返す。お互いに足を止めて激しい打ち合い。八重樫は足を使わなくなる。八重樫はひたすら距離を詰める

4回、ムザラネ(右)に左ボディーを打ち込む八重樫(撮影・狩俣裕三)

【3回】八重樫が良い距離感で手を出していく。八重樫が得意のコンビネーション。八重樫は足を使い王者ムザラネに連打を許さない。八重樫は前に出て細かいパンチ。八重樫のワンツー。王者ムザラネの左ジャブに八重樫も負けじと手を出す。王者がギアを上げてくる

3回、パンチを浴びる八重樫(撮影・横山健太)

【2回】八重樫は細かいジャブを出していく。八重樫の軽快なワンツー。王者ムザラネも距離を詰め圧力を出してくる。八重樫が踏み込んで右。八重樫は足を使い良いリズム感で手を出していく。八重樫は王者ムザラネのリーチの長い左ジャブは警戒していきたい。八重樫が右ボディー。八重樫はまずまずの立ち上がり

2回、ムザラネ(右)に左フックを食らわす八重樫(撮影・狩俣裕三)

【1回】激闘王が再び王座に挑戦。まずはお互いに距離を測る。八重樫は足を使い手を出していく。八重樫の左。王者ムザラネも強固なガードで守備から組み立て。王者ムザラネの左に八重樫は一瞬ノーガードで誘うような構え。

【入場】

花道を通り、リングへ向かう八重樫(撮影・狩俣裕三)

◆WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦

WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(27=BMB)が挑戦者の同級12位ランディ・ペタルコリン(フィリピン)に4回KO勝利を収め、7度目の防衛に成功した。

【拳四朗の話】結果的に倒せて良かった。統一戦は流れたが、来年ぐらいにできたらいい。防衛の回数とベルトを増やすのを目標に、より格好良くなりたい。

寺地拳四朗4回KOペダルコリン

防衛に成功し笑顔を見せる寺地(撮影・横山健太)

4回、ペタルコリン(右)からダウンを奪いTKO勝ちする寺地(撮影・鈴木みどり)

4回、ペタルコリン(中央)にボディを放ちダウンを奪う寺地(撮影・鈴木みどり)

リングに上がる前に、火打石でお清めをしてもらう寺地(右)(撮影・狩俣裕三)

花道を通り、リングへ向かう寺地(撮影・狩俣裕三)

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八重樫9回TKO負け、日本人最年長の王座奪取逃す

3回、パンチを浴びる八重樫(撮影・横山健太)

<プロボクシング:IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇横浜アリーナ

元世界3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)の日本人最年長奪取はならなかった。同級王者モルティ・ムザラネ(37=南ア)のV3戦で、2年7カ月ぶりの世界戦。リーチの長い技巧派の王者を崩せずに9回TKO負けした。6度目の世界挑戦で、長谷川穂積の35歳9カ月を上回る36歳10カ月で王座奪取を狙ったが、力及ばず4本目のベルト獲得を逃した。

八重樫にとっては2年7カ月ぶりとなる待望の世界戦だった。スーパーフライ級3試合をこなして4階級制覇を狙っていたが、交渉がまとまらなかった。ムザラネのV2戦はテレビ解説だったが、その後に方針を変更。フライ級で6度目となる「最後と思って」臨んだ世界挑戦だったがはね返された。

17年5月にIBFライトフライ級のV3に失敗した。大橋会長はその日に引退を勧めたが、八重樫はすぐに現役続行を訴えた。会長は「よく考えろ」と言い返したが、練習を再開すると「心を動かされて、辞めろと言えなくなった」と話す。

来年2月には国内規定では定年の37歳となるが、今でもジムで一番練習する。「ボクシングが好きだし、恩返ししたい」と汗を流し続けてきた。通常のジムワーク後も反復横跳び、自転車こぎに体幹トレ。「完全休養はやめた。やることやらないと力は落ちる。歯磨きと一緒」と動かない日はなかった。その努力もベルトには届かなかった。

