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優勝の霧馬山「うれしすぎてご飯が入らなかった」鶴竜引退相撲に「『大関』として出られれば」

笑顔で一夜明け会見を行った霧馬山

大相撲春場所で初優勝した関脇霧馬山(26=陸奥)が、千秋楽翌日の27日、大阪・堺市の部屋宿舎で一夜明け会見を行った。1差で追う小結大栄翔に本割、優勝決定戦で連勝しての逆転優勝。前夜は「うれしすぎて、ご飯が入らなかった」と、祝杯もそこそこに喜びに浸っていたことを明かした。祝福のメールなども200件ほど届いたという。

先場所が小結で11勝、今場所は12勝を挙げ、大関昇進の目安とされる「三役で3場所33勝」へ、来場所10勝以上で大関昇進が確実視される。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)に向けては「まずは勝ち越し。できれば2ケタ」と語った。さらに6月には、兄弟子であり部屋付きの鶴竜親方(元横綱)の引退相撲が控える。「その時は『大関霧馬山』として出られれば」と、昇進への意欲を隠さず、堂々と話した。

会見では、入門からの8年を振り返り「8年の中で何度も(出身のモンゴルに)帰りたいと思った」と打ち明けた。入門時は「いきなり5時半に起きて稽古と聞いてびっくりした」という。モンゴルで行っていたモンゴル相撲や柔道などと同様に、午後から稽古だと思っていたために、驚かされたことを冗談交じりに話した。

また、前日はウランバートルにいた両親が、千秋楽はそろってテレビ観戦していなかったことも明かした。「いつもは、見ると負けるからと、お母さんがテレビで取組を見ていないけど、昨日はお父さんも緊張して見ていなかったみたい」と、笑って話した。モンゴルへの帰国は新十両を決めた際に1度だけで、次の帰国は「できれば大関に上がって帰りたい」と、再び大関昇進への意欲を見せていた。

桜を背に笑顔でガッツポーズをつくる霧馬山

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霧馬山、大逆転V 陸奥部屋初の優勝、そして部屋初の大関へ「目安」にあと10勝

霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が、逆転で初優勝を飾った。1差で追っていた単独トップの小結大栄翔を、本割で破って12勝3敗で並ぶと、優勝決定戦にも勝った。小結で11勝した先場所に続き、三役で2場所連続2ケタ白星。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)が大関とりとなる。師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとっても、弟子の幕内優勝は初。次は陸奥部屋出身では初の大関となり、恩返しする。

行司軍配を見た。際どい勝負となった優勝決定戦。無我夢中の霧馬山は、勝利の確信がなかった。軍配は自身を差していた。だが物言いがついた。大栄翔の突きに押し込まれながらも、右に回り込んで突き落とした。霧馬山の左足が土俵外につくのと大栄翔が落ちるのが、どちらが先か。1分近い協議後、自身が勝ったとアナウンスされると天を仰ぎ、大きく息をついた。花道では目頭を押さえた。

「本当にうれしかった。勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった。最高。相撲部屋に入った時の最初の夢がかなった」

本割も押し込まれたが、土俵際の突き落としで逆転した。「最初の相撲ですごく緊張した。『やってやるぞ』という気持ちになってからは、負けても勝っても自分の相撲を取ろうと思った」。不思議と決定戦は緊張しなかった。冷静に取ったことが明暗を分け、1差逆転。勝負強さを見せた。

陸奥部屋初の幕内優勝力士となった。初めて陸奥親方と顔を合わせた14年10月のことを、師弟はそろって今も覚えている。霧馬山は「横綱になります」と宣言していた。以来、陸奥親方からは「もっと稽古しないと横綱になれないぞ」と言われた。しこ名も期待の表れ。陸奥親方の現役時代のしこ名霧島の「霧」。それに部屋の所属する時津風一門で、時津風部屋の創設者双葉山から、読みの「ばやま」をもらった。歴代最長69連勝を記録した、大横綱と重ね合わせられていた。

