上へ戻る

au版ニッカン★バトル

記事検索

大関確実の霧馬山「つらかった時に支えてくれた」両親からの祝福に感謝、今週末にモンゴル帰郷へ

大相撲令和5年夏場所で事実上の大関昇進が決まった霧馬山はあふれんばかりの笑みで一夜明け会見に臨む(撮影・小沢裕)

大相撲の関脇で大関昇進を確実にした霧馬山(27=陸奥)が夏場所千秋楽から一夜明けた29日、東京・両国国技館内で会見に臨んだ。

夏場所で11勝をあげた霧馬山は、三役で直近3場所合計を34勝とし、大関昇進の目安「33勝」をクリアした。31日に開かれる名古屋場所の番付編成会議と理事会をへて正式に決定。その後に伝達式が行われる。

目標を達成して晴れやかな表情の霧馬山は「早く始まって、早く終わりたい思いがあった。昨日終わって落ち着いた。いつも通りの場所と思うようにしたが、何か違うなと。緊張あってあまり眠れなかった」と15日間を振り返った。

前夜はモンゴルから来日した両親と顔を合わせ、祝福されたという。「2人ともすごく喜んでくれた。(入門して)つらかった時に支えてくれたのも家族」と感謝し、今週末にモンゴルへ4年ぶりに帰郷する予定を明かした。

元大関霧島の師匠、陸奥親方と同じ地位になる。前夜は「あまり話す時間はなかったが、『これからが大事。稽古していけ』と言われた。師匠に相撲を教えてもらって、ここまでこれたので」と話した。

伝達式での向上は「師匠に相談している。間違えたらいけないんでけっこう練習してます」と言うが、内容については「それはまだですね」と秘密にした。

「大関霧馬山」として新たなスタートを切る。「大関、横綱というのはものすごい高いところ。大きな山みたいに思う」。さらに先にある「頂点」を目指す戦いが始まる。

大相撲令和5年夏場所で事実上の大関昇進が決まった霧馬山はあふれんばかりの笑みで一夜明け会見に臨む(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所で事実上の大関昇進が決まった霧馬山はあふれんばかりの笑みで一夜明け会見に臨む(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所で事実上の大関昇進が決まり一夜明け会見に臨む霧馬山(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所で事実上の大関昇進が決まり一夜明け会見に臨む霧馬山(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

優勝の照ノ富士、初めて語った第1子長男への思い「モチベーション」の回答に見えた横綱の責任感

大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)

大相撲夏場所で8度目の優勝を飾った横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、初めて第1子の長男について語った。同場所千秋楽から一夜明けた29日、都内の部屋で会見。長男の杉野森照務甚(すぎのもり・てむじん)くんについて「去年の11月に生まれて、自分の子ですし、何て言うのか…。本当にかわいいですね」と話した。千秋楽の支度部屋では、一緒に記念撮影に納まったり、抱っこしてあやしたりといった場面を披露していた。

昨年9月の秋場所から4場所休場していた照ノ富士にとって、夏場所は照務甚くん誕生後、最初の本場所だった。それがモチベーションになったか問われると「何かがあるから、余計にこうしよう、ああしようという思いでは、もともと場所に臨んでいない。その場所、その場所、その日、その日が全部大事だと思っている。いつ何が起きるか分からないので。こういうことがあったから、この場所が大事という思いはない。もちろん、家庭のことだから、この子にこうしてあげたいなという思いは、ありますけど。だからといって、その場所だけということではありません」ときっぱり。あくまで横綱の責任感、復活と目標とする優勝10度への思いが、原動力だった様子だ。

「テムジン」は、モンゴル帝国の初代皇帝チンギスハンの本名と同じ。大きく育ってほしいという父親としての思いをうかがわせた。

それだけに昨年7月の名古屋場所以来となる、本場所15日間を完走し「(疲れが)ないと言ったらウソになる。無事に終わったなという感じ。1日1日を無駄に過ごしていなかったのがよかった」と、心身への負担が大きかったことをうかがわせた。昨年10月に手術した両膝については「大丈夫です」と断言。名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)では、自身3度目の2場所連続優勝の期待が懸かる。

