上へ戻る

au版ニッカン★バトル

記事検索

新幕下の深井勝ち越し「一安心」兄弟子朝乃山が手本

吉井(左)を攻める深井(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇12日目◇24日◇東京・両国国技館

新幕下の西幕下41枚目深井(23=高砂)が、6番相撲で勝ち越しを決めた。

元中学横綱の17歳、西幕下44枚目吉井を問題にしなかった。立ち合いからもろ手で突き放すと、土俵際で右四つに。下手投げで振り回し、最後はすくい投げで土俵下に転がした。「前に出て相手を圧倒できればいいかなという感じだった」と、思い描いていた通りの一番だった。

東洋大4年時の昨年11月の学生選手権で個人8強に入り、春場所で三段目100枚目格付け出しでデビューした。7月場所は7戦全勝で三段目優勝。新幕下での勝ち越しについては「一安心です」と淡々としていた。

部屋には最高のお手本がいる。理想の相撲は兄弟子の大関朝乃山で「立ち合いのスピードと重さ、相手を圧倒して勝っている。目標としている」と尊敬のまなざしを向けた。学生出身で三段目100枚目格付け出しデビューは朝乃山と同じ。新幕下場所で5勝目を目指す高砂部屋のホープは「勝ち越しをしたので、最後は思い切り相撲を取りたい」と意気込んだ。

深井(右)は吉井をすくい投げで破る(撮影・柴田隆二)

関連するニュースを読む

元中学横綱17歳吉井が勝ち越し王手 調子は上々

霧の富士を押し出しで破った吉井(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇10日日◇22日◇東京・両国国技館

元中学横綱の17歳のホープ、西幕下44枚目の吉井(時津風)が霧の富士(陸奥)を押し出し、3勝2敗で勝ち越しに王手をかけた。

「いい相撲がとれたと思います」と自画自賛。右差し得意の相手にさせじと脇を固め、低い立ち合いから一気の出足から、最後は相手に引かせる圧力をかけた。「まだ次はありますけど、場所に来る前に部屋で稽古して体も動いている。調子は上がっている」と自信を口にした。

7月場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。部屋は両国国技館から近く、「プラスになっていると思います」。初めて番付に載った昨年夏場所から7場所連続で勝ち越し中。「今日みたいな相撲をとれるよう頑張りたい」。目指す関取の座へ着実に前進している。

霧の富士(手前)を押し出しで破る吉井(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む

元中学横綱17歳吉井は連勝ならず「脇がガラガラ」

靏林(右)に敗れる吉井(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇3日日◇15日◇東京・両国国技館

元中学横綱の17歳のホープ、西幕下44枚目の吉井(時津風)は、2番相撲で靏林(つるばやし、木瀬)に寄り切られ、今場所の初黒星を喫した。

「脇がガラガラで全然ダメでした。負けるにしてもこういう負け方はダメなんで。もっと前に出て引かれるぐらいの相撲をとらないといけない」と猛反省。出足が甘く、相手のペースで完敗した。

7月場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。同じ部屋の関脇正代が初日から一気の出足で連勝と好調。「正代関みたいに立ち合いから一気の相撲をとりたい」と話し、「今日とった相撲は戻ってこない。また気持ちを切り替えていきたい」と話した。

靏林は吉井(右)を寄り切りで破る(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

元中学横綱17歳吉井が白星発進「対応はよかった」

千代大豪(左)を押し出しで破る吉井(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館

17歳のホープ、西幕下44枚目の吉井(時津風)が千代大豪(九重)を寄り切り、白星発進した。

「欲を言えば一気に走りたかったが止まってしまった。その後の対応はよかったと思います」。左差しから前へ。圧力をかけ続ける攻めは、成長の証しだった。

静岡県焼津市出身の元中学横綱。7月場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。新しい部屋にも慣れ、場所前は正代、豊山の関取衆に胸を借りた。「圧力が全然違う。いい経験ができました。もっと体を大きくして作らないといけない」。

8月1日に17歳になったばかり。「もっと稽古して体を大きくして関取に上がる土台を作る1年にしたい。負けてもいいから前に出たい」。名門部屋で成長速度を速めていく。

千代大豪を押し出しで破った吉井(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む

貴花田以来!元中学横綱吉井が16歳で幕下勝ち越し

魁鵬を肩透かしで破り土俵を引き揚げる吉井(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇13日目◇31日◇東京・両国国技館