ムザラネは09年から15連勝中で、2度の防衛はいずれも日本人だった。さらにリーチは予想以上の11センチ差があった。ジャブを突いてのアウトボクサーに対し、中へ潜り込んで激闘に持ち込めるかがカギだった。そのハンディを克服できなかった。

11月に入ってから短期賃貸マンションで単身生活を送った。この試合のために今回は通常1カ月を2カ月に伸ばした。家族思いで知られるが、週末帰宅も1回で電話もしなかった。末娘からは涙声で「ボクシング頑張って」との留守電が入ったが我慢した。2カ月ぶりで家族と無念の対面となった。

◆八重樫東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手・北上市生まれ。黒沢尻工3年でインターハイ、拓大2年で国体優勝。05年3月プロデビュー。06年東洋太平洋ミニマム級王座獲得。7戦目で07年にWBC世界同級王座挑戦も失敗。11年にWBA同級王座を獲得し、13年にWBCフライ級王座獲得で3度防衛。15年にIBFライトフライ級王座を獲得し、日本から4人目の3階級制覇を達成した。2度防衛。家族は彩夫人と1男2女。160センチの右ボクサーファイター。

2回、ムザラネ(右)に左フックを食らわす八重樫(撮影・狩俣裕三)

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八重樫東、V2戦から6・5センチ伸びた王者に苦笑

予備検診を終えポーズを決めるチャンピオンのムラザネ(左)と挑戦者の八重樫(撮影・たえ見朱実)

ボクシング・トリプル世界戦の予備検診が、20日に都内で行われた。23日に横浜アリーナで、元世界3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)はIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南ア)のV3戦で世界挑戦する。ともに異常はなかったが、リーチは11センチ差あった。

身長は0・5センチ差だったが、リーチは八重樫が164センチに対して、ムザラネは175センチあった。5月の黒田雅之(川崎新田)とのV2戦からは、6・5センチも長くなっていた。八重樫は「長いことは想定も、170センチぐらいだと思っていた。違う種類の人間かと」と苦笑いした。

大橋会長も「びっくり」と驚いた。ムザラネ自身は「知らなかったが、長さで試合をするわけでない」と意に介さず。松本トレーナーも「数字で戦うわけではない」と気にしなかった。

当初は世界戦の1試合目だったが、セミファイナルに昇格した。2年7カ月ぶりの世界王座復帰への戦いもテレビで生中継される。イベントも始まったことで「久しぶりで味わっている。半分ワクワク、いい緊張感もある」と楽しんでいる。決戦まであと3日。「当日は覚悟を決めてリングに上がる。(リーチ差が)あだになる」とニヤリとして、会場を引き揚げた。

予備検診を受けるチャンピオンの寺地拳四朗。後方は挑戦者のペタルコリン(撮影・たえ見朱実)

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八重樫東「顔は腫れると」大橋会長は4階級見据える

笑顔で会見に臨む八重樫(撮影・河田真司)

約2年半ぶりに世界王座に挑戦するボクシングの元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)が「被弾覚悟」で経験豊富な王者とのベテラン対決を制する構えをみせた。

23日、横浜アリーナでIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南アフリカ)に挑戦する。10日には横浜市の所属ジムで練習公開し「顔は腫れると思います。どのみちパンチは食らうと思います。ただ顔面で戦うわけではない。被弾するのは勝ちへの布石で、そこから自分らしい動きができれば突破口がみえてくると思います」との覚悟を示した。

17年5月のIBF世界ライトフライ級王座から陥落したメリンド戦以来の世界戦で拳を交える王者は歴戦の雄と言っていい。08年にIBF世界フライ級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に敗れたものの、09年に空位の同級王座を獲得した後の挑戦者が後の世界王者ばかりだ。ゾラニ・テテ(南アフリカ)、ジョンリール・カシメロ(フィリピン)という新旧のWBO世界バンタム級王者もTKOで下して防衛に成功。所属ジムの大橋秀行会長は「ムザラネと八重樫、実力者同士の戦いになる。スパーリングをみても八重樫が勝つイメージが出てきた」と太鼓判を押した。