19年9月、本物の横綱が突如、兄弟子となった。横綱鶴竜が、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)の急逝に伴い、転籍してきた。稽古熱心な兄弟子にならい、今場所前は2月のほとんどを出稽古に費やし猛稽古。「今思うとよく『横綱になります』なんて言ってたな。その前に大関があるのに」と苦笑い。ただ昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は、夏場所が大関とりとの見解を示した。「三役3場所33勝」の目安へ10勝と迫った。

この日の朝稽古後、霧馬山は言った。「大関は…、ちょっと近づいたかな」。師匠と、部屋付き親方となった鶴竜親方への恩返しを夢見ている。【高田文太】

◆八角理事長(元横綱北勝海) 霧馬山は(安定感や重みなど)ドッシリしてきた。最後も押されたがいなせた。立ち合いの重さ、速さが出ればもっと楽に勝てる。新関脇で優勝。持っていると言えば持っている。(大関を)つかむかどうかは本人次第だろう。

◆幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻) 大栄翔も良かったが、霧馬山が足腰の良さ、土俵際の粘りで勝った。横綱、大関が不在だったが番付通り三役陣が頑張った。

<霧馬山鉄雄アラカルト>

◆生まれ 1996年4月24日、モンゴル・ドルノドゥ生まれ。本名・ビャンブチュルン・ハグワスレン。

◆スポーツ歴 バスケットボールが小、中学校の6年間、柔道は15~18歳。並行してモンゴル相撲は10~18歳で、18歳の時にモンゴルでベスト4。

◆入門 高校卒業後の14年10月、モンゴル人4人で来日し、陸奥部屋に体験入門。そこから1人だけ選ばれ、翌15年1月正式入門。

◆入門後 15年夏場所初土俵。19年春場所新十両。20年初場所新入幕。21年九州場所新三役。三賞は敢闘賞1回、技能賞2回。

◆遊牧民 両親は今も遊牧民生活だが霧馬山の取組は欠かさずテレビ観戦。テレビを見るだけでなく「SNSもやっている」(霧馬山)という。

◆家族 両親と兄、妹。

◆サイズ 186センチ、140キロ。

◆得意 左四つ、寄り、投げ。

◆血液型 A。

霧馬山(右)は優勝決定戦で大栄翔を突き落としで破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)

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【こんな人】霧馬山「馬で1日30キロ」遊牧民生活で培われた強い足腰とバランス感覚

霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が、逆転で初優勝を飾った。1差で追っていた単独トップの小結大栄翔を、本割で破って12勝3敗で並ぶと、優勝決定戦にも勝った。

       ◇       ◇       ◇

霧馬山の強さは、強い足腰とスタミナに裏付けられている。幼少からの遊牧民生活で自然と養ってきた。乗馬は日常茶飯事で「1日に30キロぐらい馬に乗って走っていた」という。足腰の強さに加えてバランス感覚も身に付けた。さらに井戸水の水くみを週に何度も、1日何十回も繰り返したことも、相撲のすり足と同じ効果があった。長い取組になればなるほど、しぶとく食らいついて白星を挙げる理由がある。陸奥親方には「相撲が長くなるということは、まだ強くないということ」と、さらなる稽古を求められている。来月で64歳となる師匠の定年退職まで1年余り。それまでに、最初に交わした「横綱になります」の約束を果たしたい思いにあふれている。

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大栄翔の地元埼玉・朝霞市PVに200人「本人が一番悔しいと思う」母の高西恵美子さん

大栄翔の母校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた右から母の高西恵美子さん、兄の一直さん、オスのチロル(撮影・平山連)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所千秋楽の26日、小結大栄翔(29=追手風)の地元埼玉・朝霞市でPV(パブリックビューイング)が行われた。

大栄翔の母校朝霞第四小学校に地元住民ら約200人が駆けつけ、黄色のスティックバルーンや手作りのボードを掲げながら声援を送っていた。

本割で霧馬山に敗れた際には「次勝てば大丈夫」「大栄翔頑張れ!」などと会場内で互いを鼓舞する姿が見られた。優勝決定戦で霧馬山に敗れた瞬間は周囲から大きなため息が漏れたが、次第に温かい拍手と歓声に変わった。21年初場所以来2度目の賜杯は惜しくも逃したが、最後まで場所を盛り上げた大栄翔の頑張りをたたえていた。