元中学横綱の西幕下54枚目吉井(16=時津風)が、1989年(平元)夏場所の貴花田以来31年ぶりとなる16歳での幕下勝ち越しを決めた。

西三段目3枚目魁鵬との顔合わせとなった7番相撲。左四つで前に出ることはできなかったが、相手の動きをよく見て肩透かしを決めた。新幕下場所を4勝3敗で終えたが「勝ち越したのは良かったけど、まだ前にいく相撲じゃない。もっと前に出る相撲を磨いていきたい」と、反省も忘れなかった。

場所前には中川親方(元前頭旭里)の不適切指導の影響で中川部屋が閉鎖となり、吉井は時津風部屋に転籍して初めての場所となった。異例の移籍を経て迎えた場所となったが「特に不安はなかった」と断言する。新しい部屋では関脇正代、前頭豊山らが胸を出してくれることもあり「とにかく相撲のことだけを考えて、兄弟子ともたくさん稽古した。時津風部屋にはたくさんの幕下の兄弟子がいる。幕下に上がってから、立ち合いを磨いてきた。いつもと違った当たりができた」と成長を実感した。

「とにかく自分は相撲を取るためにプロに入った。まだまだ体も子ども。もっとやれば必ず関取に上がれると自分を信じている。親方からまだ筋肉が全然ないと、パワーで負けていると言われている。いっぱい食べて、いっぱい筋トレして頑張りたい」。来年の目標として「幕下上位に定着できるようになりたい」と掲げた。注目を集めるホープは、焦らずに出世を目指す。

魁鵬(右)を攻める吉井(撮影・河田真司) 

関連するニュースを読む

16歳吉井は3勝3敗 7番相撲に勝ち越しかける

<大相撲7月場所>◇11日目◇29日◇東京・両国国技館

16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、元亀(阿武松)に敗れ、3勝3敗で最後の7番相撲に勝ち越しをかけることになった。

「自分から組みいく流れになってしまった」。突き放して前に出る相撲を狙ったが、相手のペースとなり「まだまだ稽古が足りない」と反省した。

静岡県焼津市出身の元中学横綱。場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ転籍となった。初めて番付に載った昨年夏場所から負け越し知らずで順調に番付を上げてきたが、幕下の壁に当たるのか。

「あと1番。勝ち負けは気にせず、集中していきたいと思います。目先の白星ではなく、上にいける相撲をとりたい」。ひたすら前に出る相撲を貫き、同時に勝ち越しを目指す。

関連するニュースを読む

16歳吉井、三番相撲2敗目「足出なくて全然だめ」

玄武丸(右)は吉井を寄り切りで下す(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇5日目◇23日◇東京・両国国技館

16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、三番相撲で2敗目を喫した。

東幕下56枚目玄武丸に寄り切られた。立ち合い前みつを狙ったが「あまり足が出なくて全然だめ。とにかく当たって差されないようにと思ったが、前に出ることができなかった」と肩を落とした。

場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋に転籍した。神奈川・川崎市の部屋から、国技館まで徒歩圏内の部屋に移り「時間帯も全然違う。時間に余裕が持てる」と話す。

幕下昇進にあたり、あこがれの中村親方(元関脇嘉風)から博多帯をもらった。「中学の大会で日本一になったときにインタビューで『嘉風関のような力士になりたい』と話したら、気にかけてもらうようになった。『脇が甘い』と言われる。もっと期待に応えられるような相撲を取りたい」と意気込む。

8月1日の誕生日で17歳になるホープは「強くなるのに年齢は関係ない。同じ番付だと思って、『強くなるんだ』という強い気持ちで頑張りたい」と力強く話した。

玄武丸(左)は吉井を寄り切りで破る(撮影・柴田隆二)

関連するニュースを読む

吉井が初黒星 高立に押し込まれすくい投げに屈す

立ち合いで高立(右)からのど輪攻めを受ける吉井(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇3日目◇21日◇東京・両国国技館

16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、初黒星を喫した。高立(木瀬)の体を生かした攻めに押し込まれ、左からのすくい投げに屈した。星は1勝1敗となった。

静岡県焼津市出身で、元中学横綱のホープ。場所前に師匠の不適切指導で所属していた中川部屋が閉鎖となり、時津風部屋へ。環境の変化など「あまり気にしないで。本場所中なんで相撲に集中したい」と気合を入れ直した。

