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女房、マネまで部屋全体で抗体検査/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

<特別編>

日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所に向けての思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」の第2弾は、抗体検査を通じての医療への思いです。

  ◇    ◇    ◇

巨人ファンだから余計に驚いた。あの坂本にも陽性反応が出たという。誰がどこで、この新型コロナウイルスに感染するか分からないということだ。高砂部屋も部屋全体が、まるで消毒液に入っている感覚で日々過ごしている。

日本相撲協会では既に希望者への抗体検査を進めているが、高砂部屋も3日に受けた。力士や私や裏方はもちろん、協会員ではないが女房やマネジャーも受けさせた。自宅待機中だった行司や呼び出しとも久々に再会。元気そうでホッとした。問診票を書いて検査の意味をビデオで説明され、採血して脈拍も測った。

受検したのは約30人。医療関係者が7人ぐらいで対応してくれたけど、クーラーがないから防護服姿の医療関係者は汗だくだった。テレビなどで見聞きしていたけど、あの姿を見て医療従事者の方には、あらためて頭が下がる思いだ。朝乃山に早くクーラーを付けてもらわないと(笑い)。いや、余計なことを言うと叱られるからやめよう。

この感染症はインフルエンザと同じ感覚で、うまく付き合っていくしかないだろう。同時にワクチンの開発が待たれる。3月の春場所中、奈良にいる製薬関係者の知人から聞いた話によるとウイルスに効く、効かないの判別をAIが出来るそうだ。ただ臨床実験をしないと販売までには至らないようだ。蓮舫さんには申し訳ないけど、ここはナンバー2ではなく世界でいち早く、ワクチンが開発されればと願っている。(日刊スポーツ評論家)

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7月開催へ、感染予防徹底し前向く/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

2カ月に1度、奇数月に当たり前のようにあった大相撲の本場所がなくなりました。好角家のみなさんも寂しい日々が続いていることでしょう。そこで日刊スポーツでは本誌評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所に向けての思いなどを「大ちゃん大分析~特別編~」として語ってもらいました。不定期掲載となるのはご容赦を…。

   ◇   ◇   ◇

前回は、夏場所中止が決まった翌日にこのコラムを書かせてもらった。あれから3週間がたち、いろいろなことが起こった。角界で三段目の尊い命が奪われてしまったのは本当に悲しいことだった。あらためて新型コロナウイルスの恐ろしさを感じさせられた。だから緊急事態宣言が全国で解除されても、これまで通り気を緩めることなく粛々と送る生活の中で、感染予防は徹底している。

同時に7月場所に向けて徐々に、稽古の強度は上げていこうと思う。うちの部屋は2週間ほど前から、ぶつかり稽古など接触を伴う稽古も始めている。ただ春場所から7月場所まで約4カ月も空くから、ペース配分も大事だ。そこは師匠のさじ加減で抑え気味にしている。稽古時間も2時間、土曜日は四股だけで日曜日は休養日にしている。

最近は稽古時間以外で、弟子たちが縄跳びをよくやっている。昔から取り入れていたトレーニングの一環で、昔は曙(元横綱)に勧めたこともあった。相撲協会の公式ツイッターで朝乃山が、部屋の屋上で跳んでいるシーンを見た人もいるでしょう。ストレス発散も力士たちはよく考えていると思う。我々も7月開催を信じて、前向きな姿勢で進みたい。(日刊スポーツ評論家)

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朝乃山人間性出た口上、横綱目指せ/大ちゃん大分析

大関昇進の伝達を受ける朝乃山(右)と高砂親方(代表撮影)

朝乃山の人間性が出るような立派な口上だった。定年の年に37年前、自分が使者を迎えた同じ所で、というのも感無量だ。口上の文句のように誰からも愛され目標とされる大関に、そして横綱を目指してほしい。

3年前の初場所で、高砂部屋の関取輩出が140年あまりで途絶えた。直前の九州場所で幕下15枚目以内だった朝乃山は、自分が全勝していれば…と本当に悔しそうだった。精神的に変わった分岐点はあそこかな。技術的には去年夏場所の優勝もあるが、その前から巡業で同じ右四つの栃ノ心と稽古を積んだのが大きい。大関の強さを肌で感じ型をつかんだ。

