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白鵬、右上腕負傷 新元号場所での連続優勝へ暗雲

優勝インタビューを終えた白鵬は取組で痛めた右腕を押さえて苦悶(くもん)の表情を見せる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇24日◇エディオンアリーナ大阪

横綱白鵬(34=宮城野)が、歴代最多を更新する42度目の優勝で、平成最後の本場所を締めた。

鶴竜との横綱対決を下手投げで制して15連勝。最後まで1敗の平幕逸ノ城に追いつかれることなく、いずれも歴代1位の15度目の全勝優勝、初優勝の06年夏場所から続く14年連続優勝を達成した。だが1分2秒5にも及ぶ大相撲で、右上腕を負傷。目標としていた、新元号最初の夏場所での連続優勝には早くも暗雲が垂れこめた。

平成最後の本場所を明るく終えようと、白鵬は優勝インタビューで観衆に三本締めを促した。大団円のはずが、三本締めから拍手に変わると顔をしかめた。右上腕の痛みは限界だった。インタビューに向かう前、取組直後の支度部屋では、アイシングしながら「アーッ」と、何度も叫んだ。

鶴竜との取組は大相撲となった。得意の右四つに巻き替え、寄っては戻され1分超。最後は寄りからの下手投げで仕留めたが、すでに右上腕は悲鳴を上げていた。痛めたのは「最初」だという。それでも踏ん張れたのは常々話す「平成に育てられた」という感謝の思い。野球賭博問題の影響から、10年名古屋場所は全勝優勝したが、賜杯を辞退していたため、受け取れずに涙を流した。その後、天皇陛下から手紙をいただいたことが「1番の思い出」と、18年間の力士人生を振り返る。だからこそ平成最後の場所は譲れなかった。

今場所は場所前から、元横綱千代の富士を意識した言動が目立った。貴景勝の大関とりには「ちょっと邪魔してやろうかな」と、千代の富士が貴花田(元横綱貴乃花)からの初挑戦前に発したコメントを引用。昭和最後の本場所となった88年九州場所を制した「昭和の大横綱」を意識した。千代の富士の最後の優勝は35歳5カ月。「これを超える時は東京五輪の後」と、1年半後を見据えている。

長く現役を続けるため、昨年11月には3年連続3度目の断食を行った。期間は3日間。京都市にある杏林予防医学研究所の山田豊文所長によると「食物の摂取を続けていくと、細胞に消化できないタンパク質がたまりダメージを与えてしまう。それが老化」という。細胞を休ませ、若返りを図って“老い”と戦う。千代の富士は30代としては最多の5度全勝優勝したが、白鵬も今回で4度目と迫る。

右上腕の負傷は今後、精密検査などを受ける見込みだ。平成最後と同時に、新元号最初の本場所優勝も目標に掲げたが、現状では出場も微妙。支度部屋を出る際に白鵬は「無理したね」と、視線を落とした。「平成最後の優勝」の代償は大きかった。【高田文太】

大相撲春場所千秋楽 全勝で優勝を決めた白鵬は応援に駆けつけたサッカーJ1神戸のポドルスキと笑顔で写真撮影(撮影・奥田泰也)
優勝祝勝会で笑顔を見せる白鵬(撮影・上田博志)

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碧山が敢闘賞「力つける」上位と戦う来場所にらむ

敢闘賞を受賞した碧山(撮影・奥田泰也)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇24日◇エディオンアリーナ大阪

碧山が、勝った方が敢闘賞の一番で友風を突き落とし、12勝目を挙げた。「今日も全然普通に相撲が取れた。15日間、ずっと安定した気持ちでできたのは初めてじゃないかな。大勝ちした時も迷い、不安があったから」。

敢闘賞は13勝で優勝次点だった17年名古屋場所以来3度目。番付は東前頭7枚目からジャンプアップする。上位陣との戦いが増える来場所へ「もっと力をつけます」と話した。

碧山(右)は友風を突き倒しに破る(撮影・渦原淳)

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栃ノ心が大関陥落「負けた方が弱いから負けた」

貴景勝に押し出しで敗れ大関陥落となった栃ノ心(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇24日◇エディオンアリーナ大阪

かど番の栃ノ心(31=春日野)が貴景勝との“入れ替え戦”に敗れ、大関陥落が決まった。立ち合いで当たり負け、体を起こされた。下からの突き押しに何とか抵抗しようとしたが、最後は棒立ちで土俵を割った。「いやもう…何もできなかった。負けた方が弱いから負けた。勝った方が強いから勝った」。支度部屋ではぼうぜんとした顔で、声を絞り出した。

昨年秋場所に続く2度目のかど番の今場所、初心に戻るべく、濃紺の締め込みを、初優勝した昨年初場所で使ったねずみ色のものに戻した。ただ「勝たないと…」と思い、焦る心は変えられない。大関昇進場所の昨年名古屋場所で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を痛めてから、続いたケガの連鎖。先場所直前の右太もも肉離れは治った。今場所前にはスクワットで重さ240キロを挙げた。ただ「相撲と使う筋肉はちょっと違うんだよ」と戻った筋力は、土俵で生かすまで体になじんでいなかった。