高立にすくい投げで敗れ土俵から引き揚げる吉井(撮影・河田真司)

関連するニュースを読む

元中学横綱16歳吉井が幕下1勝「いい相撲とれた」

武玄大(左)を攻める吉井(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇2日目◇20日◇東京・両国国技館

16歳で幕下昇進を果たした西幕下54枚目の吉井(時津風)が、1番相撲を白星で飾った。武玄大(藤島)を左差しから一気の寄り切り。「幕下に上がったら強い人ばかり」と言うが、「立ち合いも踏み込めていた。いい相撲がとれた」と手ごたえを口にした。

静岡県焼津市出身で、元中学横綱のホープ。場所前に師匠の不適切指導で、所属していた中川部屋が閉鎖となり、部屋を移った。「みなさんが優しく受け入れてくれた」と環境に順応。「稽古場は稽古場で集中してやれた。(3月以来の本場所も)体作りに集中できていい時間だった」と前向きに話す。

「まず勝ち越しを目指して1番1番頑張りたい」。8月1日が17歳の誕生日。史上最年少の関取昇進は元横綱貴乃花(当時・貴花田)の17歳2カ月。その記録更新は現実的に厳しいが、10代で関取へ、順調に幕下デビューを飾った。

武玄大を寄り切りで破った吉井(撮影・河田真司)   

関連するニュースを読む

春日龍が元中川部屋1勝「相撲に集中したい」

大相撲7月場所初日、無観客で執り行われる序二段の取組(撮影・河田真司)  

<大相撲7月場所>◇初日◇19日◇東京・両国国技館

転籍した元中川部屋の力士が初日の取組で一番相撲に臨み、弓取りも務めた東序二段35枚目春日龍(36=友綱)が“元中川部屋1勝”を挙げた。

取組は観客が入っていない午前中に行われ、春日龍は突き落としで西序二段34枚目栃乃島(33=春日野)を破った。取組後、リモート取材に応じた春日龍は「初めてなので分からないことばかり。いつもと違う場所。相撲に集中したい」と気を引き締めた。

中川親方(元前頭旭里)は弟子に暴力を振るうなど不適切な指導があり、懲戒処分を受けて、委員から平年寄へと2階級降格。それに伴い中川部屋は閉鎖し、力士らは同じ時津風一門の部屋を中心に転籍した。中川親方は時津風部屋の部屋付き親方となった。

元中川部屋の力士では序二段で春日龍のほかに4人が登場したが、4人はいずれも黒星発進となった。

東序二段115枚目吉沢(27=朝日山)は寄り切りで敗れ、東序二段85枚目笹崎(19=時津風)は体格を生かして前に出たが、相手の厳しいおっつけに屈して送り倒された。西序二段48枚目木山(19=友綱)も一方的に押し倒され、西序二段37枚目大国里(27=追手風)も黒星を喫した。

ホープの西幕下6枚目旭蒼天(27=片男波)は、初日に東幕下7枚目千代嵐と対戦。元中学横綱の西幕下54枚目吉井(16=時津風)は2日目に登場する。

大相撲7月場所初日、関塚山に敗れ土俵から引き揚げる吉沢(撮影・河田真司)  

関連するニュースを読む

不適切指導の中川親方は2階級降格、部屋閉鎖も発表

中川親方

日本相撲協会は13日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、弟子に暴力を振るうなど不適切な指導があった中川親方(元前頭旭里)の懲戒処分について、降格(委員から平年寄へと2階級の降格)にすると発表した。それに伴い、中川部屋を閉鎖することも発表した。

協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「この度、相撲部屋で師匠による暴力が起きたことを、深く反省しております。指導者の暴力は1番あってはならないことです。今後もこのようなことのないよう、コンプライアンス委員会に相談しながら、具体的な再発防止強化策を講じます」とコメントを発表した。