会場に駆けつけた母の高西恵美子さん(60)は「本人が一番悔しいと思う。親としては、15日間無事に終えられたことの方がうれしいこと。十分だと思います」。兄の一直さんは「結果は残念ですけど、前に出る相撲はできていた。家族として誇りに思います」と話していた。

大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)には地元住民ら約200人が駆けつけた(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた、朝霞市のゆるキャラ「ぽぽたん」(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)で掲げられた「信じてる!!大栄翔」ボード(撮影・平山連)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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2度目の賜杯逃した大栄翔は大学院卒のインテリ力士 修士論文は「相撲文化継承への提言」

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所で関脇霧馬山(26=陸奥)に本割、優勝決定戦と連敗し、21年初場所以来となる2度目の賜杯を逃した小結大栄翔(29=追手風)。実は昨春まで日大大学院の総合社会情報研究科に通っていたというインテリ力士だ。専攻は相撲部屋制度に通じる同族経営、ファミリービジネスについて。修士論文の指導に当たった加藤孝治教授によると論文は5万字近くに及ぶ大作で、次世代へ相撲文化を継承するための提言がまとめられていたという。

加藤教授によると、大栄翔は国内スポーツ界における大相撲を位置づけた上で、相撲部屋の経営手法や協会の制度的な課題を分析。日本人力士が減少傾向にある現状を憂い、大相撲の文化が活性化するために必要なことを提言していた。「特徴的なのは、自分が相撲と出会った時の経験を交えて論じたこと。若い人たちが相撲と触れ合う機会をどうやって作っていくかという問題意識が高かった」と目を見張る。

また、多忙な日々をやり繰りしながら、何事も真面目に取り組む姿が印象に残ったという。「20代後半という現役バリバリで活躍している時に大学院へ通った経験は大きな意義」。卒業した今でも、ゼミ生のグループラインなどで連絡を取り合い交流が続いている。

先場所10勝(西前頭筆頭)、今場所12勝(小結)した大栄翔。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされるだけに、5月の夏場所は霧馬山とともに大関とりのチャンスがある。勝負の来場所。加藤教授は「番付が上がることは彼の論文で書いたような将来像をしていく上でもつながっていくことだと思います」と期待を寄せ、今後の活躍も引き続き温かく見守っていく。【平山連】

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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【若乃花の目】最後の最後にもったいないことをした大栄翔 霧馬山は持って生まれた体の柔らかさ

「若乃花の目」

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

本割、優勝決定戦ともに大栄翔の当たり、突き押しの威力が半減してしまいました。

本割は霧馬山が何をやってくるか気をつけるように、相手を見ながらもろ手で立ちました。頭から当たるしかなかった決定戦は、頭より先に手で行ってしまいました。こうなると腰も引けて2番とも威力半減です。やはり押し相撲は立ち合いの当たりが弱いと、二の矢の攻めもなくなり土俵際の落とし穴ははまります。今場所は腰をぶつけるようにして足を運んでいた大栄翔だけに、最後の最後になってもったいないことをしたなと思います。

1差で追う立場で臨んだ霧馬山は、精神的には大栄翔より楽だったでしょう。押し込まれはしましたが、土俵際で弓なりになって粘ったことで、突きにくくさせました。四つに組んだら勝ち目はない、と大栄翔に思わせる強さも、先場所から光ります。初優勝にも浮かれず「相撲自体は良くなかった」とインタビューで話していた言葉は、まだまだ自分を向上させようという自覚の表れでしょう。来場所は大関とりです。体の柔らかさは持って生まれたものとして、力強さをアピールしてほしい。当たり負けしない強さ、重さを全部の相撲には求めませんが、プラスアルファしてほしいと思います。霧馬山に引っ張られるように豊昇龍は10勝、若元春も11勝で足がかりをつかみ、大栄翔も次期大関に名乗りを上げた今場所。終わったばかりなのに、もう来場所が楽しみです。照ノ富士と貴景勝が復帰した上で、上位陣による「実力者による混戦」に期待します。(日刊スポーツ評論家)

