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番付の書き手が木村要之助に春場所から代わっていた 木村容堂から16年ぶり戦後8人目の交代

行司の木村要之助(2022年5月9日撮影)

大相撲の幕内行司、木村要之助(ようのすけ、48=八角)が、今月26日に千秋楽を迎えた春場所から、新たに番付の書き手を務めていたことが30日、関係者の話で分かった。

番付の書き手は戦後8人目。07年九州場所から15年余り、木村容堂(61=九重)が務めてきたが、16年ぶりの交代となっていた。容堂が最後に書き手を務めた初場所は、125年ぶりの1横綱1大関、61年ぶりの4関脇4小結という、極めて珍しい番付だった。

要之助が初めて書き手を務めた春場所も、引き続き1横綱1大関だった。初場所では大関貴景勝が優勝したが、春場所では7日目から休場。初日から休場していた横綱照ノ富士とともに、横綱、大関不在という昭和以降初の事態となっていた。

木村要之助が書いた春場所の番付
行司の木村容堂(2022年9月11日撮影)
木村容堂が書いた初場所の番付

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明大出身23年ぶり新十両の藤青雲「これから大変。番付が上がるほど厳しくなる」藤島親方ハッパ

新十両昇進を果たした藤青雲(2023・3・29 エディオンアリーナ大阪 撮影・実藤健一)

日本相撲協会は29日、エディオンアリーナ大阪で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、藤青雲(25=藤島)と時疾風(26=時津風)の新十両2人を含む十両昇進力士3人を発表した。再十両は2場所ぶりに復帰の千代栄(32=九重)だけだった。

実業団をへて入門した藤青雲は、明治大出身では元幕内武雄山の山分親方以来、23年ぶりの新十両となる。「(山分)親方をしたって藤島部屋に入ってよかった。関取の自覚を持っていきたい。少しずつ手本になれるような力士になっていきたい。稽古して体も大きくして準備していきたい」と意気込みを語った。

この1年、関取昇進のチャンスがある幕下15枚目内にいながら、なかなかつかむことはできなかった。師匠の藤島親方(元大関武双山)は「歯がゆかった」とはっきり言い、「これからが大変。番付が上がるほど厳しくなる」とハッパをかけるように言った。

課題は自覚している。「地力はついてきたと思うが、精神的な面が弱い。そこに打ち勝つために頑張ってきた。稽古も集中してできるようになった」。精神面克服へ、ひたすらぶつかり稽古をこなす。藤島親方も「まだ迫力がない。それがないと上にはいけない。泥だらけの稽古しかない」と厳しく言った。

「後悔するより、夢を追いかけたかった」という大相撲への挑戦。「何回かはね返されたが、2年で上がれてよかった」と喜びは一瞬で、関取デビューに向けてただ精進していく。

新十両会見に臨む藤青雲(右)と師匠の藤島親方(2023・3・29 エディオンアリーナ大阪 撮影・実藤健一)
新十両に昇進した時疾風(右)と師匠の時津風親方(2023・3・29 エディオンアリーナ大阪 撮影・実藤健一)

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宮城出身の新十両時疾風「ドキドキもあり、ここからだという気持ち」夢と地元復興への思い後押し

新十両に昇進した時疾風(右)と師匠の時津風親方

日本相撲協会は29日、エディオンアリーナ大阪で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、藤青雲(25=藤島)と時疾風(26=時津風)の新十両2人を含む十両昇進力士3人を発表した。再十両は2場所ぶりに復帰の千代栄(32=九重)だけだった。

宮城県栗原市出身の時疾風は、東日本大震災の被災者への思いを背負う。12年前の3月11日、(本名)冨栄少年は翌日に中学の卒業式を控えて準備している最中だった。自宅は「あらゆるものが倒れて電気、水道が1カ月ダメだった」。それ以上に変わり果てたなじみの風景が心に刺さった。

「震災後、しばらくしてそれまでよく行っていた海岸地域に行ったら、何もなくなって更地になっていた。中学生ながら(被災者を)元気づけられるかな。テレビに出るようになれば元気づけられるかと。(大相撲を目指すきっかけに)なりましたね」

教職の選択肢もあったというが、夢と地元の復興への思いが後押しして大相撲の世界へ進んだ。19年春場所で初土俵を踏み、4年をかけて吉報を手にした。「うれしいです。ドキドキもあり、ここからだという気持ちです」と言った。

左四つ、右上手の得意を持つが、課題は「体格」になる。入門当初は115キロほどで、今場所は130キロまで増やした。当面の目標は140キロだが、「食が細い。頑張って食べます」と言った。

