上へ戻る

au版ニッカン★バトル

記事検索

涙は隠れて…「横綱白鵬」誕生/夏場所プレイバック

優勝を決め部屋に戻った白鵬はタイを両手に満面の笑み(2007年5月26日)

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。14日目は、4人目の外国出身力士横綱の誕生です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇14日目◇2007年5月26日◇東京・両国国技館

勝ち名乗りを受けた後の土俵下。こみ上げるものを必死にこらえるように、2階席に視線をさまよわせた。「ふーっ」と肩で息すること7回。今度は、乾いた唇をなめながら目を閉じた。

「弱いとこ見せちゃダメ。涙は隠れて出すものなんだ」

貫いてきた哲学そのままに、大関白鵬は心の中で涙を流した。

大関千代大海を寄り切りで破り、無傷の14連勝。2場所連続3度目の優勝を果たし、横綱昇進を確実にした。圧倒的な強さの要因を「もちろん、家族です」と即答。2月に紗代子夫人と結婚し、初日3日前には長女愛美羽(あみう)ちゃんが誕生した。綱取り場所のナーバスな時期。部屋での寝泊まりを勧める周囲に首を横に振った。

「奥さんがいたから、ここまでこれた。頑張って赤ちゃんを産んでくれたから僕が頑張る番なんです」

実は出産後、夫人は体調を崩した。それでも顔色ひとつ変えず土俵を務め続けた。

千秋楽に横綱朝青龍を破り、自身初の全勝優勝を果たした。そして場所後に、日本相撲協会が名古屋場所の番付編成会議と理事会を開き、白鵬の第69代横綱昇進を決定。外国出身力士の横綱は曙、武蔵丸、朝青龍以来4人目で、22歳2カ月での昇進は北の湖、大鵬に次ぐ史上3番目(昭和以降)の若さとなった。

以降、無類の強さを見せ続け、今年3月の春場所で44度目の優勝を果たすなど、横綱昇進から13年たった今も角界を引っ張り続けている。

千代大海を寄り切りで破り優勝を決めた白鵬(2007年5月26日)

関連するニュースを読む

大嶽親方、怒りの平手打ち/記者が振り返るあの瞬間

06年7月15日、大相撲名古屋場所7日目で土俵下でにらみ合う千代大海(右)と露鵬

<スポーツ担当記者 マイメモリーズ>(36)

政府の緊急事態宣言が延長され、スポーツ界も「自粛」状態が続いている。

日刊スポーツの記者が自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じた瞬間を紹介する「マイメモリーズ」。サッカー編に続いてオリンピック(五輪)、相撲、バトルなどを担当した記者がお届けする。

   ◇   ◇   ◇

はじめはよく見えなかった。大関千代大海の盛り上がった肩の筋肉から腹へ、細くて赤い筋が何本も流れていた。

06年名古屋場所。打ち出し後の役員室に怒髪天をつく形相の千代大海がバスタオル姿で入ってくる。目が慣れてきて分かった。上半身に小さいガラスの破片が数え切れないほど刺さっていた。粉々になったガラスを浴びたのだ。

すぐにロシア出身の平幕の露鵬も来る。師匠の大嶽親方(元関脇貴闘力)がこわばった顔で付き添う。本割で感情的になった2人が風呂場でもめ、露鵬がドアを破壊した。

帰り支度で騒がしかった役員室が無音になった。お互いにいつでも襲いかかりそうな殺気だ。北の湖理事長(元横綱)は事情を聴き「いつまでも遺恨を残すな。握手して仲直りしなさい」と言った。

露鵬が千代大海に「これからも頑張って」と言う。番付上位の先輩力士に対して、何より加害者としては間違った言葉遣いだった。

直後、大嶽親方が「お前は~」と怒鳴りながら顔面を平手で打った。すさまじかった。記者だったら失神、いや、脳振とうは免れない。張り手で千代の富士、小錦、曙に挑んだあの貴闘力の平手打ちだ。その一撃を受けても露鵬は顔をそむけず正面を向いたまま。映画のようだった。

この時、露鵬はフラッシュを嫌がり、カメラマンに暴力をふるい、出場停止処分になった。

後日、巡業先の体育館で寂しそうに座っていた。目があった。「カメラマンの人には悪いことをしました。大関にも悪い態度、反省しています」と言った。気まずい空気が流れ、話をつなごうと焦り「(平手打ち)ものすごかったね。痛かったでしょ」と聞いた。すると「あんなの痛くない。それよりも悔しかった。俺は強いんだって、みんなに分かってほしかった」。顔の前を太い右腕で振り払うようにした。よみがえった記憶を払いのけようとしているようだった。屈辱に顔はゆがんでいた。