優勝決定戦で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)
八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)

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大栄翔「悔しい」V逸「土俵際の甘さが自分の弱いところ」本割、決定戦と霧馬山に突き落とし食らう

優勝決定戦で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ

2度目の優勝に王手をかけていた小結大栄翔(29=追手風)は悔しい「V逸」となった。

1差をつけての関脇霧馬山との決戦。「気合入れていったんですけど、土俵際の甘さが自分の弱いところ」と振り返る。

本割、優勝決定戦とも同じような流れだった。本割は大栄翔が立ち合いから突き押しで攻め込み、霧馬山は俵に詰まってのけぞる。あと一撃のところで、突き落としを食らった。

優勝決定戦も大栄翔が攻めた。しかし、土俵際は同じく突き落とし。物言いがつくも軍配通りの決着。「自分の相撲で負けたんで仕方ないです」と言いつつ、「悔しい」と本音がもれた。

2度目の技能賞を獲得した。「押し相撲はなかなかとれない。評価してもらったのは自信になる。突き押しの技術を磨いていきたい」と悔しさの中で励みになった。

先場所は西前頭筆頭で10勝しており、来場所は霧馬山とともに大関とりのチャンスになる可能性がある。「今場所はいい相撲が多かった。来場所も15日間通してとれるようにしたい」と話し、「悔しい気持ちを忘れず、しっかり稽古していきたい」。昇進争いで負けるわけにはいかない。

本割で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)

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八角理事長、初優勝霧馬山に「立ち合いの重さ、速さ出ればもっともっと楽に勝てる」指摘と期待

八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

新関脇の霧馬山(26=陸奥)が初優勝を遂げた。1差で追っていた小結大栄翔(29=追手風)を、本割で土俵際の逆転で突き落とした。

続く優勝決定戦も、同じように押し込まれながら土俵際、右足一本で残り、大栄翔の左腕を手繰って逆転。霧馬山の足が出たのではないかと物言いがついたが、足は残っており軍配通りの勝利。星勘定も相撲内容も「逆転」の展開で、初の賜杯を抱いた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「やっぱり(本割同様に)真っすぐに押されたけど、いなせた」と語った。三役で11勝、12勝と星を重ね、いよいよ5月は大関とりの夏場所。本割で勝ち12勝目を挙げた時点で「来場所のことを考えると、とても大きな一番だった」と分析した八角理事長は、優勝決定戦後に、霧馬山に今後、求められるものや課題について問われると「立ち合いで押し込まれないこと。立ち合いの重さ、速さが出れば、もっともっと楽に勝てる」と指摘。ここ数場所の成長に「ドッシリしてきたような気がする。新関脇で優勝だから持っていると言えば持っている。(大関の座を)つかむかどうかは本人次第」と話しつつ「上がってもらわないと」と1横綱、1大関の状況から脱する担い手として、霧馬山への期待を寄せた。

優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
懸賞金を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)

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霧馬山「勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった」優勝決定戦制し大逆転で初優勝

優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

関脇霧馬山(26=陸奥)が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔を本割の対戦で突き落とし。優勝決定戦も大栄翔に立ち合いから突き放されるが土俵際、右足をしぶとく残して突き落としを決めた。

表彰式後、館内インタビューで喜びの声を発した。

-今の気持ちは

霧馬山(以下霧) 本当うれしくて、すごく緊張してます。

-決定戦で物言いが

霧 全然分からなかったので、勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった。緊張したけど自分の相撲をとろうと気持ちで。(2番とも)いい相撲じゃなかったが、最後に勝ってよかった。