中川部屋の所属協会員の移転先は以下の通り。

◆親方

▽中川親方=時津風

◆力士

▽西幕下6枚目旭蒼天=片男波

▽西幕下54枚目吉井=時津風

▽西三段目60枚目旭勇幸=引退

▽東序二段4枚目春光=宮城野

▽東序二段35枚目春日龍=友綱

▽西序二段37枚目大国里=追手風

▽西序二段48枚目木山=友綱

▽東序二段85枚目笹崎=時津風

▽東序二段115枚目吉沢=朝日山

◆呼出

▽耕平=片男波

◆床山

▽床仁=荒汐

▽床春=伊勢ノ海

◆世話人

▽白法山=宮城野

関連するニュースを読む

不適切指導の中川親方、日常的に弟子殴り蹴っていた

中川親方

不適切な指導により日本相撲協会から処分を検討されている中川親方(54=元前頭旭里)が、弟子に暴力を振るっていたことが11日、関係者への取材で分かった。関係者によると同親方は、弟子に対して日常的に殴る、蹴るなどの暴力行為を働いていたという。さらに、人格を否定する暴言を吐くなどし、一部の弟子が録音していた。

協会のコンプライアンス委員会は、すでに親方や所属力士らを聴取。処分は13日の臨時理事会で協議されるが、中川親方は師匠の資格なしと判断され、中川部屋は閉鎖となる見通しだ。同親方は部屋関係者を通じて「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。今は何もお答えできない。またあらためてお時間を取らせて頂きます」とコメントした。

協会は17年の元横綱日馬富士の暴行問題をきっかけに、暴力問題の再発防止に向け、指導者の責任を重視する方針を示している。18年には第三者機関の暴力問題再発防止検討委員会から提言を受け、暴力決別宣言と暴力問題再発防止策の方針を発表。コンプライアンス委員会と有識者会議を設けるなど、暴力やハラスメントの根絶へ本腰を入れて取り組んできたが、またも不祥事は起こってしまった。

部屋閉鎖となれば、力士らは他の部屋への転属が必要となる。中川部屋に所属する9人の力士らは、同じ時津風一門を中心に移籍先を最終調整中。幕下旭蒼天は片男波部屋、幕下吉井は時津風部屋への転籍が有力視されている。協会が7月場所(19日初日、東京・両国国技館)開催に向けて慎重に準備を進める中、水を差す事態となった。

◆中川憲治(なかがわ・けんじ)本名・増田憲治。1965年(昭40)11月9日生まれ、大阪・池田市出身。81年春場所で大島部屋から初土俵。89年初場所で新十両に昇進し、90年春場所で新入幕。幕内在位は4場所で、最高位は前頭14枚目。98年初場所で現役を引退し、年寄「熊ケ谷」を襲名。04年8月に「中川」を襲名し、退職した元春日山親方(元幕内浜錦)が率いていた旧春日山部屋を、17年1月に継承した。現在は審判委員を務めている。

神奈川県川崎市の中川部屋(写真は一部加工)

関連するニュースを読む

大相撲の中川部屋が閉鎖へ 弟子に不適切指導か

中川親方(2020年3月15日)

大相撲の中川親方(54=元幕内旭里)が弟子に不適切な指導をしたとして、日本相撲協会が処分を検討していることが10日、分かった。

すでに日本相撲協会のコンプライアンス委員会が調査を進めている。13日の理事会で処分が検討されるが、中川部屋は閉鎖される見込み。中川部屋には、幕下吉井ら9人の力士が所属しており、今後は複数の部屋に転籍するほか、引退する力士もいるという。

関連するニュースを読む

辰吉も会場も泣いた激闘/記者が振り返るあの瞬間

辰吉丈一郎(2018年4月30日撮影)

<スポーツ担当記者 マイメモリーズ>(34)

政府の緊急事態宣言が延長され、スポーツ界も「自粛」状態が続いている。

日刊スポーツの記者が自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じた瞬間を紹介する「マイメモリーズ」。サッカー編に続いてオリンピック(五輪)、相撲、バトルなどを担当した記者がお届けする。

  ◇  ◇  ◇

殺されるんちゃうか。リングに立った両者を並び見て、身震いした。

97年11月22日、大阪城ホール。辰吉丈一郎(当時27=大阪帝拳)は、挑戦者として戦場に向かった。相手は20歳の王者シリモンコン・ナコントンパークビュー。当時16戦無敗、「翡翠(ひすい)の顔」と呼ばれた男前でもあり、タイの若い女性の間で人気急上昇でモデルの仕事の依頼もあった、若き英雄だった。

