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正代の前に出る力が本物ということ/大ちゃん大分析

貴景勝(下)を突き落としで破る正代(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇13日日◇25日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝に前進した。大関貴景勝との2敗対決を力強い立ち合いの踏み込みから、最後は突き落としで制した。関脇で2場所連続11勝と大関の座も見据えて残り2日。今日14日目の大関朝乃山戦にも勝てば、熊本出身力士初の優勝が大きく近づく。

  ◇   ◇   ◇  

大関の押しを正代は、しのいで勝機を見いだしたように見えるが、前に圧力をかけ続けた攻めの姿勢こそが勝因だ。押し切れない貴景勝が苦し紛れに、横に回っていなしても微動だにしない。あれだけ胸を出す相手は、本来の押し相撲ならゴッツアンなのに押し切れない。正代の前に出る力が本物ということだ。14日目に対戦する朝乃山は、この日の御嶽海戦のように押し負けしないで左上手を取れるか。正代は粘り強く圧力をかけられるかだな。

新入幕の翔猿は勝ち運に乗っている。待ったと思い一瞬、力が抜けて隆の勝に出られたが、これが幸いしたか。喜んで出る隆の勝の右腕を、うまく引っかけ泳がせた。まともに当たったら勝機は薄いのだから何か考えていたんだろう。14日目も動き回る中で何か仕掛けがあるだろうから、貴景勝も取りづらいはず。大関の意地を朝乃山ともども出せば大混戦の千秋楽が面白くなる。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代(左)は貴景勝を突き落としで破る(撮影・柴田隆二)

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つり屋根見て取れるのは正代だけ/大ちゃん大分析

高安(手前)を押し倒しで破る正代(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇11日目◇23日◇東京・両国国技館

正代が初日から、体全体を生かした相撲で2敗をキープした。今の力の差では大関経験者の高安も苦にしない。圧力の差で高安を膝から崩した。

それまでの攻防で、あれだけアゴが上がり体が反っても腰が安定している。相当、体幹を鍛えたんだろう。つり屋根を見ながら相撲を取れるのは正代しかいない(笑い)。近年では珍しいタイプの力士だろう。もともと体の柔らかさはあったが、相手をはじき返す力感が備わったことで、すっかり自信をつけている。優勝経験はないが貪欲にいってもいいのではないかな。残りの星次第では、にわかに大関の声がかかるかもしれないが、ここは一番一番の積み重ねでまずは優勝を目指すことだ。もちろん3敗にも可能性はある。平幕の2敗もいるが最後は役力士で優勝を争うのが理想だ。

(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

高安(右)の背後にまわる正代(撮影・小沢裕)

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高安、栃ノ心 プライドを忘れるな/大ちゃん大分析

若隆景に送り出しで敗れた高安(右)(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇9日目◇21日◇東京・両国国技館

相撲界でよく言われる言葉がある。大関経験者や三役経験者でも番付を落としたら、その落ちた番付なりの相撲しか取れないと。

2敗同士の対戦で高安は、若さの勢いがある若隆景に防戦一方で負けた。フワッとした様子見の立ち合いで、左を差すのか右の上手を取りたいのか分からない。もっとガツンと当たって馬力を生かすのが、大関に上がり横綱も期待された高安の相撲だったんじゃないか。結びの一番の栃ノ心も残念だった。前日の貴景勝戦に続く立ち合いの変化。押し相撲相手なら分かるが、右の相四つの朝乃山が、注文相撲にはまるのは考えにくいと思わなかったのか。ケガで大関から陥落したのは仕方ない。それでも土俵を務めるなら「もう1回、はい上がってやる」という気持ちがほしい。同じ大関からの陥落者でも照ノ富士には欲が感じられる。プライドを忘れないでほしい(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

栃ノ心(左)は朝乃山に上手投げで敗れる(撮影・中島郁夫)

