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70歳で角界去る千賀ノ浦親方、隆の勝に「唐揚げみたいな稽古を」とエール

左が千賀ノ浦親方(元関脇舛田山)、右は常盤山親方(元小結隆三杉)(2016年4月8日)

10日に70歳の誕生日を迎える千賀ノ浦親方(元関脇舛田山)が9日に日本相撲協会の再雇用制度を終える。拓大を経て74年春場所に初土俵。48年間も身を置いた角界を去ることになる。8日までに電話取材に応じ「9日が過ぎないとピンとこない。3月場所が最後と思うと、名残惜しい気持ちになりました」と心境を明かした。

定年後の5年間は「早かったけど、連れてきた子(弟子)が何人残っていたかを気にかけていた」と振り返る。89年名古屋場所限りで現役を引退して春日野部屋付きとなり、04年9月に独立して千賀ノ浦部屋を創設。10年九州場所では舛乃山(当時のしこ名は舛ノ山)が新十両昇進を果たし、部屋から初めて関取を輩出した。

16年4月に65歳となり協会の定年を迎え、現常盤山親方(元小結隆三杉)に部屋を継承したが、東京・台東区の稽古場は自宅でもある。現常盤山部屋が今年2月に東京・板橋区に移転するまでは、部屋内で力士らとコミュニケーションを取ることも多かったという。

自身が引き連れてきた力士も少なくなってきた。史上初のハンガリー出身力士として話題となった舛東欧は、春場所限りで引退。最高位は西幕下8枚目と関取の座に近づいたが、たび重なるケガに泣いた。「ケガがなければチャンスがあったと思うけど、こればかりはしょうがない」と千賀ノ浦親方。舛東欧は引退後、都内の飲食関連の企業に就職するという。「今までも何度も相談に乗ってきた。第2の人生も頑張ってほしい」とエールを送る。

躍進を期待するのが、関脇まで番付を上げた隆の勝(26=常盤山)だ。現在の活躍に、千賀ノ浦親方も「15歳で入門してきて、体を大きくするのに時間がかかった。メシの時間は逃げていたときもあったね(笑い)。素質は良かったけど正直、三役に定着するとは予想外」と驚く。「体重が増えてスピードと勢いが変わった。右を差して半身になるクセがあったが、左が入ったときのスピードがいい。自信もついてきたように見える」。

新関脇から3場所連続で勝ち越し、当然「次期大関」の期待も高まってくる。「(コロナ禍で)出稽古ができないけど、白鵬や照ノ富士みたいな四つ相撲の上位の人にも胸を借りて力をつけてほしいね。泥んこにならないと成果は出ない。お茶漬けを食ったような稽古じゃなくて、こってりした唐揚げみたいな稽古をしてほしいね」と独特な言い回しでエール。「幕下の頃のように、ある意味“バカ”になって頑張ればきっと(大関に)上がれると思いますよ」と笑った。

台東区の部屋には5月の夏場所後に立浪部屋が移転してくる。11月の九州場所後には完全譲渡する予定。自身も今年10月いっぱいまでは居住する。「相撲部屋として残ってくれるのはうれしい」と同親方。今後も相撲界を見守っていく。

【佐藤礼征】

隆の勝(2020年12月10日撮影)

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貴景勝は心機一転「また新しい部屋で頑張っていく」

春場所に向けて稽古をする貴景勝(日本相撲協会提供)

大関貴景勝(24=常盤山)が10日、朝稽古後に報道陣の電話取材に応じ、近況を語った。

綱とりが一転、左足首を痛め10日目から休場した初場所後は、2日から稽古を再開したが、この日も「しっかり基礎をやって、足首と並行して自分の体を焦らず作っている段階」と土台作りに専念している。土俵の中での稽古については「体が出来たらすぐにでもやりたい。早く土俵の中での稽古が出来るに越したことはない」とした。そのため20日から始まる各部屋の関取衆による合同稽古も「自分の体次第」と見通しを立てなかった。

先場所の負け越しは負傷による要因が大きかったが、そこは貴景勝らしく「負けるというのは、まだまだなのでまた稽古して強くなるしかない。(場所前は)自分の中ではやりきったけど、実力がないからああいう展開になった」と言い訳は避けた。埼玉栄高の先輩にあたる大栄翔(27=追手風)の初場所初優勝は「同じ突き押しでもタイプが違うけど、いい刺激をもらいました」とカンフル剤にはなったという。

今月中旬には常盤山部屋が、現在の東京都台東区橋場から板橋区前野町に移転する。貴乃花部屋から当時の千賀ノ浦部屋に移籍し、約2年を過ごした隅田川に程近い現在地の部屋での稽古も最後。「移籍してから、ずっとここで鍛えさせてもらったので少し寂しい気持ちもあるけど、また新しい部屋で頑張っていきたい」と心機一転にする。

うれしいこともある。長らく付け人をしていた貴健斗(25)の新十両昇進だ。「自分とずっと下の時から一緒だったので本当にうれしい。ついてもらったしサポートしてもらったので、上がってくれたことがうれしい。勝ち越してナンボなので切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」。この日、25歳の誕生日を迎えた1学年上にあたる兄弟子の朗報も味方にする。

一方、埼玉栄の後輩で、部屋は違っても付け人を務めていた元横綱大鵬の孫で、初場所新十両だった王鵬(20=大嶽)は、十両の壁にはね返されて5勝10敗で負け越し。大阪から東京開催になった大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)での幕下陥落は避けられない状況だが、後輩に対しても「関取に上がったら自分の考えでやらないといけない。(十両に)上がったら自分で乗り切るしかないのかな、と思っています」と先輩からのエールを送ることも忘れなかった。