一方の辰吉は左目網膜裂孔、同剥離と2度の眼疾による引退危機を乗り越えるも、薬師寺との世紀の統一戦に敗れ、その後もスーパーバンタム級に上げてサラゴサに連敗と世界戦3連敗を喫していた。試合前、世界初奪取時から子どものようにかわいがってきたWBCのホセ・スライマン会長が「これ以上誇りを傷つけるな」と最後通告。大阪帝拳の吉井清会長も「負ければ次はない、最後の花道」と腹をくくっていた。

事実、辰吉の勝つイメージはわかなかった。シリモンコンはムエタイでも60戦のキャリアを誇り、辰吉を「年をとって前よりスピードがない」と年寄り扱いするなど、発言も自信に満ちていた。可能性は海外での試合キャリアと減量苦。その兆候が前日に見えた。

前日計量前の健診でシリモンコンの体温は38・2度。吉井会長は「熱が出るほどだから、胃を荒らしてるんでしょうな」と冷静に言った。陣営によると、一日中サウナにこもり、計量当日だけで1キロ近く落としたという。それまでの自信に満ちた王者の顔はどこえやら。やつれきった顔から精気は失われていた。

ところが。試合当日のシリモンコンは精気に満ちた顔に、はちきれんばかりのボディーだった。バンタム級のリミットは55・3キロだが、一晩で10キロ近く戻してきた。一方の辰吉は2キロ程度の回復で、比べて見れば、失礼を承知でいえば貧弱でしかなかった。辰吉ものちに「『でかっ』と思って二度見した」と語っている。圧倒的な体格差に「殺される」を予感した。

そんな序章から幕を開けた試合はドラマだった。「作戦通り。上を意識させてボディーを狙った」と試合後。5回に強烈な左ボディーでもん絶させてからの右ストレートでダウンを奪う。その後はシリモンコンの猛打に足がもつれる場面もあったが7回、右フックから左ボディーで再びダウン。立ち上がったところに猛ラッシュでレフェリーのリチャード・スティールが試合を止めた。辰吉が泣き、会場全体が感動で泣いた。

スポーツ記者として、その場に立ち会えて幸せと思える瞬間は少なくない。ただ、記者の立場も忘れ、涙を流すほどの場面にはそうそう出会えない。そんな経験ができた喜びは、20年以上たった今も体に刻まれている。「人生に不可能はない」と教えられた。だから辰吉というボクサーはずっと愛されている。【実藤健一】

◆試合VTR 辰吉が壮絶な打撃戦を制した。序盤から左ジャブでけん制。シリモンコンのガードが高くなって、ガラ空きになったボディーを狙い打った。5回、強烈な左ボディーがヒット。過酷な減量で動きの悪い相手に、続けざまに放った右ストレートで最初のダウンを奪った。6回に王座防衛に必死の相手に反撃されたが、ガードを下げて応戦。7回、右フックから左ボディーで2度目のダウンを奪い一気にラッシュ。1分54秒TKO勝ちした。

関連するニュースを読む

吉井5勝目、夏場所昇進なら史上3位のスピード出世

吉井(左)は寄り切りで満津田を下す(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇20日◇エディオンアリーナ大阪

18年の中学横綱、東三段目19枚目吉井(16=中川)が7番相撲で5勝目を挙げ、来場所の新幕下昇進を確実にした。

夏場所(5月10日初日、東京・両国国技館)の番付発表が4月27日。16歳8カ月26日での新幕下昇進を果たせば、72年以降に初土俵を踏んだ力士では、16歳11カ月20日で昇進した元横綱稀勢の里(現荒磯親方)らを抜いて史上3位のスピード出世となる。

この日は強烈な左おっつけで東三段目22枚目満津田(25=峰崎)の体勢を崩し、最後はもろ差しで寄り切った。「(もろ差しは)狙ってはいないけど、パッと入ったので。動いてくる相手なので兄弟子からは『落ちついていけ』と言われていた」。ちょうど1年前の春場所で初土俵を踏み、序ノ口デビューから6場所連続で勝ち越している16歳は「引くことが少なくなってきた」と手応えを口にした。

静岡・焼津港小4年から相撲を始め、焼津港中3年時に全中で個人、団体の2冠を達成した。通算8個の金星を獲得した人気力士、元関脇嘉風(現中村親方)を目標にしている。

部屋では今場所幕下で6勝1敗の好成績を収めた兄弟子、幕下旭蒼天(27=中川)との稽古で力をつけている。「旭蒼天さんは出足がめちゃくちゃ速い。いい稽古ができた」と感謝。「まだまだ右の脇が甘くて差されやすい。次の場所で、幕下で勝てる相撲が取りたい」。まだあどけない表情が残るホープは、自身の課題を冷静に分析した。【佐藤礼征】