その名古屋場所では、関脇霧馬山が大関に昇進して臨むことになる見通しだ。同じモンゴル出身の先輩として「(大関に)上がるのは、もちろん努力を積み重ねたからのこと。(大関の地位を)維持するという思いでやれば、落ちることしかない。逆にその上(横綱)を目指して、という思いでやってほしい」と、エールを送っていた。

大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会で長男・テムジン君を抱きながら笑顔を見せる照ノ富士(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を笑顔で抱く照ノ富士。前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を抱く照ノ富士。前列左は師匠の伊勢ケ浜親方、前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽 優勝し、賜杯を手に愛息のテムジン君にキスする横綱照ノ富士(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽 優勝し、賜杯を手に愛息のテムジン君を抱いて笑顔を見せる横綱照ノ富士(2023年5月28日撮影)

関連するニュースを読む

大栄翔、豊昇龍、若元春の3関脇が来場所で大関とり目指す 目安の「三役で3場所33勝」視界

名古屋場所で大関とりを目指す、左から大栄翔、豊昇龍、若元春

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

大栄翔(29=追手風)、豊昇龍(24=立浪)、若元春(29=荒汐)の3関脇が、名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)で大関とりを目指す。今場所いずれも2桁白星で、先場所と今場所の合計は大栄翔が22勝、豊昇龍と若元春は21勝。そろって勝負の場所に臨む。

◆大栄翔 千秋楽は強烈な突きで若元春を押し込み、そのまま強烈な突き倒しで土俵下へ転がした。「今日は一番良かった」と会心の攻めで10勝目。これで3場所連続で2桁白星に乗せ「来場所につながる一番になった」とうなずいた。大関とりがかかる名古屋へ視線を向けながら、「しっかり休んで、気合入れて稽古、場所へ準備したい」と引き締めた。

◆豊昇龍 千秋楽は、大関昇進を事実上決めた霧馬山を破って11勝目を挙げ、大関とりへ大きな1勝を挙げた。もろ差しで体を密着させると、持ち上げてから下手投げ。関脇だった先場所の10勝と合わせて2場所で21勝を挙げた。大関昇進目安は「三役で3場所33勝」で、大きな意味を持つ1勝となった。「来場所のことはまだ気にしていない。負けた相撲は(研究し)もっと稽古して直したい」と力を込めた。

◆若元春 技能賞で三賞を初受賞した。小結の先場所が11勝、新関脇の今場所が10勝。磨きをかけた左四つの型を評価された。念願の三賞を初受賞も、千秋楽は大栄翔に突き倒され完敗。表情を曇らせ「こんな相撲を取っていたら、どうしようもない」と猛省した。ただ同じ時津風一門で、若い衆のころから競ってきた霧馬山の大関昇進は「大きな刺激」と前向きに話した。

関連するニュースを読む

十両Vの豪ノ山「もともと2番取る意識で」落合との優勝決定戦は電光石火の押し出しで快勝

十両優勝の豪ノ山(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

東十両筆頭の豪ノ山(ごうのやま、25=武隈)が決定戦の末に十両優勝を飾った。

千秋楽で北の若を退け1敗を守り、落合との優勝決定戦では電光石火の押し出しで快勝した。「もともと2番取る意識でした。優勝してほっとしています」。場所前に出稽古に訪れた平幕の王鵬と稽古を重ねて自信をつけた。新入幕が濃厚な来場所へ「基礎からしっかり見直して、良い形で場所に入りたい」と意気込んだ。