番付が力を示す相撲社会を取材して、こんなきわどい瞬間にはほとんど出会えなかった。ただ、ケンカ沙汰はいたるところにあるとはうすうす感じていた。相撲界は時津風部屋での力士暴行死事件、元横綱日馬富士の暴行問題という不祥事から暴力追放を目指してきた。現在は暴力への問題意識も格段に広まっているだろう。記者が遭遇したあの瞬間は、もう過去のものであると信じている。【井上真】

関連するニュースを読む

小結に新三役朝乃山、富山出身は戦後3人目 新番付

大相撲夏場所千秋楽、笑顔で優勝インタビューに臨む朝乃山(2019年5月26日撮影)

日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。

ともに先場所は途中休場だった両横綱は3場所連続で東に鶴竜(34=陸奥)、西に白鵬(34=宮城野)が就いた。鶴竜は、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)死去により今場所が陸奥部屋所属となって初の本場所で、2場所ぶり7度目の優勝を狙う。白鵬は、日本国籍取得後としては初となる、4場所ぶり43回目の優勝を目指す。

大関は、先場所10勝5敗の豪栄道(33=境川)が東、全休した高安(29=田子ノ浦)が西、1場所で復帰を果たした貴景勝(23=千賀ノ浦)が東の2枚目。豪栄道の大関在位32場所は史上10位タイ(1位は千代大海と魁皇の65場所)、高安は昨年名古屋場所以来3度目のかど番、貴景勝の大関復帰は今年名古屋場所の栃ノ心(32=春日野)以来、昭和以降10人(11度)目となった。

関脇は東が、先場所優勝の御嶽海(26=出羽海)が3場所連続(三役は17場所連続)の在位。西の栃ノ心は先場所の貴景勝以来の大関降下で、現行制度では23度目(2度降下は貴ノ浪、栃東に続き3人目)。

小結は東が3場所連続の阿炎(25=錣山)、西が2場所連続の遠藤(29=追手風)。今場所はさらに、付け出しとして2人が名を連ね、06年九州場所(稀勢の里、黒海、安美錦、露鵬)以来13年ぶりの小結4人となった。

東は4場所ぶり小結復帰の北勝富士(27=八角)で、西は待望の新三役となる朝乃山(25=高砂)が就いた。高砂部屋からは06年名古屋場所の朝赤龍以来で、富山県出身では64年夏場所の若見山、85年九州場所の琴ケ梅以来、戦後3人目。近大からは80年夏場所の朝汐(のち朝潮)、15年名古屋場所の宝富士(32=伊勢ケ浜)以来3人目の新小結で、三段目付け出しデビュー力士の新三役は初めてとなる。

九州場所は、11月8日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。10日の初日を迎える。

貴景勝(2019年9月19日)
高安(2019年7月6日)
大関栃ノ心(2019年1月16日)

関連するニュースを読む

栃ノ心休場の可能性「考えないと」春日野親方が示唆

大相撲名古屋場所 朝乃山に敗れ肩を落とす栃ノ心(撮影・白石智彦)

<大相撲名古屋場所>◇5日目◇11日◇ドルフィンズアリーナ

いまだ白星のない栃ノ心について、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が「(出場は)いろいろ考えないといけないこともある」と休場の可能性を示唆した。栃ノ心は朝乃山に寄り切られて完敗。大関の初日から5連敗(不戦敗を除く)は、08年初場所で7連敗した千代大海以来11年ぶりとなった。場所前に左肩痛を発症し、古傷の膝にも不安を抱える。師匠は「やる気はあるけど内容が…。(栃ノ心は)泣きたい気分だろうな。出るからには頑張らないといけない」と、苦しむ弟子の心境を察した。

関連するニュースを読む

貴景勝休場 早朝から複数病院で検査 再出場絶望的

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

<大相撲夏場所>5日目◇16日◇両国国技館

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷のため夏場所5日目から休場することを決めた。16日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に(相撲を)取って相撲人生を終わらせるわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治して欲しい」と話した。5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

千賀ノ浦は前日から休場させる意向だった。「本人が一番悔しいし出たいとは思う」と弟子の意思を尊重しながらも、「私はもともと休場させるつもりだった」と明かす。貴景勝は早朝から病院を複数軒まわっており、MRIを撮るなどして、けがの詳細を調べている。

貴景勝は前日4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。故障を招いた場面は、貴景勝本人いわく「投げを打った際」という。

新大関場所で、あまりにショッキングな出来事。師匠は「けがは怖いですね…」と神妙な面持ちで話した。再出場の可能性については「考えていないですけどね。その辺はまだ今日病院に行ったばかりなので」と話すにとどめた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