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初土俵が同じ貴健斗、武将山ら4力士が十両昇進

貴健斗(2020年10月22日撮影)

日本相撲協会は27日、大阪での開催を目指している大相撲春場所(3月14日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を開き、十両昇進力士4人を発表した。

新十両は2人で、貴健斗(24=常盤山)と武将山(25=藤島)。

貴健斗は相撲の強豪・鳥取城北高から貴乃花部屋に入門し14年初場所初土俵。同部屋の閉鎖に伴い、大関貴景勝らとともに千賀ノ浦部屋に転籍(師匠の年寄名跡交換により現在は常盤山部屋)。幕下に長く定着していたが、自己最高位の西幕下筆頭で臨んだ今月の初場所で5勝2敗の成績を収め、約7年で念願の関取の座を射止めた。

その貴健斗と高校時代に強豪校同士でライバル関係にあった武将山は、貴景勝や初場所優勝の大栄翔らを輩出した埼玉栄高から藤島部屋に入門し、やはり14年初場所で初土俵。こちらも幕下に約5年も定着したが、自己最高位(東幕下2枚目)の初場所で4勝3敗の成績で、初土俵が同じ貴健斗とともに新十両昇進を果たした。

再十両は19年九州場所以来、7場所ぶり復帰の一山本(27=二所ノ関)と、2場所ぶりの十両復帰となった錦富士(24=伊勢ケ浜)の2人だった。

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貴景勝 綱とりへ「あまり深く考えず、ノビノビと」

ダンベルを使って体を鍛える貴景勝

来年の大相撲初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)で綱とりに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が1日、報道陣の電話取材に応じた。

2年ぶり2度目の優勝を果たした11月場所後、この日が稽古始め。四股、すり足など基本運動で汗を流した。場所後の1週間のうち半分は完全休養に充てたといい「疲れを抜くのに少し時間がかかった」ようだ。それでも1週間の休みの後半は、体作りを始めていたようで、体の張りもある様子。「ここから、もう何段階も上げていければ」と稽古の虫がうずいた? ようだ。

一方で11月29日の「いい肉の日」には焼き肉を食べたように「食べたいものを食べさせてもらった1週間」と少しばかりの休養期間を満喫できた。軽めの始動には「来場所に向けて、いいスタートが切れているな、と思う」と話した。初場所までの調整法に特段の変化はなく「いつも通り基礎で体をつくり、実戦を踏んで、また基礎をしてという、自分の感覚でいい流れをつかんでやっていけたら」とイメージした。

秋場所後に続き、12月18日から6日間、両国国技館内の相撲教習所で合同稽古が行われる。それには「自分の体次第」と前置きしながら「参加したいと思っている。できる環境で一生懸命やれたら」と意思表示した。

2場所連続優勝が求められる綱とりについては「成績を残さないと上には上がれないので、とにかく一生懸命、頑張ることしかできない。あまり深く考えず、ノビノビやれたらいい」と自然体で臨むことを自分に求めた。

突き押し相撲一本で、ここまで上り詰めてきた。横綱昇進ともなれば、希少価値がある。「押し相撲の人は、そこまで体は大きくないし、幅を広げようとしても、あんまり取れない」と押し相撲で横綱が少ない要因を独自の視点で分析。その壁を破るべく「自分でその可能性を止めてしまったら一生、そこで終わる。(押し相撲で横綱になるのは)無理って言われているから、やりがいを感じている」と気概を示し「やっぱり自分は押し相撲しかない。小さい頃から目指してきた(押し相撲という)もので頂点に、横綱になりたいというのはある」とキッパリ話した。綱とり場所については「1日1日、トーナメントのように」と目の前の一番に集中して臨む。

師匠(元小結隆三杉)と先代(元関脇舛田山)の年寄名跡交換に伴い、11月場所までの「千賀ノ浦部屋」から「常盤山部屋」の力士として初めて臨む初場所でもある。最後の「千賀ノ浦」で優勝し「本当に良かった」とした上で「新しい名前の部屋でも、いい成績を残したいと思う」と新たな発奮材料に変える。

今年1年を1字で表すとしたらという、年末恒例の? 問い掛けには「まだ浮かばないので、また年末に」とした上で、今年1年は「ケガもあったし優勝もできた。いいことも悪いこともあったという感じ」と振り返っていた。

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貴景勝所属の千賀ノ浦部屋「常盤山部屋」に名称変更

貴景勝(20年11月10日)

日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で理事会を開き、常盤山親方(69=元関脇舛田山)と千賀ノ浦親方(59=元小結隆三杉)が年寄名跡を交換し、千賀ノ浦部屋の名称が「常盤山部屋」の名称に変更することを承認した。

先代千賀ノ浦親方の常盤山親方は、来年4月に再雇用制度の任期が終わる。千賀ノ浦親方は16年4月の部屋継承前まで「常盤山」を襲名しており、今回の名跡交換は継承時から両者間で取り決めていた。

千賀ノ浦部屋には11月場所で2度目の優勝を果たした大関貴景勝や関脇隆の勝らが所属している。貴景勝は常盤山部屋の力士として来年1月の初場所に臨み、初めての綱とりに挑戦する。

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貴景勝の千賀ノ浦部屋が名称変更 1月に常盤山部屋

千賀ノ浦親方(左)と貴景勝(2019年4月30日撮影)