しこ名の話がよく出る。朝潮でイメージされるのは押し相撲で太平洋の潮流。富山出身の朝乃山は日本海の潮流で四つ相撲を印象づければいい。確固たる相撲になれば朝乃山のしこ名は定着する。ただ、真っ向勝負という部屋の伝統は忘れずに受け継いでほしい。

新型コロナウイルスの影響で、お祝いムードは薄いかもしれない。だからこそ活躍すればスポーツ界だけでなく、日本に明るい光を差せる。背負う看板は重いが、これも何かの運命。そうプラスにとらえて前向きに精進してほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

若手力士らに担がれ笑顔を見せる朝乃山(代表撮影)

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勝利当然の大関「朝乃山」定着を/大ちゃん大分析

19年10月、新三役昇進の会見に出席し、握手をかわす朝乃山(左)と師匠の高砂親方

<大相撲春場所>◇千秋楽◇22日◇エディオンアリーナ大阪

新型コロナウイルスの感染拡大防止により史上初の無観客開催となった春場所で、関脇朝乃山(26=高砂)が大関貴景勝を押し倒しで破り、事実上の大関昇進を決めた。

 ◇  ◇  ◇

朝乃山には嫉妬したくなる。優勝も簡単にしてしまうし、大関もワンチャンスでものにした。自分なんか7回目の挑戦だったか…。忘れちゃったよ(笑い)。そんなことを言えるぐらい今は緊張が少しほぐれた。弟子の昇進もそうだが、これまで誰も経験したことのない無観客開催を無事、終えたことに安堵(あんど)している。力士は当然、裏方を含めた協会員の頑張りは立派だった。そのことをまず言わせてもらいたい。

朝乃山の今日の相撲は大関を圧倒した。貴景勝の当たりを受け止めて攻め返し左の上手に手が届いてから攻め続けた。これが朝乃山の相撲だ。場所中、何度か食事をして「今日は当たれてない」など短い言葉でアドバイスはした。吸収力の早い子で順応性もある。

ただ大関の地位は厳しいぞ。関脇なら横綱に善戦した、で褒められるけど大関は勝たないとだめだ。それと勝ってメディアに取り上げられるのが関脇まで。大関は勝って当然、負けて取り上げられる。覚悟が必要だ。自分も37年前、今も宿舎を構える久成寺で大関の使者を迎えた。12月に定年を迎える年に、同じ場所で弟子が使者を迎えるのは感無量だ。朝乃山のしこ名には、大切な亡き恩師の名前が入れられている。それを奪って朝潮に改名させることなど自分には出来ない。朝乃山が定着すればいい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

19年5月、富山商相撲部監督だった浦山英樹さんの遺影を手に、初優勝を果たした朝乃山(右)と談笑する伊東勝人さん

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朝乃山、大関とり出直す気持ちで/大ちゃん大分析

朝乃山(右)は先に上手投げを打つも下手投げで鶴竜に敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

大関とりの関脇朝乃山(26=高砂)が、横綱鶴竜に下手投げで負けて今場所4敗目を喫した。これで大関昇進目安の「三役で3場所33勝」には届かないが、境川審判部長代理(元小結両国)は、これまでの相撲内容を評価。千秋楽で1人大関の貴景勝を破れば、昇進の機運が高まる可能性はある。

  ◇   ◇   ◇  

際どい勝負で横綱と互角に戦ったように見える朝乃山だが、まだ相撲に甘さがある。上手を引きつけていない不自由な体勢で攻めたことだ。相撲には十分の上をいく「十二分」という言葉がある。特に横綱戦は120%の感覚で攻めないと勝機はない。10番勝てても11番、12番となるとしんどい。その課題を本人も師匠の自分もしっかり受け止めたい。新三役から3場所目の大関とりだが、そう簡単になれる地位じゃない。本人が「出直しです」と言ったそうだが、その気持ちでいい。対応性とか順応性とか、これから覚えていくものはまだまだある。今が目いっぱいではなく伸びしろがある。課題を1つ1つクリアして、大関という地位を手に入れればいいんだ。自分が口を挟む問題ではないが、仮に千秋楽で勝って昇進できればそれはラッキーなことだが、プラスアルファをみてもらっているということ。成長の時間は十二分にある。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