◆豪ノ山(ごうのやま)本名西川登輝。大阪・寝屋川市出身。21年春場所初土俵。177センチ、154キロ。得意は突き、押し。

十両優勝決定戦で落合(右)は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)
十両優勝決定戦で落合を破った豪ノ山(撮影・足立雅史)
十両優勝決定戦で落合は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)
各段優勝者の、左から十両優勝の豪ノ山、幕下優勝の木竜皇、三段目優勝の漣、序二段優勝の聖富士、序ノ口優勝の春山(撮影・小沢裕)
豪ノ山は十両優勝決定戦で落合(手前)を押し出しで破る(撮影・小沢裕)
十両優勝決定戦で落合(手前右)を土俵際へ攻め込む豪ノ山(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

若元春が技能賞で念願の初三賞にも千秋楽敗れ猛省「こんな相撲を取っていたらどうしようもない」

技能賞の若元春(代表撮影)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇若元春(29=荒汐)が、技能賞で三賞を初受賞した。

小結の先場所が11勝、新関脇の今場所が10勝。磨きをかけた左四つの型を評価された。念願の三賞を初受賞も、この日は大栄翔に突き倒され完敗。表情を曇らせ「こんな相撲を取っていたら、どうしようもない」と猛省した。ただ同じ時津風一門で、若い衆のころから競ってきた霧馬山の大関昇進は「大きな刺激」と前向きに話した。

大栄翔(上)に突き倒しで敗れ土俵下に落ちる若元春(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

明生が殊勲賞、照ノ富士からの金星評価も終盤6連敗に「悔しい。もっと星を積み上げたかった」

殊勲賞の明生(代表撮影)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

東前頭6枚目の明生(27=立浪)が、優勝した照ノ富士を唯一破り、金星を挙げたことを評価されて殊勲賞を初受賞した。三賞は21年春場所の敢闘賞に次いで2度目。

中盤戦まで優勝争いにも加わった。この日は小結琴ノ若に押し出され、6連敗締めの8勝止まりで「悔しい。もっと星を積み上げたかった」と唇をかんだ。

琴ノ若(左)に押し出しで敗れた明生(撮影・足立雅史)
三賞を受賞しガッツポーズする左から殊勲賞の明生、技能賞の霧馬山と若元春(代表撮影)
【イラスト】名古屋場所の予想番付

関連するニュースを読む

豊昇龍、霧馬山撃破で大関取りへ大きい11勝目「来場所のことはまだ気にしていない」

豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇豊昇龍(24=立浪)が、大関昇進を事実上決めた霧馬山を破って11勝目を挙げ、大関とりへ大きな1勝を挙げた。

もろ差しで体を密着させると、持ち上げてから下手投げ。関脇だった先場所の10勝と合わせて2場所で21勝を挙げた。大関昇進目安は「三役で3場所33勝」で、大きな意味を持つ1勝となった。「来場所のことはまだ気にしていない。負けた相撲は(研究し)もっと稽古して直したい」と力を込めた。

下手投げで霧馬山(左)を破り11勝目を挙げた豊昇龍(撮影・小沢裕)
霧馬山(手前)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)
【イラスト】名古屋場所の予想番付

関連するニュースを読む

【若乃花の目】貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士 鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる

「若乃花の目」

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

照ノ富士は前日に優勝を決め、一方の貴景勝もかど番脱出を既に決めていました。昨年名古屋場所以来となる、千秋楽結びの横綱-大関対決でしたが、1人横綱と1人大関を背負ってきた2人の、それなりに意味のある一番でした。やるだけのことはやった、というのが貴景勝です。突っ張りではなく、もろ差し狙い。意表を突いて横綱を少し慌てさせました。かど番を脱出して相手が横綱だからこそ出来たのだと思います。あえてもろ差し狙いの相撲で向かった、こういう相撲を取り入れていけば今後、余裕が出てきます。精神的に土俵際まで追い詰められて学ぶことがあります。今場所の貴景勝はまさにそうで、最後のもろ差し狙いの相撲にそれが表れていました。

貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士の横綱としての生きざまは、優勝インタビューに表れていました。若い力士と戦うのは楽しい、というニュアンスのことを話していましたね。そんな言葉には横綱としての責任感が込められています。自分のレベルまで後輩を引き上げないと引退できない、自分を倒して追い出す力士が出ないことには辞められない-。大相撲の歴史に脈々と受け継がれてきたことで、それが本来の姿なんです。鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる。今場所の照ノ富士が体現してくれました。看板力士がいてこそ大相撲ということを2人が身をもって示してくれた場所でした。(日刊スポーツ評論家)

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)
照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

「令和の怪物」落合、十両V逃すも師匠から「いい経験」名古屋場所はざんばら髪での新入幕決定的

十両優勝決定戦を前に塩をまく落合(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が来場所、史上最速となる所要3場所での新入幕を決定的にした。

本割は欧勝馬を押し出し。14勝1敗で並んだ豪ノ山との優勝決定戦は押し出されて敗れ、初の十両優勝はならなかった。それでも優勝同点の好成績を収め、名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)は、ざんばら髪で幕内土俵を盛り上げることになりそうだ。

   ◇   ◇   ◇

「怪物」が最短距離で幕内に到達する見込みとなった。落合は本割で欧勝馬を圧倒。前に出続け、付け入る隙を与えなかった。14勝1敗。引退と陥落による幕内の空きは4枠以上で、名を連ねるとみられる。正式には6月26日の名古屋場所番付発表で決定するが、「どうなるか分からないけど、師匠には『2場所で通過しなかったら引退』と言われていたので、14勝してホッとした。まだ好きな相撲を続けられる(笑い)」と、冗談交じりに話した。

ただ喜んでばかりではない。優勝決定戦は豪ノ山に一方的に敗れた。先場所、今場所11日目に続き、豪ノ山には3戦全敗。取組後は開口一番「負けた。それだけです」と唇をかんだ。引き揚げる花道では、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)に「いい経験だ」と声をかけられた。その師匠が昇進2場所目でつかんだ十両優勝には届かず「絶対にこの悔しさは、これからの相撲人生に生きてくる。いい負けだった」と前を向いた。

幕下15枚目格付け出しでデビューの初場所を全勝。史上初の所要1場所で関取となった。新十両の先場所も10勝。来場所、所要3場所での新入幕なら遠藤と並ぶ史上最速で、新たな怪物伝説となる。4月の稽古で痛めた左肩はテーピングで固め、3日に1度は病院で痛み止めの注射を打った。負傷休場の兄弟子、炎鵬を「誰もが尊敬」と慕い、思いも背負った。新入幕で新たなしこ名も期待されるが「秘密です」。怪物から目が離せない。【高田文太】

十両優勝決定戦で落合(右)は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)
落合(左)は押し出しで欧勝馬を破る(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

5場所ぶり実現した横綱-大関戦に八角理事長「締まった場所に」責務全うの照ノ富士&貴景勝絶賛

優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、昨年名古屋場所以来、5場所ぶりに実現した横綱-大関戦を制し、14勝1敗の好成績で優勝に花を添えた。

ここまで5勝4敗と拮抗(きっこう)していた大関貴景勝(26=常盤山)と対戦。突っ張りでなく、もろ差し狙いで向かってきた大関に、少しばかり意表を突かれる格好となったが、冷静に対応し、最後は押し出し14勝目を挙げた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、まず敗れた貴景勝について言及。「今、持っている力を発揮した」と評価。来場所に向けて「体調を治して、もっといい相撲を取れるように」と注文し、最後は照ノ富士との番付上位対決が5場所ぶりに実現したこともあって「締まった場所になった」と責務を全うした1横綱1大関をほめた。

