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八重樫「激闘へ」12・23王座返り咲き目指す 

笑顔でポーズする八重樫(撮影・中島郁夫)

ボクシング元世界3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)が王座返り咲きを目指す。12月23日に横浜アリーナで、IBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南ア)のV3戦で世界挑戦する。WBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)のV1戦がメインのトリプル世界戦となる。

八重樫は6度目の世界挑戦で、17年5月にIBFライトフライ級王座のV3失敗から、2年7カ月ぶりの世界戦となる。スーパーフライ級で4階級制覇を狙っていたが交渉がまとまらず。「待っていたら、おじいちゃんになっちゃう」と方針を変更した。

ムザラネは18年大みそかに坂本真宏(六島)を10回TKO、今年5月に黒田雅之(川崎新田)に判定と、日本人に連勝防衛している。八重樫は黒田戦のテレビ解説を務めた。「やると思っていないので、どうでもいいな」と見ていたと笑った。

試合2カ月後の来年2月には、国内規定では定年の37歳となる。ムザラネが相手に決まると「ざわっときた。同じ年なので負けたくない」と気合が入った。ただし「キャリアあり、強豪とも戦い、堅実で崩しにくい」と強敵と見る。カギには「激闘へどうもっていけるか」と分析している。

結果次第で年齢から進退も問われる一戦と言える。「試合後にどういう気持ちになるか。最後と思うと逃げ道になるし、楽しめない。勝ちだけを見て、練習も追い込むよりも楽しみたい」と話した。

ベテラン対決に大橋会長は「まさにシルバー・タイトルマッチ」と表現した。八重樫は「最高峰のおやじファイト。命を懸けて戦い、勝ちます」。フライ級は13年にWBC王者五十嵐俊幸(帝拳)から王座を奪い、14年にローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に敗れるまで3度防衛。約6年ぶりの王座奪回を誓った。

世界戦が決まりポーズする左からWBC世界ライトフライ級王者拳四朗、WBA世界ミドル級王者村田、八重樫(撮影・中島郁夫)

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国公立大大学院生ボクサーの坂本真宏が引退決断

18年12月30日、IBF世界フライ級選手権前日計量でガッツポーズを見せた坂本真宏

国公立大大学院生ボクサーの坂本真宏(28=六島)が引退を決断したことが30日、分かった。

同ジムの枝川孝会長が「昨日、本人が(引退を)報告に来た」と明かした。

坂本は大阪市大工学部に入学後にボクシングを始め、14年にプロデビュー。同大工学部大学院工学研究科で機械物理学を専攻しながら、17年12月にWBOアジアパシフィックフライ級王座を獲得。昨年大みそか、日本で初めて現役国公立大大学院生ボクサーとして世界王座に挑戦し、注目を集めたが、IBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネに10回終了TKO負け。26日に同大第2体育館で再起戦(WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦)を行ったが、阪下優友に6回TKO負けした。

坂本は阪下のパンチで右眼底下、鼻骨を骨折しており、枝川会長は「本人は頑張っていたが、大みそかの世界戦後、モチベーションを維持するのが難しかったようだ」と話した。

坂本真宏(2018年12月31日撮影)

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理系大学院ボクサー坂本真宏無念…母校でTKO負け

母校で試合を行う坂本真宏(左)(撮影・南谷竜則)

<プロボクシング:WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦12回戦>◇26日◇大阪市大第2体育館

国公立大理系大学院ボクサーが母校で散った。WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦が26日、大阪市大第2体育館で行われ、同級2位の坂本真宏(28=六島)が同級3位の阪下優友(28=角海老)に6回1分6秒TKO負けした。

5回終了間際、左目上をカット。「血が目に入って下がってしまった」。勢いづいた阪下の猛ラッシュを止めることはできなかった。母校での応援に応えられず「やってしまった。残念な気持ち」と悔しさをあらわにした。

坂本は大阪市大大学院工学研究科機械物理学専攻の異色ボクサー。昨年IBF世界同級タイトルに挑戦したが失敗。一度は引退を考えたが、母校再起戦プランに復活を誓っていた。

試合は所属していた大学ボクシング部OBが全面サポートした。3月に部員減少で廃部になったが、「努力家」の坂本のためにOBが集結。試合当日までに大学とジム、OB間の調整を行った。前日は10人が集まり午後5時から8時まで会場設営、試合当日も朝7時半から17人がリング設営に参加、受付も手伝った。TKO負けという結果にOB会長の下中奨三さんは、「(今は)お疲れさまという気持ち」と労をねぎらった。