貴景勝(右)は寄り切りで御嶽海を下す(2019年5月15日撮影)

関連するニュースを読む

貴景勝の「相撲人生を終わらせるわけにはいかない」

貴景勝の休場を明らかにする師匠の千賀ノ浦親方(撮影・小沢裕)

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が「右膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷」との診断書を提出し、夏場所5日目から休場することを決めた。16日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に(相撲を)取って相撲人生を終わらせるわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治して欲しい」と話した。

5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

親方は前日から休場させる意向だった。「本人が1番悔しいし出たいとは思う」と弟子の意思を尊重しながらも、「私はもともと休場させるつもりだった」と明かす。貴景勝は早朝から病院を複数軒まわっており、MRIを撮るなどして、けがの詳細を調べている。

貴景勝は4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。故障を招いた場面は、貴景勝本人いわく「投げを打った際」という。

新大関場所で、あまりにショッキングな出来事。師匠は「けがは怖いですね…」と神妙な面持ちで話した。再出場の可能性については「考えていないですけどね。その辺はまだ今日病院に行ったばかりなので」と話すにとどめた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

関連するニュースを読む

貴景勝が休場、新大関が翌場所かど番は8人目

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が16日、右膝負傷のため夏場所5日目から休場することを決めた。

診断の結果、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷と診断された。5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

この日、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に取って相撲人生を終わらすわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治してほしい」と明かした。

貴景勝は前日4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、気丈に振る舞い詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

関連するニュースを読む

3大関が1勝8敗の大惨敗 平成ワーストを更新

豪栄道(左)をすくい投げで破る御嶽海(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇3日目◇15日◇東京・両国国技館

大関さ~ん、大丈夫ですか…? 横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)の動向が耳目を集める初場所だが、その陰で目を覆うような体たらくぶりが3日目までに起こった。

初日に続き、高安(28=田子ノ浦)、豪栄道(32=境川)、栃ノ心(31=春日野)の3大関が総崩れ。この3日間で勝ったのは、前日2日目の高安(妙義龍に押し出し)だけ。何と3人合わせて1勝8敗という、白星の大盤振る舞いだ。

平成になり1人大関、2人大関、今回の3人や4人大関の番付もあった。日刊スポーツ調べによると、平成以降、大関が3日目までに挙げた総勝利数の最少は00年初場所(出島1勝2敗、千代大海1勝2敗)など4例で「2勝」があるが、「1勝」となると平成ワースト記録になる。しかも前述の4例はいずれも2大関(97年夏場所は3大関だが1人は初日から全休)の時で、今回の「3人で1勝」はより無残を浮き彫りにしている。

この状況について、八角理事長(元横綱北勝海)は極力、プラス思考にとらえている。「若手がどんどん上がって力をつけている証拠じゃないかな。自信をつけてきている」と分析し「(本来なら)上位は自信をつけさせてはいけないところだが」とくぎを刺しつつ、どの時代にも必ず訪れる世代交代の波を感じ取っている様子だった。

北勝富士(左)は高安を送り倒しで破る(撮影・小沢裕)
栃ノ心(右奥)を寄り切りで破る妙義龍。左は稀勢の里(撮影・河田真司)

関連するニュースを読む

栃ノ心400勝発進「怖さない」踏み込み不安も解消

初日を白星で飾り懸賞を手にする栃ノ心(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館

大関栃ノ心(30=春日野)が、かど番脱出へ幕内通算400勝目でスタートした。

西前頭2枚目千代大龍(29=九重)から得意の左四つを奪い、一方的につり出し。「だいぶよかったね」と内容にも好感触だった。

先場所7日目の玉鷲戦で小手投げを食らった際に、右足親指付け根を負傷して8日目以降を休場。夏巡業や1週間前の稽古では踏み込みに不安を感じていたが、この日は「怖さがなくなった」と力強さを取り戻した。

現行のかど番制度となった1969年(昭44)名古屋以降、大関2場所目でかど番を迎えるのは00年秋場所の元大関雅山(現二子山親方)以来18年ぶり8人目。翌場所も負け越して大関から陥落したのは、過去には元大関武双山(現藤島親方)だけ。11年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)によって陥落しなかった。

千代大龍(左)をつり出しで破る栃ノ心(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む

栃ノ心かど番も「やる気まんまん」状態良くなった

大相撲秋場所の土俵祭りに臨む、左から逸ノ城、栃ノ心、豪栄道(撮影・小沢裕)

大相撲秋場所(東京・両国国技館)初日前日の8日、大関栃ノ心(30=春日野)が、東京・両国国技館で土俵祭りに出席した。秋場所はかど番で迎えるが「やる気まんまん」と表情豊かだった。