関脇で臨む来場所に10勝すれば、再び大関に復帰できる。「休みます。しっかり休みます」。大関昇進後の5場所は2桁白星もなく、途中休場2度。右四つでまわしを引いたら誰にも負けない怪力相撲を取り戻すため、まずは心と体を整理する。

栃ノ心(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・上田博志)

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天皇陛下の手紙が平成一番の思い出/白鵬V一問一答

白鵬(左)は助けを借りて賜杯を受け取る(撮影・渦原淳)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇24日◇エディオンアリーナ大阪

平成最後の本場所は、横綱白鵬(34=宮城野)が制した。横綱鶴竜との横綱対決に勝ち、自身の記録を更新する歴代最多42度目の優勝となった。しかも15度目の全勝優勝、初優勝した06年夏場所から続く14年年連続での優勝も歴代1位。平成を代表する横綱であることを証明する15連勝締めだった。

表彰式での優勝インタビューは以下の通り。

-大阪での優勝

白鵬 私は、大阪で初めてきて、入門が大阪で、平成最後が大阪で本当にうれしいです。

-平成最後の場所へ並々ならぬ意気込みだった

白鵬 場所前の稽古も良かったし、大阪場所は「汗」を大事にしようと臨みました。

-結びの一番は大熱戦だった

白鵬 ちょっと力が入りました。本当にありがとうございます。(右腕を痛めた?)最後に投げにいった時に痛めてしまいました。ちょっと痛いです。

-休場明けの場所で全勝優勝

白鵬 去年10月18日に右膝を手術して、その中で東京の人工関節センターの院長と親方、家族、みんなの支えがあっての優勝。この場を借りて感謝します。

-平成の場所を終え、次はどんな時代に

白鵬 どうなるかわかりませんが。平成13年から入門し、平成に育てられました。数々の問題はありましたけど、9年前の名古屋場所で天皇陛下ら手紙をいただいたことが平成で一番大きな出来事でした。

最後は白鵬自ら音頭を取り、3本締めで会場の相撲ファンと「平成最後の場所」を締めた。

白鵬(右)は下手投げで鶴竜を破る(撮影・渦原淳)
白鵬(右)は下手投げで鶴竜を破る

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貴景勝が平成最後の大関当確に涙!入れ替え戦制す

貴景勝に押し出される栃ノ心(左)(撮影・渦原淳)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇24日◇エディオンアリーナ大阪

平成最後の大関が誕生する。関脇貴景勝(22=千賀ノ浦)が、事実上の大関昇進を決めた。

かど番脱出へあと1勝としていた大関栃ノ心を押し出しで破り、事実上の“入れ替え戦”を制して2桁白星。審判部が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請して了承された。

27日の臨時理事会、夏場所の番付編成会議を経て正式決定する。年6場所制が定着した58年名古屋場所以降で初土俵を踏んだ力士では、史上9位の年少大関となる。

会心の押し出し。事実上の大関昇進を決めると貴景勝の右目から一筋の涙が流れた。

大関とりの重圧に打ち勝った。場所前は「プレッシャーがかかるのはしょうがない。むしろ、プレッシャーをかけないようにしている自分の方が精神的に弱い」と自らを奮い立たせていた。

しかし、14日目の逸ノ城戦では、低く鋭い出足が影を潜め、自身の持ち味を発揮できずに痛い5敗目を喫した。幕内最年少の22歳は、兵庫県出身で準ご当所。テレビで観戦していた高校時代の恩師、埼玉栄高の山田道紀監督も「15日間で心身ともに疲れがたまっていたのでは」と、計り知れない重圧を察した。それでも勝敗にかかわらず常に次戦へ切り替え、平常心を保つように努めてきた。

この一番を受け、八角理事長が臨時理事会の開催を明言。大関貴景勝の誕生が確実となった。

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志摩ノ海2場所連続十両V 栃ノ心に続き平成9人目

千代の海(右)に押しだしで勝利する志摩ノ海(撮影・上田博志)

<大相撲春場所>◇14日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

既に来場所の新入幕を決定的にしている東十両筆頭の志摩ノ海(29=木瀬)が、2場所連続の十両優勝を決めた。

2敗の志摩ノ海は西十両8枚目の千代の海(九重)と対戦。激しい突き押しの応酬で途中、左目に相手が突いた指が当たるアクシデント。志摩ノ海も指が千代の海のマゲにかかるなど、激しい攻防で最後は土俵際、体を投げ出すように押し込んだ。相手も逆転の突きで微妙な勝負だったが、物言いは付かず押し出しで12勝目(2敗)をマーク。後続の隆の勝(千賀ノ浦)に2差をつけたまま、千秋楽を待たずに優勝を決めた。

2場所連続の十両優勝は、14年名古屋場所-秋場所の栃ノ心(現大関)に続き平成で9人目。「なかなか光栄なこと。いい相撲で優勝を決められて良かった。頭を上げずに押し相撲に徹したのが今場所は良かった」と喜びとともに、今場所を振り返った。

