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平成の大横綱去る…貴親方の退職届、満場一致で受理

大相撲の臨時理事会を終えて会見する八角理事長(撮影・小沢裕)

平成の終わりに「平成の大横綱」が角界を去った。貴乃花親方(46=元横綱)が1日、日本相撲協会を退職することが決まった。東京・両国国技館で行われた臨時理事会で、退職届と貴乃花部屋の力士8人、床山、世話人の計10人の千賀ノ浦部屋への所属先変更願について審議され、満場一致で受理され、貴乃花部屋は消滅。八角理事長(元横綱北勝海)は「残念」などと話し、これまでの功績、貢献をたたえた。貴乃花親方は何らかの形で相撲に携わりたい意向を示している。

20人余りの役員で行われた臨時理事会は、わずか30分程度で終了した。9月27日の理事会では書類に不備があるなどの理由で議題に挙がらなかった、貴乃花親方の退職届と、その弟子らの千賀ノ浦部屋への所属先変更願について審議。八角理事長は「残念だという思いはみんなあったと思う」と話したが、異論は出ず、満場一致で承認された。

現役時代の若貴ブーム、10年に二所ノ関一門を飛び出して役員候補選挙に出馬した貴の乱、そして昨年の元横綱日馬富士関による暴行事件を巡る協会への徹底抗戦。88年の初土俵から30年、良くも悪くも相撲界に注目を集めた「平成の大横綱」が相撲協会を去った。

貴乃花親方はこの日、臨時理事会前に自身の応援会公式サイトでメッセージをつづった。ファンに向けて弟子への変わらぬ声援を求め、師匠ではなくなったことを印象づけた。9月25日に退職の意向を示して以降も心変わりはない。この1年、特に対立してきた八角理事長も従来と違い、最後は称賛を惜しまなかった。

八角理事長 貴乃花親方は22回の優勝をなし遂げた立派な横綱です。大相撲への貢献は非常に大きいものがありました。今回、このような形で相撲協会を去ることは誠に残念。いろいろありましたけど、いつか一緒に協会を引っ張っていくと思っていただけに残念。

協会執行部との対立は深刻だった。元日馬富士関の貴ノ岩への暴行事件では、内閣府に告発状を提出。徹底抗戦の構えだった。その後、取り下げたが、内容については事実無根と認めろと迫られたと明かした。また今回の背景に、全ての親方は5つある一門のいずれかに所属しなければならないという、7月26日の理事会で話し合われた議案がある。これが唯一、無所属の貴乃花親方を追い詰めた。

だが実は、八角理事長は「高砂一門で受け入れを協議する用意がある」と、自身の所属一門に迎える計画を明かした。他の4つの一門も受け入れを拒絶してはいないと強調。告発状の件も協会側は全面否定した。食い違いが互いに不信感を招き、貴乃花親方から弁護士を通じてのみ接触を求められた八角理事長は「直接会ってお話しできなかった」と説明後、何度も繰り返した「残念」と付け足した。

優勝22回は横綱白鵬の41回を除けば親方衆の中で断トツだ。優れた成績を残した横綱に与えられる大鵬、北の湖(ともに故人)に続く一代年寄名跡が消滅。1つの時代が終わった。

16年3月、横綱審議委員会で隣の席に着く貴乃花理事(右)と八角理事長

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貴後援者「いじめと一緒。相撲界だけ変わらん」

自家用車で帰宅し、都内の部屋の前で報道陣に囲まれる貴乃花親方(撮影・佐藤礼征)

貴乃花親方の有力後援者で宗教法人「龍神総宮社」(京都府宇治市)の辻本公俊代表が26日、同親方の年寄引退に「執行部がひどすぎる。いじめと一緒。パワハラがこんだけ問題になっても、相撲界だけは全然変わらん」と語った。

同代表は貴乃花部屋に春場所の宿舎を提供。同親方も同代表の名前から、弟子に「貴公俊」と、しこ名をつけるなど最も信頼を寄せる後援者の1人。「(同親方を)『かたくなや』とか『もっと話を』とか言うけど、話せる相手やったら話してますよ」。同親方の心境を代弁するかのようで「北の湖理事長が亡くなられた後、執行部内で理事やった親方が意見しても、何ひとつ聞いてもらえんかったんですよ? それやのに、一番下っ端の年寄になって話せますか」と続けた。

今回の決断に際し、事前連絡があったか否かは明かさなかったが「そん時(27日年寄総会)に『告発状は事実無根でした』と、みんなの前で話すなんてできますか」とも語り、協会からの圧力の存在も示唆した。

今後については「親方に近い人が復帰できんか、と考えている。でも僕はしません。追い詰められて、限界。心も体もね。壊れてしまう」と、同親方の心情を思いやった。

25日、日本相撲協会に引退届を提出し、神妙な面持ちで会見に臨む貴乃花親方(撮影・垰建太)

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協会反論「一門制度ペナルティー」一切ない

25日、日本相撲協会に引退届を提出し、神妙な面持ちで会見に臨む貴乃花親方(撮影・垰建太)

日本相撲協会は26日、3月に貴乃花親方が内閣府に提出した告発状への対応について文書で説明した。

告発状の主な内容は、元横綱日馬富士関による傷害事件で協会が適正な事実関係の釈明を行わなかったこと、貴乃花親方の解任決議に正当な理由がなかったことの2点だとした。しかし主張の前提となる事実、理由に誤りがあり、協会の法律事務所による検証作業を踏まえ、8月7日に「告発状に対する見解」と題した文書を貴乃花親方に渡した。8月中に協会宛てに回答して、9月の年寄総会で直接説明するように連絡。その際、告発状が事実無根であることを認めるように要請する表現は一切なかったという。

一門制度の議論は、協会のガバナンスの整備が求められる中、7月26日の理事会で審議。一門に所属しない親方に対してペナルティーを科すといった議論、検討は一切なく、告発状が事実無根であることを認めなければ一門に入れないなどと伝えたことは全くないと主張。貴乃花親方の引退会見での主張に、真っ向から反論する形となった。

日本相撲協会八角理事長(18年2月撮影)