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照ノ富士、相手を研究する余裕出た/大ちゃん大分析

遠藤(右)を送り出しで破る照ノ富士(撮影・滝沢徹郎)

<大相撲秋場所>◇7日目◇19日◇東京・両国国技館

幕内に返り咲いた先場所は無我夢中だったろうが、今場所の照ノ富士は相手を研究して相撲を取れる余裕が出てきた。

もちろん大関経験者だから、そのあたりの感覚は備わっていて当然だが、この日も遠藤得意の右の差し手を、引っかけるようにして封じた。懐も深いから、差しに来る相手にも朝乃山戦のように上手もうまく取れる。遠藤に大きい相手も突き放せるぐらいの馬力があればいいが、うまさだけでは通用しない。自分十分の形を作ることも大事だが、相手十分の形を作らせないことも大事。そうでないと、せっかくのうまさも宝の持ち腐れだ。

役力士との対戦を終えた2敗の照ノ富士だが、問題はここから。膝に不安を抱えるだけに、大型で馬力があって一辺倒に出てくるような北勝富士、玉鷲、高安といった相手に同じような相撲が取れるかだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

立ち合いでぶつかる照ノ富士(右)と遠藤(撮影・山崎安昭)

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らしさ戻ってきた貴景勝と朝乃山/大ちゃん大分析

貴景勝(左)は妙義龍を押し込む(撮影・山崎安昭)

<大相撲秋場所>◇5日目◇17日◇東京・両国国技館

貴景勝に、らしさが戻ってきた。同じように重心の低い妙義龍を常に正面に置いて、慌てることなく自分の間合いをキープしながら押し込んだ。先場所はかど番で気持ちに余裕はなかっただろうが、今場所は落ち着いて取っている。敗れた北勝富士戦で見せた引きがなければ、このまま優勝争いを引っ張るだろう。

もう1人の大関、朝乃山も吹っ切れた感じだ。連敗を4日目に止めたが、本当の勝ち運に乗れるかは、1勝3敗で迎えたこの日が大事な一番だった。勝因は立ち合い、右が入ったことで流れをつかんだことに尽きる。その後は無理にまわしを取ろうとせず、前に出ることに徹した。やはり、いい踏み込みで自分の立ち合いさえ決まれば、先場所までのような相撲を取れる。序盤の5日間を終え役力士に全勝はいないが、両横綱不在の場所で、両大関が優勝争いを引っ張らなければダメだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

玉鷲を破った朝乃山は懸賞金を手に引き揚げる(撮影・山崎安昭)

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正代、迷いのない気持ちを保てるか/大ちゃん大分析

正代は遠藤(右)を押し出しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇3日目◇15日◇東京・両国国技館

正代が少しの迷いもなく相撲を取りきっている。

アゴが上がる、体が反り返る弱点を突かれようが今場所は、相手を自分の前に置いて馬力を生かした相撲を取るんだ、と集中しているようだ。相手を目の前でなく、左右のどちらかに置くと弱点があだになるが、この日の遠藤戦のように2本差されようが相手を常に正面に置いて、体全体で攻めれば持ち前の体の柔らかさも生かせる。最後に腹を使って圧力をかけたのも良かった。勝ち運に乗っている気がするな。

ただ、残り12日は長い。迷いのない気持ちを保てるかだ。早くも三役以上の勝ちっ放しは1人。全勝は俺しかいない、などと意識すると肩に力が入ってしまう。今場所も早くも混戦の様相だ。余計なことは考えず、目の前の一番に集中することだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

遠藤(後方左)を押し出しで破った正代。後方右は貴景勝(撮影・鈴木正人)

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朝乃山は右四つの形を作らなければ/大ちゃん大分析

遠藤(上)にすくい投げで敗れた朝乃山(撮影・鈴木正人)(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇初日◇13日◇東京・両国国技館