貴景勝が所属する千賀ノ浦部屋が来年1月の初場所前に部屋の名称を「常盤山部屋」に変更することが23日、日本相撲協会関係者の話で分かった。

師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が、来年4月に再雇用制度の任期が終わる先代千賀ノ浦親方の常盤山親方(元関脇舛田山)と名跡交換するため。千賀ノ浦親方は16年4月の部屋継承前まで「常盤山」を襲名しており、今回の名跡交換は継承時から両者間で取り決めていた。今後手続きを進める予定で、相撲協会に承認されれば、貴景勝は初の綱とりに挑む初場所を常盤山部屋の力士として迎える。

千賀ノ浦部屋の看板を持つ貴景勝(2018年10月29日撮影)

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貴景勝、観客増に感謝「多ければ多いほどやりがい」

貴景勝(20年9月撮影) 

大相撲の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が28日、観客の上限が2500人から5000人に引き上がる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)に向けて、感謝の思いを語った。

電話取材に応じ、観客が増えることについて「もうすごいうれしいですね。やっぱりお客さんの中で相撲を取るのは何よりの力になる。多ければ多いほどやりがいがある。ありがたいことですね」と話した。

3月の春場所は無観客で、7月場所、秋場所では観客を入れたものの歓声は飛び交わなかった。「プロである以上、どんな状況でも力出さないといけないですけど、やっぱりお客さんいた方が、目に見えない100%以上の力が出る」。ファンの存在を力に11月場所に臨む。

16日から両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古には計4日間参加。新大関の正代との三番稽古では計35番と番数を重ねた。「優勝した力士と体を合わせてしっかり身になるものがあったと思う」と収穫があった様子。この日は基礎運動を中心に下半身を鍛えるなど、体づくりに励んだ。

同部屋の隆の勝(25)が27日の番付発表で西の関脇についた。「強くなってるから関脇に上がった。昔から出稽古をよくやっていた。肌を合わせていく中で、参考になる部分はたくさんある」。2人の活躍で千賀ノ浦部屋をさらに盛り上げる。

大関優勝は17年初場所の稀勢の里が最後で、約4年遠ざかっている。自身の優勝時の番付は小結。「焦りはないけど、ただ毎場所優勝に向けて稽古をしているので、優勝したいなと自然に思う」。秋場所では12勝3敗で優勝次点。1年納めの場所で無念を晴らす。

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正代加わり3大関は昨年11月九州場所以来/新番付

秋場所優勝の正代(2020年9月27日撮影)

日本相撲協会は26日、開催地を通常の福岡から東京に変更して行う大相撲11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7月場所と9月の秋場所は1日あたりの上限入場者数を約2500人に制限していたが、11月場所から約5000人に引き上げて開催される。

横綱は5場所連続で、東に白鵬(35=宮城野)、西に鶴竜(35=陸奥)が就いた。ともに2場所連続休場明けで、復調を示す土俵となる。白鵬は3場所ぶり45回目、鶴竜は昨年の名古屋場所以来7場所ぶり7回目の優勝を目指す。

大関は東西が入れ替わり、東が貴景勝(24=千賀ノ浦)、西が朝乃山(26=高砂)。貴景勝は11場所ぶり2度目となる大関初優勝を、朝乃山も8場所ぶり2度目となる大関初Vを狙う。

これに新大関として東の序列2番目に先場所初優勝の正代(28=時津風)が加わり、昨年11月の九州場所以来の3大関となった。新大関は7月場所の朝乃山以来で、時津風部屋からは63年春場所の豊山以来、57年ぶり。熊本出身では62年名古屋場所の栃光以来、58年ぶりで、東農大出身では豊山以来2人目、学生出身力士としては朝乃山に続き9人目の新大関となる。28歳10カ月での新大関は、年6場所制となった58年以降初土俵の力士としては、7位の高年齢昇進となる(1位は琴光喜の31歳3カ月)。

西の関脇に新昇進となる隆の勝(25=千賀ノ浦)が就いた。小結を飛び越えての新三役で、千賀ノ浦部屋からの新関脇は、昨年初場所の貴景勝以来。新三役は同部屋で初めてとなる。千葉県出身の新関脇は90年名古屋場所の琴富士以来、新三役は12年初場所の若荒雄以来となる。東の御嶽海(27=出羽海)は3場所連続の関脇在位(三役としても)となる。

東西の小結には大関経験者が就いた。東の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は、17年九州場所以来17場所ぶりの三役復帰だが、小結は初めての在位となる。大関経験者が平幕に陥落した後の新小結は史上初のケースとなった。また三役経験者が序二段に降下後、三役に復帰するのも史上初めて快挙となる。西の高安(30=田子ノ浦)は17年初場所以来、22場所ぶりの小結で、三役は今年初場所以来、4場所ぶりの復帰となった。

11月場所は、11月6日の取組編成会議で初日と2日目の対戦相手が決定。8日の初日を迎える。

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貴景勝「パワー上積み」突き押し強化で大関初V宣言

11月場所に向けて都内の千賀ノ浦部屋で始動した貴景勝

大関として初めての優勝を目指す貴景勝は、突き押しの強化を宣言した。

都内の千賀ノ浦部屋で6日、稽古を再開。四股やバーベルを使ったトレーニングで体を動かした。12勝3敗で秋場所は優勝次点。「突き押しの攻撃力を高めていきたい。あとはパワーの上積みしかない」と自身の課題を挙げた。大関の優勝は17年初場所の稀勢の里が最後。11月場所に向けて「大関だから優勝しないといけない」と責任感を口にした。