先場所も東十両11枚目で13勝を挙げて優勝。番付運に恵まれれば、新入幕の可能性もあった。そこは期待していたというが「東筆頭ということで勝ち越せば上がれる。大阪で、しっかり勝ち越して決めてやると、逆にモチベーションになりました。早い段階で勝ち越して確定しても、残りをしっかり取ろうと。気持ちがブレなかった」と気を緩めることなく全うした。近大出身で大阪は「地元みたいなもの」と、声援も力に変えた。

近大から入門し、4年をかけて関取の座を確保。だが4勝11敗ではね返され、膝のケガもあり陥落後は幕下で9場所を過ごした。ちょうど1年前の春場所が再十両で、2度の十両優勝を自信に、来場所は待望の幕内の土俵が待っている。

関取寸前から序ノ口へ、関取から幕下へと、2度のケガによる挫折も「親方や周りの人に支えられて、腐らずにやってきたのが良かった。遅咲きといっても安美関(安美錦)や30代後半まで頑張っている尊敬できる人もいる。そこは見習いたい」と飛躍を誓う。場所後の春巡業は、地元の三重・伊勢神宮の奉納相撲から始まる。「少年相撲で稽古した懐かしい場所。そこに凱旋(がいせん)できるのがうれしいです」と言って目を細めた。

千代の海(右)に押しだしで勝利した志摩ノ海(撮影・上田博志)

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かど番栃ノ心7敗目 黒星先行も「切り替えます」

栃ノ心(右)は鶴竜に寄り切りで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇22日◇エディオンアリーナ大阪

かど番大関栃ノ心(31=春日野)が崖っぷちに追い込まれた。鶴竜と右四つになったが、寄り切られた。低く頭をつけられ、後手後手に回り、相撲を取らせてもらえなかった。

一時は6勝3敗と“貯金3”だったが、2大関、2横綱に4連敗して6勝7敗、ついに黒星が先行してしまった。14日目は先場所優勝の玉鷲、千秋楽は大関とりの貴景勝との対戦が予想されるが、残り2戦で1番も落とせない。支度部屋では「しゃあないな…。明日に向けて気持ちを切り替えます」。昨年名古屋場所から在位5場所、大関の座は風前のともしびだ。

栃ノ心(左)に寄り切りで勝利する鶴竜(撮影・上田博志)

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美ノ海が大鵬孫下し幕下V 納谷は「まだまだ早い」

幕下優勝を果たし、ガッツポーズをする美ノ海(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇13日目◇22日◇エディオンアリーナ大阪

東幕下5枚目美ノ海(ちゅらのうみ、25=木瀬)が幕下優勝を決め、昨年名古屋場所以来5場所ぶりの再十両を有力にした。

元横綱大鵬の孫、東51枚目納谷と勝った方が優勝の全勝決戦。立ち合いから先手先手と攻めて押し出した。

「突きが強いイメージがあったので、低く当たってまわしを取る、自分の型になれば、と思った。もう少し荒々しく来るかと思ったら、意外とスーッと来ましたね」。相手は強豪埼玉栄出身で、元大横綱の血を引く“ビッグネーム”とはいえ、初土俵から1年ちょっとの19歳。自分は日大で学生相撲でもまれ、初土俵から丸3年で十両も経験した。「自分は幕下上位に2年ほどいるんで(納谷は)まだまだ早いという思いも少しありました」。角界の先輩の貫禄を見せつけた。

“兄弟関取”を狙う効果もある。弟の木■海も順調に番付を上げ、今場所は東7枚目で勝ち越した。来場所の番付は、新十両を完全に射程圏に入れた位置まで来る。「弟に負けない、というのはない。弟は僕より強い。それがわかってますから。当たりは十両でもトップクラスと思う。今場所から一緒に稽古するようになって、あの当たりを受けていたことが、場所で生きたと思います」と喜んだ。

新十両場所の昨年名古屋場所は5勝10敗。1場所で陥落した。原因を「慣れですかね。地方場所で環境の違いもあった。あたふたして、何もできずモヤモヤすることが多かった」と分析する。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)には「弱いから落ちたんじゃない。だから“もっと強くならないと”と思ったりして、やってきたことを変えるな」と言われた。「今度は楽しく相撲をとりたい」。確かな手応えを胸に、関取の足場を固めるつもりだ。

※■は崎の大が立の下の横棒なし

美ノ海(右)に押し出しで敗れる納谷(撮影・小沢裕)

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寺沢、腰痛乗り越え序ノ口7戦全勝V「長く疲れた」

序ノ口優勝を果たしガッツポーズをする寺沢(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇13日目◇22日◇エディオンアリーナ大阪

ただ1人の6戦全勝で序ノ口優勝争いのトップに立っていた西19枚目の寺沢(23=高砂、本名・寺沢樹)が、7戦全勝で優勝を決めた。7番相撲で東13枚目の薩摩桜(18=式秀)と対戦、立ち合いから突き放し、もろ手突きで押し出す快勝だった。