関連するニュースを読む

辰吉寿以輝TKO勝利も父丈一郎「どんくさいなあ」

息子寿以輝の試合の観戦に訪れた丈一郎氏(撮影・前田充)

<プロボクシング:スーパーバンタム級8回戦>◇17日◇エディオンアリーナ大阪第2競技場

元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(49)の次男で、日本スーパーバンタム級14位の寿以輝(23=大阪帝拳)が、初タイトルに王手をかけた。

プロ13戦目で初の日本ランカー、日本バンタム級5位の中村誠康(27=TEAM10COUNT)に4回2分30秒TKO勝ち。戦績を13勝(9KO)無敗とし、来年は上位ランク入りが確実。吉井寛会長は日本に限らず、東洋太平洋などあらゆる可能性を見据え「来年早々にもチャンスがあれば、年内には必ず(タイトル戦を行う)」と明言した。

タイトル戦に見合う、進化した姿を披露した。左ジャブで1回から中村の右目上を切り裂き、左フックでダウンを奪った。最後は出血でレフェリーストップ。父の丈一郎は1回で仕留めきれなかった内容に「どんくさいなあ」と辛口。寿以輝は「今日はパンチが乗っていた。早く倒そうと飛ばしすぎた」と反省した。

中村に勝利し、インタビューに答える辰吉(撮影・前田充)
辰吉寿以輝対中村誠康 1回、中村(右)からダウンを奪う辰吉(撮影・前田充)
辰吉寿以輝対中村誠康 息子・寿以輝の試合の観戦に訪れた辰吉丈一郎氏((撮影・前田充)
辰吉寿以輝対中村誠康 父・丈一郎氏(手前右から2人目)を横目に入場する辰吉寿以輝(撮影・前田充)

関連するニュースを読む

辰吉寿以輝、プロ13戦目は12月「倒して勝つ」

プロ13戦目へファイティングポーズの辰吉寿以輝

元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(49)の次男、寿以輝(23=大阪帝拳)のプロ13戦目が17日、大阪市内の所属ジムで発表された。寿以輝はこれまで12戦全勝(8KO)。

12月17日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で日本バンタム級5位の中村誠康(27=TEAM10COUNT)とスーパーバンタム級(リミット55・3キロ)の契約ウエートで8回戦を行う。勝てば日本、東洋太平洋の上位ランク入りは確実。ジムの吉井寛会長も「来年に向けて節目の試合になる」と明言した。

寿以輝は「決まってうれしい。(相手がランク)上でいいです。気持ちで負けない。自分の方がパンチあると思う。必ず倒して勝ちます」。1階級下、父親の代名詞といえるバンタム級でも戦えるとしながら「階級にこだわりは全然」。チャンスがあるところで、世界へのステップを駆け上がっていく。

プロ13戦目の会見に臨む辰吉寿以輝。右は大阪帝拳の吉井会長

関連するニュースを読む

中学横綱の吉井、高卒211キロを投げて6勝締め

吉井(19年2月撮影)

<大相撲名古屋場所>◇14日目◇20日◇ドルフィンズアリーナ

静岡・焼津港中で昨夏の全国中学校相撲選手権個人、団体2冠に輝いた西序二段66枚目の吉井(15=中川)が、6勝1敗で今場所の取組を終えた。

デビュー2場所連続勝ち越しの上、6勝したことで秋場所での三段目昇格の可能性も浮上。しかし、吉井は「相撲内容はまだまだですが、場所前の目標をクリアできたことは、ホッとしています」と冷静でいる。

この日の7番相撲は、同じく1敗の同東72枚目當眞(宮城野)だった。同期入門力士だが、鳥取城北高卒の3学年上。体重は211キロで145キロの吉井は、立ち合いから一気に土俵際まで押し込まれたが、相手のはたきを踏ん張って左前みつを手にした。その後、こう着状態になったが、右前みつも手にして一気に寄り。土俵際に押し込んだ上で、右上手投げを決めた。