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隆の勝 10年で開花、中卒たたき上げ/プロに聞く

地元の千葉・柏での巡業で犬と記念写真に納まる

大相撲で勢いに乗る幕内力士の1人、隆の勝(25=千賀ノ浦)に話を聞いた。今年で入門10年。史上初の無観客開催となった春場所では12勝3敗の好成績で優勝次点、初の敢闘賞も獲得した。近年は高校、大学を経由して角界入りする力士が多くなる中、貴重な中卒たたき上げ。大家族で育った幼少時代の経験などを明かした。

丸顔に癒やし系の笑顔で“おにぎり君”の愛称で親しまれる隆の勝にとって、相撲との出会いは必然だった。父俊哉さんは大相撲観戦が好きで、地元の千葉・柏市は相撲が盛ん。幼稚園や小学校に相撲大会出場を勧誘するチラシが多数張られており、相撲クラブに所属していない少年も積極的に参加していたという。隆の勝は小1のときに初めて地元の相撲大会に参加。小3から柏市スポーツ少年団で本格的に相撲を始めた。同学年には大翔鵬(現十両)、後輩には元横綱琴桜を祖父に持つ琴ノ若(現前頭)や琴勝峰(現十両)が在籍。強豪のクラブチームだった。

「中卒で大相撲に入るまでずっと通っていました。稽古は厳しかったけど、小さい頃はとにかく相撲が楽しかった記憶があります。クラブには全国で2位、3位になるような強い子もいて、僕も小4から小6までわんぱく相撲の全国大会に出場していましたが、飛び抜けて強いわけではありませんでした」

クラブの練習は1日4時間で、土日の週2回。他のスポーツは習っていないため、平日の放課後は友達と遊ぶ時間が多かったが、学年が上がるにつれて、クラブ以外での稽古時間が増えたという。

「家では週に2、3回はみっちり四股を踏んでいました。回数はあまり覚えていないけど、30分くらいだったかな。めちゃくちゃ厳しく指導されたわけじゃありませんが、父親の監視の下で踏んでいたことを覚えています」

6人きょうだいの4番目として生まれた。母雅代さんは整体師。相撲を始めた頃から、痛いところがあればすぐに治療をしてくれた。今でも実家に戻ると体を診てくれるという。両親は子どもたちを特別厳しく育てたわけではないが、隆の勝にとって印象深い「ルール」がある。

「テレビゲームはいいけど、携帯ゲームは禁止されていましたね。他の家だと『目が悪くなるから』『勉強をしなくなるから』って理由が多いと思うんですけど、うちの場合は『姿勢が悪くなるから』とよく言われました。ゲームに限らず姿勢のことはよく注意されていましたね。いま思うと、整体師らしい視線だなと思います。ちなみに、今も携帯ゲームはやっていませんよ(笑い)」

大家族の存在は今でも力になっている。場所中は家族のライングループに母親が自身の取組動画を投稿。負けが込むと、姉からは「顔が死んでいるよ」と一喝される。

「昔から家族はみんな応援してくれた。今もだけど、家族の存在はずっと力になっています」

春場所では初めての敢闘賞を受賞するなどブレークした。力のある突き押し、右を差して素早く寄る相撲も目立ったが、現在の形が確立され始めたのは最近のこと。

「自分の相撲をつかみ始めたのは出稽古を積極的にするようになった3、4年前くらいからです。自分の型というのは、本来なら早めに決めた方がいいのかもしれないけど、今となっては焦らずに決めなくて良かったのかもしれない。だからこそ、若いときから四股やすり足の基礎(運動)で体をつくることが重要だと思う」

師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)や同部屋の力士が口をそろえて「稽古熱心」と評価する真面目な性格。地道な鍛錬で自身と向き合い続け、その才能を開花させた。【佐藤礼征】

◆隆の勝伸明(たかのしょう・のぶあき)本名・石井伸明。1994年(平6)11月14日、千葉県柏市生まれ。小3から柏市スポーツ少年団で相撲を始め、小4から小6までわんぱく相撲全国大会出場。先代千賀ノ浦親方(元関脇舛田山)からの誘いを受け、千葉・西原中を卒業後、千賀ノ浦部屋に入門。10年春場所で初土俵。17年九州場所で新十両、18年秋場所で新入幕。20年春場所では12勝3敗の好成績で初の敢闘賞を受賞。家族は両親、兄、姉2人、妹、弟の8人家族。183センチ、163キロ。血液型O。得意は押し。

幕内土俵入りする隆の勝
春場所で敢闘賞を受賞した隆の勝(右)
大相撲春場所 9日目 玉鷲(右)との立ち合いで顔をうち出血するも押し出しで破る隆の勝

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貴景勝が近況明かす「やれることを」かど番脱出期す

貴景勝(2020年3月17日)

大相撲の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が29日、日本相撲協会を通じて談話を発表した。

「基礎トレーニングを中心に今やれることを一生懸命やっています」とコメント。この日、都内の千賀ノ浦部屋で稽古を行い、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2週間延期となっている夏場所(5月24日初日、東京・両国国技館)に向けた調整を進めている。

貴景勝は3月の春場所では7勝8敗の成績で、大関として15日間を皆勤して初めて負け越した。夏場所ではかど番脱出を期す。

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隆の勝が主役!1敗守った  おにぎり君の笑顔満開

玉鷲(左)との立ち会いで激しく当たる隆の勝(撮影・清水貴仁)