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王者ムザラネ「完璧に仕上がった」黒田雅之と対戦

オレがNO1と誇示する王者モルティ・ムザラネ

ボクシングIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)が9日、都内のジムで練習を公開した。13日に東京・後楽園ホールでのV2戦で、同級4位黒田雅之(32=川崎新田)の挑戦を受ける。

15分間の縄跳びに始まり、サッドバッグとミット打ちと内容は軽めも、たっぷり1時間汗を流した。09年から14連勝中というベテラン。「ボクシングにすべてかけている。今がベストの体。プロの役目だ」と、練習で裏打ちされた実力維持の一端を見せた。

本来は右も左構えが多かった。3年前から指導するコリン・トレーナーは、昨年に2団体王者田口良一(ワタナベ)を破ったヘッキー・ブドラー(南アフリカ)も指導している。当時の公開練習でも同じ手法で手の内は見せなかった。

サウスポーかと問われると、コリン・トレーナーは「知らなかったのか?」。田口戦も同じだったの問いには「忘れた」とおとぼけ。偵察した黒田陣営の孫トレーナーが「黒田は左には5連勝中」と突っ込むと、練習中にメモする姿を挙げて「黒田が負けると書いたのか」と応酬した。

「ユーチューブを見てくれ」と、自身についても、黒田についても、具体的な言葉は一切なかった。ムザラネは「完璧に仕上がった。試合が楽しみ。海外は慣れているし、ベルトは持って帰る」。前回は坂本真宏(六島)を7回TKO。再び日本人キラー発揮へ自信を示した。

黒田陣営の新田会長は徹底した手の内隠しに苦笑い。「参考にならないが、コンディションはすごく良さそう。身のこなしもいいし、スタミナもありそう。ともにベストは臨むところ」と受けて立つ。勝負のカギに「接近戦に持ち込ませず、自分の距離を保てるか」と話した。

ネイサン・コリン・トレーナー(左)と王者モルティ・ムザラネ

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母校で王座決定戦行う坂本真宏を大阪市大OBが援助

母校の大阪市大第二体育館で5月26日に再起戦を行う元WBOアジア・パシフィックフライ級王者坂本真宏(前列中央)。前列左は武市晃輔トレーナー、同右は下中奨三・同大ボクシング部OB会長。後列は同大ボクシング部OB(撮影・加藤裕一)

元WBOアジア・パシフィックフライ級王者で、大阪市大大学院生ボクサーの坂本真宏(28=六島)にとって、再起戦となる同級王座決定戦(5月26日、大阪市大第二体育館)をめぐり、同大ボクシング部OBが全力でサポートすることになり、22日、同大で会見を行った。

千葉県船橋市在住の同部OB会長、下中奨三さん(38=システムエンジニア)は「坂本のタイトルマッチを、大阪市大でやるなんて歴史的イベント。ここでOBが動かんとどうする、となりました。協力して、絶対に成功させたい」と熱弁をふるった。

自身もOBである坂本は「OBにはデビュー当時からチケットを買ってもらったり、すごく応援していただいてきた。僕は結果で答えたいと思います」。昨年12月31日に日本ボクシング史上初めて“国公立大大学院ボクサー”が世界タイトルに挑んだが、失敗。一時は引退も考えた。

しかし、自分の大学での再起戦というプランに、現役続行を決めただけに闘志満々だ。

同大ボクシング部は3月末時点で部員が2人だけで、大学の規定「5人」に満たず、廃部となった。部の再興は難しい状況だが、約70人いるOB会は「大阪市大ボクシング部」の名前を少しでも残したい思いが強い。

今回の興行では、会場、リングの設営や場内スタッフなどをサポートしていく意向で、下中さんは「発揮したいのはマンパワー。OB会の半分以上は、なんとか集めたい」と話した。

選手にユニークなリングネームをつけるなど、業界屈指のアイデアマンでもある六島ジムの枝川孝会長は「ラウンドガールとかもやってもらえたら、おもしろい。ボクシング部でなくても、女子柔道の選手に道着でやってもらうとかね。部の垣根を越えて“大阪市大フェスティバル”のようなイメージが出てきたら」と盛り上がりに期待した。

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院生ボクサー坂本真宏“史上初”大阪市大で再起戦

大阪市大で初のプロボクシング開催へ意気込む左から坂本、荒川学長、小林(撮影・実藤健一)