横綱戦に2連敗し、がっくりと土俵を下りる朝乃山(撮影・小沢裕)

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当たれてない朝乃山、攻めの姿勢を/大ちゃん大分析

朝乃山(左)は白鵬に押し出しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇20日◇エディオンアリーナ大阪

大関とりの関脇朝乃山(26=高砂)が、横綱白鵬に押し出しで負けて3敗目を喫した。

      ◇     ◇

朝乃山にとって課題を突きつけられた結びの一番になった。

相撲の流れは悪くないと思うが、当たれてない。だから白鵬に出足を生かされた。上位相手に出足を止めるようにならないことには、上は目指せない。もっと言えば、上位に胸で当たるような立ち合いは通じない。下位相手には簡単にまわしを取らせてもらえても横綱、大関はそうはいかない。それだけ警戒されている証しとも言えるが、上位相手に自分の右四つの形になるには、立ち合いで押し相撲の力士のように、頭で行くぐらいの当たりが必要だ。そこが朝乃山の研究課題だろう。あの体、四つ相撲を生かすには常に前傾姿勢が求められる。それを起こされては、せっかくの体が生きない。そこは伸びしろとプラスに考えて今後の糧にすればいい。課題は課題として、残り2日も攻めの姿勢を忘れないで思い切り取ることだ。

(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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鶴竜迷いなく前に、リズム出てきた/大ちゃん大分析

正代を押し出す鶴竜(撮影・渦原淳)

<大相撲春場所>◇11日目◇18日◇エディオンアリーナ大阪

頭から当たって御嶽海を一蹴した8日目あたりから鶴竜の相撲にリズムが出てきた。

悪い時はこわごわと取って、いつ悪い癖の引きが出るんじゃないかという相撲が、今は立ち合いで踏み込んで、迷いなく手も足もよく前に出している。自分の立ち合いはこれだ、というのを思い出したようにみえる。正代戦も狙った左前みつは取れなかったが下から起こして突き放し、まわしにこだわらずに出た。稽古場で負けない相手だからこそ、余計に本場所では気を抜けない。精神的にもスキを見せなかった。

独走すると思われた白鵬が10日目に負けて1差になった。横綱なんだから無欲で-などと思わず、欲を出して最後まで優勝争いに持ち込んでほしい。千秋楽結びの横綱対戦はここ3場所ない。鶴竜にとってその一番が、優勝をかけた白鵬との大一番になるよう白星を積み重ねてほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代を下し、懸賞金の束を手に土俵から引き揚げる鶴竜(撮影・河田真司)

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隆の勝、貴景勝と稽古し低重心体得/大ちゃん大分析

玉鷲(左)との立ち会いで激しく当たる隆の勝(撮影・清水貴仁)

<大相撲春場所>◇9日目◇16日◇エディオンアリーナ大阪

東前頭9枚目隆の勝(25=千賀ノ浦)が玉鷲を押し出して1敗を守り、関取としては自己最速の勝ち越しを決めた。無観客開催の中、同部屋の大関貴景勝と稽古を重ね、実力を伸ばしている押し相撲のホープが無欲で突き進む。

 ◇  ◇  ◇

また生きのいい力士が出てきたな、と感じさせる隆の勝の相撲だった。優勝した頃に比べれば力が落ちたとはいえ、玉鷲の突き押しは強烈だ。しかも初顔合わせ。それでも臆することもなかった。当たってのど輪で押し込まれ下がったが、崩されてはいない。右四つでも取れる強みで、その右からすくって体を入れ替えた。一見すると劣勢のように見えるが、相撲に一連の流れがある。今場所好調の要因だろう。当たりが強いのは、部屋で貴景勝と稽古できるのが大きい。身長の低い大関だから、稽古で自分もより重心を低くというのが体に染みついているはずだ。その稽古が本場所で生かされている。新入幕の琴ノ若も将来性を感じさせる1人。上位を突き上げるような新しい力が幕内の下位にいるのも、バランスが取れて全体的にいい流れだと思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