取組前にも、2人の健闘ぶりについて語った。「体調面で難しいが1横綱、1大関ともによくやっている。照ノ富士は(復帰の今場所で)結果を残したけど、貴景勝も1月(の初場所)に(優勝という)結果を残して踏ん張っている。今の精いっぱいの自分を出し切ることが大事」。さらに照ノ富士について「これだけ休んで出てきて優勝。なかなか大変なことだ。1人しか(横綱が)いないプレッシャーの中、休むのも勇気がいるんです。周りは(休場して)楽だな、と思うかもしれないけど、逆にきつい。そんな中、よく我慢して(土俵に)帰ってきて、14日目に優勝。最高の優勝じゃないかな」と、自身も体験した3場所以上の全休明けからの優勝に、賛辞を送っていた。

照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
満員御礼となった両国国技館(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

霧馬山が大関昇進へ、佐渡ケ嶽審判部長「成績申し分ない」 残る3関脇は来場所大関とりと明言

北青鵬(左)を外掛けで破りホッとした表情を見せる霧馬山(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇霧馬山(27=陸奥)の、事実上の大関昇進が決まった。この日午後、日本相撲協会の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)が、八角理事長(元横綱北勝海)に、霧馬山の大関昇進をはかる臨時理事会の招集を要請し、これを受諾された。31日の臨時理事会と大相撲名古屋場所の番付編成会議を経て、大関霧馬山が正式に誕生する。

打ち出し後、佐渡ケ嶽部長は霧馬山について「成績も(3場所)合計34勝で申し分ない」と14日目時点の数字を挙げたことから、千秋楽の結果を待たずに大関昇進を審判部内で決め、理事会招集を要請したことを示唆した。相撲内容についても「初日からぎこちなかったが、勝つごとに内容が良くなってきた」と総評した。霧馬山の良さについても、私見としながら「いろいろな見方がありますが、足腰の良さ、土俵際の粘りで最後は自分の形になっているように見えた」と評価した。

大関昇進が決まれば「立ち合いの変化とかをなくして真っ向勝負で行ってほしい。自分の相撲を磨いてほしいですね」と看板力士になるからこその注文を付けた。

また、今場所の残る3関脇についても言及。先場所と今場所の合計が22勝の大栄翔(29=追手風)、ともに21勝の豊昇龍(24=立浪)と若元春(29=荒汐)の3人だが「来場所は(3人とも)大関とりの場所になるか」の問いに「大関をかける場所になります」の明言。その上で「この3人が『俺が先に』という気持ちで頑張ってほしい。そうすれば平幕から(新たな候補が)また上がってくる」と相乗効果に期待。「来場所が楽しみです」と話し、場合によっては9月の秋場所で最大5大関も考えられる飽和状況にも「いいんじゃないですか」と活性化は歓迎、の様子だった。

豊昇龍に下手投げで敗れた霧馬山(手前)(撮影・足立雅史)
【イラスト】名古屋場所の予想番付

関連するニュースを読む

千秋楽の表彰式後に恒例「神送りの儀式」名古屋場所から番付に載る力士が行司を胴上げ

満員御礼となった両国国技館(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

千秋楽の表彰式後の恒例、神送りの儀式が行われた。

本場所終了を意味し、今場所で前相撲を行い、次の名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)から番付にしこ名が載る力士が、行司を胴上げした。

優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

横綱照ノ富士「本当に優勝したんだな」恒例の優勝賞品、金色の巨大マカロンも受け取る

優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

6場所ぶり8度目の優勝を決めていた横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)は千秋楽に大関貴景勝を押し出して14勝1敗で場所を終えた。

表彰式では八角理事長から1年ぶりに賜杯を渡された。日仏友好杯の副賞で恒例の巨大な金色のマカロンも受け取った。土俵下での優勝インタビューでは、まず四方に頭を下げ「本当に優勝したんだなと。(膝の)手術して復帰できて本当にうれしいです」とホッとした表情を見せた。若手力士も台頭してきたが「力をつけた若い力士と対戦するのはうれしいし、ワクワク感がある」と振り返った。