本来はスーパーフライ級で4階級制覇を目指していたが、大橋会長は「マッチメークもあるし、ムザラネに挑戦させることになった。この試合に勝ったら次はまた4階級制覇も。八重樫は終わるつもりないし、やる気があるかぎり限り、応えたいと思う」とムザラネ撃破後の青写真も口にした。八重樫は「会長が組んでくれた試合をやるだけ。4階級行くぞと言われたらやるだけ」と口元を引き締めた。未来に見据える4階級制覇も意識しながら、八重樫は国内最年長となる世界王座奪取を狙う。

会見を終え写真に納まる、左から松本トレーナー、八重樫、大橋会長(撮影・河田真司)
公開練習に臨む八重樫(撮影・河田真司)
大橋会長(右)の話を笑顔で聞く八重樫(撮影・河田真司)

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八重樫東「自分の為」長期単身禁欲生活で王座奪回だ

ミット打ちをする八重樫(右)(撮影・大野祥一)

ボクシング元世界3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)が、長期単身禁欲生活で王座奪回を目指す。

23日に横浜アリーナでのIBF世界フライ級王座挑戦へ、4日は横浜のジムで集中スパーリング。「調子はいいし、楽しんでいる」と軽快な動きから多彩な攻めを見せた。11月に入ってから短期賃貸マンション住まいだが、これまでは1カ月前からだったが、約2カ月前からと早めた。家族思いで週末帰宅も常だったが、今のところ帰宅は子供の行事の1日だけ。「今回は自分のため。家族を犠牲にしても、集中して過ごしたい」。2年7カ月ぶりの世界戦への決意を示した。

大橋会長(左後方)が撮影する中、ミット打ちをする八重樫(撮影・大野祥一)
大粒の汗をかき、サンドバックを叩く八重樫(撮影・大野祥一)

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八重樫東、最年長世界王座奪取へ「殺気出てきた」

矢吹(右)とのスパーリングでコーナーに追い込む元3階級制覇王者八重樫

ボクシングの最年長世界王座奪取を目指す元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)が実戦トレーニングで「殺気」を漂わせた。

12月23日に横浜アリーナでIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南アフリカ)に挑戦する。29日は日本ライトフライ級1位矢吹正道(27=緑)と4回のスパーリングを消化。コーナーに追い詰め連打を浴びせる姿に、松本トレーナーは「『らしい』殺気が出てきた」。八重樫は「いろいろな引き出しを考えてやれれば」とファイト内容を振り返った。

松本トレーナー(左)とのミット打ちを消化した元3階級制覇王者八重樫

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最強・井上尚弥育成の秘密本 大橋秀行会長が出版

12月2日に刊行される元WBA・WBC世界ミニマム級王者大橋秀行氏の本「最強モンスター井上尚弥はこうして作った」の表紙

ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26)が所属する大橋ジムの会長で元WBA・WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行氏(54)の本「最強モンスター井上尚弥はこうして作った」(本体価格1500円)が12月2日、祥伝社から発売される。

11月7日のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ決勝で5階級制覇王者ノニト・ドネア(フィリピン)を下して優勝した井上尚。大橋会長はいかに世界最強までに育成したのかという秘密を書き明かしている。井上尚とともに川嶋勝重、八重樫東、井上拓真、宮尾綾香と計5人の世界王者を誕生させた同会長の手腕を知ることができる一冊となる。

また今回の出版を記念し、大橋会長が12月13日には紀伊国屋新宿店9階イベントスペースで出版記念イベント(トーク&サイン会)に出席する。

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森且貴が技能賞「いい緊張感」井上兄弟から日々刺激

東日本新人王ミニマム級王者の森且貴(撮影・中島郁夫)