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日馬富士暴行事件で「重大な疑義」/貴親方の告発状

3月9日、相撲協会への告発について貴乃花親方が報道機関に配布した文書

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。同日夕方に都内で引退記者会見を開き、年寄引退の理由を説明。弟子の貴ノ岩が被害者となった、昨年10月の元横綱日馬富士関による傷害事件に関する告発状に関しての、協会からの圧力が最大の要因だと話した。

貴乃花親方は3月9日、部屋のホームページで日本相撲協会を監督する内閣府の公益認定等委員会に告発したと発表した。元横綱日馬富士関による暴行事件に関連して、1月に理事を解任されたことや、同事件への協会の対応について「重大な疑義が生じています」と、訴えた。主なポイントは2つ。

(1)調査について 暴行事件を調査し、関係者への処分の判断材料とする報告をまとめた危機管理委が、第三者組織ではないことを問題視。「被害者の主張が全く反映されておりません」「公正中立な内容とは到底評価できないものであり、身内による全く不十分な調査と報告をもって済ませようとしています」と主張。

(2)理事解任について 当時巡業部長でありながら、巡業中に起きた暴行事件の報告を怠り、貴ノ岩への危機管理委による聴取を拒否し続けた忠実義務違反などから1月4日の評議員会で理事解任が決まった。「いずれも、法的には、解任事由に相当するような理事の職務義務違反になると認めることは困難」と反論し、評議員会から弁明の機会を与えられないまま、解任されたことを強く非難した。

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17年11月 日馬富士の暴行発覚/貴親方激動の1年

報道陣のインタビューに答える貴ノ岩(左)と貴乃花親方(18年3月1日撮影)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。昨年10月、弟子の貴乃岩が被害者となった横綱日馬富士による傷害事件に端を発した激動の1年を振り返る。

◆横綱日馬富士の貴ノ岩暴行発覚(17年11月14日) 鳥取巡業中の10月26日未明、酒席で日馬富士が弟子の貴ノ岩に暴行を加えたことを受け、同29日に巡業部長の貴乃花親方が鳥取県警へ被害届を提出。11月5日に貴ノ岩は福岡市内の病院に入院。同13日に「右中頭蓋底骨折」などの診断書が公表されていた。

◆事情聴取拒否(同11月22日) 日本相撲協会執行部から貴ノ岩への危機管理委員会の事情聴取を要請されたが「お断りします」と拒否。被害届も「取り下げるつもりはない」。同29日に日馬富士は協会の処分決定を待たずに引退届を提出し、同日引退を発表した。

◆史上初の理事解任(同12月28日) 協会の臨時理事会で、巡業部長でありながら日馬富士の暴行事件の報告を怠り、危機管理委による貴ノ岩への聴取の要請を拒否し続けたとして、役員待遇委員への2階級降格となる理事解任を評議員会に諮ることが決定。18年1月4日の評議員会が全会解任決議を承認した。

◆理事候補選挙で大敗(18年2月2日) 定員10人に対して11人が立候補した理事候補選挙に貴乃花一門から、阿武松親方(元関脇益荒雄)とともに初めて2人で立候補。阿武松親方は8票を集めて当選したが、貴乃花親方はわずか2票の得票で最下位で落選した。

◆内閣府に告発(同3月9日) 部屋のホームページ(HP)で日本相撲協会を監督する内閣府の公益認定等委員会に告発したと発表。理事を解任されたことや、同事件への協会への対応について「重大な疑義が生じています」と訴え、同委員会に立ち入り検査や適切な是正措置を求めた。

◆貴公俊が付け人暴行(同3月18日) 春場所で貴乃花部屋の東十両14枚目の貴公俊が、敗れた取組後、支度部屋で付け人の序二段力士の顔面を複数回殴った。出番の時間を誤って伝えられ、土俵下の控えに駆け込んだが、審判長に注意されたことで、怒りの矛先が付け人に向けられた。

◆告発状取り下げ(同3月23日) 貴公俊の付け人への暴行を受け、翌19日の臨時役員会合で八角理事長(元横綱北勝海)に謝罪。同23日には内閣府公益認定等委員会に提出していた告発状を取り下げる意向を示し「一兵卒として出直して精進します」と話した。同28日の臨時年寄総会でも全面謝罪した。

◆年寄降格(同3月29日) 協会の理事会で貴公俊の暴力問題の監督責任などを問われ、親方衆の階級で最も低い「年寄」への降格が決まった。1月の理事解任から3カ月で5階級降格で、元横綱の年寄降格は金銭問題を起こした輪島(当時花籠親方)以来33年ぶり。なお新体制では審判部に配属された。

◆貴乃花一門返上(同4月19日) 自ら立ち上げた貴乃花一門について「一門は返上しますので、ご検討くださいと伝え、受け入れていただいた」と、1週間前の一門の会合で返上を了承されていた事実を自ら明かした。6月には自ら貴乃花一門を離脱し「阿武松グループ」への名称変更を協会執行部に申し入れていることも判明。

◆救急搬送(同8月21日) 夏巡業が行われていた秋田県立体育館で倒れ、秋田市内の病院に救急搬送された。若手力士の指導中に体調が悪化し、「けいれんを発症して意識がない」と消防局に通報があった。24日に検査に問題はなく、熱中症を起こしたようだと、親交のある会社のHPにコメントした。

貴乃花一門の返上を報じた18年4月19日付本紙(東京最終版)

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貴乃花親方の引退届 文言、書類不備で受理は保留

会見で記者の質問に答える貴乃花親方(撮影・垰建太)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。同日夕方に都内で引退記者会見を開き、年寄引退の理由を説明した。

貴乃花親方の会見終了から2時間後の午後8時半、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が記者会見し、同協会の見解を示した。それは貴乃花親方の主張を真っ向から否定するものだった。

告発状が事実無根の理由に基づいて作成されたことを認めないと親方を廃業せざるをえないなどの圧力をかけられた、一門に所属しない親方は部屋の閉鎖の可能性もある-。同親方の発言を広報部長は「このような事実は一切ありません」と断言した。また7月26日の理事会決定事項は文面化していないが、旧貴乃花一門の理事・阿武松親方(元関脇益荒雄)が「何回も説得を試みた」(同広報部長)という。