大阪市立大で初となるプロボクシング開催が27日、発表された。5月26日に同大第二体育館で行う。

メインは昨年末にマカオでIBF世界フライ級王座に挑戦し、10回TKO負けした坂本真宏(28=六島)の再起戦。WBOアジアパシフィックフライ級王座決定戦で同級2位の坂本が、同級3位の阪下優友(角海老宝石)とタイトルをかけて対戦する。

同バンタム級タイトル戦も行われ、同級14位ストロング小林佑樹(27=六島)が王者ベン・マナンクィル(フィリピン)に挑む。

坂本が大阪市立大大学院工学研究科機械物理学を専攻する学生で“史上初”が実現した。後押ししたのは荒川哲男学長(68)でこの日の会見にも同席。当初はマカオで王座を奪取し、母校で初防衛戦のプランだったというが、荒川学長は「坂本君は文武両道で頑張っている。勝負事は負けた方が得るものは多い」と学習の場にする考えだ。

坂本は異色の理系大学院生の世界挑戦で注目された。結果は完敗だったが、試合前から別の不安を抱えていたと明かした。試合約1カ月前の定期健診で脳に白い影…。「相当、ビビってしまって」と言うが、気持ちを奮い立たせて世界戦に集中。その試合後、今年2月に受けた再検査の「結果次第で」引退も考えた。その結果は異常なしで、再び世界を目指す気持ちを固めた。

大学院を来年度に卒業予定。修士論文のテーマは「酸化チタン」という主に建築の素材分野。周りは就職活動の季節だが、坂本はボクシングにまい進する。過去にロボット工学関係の企業からの内定を辞退した。「40代では技術者に。社会の役に立つ仕事をしたい」と描くが、それまでは世界王者への夢を追う。「打ち合っておもしろい試合をしたい」。博士と王者、超異例の二刀流を極める。

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黒田雅之が5・13世界戦「新元号初の世界王者に」

世界再挑戦へ向け笑顔で拳を突き出す黒田(撮影・横山健太)

ボクシングのIBF世界フライ級4位黒田雅之(32=川崎新田)が5月13日、東京・後楽園ホールで同級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)に挑戦することが18日、発表された。黒田にとって13年2月、当時のWBA世界フライ級王者ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に挑戦して負けて以来、6年ぶり2度目の世界戦となる。

黒田は「6年前に負け、どん底から今回戻ってきた。昭和生まれで、5月からは新元号になるので、他の世界戦がどうなのかは分かりませんが、新元号初の世界王者になるために頑張りたいです」と意欲をみせた。所属ジムの新田渉世会長は黒田が初めてスパーリングした世界王者となる元WBC世界スーパーフライ級王者川嶋勝重氏から同氏の愛称「ラストサムライ」を継承したことを明かした。黒田はもともと剣道2段の腕前。同会長は「川嶋氏から『技術で負けても気持ちで負けないように』とエールを送られました」と明かした。

昨年大みそかにマカオで坂本真宏(六島)に10回TKO勝利し、初防衛に成功した王者ムザラネについて、黒田は「どっしり構えてガードが堅いが、お互いにかみ合う試合になります。十分に勝機があると思います」と説明。また川崎市のジム初の世界王者を目指し「年齢を重ね、自分なりには良くも悪くもしぶとくなれたかなと。自分なりに殴り合いは少しずつ分かってきたので、いろいろと生きると思う」と悲願の王座奪取への意欲を示した。

世界再挑戦へ向け笑顔でファイティングポーズをとる黒田(撮影・横山健太)

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大学院生の坂本真宏、右目腫れ10回ドクターストップ

TKOで敗れ、記者の質問に答える坂本(撮影・加藤裕一)

<プロボクシング:IBF世界フライ級タイトル戦12回戦>◇12月31日◇マカオ・ウィンパレス

理系男子の夢が、マカオで散った。IBF世界フライ級14位坂本真宏(27=六島)が王者モルティ・ムザラネ(36)に10回終了TKOで敗れた。

ガードの上からパンチをもらい続け、右目が腫れ視界がふさがれた。10回終了後、青コーナーでドクターチェック。継続可能な状態は超えていた。「右のフルのパンチより、左ジャブが強かった」。序盤から手を出した。左ボディー、左右ワンツー。ヒットはしたが、パンチのスピード、回転が違った。

大阪市立大大学院工学研究科で機械物理学を専攻する男は、世界挑戦を夢見て、ロボット工学関係の企業内定を辞退。国公立大大学院生ボクサーとして、日本ボクシング界で初めて世界戦に挑んだが、力の差を見せつけられた。