<プロボクシング:東日本新人王決勝ミニマム級4回戦>◇3日◇東京・後楽園ホール

ミニマム級で19歳の森且貴(大橋)が、縄井愁(21=ワタナベ)に3-0の判定で勝利した。巧みな試合運びで終始攻め続け、技能賞も獲得。「最初の試合だったから、忘れられているかと思った。何かは取りたかったので、うれしい」と笑顔をみせた。

所属する大橋ジムでは、元3階級制覇王者の八重樫東に数回スパーリングの相手をしてもらったという。経験豊富な八重樫と拳を交え、「考えなくても(接近戦の攻撃が)自然とできるようになった」。さらに、この1カ月はダブル世界戦を控える井上尚弥、拓真兄弟が1週間に1度報道陣に公開したため、「いい緊張感の中でできた」。井上兄弟から直接アドバイスをもらうなど、先輩から刺激を受ける日々を過ごす。

5戦無敗のまま、12月22日に西の王者と全日本新人王を争う。

縄井愁(右)に左フックを浴びせる森且貴(撮影・中島郁夫)

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最多は6階級、国内は女子藤岡5階級/複数階級制覇

10回、井岡はパリクテからTKO勝ちで4階級制覇を達成しコーナートップで雄たけびを上げる(撮影・小沢裕)

<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇19日◇千葉・幕張メッセ

WBO世界スーパーフライ級2位井岡一翔(30=Reason大貴)が、日本男子初の4階級制覇を達成した。同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)にレフェリーストップで10回1分46秒TKO勝ち。1度引退から復帰して昨年の4階級初挑戦は失敗も、2年2カ月ぶりの日本で悲願をつかんだ。

◆複数階級制覇 世界最多はオスカー・デラホーヤ(米国)とマニー・パッキャオ(フィリピン)の6階級。日本のジム所属選手では、4階級の井岡一翔が男子最多で世界で20人目。アジアではパッキャオ、5階級のノニト・ドネア(同)、ドニー・ニエテス(同)に続き4人目。ミニマム級からはレオ・ガメス(ベネズエラ)、ニエステに続き3人目。国内で続く3階級は亀田興毅、ホルヘ・リナレス、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成に井岡で過去7人。2階級制覇はファイティング原田から京口紘人まで17人。女子はアマンダ・セラノ(プエルトリコ)の7階級が最多で、国内は藤岡奈穂子の5階級が最多。

4階級制覇を達成し4のポーズをとる井岡(撮影・滝沢徹郎)

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井岡魂のラッシュ、パワー不足はもう解消/大橋秀行

パリクテ対井岡 10回、井岡はパリクテからのTKO勝ちで4階級制覇を達成しコーナートップで雄たけびを上げる(撮影・小沢裕)

<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇19日◇千葉・幕張メッセ

WBO世界スーパーフライ級2位井岡一翔(30=Reason大貴)が、再挑戦で日本男子初の4階級制覇を達成した。同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)との王座決定戦。長身で強打の強敵を相手に技術を生かして10回1分46秒でTKO勝ちした。

   ◇   ◇   ◇

最後にみせた井岡のたたみかけは素晴らしいものがあったと思う。身長、リーチ差のある相手のペースになるかと思われたが、相手との距離感をつかみ、徐々にパンチを当て、右アッパーまでヒットさせ、次第に自らのペースに引き込んでいた。仕留め切り、終わって見れば必然のTKO勝ちのような展開だった。7回のパンチ連打で疲れたパリクテの失速が早かったこともあるが、それを差し引いても既にパリクテは攻め手がなかったように思う。

大みそかのニエテス戦で感じていた井岡のスーパーフライ級でのパワー不足は、もう解消されていたと言っていい。日本男子初の4階級制覇を達成した後、まずは指名試合をクリアすることになると思う。私は井岡のその後を楽しみにしている。まず私の大橋ジムには井岡と同じ階級で4階級制覇を狙う八重樫東がいる。ミニマム級王座統一戦で1度対戦していますが、ぜひ八重樫の挑戦を受けてほしいと思います。(元WBA、元WBC世界ミニマム級王者・大橋秀行)