<大相撲春場所>◇9日目◇16日◇エディオンアリーナ大阪

東前頭9枚目隆の勝(25=千賀ノ浦)が新風を巻き起こす! 玉鷲を押し出して1敗を守り、関取としては自己最速の勝ち越しを決めた。無観客開催の中、同部屋の大関貴景勝と稽古を重ね、実力を伸ばしている押し相撲のホープが無欲に突き進む。横綱白鵬が無傷の9連勝。隆の勝と碧山の平幕2人が1差で追い、横綱鶴竜ら2敗の5人が食らいつく。

  ◇    ◇    ◇

隆の勝が押し相撲の実力者を難なく退けた。立ち合い当たって右を差すと、すくって玉鷲の体勢を崩し、最後ははず押し。自己最高位の場所ながら、自己最速で給金を直した。「うれしい。勝ち越しのかかった相撲は緊張するけど、今日は周りが見えていた」。ファンから“おにぎり君”の愛称で親しまれる、癒やし系の笑顔を咲かせた。

力をつける環境が整っている。旧貴乃花部屋の力士らが千賀ノ浦部屋に移籍して約1年半。タイプの違う関取衆と手合わせする機会が増えた。特に貴景勝は同じ押し相撲。「場所前に大関(貴景勝)と相撲を取ることが大事。大関はストイックで頭がいいし、立ち合いの強さ、ぶれない下半身は見習いたい」と強調する。貴景勝から戦略面の助言もしばしばあり、この日の朝も「先に攻めた方がいい。無理やり(右を)入れてもいい」と声をかけられた。実際に右を差してから主導権を握る展開。大関の言葉を白星につなげた。

異例の無観客開催だが、図らずも好結果につながっている。「最初は寂しかったけど、慣れてくれば稽古場に似ている」と隆の勝。師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)も「稽古場で強い。無観客でプレッシャーが薄れてるかも」と好調の要因を推察した。

1月の新年会では、師匠に口頭で「年内での三役昇進」を決意した。「同年代が先に上がって負けてられない」。素質を開花させつつある中卒たたき上げの25歳が、主役候補に躍り出てきた。【佐藤礼征】

〈隆の勝(たかのしょう)〉

◆本名 石井伸明(いしい・のぶあき)

◆あだ名 ノブ。おにぎり君。

◆生まれ 1994年(平6年)11月14日、千葉県柏市。

◆家族 両親と兄、姉2人、妹、弟の6人きょうだい、8人家族。

◆相撲歴 小3から柏市相撲スポーツ少年団で相撲を始め、小4~小6までわんぱく相撲全国大会出場。

◆角界入り 先代千賀ノ浦親方で現常盤山親方(元関脇舛田山)からの誘いを受け、中卒で入門。10年春場所で初土俵。17年九州場所で新十両、18年秋場所で新入幕。

◆しこ名 新十両を機に、現師匠の現役時代のしこ名から1字取って「舛の勝」から改名。

◆サイズ 183センチ、163キロ。

取組中に出血するも玉鷲を押し出しで破る隆の勝(撮影・清水貴仁)
妙義龍を破り、2日連続で流血しながら引き揚げる隆の勝(撮影・河田真司)

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貴景勝「熱いお風呂ダメ」ダチョウ倶楽部の勧誘断る

ゲストのダチョウ倶楽部のメンバーと写真に納まる貴景勝(撮影・丹羽敏通)

大相撲の大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が「ヤクルト1000」の新CMキャラクターに決まり、19日、都内のヤクルトホールで行われた発表会に出席した。

新CMは来年1月下旬から放送予定で、千賀ノ浦部屋での稽古や、まげを結う様子などが収められている。貴景勝は「いつもの稽古通りです。『いつも自分がやっていることをやって』と言われたので、普通にできました。逆にカメラが回っているところで、まげを結うことはないので、まげを結ってもらっている時の方が緊張しました。表でやることはないので普段と違いましたね」と振り返った。

発表会では、朱色に近い赤の新たな化粧まわしも贈呈された。「色合いもすばらしいし、ますます気が引き締まる。来年はしっかりと精進します。赤は初めてなので楽しみ」と喜んだ。贈呈したヤクルト本社取締役専務執行役員の成田裕氏は「早くこの化粧まわしを着けて、土俵に上がったところを見てみたい」と話し、同じく取締役常務執行役員の林田哲哉氏も「たしかに強そう」と、化粧まわし姿の貴景勝のパネルにうなった。

さらに「ヤクルト1000」1年分も贈呈された。貴景勝は「ストレス、睡眠にいいという商品なので、プロの世界でやっている自分としてはありがたいです。次の日のやる気も変わってくる。睡眠でいい筋肉がつくられるので、睡眠は稽古と同じぐらい大事」と感謝した。

その後「ヤクルト1000応援隊」として、タレントのダチョウ倶楽部の3人も発表会に加わった。貴景勝は3人とは初対面だったが「大好きで、昔から見ていたのでうれしい」と喜んだ。最初に肥後克広、寺門ジモンの2人が登場し、貴景勝に「今日限りで新ダチョウ倶楽部。名前もどすこい倶楽部にする」と、メンバー入りを勧誘。だが貴景勝は「自分、熱いお風呂ダメなんで」と、笑顔で断っていた。