朝乃山は自分の形が作れないまま、相撲がバラバラだった。1度、西土俵に遠藤を追い詰めたが勢いに任せただけで、右四つなり左上手を取る形ができていない。だから余裕で残され回り込まれた。その後、反対の東土俵に寄り立てた時も左上手に手がかかったが、引きつけるまでいかない。不自由な体勢で苦し紛れに投げを打ったから、相手を呼び込んでしまった。馬力を生かすのはいいが、右四つの形を作らなければ相撲の流れは自分に来ない。

先場所も両横綱が途中休場で、今場所は初日から不在だ。大関の責任感もあるだろうが、初日に負けたことで余計なことを意識する余裕もなく、逆にプラスになるかもしれない。優勝争いも星のつぶし合いで13勝あたりだろう。この1敗でしょげることはない。負けはしたが、それなりに体は動いている。いかに勝ち運を呼び込めるかだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

遠藤にすくい投げで敗れた朝乃山(撮影・鈴木正人)

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来場所に真価が問われる照ノ富士/大ちゃん大分析

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

大関経験者が序二段まで落ちて相撲を取る。経験がない自分には照ノ富士の心中は推し量れないけど、よく頑張った。横綱不在の場所を盛り上げた立役者だ。うれしいだろう。ただ、大関復帰には道半ばであることは本人も分かっているはず。真価が問われるのは、上位と当たる来場所だ。今場所終盤まで当たった相手と上位陣とは、力の差が違う。膝を回復させ地道な稽古を積み重ねることだ。

1差の朝乃山は、両横綱ともう1人の大関が完走できなかった場所の最後、千秋楽結びの一番を攻めの相撲で締めた。照強に負けて「大関が足を取られるもんじゃない」と言われ放題だったが、照ノ富士戦にせよ失うものがない相手とは、置かれた立場、背負うものが違う。それを横綱、大関が言ってはいけないのかもしれないが、それでも新大関の務めは十分に果たしたと思う。未知の経験を積み勉強した場所。こちらも真価が来場所で問われる。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・河田真司)
正代(左)を激しく攻める朝乃山(撮影・鈴木正人)

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両関脇の頑張りで千秋楽が面白い/大ちゃん大分析

正代(手前)に寄り切りで敗れる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>14日目◇1日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が「混沌(こんとん)の千秋楽」に持ち込んだ。単独トップだった元大関の照ノ富士を寄り切り、自身も初優勝の可能性をつないだ。同じ関脇の御嶽海も3敗を守り、結びで大関朝乃山が照強に敗れる波乱で4人が優勝争いに残った。正代か御嶽海が優勝すれば、13日目終了時点でトップとの2差を覆す史上初の大逆転劇となる。

  ◇   ◇   ◇  

結果的に勝っていれば照強の援護射撃で優勝が決まっていた照ノ富士だが、正代の圧力をかけた相撲に屈した。膝の回復は全盛期のころと比べれば戻っていない。劣勢になると粘りきれないが、そこは仕方ないだろう。一方の朝乃山は照強の足取りは頭にあっただろうが、それでも“まさか”という思いだろう。結びの一番で奇襲をかける相撲はめったにないからな。ただ連敗はしたが、新大関としてはよくやっていると思う。両横綱ともう1人の大関が休場して、番付最上位者として責任を託すのは少し酷だと思う。最後は自分らしい相撲で締めればいい。

さて千秋楽。この日は相手を見て取った御嶽海だったが、正代の相撲を目の前で見て照ノ富士には思い切り行けるだろう。勝てば朝乃山-正代の勝者を含めた優勝決定ともえ戦。上位3人が休場したが、両関脇の頑張りもあって千秋楽が面白くなってきた。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(左)は立ち合いで照強の変化についていけず足取りで敗れる(撮影・小沢裕)

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朝乃山の敗因は左上手こだわりすぎ/大ちゃん大分析

照ノ富士(手前)に寄り切りで敗れる朝乃山(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇13日目◇7月31日◇東京・両国国技館