14日目の27日は1差で迎えた2敗の関脇霧馬山との直接対決。寄り切りで制して13勝目を挙げ、千秋楽を残して6場所ぶり8度目の優勝を決めていた。3場所以上続けて全休して優勝した横綱は3人目。1989年初場所を制した北勝海(現八角理事長)以来34年ぶりの復活劇となっていた。

幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
照ノ富士(右)の優勝インタビューに拍手を送る所ジョージ(中央左)と格闘家の安保瑠輝也(同右)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
八角理事長から賜杯を受け取る照ノ富士(代表撮影)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
夏場所で優勝し、木原誠二内閣官房副長官(右)から内閣大臣杯を受け取る照ノ富士(左)(代表撮影)
満員御礼となった両国国技館(撮影・足立雅史)
賜杯を手に万歳する横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に愛息のテムジン君を抱いて笑顔を見せる横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に愛息のテムジン君にキスする横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に万歳する横綱照ノ富士(代表撮影)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
オープンカーの上でバンザイする照ノ富士。左は翠富士(代表撮影)
オープンカーの上で敬礼する照ノ富士。左は翠富士(代表撮影)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
照ノ富士の優勝パレードを見送る大勢のファンら(撮影・足立雅史)
伊勢ケ浜部屋前で地元住民の祝福を受ける照ノ富士(撮影・小沢裕)
師匠の伊勢ケ浜親方と抱き合う照ノ富士(右)。左は淳子夫人(撮影・小沢裕)
師匠の伊勢ケ浜親方から水を付けてもらう照ノ富士(右)。左は親方の淳子夫人(撮影・小沢裕)
伊勢ケ浜部屋前で子供から花束贈呈を受けハイタッチする照ノ富士。後方左から師匠の伊勢ケ浜親方とおかみさんの淳子夫人(撮影・小沢裕)
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を抱く照ノ富士。前列左は師匠の伊勢ケ浜親方、前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人
伊勢ケ浜部屋での祝賀会で長男・テムジン君を抱きながら笑顔を見せる照ノ富士
伊勢ケ浜部屋での祝賀会で、前列左から師匠の伊勢ケ浜親方、1人おいておかみさんの淳子夫人、長男・テムジン君を抱くツェグメド・ドルジハンド夫人と関係者に囲まれながらお祝いの鯛を掲げる照ノ富士
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を笑顔で抱く照ノ富士。前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でお酒が注がれた大盃を手に笑顔を見せる照ノ富士

関連するニュースを読む

1年ぶり復活優勝の横綱照ノ富士、貴景勝を下して14勝目 豊昇龍は11勝で来場所大関とり挑む

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が復活優勝を14勝目で飾った。大関貴景勝との一番。もろ差しを許すが、かまわず前に出て最後は押し出した。

照ノ富士の14勝以上は全勝した21年九州場所以来。両膝の不安を抱えながら、横綱としてきっちり土俵を締めた。

関脇豊昇龍は、霧馬山を下手投げで11勝目。先場所も関脇で10勝をあげており、来場所は大関とりに挑む。

照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
霧馬山(手前)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)
豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)
豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

照ノ富士「1日でも早く復帰して闘う姿を見せたかった」1年ぶり8度目V 賜杯手にし喜び語る

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が復活優勝を14勝目で飾った。1年ぶりの賜杯を手にし館内インタビューで喜びを語った。

-今の心境は

照ノ富士(以下照) 本当に優勝したんだな、と。手術してからやっと相撲をとることができた。途中で優勝は決まったけど、最後まで気を抜かずにいきました。

-支度部屋に戻って

照 本当にやったなという思い。

-休場明けで

照 昨年の10月に手術して1日でも早く復帰して闘う姿を見せたかった。最初からやれるという気持ちでいった。その気持ちで最後までいくことができた。

-優勝争いは

照 力つけている若い力士も多い。(霧馬山との一番は)優勝かかった一番でもあったし、もう大関になったというつもりで対戦した。

-ファンへ

照 国技館へ足を運んでくれた人たち、声援を聞いて頑張ってよかったと思った。

-来場所へ

照 まだ場所が終わったばかりなんで。次の場所にむけてもう1回、体と向き合って頑張りたい。

照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

関脇霧馬山の事実上の大関昇進が決まる 審判部が八角理事長に臨時理事会の招集を要請し受諾

豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇霧馬山(27=陸奥)の、事実上の大関昇進が決まった。この日の打ち出し後、審判部(佐渡ケ嶽部長=元関脇琴ノ若)が、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)に、霧馬山の大関昇進をはかる臨時理事会の招集を要請し、これを受諾された。