大学相撲の強豪、東洋大を卒業し昨年3月のこの春場所で初土俵。だが、大学の相撲部を引退後に腰痛を発症。序ノ口で初めて番付にしこ名が載った、5月の夏場所で1番相撲に勝ったものの、連敗し以降は途中休場。6月下旬に椎間板ヘルニアの手術を都内で受け、名古屋場所以降は全休。一度、番付外に落ち、先場所、再び前相撲を取り、今場所が2度目の序ノ口で臨んだ。

大学時代の実績から、ケガが治れば序ノ口では当然の成績かもしれないが「勝つことは考えずに落ち着いて相撲を取ることを考えていた」という今場所。1場所7番取るのは今場所が初めてだが、最高の成績で締め「思ったより長くて疲れたけど、ホッとしてうれしい」と本音を漏らした。

手術を含め入院は2週間。稽古再開は昨年10月下旬からで、今でも申し合いは出来ず、ぶつかり稽古や基礎運動しか出来ない。それでも師匠の高砂親方(元大関朝潮)に「ケガが治れば幕下ぐらいまでは、すぐに上がれる」の言葉を信じ、焦らずジックリと復帰への道を歩んできた。新潟・佐渡出身で「地元に期待されて入門したのに、あんな幸先で悔しい」と期待に応えたい気持ちは強い。「今は7、8割ぐらい」という回復度合いを高め「自分の体と相談しながら少しずつ」(寺沢)番付を上げていく。

薩摩桜(左)を押し出しで破る寺沢(撮影・河田真司)
薩摩桜(右)押しだしで勝利し、序ノ口優勝を決めた寺沢(撮影・上田博志)

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碧山「自信なる」栃ノ心との稽古生かして勝ち越し

勢(右)に肩すかしで勝利する碧山(撮影・清水貴仁)

<大相撲春場所>◇9日目◇18日◇エディオンアリーナ大阪

東前頭7枚目碧山(32=春日野)が、勢(32=伊勢ノ海)を肩すかしで破り、優勝次点だった17年名古屋場所以来となる9日目での勝ち越しを決めた。

勢との巨漢対決で、タイミングのいい肩すかし。「立ち合いで少し(相手を)見すぎたけど、落ち着いてましたね」と話した。

今場所は朝稽古で大関栃ノ心と相撲をとって、場所に臨んでいる。「集中して7、8番。大関の立ち合いを止められたら、自信になるでしょ?」。平幕で1敗キープは1人だけだ。

残り6日で優勝争いに絡む。「もう若くないからね。土俵下で“落ち着いて、落ち着いて”と自分に言い聞かせている。先場所は“やってやる”という気持ちが強くて、土俵に上がるとすぐカーッとなってたから」。うなずきながら、32歳にしてオトナになったことを強調していた。

勢(右)に肩すかしで勝利する碧山(撮影・清水貴仁)
勢(左)に肩すかしで勝利する碧山(撮影・清水貴仁)

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栃ノ心、苦手下しかど番脱出へあと2勝「これから」

上手投げで勝利する栃ノ心(左)(撮影・清水貴仁)

<大相撲春場所>◇9日目◇18日◇エディオンアリーナ大阪

かど番大関栃ノ心(31=春日野)が、西前頭3枚目正代(27=時津風)を上手投げで下し、6勝3敗とした。もろ差しを許し、苦しい体勢で投げの打ち合いになったが、左上手のみで投げ勝った。「最初は“いった”と思ったけど(左を)差されちゃって。でも、こっち(左上手)をつかんでたからね」と、持ち前の怪力相撲を振り返った。

正代は、すっかり苦手力士になっていた。初優勝した昨年初場所初日を最後に白星から遠ざかり、同年春場所から先場所まで1不戦敗を挟んで5連敗。「ずっと勝ってなかったからね。1年ぶりじゃない?」とホッとひと息だ。

かど番脱出まで、あと2勝とした。「これからでしょう。まだ横綱、大関とやってないからね」。今場所はまわしをとり、得意の型に持ち込む相撲が増えてきた。「それはそうだね」。大関に昇進した昨年名古屋場所からけが続きで、喪失気味だった自信を徐々に取り戻してきた。10日目は稽古場で歯が立たない大関豪栄道戦。白星をもぎ取れば、かど番脱出に大きく前進する。

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白鵬2連勝!横綱で誕生日無敗 千代超え賜杯に意欲

遠藤(左)に押し出しで勝利する白鵬(撮影・上田博志)

横綱白鵬(宮城野)が、34歳の誕生日を自ら祝う白星で、連勝発進した。西前頭筆頭の遠藤を冷静に押し出す快勝。誕生日に取組を行うのは4年ぶりだが、07年7月の名古屋場所で横綱に昇進以降、これで6戦無敗となった。東日本大震災が発生した日でもあり、横綱としての運命、責任も感じた日。平成最後の本場所で、3場所ぶり42度目の優勝への思いを強めていた。