上島竜兵も加わり、3人になったダチョウ倶楽部は、ストレス緩和の効果があるとされるヤクルト1000にちなんだ新ギャグを披露。「フランス語で」と言いつつ、日本語の発音で新ギャグ「ストレスがトレ、トレ、トレビア~ン」とポーズを決めたが、審査員役の貴景勝は「×」の札を出してダメ出し。ヤクルト公認ギャグへの採用とはならなかった。

最後は上島竜兵と腕相撲対決。上島は両腕、貴景勝は左腕のみ、しかも大幅に傾けた状態から始めるハンディを与えたが、一瞬で逆転。お約束の展開となり、最後はすっかりダチョウ倶楽部と打ち解けていた。

Yakult1000を試飲する貴景勝(撮影・丹羽敏通)
貴景勝と腕相撲のハンデ戦を行うダチョウ倶楽部の上島竜兵(左)(撮影・丹羽敏通)
即興でネタを披露したダチョウ倶楽部にダメ出しをする貴景勝(撮影・丹羽敏通)
ヤクルトから贈られた化粧まわしを締めた貴景勝のパネル(撮影・丹羽敏通)

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一転引退の貴ノ富士に親方安堵「どの子もわが子」

貴ノ富士(左)と千賀ノ浦親方

日本相撲協会は11日、付け人への2度目の暴力や差別的な発言で、自主引退を促していた十両貴ノ富士(22=千賀ノ浦)の引退を発表した。

貴ノ富士の代理人弁護士から郵送で、11日付の引退届と意見書が都内の相撲協会に届いた。協会を訪れていた師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が、その場で正式な書式の引退届を書き、受理された。退職金などは規定通りに支払われることも決まった。

   ◇   ◇   ◇

現役続行を強く希望していた貴ノ富士が一転、引退届を提出した。9月26日の相撲協会の理事会で、自主引退を促すことが決議されたが、翌27日に会見を開いて「受け入れられません」と主張。弁護士を立てるなど、法廷闘争も視野に入れた姿勢を見せていたが、世論を味方に付けるに至らず、この日付の引退届と弁護士2人の名で意見書が協会に郵送で届いた。

謹慎中に師匠に無断で開いた会見から2週間、意見書では「協会とのやりとりに疲れ果てましたので、引退することを決意しました」と心境がつづられた。一方の相撲協会は芝田山広報部長(元横綱大乃国)が「相手は被害者ではなく加害者。理由も、やむを得ない加害者ではない」と反論した。

繰り返しの暴力と悪質な言動があったが、退職金などが支払われる自主引退を促された。それを受け入れた形となり、千賀ノ浦親方は「よかったと思う」と安堵(あんど)感を見せた。

同親方が、退職した貴乃花親方(当時=元横綱)から預かった弟子としては、昨年の前頭貴ノ岩に続き、2人目の暴力での引退となった。今回の件で自身にも「6カ月間、20%の報酬減額」の懲戒処分。それでも「どの子もわが子」と愛情を持って接してきた姿勢には「変わりません。かわいいし、弟子を強くさせるのが僕の仕事」と親心を見せた。貴ノ富士とはずっと連絡が取れないが、断髪式なども「本人と話してみないと」と否定的ではない。

協会は今月中に臨時理事会を開き、再発防止策の強化を進める。コンプライアンス委員会による千賀ノ浦部屋の視察も予定。千賀ノ浦親方は「暴力は絶対にダメということ」と、今度こそと再発防止を誓った。

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貴ノ富士謹慎も部屋に戻らず 親方の電話にも出ない

一連の暴行騒動に対する日本相撲協会の事実上の引退勧告に対して会見を行った貴ノ富士(左)と鈴木利広弁護士(2019年9月27日撮影)

日本相撲協会は7日、先月9月26日の理事会で、付け人の序二段力士に対し暴行を振り、差別的発言を繰り返したため自主的な引退を促す決議をした西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)に関する、これまでの経過を公表した。

それによると、理事会翌日に都内の文部科学省で記者会見を開き、理事会決議を受け入れられず現役続行の意思を示した貴ノ富士側は、代理人弁護士と連絡を取り合うよう同協会側に要望があったという。その上で双方が日程をすり合わせ、10月3日に弁護士同席で貴ノ富士の意思確認の面談を行うことが決まった。

その面談に先立ち、弁護士側から同協会に対し、再発防止策について現状の考え方を回答するよう要望があった。面談予定前日の2日に協会側は要望書に答える形で、再発防止策などについて文書で回答。だが、面談予定の3日午後3時半の約1時間半前に、弁護士側からファクシミリで「要望書に対する回答になっていない」と断りの連絡が入り、面談は実現しなかった。

ただ弁護士側は、貴ノ富士の意向については、10月11日までに文書で回答する旨の連絡があったという。同協会側は「現在は11日までに送られてくるという文書を待っている状況」と静観の構えでいる。

またこの日、同協会広報部が発表した報告では、先月26日の理事会でのやりとり、その後の経過についても説明している。理事会では自主引退を促す決議を、八角理事長(元横綱北勝海)が念押しするように「自主的に引退することを受け入れるか、師匠にも相談して、しっかりと考えてください。その間は、師匠の支持で部屋での謹慎を続けてください」と確認。貴ノ富士は「はい」と答えたものの、27日以降、千賀ノ浦部屋に戻っておらず、30日以降は師匠からの電話にも出ない状況が続いているという。これについて芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「組織の一員として社会通念上、決まり事は守らなければならない」と述べた。