31日の臨時理事会と大相撲名古屋場所の番付編成会議を経て、大関霧馬山が正式に誕生する。

豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)
霧馬山(手前)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

序二段は聖富士が決定戦制す「緊張より楽しいが勝ちました。お客さんも満員で明るい」

序二段優勝の聖富士(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

序二段は東60枚目の聖富士(さとるふじ、18=伊勢ケ浜)が、西7枚目・欧勝竜(27=鳴戸)との決定戦を上手投げで制し、優勝を飾った。

「緊張より楽しいが勝ちました。お客さんも満員で明るいというかまぶしくて。早く上がりたいと思いました」

初めて番付に載った先場所は、東序ノ口12枚目で5勝2敗に終わった。横綱照ノ富士からもアドバイスをもらえる恵まれた環境で、力をつけた成果を出した。

同じ静岡・飛龍高出身の十両・熱海富士が当面の目標になる。「今は体作りですね。体を大きくしてから。小さくても大きな相手を投げられるのが相撲の醍醐味(だいごみ)。徐々に(番付を)上げていけたら」と意気込みを新たにした。

関連するニュースを読む

朝乃山は12勝で2年ぶりの幕内復帰場所を終える「背中を押してくれた」相撲ファンに感謝

朝乃山(右)は寄り切りで剣翔を破る(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、幕内では自己最多に並ぶ12勝目を挙げ、2年ぶりに幕内力士として戻った今場所を終えた。

剣翔をじっくり攻め、最後は上手を引きつけて万全の寄り切り。12勝3敗とし、他の力士の結果を待たずに、14日目に優勝を決めた横綱照ノ富士の優勝次点となることが決まった。

取組後は「自分の形になった。上手を取れたので、引きつけて出ていった」と、落ち着いて取り切った相撲にうなずいた。12勝という結果には「幕内では12番までしか勝ったことがない。あと1、2番は勝ちたかった」と、率直な感想を述べた。

15日間を振り返り「十両と違って、負けたくないプレッシャーもあった。でも土俵に上がると、声援が力になった。背中を押してくれた。楽しく、思い切ってできた」と、相撲ファンに感謝した。

来場所は大きく番付を上げることも予想されるが「来場所が勝負。今の三役は非常に強い。(このままだと)全く通用しないと思う」と、強い危機感も示した。最後、報道陣に「15日間、ありがとうございました」と、頭を下げ、大きな声で感謝の思いを伝えて引き揚げた。

朝乃山は寄り切りで剣翔を破る(撮影・足立雅史)
朝乃山(左)は剣翔を寄り切りで破る(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

「令和の怪物」十両落合、昭和以降最速の所要3場所で来場所新入幕を決定的に 優勝同点の14勝

落合(左)は押し出しで欧勝馬を破る(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が、昭和以降最速となる、所要3場所での来場所新入幕を決定的にした。

本割は前に出続けて欧勝馬を押し出し。14勝1敗とし、取組前まで十両優勝争いの先頭で並んでいた豪ノ山の結果を待った。豪ノ山も14勝1敗とし、迎えた優勝決定戦は押し出しで敗れた。立ち合いから突いて出てきた相手に防戦一方。最後は土俵際で弓なりになって粘ったが、最後は体ごと圧力をかけられて土俵下まで吹っ飛ばされた。