また引退届については、協会では通常「退職届」であり、その文言や書類の内容に不備があるとして、預かる形で受理は保留。届け出た代理人にその旨を伝えたという。

さらに力士らの転属についてこの日、協会に千賀ノ浦親方を呼んで事情聴取。貴乃花親方が転属の希望を伝えたのはこの日午後0時半で、千賀ノ浦親方は寝耳に水の様子だったという。また書類に千賀ノ浦親方の署名、押印がなく「貴乃花親方としっかり話し書類を作るように」求め、こちらも受理しなかった。「(辞職を)今朝、決断して昼に電話で1分足らずで『頼むね』というのはどうか。(辞職)届けを代理人が持ってくるのも前代未聞では」と広報部長。「実際に書類が整っておらず受理していない。年寄としては明日も出るのが普通」と今日26日の九州場所番付編成会議に審判部員として出席する見通しに言及。明日27日の理事会までの受理は不可能との見解を示した。

◆一門とは 連合稽古、冠婚葬祭などで協力関係にある複数の部屋の総称で、現在は5つの一門がある。もともと分家独立などで縁がつながっている場合が多い。1964年(昭39)までは、本場所で同じ一門の力士は対戦しない「一門別総当たり制」だった。協会全体でなく一門ごとに巡業を行うこともあった。脱退や移籍もある。最大派閥は出羽海一門で、力士出身の現職理事10人のうち4人を輩出している。

元貴乃花一門の動向

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懐の深い北の湖理事長が生きていたなら…/視点

5月13日、花道に集まったファンから声援を受ける貴乃花親方(左)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。

 ◇  ◇  ◇

貴乃花親方の退職は、相撲界にとって大きな損失だ。今でも知名度は抜群。本場所中も審判に入ると、親方名をアナウンスされるだけで場内が沸く。現役時代の強さや土俵態度は、同じ時代を生きた親方衆の多くから今も尊敬される。

一方、親方としては疑問に残る行動も少なくなかった。巡業中、白鵬らが稽古を始めると土俵を離れてしまう。不祥事再発防止の研修会など、協会主催行事を欠席する。貴乃花一門時代、仲間のはずの親方衆が出席を促しても、聞く耳を持ってくれなかったという。こんな態度が、協会内で孤立化する原因だった。

退職に至った経緯では、協会にも瑕疵(かし)があったように感じる。だが、親子同然の弟子を手放していいのか。それほど告発状の内容にこだわるなら、なぜ取り下げてしまったのか。貴公俊と日馬富士の暴行は別問題ではないのか。本当に大相撲を愛するなら、情報をオープンにした上で徹底的に話し合えば良かったのではないか。

現役時代があまりに輝かしいだけに、この結末は受け入れがたい。一本気すぎる性格だからこそ大横綱になったが、かたくなすぎて親方としては器用に立ち回れなかった。協会側も角界ならではの寛容さで貴乃花親方を生かす道を探ってほしかった。今回の件で、大相撲に愛想を尽かすファンもいるだろう。貴乃花親方の参謀になりえた元大関貴ノ浪の音羽山親方、貴乃花親方を受け入れる懐の深さがあった北の湖理事長(元横綱)が生きていたなら、と思わずにいられない。【佐々木一郎】

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意思疎通ままならず「孤立化」進んだ貴親方/解説

引退記者会見に臨んだ貴乃花親方は、詰め掛けた大勢の報道陣が見守るなか会場を引き揚げる(撮影・小沢裕)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。

 ◇  ◇  ◇

貴乃花親方は、孤立していた。元横綱日馬富士関による暴行事件からの一連の騒動の責任から、6月に貴乃花一門は消滅。内閣府に告発状を提出した、かたくなな態度に、旧貴乃花一門のある親方は「今だから言えるけど」と前置きした上で「何をするか分からない恐ろしさを感じた。周りが止めても聞かなかった」と振り返る。一門内だけではなく、一門の枠を超えて支持していた親方衆の心も離れた。誰も助言できない、誰の助言も聞かない「裸の王様」状態になっていた。

自らを「一兵卒」と呼んだが、相撲協会執行部は、そう見ていなかった。5つある一門のいずれかに所属しなければならないという決定事項は、協会から各一門に助成金が支給されている以上、無所属の親方がいるのは体裁が悪いというのが理由。だが、反乱分子ともいえる貴乃花親方を、おとなしくしているうちに封じ込めるための案と感じた親方衆は少なくない。仮に無所属のままなら、部屋取りつぶしなどの案も出ていた。いずれにしても、貴乃花親方がこれまで通りに活動することは、難しい状況となる可能性はあった。

今回は相撲界特有の「ムラ社会」であることが悪い方に出た。親方衆は、現役時代の番付が、その後の親方としての発言力にも比例する傾向にある。一致団結している時期は、指示系統が明確で問題解決も早い。だが歩んできた道のりも、性格も熟知する近い関係性だからこそ、こじれると、とことんこじれてしまう。仕事に対する取り組み方で意見の相違が出ると、意固地になりがちでもある。

この日の貴乃花親方の会見で、随所に現執行部との対立構造が見えた。今後の相撲協会に期待することを問われ「かなわぬものだと思う」と一刀両断。元日馬富士関の暴行事件も「第三者委員会ができなかったことが残念」などと、随所に確執の深さをのぞかせた。

阿武松親方は8月上旬に一門への所属義務について通達したというが、23日まで行われた秋場所中、中堅親方がこれを電話で伝えると「本当ですか?」と驚いていた。一方は伝えたつもりでも、もう一方には伝わらない。意思疎通もままならず孤立化が進む。希代のスーパースターを失うような確執、孤立が生まれる組織なら、いっそのこと組織運営のプロに任せるべき。そんな選択肢も本気で考える時代に突入しているのかもしれない。【高田文太】