8月27日の健康診断で175キロだった体重は2、3キロ微減。夏巡業や直近の稽古では、先場所で痛めた右足親指に怖さを感じていたが、今の状態は「完璧じゃないが少しずつ良くなってきた」と、不安を徐々に拭い去ってきた。大関定着へ「なんとか勝ち越さないとね」と、終始笑顔で意気込みを語った。

新大関で迎えた先場所では、6日目の小結玉鷲(33=片男波)戦で小手投げを食らった際に右足親指付け根を痛め、7日目から休場した。現行のかど番制度となった69年名古屋以降、大関2場所目でかど番を迎えるのは00年秋場所の元大関雅山(現二子山親方)以来18年ぶり8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に元大関武双山(現藤島親方)だけ。11年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

関連するニュースを読む

横綱は4場所連続の序列、栃ノ心かど番 新番付発表

白鵬

日本相撲協会は27日、大相撲秋場所(9月9日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。

横綱は東西、東2枚目の順に鶴竜(33=井筒)、白鵬(33=宮城野)、稀勢の里(32=田子ノ浦)で、4場所連続の序列となった。

大関陣は先場所、ともにかど番を脱出した豪栄道(32=境川)、高安(28=田子ノ浦)が東西を張る。新大関の名古屋場所で途中休場し負け越した栃ノ心(30=春日野)は、現行制度の69年名古屋場所以降としては、00年秋場所の雅山(現二子山親方)以来8人目の、大関2場所目でのかど番を迎えた。過去7人で、かど番場所を負け越して翌場所、関脇に陥落したのは武双山(のち大関再昇進、現藤島親方)だけ(かど番場所を全休した千代大海=現九重親方=は当時、公傷制度があり陥落せず)。何とか勝ち越したいところだ。

関脇は東西が入れ替わり、2場所連続で御嶽海(25=出羽海、関脇は2場所連続、三役は10場所連続)と逸ノ城(25=湊、関脇は3場所連続、三役は4場所連続)の顔ぶれ。名古屋場所で初優勝した御嶽海は、秋場所の成績次第で大関昇進の期待がかかる。

小結は東が2場所連続の玉鷲(33=片男波)、西が今年初場所以来、4場所ぶりに返り咲いた貴景勝(22=貴乃花)の陣容となった。

新入幕の隆の勝(23=千賀ノ浦)は、現師匠(元小結隆三杉)が16年4月に先代(元関脇舛田山)から部屋を継承してからは初めての新入幕。千賀ノ浦部屋としては11年秋場所の舛ノ山(現舛乃山)以来となった。また千葉県出身では、12年秋場所の旭日松(友綱)以来、戦後22人目の新入幕となった。

再入幕は2人。昨年10月、横綱日馬富士(当時)から暴行を受け2場所連続全休で十両に陥落した貴ノ岩(28=貴乃花)は、5場所ぶりの幕内返り咲きとなった。琴勇輝(27=佐渡ケ嶽)は3場所ぶりの再入幕を果たした。

新十両はなく、再十両は4人。白鷹山(23=高田川)は2場所ぶり、炎鵬(23=宮城野)は3場所ぶり、天空海(27=立浪)は4場所ぶりの復帰。常幸龍(30=木瀬)は14場所ぶりの返り咲き。14年秋場所で小結を務めているが、三役経験者が三段目に降下してからの十両復帰は、十両が地位として明確になった1888年(明21)1月場所以降では初めての復活劇となった。

秋場所は、9月7日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。9日の初日を迎える。

関連するニュースを読む

栃ノ心、苦渋の休場 再出場に含みも状況は厳しく

朝稽古の途中、師匠の春日野親方(右)と話す栃ノ心(撮影・加藤裕一)

<大相撲名古屋場所>◇7日目◇14日◇ドルフィンズアリーナ

 新大関栃ノ心が7日目から休場した。前日の玉鷲戦で右足親指付け根を痛め、日本相撲協会に「右母趾(ぼし)MP関節側副靱帯(じんたい)損傷で約1カ月の加療を要する見込み」との診断書を提出した。

 栃ノ心は朝稽古で四股を約70回踏み、最後まで出場の可能性を探った。苦渋の決断に「痛い。(足が)踏めない。靱帯が全部じゃないけど、ちょっと切れてる。名古屋のみなさんに申し訳ないです」。5勝のまま今場所を終えれば、来場所はかど番。栃ノ心は「出られるなら、やりたい」と言い、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)も「症状が激変すれば」と再出場に含みを持たせたが、状況は厳しそうだ。