  ◇  ◇  ◇

幕内在位が現役で最も長い約15年の白鵬が、若々しい動きで白星をつかんだ。けんか四つの遠藤に、運動量で上回って左を差させない。さらに背中を見せた隙を逃さずに距離を詰め、難なく押し出した。34歳初日は、4年ぶりの誕生日の取組となったが「久しぶりだね。勝って、自分にいいプレゼントができた。ホッとした」と、笑顔で話した。

16、17年は誕生日に春場所が始まっておらず、取組がなかった。昨年は全休。最近3年間はなかったが、横綱昇進以降、これで6戦全勝と抜群の強さを誇る。東日本大震災と重なった11年は八百長問題の影響で春場所が中止。同6月に被災地巡回慰問した時のことは「今でも強く覚えている」という。翌12年からは4年連続で誕生日に勝ち、うち3度優勝。3月11日が誕生日だけではなく、被災地に思いをはせる日となり、不祥事からの浄化を再認識させられる日となった。「宿命というか、やらないといけないというのはある」。横綱の責任を最も感じる日だからこそ負けられない。

34歳の1年は「ケガなく過ごしたい」という。目標の1人の元横綱千代の富士が、35歳5カ月で最後に優勝しており、これを上回ることが「モチベーション」と1つの目標だ。最大の目標の20年東京オリンピック(五輪)開催時を現役で迎えること。「5、6年前は冗談で言っていたけど冗談じゃなくなってきた」。東京五輪直後の20年9月秋場所で優勝すると、千代の富士を上回る35歳6カ月での優勝。血管年齢は25歳とあって「まだ、おじさん扱いはされたくないよね」と笑う。今場所は平成最後の本場所。賜杯への意欲は1つ年を重ねてなお強まっている。【高田文太】

遠藤(右)を押し出しで破った白鵬(撮影・鈴木正人)
34歳の誕生日を迎え、朝稽古後に贈られた2種類のケーキを前に笑顔でVサインをつくる白鵬

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照ノ富士が5場所ぶり出場、元大関では最低番付で

照ノ富士(2018年5月27日撮影)

大相撲で最高位大関の西序二段48枚目照ノ富士(27=伊勢ケ浜)が、春場所(10日初日、エディオンアリーナ大阪)に出場することが決まった。

8日、大阪市のホテルで行われた年寄総会後、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が「出ますよ。もう割(取組)にも入っていますから。まだ完ぺきではない。まずは相撲を取るということ」と明かした。出場は5場所ぶりになる。

照ノ富士は昨年6月に手術を受けた両膝のけがに加え、糖尿病も患うなど、昨年7月の名古屋場所から4場所連続で全休していた。最後に勝ち越したのは、大関として12勝を挙げ、優勝次点だった17年5月の夏場所。その後、10場所連続で勝ち越しができず、うち9場所は休場と、皆勤が高いカベとなっている。過去に大関を経験した力士が、幕下以下に落ちてから相撲を取った例はない。大関経験者としては、最も低い番付での出場となる。

伊勢ケ浜親方は「膝だからね。(なかなか)治らないよ。ただ、番付的なものもある。この位置なら、足を使わなくても勝てるかもしれない。ずっと休んでいるわけにもいかないから」と、培ってきた感覚や経験を駆使して、白星を積み重ねることを期待。とはいえ「今日も三段目と稽古したけど、話にならない」と、部屋の三段目力士にも歯が立たない状態だという。

同親方は、将来的な照ノ富士の目標として「関取返り咲き」と、V字回復の夢を抱く。一方で「まずはケガしないように。余計なことは考えず、取ってほしい」と、無事を願う親心をのぞかせていた。

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白鵬が激励会で「三線の花」熱唱「聞こえましたか」

宮城野部屋激励会で「三線の花」を熱唱する白鵬

大相撲の横綱白鵬(33)が所属する宮城野部屋の激励会が6日、大阪市内のホテルで、500人を超える参加者が集まり、盛大に開かれた。

今月11日に34歳となる白鵬は、ひと足早く誕生日を祝われる格好で壇上へ。その後は司会を務めたタレントのたむらけんじらに促され、カラオケでBIGINの「三線の花」を、生演奏に合わせて熱唱した。熱唱後は「皆さん、聞こえましたか」と出席者にたずね、大きな拍手を浴びていた。

カラオケの前には、あいさつもした。10日に初日を迎える春場所(エディオンアリーナ大阪)が平成最後の本場所となるため、白鵬は壇上で「平成は、さまざまな問題、不祥事がありましたが、その中で1つ挙げたいのが、2010年、平成22年ですかね。天皇賜杯がなかった場所(名古屋場所)があり、天皇陛下から手紙をいただきました。その手紙が支えになりましたし、平成の一番の思い出であります」と語った。

あいさつでは、最近2年間の春場所を休場していることに謝意を示すと同時に「応援よろしくお願いします」と話し、今場所の活躍を誓っていた。

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北勝富士が念願新三役「普通じゃなれない運もある」

春場所で新三役となり、番付表に載る自らのしこ名を指さす北勝富士(撮影・佐藤礼征)