枝川会長は「先のことは本人次第」と話した。腫れ上がった視界の先はまだ不透明だ。

◆坂本真宏(さかもと・まさひろ)1991年(平3)1月19日、堺市生まれ。小中学校ではソフトボール、野球をし、泉北高では“帰宅部”。1浪で大阪市大工学部に入学、体育会でボクシングを始める。関西大学リーグ2、3部トーナメント・フライ級優勝などアマ戦績24勝(11KO)6敗。14年12月プロデビュー、昨年12月にWBOアジアパシフィック・フライ級王座獲得。164センチ。右ボクサー。家族は両親、兄。

坂本のプロ戦績

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井岡4階級制覇ならず、京口2階級制覇/世界戦詳細

ボクシング前IBFミニマム級王者で世界ライトフライ級1位の京口紘人(25=ワタナベ)は同級スーパー王者ヘッキー・ブドラー(30=南アフリカ)にTKO勝ちで2階級制覇を達成。

IBF世界フライ級15位の坂本真宏(27=六島)は同級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)にTKO負けで初の世界戦を飾れなかった。

WBO世界スーパーフライ級3位井岡一翔(29)は元3階級制覇王者の同級1位ドニー・ニエテス(36=フィリピン)に判定で敗れ日本ボクシング界初の4階級制覇を逃した。

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦

京口紘人(25=ワタナベ)TKOヘッキー・ブドラー(30=南アフリカ)

京口は左のボディーやアッパーなど角度をつけた打撃が光った。序盤は相手の手数に押される場面もあったが、左ジャブを丹念に突きつつ、機を見た強打を打ち込んだ。中盤からは再三の強烈な左ボディーでダメージを与えることに成功し、ブドラー陣営が試合続行を断念した。ブドラーはフットワークが鈍り、終盤は防戦一方となった。

京口「まいどおおきに! ありがとう。迫力にちょっと欠けたけど、こつこつジャブついて弱らせる作戦でした。セコンドの指示も的確で。チャンピオンで年越して、本当にうれしい。来年は公言した通り、力つけて、いずれはビッグマッチ、統一戦を考えたい」

ブドラー「京口はフィジカルが非常に強かった。パンチをもらって息が上がってしまった。たくさんもらってしまったため、チームで決めて試合を止めた」

3回、京口はブドラーにボディを放つ(撮影・加藤哉)

10回を終えブドラーが棄権を申し出て勝利した京口(撮影・加藤哉)

10回を終えたところでブドラー(右)にTKOで勝利し、抱きかかえられて笑顔を見せる京口(撮影・加藤哉)

IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦

坂本真宏(27=六島)TKOモルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)

坂本は手数で圧倒された。序盤はガードを固めて様子をうかがい、中盤以降は打ち合いの展開。ボディー攻撃から活路を見いだそうとするが、相手のガードの上をたたくばかりで有効打は少なく、ダメージを与えることはできなかった。ムザラネは終始、冷静だった。左ジャブでリズムをつくり、右フックなどを的確に当ててポイントを稼いだ。

坂本「まず応援してくれたたくさんの方に申し訳ない。悔しさでいっぱい。チャンピオンは左のジャブが思ったより強かった。ブロックの上からでも目が腫れてしまった」

ムザラネ「坂本はパンチ力があったから、ガードを上げることに気をつけた。勝てたのは、懸命に練習したたまものだ」

1回、坂本はムザラネに右フックを放つ(撮影・加藤哉)

8回、坂本はムザラネ(右)から顔面にパンチを受ける(撮影・加藤哉)

10回を終えたところでドクターストップによりムザラネに敗れリングを降りる坂本(撮影・加藤哉)

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦

井岡一翔(29)判定(1ー2)ドニー・ニエテス(36=フィリピン)

前に出た井岡は有効な打撃を欠いて競り負けた。接近して左右のボディーを交えて攻め、ニエテスはフック、アッパーなどカウンターで応戦。だが、ともにガードが堅く、決定打が出ないまま。終盤は井岡の圧力が弱まり、ポイントを奪えなかった。ニエテスは井岡の打ち終わりを的確に捉えた。後半は失速気味も堅守を生かしてペースを保った。

井岡「応援してくれた方の期待に応えられなくて悔しい。きょうは僕の日ではなかった。倒し切れなかった僕が悪い。ここで闘っていくためには、踏ん張らないといけない」

ニエテス「途中で(井岡が)動くスタイルに変えていなければ、KOできていたよ。自分もレガシーを作れて、とてもうれしいよ」

1回、ニエテスに左ジャブを放つ井岡(撮影・加藤哉)