また貴ノ富士の意思を確認する目的で「30日午後2時に師匠と貴ノ富士がそろって協会へ来るように」と千賀ノ浦親方に前日の29日伝えた。だが貴ノ富士は同親方に携帯電話のショートメールで「弁護士が対応するから自分は行かない」旨の通知をしたため、その面談も実現には至らなかったという。担当する2人の弁護士から代理人受任通知などの文書が同協会へファクシミリで送られてきたのは、9月30日だったという。

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協会は自主引退促すも不服の貴ノ富士は27日会見へ

理事会に招集された貴ノ富士(撮影・中島郁夫)

日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で理事会を開き、西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)に、自主引退を促すことを決議した。事実上の引退勧告となる。貴ノ富士は8月31日に付け人の序二段力士に暴力を振るっただけでなく、5~7月にかけて若い衆に差別的発言を繰り返していたことも明らかになった。決議に同意しなければ、協会コンプライアンス委員会の追加答申を受け、臨時理事会で処分を決定する。貴ノ富士は27日に会見する。

   ◇   ◇   ◇

貴ノ富士への処分は出なかった。コンプライアンス委員会から処分案として引退勧告を答申された理事会は「引退やむなしとの意見でまとまった」。しかし、日本相撲協会が発表した文書によれば「貴ノ富士が22歳と若く、今後の人生が長いことを考慮し、懲戒処分の引退勧告ではなく、貴ノ富士に自主引退を促すことを決議した」。事実上の引退勧告で、同意しない場合は、コンプライアンス委に追加答申を委嘱。引退勧告、懲戒解雇といったより重い処分を科すとみられる。

理事会には貴ノ富士、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)、双子の弟で幕内力士の貴源治が呼ばれた。自主引退を促されると貴ノ富士は「考えます」と答えたという。25日に理人弁護士を通じてスポーツ庁に、24日は相撲協会に書面で寛大な処分などを求めた。現役続行を模索しているとみられる。

相撲協会によると、貴ノ富士は5~7月ごろ、千賀ノ浦部屋の弟弟子4人(序二段3人、序ノ口1人)に差別的な発言などを繰り返した。それぞれ「ニワトリ」「ヒヨコ」「地鶏」とあだ名を付け「おい、ニワトリ」と声をかけた際に「はい」と返事をすると「はいじゃない。コケと言え」と強要。8月31日の稽古総見後、付け人が自分よりも先に風呂に入り「先に風呂に入って『お先ごっつぁんです』もないのか」と右手の拳で額を1回殴打。殴られた付け人は額にこぶができ、数日間痛みが残った。

昨年3月に付け人を殴って1場所出場停止処分を受けた貴ノ富士は同年12月、再び暴力を振るった場合は引退する旨の誓約書を師匠に提出していた。退職金が減額される懲戒処分を科さなかったことについて、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「理事会として1つの温情を出した」と話した。協会は謹慎が継続中と認識する中、貴ノ富士は27日に会見を予定。貴ノ富士の代理人は「到底納得できる処分ではない。法的視点から処分の不当性を訴える」とのコメントを発表した。

理事会に向かうため部屋を出る貴ノ富士(撮影・佐藤礼征)

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貴源治と千賀ノ浦親方処分 新弟子に「理不尽」行動

理事会に招集された貴源治(撮影・中島郁夫)

日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で理事会を開き、東前頭17枚目の貴源治(22=千賀ノ浦)にけん責、千賀ノ浦親方(58=元小結隆三杉)に10月から6カ月間、20%の報酬減額とする懲戒処分を決めた。

相撲協会の発表によると、貴源治は今年5~7月ごろの間、都内の千賀ノ浦部屋や名古屋場所の稽古場などにおいて、同部屋の新弟子4人に、暴力は振るっていないが、暴言や新弟子4人が「理不尽」と考える行動を取っていた。新弟子4人が言いつけられた仕事を忘れたり、あいさつの仕方が悪かったりしたことに対する罰として「腕立て伏せ、罰金、外出禁止のどれかを選べ」などと命じて、腕立て伏せをさせていた。新弟子の誰かが失敗すると連帯責任として、4人全員に腕立て伏せ30回を2セット行うよう命じる行為が、複数回にわたって実行された。

名古屋場所中には、新弟子の1人が言いつけられたことをすぐ忘れるとして、他の力士がいる前で、片腕を頭上に挙げる格好をさせた上で「自分は頭が悪いです」と言うように命じて発言させた。さらに、その様子をスマートフォンで録画する動作もした。これらの行為に対する処分で、コンプライアンス委員会は「貴源治の行為は、失敗した当事者か否かにかかわらず、連帯責任として新弟子4人に腕立て伏せを命じた理不尽なものであり、指導の範囲を逸脱している」「新弟子の1人に『自分は頭が悪いんです』と言わせた行為も悪質である」との見解を示した。ただし、付け人への2度目の暴力で自主引退を促された、双子の兄で西十両5枚目の貴ノ富士とは違い、過去に懲戒、指導歴がなく、おおむね事実関係を認めて現在は反省し、二度とこのような言動を行わない旨誓約しているため、けん責処分にとどまった。

千賀ノ浦親方は、昨年12月に、元前頭貴ノ岩のよる付け人への暴力の際にけん責処分を受けながら、今回の貴ノ富士と貴源治の悪質な言動を止められなかったとして、減俸処分となった。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「重い処分」と話した。

理事会に招集された千賀ノ浦親方(撮影・中島郁夫)

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貴ノ富士が差別的発言繰り返す 協会が暴行詳細発表

理事会に向かうため部屋を出る貴ノ富士(撮影・佐藤礼征)