大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の番付が25日に発表され、北勝富士(26=八角)が西小結の地位につけて、新三役となった。

この日、大阪・羽曳野市に構える部屋の宿舎で会見に臨んだ。三役に上がり、番付表に載るしこ名の文字が大きくなり「いちばん下(前相撲)から始めて、見えない文字から大きくなって喜びを実感することができた」と笑顔を見せた。

念願の新三役だ。17年名古屋場所から4場所連続で幕内上位に食い込み、同年九州場所では西前頭3枚目の地位で11勝4敗を挙げたが、運もなく三役には上がれなかった。「三役は普通じゃなれない。人数も決まっていて、運もある。高い地位だと幕内の身から感じていた」。番付上昇へ足踏みする中、貴景勝や阿武咲の若手が新三役を果たし、焦りもあった。昨年夏場所には頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアなどで休場を余儀なくされ、番付は幕内最下位まで陥落。「自信をなくしかけた」時期もあったという。それでも、小学生の時に指導を受けた入間少年相撲クラブの西沢正夫総監督などから「番付が落ちても幕内は幕内。『自分はもっと強い』と自信を持っていい」と、励ましの言葉をかけられた。「不安になって自分で自分を追い込むこともあったが、自分は強いと思えるようになった」と北勝富士。気持ちを持ち直し、押し相撲を磨いて新三役を射止めた。

同郷力士と地元を盛り上げる。埼玉県出身力士の新三役は、59年春場所の元関脇若秩父以来60年ぶりで、戦後では3人目。埼玉出身の力士は他に大栄翔、阿炎が幕内にいる。「3人でよく食事に行くが『埼玉をもっと盛り上げられたら』という話もしている」。一方で昨年初場所で新入幕を果たした阿炎が、一気に番付を上昇させる姿を見て「先を越されるかと思っていた」と当時の心境を吐露。「年上の威厳を見せられて良かった」と話し、いたずらっぽく笑った。

昨年は若手の御嶽海、貴景勝が初優勝。北勝富士も春場所へ「それが夢じゃなくなってきている。誰でも優勝する権利を持っている」と、初賜杯へ鼻息も荒くした。

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豊ノ島 目標は「優勝」 16場所ぶり幕内復帰

16場所ぶりの幕内復帰を果たし新番付の自分のしこ名を指さす豊ノ島

目標は? の問いかけに「優勝」と即答した。日本相撲協会は25日、大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表。場所前に左アキレス腱(けん)を断裂した16年名古屋場所以来、16場所ぶりの幕内復帰を果たした豊ノ島(35=時津風)は、大阪・東成区内にある時津風部屋で取材に応じた。

関脇経験者が幕下に陥落後、幕内に復帰するのは80年初場所の琴風(元大関=現尾車親方)、88年九州場所の鳳凰に続き、昭和以降3人目の復活劇。そんな感傷に浸ることなく、今場所の目標を聞かれると「優勝です。幕内に戻ったんだから優勝を目指したい」と迷わず即座に答えた。

三役など幕内上位で暴れ回っていた頃を思い出して言った。「自分が活躍していた頃は、絶対的な白鵬関がいた。今も(優勝候補)筆頭だろうけど、ケガとかもあって先場所は玉鷲、その前には貴景勝、御嶽海…。誰でも優勝のチャンスがある状況でしょ? だからこそ今はチャンス」。

確かに今は、ケガを抱える白鵬に絶対的な強さは求められない。状況は群雄割拠の戦国時代。「上位は星のつぶし合いがある。下の方で星を伸ばす方がワンチャン(ワンチャンスの意味)はある」と、西前頭14枚目から“荒れる春場所”を演出するもくろみだ。関取復帰後に「十両は2場所で通過して幕内に戻る」と公言して、実際に有言実行しただけに「口で言うのはタダ。“何をバカなこと言ってるんだ”と言われたっていい。世代交代の波は来ているけど、オジさんチームも頑張りたい」と大風呂敷を広げる。気がつけば、嘉風(36=尾車)に続く現役2番目の年長幕内力士として土俵に上がるが、再入幕を機に「新しい自分という形で、気持ちだけは若く持って」と意気盛んだった。

16場所ぶりの幕内復帰を果たし取材に応じる豊ノ島

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友風、照強、大翔鵬が新入幕 豊ノ島と石浦が再入幕

友風(2019年2月15日撮影)

日本相撲協会は25日、大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表した。

新入幕は3人が名を連ねた。3人以上の新入幕が出たのは13年夏場所(この時は4人)以来となる。友風(24=尾車)は、尾車部屋としては現師匠(元大関琴風)の部屋創設後で先場所の矢後以来、7人目の幕内力士となった。神奈川県からは朝乃翔以来、戦後9人目。学生相撲出身では、矢後以来94人目、日体大からは16年九州場所の北勝富士以来7人目。初土俵から所要11場所はスピード4位タイ(58年以降初土俵で幕下付け出しは除く。1位は常幸龍=木瀬=の9場所)の記録となった。