9回、ニエテス(右)に左ボディを放つ井岡(撮影・加藤哉)

2人目の判定で1対1となり、井岡(右)はガッツポーズを見せたが…(撮影・加藤哉)

判定でニエテス(左)に敗れ悔しそうな表情を見せる井岡(撮影・加藤哉)

坂本真宏王座ならず…異色大学院生の夢マカオに散る

8回、坂本はムザラネ(右)から顔面にパンチを受ける(撮影・加藤哉)

<プロボクシング:IBF世界フライ級タイトル戦12回戦>◇31日◇マカオ・ウィンパレス

理系男子の夢が、マカオで散った。IBF世界フライ級14位坂本真宏(27=六島)が王者モルティ・ムザラネ(36)に10回TKOで敗れた。大阪市立大大学院工学研究科で機械物理学を専攻する男は、この日のためにロボット工学関係の企業内定を辞退。国公立大大学院生ボクサーとして、日本ボクシング界で初めて世界戦に挑んだが、やはり壁は厚かった。「まず応援してくれたたくさんの方に申し訳ない。悔しさでいっぱい」。坂本は試合後、肩を落とした。

手数で圧倒された。「チャンピオンは左のジャブが思ったより強かった。ブロックの上からでも目が腫れてしまった」と坂本。3回から右目が腫れあがり、終盤は完全にふさがった状態に。10回にドクターストップがかかった。

国公立大の理系大学院生が、世界に挑む-。頭脳明晰(めいせき)でスポーツ万能と思われがちだが、別に天才じゃない。負けず嫌いの凡才だ。

学力は並だった。大阪府立泉北高での校内模試は、理系生徒121人中119位。大阪市大工学部も、同大学院も1浪して入った。

ボクシングも並だった。「法律でダメなことが許される。そんな非日常にひかれた」。高校で週2日を約半年ほどキックボクシングジムに通った格闘技好き少年は、大学でボクシング部へ、卒業後に六島ジムへ。プロ転向表明翌日の14年12月3日、3階級制覇を目指す井岡一翔とスパーリングをして遊ばれた。「パンチが的確でバランスが全然崩れない。プロで相手を倒すのはこういうことか」と思い知らされた。

才能は、どこにあったのか。「僕は根っからの負けず嫌いなだけです」-。16年11月のWBOアジアパシフィック王座決定戦で、木村翔に判定0-2で惜敗。その木村が17年7月、世界王者になった。「悔しかった。リベンジしたかった。抑えてた、その気持ちが弾けました」。今春入社予定だったロボット工学関係企業の内定を辞退。楽しむだけのボクシングが、本気になった。

世界戦決定後の11月に3週間、ひたすら走った。朝のロードワーク後、約100メートルある急傾斜の坂に出向き、約60キロの武市晃輔トレーナー(37)と15キロの重りを積んだ自転車を押し上げるトレーニングを6本、ダッシュを6本。公園で600メートル走を12本。夜はインターバル30秒のスパーリングを8ラウンドをこなした。

枝川孝会長(54)は「真剣勝負だし仕方ない。10-1の負けだとは思わない。善戦じゃないか」。ガムシャラなスタミナ勝負を見込んだが、世界は遠かった。

7回、坂本はムザラネ(左)から顔面にパンチを受け勢いでリング上を後ずさりする(撮影・加藤哉)

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大阪市大大学院生の坂本、人生初メンチ切りに失敗

前日計量をクリアしムザラネ(左)と向かい合ったが「メンチ切れ!」の声が掛かり顔との距離を縮めた坂本(撮影・加藤哉)

大みそかにマカオで行われるトリプル世界戦の前日計量が30日、試合会場のウィンパレスで行われた。

IBF世界フライ級タイトルマッチで世界初挑戦となる大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)は、王者ムザラネと同じ300グラム軽い50・5キロでパス。世界戦でよくある「フェースオフ(にらみ合い)」に応じたが、こちらは“失敗”。同ジムの枝川会長の「メンチ切れ」指令で、眉間にしわを寄せたが、周囲の「人生初メンチや!」との“声援”に顔がほぐれた。「慣れんことしたらあきませんね」と苦笑い。

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坂本真宏が計量パス、慣れぬ「人生初メンチ」は失敗

前日計量をクリアしムザラネ(左)と向かい合ったが「メンチ切れ!」の声が掛かり顔との距離を縮めた坂本(撮影・加藤哉)