玉鷲を押し出しで破り、3日連続で流血した隆の勝(撮影・河田真司)

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白鵬、御嶽海上回る精神力と柔軟性/大ちゃん大分析

御嶽海(左)のまわしをつかみ力強く攻める白鵬(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇7日目◇14日◇エディオンアリーナ大阪

勝った方が無傷で単独トップに立つ一番で、御嶽海は何もできなかった。せっかく白鵬に張られた右を差したのに、簡単に上手を与えてしまった。あとは右をのぞかせながら攻める白鵬に、回り込んでしのごうとしたが、本来なら御嶽海が持ち味とする押し相撲で攻めきられた。もっとはずで押すとか、のど輪で起こすとか策があったろうに、とも思うが好きなように取られたのは、それだけ白鵬が一枚も二枚も上だったということ。

序盤はバタバタしたようにも見えたが、そんな中でも白鵬は自分のペースを守っている。音のない異例の場所で求められるのは、それまで培ってきた精神力と柔軟性だと思う。対応能力と経験値の高さで白鵬がリードするのは自然の流れだろう。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

御嶽海(左)を押し出しで下す白鵬(撮影・河田真司)

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朝乃山は相撲に幅広げないと/大ちゃん大分析

朝乃山(左)は御嶽海に寄り切りで敗れる(撮影・前岡正明)

<大相撲春場所>◇6日目◇13日◇エディオンアリーナ大阪

注目の全勝対決は御嶽海が大関とりの関脇朝乃山を下した。

      ◇      ◇

5連勝同士の好一番は立ち合いが全てだった。朝乃山は苦手だった押し相撲を徐々に克服しているが、同じ押し相撲でも相手によって当たり方を変えなければならないことは、3日目の大栄翔戦で評論した。同じように胸や肩から当たってはだめ。御嶽海のような大型力士には頭から当たるぐらいでないと相手を起こせない。それが出来なかったから逆に起こされ、さらに右を固められて左も差されては防戦一方になるのは明らかだ。四つ身もうまい御嶽海に二本差されては勝負にならない。その御嶽海は右四つだけにはさせたくなかったと言っていたようだ。右四つにならなくても勝てるような、相撲に幅を広げることも朝乃山には求められる。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(右)を寄り切りで破る御嶽海(撮影・鈴木正人)

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貴景勝は出稽古で押し磨け/大ちゃん大分析

御嶽海(左)に寄り切りで敗れた貴景勝(撮影・前田充)

<大相撲春場所>◇5日目◇12日◇エディオンアリーナ大阪

看板カードと言ってもおかしくない一番は何の攻防もなく御嶽海が、けれん味のない相撲であっけなく貴景勝に完勝した。

押し勝って、差し手争いも先手を取り、小さい相手に二本差せばそうなる。気になるのは貴景勝の今場所の出来だ。低く当たった格好だけで次が何もない。押し相撲は、踏み込んで当たって突き放すという3拍子がそろわないと、自分の流れに乗れない。荒々しいように見えて、四つ相撲より繊細さが求められるんだ。白星と黒星を交互に並べて御嶽海戦に臨んだように、やはり貴景勝本来のリズムがない。これは今場所以降の話だが、貴景勝は出稽古を積極的に取り入れたらどうか。部屋では稽古相手がいつも同じで力量差もある。出稽古なら長身力士、自分と似た力士、自分より低い力士などタイプが違う相手に、いろいろな当たり方が出来る。押しに磨きをかけるなら、それも一手と思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

貴景勝(右)を寄り切りで破る御嶽海(撮影・前田充)

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朝乃山、大関取りうんぬんまだ早い/大ちゃん大分析

大栄翔(右)を押し出しで破る朝乃山(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇3日目◇10日◇エディオンアリーナ大阪