日本相撲協会は26日、秋場所を謹慎休場した西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)の暴行等の詳細を文書で発表した。事案の概要は以下の通り。

◇ ◇ ◇

貴ノ富士は令和元年5月ごろから7月ごろの間、千賀ノ浦部屋や7月場所の宿舎などにおいて、同部屋の新弟子4人(序二段3人、序ノ口1人)が言いつけられた仕事を忘れたり仕事で失敗した際に(中略)差別的な発言を繰り返した。

7月場所が始まる前ごろには、新弟子らのもの覚えが悪いとして、1人に「ニワトリ」、1人に「ヒヨコ」、1人に「地鶏」とあだ名を付け、7月場所が終了するまで、あだ名で呼んだ。「おい、ニワトリ」と声をかけた際に、新弟子が「はい」と返事をすると、「はいじゃない。コケと言え」と言い、「コケ」と返事をするよう強要した。

貴ノ富士は8月31日、稽古総見から部屋に戻り、風呂に入ろうとした際、付け人の新弟子が自分より先に風呂に入ったことを知った。付け人である新弟子が挨拶をしないまま、関取である自分より先に風呂に入ったことに立腹し、風呂から上がった際、バスタオルを渡そうとした新弟子の額を、右手の手拳で1回殴打し、「先に風呂に入って、『お先ごっつぁんです』もないのか」などと言った。

殴られた新弟子は、額にコブができ、数日間痛みが残った。

理事会に招集された貴ノ富士(撮影・中島郁夫)

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明生上がった!奄美大島の孝行息子V争いトップタイ

明生(左)はすくい投げで琴奨菊を下す(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇9日目◇16日◇東京・両国国技館

ダークホースの西前頭10枚目明生(24=立浪)が、1敗を守って優勝争いのトップに並んだ。

琴奨菊をすくい投げで破ると、無敗で単独トップだった前頭隠岐の海が敗れた。幕内通算7場所目で、連勝発進などを除く3日目以降としては初のトップタイ。鹿児島・奄美大島出身で、茨城・つくばみらい市の部屋に所属する、おおらかな癒やし系力士は、賜杯争いの渦中にあってもマイペースだ。

   ◇   ◇   ◇

普段のほんわかとした口調とは正反対に、明生は動きも頭もキレていた。立ち合いの鋭い踏み込みから左を差す。相四つだが、琴奨菊が代名詞のがぶり寄りを繰り出すには絶好の形だった。予想通りに寄られた。だが土俵を時計回りに動いてしのぎ、流れるように左からすくい投げ。「押し込まれたのは焦った。でも左が奥まで差せていた。右から(上手)投げを考えたけど、琴奨菊関に力の入る位置を取られ、投げられないと思って左から投げた」。冷静に勝機を探っていた。

取組後、風呂に入っている間に隠岐の海が敗れ、報道陣の質問で初めてトップタイと気付いた。「並んだんですか?」と、抑揚のない口調で聞き返し、「別に、まだ長いので」と答えた。「あまり、しゃべるのはうまくない。話すよりは相撲の方が得意」という。出身の奄美大島の瀬戸内町では、小学校は児童が少なく同級生が1人もいない時期も。そんな小学3年時に大相撲を目指した。「稼いで親孝行したい」。性格がまるで違う気性の激しい元横綱朝青龍にあこがれた。

師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「何も言わなくても努力する。真面目というか、真面目すぎる」と証言する。今夏の巡業でも稽古し過ぎて、横綱鶴竜から「無理してやってもダメだ」と、諭されて初めて休むほど。つくばみらい市の部屋の近くに他の部屋はなく、関取衆と稽古できるチャンスと思い、やりすぎる。巡業のない時期は、移動に時間がかかるため、千賀ノ浦部屋に前夜から泊まり込んで出稽古もした。異色の方法も用いて強くなった。

今場所は新十両のころに使った、エメラルドグリーンの締め込みを着用する。先場所は自己最高位の前頭4枚目で4勝11敗と上位のカベにはね返され、初心に帰った。「島の人は身内意識が強い」。マングローブの森でカヌーで遊んだ故郷に、最高の報告ができるかもしれない。【高田文太】

◆明生力(めいせい・ちから)本名川畑明生。1995年(平7)7月24日、奄美大島にある鹿児島・瀬戸内町生まれ。篠川中から11年3月に新弟子検査受検も、八百長問題で春場所が中止。同5月の技量審査場所で初土俵。16年九州場所で新十両、18年名古屋場所で新入幕。最高位は今年名古屋場所の東前頭4枚目。得意は左四つ、寄り。家族は両親と兄。179センチ、147キロ。

琴奨菊(左)をすくい投げで破る明生(撮影・河田真司)

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謹慎休場貴ノ富士の弟貴源治、初日黒星も「集中」

千代丸(左)に突き落としで敗れた貴源治(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇初日◇8日◇東京・両国国技館

場所前に貴ノ富士の2度目の暴力問題が判明した中、双子の弟貴源治ら千賀ノ浦部屋の力士が本場所に臨んだ。

初日黒星となった貴源治は「集中はできている」と言葉少な。同部屋の十両隆の勝は「(問題が)気にならないわけないけど、自分は自分で頑張るだけ」と話した。

被害を受けた序二段力士も出場して白星を挙げた。取組後、報道陣の問いかけに対し、申し訳なさげに「僕から話すことはありません」と足早に支度部屋へ引き揚げた。

大奄美(右)をはたき込みで破った隆の勝(撮影・鈴木正人)

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