「重かったです。自分では出し投げのイメージでしたが、何とか勝てて良かったです」

どうしても勝ちたい相手だった。デビューの夏場所では、昨年の全国中学選手権個人で準優勝の大辻(高田川)が、當眞に勝っていたから。「大辻のことを考えると、勝っておきたい相手でした。苦しみましたが、何とかなりました」。

理想の立ち合いから馬力で押し込む相撲ができたのは、5勝目を飾った一番のみという。師匠の中川親方(元前頭旭里)からも「内容が良くない」と指摘されている。それでも、出世は順調。吉井自身はおごらず、「ここから先は、ゆっくりと上がっていければと思います。とにかくケガをしないように、じっくりと力をつけていきたいので」と話している。【柳田通斉】

関連するニュースを読む

福山雅治から激励された吉井、デビュー連続勝ち越し

突っ張りのポーズで気合を前面に出す吉井=2019年2月28日

<大相撲名古屋場所>◇10日目◇16日◇ドルフィンズアリーナ

静岡・焼津港中で昨夏の全国中学校相撲選手権個人、団体2冠に輝いた西序二段66枚目の吉井(15=中川)が、デビュー2場所連続勝ち越しを決めた。3勝1敗で迎えた5番相撲は、同東63枚目の魁當真(浅香山)との取組。立ち合いで優位に立ちながらも、相手に右を差された。そこで冷静に左上手をつかんで豪快に投げを決めた。

「勝ち越しが早目に決まったことで、ホッとしています。これから心に余裕を持っていけると思います」

デビューの夏場所では5勝2敗。この勝ち越しで来場所も番付を上げて迎えることができるが、相撲内容には満足していない。師匠の中川親方(元前頭旭里)から指導されている「四つにこだわらず、馬力で相手を持っていく」が、実現できていないからだ。

「自分でもまだまだまだだと感じています。先場所に比べると、体重も5キロ減って145キロです。夏場になって汗の量が増えたからだと思いますが、これからは落とさないようにしたいです」

今場所は残り2番。連勝で終えると、6勝1敗で三段目昇格の可能性が出てくる。だが、本人は「目先の白星にこだわらず、自分の相撲を取ることに集中したいです。そのことは、師匠にも言われています」と話す。

ひたむきな15歳。本名は吉井虹(よしい・こう)で、母親が福山雅治のヒット曲「虹」から命名した。その情報は、報道を通じて福山にも伝わっており、東京FM「福のラジオ」で、「吉井君、頑張って君の虹つかんでください」とエールを送られている。夏場所前には、ドラマロケ先で福山と言葉も交わしている吉井。母親からは「福山さんの年末ライブ(パシフィコ横浜)に申し込むから、チケットが取れたら一緒に行こう」と誘われているという。そんな母親孝行を実現するまでに、どれだけの白星を積み上げられるか。吉井は「ケガをしないこと」を心がけながら、日々の成長を目指す。【柳田通斉】

関連するニュースを読む

辰吉寿以輝「4連続KOで」デビュー12連勝誓う

4連続KOでデビュー12連勝を誓う辰吉寿以輝(撮影・加藤裕一)

元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(49)の次男でスーパーバンタム級の辰吉寿以輝(22=大阪帝拳)が7日、大阪市内の同ジムで会見し、次戦を7月26日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で行うと発表した。スーパーバンタム級8回戦で、9勝(1KO)9敗1分けのオーソドックススタイルの藤岡拓弥(26=VADY)と対戦する。

今回はプロ12戦目。1度は初の日本ランカー戦として同10位内選手との対戦が内定したものの、相手が約3週間前に眼窩(がんか)底を骨折、キャンセルとなった。辰吉は「僕もケガでキャンセルしたことあるんで、仕方ないです。今までと変わらず、左(の手数、使い方)と足(フットワーク)を心掛けてやります。今年中に日本ランカーとやりたいけど、まず目の前に集中。4連続KOで勝ちます」。デビュー12連勝を誓った。

吉井寛会長は「ボクサーとしての力量は確実に上がっている。コンビネーションも練習ではできてきた。試合でもいいパフォーマンスができてるしね。(日本)ランカーとやって、胸を張れるんちゃうかな」。今回は経験値を上げるため、初のサウスポー戦というプランもあった。DNAは徐々に覚醒。日本ランカー戦→ランクを上げて、日本タイトル挑戦-。その未来予想図がリアリティーを増してきた。

関連するニュースを読む