照強(24=伊勢ケ浜)も幕内力士の座を射止めた。伊勢ケ浜部屋からは14年春場所の照ノ富士以来で、兵庫県からは17年初場所の貴景勝以来、戦後25人目の新入幕を果たした。モンゴル出身の大翔鵬(24=追手風)は現師匠(元前頭大翔山)の部屋創設後では、大奄美(西十両3枚目)以来8人目で、外国出身では16年秋場所の千代翔馬以来48人目の幕内力士で、モンゴル出身では25人目となる。

再入幕は2人。豊ノ島(35=時津風)は、ケガをして全休した16年名古屋場所以来、16場所ぶりの幕内復帰。関脇経験者が幕下に陥落した後、幕内に復帰するのは80年初場所の琴風(元大関=現尾車親方)、88年九州場所の鳳凰に続き、昭和以降3人目の復活劇となった。石浦(29=宮城野)は昨年秋場所以来、3場所ぶりに幕内に戻った。

十両昇進は4人で、晴れて関取の座を射止めた新十両は、若元春(25=荒汐)と霧馬山(22=陸奥)の2人だ。若元春は、現師匠(元小結大豊)の部屋創設後では蒼国来、若隆景以来3人目の関取。福島県からは若隆景以来、戦後12人目。その若隆景は弟で、昨年春場所の貴公俊(現貴ノ富士)・貴源治以来、史上20組目の兄弟関取となった。モンゴル出身の霧馬山は、陸奥部屋からは08年初場所の霧の若以来の関取誕生。昨年初場所の水戸龍(錦戸)以来、外国出身では67人目、モンゴル出身では34人目の新十両となった。再十両は、1年ぶり十両復帰の貴ノ富士(21=千賀ノ浦)と8場所ぶり復帰の大成道(26=木瀬)の2人。

春場所は、3月8日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。10日の初日を迎える。

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元幕内力士、時津洋葬儀「ゆっくり休んでくれよ」

99年5月、夏場所での時津洋

14日に心不全のため49歳で死去した大相撲の元幕内力士、時津洋の吉岡宏典(よしおか・ひろのり)さんの葬儀・告別式が19日午後、東京・江東区内の葬儀所で営まれた。

式には、吉岡さんの入門時の師匠で理事長も務めた先々代時津風の内田勝男さん(81=元大関豊山)、吉岡さんと同部屋同期入門の枝川親方(49=元前頭蒼樹山)らが参列した。

中学時代、陸上の砲丸投げの選手だった吉岡さんは、徳島県内の中学を卒業後、85年春場所で初土俵。“阿波の怪童”の異名を取り、90年秋場所で新十両、92年夏場所で新入幕を果たし、最高位は93年名古屋場所の東前頭4枚目。188センチの長身を生かした四つ相撲で幕内を通算19場所務めた。95年九州場所から22場所は陥落した十両で取ったが、幕下陥落2場所目で最後に番付が載った99年秋場所を最後に引退した。

引退後は、準年寄「時津洋」として協会に残り、時津風部屋の部屋付き親方として後進を指導。01年9月に退職後はタレント、荒汐部屋のマネジャーなどを務める一方、都内やシンガポールでも、ちゃんこ店を経営していた。

愛弟子だった吉岡さんの若すぎる他界に、内田さんは「こんなに早く逝かなくてもいいものを…。ただ若かったけど、引退後もしっかり生きてくれた。豪放磊落(らいらく)な性格そのままに、相撲も真っ正面から正々堂々と取っていた。それは後の人生においても同じ。人知れず思いやりがあり温かい子でした」と悼んだ。

同期入門の枝川親方は昨年、会ったのが最後で「元気そうだね」と言葉を交わしたという。その時の吉岡さんは、現役時代と比べて痩せていたというが「健康的に痩せていたんだろうと思っていたから、うらやましかった。人を気遣うから自分の体のことはひと言も言わなかった。ひと言ぐらい言ってくれていたら」と悔しそうに話した。棺に向かって「ゆっくり休んでくれよ」と心の中で語りかけた枝川親方は「コイツには負けたくない、と思える存在でした。彼がいてくれたから、今の自分がある」と目を真っ赤に腫らしながら故人を見送った。

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若元春が新十両で史上20組目の兄弟関取「謙虚に」

新十両会見で部屋の看板猫モルを抱きかかえる若元春(撮影・佐藤礼征)

史上20組目の兄弟関取誕生だ。大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)での新十両昇進が決まった若元春(25=荒汐)が30日、都内の部屋で会見を行った。

荒汐部屋「大波3兄弟」の次男で、三男の十両若隆景(24)に次ぐ関取昇進。兄弟関取は18年春場所の貴源治と貴公俊(現貴ノ富士)以来、史上20組となる。3兄弟の長男は幕下若隆元、父は元幕下若信夫、祖父は元小結若葉山という相撲一家。11年九州場所の初土俵から約7年かけて十両昇進を決めた若元春は「長いこと待たせてしまったので、待たせたぶん活躍したい」と、覚悟を語った。