一時は7連敗と苦にしていた押し相撲の大栄翔を相手に、朝乃山は押し込まれなかった。まわしにこだわらなかったこともあるが、何よりの勝因は前傾姿勢を保ち起こされなかったことにある。今の朝乃山は、上体を起こされたり、不利な体勢でガップリ四つに組まされなければ怖いものはないだろう。大栄翔への苦手意識はなくなったが、同じ押し相撲でも大きい相手になると、また対処法は違ってくる。そこをどう乗り切るか。3連勝で流れは悪くないが、大関とりうんぬんの話はまだ早いな。

力士の心情を察すれば、無観客で取りづらいと思うけど条件はみな同じ。この雰囲気に「慣れる」というより、その場に入るんだと割り切れるかが大事だ。いつまでも「やりづらい」と引きずっていたら、そのまま場所は終わってしまう。性格的に朝乃山は順応性がある。そこは問題ないと思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(手前)が大栄翔を押し出す(撮影・渦原淳)

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無観客、ブレない力士が好成績残す/大ちゃん大分析

協会あいさつする八角理事長(中央)(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇初日◇8日◇エディオンアリーナ大阪

無観客の空気を確かめたくて幕内の何番かを観客席で見させてもらった。感じたのは、テレビでは解説や実況があるからいいが、何も音が入らない状態では何とも間が持たないな…ということだ。

呼び出しがしこ名を呼んで最初の歓声があり、時間いっぱいを知らせるのも観客の声援だったりする。小さなざわめきでも、それが力士はもちろん、行司も呼び出しも審判も、進行する上で一定のリズムになっていた。声援はもちろん、あらためて会場に足を運んでくれるファンの、ありがたみを感じる。ただ、今回は致し方ない開催方法となった。気の持ち方も難しく取りにくいだろうが、そこは力士も理解して千秋楽が終わった時に「いい場所だったな」と思えるような奮闘に期待したい。お客さんがいる時以上に「自分の力を出し切るんだ」という、その一点に集中し、気持ちがブレない力士が好成績を残すような気がする。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

無観客の中、土俵入りする白鵬(撮影・鈴木正人)

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33歳徳勝龍の優勝に意味がある/大ちゃん大分析

貴景勝を寄り切りで破り涙ぐむ徳勝龍(撮影・鈴木正人)

<大相撲初場所>◇千秋楽◇26日◇東京・両国国技館

幕内の番付で最下位に位置する西前頭17枚目の徳勝龍(33=木瀬)が、初優勝を果たした。取組前に、1差の2敗で追っていた西前頭4枚目の正代が、同2枚目の御嶽海に勝利。徳勝龍が結びの大関貴景勝戦で敗れれば優勝決定戦にもつれる状況になったが、寄り切りで貴景勝を破り、自らの白星で優勝を勝ち取った。勝利した直後には土俵上で涙があふれた。

       ◇     ◇

14日目にしても千秋楽にしても、どう転んだって地力は正代や貴景勝の方が上だ。近大の先輩だからではなく、その下馬評を覆した徳勝龍の優勝は大したもんだとしか言いようがない。正代の一番に関係なく、大関戦に全神経と気合を込めて臨んだのだろう。それがあの涙に表れていた。内容的には押し相撲の大関相手に、自分の左四つに組み止めたのが全てだ。警戒した貴景勝の足を止めたのは、5日連続の突き落とし。この2つの型と勢いで優勝を勝ち取った。亡くなった北の湖さんに押し相撲でなく左四つを磨け、と指導されたと聞く。つくづく横綱の眼力はすごいと感じる。

世代交代が進む中、ベテランの域に入った33歳の優勝にも意味がある。コツコツと頑張っていれば何かいいことが起きる。序盤に1つぐらい負けても、あきらめなければ何かが生まれる-。下位の力士にそんな気持ちが芽生えれば、突き上げが起こり相撲界の活性化につながる。意義ある優勝になった。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

幕内初優勝を飾り、八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る徳勝龍(撮影・河田真司)

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劣勢のようで器用な徳勝龍が先手/大ちゃん大分析

徳勝龍(左)は突き落としで正代を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲初場所>◇14日目◇25日◇東京・両国国技館