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貴乃花親方一問一答 新団体は?「ございません」

会見で目を見開き記者の質問に答える貴乃花親方(撮影・垰建太)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に退職の届け出を提出後、都内で引退記者会見を開いた。主な一問一答は以下の通り。

   ◇  ◇

-引退を決めたのは

貴乃花親方 今朝、決めました。

-退職届ではなく「引退届」とした理由は

貴乃花親方 引退届です。規約に明記されているのが引退ということ。退職とは書かれていませんので引退という言葉を使わせていただいております。

-引退は協会を変えるために1人で続けた戦いに敗れたということか

貴乃花親方 たくさんの見方、見解があると思うが、自分が育てた弟子が、とにかくかわいい。この子たちの幸せと栄光の道を、出来るだけ作ってあげたい。敗北であっても、相撲や土俵に携わって生きていけることを念頭に置きたい。

-残された弟子に一番伝えたいことは

貴乃花親方 常々、指導の中で、もし師匠の私が今日、明日、例えば命を絶ったり亡くなったりした時でも、教えられた遺志は今度は弟子が、そのまた弟子たちに続けていく。それが部屋の伝統であり、また私が亡くなった初代貴ノ花の師匠から受け継いだことですので、諦めず伝えていくようにと話しました。食事をしながらも、けいこ場でも言ったこと。理解してくれたと思います。

-先代の貴ノ花…父には、どう報告する

貴乃花親方 毎日、そばに仏前がある。手を合わせて「見守ってください」とお願いしているんですが「今日までで終わります」ということを報告したい。

-これがなければ親方を続けていたことは

貴乃花親方 一門に入らないと、親方として部屋が出来ない。公益法人になってから、部屋は協会と業務委託契約を結ぶ形になっている。それで解除される恐れもあると聞かされた。条件として告発状は事実無根な理由に基づいてなされたものと認めないといけないと言われた。苦渋の選択ですけれども、弟子(の未来)を先に考えた。

-27日の理事会で話してからというタイミングもあったのでは

貴乃花親方 出来る限り、決断したのであれば即、提出したいなと思いましたので今日になりました。

-相撲人生を振り返り

貴乃花親方 師匠になって15年。関取が3人いてくれて、若い衆が元気にやってくれることに喜びを感じています。大変さもありますが、成長する喜びは何ものにも代え難いです。

-新団体を作る発想は

貴乃花親方 ございません。

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平成の大横綱 平成とともに…貴親方「断腸」引退

日本相撲協会に引退届を提出した貴乃花親方は表情を引き締める(撮影・小沢裕)

平成の大横綱が角界から去った-。大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。同日夕方に都内で引退記者会見を開き、年寄引退の理由を説明。弟子の貴ノ岩が被害者となった、昨年10月の元横綱日馬富士関による傷害事件に関する告発状に関しての、協会からの圧力が最大の要因だと話した。現在貴乃花部屋に所属している力士、床山、世話人は千賀ノ浦部屋に所属を変更する。自身の今後の活動については不明とした。

秋場所千秋楽から2日たったこの日の午後1時、代理人を通して貴乃花親方が相撲協会に退職の届け出を提出した。それから4時間後、貴乃花親方は都内の引退会見場に上下黒のスーツ姿で現れた。表情は無。報道陣に向かって一礼して水を一口飲み、語り出した。

「告発状の内容が事実無根な理由に基づいてなされたものであることを認めないと、親方を廃業せざるを得ないという有形無形の要請を受け続けてきました」

元日馬富士関による貴ノ岩に対する暴行事件に関し、日本相撲協会の対応を問題視。春場所前の3月9日に内閣府に告発状を提出した。だが同場所中に弟子の貴公俊が付け人に暴行して、告発状を取り下げた。その後、理事だった役職も5階級降格の年寄へ。貴乃花一門からも離脱して無所属となり「一兵卒」として再スタートしていた。

しかし8月7日に告発状に関する話が再浮上した。埼玉・所沢市で行われた夏巡業の会場で、春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)から八角理事長(元横綱北勝海)名義で「告発状の内容は全て事実無根である」といった内容が書かれた書面を手渡されたという。それに対して貴乃花親方も、代理人を通して反論した。

しかし秋場所終盤になり状況は一変。「名前は伏せさせていただきますが」と、ある親方から一門に所属しない親方は部屋を持つことができない旨の決定がされたことを聞かされたという。ただし条件として、告発状の内容を事実無根であると認めなければ、いずれかの一門に入れないとも告げられた。

だが「真実を曲げて、告発状は事実無根だと認めることは、私にはできません」と断固拒否。一門に所属しなければいけない期限は理事会、年寄会などが行われる27日までだったが、このままでは将来的に弟子が相撲を取れなくなると考え、この日に自ら引退に踏み切った。「苦渋の決断ではありますが、弟子達の将来まで見ずに断腸の思いです」と語気を強めた。

現在部屋には弟子、床山、世話人が合わせて10人在籍している。その全員が千賀ノ浦部屋へと所属を変更する。数年前から千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)には、有事の際には弟子らを引き取ってもらうように相談していた。弟子らには今朝、話したといい「泣く子もいました」と明かした。今後の自身の活動について「土俵に携わっていきたい」などと話したが、具体的な内容は明言しなかった。

1時間半の会見中、涙も見せず、感情もむき出しにしなかった。「平成の大横綱」と呼ばれた貴乃花。間もなく終わる「平成」とともに去るように、会場を後にした。【佐々木隆史】

◆一門問題 相撲協会は7月26日の理事会で、全ての親方や力士は9月27日の理事会までに5つある一門のいずれかに所属しなければならないと決定した。貴乃花親方は6月には自ら貴乃花一門を離脱し「阿武松グループ」への名称変更を協会執行部に申し入れ。同親方は無所属となっていた。

◆貴乃花光司(たかのはな・こうじ)本名・花田光司。1972年(昭47)8月12日、杉並区阿佐谷生まれ。元大関貴ノ花の次男で、父が師匠の藤島部屋(のち二子山部屋)に入門、88年春場所初土俵。兄の3代目若乃花と兄弟横綱となり、空前のブームを起こす。優勝22回。03年初場所中に引退して一代年寄「貴乃花」を襲名。04年2月に二子山部屋を継承し、部屋名を変更。10年に日本相撲協会理事となり、審判部長などを歴任。18年1月に理事を解任され、2月の理事候補選挙で落選。3月に弟子の暴行問題などで年寄に降格。