待望の新十両だ。師匠の荒汐親方(元小結大豊)は「短くても3年は遅かった。稽古に身が入っていなかったから」と辛口。入門2年目の13年名古屋場所で幕下優勝した。そこから三段目陥落も味わうなど足踏み。若元春も「すぐに(十両に)上がれるだろうとテングになっていた」と明かした。意識が変わったのは昨年末。兄弟子の十両蒼国来(35)に「もっと自分のことを考えろ」と説教を受け、稽古に取り組む姿勢が変わった。「もともと力はあったからね」と蒼国来。今場所は幕下上位ながら破竹の勢いで勝ち進み、7戦全勝で2度目の幕下優勝で文句なしの新十両を勝ち取った。

福島市出身。高1での被災時は、長男が入門していた荒汐部屋に次男と約1カ月間避難した経験もある。師匠は「あのときは素直だったんだけど…これからは素直な性格になってほしいね」とブラックジョーク。若元春は「謙虚に頑張っていきたいです」と話した。

新十両会見で師匠の荒汐親方(右)と握手をする若元春(撮影・佐藤礼征)

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矢後「年内に三役」地元で贈呈の新化粧まわしに誓い

祝賀会で子どもに花束をもらう矢後(撮影・浅水友輝)

新入幕の大相撲初場所で9勝6敗と勝ち越した東前頭13枚目の矢後(24=尾車)が29日、出身地の芽室町に凱旋(がいせん)した。地元後援会主催の幕内昇進祝賀会に出席。同町発祥のゲートボールと町鳥カッコウをあしらった化粧まわしを贈呈された。昨年8月の帯広夏巡業以来の帰道。故郷で祝福され、春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)へ英気を養った。

  ◇    ◇    ◇

故郷で矢後は堂々と宣言した。「まだこのような成績で浮かれず、三役を目指して年内に上がることを目標に頑張りたい」。力強い言葉に祝賀会に集まった130人超の支援者からは「がんばれよー!」と歓声と拍手が上がった。知人はもちろん、小さな子どもからの写真撮影にも笑顔で応え、激戦のつかれも癒えた様子だ。

祝賀会前の記者会見では、9勝6敗で終えた初場所を「やりきった。精いっぱい相撲が取れた。自分の前に出る形になれば勝てる」と振り返った。稀勢の里(現荒磯親方)が引退し、来場所からは日本人横綱が不在となる。中大4年時に全日本選手権を制した元アマ横綱への期待は膨らむが「(横綱に)あこがれはありますが、今は横綱と対戦できる力をつけたい。1日1番です」と冷静だった。

地元は心の支えだ。芽室西中を卒業後は埼玉栄に進み、以後の帰省は年に数回。それでも毎年、芽室神社でお守りを買って身につけているという。今回の帰郷は昨年8月の帯広場所以来で、幕内昇進後初めて。初場所開催中も「芽室からきた」とファンに声を掛けられたといい「去年は幕下だった。(今回は)勝ち越して帰ってこれた。地元の方の応援のおかげで勝ち越せた」と感謝した。

祝勝会では芽室町の名物がちりばめられたデザインの化粧まわしを贈られ、手島旭町長からは「年末までには三役に」とハッパを掛けられた。飛田秀樹後援会会長は「応援ツアーもしたいね」とプランを明かす。新化粧まわしが披露される予定の3月大阪場所には、初の応援団派遣も検討している。「つらいときは芽室町のみなさんの顔を思い出したい」と矢後。故郷のまわしを締め、来場所も力強く前に出る相撲を見せる。【浅水友輝】

<矢後の道のり>

◆入門 16年アマチュア横綱のタイトルを引っさげ、中大4年時の17年2月、都内で尾車部屋入りの入門会見を行った。

◆初土俵 17年5月の夏場所で、幕下15枚目格付け出しでのデビューを白星発進。5勝2敗の勝ち越しで終える。

◆幕下V 17年7月の名古屋場所では、東幕下11枚目で無傷の7戦全勝優勝を果たす。

◆新十両 17年9月の秋場所は西十両13枚目で7勝8敗の負け越し。

◆関取陥落 続く九州場所でも7勝8敗の負け越しで、18年1月の初場所で幕下に陥落した。

◆初2桁 18年3月の春場所で再十両となり、同7月の名古屋場所で初めて10勝をマークした。

◆新入幕 東十両筆頭で4場所連続勝ち越しを決めた後の18年12月25日、初場所(19年1月)の新番付が発表され、東前頭13枚目で新入幕を果たす。

◆芽室町 1942年(昭17)に町制施行。帯広市西部に隣接し、人口1万8667人(18年12月31日時点)。産業は畑作、酪農が盛ん。主な出身者は大相撲の横綱大乃国(現芝田山親方)、バドミントンで18年世界選手権女子ダブルス優勝の永原和可那、スピードスケート10年バンクーバー五輪代表の土井槙悟。

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