幕尻の西前頭17枚目徳勝龍(33=木瀬)が、記録ずくめの初優勝に王手をかけた。平幕で1敗同士の正代との直接対決を制し、単独トップに立った。2敗の大関貴景勝が敗れ、優勝争いは1敗の徳勝龍と2敗の正代に絞られた。千秋楽は大関貴景勝との対戦が決まった。千秋楽結びに平幕が出場するのは昭和以降3度目で、幕尻が登場するのは史上初となった。優勝なら幕尻は20年ぶり史上2度目、奈良県勢は98年ぶり、再入幕は史上初、木瀬部屋でも初となる。

  ◇   ◇   ◇  

劣勢に回ったように見えた徳勝龍だったが、左を差したのも、右の上手を取ったのも、先手を取ったのは徳勝龍の方だった。やはり攻めの姿勢を貫いた方が勝つ。徳勝龍の良さは、腹が出ているわりに器用な相撲が取れること。左右から突けるし、丸い土俵をうまく使えている。相手にとっては、つかみどころがないタイプだ。さらにこの直接対決では精神面の違いも出たと思う。三役経験もあり番付上位の正代には「勝ちたい」「勝たなければいけない」という硬さがあったと思う。一方の徳勝龍は幕尻の強みで、失うものはないという怖いもの知らず。まさに無欲の勝利だった。さて千秋楽。幕尻が出場力士の中で最高位(貴景勝)と結びの一番を取るという、大英断ともいえる割が組まれた。優勝決定戦の可能性も残される。上位陣が不在や不振の中、最後まで相撲ファンを楽しませてほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代(手前)の攻めを片足で耐える徳勝龍(撮影・鈴木正人)

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大関のありよう考えさせられた2番/大ちゃん大分析

高安(左)を激しく攻める貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲初場所>◇13日目◇24日◇東京・両国国技館

2度目の優勝へ1敗も許されない大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が、出血を伴う激しい一番を制して、2敗を死守した。関脇高安のかち上げを食らいながら、いなしを交えて下から突き起こし続けた。

豪栄道は前日に大関からの陥落が決まったが、厳しい相撲で白星を挙げた。

      ◇      ◇

激しい相撲だったが貴景勝は自分を見失うことなくペースを崩さなかった。

あれだけ高安に張られればカーッとなり、しゃかりきに出てもおかしくないところを、ブレーキも踏みながら冷静に対応した。一方の高安は、突き押しの“専門家”の貴景勝に対し、最後まで応戦してしまった。自分の武器は何か。かち上げで当たって突き放して、その流れで四つに組めるのが高安の対応力だ。その自分の武器を磨けないから大関の地位を失ってしまった。この結びと、その前の一番は去年、大関を張った4人による取組だった。つくづく大関のありようを考えさせられた13日目の2番。栃ノ心に豪栄道は、大関陥落決定直後に立て直して会心の相撲だった。その精神力は褒めたい。5年も在位できたのは、自分の形を持てたからこそ。14日目も千秋楽も3月の大阪につながる相撲を取れれば、大関返り咲きに期待が持てる。

(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

栃ノ心を破った豪栄道(右)(撮影・丹羽敏通)

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正代、徳勝龍の逆転できる攻め姿勢/大ちゃん大分析

大栄翔(左)を押し出しで破る正代(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇11日目◇22日◇東京・両国国技館

平幕の2人が、この日も白星を並べて優勝争いを引っ張っている。星が上がると気分的にも乗るもの。ともに劣勢から逆転したのはそんな要因もあるだろう。

ただ、やはり大事なのは立ち合いの当たりや、それまでの攻防で攻めの姿勢を出せていること。だからこそ残せるし、逆転の動きができる。体力差で碧山に土俵際まで寄りたてられた徳勝龍も、立ち合いで当たり負けしていないから左四つの体勢をとれた。最後に右から突き落とせたのも、左四つになれたから。押し相撲の大栄翔に、のど輪押しで攻め立てられた正代もしかり。当たり勝って、アゴを上げられても何とか前傾姿勢を保とうと、攻めの姿勢を貫いたことが我慢勝ちを生んだ。