逆転優勝へ、負けられない戦いが続く。新大関の朝乃山(26=高砂)が、照ノ富士に負けて2敗に後退。14日目に照強に負けて、照ノ富士が勝つと昨年夏場所以来となる自身2度目の賜杯を逃すことになる。史上9人目の新大関優勝の道は険しくなったが、逆転優勝を信じて土俵に上がる。

  ◇   ◇   ◇  

左上手にこだわりすぎて前に出ることを忘れた-。これが朝乃山の敗因だ。朝乃山にとって生命線ともいえる左上手だが、当たって出足を利かせて踏み込み、押し込んでの上手、そして右を差すなら分かる。それが取りに行くような踏み込みだから、照ノ富士のような身長も体重も自分より上の大型力士には圧力をかけられるだけだ。力の出ない形で取っただけに後手に回ってしまった。上手を切る技術も朝乃山には、まだない。そのあたりに照ノ富士との経験の差も出た。優勝争いの大一番だったが、朝乃山にはいい勉強をさせてもらった相撲でもあった。上手の取り方にしても、まだまだ課題があるということ。幕尻の照ノ富士、そして14日目は照強と、場所前には予想もしていなかった相手と当たる。想定外のことを克服するのも看板力士の務め。これもいい勉強の場所になっている。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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御嶽海よ「自分の相撲」忘れるな/大ちゃん大分析

御嶽海(左)は霧馬山に寄り切りで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇9日目◇25日◇東京・両国国技館

御嶽海にとっては、もったいない一番だった。力をつけてきたとはいえ、霧馬山には本来の当たりで突き起こせば問題なかった。立ち合いから、その突き放して前に出て、流れの中で四つに組むのならいい。それが御嶽海の良さ。だがこの日は押し込めない状態のまま、逆に霧馬山につかまえられてしまった。調子を下ろした(相手を見下した)という見方もあるが、どんな相手でも自分の相撲を取り切ることが大事だ。15日間の全てで理想の相撲を取るのは難しいが「自分の相撲を取る」という気持ちだけは忘れてはならない。

10日目は全勝の朝乃山戦だ。しばしば御嶽海には、もろい相撲を取った翌日、人が変わったような会心の相撲を取ることがある。朝乃山とすれば御嶽海の当たり、突き放しをしっかり止められるか。つかまえれば自分の流れになるし、下がると苦しい。優勝争いの最初のやまになりそうだ。

(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

御嶽海(左)は霧馬山に寄り切りで敗れる(撮影・小沢裕)

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やるべきことをやってきた正代/大ちゃん大分析

碧山(右)の攻めに耐える正代(撮影・河田真司)

<大相撲7月場所>◇7日目◇25日◇東京・両国国技館

正代が順調に白星を重ねている。6日目の遠藤戦に続き、この日も碧山の攻めをしのいでの逆転勝ちだ。攻めの姿勢を忘れないから体もよく動くし、残れるから劣勢でも逆転できる。もともと胸を出すような立ち合いでアゴがすぐに上がっていたが、今年に入り前傾姿勢とまではいわないが、体が反らなくなった。初場所で優勝争いしたことで欲も出てきただろう。

4カ月も本場所が空いたが、力士には試される期間になったはず。夏場所が中止になっても、この間にやるべきことをきちんとやってきた力士が、ここまで結果を出している。正代もその1人だろう。関脇が活躍する場所は盛り上がると昔からいわれる。小結は序盤で横綱、大関と当たるが、関脇は後半に上位戦が控える。順調に白星を重ねれば番付上位による優勝争いという理想の展開になるからだ。その意味でも御嶽海ともども優勝争いに加わってほしい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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琴勝峰、迷わずガムシャラに進め/大ちゃん大分析

松鳳山を破って新入幕で5連勝とした琴勝峰(撮影・丹羽敏通)