-優勝の意識は

霧 全くなくて。1日一番の気持ちだけでした。

-8年前に入門

霧 最初は何も分からなくて。8年で優勝できたのはうれしい。(優勝の要因は)気持ちだけです。

-来場所は大関とり

霧 はい、頑張ります。自分の力を出していきたい。

-優勝はだれに

霧 最初に親方にあいさつしたい。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
内閣総理大臣賞を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
幕内初優勝を決めた霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山はタオルで顔を押さえながら花道を引き揚げる(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山は内閣総理大臣杯授与に訪れた西村経産相(左)から表彰状を受け取る(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ。右は陸奥親方
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、優勝旗を手にする霧馬山(代表撮影)

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関脇霧馬山、大逆転で初優勝 大栄翔に本割・優勝決定戦で連勝 自力で初の賜杯手に

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

関脇霧馬山が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔との本割での対戦は、土俵際まで一気に攻められたが最後は突き落としを決めた。

優勝決定戦も大栄翔が立ち合いから突き放しにくるが、霧馬山は右足を俵に残して勝利した。物言いがつくも軍配通り。1日2連勝の自力で、霧馬山が初の賜杯を手にした。

新入幕の金峰山は11勝まで星を伸ばし、敢闘賞を受賞した。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)

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霧馬山初優勝「ちょっと緊張」優勝決定戦で物言いも大栄翔破り来場所大関取りへ 陸奥親方初弟子V

霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔との本割での対戦は、土俵際まで一気に攻められたが最後は突き落としを決めた。

優勝決定戦も大栄翔が立ち合いから突き放しにくるが、霧馬山は右足を俵に残して勝利した。物言いがつくも軍配通り。1日2連勝の自力で、霧馬山が初の賜杯を手にした。

「ちょっと緊張したが、自分の相撲を取るとの気持ちだった。そんなに良い相撲ではないが、勝てて良かった。全然優勝は考えなかった。1日一番のつもりだった。(入門から)8年で優勝、最高です」

これで小結で11勝した先場所に続き、今場所も関脇で12勝を挙げた。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされるだけに、来場所で2ケタ白星を挙げれば昇進は濃厚。今場所の優勝が考慮されれば、場合によっては2ケタ白星に到達しなくても、来場所後の昇進の可能性も出てきた。「1日一番、しっかり頑張ります」。師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとっても、初めての弟子の幕内優勝となった。「まずは親方に報告したい」と感慨深げな表情を見せた。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する時津風一門の関取衆と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する時津風一門の関取衆と霧馬山(中央)(代表撮影)
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ。右は陸奥親方
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ
幕内初優勝を決めた霧馬山は内閣総理大臣杯授与に訪れた西村経産相(左)から表彰状を受け取る(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山はタオルで顔を押さえながら花道を引き揚げる(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、優勝旗を手にする霧馬山(代表撮影)

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敢闘賞は金峰山が初受賞、敗れた翠富士は逃す 技能賞は大栄翔と霧馬山 殊勲賞は候補者なし

金峰山は隆の勝(手前)をすくい投げで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

日本相撲協会は26日、大相撲春場所が開催されているエディオンアリーナ大阪で同場所の三賞選考委員会を開き、千秋楽の結果から条件付きだった力士を含め、受賞力士が確定した。

殊勲賞は候補者がなかった。

敢闘賞は、新入幕で11勝4敗の好成績を収めた、東前頭14枚目の金峰山(25=木瀬)が三賞初受賞を決めた。初日から10連勝で優勝争いを引っ張り、千秋楽で正代(31=時津風)に勝ち11勝目を挙げれば受賞だった、西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)は、正代に敗れ初受賞(三賞は過去に技能賞1回あり)を逃した。

技能賞は、千秋楽を迎えた時点で12勝2敗で単独トップの小結大栄翔(29=追手風)と、11勝3敗の霧馬山(26=陸奥)が受賞。両者は千秋楽結びの一番で優勝をかけて対戦。霧馬山が本割と優勝決定戦で連勝し初優勝を決めたが、その結果に関係なく受賞が決まった。大栄翔は2回目の受賞(三賞は7回目)、霧馬山は2回目の受賞(三賞は3回目)となった。