パリクテ対井岡 連打を放ちTKO勝ちした井岡(右)(撮影・滝沢徹郎)

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亀田和毅「ほんまに鬼」統一戦へ名コーチと地獄合宿

“鬼教官”秀島トレーナー(右)の指導のもと、和歌山で走りこみ合宿をスタートさせた亀田和毅(撮影・高場泉穂)

WBC世界スーパーバンタム級暫定王者亀田和毅(27=協栄)が8日、7月に予定する同級正規王者レイ・バルガス(28=メキシコ)との統一戦、“レイワ対決”に向け、和歌山・上富田町の南紀白浜ゴルフ倶楽部で地獄の走り込み合宿をスタートさせた。

朝6時20分から8時40分までゴルフ場内をほぼ走りっぱなし。ダッシュの合間のスクワットとシャドーボクシングが休憩代わりと“鬼教官”秀島正芳トレーナー(37)が用意した練習メニューは文字通り、地獄だった。

練習終盤、秀島トレーナーの「よし。“部屋”にもどるぞ!」の声に亀田が一瞬ほっとした表情をみせたが「部屋」ではなく「フェア(ウエー)」の聞き間違い。笑いとともに、がくっと肩を落としながらフェアウエーに移動し、下半身を鍛えるランジウオークで最後の力を振り絞った。「ほんまに鬼。覚悟していたけど、めちゃくちゃきつかった」。だが、その分達成感もある。「1回から12回まで全部マックスでいける」とバルガス戦に向け、さらに自信を深めた。

“鬼教官”秀島トレーナーは、ゴルフの松山英樹、プロ野球の中田翔(日本ハム)、ボクシング長谷川穂積、八重樫東らトップアスリートを指導してきたトレーニングのプロ。亀田は3月から秀島氏が所属する神戸のジムに通い、肉体改造に取り組んできた。弱かった腸腰筋を鍛えることでパンチの力強さはアップ。また、胸椎のしなりを高めることで拳1つ分ほど、リーチを伸ばせるようになった。今回の走り込み合宿では、12回最後まで俊敏に動き続けるためのスタミナをつける狙いがある。「いまは8合目ぐらい。順調にきている」と秀島トレーナー。この合宿後、実戦練習にきりかえながら、7月まで調整を進めていく。【高場泉穂】

“鬼教官”秀島トレーナー(左)の指導のもと、和歌山で走りこみ合宿をスタートさせた亀田和毅(撮影・高場泉穂)

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八重樫東が世界前哨戦TKO勝ち 4階級制覇へ弾み

試合に勝利し、日の丸の寄せ書きを披露する八重樫(左)(撮影・大野祥一)

<プロボクシング・スーパーフライ級10回戦>◇8日◇東京・後楽園ホール

元3階級制覇王者の八重樫東(36=大橋)が、世界前哨戦で快勝し、日本男子初の4階級制覇に向けてはずみをつけた。

サハパープ・ブンオップ(23=タイ)とスーパーフライ級10回戦で拳を交え、2回2分25秒、TKO勝ちを収めた。強烈な右ストレート、左右のアッパーで計3度のダウンを奪い、昨年8月以来、約8カ月ぶりの試合を飾った。

   ◇   ◇   ◇

36歳の八重樫が躍動感にあふれた。2回、強烈なボディーを嫌がりガードを下げたブンオップの顔面を右拳で打ち抜き、ダウンを奪った。立ち上がった相手に容赦はない。

再びボディーからの右アッパーで2度目、最後は左アッパーでキャンバスに沈め、13歳年下を計3度のダウンで倒した。

「またボクシング人生が続けられるので、うれしいです」と声をはずませ、八重樫は「もう14年やっているので、最後の花道は(大橋秀行)会長が盛大につくってくれると思います。最後まで付き合ってもらおうと思います」と4階級制覇を狙う世界挑戦のマッチメークを懇願した。