2017年10月の傷害事件の相関図

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貴乃花の母紀子さん「見事」一本気な息子の決断称賛

貴乃花親方について語った藤田紀子(2018年8月24日撮影)

元横綱の貴乃花親方(46)が日本相撲協会に退職の届け出を提出したことで、花田家が大相撲界から完全決別することになる。1946年(昭21)、伯父で元横綱初代若乃花の花田勝治氏(享年82)が、二所ノ関部屋に入門してから72年。父で元大関貴ノ花の故満氏(享年55)、兄で元横綱3代目若乃花の虎上(47)と重ねた幕内優勝回数は、39回に及ぶ。その歴史を見てきた母でタレントの藤田紀子(71)が取材に応じ、息子の決断を「見事」と称賛した。

貴乃花親方の母、藤田は都内の自宅で会見のテレビ中継を見ていた。母子関係が断絶して13年。1度も連絡を取り合ったことはないが、その一本気な性格を知り尽くすゆえに、気持ちを理解していた。

「『見事』と言ってあげたいです。告発状を取り下げたのに、役員が『内容を事実無根と認めるように』と迫ったのが本当なら、何かの裏を感じますが、光司はそういうことでは折れないタイプ。相撲界を離れることは本当に無念だとは思いますが、信念を曲げなかった。母としては、うれしい気持ちもあります」

貴乃花親方は、幕内優勝2回の父を尊敬し、当時の藤島部屋に15歳で入った。努力を重ねて横綱になり、22回優勝。同時入門の兄虎上(まさる)は5回優勝。部屋は兄が継ぐものだと思っていたが、引退から9カ月の00年12月18日に退職した。母も部屋を出て01年に離婚。「相撲あっての花田家」の思いから、父が亡くなった05年5月30日以降は、2人との関係を絶った。その本人が、協会に退職の届け出を提出。花田家と大相撲の歴史は72年で幕を閉じるが、母はそれを支持した。

「貴乃花は一代年寄であり、親から受け継いだ名跡ではありませんから、退職するのも光司だけの決断でいいと思います。この72年を立派に締めくくってくれたと理解しています」

実は、貴乃花親方が平年寄になった時点から、藤田は「早く相撲協会を退職すべき。もう、これ以上いても苦しいだけ。離れても十分に生きていける」と考えていた。

「15歳でゼロから相撲を始め、すさまじい努力をしてきた子ですから、少々のことではへこたれません。これから、またいろんな可能性が広がるわけで、楽しみでもあります」

貴乃花親方は1度決めたことを貫徹してきた。藤田も、これで関係が修復するとは思ってはいないが、「体のことが心配ですし、何かあれば、守ってあげたい気持ちはあります」と話している。【柳田通斉】

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貴乃花親方応援会サイト、今後の親方の言葉を発信へ

日本相撲協会に引退届を提出し、神妙な面持ちで会見に臨む貴乃花親方(撮影・垰建太)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届を提出後、都内で引退記者会見を開いたことを受けて、貴乃花応援会の公式サイトは同日夜、声明を発表した。

その中で「このサイトで貴乃花本人からの言葉をお伝えして参ります」と、年寄からの引退した貴ノ花親方が、同サイトを通じて何らかの発信をしていくことを示唆。「この後の会見、また、このサイトで貴乃花本人からの言葉をお伝えして参りますので、貴乃花の真意や背景にある真実をファンの皆様にはしっかりと受け止めて頂き、今後も末永く貴乃花を応援頂けますよう、お願い申し上げます」とつづった。

貴乃花応援会の公式サイトは「本日、貴乃花親方の進退に関して様々な報道がなされているところでありますが、貴乃花を応援するファンの皆様に正確に情報をお伝えしたく発信させて頂きます。マスコミ各社の報道は、必ずしも親方の直面している実情や、親方の考えを反映したものではなく、推測で協会寄りの報道をしている面がございます」と、メディアの報道に疑問を呈した。

その上で「親方の考えは常に、この自分自身を育ててくれた相撲という存在を素晴らしいものとして後世に残していきたい、今の子供達やこれから生まれ来る後世の人々に継承したい、そこを原点としています。その上で今、最も大切な存在である弟子達の未来をどのようにすれば守れるのか、貴乃花の弟子ということで将来が曇ることの無いように、ということを最優先に考え、それも考えに考え、考え抜いての決断です」と、弟子の今後を考え、引退という決断を下したことを強調した。

貴乃花親方は会見の中で、弟子との関係について「今後は弟子ではなくなりますけども、意識ではお父さんというの(立場、関係性)は一生続く」と語った。同サイトも「弟子達に対して、親方は師匠という以前に親として、深い愛情を持って、厳しくも温かく育てて参りました。今いる8人の力士全員が、その親方の深い愛情に育まれながら、大きく成長をしているところです。親方の中には決してこれで無責任に弟子達を投げ出すという考えは全くありません。むしろ、親方としての立場を失っても、弟子達が力量、人格を備えた素晴らしい力士として成長していくことに人生を懸けて関わり続けることに疑いの余地がありません」と同親方の姿勢を説明した。

貴乃花親方は会見で「迷った時は、体の使い方、足腰の使い方を教えてあげたい」とと弟子たちとの関わりも持ち続ける意向も示唆した。同サイトも「協会との関係で、もし直接の指導が出来ないとしても、一生涯、彼らの相撲道の支えとなり、人生の支えとなり、その親としての責務を果たしていくでしょう」とした。

その上で「貴乃花とはそういう男です。我々は、これまで多くの人を見てきましたが、これほどまでに真っ直ぐに、素直に、人目も気にせず、保身も考えず、人間として真っ当なことを貫こうとする男を見たことがありません。それは、皆様が見てきた貴乃花自身の言葉や、貴乃花が取ってきた相撲を見れば伝わることだと思います。ファンの皆様がご自身の目で見聞きしてきたもの、それこそが真実です」と同親方の正当性を主張した。