 ◆新大関の休場 現行のかど番制度となった69年名古屋以降、00年夏場所の武双山以来18年ぶり7人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。11年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

関連するニュースを読む

女性乱入ハプニング/過去の女人禁制問題

土俵下で母美恵さんにハサミを入れてもらう佐ノ山親方(元大関千代大海)(2010年10月2日撮影)

 大相撲の春巡業が4日、京都・舞鶴文化公園体育館で行われ、あいさつをしていた多々見良三舞鶴市長(67)が土俵の上で倒れた。スタッフや観客らが心臓マッサージなどを施したが、その中に含まれた女性に対して土俵から下りるようアナウンスがあった。場内アナウンス担当の若手行司が、周囲の観客にあおられて慌てて口走ってしまったという。市長は命に別条はないが、精密検査を受けるために舞鶴市内の病院に入院した。

<過去の女人禁制問題>

 ◆太田房江氏の要望 00年、大阪府で全国初の女性知事となった太田氏が、歴代府知事が春場所優勝力士に直接渡してきた「大阪府知事賞」を土俵上で授与したいと要望。04年まで5年連続で要望を出したが、実現せず。

 ◆女性乱入ハプニング 07年9月19日の秋場所11日目、40歳前後とみられる女性が、警備員の制止を振り切り土俵に乱入。約1400年の大相撲の歴史で初めて女人禁制が破られた。

 ◆千代大海の断髪式 10年10月2日、元大関千代大海は、自身の断髪式に母美恵さんを招待。土俵に上がれない美恵さんのために、土俵下まで下りた。

太田房江氏(2013年8月2日撮影)

関連するニュースを読む

横綱、大関が休場した場所は大関以上が優勝/データ

豪栄道(左)は1敗差で追う日馬富士の勝利を土俵下で見届け支度部屋へ引き揚げる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇23日◇東京・両国国技館

 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、逆転優勝へ望みをつないだ。1差で追いかける大関豪栄道が勝ったため、負ければ優勝を譲ってしまう結びの一番で関脇御嶽海を下した。並走していた平幕の朝乃山が黒星を喫し、優勝は日馬富士と豪栄道に絞られた。春場所の稀勢の里以来11例目となる、千秋楽直接対決から1差逆転優勝へ向けて全身全霊で戦う。

 ◆横綱、大関が4人以上休場した場所の優勝力士 3横綱2大関の5人が休場したのは1918年(大7)夏場所以来99年ぶりだったが、当時は大錦、西ノ海、鳳の3横綱と九州山と伊勢ノ浜の2大関が休場したものの結局、1人横綱の栃木山が優勝を飾った。4人の休場も昭和以降7例あるが、44年秋は大関前田山、53年初は大関鏡里、99年春は大関武蔵丸、02年名古屋は大関千代大海、同年九州と03年初は大関朝青龍が優勝。関脇以下が優勝をもぎ取ったのは01年秋の平幕琴光喜だけで、今回もまた、大関以上の優勝になった。

関連するニュースを読む

トップ豪栄道2敗、19年ぶり大混戦演出しちゃった

豪栄道(左)ははたき込みで松鳳山に敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇12日目◇21日◇東京・両国国技館

 優勝争いトップを走る大関豪栄道(31=境川)が、大混戦を演出してしまった。東前頭4枚目松鳳山にはたき込まれ、2敗目を喫した。自力優勝には「残り3日で2勝」と優位さに変わりはないが、4敗は現在10人。3横綱2大関休場の秋場所が、最後にまた荒れ始めた。

 朝乃山、貴ノ岩、千代大龍の3敗力士3人がそろって負けた。一時は後続との差が2差から3差に開いたが、豪栄道も負けた。松鳳山戦。立ち合いが2度合わず、3度目で立つと、激しい突き押しの応酬になった。左ほおを2度張られ、はたきにいったが、最後は逆にはたき込まれた。

 勝てば、あと1勝で優勝と絶対的優位に立てた一番だった。支度部屋で、右肘に血をにじませながら、言葉少なだった。「う~ん、しっかり当たらないとダメやね」。後手に回ったかと問われて「そうですね」とつぶやいた。八角理事長(元横綱北勝海)は「安全に、勝ちたい気持ちが強すぎたかな。勝てば(優勝が)ほとんど決まりの一番だから、余計に大事と思ったんだろう」と心中を推察した。

 残り3日、後続とは2差のままで、2勝すれば自力優勝できる。ただ2敗すれば、話は別。2差の4敗力士は10人もおり、今後の展開次第で大逆転Vへ、息を吹き返す。新入幕の朝乃山、前半に走った阿武咲、人気者の遠藤、元大関琴奨菊、4連敗から8連勝の嘉風、横綱日馬富士らのうち、千秋楽まで4敗を守った力士による優勝決定戦に巻き込まれる。