<大相撲7月場所>◇5日目◇23日◇東京・両国国技館

新入幕の東前頭15枚目琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が、無傷で序盤5日間を終えた。西前頭12枚目松鳳山を小手投げ。左差しで寄られたが、土俵際で冷静に対応した。新入幕の初日からの5連勝は、14年秋場所に13勝を挙げた逸ノ城以来、平成以降では10人目。

  ◇   ◇   ◇  

新入幕らしい新入幕を久しぶりに見た気がする。5連勝したから言うわけではない。琴勝峰には若さの勢いも感じるが必死に相撲を取っているというイメージが強い。松鳳山の張り手にも臆することなく深く差されて出られようが何とか打開しようという気持ちが、逆転の小手投げにつながった。あの勝った後の大たぶさの乱れは、ファンにとっては何ともいえない、たまらない魅力だろう。素晴らしい将来性を感じさせる力士だ。

高校の2年先輩で兄弟子の琴ノ若の存在も大きい。口には出さないだろうが心の中で「師匠の息子には負けない」という気持ちがあるんじゃないかな? 大鵬さんも北の湖さんも誰だって必ず壁にぶち当たる。琴勝峰も同じだろうが、それまで迷わずガムシャラに進めばいい。体の柔らかさも魅力だがケガにつながりかねない。そこは注意しながら成長を見てみたい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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勢いの差で朝乃山と貴景勝に明暗/大ちゃん大分析

豊山(左)の攻めに耐える朝乃山(撮影・河田真司)

<大相撲7月場所>◇3日目◇21日◇東京・両国国技館

昇進したての朝乃山と、かど番で迎えた貴景勝。勢いの差ではないだろうが、両大関が明暗を分けた。

朝乃山には今朝「アゴを引いて行けよ」とだけ言った。手短な言葉でも、のみ込めるのが朝乃山の良さ。豊山の圧力にも動じないで、アゴを引いて足も出した。最後まで左上手は取れなかったが、右をこじ入れて自分の体勢を作った。逆に2日目は左上手で勝った。どちらか一方だけでも自分の形になれば対応できる。それが今の朝乃山の強みだ。3日間、落ち着いて取っている。同じ新大関でも俺の時とは雲泥の差だな。

一方の貴景勝は、引いてからのいなしで隠岐の海につけ込まれた。いい時の貴景勝は押し込んで余裕を持った突き、いなしが効いたが、下がりながらでは相手の圧力をまともに受けるだけ。突き起こして前に出るという、自分の一番いい時の相撲を思い出すことだ。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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朝乃山と器の違い? 俺は無我夢中/大ちゃん大分析

朝乃山は隆の勝(手前)を送り出しで下す(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇初日◇19日◇東京・両国国技館

朝乃山はいつもと変わらず、攻めの相撲を貫いた。出番前の表情も少し鼻が赤く見えたぐらいで、それも支度部屋でもマスクを着けていたからかな? 緊張した雰囲気は全くなかった。隆の勝の当たりも悪くなかったけど、左上手も速い。どっちが押し相撲か分からないぐらいだった。「攻めの四つ相撲」が朝乃山の本分だと思う。上手を引いた瞬間、相手の体が浮いたのも稽古をきちんと積み重ねてきたからだ。

自分が新大関の場所は、無我夢中どころじゃなかった。6度も7度も挑戦してやっと大関に上がったから、変にプレッシャーがかかったのを覚えている。朝乃山ほど、ノビノビと相撲を取れなかった。俺との器の違いじゃないかな? 