貴乃花親方は年寄引退の理由として、元横綱日馬富士の貴ノ岩に対する傷害事件に関する暴行事件について、3月に内閣府公益認定等委員会に提出し、後に取り下げた告発状について、日本相撲協会から「告発状は事実無根な理由に基づいてなされたもの」と結論づけられ、認めないと親方を廃業せざるを得ないなどの有形・無形の要請を受け続けたことだと告白した。

それを受け、貴乃花応援会の公式サイトは「約一年に渡り、多大な圧力を受け続け、先月には倒れるという事態にもなるほど、貴乃花の心は現役時代にボロボロになるまで戦い続けた体と同じようにストレスに満たされている状態と思われます。場所中も眩暈がすることがあったようですが、親方は弱音を吐くこともなく、弟子達を必死に指導し、見守り続け、その姿には大変心打たれるものがありました」と、同親方が体調を崩していたとつづった。

そして「貴乃花親方のこれからの人生は、協会の枠組みでは出来なかったことも含めて、より一層ファンの皆様のご恩に応えられる活動になっていくものと思います。それは日本一の男、貴乃花ですからやり遂げていくはずです。その貴乃花を支えて頂けるのは、ファンの皆様のご声援に他なりません」とファンに支援を訴えた。

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貴乃花親方、引退届の理由「協会の有形無形の重圧」

日本相撲協会に退職届を提出した貴乃花親方は経緯を説明した文書を胸に仕舞い表情を引き締める(撮影・小沢裕)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届を提出後、都内で引退記者会見を開いた。貴乃花親方は「私貴乃花光司は、年寄を引退する旨の届けを提出いたしました」と語った。力士ら部屋の一同は、継承者である千賀ノ浦部屋に所属先を変更することも明らかにした。

貴乃花親方は年寄引退の理由として、元横綱日馬富士の貴ノ岩に対する傷害事件に関する暴行事件について、3月に内閣府公益認定等委員会に提出し、後に貴公俊が付け人を数発殴った暴力問題もあり取り下げた告発状について、日本相撲協会から「告発状は事実無根な理由に基づいてなされたもの」と結論づけられた揚げ句、認めないと親方を廃業せざるを得ないなどの有形・無形の要請を受け続けたことだと告白した。

貴乃花親方は、文書を手に状況を説明した。

「本年3月9日、私は貴ノ岩に対する傷害事件に関する日本相撲協会の対応などについて真実を隠さず追及したいという気持ちで、内閣府公益認定等委員会に告発状を提出いたしました。その後、私の弟子(貴公俊)の不行き届きもあり3月28日付で告発状を取り下げましたが、告発状の内容には何ら事実に反する点はありませんでした。その後、私は、先般受け取りました降格処分を真摯(しんし)に受け止め、一兵卒としてゼロからスタートさせていただき、部屋に所属する力士に対する指導・監督及び審判としての業務に粛々と従事してまいりました」

貴乃花親方は、告発状の内容が正しいと信念を持ちながらも、協会の一員として処分を受け入れたと明かしたが、その後、8月7日に協会から送られてきた、告発状に関する見解が記された文書に納得できなかったこと、協会側の考えを認めない限り、廃業を迫られんばかりの重圧を受けたと告白した。

「しかし、本年8月7日、日本相撲協会より、協会が依頼された外部の弁護士の見解を踏まえたとする書面が届きました。その書面では『告発状は事実無根な理由に基づいてなされたもの』と結論づけられておりました。これに対し、私は書面で、告発状の内容は事実無根ではないことをご説明してまいりましたが。その後、告発状の内容が事実無根な理由に基づいてなされたものであることを認めないと親方を廃業せざるを得ないなどの有形・無形の要請を受け続けてまいりました」

また協会が、全ての親方は一門に属さなければならないと決定したこと、一門にはいるための条件として告発状の内容を事実無根と認めるよう要請を受けたと語った。

「さらに今般日本相撲協会理事会において、全ての親方は一門のいずれかに所属しなければならず、一門に所属しない親方は部屋を持つことが出来ない旨の決定がなされたとのことですが、同時に私はいずれかの一門に入るための条件として、告発の内容は事実無根な理由に基づいてなされたものであると認めるようにとの要請を受け続けております。しかしながら、内閣府公益認定等委員会に告発状を提出した告発状は、事実無根な理由に基づくものではございません。真実を曲げて、告発は事実無根だと認めることは、私にはできません」

貴乃花親方は、自らと協会との対立によって、弟子が相撲を取れなくなると考え、自ら引退に踏み切ったと明らかにした。

「一方でこのままでは、私はどの一門にも属することができません。これでは貴乃花部屋に所属する力士たちは相撲を続けることが困難になり、安心して鍛錬、精進することができません。このような状況において、断腸の思いではございますが、貴乃花部屋に所属しております、力士、床山及び世話人は、全員、継承者である千賀ノ浦部屋に所属先を変更させていただき、私、貴乃花光司は、本日年寄を引退させていただくことが最善の道であると苦渋の決断をするに至った次第です」

会見冒頭で、石原弁護士は「午後1時、日本相撲協会に対し、年寄貴乃花の代理人として、年寄を引退する旨の引退届を出し、力士、床山、世話人の千賀ノ浦部屋への所属先の変更願いも提出しました」と明らかにした。

貴乃花親方は報道陣へのファクスに「退職の理由については、ご説明の場を設けさせていただく所存ですので、ご報告させていただきます」などど記した。前日24日には「貴乃花応援会」のホームページにコメントを投稿。「千秋楽迎え、貴乃花部屋を支えて下さる皆様へ」と題し「皆様長らく貴乃花を応援してくださりありがとうございました。厚く御礼を申し上げるとともに、弟子たちを今後、末永く応援賜りますように何卒宜しくお願い申し上げます」などと記していた。

日本相撲協会は27日の理事会までに、全ての親方が5つある一門のいずれかに所属しなければならない旨を通達。全親方のうち、貴乃花親方だけが、所属先が不透明のままだった。【村上幸将】