昨年8月以来、実に8カ月ぶりの試合だった。昨秋からWBC世界スーパーフライ級王者シーサケット(タイ)側と交渉。契約寸前で2度破談になっていた。大橋会長は「シーサケットにこだわっていない」と説明。同じ4階級制覇を目指す井岡一翔が6月にもWBO世界同級王座決定戦に臨むことが濃厚で、八重樫は「面白くなる。頑張りたい」と気合を入れ直した。【藤中栄二】

2回、八重樫(右)はサハバーブ・ブンオップから左ボディーで3度目のダウンを奪う(撮影・松本俊)

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和毅、まじめさと兄譲りのトレーニングで王座奪回

記念撮影する亀田和毅(左から4人目)。左から姫月、興毅、シルセ夫人、1人おいて大毅(撮影・山崎安昭)

<プロボクシング:WBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定12回戦>◇12日◇東京・後楽園ホール

亀田家がベルトを取り戻した。WBC世界スーパーバンタム級2位の三男和毅(ともき、27=協栄)が、3年ぶりの王座奪回で2階級制覇を達成した。同級1位アビゲイル・メディナ(30=スペイン)に対し、初回から鋭い左ジャブでリード。中盤からは強打に耐えて手数で反撃し、3-0の判定勝ち。兄2人に続く世界に例のない3兄弟2階級制覇で、一家にとって7本目のベルトをつかんだ。来年の初防衛戦は正規王者バルガス(メキシコ)との王座統一戦の予定。

最終ゴングと同時に亀田は両腕を突き上げた。採点は1人が4ポイント、2人が6ポイントと明確な差。15年4月24日にWBOバンタム級王座を返上し、WBA同級王座挑戦に臨むも失敗。あれから3年半、1297日の空白を経て、やっとベルトを取り戻した。

初回からプレスをかけて、力強い左ジャブを打ち込んだ。中盤から強打に鼻血も出したが、小刻みな連打と手数で応酬。見せ場はつくれずともベルトはつかんだ。「内容はよくなかったが素直にうれしい。王者になれたことで満足」と笑みが浮かんだ。

長兄興毅トレーナーが2日前に引退表明し、まさに最後のとりでになった。国内での世界戦は5年ぶりで世界挑戦は初めて。世界上位ランクを維持も、以前のような資金力、交渉力はない。チャンスを待ち続けるしかなかった。

「日本での世界戦ができ、みんなの支えで勝つことができたのもうれしい」。16年に再起から5戦目。一家の大黒柱として、3つ目のギネス記録3兄弟2階級制覇を達成し、亀田家の復活を有言実行してみせた。

兄譲りのフィジカルトレの成果もあった。プロ野球日本ハムにも在籍した多田久剛氏の指導で「体幹を通してエネルギーを下半身から上半身に伝えるトレ」。実は興毅トレーナーが5月の引退試合前に実践していた。

起床後、就寝前にストレッチ30分を欠かさない。このまじめさで、十数種類のメニュー3セットを週2日3カ月。スクワットやベンチプレスの負荷は20キロ増えた。「ジャブもパンチ力が上がってプレッシャーをかけられた。前なら押されていた」と振り返った。

王座空白期に一家へ加わった新たな家族も支えてくれた。16歳で武者修行先のメキシコで知り合った、元ボクサーで4歳年上のシルセ夫人。日本語を勉強して料理学校で和食を習い、減量中は同じ食事と尽くしてくれた。その愛妻にメキシコを本部とする、あこがれのWBCベルトをささげることもできた。【河合香】