金峰山(左)はすくい投げで隆の勝を破る(撮影・和賀正仁)
八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破る(撮影・和賀正仁)

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【若乃花の目】V争い千秋楽結びの一番、大栄翔突っ張って行けるか 決定戦持ち込めば霧馬山有利

「若乃花の目」

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

優勝争いには加われなかった豊昇龍ですが、あらためて近い将来、大関になる素材だと感じさせる若元春戦でした。

左四つの若元春とはけんか四つですが、それを承知で右の上手狙いで立ちました。先に上手を取れば相手の四つでも勝つ確率は高いと踏んでました。ポイントは相手に浅く差させた下手の位置です。深く差して腰を構えると若元春は残り腰が強いんです。相手得意の左だけど浅く差させて、自分は十分な上手。そして動きが止まった後、若元春が右上手を探ろうとしたタイミングを見計らったかのように、柔道のような巻き込みながらの上手投げです。このスピードと強弱の使い分けも豊昇龍の真骨頂です。

精神的なずぶとさも次期大関を感じさせます。最後の仕切りは、待ったをしそうなスローな腰の下ろし方で館内もざわめきました。そんな空気も何のその、何を言われようが自分のタイミングで立つという強い気持ちが見えました。逆に若元春はちゅうちょしながら立ってしまった、という微妙な間合いでした。自分のペースで相手を引き込む、そんな豊昇龍の意志の強さのようなものを感じました。順番はどうであれ、霧馬山と豊昇龍が大関に一番、近いことは間違いありません。優勝を争う千秋楽の結びの一番は、大栄翔が先手を取って突っ張って行けるか、霧馬山が四つに組めるかがポイントで、決定戦に持ち込めば霧馬山が有利かな、とみています。(日刊スポーツ評論家)

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
懸賞金を手にする大栄翔(撮影・小沢裕)
若元春(奥)を上手投げで破る豊昇龍(撮影・和賀正仁)
若元春(奥)を上手投げで破る豊昇龍(撮影・和賀正仁)
若元春(奥)を上手投げで破る豊昇龍(撮影・和賀正仁)
若元春(右)は豊昇龍に上手投げで敗れる(撮影・小沢裕)

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2敗守った大栄翔2度目Vへ死角なし「思い切り自分の相撲を」千秋楽で1差霧馬山と直接対決

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔(29=追手風)が、13場所ぶり2度目の優勝に王手をかけた。

取組前まで3敗の翠富士を突き倒して12勝2敗。単独トップを守った。翠富士と同様に、3敗だった小結若元春も敗れ、優勝の可能性は不戦勝の関脇霧馬山と、2人に絞られた。千秋楽は結びで霧馬山との直接対決が決定。初優勝した21年初場所に続き、自己最多に並ぶ13勝目で、2度目の優勝を飾るつもりだ。

     ◇    ◇    ◇

優勝を争うライバルを、直接対決で引きずり降ろした。大栄翔が休まず手を出し続けて完勝した。立ち合いで一瞬、下に潜り込もうとした翠富士の動きを、よく見て狙いを定めてもろ手突き。11センチ低い171センチの相手の上体を、同じ高さまで突き起こすと、狙いやすくなった胸に的を絞り、突き続けた。4連勝とした自身とは対照的に翠富士は4連敗。取組前までは3人いた1差の3敗勢は、千秋楽を迎えて1人となった。

「落ち着いて、相手をしっかりと見て攻められたのでよかった。いろいろと考えて、ああいう立ち合いになった」と、相手が変化ぎみに動いてくることも想定していた。何よりも体が自然と反応する状態の良さがある。人一倍大きな手で圧力を伝えやすい突きに注目が集まるが、大栄翔の好調を支えているのは実は下半身。回転の速い突っ張りを繰り出せるのも、ブレない足腰があるからだった。