 この日は通算出場1000回の節目だった。「そういうのは、今は別にどうでもいい」。残り3日に向けた心境を問われ「気にせず自分の相撲をとることだけを心掛けていきます」と、ほぼ同じフレーズを繰り返し、帰りの車に乗り込む間際に一言こぼした。「攻める気持ちが大事やね」。自分のせいで生まれた混戦模様は、自分の力で制するしかない。【加藤裕一】

 ◆12日目終了時点 単独トップの力士が後続に2差をつけたのは、平成以降で今回が31例目。過去30例のうち、逆転されたのは05年秋の琴欧州(優勝は朝青龍)と99年初場所の若乃花(優勝は千代大海)の2例だけ。データでは豪栄道の優勝確率は93%となる。

 ◆12日目終了時点の混戦 1場所15日制になった49年(昭24)夏場所以降、優勝争いでトップと後続が11人以上いたのは、今場所で6例目。そのうち5例は複数人がトップに立ち、後続との差は1。今場所のように単独トップ-後続と2差の例とピタリ合うのが1例だけある。98年初場所で大関武蔵丸が10勝2敗で単独トップ。後続は4敗の横綱貴乃花ら10人。武蔵丸は14日目に敗れたが1差の12勝3敗で逃げ切った。

 ◆幕内後半戦の山科審判長(元小結大錦)の話 豪栄道は立ちづらそうだった。松鳳山のようなタイプは嫌なんだろう。今後の優勝争いの展開? 分かりません。

関連するニュースを読む

いじられ大栄翔6勝首位も懸賞2本「本当にやめて」

大栄翔(左)ははたき込みで佐田の海を下す(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇7日目◇16日◇両国国技館

 地味~な男から脱却だ! 東前頭11枚目の大栄翔(23=追手風)が佐田の海をはたき込みで下して1敗を守った。今場所は6勝しながら、手にした懸賞はわずか2本(手取り6万円)。角界の“いじられキャラ”は知名度を上げるべく、ひっそりと首位を並走している。1敗はほかに大関豪栄道と平幕阿武咲、そして大栄翔と同部屋の平幕大翔丸も1敗を守った。

 今場所6度目の勝ち名乗りを受けた。だが、またしても懸賞はなかった。大栄翔は結構、気にしていた。出番前には御嶽海に指摘されて「本当にやめて。言わないで」と懇願した。目立たない男。それでいて、いじられる男。それが7日目まで首位を並走している。

 佐田の海をはたきこみ、多くの報道陣に囲まれた支度部屋。今度は埼玉栄高の3年後輩の貴景勝が寄ってきた。「今日はどこが良かったか」「好調の要因は」。報道陣に交じって、矢継ぎ早に問いただされた。

 「いいから!」と遮るも、結局しっかり答えてしまう人の良さ。「良い相撲だったよ。会心の相撲だよ!」「巡業中の貴景勝関との稽古が良かったからです!」。そんな愛すべき後輩が去った後は「一緒に上でやりたいですね」と、小さな声で望んでいた。

 高校総体個人3位をひっさげて、12年初場所初土俵。だが、目立たない。「よく声が小さいと言われて、店員に何回も聞き返される。自分では普通に話しているつもりなのに…」。同い年で大卒の豊山、朝乃山らに話題は先行されていた。

 それは力士らしからぬ優しさの裏返しでもあった。小1から相撲を始め、中学は相撲道場に通うかたわら、園芸部に所属した。「キュウリやナス、ゴーヤーにアジサイも育てた。特にヒマワリが大好きでした」。ヒマワリの花言葉は、あなただけを見つめる-。「自分も相撲にいちずです」。

 そんな男が同部屋の大翔丸らと首位を並走する。「意識は全くないです。一番一番です」。8日目の隠岐の海戦には、懸賞が3本懸かっている。【今村健人】

 ◆大栄翔勇人(だいえいしょう・はやと)本名・高西勇人。1993年(平5)11月10日生まれ、埼玉県朝霞市出身。朝霞第四小1年から相撲を始める。埼玉栄高3年時に高校総体団体2位、個人3位。昔から千代大海(現九重親方)のファンで、埼玉栄高の山田道紀監督の紹介で現在の部屋に入門。12年初場所初土俵、14年名古屋場所新十両、15年夏場所で新入幕に昇進。家族は母、兄。血液型B。通算216勝174敗。