◆複数階級制覇 日本のジムからは3階級制覇が最多で、亀田興毅、ホルヘ・リナレス、井岡一翔、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成の7人が達成している。2階級制覇はファイティング原田、柴田国明、井岡弘樹、畑山隆則、戸高秀樹(暫定含む)、粟生隆寛、亀田大毅に亀田和毅で15人目となる。女子では藤岡奈穂子が5階級制覇している。世界最多はデラホーヤとパッキャオの6階級。

◆亀田和毅(かめだ・ともき)1991年(平3)7月12日、大阪市生まれ。8歳でボクシングを始め、中卒後メキシコで武者修行し、08年11月にメキシコでプロデビューして2回KO勝ち。6つの地域王座を獲得。13年8月にフィリピンでWBO世界バンタム級王座獲得。日本人初のWBO王者として3度防衛。15年にWBA世界同級王座に2度挑戦失敗。171センチの右ボクサーファイター。

亀田3兄弟の過去5年
亀田3兄弟の比較
亀田和対アビゲイル・メディナ 4回、メディナ(左)に左パンチを放つ亀田和(撮影・小沢裕)

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メリンド、拳四朗の弱点指摘「経験不足、若さ」

パンチングボールを打つ元IBF世界ライトフライ級王者ミラン・メリンド

10月7日、横浜アリーナでボクシングWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(26=BMB)に挑戦する元同級5位の元IBF同級王者ミラン・メリンド(30=フィリピン)がサウスポースタイルを拳四朗陣営にみせつけた。

3日、東京・新宿の帝拳ジムで練習を公開。オーソドックス(右構え)が基本スタイルながらも、ミット打ちやサンドバッグ打ちで長い時間、左構えで動き「今回はWBCのベルトを奪うのが私の仕事。(拳四朗の)弱点は経験不足、若いところです」と自信をのぞかせた。

もともとメリンドは右、左とスイッチするタイプ。過去に八重樫東(大橋)や田口良一(ワタナベ)と対戦した際は、基本的にオーソドックスで戦っていた。練習を視察した拳四朗の父、BMBジムの寺地永会長は「左を入念にやっていましたね。あんなに頻繁に左を使うつもりなのでしょうか。実際に試合になったら、少しスイッチするかもしれないですね」と警戒した。

17年大みそかに田口とのWBA・IBF同級王座統一戦で判定負けして以来の再起戦でもあるメリンドは「もう10カ月前の田口戦は頭にない。今は拳四朗戦いに集中しているし、どうやって戦うかだけを考えている」とクールな表情。3度目の日本での世界戦でもあり、落ち着いた笑みも浮かべ「メンタルタフネスになった。2018年最高の試合をしたいと思っている」と静かに燃えていた。

パンチングボールを打つ元IBF世界ライトフライ級王者ミラン・メリンド
軽快にシャドーボクシングをこなす元IBF世界フライフライ級王者ミラン・メリンド

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井上尚弥WBSS中継にボクシング通・香川照之出演

香川照之がゲスト出演するフジテレビ系「ボクシング 井上尚弥×JCパヤノ~WBSSバンタム級トーナメント準々決勝~」(C)フジテレビ

俳優香川照之(52)が、7日にフジテレビ系で生中継される「ボクシング 井上尚弥×JCパヤノ~WBSSバンタム級トーナメント準々決勝~」(午後8時)にゲスト出演する。芸能界でも屈指のボクシングマニアとして知られる香川から、どんな話が飛び出すか注目される。

「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」には、今年5月に無敗のまま3階級制覇を達成した、WBA世界バンタム級王者井上尚弥(25)が出場する。ヨーロッパで昨年スタートした新しい大会で、各階級のトップ選手8人が集結して、トーナメントで優勝者を決める“ボクシング版ワールドカップ“。従来のプロボクシングでは、あまり見られなかったトーナメント形式が人気を呼んでいる。

今回の開催のバンタム級には井上のほか、WBAスーパー王者ライアン・バーネット(イギリス)、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、WBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)の4人の現役世界王者、さらには2人の元世界王者と無敗の新鋭2選手がエントリーしている。井上は「普通の防衛戦だったらここまでモチベーションは上がらなかった」と話している。