初の十両優勝直後、再入幕した17年春場所8日目の隠岐の海戦で気付きがあった。「足がめちゃめちゃ出た。自分じゃないみたいに出て『これだ』と思った」と押し出した。懐の深い相手に初顔合わせでは敗れ、2度目の対戦。経験豊富な長身相手に、単純に突いて出ると組み止められる中、足を使って低い重心から突くと、圧力が伝わった。この場所で11勝して以降、1度も十両陥落はない。成功体験が、今を支えている。

千秋楽は結びで3敗の霧馬山と直接対決。相手は14日目が不戦勝だけに体力温存で臨んでくる。それでも大栄翔は「最後の一番。思い切り自分の相撲を取りたい」。手が出て、足も出て、気力は充実。2度目の優勝へ死角はない。【高田文太】

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
2敗を死守した大栄翔。左は控えの若元春(撮影・小沢裕)

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霧馬山ただ1人逆転Vの可能性 千秋楽大栄翔と直接対決 本割、決定戦勝てば初優勝

若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

関脇霧馬山(26=陸奥)がただ1人、大栄翔を逆転する権利を得た。

千秋楽、結びで直接の対戦が組まれて本割、優勝決定戦と勝てば初優勝と、自力での可能性を残した。若隆景の休場により不戦勝で2場所連続11勝。前々場所は8勝で、審判部は今場所後の大関昇進に関しては見送る方向。ただ、逆転優勝となれば来場所の挑戦が有利に働くのは間違いない。大きな1番、2番となるか。

霧馬山(左)は若隆景の休場による不戦勝で勝ち名乗りを受ける(撮影・小沢裕)

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八角理事長「このチャンスをものにしてほしい」霧馬山、大栄翔ら大関候補続出を歓迎

大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

優勝争いは2敗を守った小結大栄翔(29=追手風)と、1差の3敗で追う関脇霧馬山(26=陸奥)の2人に絞られた。

1差で追う平幕の翠富士(26=伊勢ケ浜)を一方的な相撲で突き出した大栄翔は、21年初場所以来となる2度目の優勝を目指す。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、前回優勝時と比べて「前回は(番付)上位者が多かったから激しい突き押しで、勢いで行った。相手を見て突いて行ったら(勝負どころに)間に合わないから」と振り返り、一方で今場所については「よく相手を見て落ち着いて突いている」とし、優勝経験も「初めての優勝じゃない、ということで落ち着いている」と今場所何度も指摘した精神的な充実ぶりを、あらためて強調していた。

結びの一番後に、千秋楽の取組編成会議が開かれ、千秋楽結びの一番で、この両者が激突することが決まった。リモート取材中は、まだ千秋楽の取組は決まっていなかったが、八角理事長は「大栄翔は明日の一番、おそらく霧馬山と組まれるでしょう。結びの一番まで優勝が決まらないというのは、私たちにとって一番いいこと」と、興行面で最高の舞台が整うことを歓迎するように語った。

また、番付の権威が保たれるように、番付上位の三役陣に優勝が絞られた状況にも「最後まで三役以上が番付以上にね(頑張った)」と奮闘ぶりを評価。さらに千秋楽の結果次第で、三役陣の5人が2ケタ勝利を挙げる可能性についても「2ケタ勝って『よしっ』と思う力士もいるだろう。(霧馬山に)誘発されて豊昇龍も琴ノ若も『俺も出来る』と思っただろう。このチャンスをものにしてほしい」と、5月の夏場所が大関とりとなる霧馬山をはじめ、大関候補が続出している状況を歓迎するような口調で語った。

大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は若隆景の休場による不戦勝で勝ち名乗りを受ける(撮影・小沢裕)

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幕内最小兵の翠富士4連敗でV可能性消滅「優勝争いなんてなかったんでいい経験になった」

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

場所を盛り上げてきた幕内最小兵が力尽きた。

西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が、1差をつけられた小結大栄翔と直接対決。「変化も考えた」という立ち合いでフワッと立ってしまい、大栄翔ののど輪攻めからの一気の出足に突き倒された。

「変化で負けると後悔しますね。追う立場になったんで(緊張は)なかった。普通に相手が強かった」

10連勝からの4連敗で優勝の可能性は消えた。「優勝争いなんてなかったんでいい経験になった。また経験できることがあれば、今回のことを生かしたい」と前向きに言った。

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)