大みそかにマカオで行われるトリプル世界戦の前日計量が30日、試合会場のウィンパレスで行われ、IBF世界フライ級タイトルマッチで初の世界戦に臨む大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)は、王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)と同じ300グラムアンダーの50・5キロでパスした。

計量会場ではフォトセッションがあり、坂本はタイトルマッチでよくある、両者が顔を近づける「フェースオフ(にらみ合い)」にも応じた。同ジムの枝川孝会長(54)の「2、3歩近づいて、メンチ切れ」との指令を受け、接近してから一瞬眉間にしわを寄せてみたが、同会長と武市晃輔トレーナー(37)から「人生初メンチやろ!」と“声援”が飛ぶと顔がほぐれて失敗に終わった。「やろうと思ったんですが、あの声掛けで崩れてしまいました。慣れんことしたらあきませんね」と苦笑いだ。

ただし、仕上がりは万全だ。過去の計量前夜はほぼ眠れなかったが、今回は武市トレーナーいわく「遅刻しよったんです」。

坂本は「初めてすっと眠れました。それやのに、朝5時ぐらいにものすごい音で起こされて“何や工事でもしてるんか”と」。ホテルの外に出てみると、ゴミ収集車が作業中だった。ついでに近くの24時間営業のスーパーマーケットに足を伸ばし、計量後のバナナを買って戻ってまた熟睡。そのせいで時間ギリギリまで寝てしまったとか。

4月1日のWBOアジアパシフィック・フライ級戦の計量は当日未明時点で1キロオーバー。サウナなどにこもり、ほぼ徹夜で体重を落とす大失態を演じた。そんな過去があるだけに、武市トレーナーも「過去最高です」とコンディショニングに太鼓判を押していた。

前日計量をクリアした坂本はガッツポーズを見せる(撮影・加藤哉)

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井岡、京口、坂本ら6人とも前日計量をパス

前日計量をクリアした井岡(撮影・加藤哉)

大みそかにマカオで行われるトリプル世界戦の前日計量が30日、試合会場のウィンパレスで行われ、6人ともアンダーでパスした。

トリプル世界戦の顔ぶれはWBO世界スーパーフライ級王座決定戦で、日本ボクシング界初の世界4階級制覇に挑む同級3位井岡一翔(29)と対戦相手の同級1位ドニー・ニエテス(36=フィリピン)、世界2階級制覇に挑むWBA世界ライトフライ級1位京口紘人(25=ワタナベ)と対戦相手のスーパー王者ヘッキー・ブドラー(30=南アフリカ)、IBF世界フライ級王座に初挑戦する同級14位で大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)と対戦相手の王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)の6人。

前日計量をクリアした京口(撮影・加藤哉)
前日計量をクリアした坂本(左)はムザラネに向かってガッツポーズを見せる(撮影・加藤哉)

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坂本真宏体温34・9度?マカオのアバウト予備検診

予備検診でリーチを測定する井岡(撮影・加藤哉)

【マカオ29日=加藤裕一】大みそかのトリプル世界戦の予備検診が行われたが、測定値は軒並み? 選手らは首をかしげ、苦笑いのオンパレードとなった。日本ボクシング界初の世界4階級制覇に挑む井岡一翔(29)は17年4月のフライ級だった前回世界戦から、スーパーフライ級に階級を上げたにもかかわらず、胸囲が88・4センチから83センチと5・4センチ、リーチが168・7センチから158センチと10・7センチ、ともに大幅ダウンした。

「僕はいつもですが、数値は全く気にしてない。動きは前回(9月の復帰戦)より間違いなくよくなっている。それを試合で出せるかどうかだけ」。井岡はさすがの貫禄で気にするそぶりを見せなかった。

海外ならではのアバウトな測り方が原因と思われるが、世界2階級制覇に挑む京口紘人(25)と世界初挑戦の坂本真宏(27)は目が点になった。

京口は「でたらめすぎて、笑っちゃいました」。1年前の同日に行ったミニマム級の世界戦予備検診時と比べ、リーチが155センチと8センチも短縮。結果的にブドラーと9センチも差がついた。「9センチも短いなんて。(2センチ減った)胸囲も、腰に近いとこで測ってるし」。

最も異常ともいえる数値が出たのは、坂本だ。体温がなんと34度9分! 武市トレーナーは思わず「死んでますがな」。相手の王者ムザラネも35度。坂本は電子体温計が「ピッと鳴る前にとられた」と“低体温症”の理由を説明し、爆笑を誘った。