井上選手が初戦で対戦するのは、元WBAスーパー王者パヤノ。14年9月にアンセルモ・モレノからタイトルを奪い、初防衛戦に小差判定負けして王座を失ったが、その後は3連勝をマークしている。井上は「強引につぶすことはできない。コツコツ、ジリジリいくことになると思う」と分析している。

解説を浜田剛史、川島郭志、長谷川穂積、山中慎介、ゲスト解説を八重樫東、伊藤雅雪(WBO世界スーパーフェザー級王者)が務める。

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八重樫東4階級制覇に王手 大橋会長「機は熟した」

7回、八重樫はTKOで向井寛史を破り両手を掲げる(撮影・酒井清司)

<ボクシング:スーパーフライ級ノンタイトル10回戦>◇17日◇東京・後楽園ホール

 元世界王者八重樫東(35=大橋)が連続TKO勝利で、4階級制覇に王手をかけた。2度世界戦経験のある向井寛史(32=六島)と5年ぶりのベテラン日本人対決。初回から積極的に攻め、接近戦でも体負けせずに圧倒。レフェリーストップによる7回2分55秒TKO勝ちした。ミニマム、フライ、ライトフライ級に続き、2階級上のスーパーフライ級で再起後連勝。今冬にも国内男子初となる4本目のベルトを狙う。

 八重樫は初回から前に出た。「体格で勝負するためにも」と、過去にも見せたなりふりかまわぬ韓国流接近戦に出た。6回に一瞬棒立ちとなるも右を打ち込んで逆襲。「メンタルが弱っていると感じた。やり返そう」と、7回に連打を浴びせて仕留めた。

 試合前に大橋会長から「悔いなく出し切ろう」と声を掛けられた。33戦目で初めてのことだった。毎試合が進退をかけた戦い。前日の同会場での世界戦を超える観衆から大声援を受けた。八重樫は「つくづくボクシングができる喜びを感じている。最高だった」と笑みがこぼれた。

 大橋会長は「6回は一瞬タオルも手にしたが、機は熟した」と言い切った。次は国内男子初の世界4階級制覇をかけた一戦だ。八重樫は「王者はみんな強いが、誰でもいい。自信はないが、自信をつけてからでは遅い」。激闘王が集大成の偉業に挑む。

スーパーフライ級10回戦 八重樫東対向井寛史 5回、八重樫(左)が向井にジャブを浴びせる(撮影・佐藤礼征)

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八重樫東「勝ちにいくしかない」世界前哨戦へ気合

計量後にフェイオフする4階級制覇を目指す八重樫東(左)と向井寛史

 ボクシングの元世界王者八重樫東(35=大橋)が17日に東京・後楽園ホールで、4階級制覇へ世界前哨戦に臨む。16日には都内で前日計量があり、リミットより200グラム軽い51・9キロでクリアした。対戦相手の前WBOアジア・パシフィック同級王者向井寛史(32=六島)は52・1キロだった。

 八重樫はこれまでミニマム、フライ、ライトフライ級と世界を制し、3月に2階級上のスーパーフライ級で再起した。2回TKO勝ちでテストをクリアしたが、内容には満足していなかった。今回は勝てば世界挑戦を期すだけに「ふたを開けてみないと分からないが、しっかり勝ちにいきたい。勝ちにいくしかない」と必勝を期した。

 八重樫には5年ぶりの日本人で、2度の世界挑戦経験がある相手とベテラン対決となる。「自分も楽しみだし、面白くなると思う」と期待を口にした。6年前に王座統一戦を争った井岡が現役復帰し、また同じ階級になる。「復帰すると思っていた。絡んでいくか、タイミングとかもあり、縁があれば」と話した。

 向井は初めての後楽園ホールとなる。「チャンスに恵まれている。3度目の世界のためににも、ここで名を挙げたい」と意気込みを見せた。

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