まだ優勝の欲は出ていないだろう。問題は13日目あたりからで最後まで無欲で行けるかだ。ここまでの頑張りが、他の力士への刺激や希望になっていることは間違いない。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

碧山(手前)を突き落としで破る徳勝龍(撮影・河田真司)

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正代は立ち合いの当たり強くなった/大ちゃん大分析

勝ち越しを決めた正代は懸賞の束を手に、観客の声援を受けながら花道を引き揚げる

<大相撲初場所>◇9日目◇20日◇東京・両国国技館

見違えるように強くなった正代の立ち合いの当たりに、今場所の対戦相手も面食らってるかもしれない。

胸を出しながらの踏み込みは変わらないが、強さが違う。これまで7連勝中だった貴景勝でさえ圧力に負けて後退した。押し相撲は、押されるほど嫌なものはない。四つ相撲なら流れの中で体勢を整えられるが、押し相撲は流れを最初から作り直す必要がある。さらに「これはいかん」と精神的な焦りも生まれる。正代にすれば付け入るスキができた。押し返されたが土俵の後ろには余裕がある。相手との距離が開くから、下がりながらでも貴景勝にまともに押されていない。右に回り込む余裕もある。足がついていけない大関を突いたのは自然の流れだ。立ち合いの強さに加え、前傾姿勢で押し込めるのが今場所の正代の強み。先のことは考えずにこの日のような相撲に徹することだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

貴景勝(左)を突き落としで破る正代

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突き&いなし、貴景勝の相撲に幅/大ちゃん大分析

阿炎(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・中島郁夫)

<大相撲初場所>◇7日目◇18日◇東京・両国国技館

大関貴景勝(23=千賀ノ浦)が小結阿炎を押し出し、1敗を守った。昨年秋場所千秋楽に負った左大胸筋がさらに回復し、横の動きへの手応えを口にした。

  ◇   ◇   ◇  

好対照の相撲内容だが両大関が連日、白星を並べ最後を締めた。豪栄道はこの日も綱渡りの相撲だが、危ない中でも下からの押しで正代に6日目までの前傾姿勢を取らせず、懐に飛び込ませなかったのが勝因。3連敗の序盤も立ち合いは真っすぐ当たれていたが、ケガの影響か足が送れなかった。それでも自分の相撲を取りきろうという必死な姿勢は見て取れた。それを継続することが大切だ。

一方の貴景勝には、ただの押し相撲ではない、相撲の幅が広がったことを感じる。この日の阿炎にはもろ手だったが、相手によっては十分に踏み込まなくても対応できるという自信があるのだろう。押し込まれても突き、いなしがある。相手を見ながら取れるのは、自信があるからだろう。大関に駆け上がった時の馬力任せではない、幅が出たことで1つ上を目指せると思う。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

阿炎(右)をいなす貴景勝(撮影・中島郁夫)

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小細工なしに育てたい朝乃山/大ちゃん大分析

朝乃山(下)は遠藤に寄り倒しで破れる(撮影・柴田隆二)

<大相撲初場所>◇5日目◇16日◇東京・両国国技館

新関脇の朝乃山(25=高砂)が、東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)に負けて2連敗を喫した。

      ◇      ◇

ケンカ四つで相撲のうまい遠藤に差し負けて、朝乃山に勝機はなかった。左からのおっつけで右差しを封じられ、体も伸びきってしまった。場所前の荒磯親方(元横綱稀勢の里)との稽古が身になってなかったようだな。昨日の阿炎にしても遠藤にしても、朝乃山は正攻法で真っすぐ来ることを前提に相撲を取られる。師匠の立場としては、そこは相手に読まれようとも小細工や駆け引きなどしない力士に育てたい。ただ、突き押しの阿炎には突き押しで、遠藤には突っ張って前に出ながら左上手でも右差しでも狙うなりの考えは、バリエーションとして持っていてもいい。常々、大関うんぬんは早いと言っているが、それだけ伸びしろがあるということ。勉強して苦労して、その先に大関という看板はある。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(左手前)は遠藤(上)に寄り倒しで破れる(撮影・柴田隆二)

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