関連するニュースを読む

高安までも…右太もも肉離れ休場「プチッといった」

車いすに乗せられた高安は痛めた右足を押さえて苦悶(くもん)の表情を見せる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇2日日◇11日◇東京・両国国技館

 荒れる秋が大荒れになった。大関高安(27=田子ノ浦)が小結玉鷲に初黒星を喫した際、右太ももを負傷した。肉離れで、関係者によると休場を決断。高安の休場は15年秋場所以来2度目になる。西前頭4枚目の宇良も平幕貴景勝に突き倒された際に右膝を痛めた。3横綱不在の中、実力と人気の屋台骨を支える2人が負傷し、相撲協会にとって弱り目にたたり目となった。三役以上の全勝は横綱日馬富士1人となった。

 まさか、高安までも-。昭和以降、初めて3横綱が初日から休場した今場所。優勝争いの期待が懸かった大関も、負の連鎖にのみ込まれた。都内の病院で右太ももの肉離れと診断された。関係者によると、やむなく休場を決断したという。

 防戦一方の相撲だった。2連敗中の玉鷲に押し出されて、左半身となって右足を俵にかけた。その粘りが負担を掛けた。土俵を割ると、初黒星に館内からはため息が上がった。だが、なかなか中に戻れず、戻っても足を引きずる姿によってすぐに、どよめきへと変わった。歩けずに付け人を呼び、車いすも求めた。「ブチッといった」「パーンと音がした」。そう漏らして右太もも内側をさすった。

 直行した診療所の帰りは、歩いて車に乗り込んだ。「そんなに悪くない。大丈夫」と弱音は吐かず、打ち出し後は8日に急逝した世話人の友鵬さんの通夜のため、東京・江東区の大嶽部屋へと向かっていた。だが、その後に向かった病院で、重傷であると診断された。電話で話した師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「やったばかりなので、明日の朝の様子を見て決めたい」と言葉を濁したが、半身で残す姿に「一番悪いくせが出た」と指摘した。

 3横綱と1大関の休場は99年春場所の若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海以来18年半ぶりとなる。公傷制度が廃止された04年初場所以降、最多の幕内5力士が不在で始まった今場所。そこに期待の大関までも…。荒れる秋場所は、一向に晴れる気配がない。【今村健人】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安はどこを痛めたか(が問題)だ。玉鷲を、うまくつかまえようとしたが押し勝つぐらいの気持ちが欲しかった。ケガばかりは仕方がない。ケガをしない体作りは本人しかできない。日々の鍛錬が必要。荒れている(場所だ)が日馬富士はいい緊張感を崩さずにやってほしい。

 ◆幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)の話 自分もやったことがあるが、大きいの(筋肉)を切っていたら時間がかかる。優勝候補として一番、期待していただけに心配だ。

関連するニュースを読む

高安と宇良が休場 3横綱1大関休場は18年ぶり

 大相撲秋場所3日目の12日、大関高安(27=田子ノ浦)と、西前頭4枚目宇良(25=木瀬)が休場した。2日目の玉鷲戦で右太ももを負傷した高安は「右大腿(だいたい)筋群損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を日本相撲協会に提出。同じく2日目の貴景勝戦で右膝を負傷した宇良は「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷のため9月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出した。

 高安の休場は15年秋場所以来2度目で、宇良の休場は15年春場所で初土俵を踏んでから初。3横綱と1大関の休場は99年春場所の若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海以来18年ぶりとなった。

関連するニュースを読む

稀勢の里が黒星発進、ケガ回復も「心の壁」不安的中

御嶽海(右)に寄り切られ初日黒星の稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲名古屋場所>◇初日◇9日◇愛知県体育館

 休場明けの横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、いきなり黒星を喫した。新関脇御嶽海に立ち合いでもろ差しを許して寄り切られた。夏場所に続く初日黒星で、2場所連続で黒星発進となった横綱は08年夏、名古屋の朝青龍以来9年ぶりとなった。稀勢の里のほか、横綱日馬富士、大関照ノ富士、豪栄道、高安が黒星を喫した。00年九州場所14日目以来17年ぶりに2横綱、3大関が敗れる波乱で、荒れる名古屋が幕を開けた。

 休場明けの初日。左上腕付近の回復具合が測られる大事な一番で、稀勢の里はなすすべなく敗れた。引き揚げる花道では首をかしげた。支度部屋では「うーん…まぁ」とだけ言葉を発して、あとは目を閉じた。同じように初日に敗れても口数が少なくなかった先場所とは違った。2場所連続の黒星発進に無言のまま、愛知県体育館を後にした。