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貴乃花親方、ある一門から救いの声は「いただいた」

日本相撲協会に引退届を提出し、行った会見で時折笑みを浮かべ記者の質問に答える貴乃花親方(撮影・垰建太)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届を提出後、都内で引退記者会見を開いた。

貴乃花親方は質疑応答の中で、日本相撲協会理事会で全ての親方は一門に属さなければならないと決定したことで、どこかの一門から救いの声がかからなかったか? と聞かれると「いただいておりました」と認めた。「もし入れるなら、どこかしか考えてなかった」と、どこかの一門に属することは、考えの中に若干、あったことを示唆した。

一方で、協会が理事会で全ての親方は一門に属さなければならないと決定したことについて「協会の理事会で正式に決まったものか、確認できなかった」とも言及。「単に一門に所属するならできたかもしれないが、告発状の事実無根を認めるようにと役員に言われ、どこの一門にも入れていただけないなと(思った)」と複雑な心情をのぞかせた。

質疑応答では、引退を発表した貴乃花親方をいさめる意味合いの、お願いに近い質問も報道陣から飛んだ。貴乃花親方は「告発状が事実無根だと認めなければやっていけないというのは、一部の理事の考え方だと思う。『誤解だ』、『話し合いを』と求められたら応じて欲しい」との声も一部の記者から投げかけられた。貴乃花親方は、その言葉に対し、1度は返答はしなかった。

その後、同様の質問が出ると、貴ノ花親方は「本日、引退届を提出しましたので、現在は差し控えたいと思います」と、親方の一部から救済の声や、話し合いを求める声があったら応じるかどうかの可能性については、言及を避けた。【村上幸将】

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貴乃花親方、告発内容事実無根と認められないと主張

報道陣を前に引退会見をする貴乃花親方(撮影・山崎安昭)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届を提出後、都内で引退記者会見を開いた。

貴乃花親方は引退の理由として、元横綱日馬富士による弟子の貴ノ岩への暴行事件に関連して、日本相撲協会の対応を問題視し、内閣府公益認定等委員会に提出していた告発状を3月に取り下げたが、その内容を事実無根だと認めるよう、協会に重圧をかけられたからと説明した。

その上で、協会からの重圧について「正式な書面はないが、名前は控えさせていただきたいが、ある方から秋場所の後半戦に入り話が聞かされた」と明かした。告発状を事実無根と認めろと言うこと? と聞かれると「はい」と答えた。「告発状を取り下げたが、事実無根と認めることだけは出来なかった」とも語った。

2003年1月の大相撲初場所9日目の20日に引退した際、「すがすがしい気持ちです」と語ったが、この日の気持ちを聞かれると「苦渋の決断」と答えた。その上で「何より弟子たちの将来を見据えて断腸の思いです。弟子達がかわいいですので、柔らかな気持ちで見守って上げたいという思いはとても強くあります」と語った。「無念といいますか、悲しい思い…弟子たちが土俵で活躍することが第一」とも語り、表情をゆがめた。【村上幸将】

日本相撲協会に退職届を提出した貴乃花親方は経緯を説明した文書を胸に仕舞い表情を引き締める(撮影・小沢裕)

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貴乃花親方「入門も自分の意思、今回も…」一問一答

日本相撲協会に退職届を提出した貴乃花親方は経緯を説明した文書を胸に仕舞い表情を引き締める(撮影・小沢裕)

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日夕方、日本相撲協会に引退届(退職届)を提出後、都内で引退記者会見を開いた。貴乃花親方は「私、貴乃花光司は、年寄を引退する旨の届けを提出いたしました」と語った。主な一問一答は以下の通り。

-相撲協会退職について

貴乃花 苦渋の決断。弟子たちの将来見据え、断腸の思いです。私自身で決めました。

-今の心境は

貴乃花 無念といいますか、悲しい思い。(今後は)弟子たちが土俵で活躍することだ第一。

-弟子にはどう伝えたか

貴乃花 今朝全員で向き合って話をした。涙する子たちがほとんどでしたが、側面から弟子たちを見守っていくことを伝えた。(今後も)育てられた土俵にたずさわっていきたい。住まいに土俵がある。土俵は存続のままでいきたい。師匠、お父さんの関係は一生続く。迷ったときは体の使い方、足腰の使い方を伝えたい。

-退職理由は

貴乃花 (3月に内閣府に出した)告発状が事実無根であることを認められなかった。今後弟子たちが萎縮してケガをすることは避けたい。

-協会に残ることはないのか

貴乃花 協会に残ることは ございません。相撲に携わっていきたいが。弟子たちはかわいい。これからもやわらかな気持ちで見守りたい。

-一門に無所属はだめと聞いたときの気持ちは

貴乃花 今場所後半にある役員の方から聞いたのが初めて。その前は周囲から聞いたレベル。正式な通達あるのかなと審判に従事していた。貴乃花部屋として存続させたかったが、告発状を事実無根と認めることはできなかった。

-弟子たちを千賀ノ浦部屋に移籍させる理由は

貴乃花 千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は貴乃花部屋に所属していた。病気なので倒れたら。数年前からお願いしますと。後継者、継承者として。

-相撲協会に引退届が受理されなかった場合は

貴乃花 退職の意思は変わらない。代理人を通じて伝えていきたい。

-後悔はないか

貴乃花 無念な気持ちあるが、弟子たちが今まで以上に活躍するかその心配。精神的に支えていきたい。弟子たちと寄り添えないことが無念。

-決断はいつか

貴乃花 今朝早くに決断した。

-かつて貴乃花一門の仲間がいたが、今回は1人で去っていくような感じだが

貴乃花 入門も自分の意思。今回も自分の意思で。

-今後は

貴乃花 具体的なことは何も考えてない。

-(住まいの)土俵を残すということだが

貴乃花 入門希望ができるような少年に相撲を教えたい。入門する子を増やせれば。

-秋田巡業で倒れたが体調は

貴乃花 大丈夫です。健康でやれております。

-協会に言いたいことは

貴乃花 若い力士たちが力強い相撲をとれるようにしていただきたい。

-先代(元大関貴ノ花)から部屋を引き継いでこういう形で協会を離れる。先代にどう報告するか

貴乃花 いつも見守ってくださいとお願いしている。今日で終わりますと報告したい。

-弟子への圧力はあったか

貴乃花 弟子はうわさレベルでも話を聞く。師匠がつらい思いをしていることが伝わる。のびのびとやってもらわないといかんと。

-27日年寄総会の前のタイミングだが

貴乃花 決断したらすぐに提出したいと。

-ファンには

貴乃花 感謝の気持ちを心にしまって歩んでいきたい。

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JOCにも「ボクシング再興する会」から告発状届く

日本ボクシング連盟の山根会長(16年5月撮影)