取組後は、本割に勝って14勝としたことは忘れたように開口一番「負けた。それだけです」と、唇をかんで話した。豪ノ山には、初顔合わせの先場所から、今場所の優勝決定戦を含めた2敗を合わせて3連敗。「自分の方が豪ノ山関よりも弱い。それだけだと思う」と、悔しさを押し殺して話した。

優勝決定戦を終えて引き揚げる西の花道では、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)から「いい経験だ」と声をかけられた。落合も「自分自身も、いい経験をさせてもらえたと思う。絶対にこの悔しさは、これからの相撲人生に生きてくる。最後に自分の弱さを突きつけられた、いい負けだった」と、前を向いた。

それでも優勝同点の14勝という好成績で、来場所の新入幕は決定的といえる状況となった。初場所で幕下15枚目格付け出しでデビューから、所要3場所での新入幕となれば、遠藤と並んで昭和以降最速となる。落合は「師匠からは『2場所で通過しなかったら引退だからな』と言われていたので、まだどうなるか分かりませんが、14勝できてホッとしています。まだ好きな相撲を続けられるので(笑い)」と、冗談でハッパを掛けられていたことを明かした。

新入幕となれば、新たなしこ名を付けられる可能性もあるが「秘密です」と、ほほ笑みながらけむに巻いた。ただ「師匠へのあこがれが強いので『鵬』という字をいただきたいです」と付け加えた。

4月の稽古中に痛めた左肩は、15日間、痛々しいテーピングを巻いていた。今場所は痛み止めの注射を、3日に1度のペースで打って土俵に立っていた。それでも土俵に立つと「痛みを忘れていた。あらためて、相撲が好きだなと思った」と、むしろけがによって相撲への思いの強さを再認識し、強い心で臨めたという。「うれしかったし、悔しかった15日間。いろんな感情がある」。心身ともに成長を感じながら、来場所はざんばらの落合が、幕内の土俵を盛り上げているかもしれない。

十両優勝決定戦で落合(右)は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)
豪ノ山は十両優勝決定戦で落合(手前)を押し出しで破る(撮影・小沢裕)
十両優勝決定戦で落合は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)

関連するニュースを読む

2年連続アマ横綱の大の里、デビュー場所は6勝1敗「最初の負けがあったからこそ」

大の里(左)は大辻を押し出しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

日体大で2年連続アマチュア横綱に輝いた、幕下10枚目格付け出しの大の里(22=二所ノ関)が、6勝1敗でデビュー場所を終えた。

立ち合いから前に出続け、大辻を押し出す完勝。「自分の相撲を取り切ろうと思って取れた。よかった」と、ホッとした表情を見せながら話した。

プロデビューとなった初日の取組は、日体大の2学年先輩の石崎に、土俵際で逆転負けした。だが、そこから6連勝。来場所は幕下5枚目以内、勝ち越した段階で新十両昇進に前進する番付となることが予想される。「最初の負けがあったからこその6勝1敗。最初の負けが、いい形になってくれた。そこから6番につなげられたのでよかった」と話し、黒星デビューは長い力士生活を考えれば、好材料だったと今は思える。

15日間を振り返ると「長かったし難しかった。(6番相撲から)最大の3日間相撲がなかったけど、国技館に来たらスイッチが入った」と、心身の調整の難しさを感じた。また、審判部の師匠、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の付け人として、結びの一番まで会場内で相撲を見ることもあった。「幕内の土俵は、負けても勝っても華がある。1日も早くそこで、幕内以上で相撲を取れるように頑張りたい」と、あこがれの気持ちが日に日に強まった様子だ。

「本当に初めてのことだらけ。最初の1週間は気疲れもした。2週間目からはプロの生活も理解できて集中できた。師匠にも目配り、気配りができたかなと思う」。部屋での生活、場所中の取組までの準備などにも慣れてきた。「来場所も(目標は)とにかく勝ち越し。初日が課題」。気を緩める様子もなく、終始前を向いて話していた。

関連するニュースを読む