 5戦全勝だった御嶽海との一番。差そうとした左は厳しく封じられ、代わって生命線となる右もまわしに届かなかった。もろ差しを許して後退。俵で4秒間粘ったが、防戦一方の腰高の状態では防ぎようもなかった。今場所、上位に台頭してきた若手に「負けないように、気合を入れてやりたいと思います」と話していたが、止められなかった。

 春場所13日目に負い、夏場所を途中休場に追いやられた左上腕付近のけが。6月から精力的に稽古を積み重ね、テーピングをする必要もない状態にまで回復した。ただ、連日の稽古は最初の一番でほぼ勝てなかった。けがの再発、痛みのぶり返しを怖がり慎重に入る気持ちがどこかにあった。

 「全然、普通にできる。ただ、最初からギアが入らない。(左上腕に)もう違和感はないけど、最初の4、5番くらいはどうしても、なかなか力が入らない。そこが良くなってくれば完璧じゃないかな」。そう漏らしていた場所前。この日の朝も「いい調整ができた」とは言ったが、唯一の心配の種だった、その「心の壁」が、やはり本場所最初の相撲で出てしまった。

 初日黒星は幕内76場所で27度目。過去26場所では最高でも11勝止まりと大きな1敗で、八角理事長(元横綱北勝海)は「今日の相撲を見る限りはね」と、苦しい場所になりそうな予想を示した。ただ、先場所より腕の状態が良いのも確か。心の壁を振り払えるか。試練の場所は、名古屋も続く。【今村健人】

 ◆出場した横綱、大関が5人以上敗れた日 昭和以降、この日が13度目。最多は06年秋場所6日目の6人全滅。1人横綱の朝青龍に白鵬、千代大海、魁皇、琴欧州(のち琴欧洲)、栃東の5大関が敗れた。この日と同様、2横綱と3大関が敗れたのは00年九州場所14日目以来となる。また4横綱&3大関の豪華番付時の大荒れでは、61年九州場所6日目、8日目に2横綱と3大関が敗れたことがある。

関連するニュースを読む

高安コケたら3大関2横綱コケた…負の連鎖波乱初日

北勝富士(左)に押し倒しで敗れる高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲名古屋場所>◇初日◇9日◇愛知県体育館

 2横綱3大関が敗れた波乱の初日に、新大関高安(27=田子ノ浦)も敗れた。初顔合わせの北勝富士に立ち合いでかち上げが不発に終わり、押し倒された。「強いイメージがある」と新たに準備した黒の締め込みではなく、従来の水色の締め込みで臨んだが、新大関としては、14年秋場所の豪栄道以来となる黒星発進となった。

 高安は気負ったのか、汗で滑ったのか。立ち合いで右のかち上げが、北勝富士の顔面をすり抜けた。「代名詞」と言える攻めが不発に終わると、劣勢に回った。のど輪で起こされた。左右とも差された。自己最高位の前頭2枚目として挑んできた北勝富士の勢いに土俵際まで追い込まれた。最後は苦し紛れで放った首投げがすっぽ抜け、押し倒された。00年春場所以来、4横綱3大関がそろった幕開けの日。その先陣を切る新大関が土俵に沈んだ。

 この日朝には、予想もしなかった。朝稽古、緊張のあるなしを問われ「大丈夫です。いつもと変わらないって感じです」と答えた。「あまり変わらないです、いつもと」「今まで通りやります」。平常心を強調していた。その表れの1つが、締め込みだった。大関昇進が決まり、新たに黒の締め込みを準備した。「最近になって、黒の良さがわかってきた。強いイメージがある」と理由を語っていたが、本番で身につけたのは水色の締め込み。「なじむのに時間がかかる?」と問われ「うん…まあ」。結果的に慣れ親しんだまわしで新たな門出を飾れなかった。

 支度部屋ではほぼ無言だった。報道陣に囲まれ、発した言葉は、付け人に対する「綿棒」と「水」だけ。あとは「新大関の緊張があった?」などと何を聞かれても口を開かず、両目をつぶり、押し黙った。新入幕の11年名古屋場所以降、初日は15勝21敗。黒星は今年初場所以来3場所ぶり。険しく厳しい新大関の道が始まった。【加藤裕一】

 ◆出場した横綱、大関が5人以上敗れた日 昭和以降、この日が13度目。最多は06年秋場所6日目の6人全滅。1人横綱の朝青龍に白鵬、千代大海、魁皇、琴欧州(のち琴欧洲)、栃東の5大関が敗れた。この日と同様、2横綱と3大関が敗れたのは00年九州場所14日目以来となる。また4横綱&3大関の豪華番付時の大荒れでは、61年九州場所6日目、8日目に2横綱と3大関が敗れたことがある。

関連するニュースを読む