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大栄翔2敗守り21年初場所以来2度目V王手 不戦勝で1差霧馬山に逆転の可能性

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔が21年初場所以来2度目の優勝に王手をかけた。

前日13日目に単独トップに立った大栄翔は、西前頭5枚目の翠富士と対戦。立ち合い、もろ手で首元を攻めて押し込み、一気に前に出て突き倒した。

初日から10連勝と場所を盛り上げてきた翠富士だが4連敗で優勝の可能性が消滅した。

3敗で追っていた小結若元春も関脇豊昇龍の上手投げに敗れ、可能性が消えた。不戦勝で11勝3敗とした関脇霧馬山だけが逆転の可能性を残した。

新入幕の金峰山が阿炎を押し出して、2桁10勝目をあげた。

大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
懸賞金を手にする大栄翔(撮影・小沢裕)
若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)
若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)

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関脇若隆景が休場、前日取り直しの一番で右脚痛める 霧馬山不戦勝で優勝争い千秋楽に持ち越し

23年3月24日 琴ノ若と若隆景(左)の一番は物言いが付き審判団による審議が行われた結果同体となり、取り直しとなった。右は師匠で審判長を務める佐渡ケ嶽親方(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

関脇若隆景(28=荒汐)が、日本相撲協会に休場届を提出した。「右前十字靱帯(じんたい)損傷、右外側半月板損傷などで3カ月程度の療養を要する」との診断書を提出。若隆景の休場は21年初場所以来3度目。前日13日目の取組に勝利し、7勝6敗と勝ち越しに王手をかけていたが、琴ノ若と同体取り直しとなった相撲で痛めたとみられる。

師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)によると、琴ノ若戦の最初の一番で右膝を負傷したという。同親方は「相撲を取れる状態ではなかった。まずはきちんと治してほしい」と話した。再出場せず負け越しとなれば、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)では7場所守った関脇から番付を下げることは確実となる。

14日目の対戦相手、関脇霧馬山は不戦勝となり、優勝を争う中で3敗を守る形に。13日目に2敗を守って単独トップに立った小結大栄翔が14日目にも優勝決定の可能性があったが、千秋楽まで持ち越されることになった。

今場所の十両以上の休場者は横綱照ノ富士、大関貴景勝、幕内阿武咲に続いて4人目となった。

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【若乃花の目】大栄翔は残り2日も崩れる気配を感じません 3連敗の翠富士は開き直れるか

「若乃花の目」

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

大栄翔は相手がよく見えています。相手の明生は立ってからのスピードがありますが、よく見て的確に繰り出す突きが強いから、明生の動きを止めています。その上、腰も下りていて突っ張りの回転も速く、相手と常に正対している。さらに相手を冷静に見ているなと思ったのは、左からいなすような動きをした場面です。あれは引きでも、いなしでもありません。押しにくいと瞬時に判断し、相手との間を置くために離れた動きです。その後、押し込まれた明生が、いなそうとして体勢を崩したのとは好対照でした。

闘志を全面に出した激しい突き押しと、一方で相手をよく見る落ち着きを兼ね備えています。絶対に引かない、という気持ちも相撲に表れていて、残り2日も崩れる気配を感じません。優勝経験があるのも大きなプラス材料でしょう。14日目の翠富士戦も、相手をよく見て攻めるだけです。逆に守りに入り懐に入られ、まわしを取られたら勝ち目はありません。逆に3連敗で心が沈んだ状態の翠富士は「何をやっても絶対に勝つんだ」と開き直れるか。勝って星が並べば逆に「あとは千秋楽だけ」と、10日目までの乗っていた気持ちに戻り形勢は変わります。三役陣の頑張りで最後まで土俵から目が離せません。(日刊スポーツ評論家)

大栄翔(左)は突き出しで明生を敗る(撮影・石井愛子)
翠富士(下)は豊昇龍に下手投げで敗れる(撮影・小沢裕)

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