予備検診を受ける京口。後方はブドラー(撮影・加藤哉)
予備検診を受ける坂本。後方はモルティ・ムザラネ(撮影・加藤哉)

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理系男子の坂本真宏「一ボクサー」猛者前に闘士の顔

予備検診を終え会見する坂本(撮影・加藤哉)

大みそかにマカオで開催されるトリプル世界戦の予備検診が29日、現地のマカオボクシングハウスで行われた。

IBF世界フライ級王座に初挑戦する同級14位で大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)は異常? な数値が判明。体温が34・9度と測定された。

見守った武市晃輔トレーナー(37)は思わず「34度台? 死んでますがな」。六島ジムの枝川孝会長(54)も「ありえへんやろ」。対戦相手の王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)も35・0度と計測された。坂本は電子体温計が「ピッと鳴る前にとられた」と“低体温症”の理由を説明し、周囲の笑いを誘った。

決戦を2日後に控えているとは思えないほんわかムードは、坂本の落ち着きの裏返しでもある。通算36勝2敗という歴戦の猛者、王者ムザラネと対面した印象を「同じ空間に立ったら、そうでもないですね。骨格的に手が長い感じはするけど、一ボクサーってイメージですね」と話した。

日本ボクシング界初の国公立大大学院生による世界挑戦へ。枝川会長が今後の成り上がりに期待し、あえて「シャワーのみで浴槽なし」という庶民派ホテルに宿泊させるが、坂本は意外? なたくましさを発揮。大阪市大ボクシング部の3学年下にいた中国人の後輩に連絡し、試合会場の高級ホテル・ウィンパレスに交渉してもらい、湯船につかれるサウナを予約してもらった。「判定じゃないです。相手を倒す試合がしたくて、それだけを考えてます」。工学研究科で機械物理学を専攻する“理系男子”が、すっかり戦う男の顔になってきた。

予備検診を受ける坂本、右はムザラネ(撮影・加藤哉)

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38戦36勝の王者ムザラネ、挑戦者坂本は眼中なし

坂本戦を前にリラックスした様子のモルティ・ムザラネ(撮影・加藤裕一)

大みそかに中国マカオで、IBF世界フライ級14位坂本真宏(27=六島)と対戦する王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)が28日、現地で練習を公開した。

プロ通算38戦36勝(2敗)のベテランは坂本の印象を「ヤングボーイだが、いい選手」と社交辞令のように答え、9つもの年齢差から来るスタミナ面の不安を問われても「問題ない。年齢はただの数字に過ぎない」と笑い飛ばした。

10年9月には、現WBO世界バンタム級王者ゾラニ・テテにTKO勝ちした。8年前とはいえ、WBSS(ワールドボクシングスーパーシリーズ)準決勝で“モンスター”井上尚弥と対戦予定の猛者を破った実績を持つ実力者だけに、世界初挑戦の坂本は眼中にないのか? 

この日は坂本陣営の六島ジム・枝川孝会長らが練習を視察した。7月にマレーシアでムザラネが王座を奪った試合を視察した同会長は「イメージより体が大きい。手足も長い。こないだ見た時より、強そうに見える」と警戒を強めた。

シャドーで左右にスイッチする動きを見せた、坂本の相手モルティ・ムザラネ(撮影・加藤裕一)

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浴槽、洗濯機なし…王座狙う坂本真宏がマカオで鍛錬

武市晃輔トレーナー相手にミット打ちを見せる坂本(撮影・加藤裕一)

大みそかに中国マカオで、IBF世界フライ級王座に初挑戦する同級14位で大阪市大大学院生の坂本真宏(27=六島)が27日、現地のマカオボクシングハウスで練習を公開した。

王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)との戦いは、日本ボクシング界初の国公立大大学院生ボクサーの世界戦。26日に現地入りした坂本は「マカオに来てホテル住まいになって環境が変わったこともあり、実感がわいてきました」と、気持ちの高ぶりを口にした。

異例のインテリボクサーとはいえ、ボクサーとしての知名度は0に等しい。そこから成り上がっていくために、六島ジムの枝川孝会長(54)はあえて安いホテルに泊まらせた。「庶民向け。廊下なんか(両手を約1メートル幅に広げて)こんな狭いもん」と同会長。シャワーのみで浴槽なし。コインランドリーなど洗濯機もない。坂本は「おばちゃんに洗濯物どうしたらいいか尋ねたら“これで洗い”てタライを渡されて、ごしごし手洗いするしぐさをされて…。ほんまにハングリーな感じのホテルです」と笑った。