4カ月ぶりの本場所として初日を迎えられた。お客さんを入れて開催できたことに親方衆も力士も裏方も、感謝しながら15日間を乗り切りたい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

◆高砂親方の新大関場所 新大関として臨んだ1983年(昭58)5月の夏場所は、千代の富士、北の湖の両横綱が全休の中、9勝6敗だった。12勝3敗の優勝次点で昇進した勢いに乗り、初日に小結蔵間、2日目に西前頭4枚目飛騨ノ花を破って連勝。3日目に東前頭4枚目の旭富士に敗れたが、7日目を終えて6勝1敗。残りを3勝5敗だった。11日目に勝ち越した。

83年4月、夏場所番付発表で大きくなった文字ににっこりの新大関朝潮

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ありがたみかみしめ土俵に上がれ/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

<特別編>

足掛け3カ月にわたり、日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に部屋の近況やコロナ禍の思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」も最終回。有観客での開催が決まった7月場所(19日初日、両国国技館)で力士の奮闘に期待します。

  ◇   ◇   ◇

観客を入れての7月場所開催が決まった。もちろん制約は多い。通常の4分の1の約2500人の入場者には歓声でなく拍手を推奨し、力士は支度部屋でマスク着用、アクリル板で仕切るとか感染防止対策のガイドラインは32ページにも及ぶ。それを熟読するだけでも大変だろうが、力士には忘れてほしくない。本場所で相撲が取れること、それも春場所からワンステップ上がって観客の前でだ。感染症対策には多くの専門家から助言をもらい、相撲協会全体で知恵を出し合って開催にこぎ着けた。場所に入っても不測の事態が起こり、多少の混乱はあるかもしれないが、それでも相撲を取れるありがたみを土俵の上で、かみしめてほしい。

私事で恐縮だが、12月に定年を迎える。最後と思っていた11月場所も福岡から東京開催になる。冬巡業も行われない。少し寂しい気もするが、コロナ禍や豪雨被害で泣かされ、今はそれどころではない人たちが大勢いる。それを思えば何てことはない。力士としての誇りを胸に、全国に元気を届けるような精いっぱいの相撲を取ってほしい。(日刊スポーツ評論家)

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7月場所に向けて準備はOKだ/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

<特別編>

日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況などを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」も7回目。開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)に向け、スタンバイOKです。

  ◇    ◇    ◇

コロナ禍の終息が見えない中、九州地方が豪雨被害に襲われた。九州は11月に福岡で本場所があり、その後は巡業もあって相撲ファンも多い。被災された方には心よりお見舞い申し上げます。7月場所が開催された際には、無観客であろうと力士たちはいい相撲を取って、少しでも元気や希望の光になってほしい。

東日本大震災の後も、被災地で横綱土俵入りをしたり触れ合いの場を設けたりしている。それは日本相撲協会の使命だと思う。コロナで気持ちがふさぎがちだが、それも含めて相撲で日本が元気になることを願っている。

そのための準備も整いつつある。高砂部屋でも火曜日(7日)に土俵祭をやった。初日の2週間前に番付発表があり、その翌日に土俵祭をやって…という、いつものペースだ。最後の本場所から4カ月も空白があって、メリハリのつかない生活リズムだったから、このスケジュールで力士たちに「いつもの本場所」を思い出してほしかった。来週の理事会で正式に開催の可否が決まるが、準備はOKだ。(日刊スポーツ評論家)

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高校生よ地道な稽古で花咲く日来る/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

<特別編>

日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)への思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」。6回目は、高校生へのエールです。

  ◇   ◇   ◇ 

夏の甲子園がなくなり、インターハイも中止。悲しい思いをしている高校生、特に3年生は多いだろう。今は割り切れないかもしれないが、それも人生の一部だと思ってほしい。

自分が高校生のころは鳴かず飛ばずというか、高知県内で2位はあっても全く目立たない存在だった。それが、ひょんなことから近大への道が開けた。当時、高知高に高校NO・1の選手がいて、そのスカウトに近大の■監督が来たんだ。自分も連れられて一緒にいたんだけど、いわば“おまけ”で入学が決まった。室戸から、おやじも来ていて「よろしかったら息子もお願いします」ってね。