 日本ボクシング連盟(山根明会長)が、アスリート助成金を不正流用するなどした疑いがあるとして、都道府県連盟の会長や理事長、歴代オリンピック(五輪)代表選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告発状を送った問題で、試合用グローブなどの不透明な独占販売の疑いも告発状で指摘されていることが30日、分かった。独占販売していた販売店の振込先口座は、山根会長の親族らの名義だったという。

 JOC関係者は、都道府県連盟の有志で構成する「日本ボクシングを再興する会」から、この日の昼すぎに告発状が届いたと明かした。告発状はかなりの枚数であると伝え、「まずは内容を確認してからになります。すぐにどうということにはならない」と話すにとどめた。

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村田諒太「潔く辞めましょう」連盟の不正疑惑を批判

村田諒太(2018年6月25日撮影)

 日本ボクシング連盟(山根明会長)が、アスリート助成金を不正流用するなどした疑いがあるとして、都道府県連盟の会長や理事長、歴代オリンピック(五輪)代表選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告発状を送った問題で、試合用グローブなどの不透明な独占販売の疑いも告発状で指摘されていることが30日、分かった。独占販売していた販売店の振込先口座は、山根会長の親族らの名義だったという。

 ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太も痛烈批判をしている。告発の報道を受けて28日に更新したフェイスブックで後輩の成松をおもんぱかった上で、「そろそろ潔く辞めましょう、悪しき古き人間達、もうそういう時代じゃありません。新しい世代に交代して、これ以上、自分達の顔に泥を塗り続けることは避けるべきです」とつづった。アマチュア時代の12年にはロンドン五輪で金メダルを獲得している。

16年5月、「自由民主党ボクシング振興議員連盟」の設立総会に出席した、左から衆院議員の西村氏、日本ボクシング連盟の山根会長、村田

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日本ボクシング連盟不正疑惑 独占販売もパワハラも

16年5月、「自由民主党ボクシング振興議員連盟」の設立総会に出席した、左から衆院議員の西村氏、日本ボクシング連盟の山根会長、村田

 日本ボクシング連盟(山根明会長)が、アスリート助成金を不正流用するなどした疑いがあるとして、都道府県連盟の会長や理事長、歴代オリンピック(五輪)代表選手ら333人が日本オリンピック委員会(JOC)などに告発状を送った問題で、試合用グローブなどの不透明な独占販売の疑いも告発状で指摘されていることが30日、分かった。独占販売していた販売店の振込先口座は、山根会長の親族らの名義だったという。

 不正疑惑を告発した「日本ボクシングを再興する会」(鶴木良夫代表)の告発状によると、日本連盟は12年1月から、今年5月の日本連盟総会で独占販売疑惑が指摘されるまで、兵庫県内の販売店1店だけに検定品を独占販売させていたという。関係者は「付き合いの長い県内のスポーツ店からも買えない状況だった」といい「その店の住所地には喫茶店があり、スポーツ店はない」とも明かした。

 販売価格は市場価格より2~3割高額だったという。振込先口座は12年は山根会長の孫の名義、それ以降は、山根会長に近い関西地方の連盟の元理事名義の口座だったといい、告発状は店を「トンネル会社」とした上で「(山根会長が)中抜きした利益を不正に取得している疑いが極めて濃厚」と指摘。JOCに対し、調査と処分を求めている。

 告発状では「審判不正問題」も指摘。山根会長が応援する特定の県の選手を「国体で2回ダウンさせられた劣勢の選手も勝たせた」(関係者)といい、劣勢だった特定の県の選手を判定負けにした審判を会場などでどう喝し、その後は審判をさせないなどパワハラの疑いも指摘。審判不正について「山根会長を始めとする日本連盟のいわゆるパワーハラスメントを恐れて、審判不正に加担することを余儀なくされている」としている。【清水優】

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ボクシング連盟、JSC助成金不正流用か

 16年のリオデジャネイロ・オリンピック(五輪)にボクシング男子ライト級で出場した成松大介(28=自衛隊)に対して日本スポーツ振興センター(JSC)が15年度に交付した助成金240万円が、日本ボクシング連盟の指示で3等分されて別の2選手に80万円ずつ渡されていたことが28日、関係者の話で分かった。ボクシングで同年度に助成対象だったのは成松だけで、不正流用の可能性がある。JSCは今後調査する方針。

 関係者によると、成松は助成金を受けた際に日本連盟の山根明会長から「3人で分けるように」と指示され「おかしいと思ったが断れなかった」と話している。助成金の一部を受け取ったとされる選手の1人も事実を認めているという。同会長は連盟を通じ「一切の取材をお断りしている」とコメントした。

 今年に入って、助成金の目的外使用の指摘が連盟側に寄せられ、複数の連盟幹部が5月30日に成松と面談。幹部らからは「会長の命令っていうと、おかしくなっちゃうから」「あなたが(自分の意思で)分けてやったと言ってくれるとうれしい」などと、会長の指示ではなく、成松が自ら助成金を分配したことにするよう促す発言があった。翌31日には幹部から成松の口座に160万円が振り込まれた。

 関係者らは今回の問題に加え、試合の判定での不当な操作や山根会長から関係者へのパワハラ、不正経理があったとして、日本連盟に対する告発状を28日までに文部科学省やスポーツ庁、日本オリンピック委員会、JSCなどに郵送した。

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