枝川会長いわく「街の感じも古くて、ブルース・リーが出てきそうな感じ。今回は“坂本、怒りの鉄拳”です」。世界ベルトを奪い、防衛を重ねれば、ホテルもグレードアップしていく-。坂本の“ドラゴンへの道”がマカオから始まるか-。

武市晃輔トレーナー(右)手製のスポンサーロゴ入りウエアを披露した坂本。左は六島ジムの枝川孝会長(撮影・加藤裕一)

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坂本真宏「体調いい。減量も順調」ベルト奪取誓う

世界戦に向け、練習を公開したIBF世界フライ級14位坂本(撮影・加藤裕一)

大みそかに中国マカオでIBF世界フライ級タイトルマッチに挑む同級14位坂本真宏(27=六島)が18日、大阪市内の同ジムで練習を公開した。スパーリングを2ラウンド(R)後、サンドバッグを軽くたたき「体調はすこぶるいい。減量も過去の反省を生かして順調です。判定までいかず、KO決着しかないと思っています」。大阪市立大大学院工学研究科で機械物理学系を専攻するインテリ・ボクサーは、王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)からのベルト奪取をあらためて誓った。

世界王者になれるなら“アホの坂本”になってもいい。水面下で世界戦の打診があった9月から、坂本は本気になった。「以前は頭をどつかれてアホになるのを嫌がっとった。でも、今は手数も増えたよね」と枝川孝会長(54)は笑う。武市晃輔トレーナー(37)も「う~ん、物忘れは激しくなりましたかね」と笑う。「いや、それは通常の加齢に伴うもので」と坂本は苦笑いで否定するが、実力は確実に底上げされた。「スタミナがついたのは間違いない。だから、すべてのメニューをアグレッシブにこなせる。多少無理もできる。世界戦の話が来た時に3カ月後の姿をイメージしましたが、それより確実に上です」と武市トレーナー。12Rのスパーリングをこなしても、フラフラになることなく他のメニューに移れるだけの地力が着いてきた。

決戦まで2週間を切った。坂本は「王者は手数が多い。だから、その手数に負けないようにしたい」。どつき合いは覚悟の上。覚悟を決め、国公立大大学院生ボクサーが勝負に出る。

世界戦の公開練習後、笑顔を見せるIBF世界フライ級14位坂本真宏(中央)左が枝川孝会長、右が武市晃輔トレーナー(撮影・加藤裕一)

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日本フライ級の黒田雅之が王座返上 来年世界再挑戦

黒田雅之(17年11月9日撮影)

ボクシング日本フライ級王者黒田雅之(32=川崎新田)が14日付で、来年の世界再挑戦へ向けて王座を返上した。

31日にマカオで、IBF同級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)が同級15位の坂本真宏(27=六島)の挑戦を受ける。黒田はその勝者と90日以内に指名試合となる。

実現すれば、黒田にとっては、13年のWBA同級王者にファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に判定負けして以来6年ぶりの世界戦となる。

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入学後に競技、大阪市立大大学院生/坂本真宏メモ

国公立大大学院生ボクサーとして、史上初めて世界王座に挑む坂本真宏(撮影・加藤裕一)

大阪市立大大学院生のIBFフライ級15位坂本真宏(27=六島)が、大みそかにマカオで同級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)に挑戦することが5日、大阪市内の同大学で発表された。「国公立大大学院生ボクサー」の世界戦は日本ボクシング界初。

◆坂本真宏(さかもと・まさひろ)1991年(平3)1月19日、大阪・堺市生まれ。大阪・泉北高から大阪市立大工学部に1浪で入学後に体育会で競技を始め、関西大学リーグ2、3部大会フライ級優勝などアマチュア戦績24勝(11KO)6敗。14年12月プロデビュー、昨年12月にWBOアジア太平洋フライ級王座獲得。164センチ。右ボクサー。家族は両親、兄。

◆大阪市立大 1880年(明13)創設の大阪商業講習所、日本初の市立大だった旧制大阪商科大を経て今日に至る。大阪市住吉区、阿倍野区のキャンパスに8学部を擁する総合大。偏差値は52・5~67・5(ちなみに京大62・5~72・5)付近で、関西有力私立大の「関関同立より上」のイメージがある。サントリー創業者の鳥井信治郎氏(旧制学校時に中退)ら財界に多くの人材を輩出。

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