高校時代はもちろん、大学3年の途中までプロになるなんて夢にも思わなかった。そんな力はないから、学校の先生になれればいいやと。ただ地道な稽古で力を付けて、大学3年で学生横綱になってアレ? ってな。アマ横綱にもなれて4年でも横綱2冠。それでプロが現実的になった。

高校横綱やプロを目指した選手もいるだろう。ただ活躍の場がなくなっても、日ごろの稽古はうそをつかない。花が咲く日はきっと来る。そうなればコロナ禍の今年は「記憶に残る夏」として一生、心に刻まれるだろう。(日刊スポーツ評論家)

※■=しめすへんに壽

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朝乃山、無心で挑め大関場所/大ちゃん大分析

大関昇進の伝達を受ける朝乃山(右)と高砂親方(代表撮影=2020年3月25日)

<特別編>

日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況や開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)への思いなどを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」。5回目は、弟子の朝乃山が昇進して迎える「大関」について語ります。

  ◇   ◇   ◇  

朝乃山が大関として初めて臨む晴れの本場所が、1場所延びた。まあ焦ることはない。稽古の方も、部屋の関取衆や幕下と1日10番から15番、取っている。ケガもなく体の張りも、今のところ問題ない。初日まで3週間以上ある。じっくり腰を据えてやればいい。

自分が新大関になった時のことを思い出すな。37年前の夏場所か。今も大関以上は国技館の地下駐車場に入れるように、自分専用の車で場所入りできて、うれしかった。同時に身が引き締まる思いもした。公式行事も「三役以上」が出席できるものもあるけど、やっぱり「横綱、大関だけ」となると格が違う。そんな時は背負う「看板」の2文字の重さを感じた。大関とりに挑戦する時は、マスコミも勝って騒いでくれるけど大関は勝って当然。「負けて騒がれるのか…」と地位の違いを思い知らされた。

もちろん大関になって初めて感じることばかりだ。だから今の朝乃山に、アレやコレや言っても始まらない。最近の大関は、かど番が多いから、それは困るけど、あとは自分が経験して初めて分かること。無心になって臨めば道はおのずと開ける。(日刊スポーツ評論家)

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7月場所あと1カ月 観客検討しても/大ちゃん大分析

高砂親方(2019年12月24日撮影)

<特別編>

日刊スポーツ大相撲評論家の高砂親方(元大関朝潮)に、部屋の近況やコロナ禍などへの思いを語ってもらう不定期連載「大ちゃん大分析~特別編~」。今回は開催を目指す7月場所(19日初日、両国国技館)の理想案などについて語ります。

  ◇    ◇    ◇

ようやくプロ野球が開幕する。サッカーもJリーグが来月には始まる。最初は無観客でも徐々に観客を入れての開催になるようだ。無観客でもリモートで観戦するファンの声や拍手の音を、スピーカーなどで会場に送ったりする演出もするそうだ。なるほど、創意工夫して面白いと思うよ。

ただ、相撲はちょっと趣が違う。和物と洋物の違いというかな。確かに相撲も満員のファンの歓声が力士を後押ししてくれる。でもメリハリの違いと言えばいいだろうか。立ち合いの際に静寂があって、立った瞬間から歓声が上がる。勝負がついたら満場の拍手。ずっと応援歌や手拍子が続くのとは違い、抑揚があるのが相撲の良さだ。屋内競技と屋外競技の違いもある。

相撲も開催を目指す7月場所の初日まで1カ月になった。現状は無観客だが、状況が許せば少人数でも観客を入れてもいいんじゃないかと個人的には思う。ただそれも一般ファンではなく、溜会や東西会といった維持員など長年、協会を支えてくれている方々に見ていただく。大阪からも、開催できなかった名古屋からも来てもらえれば喜んでもらえるし、力士も緊張感が出るんじゃないかな。7月場所は「特別開催」と位置付けている。いろいろな考えがあっていいと思うよ。(日刊スポーツ評論家)

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