師匠の時津風親方(元幕内土佐豊)は「みんなの見本になる力士になってほしい。今の左四つ、右上手を磨いていけば上を目指せる」と期待する。時疾風は「津波で被害にあった地域を見にいって現状を見た。地元に恩返ししたい思い。頑張ります。(今後の目標は)まず幕内ですね。自分の相撲とって白星を重ねていきたいです」と気合十分に話した。

新十両昇進を果たした藤青雲
新十両会見に臨む藤青雲(右)と師匠の藤島親方

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モンゴル出身の元前頭・鏡桜が引退 時虎、透輝の里ら8人 夏場所番付編成会議

鏡桜(20年7月撮影)

日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、モンゴル出身で3月15日付で日本国籍を取得した元前頭の鏡桜(35=伊勢ノ海)ら、以下8人の引退を発表した。

【時虎】時虎謙信(ときとら・けんしん)本名・下山謙信。西三段目72枚目、時津風部屋。02年2月20日生まれ、宮城県登米市出身、21歳。

【透輝の里】透輝の里大(ときのさと・だい)本名・松永輝透。西三段目73枚目、西岩部屋。02年12月14日生まれ、大阪市平野区出身、20歳。

【電山】電山博保(でんざん・ひろやす)本名・吉野博保。西序二段62枚目、大嶽部屋。88年6月8日生まれ、山口県宇部市出身、34歳。

【北勝八雲】北斗八雲海猿(ほくとやくも・かいと)本名・福井海猿。西序二段73枚目、八角部屋。04年1月13日生まれ、北海道八雲町出身、19歳。

【北勝潮】北勝潮龍生(ほくとしお・りゅうき)本名・和田龍生。番付外、八角部屋。00年6月22日生まれ、青森市出身、22歳。

【筑乃蔵】筑乃蔵久三(ちくのくら・きゅうぞう)本名・田原祐太。番付外、武蔵川部屋。02年6月21日生まれ、福岡県久留米市出身、20歳。

【大海原】大海原渡(おおうなばら・わたる)本名・玉田亮。番付外、錣山部屋。86年1月19日生まれ、広島市安佐南区出身、37歳。

【鏡桜】鏡桜秀興(かがみおう・ひでおき)本名・バットフー・ナンジッダ(モンゴル名)。番付外、伊勢ノ海部屋。88年2月9日生まれ、モンゴル・ウブルハンガイ出身、35歳。

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夏場所新十両に藤青雲、時疾風、千代栄は復帰 ヤクルト村神様の“旧友”川副は昇進逃す

所作を披露する藤青雲(2023年1月13日撮影)

日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士3人を発表した。

新十両は藤青雲(25=藤島)、時疾風(26=時津風)の2人で、念願の関取の座を初めてつかんだ。また、千代栄(32=九重)は2場所ぶりの復帰となる再十両を果たした。

さきの春場所で西幕下2枚目の藤青雲、東幕下3枚目の時疾風は、ともに4勝3敗の成績を収めた。また、西幕下2枚目の千代栄は5勝2敗の結果を残した。

藤青雲(本名・東龍輝)は熊本市西区出身。明大を卒業後、約1年のブランクを経て、年齢制限緩和措置により21年春場所で初土俵(コロナ禍で前相撲はなし)。翌夏場所の序ノ口から3場所連続7戦全勝(優勝は序ノ口と三段目の各1回)の21連勝で幕下入り。幕下では3勝4敗の負け越しが2回あるだけで着実に番付を上げ、所要2年でスピード出世を果たした。181センチ、139キロで右四つ、寄りを得意とする。

時疾風(本名・冨栄秀喜)は宮城県栗原市出身。東京農大を経て19年春場所で初土俵を踏んだ。序ノ口から所要3場所で幕下入り。だが、幕下1ケタ台では壁にはね返されてきた。東幕下15枚目だった21年春場所では、6戦全勝で三役経験者の阿炎と7番相撲で対戦。勝てば優勝&新十両昇進だったが、引き落としで敗れて逃した。その後も勝ち越しと負け越しを繰り返したが、初土俵から4年で関取の座をものにした。178センチ、130キロで左四つ、寄りを得意とする。序二段で優勝経験がある。

再十両の千代栄(本名・岸栄太)は京都府福知山市出身。09年初場所が初土俵で、12年半をかけて昨年7月の名古屋場所で悲願の新十両昇進を果たした。4場所連続で十両の土俵を務めた後、先の春場所で幕下に降格したが、1場所で復帰を果たした。

日大4年時に学生横綱の座に就き、22年9月の初場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ川副(23=宮城野)は、西幕下3枚目の春場所で4勝3敗だった。昇進の可能性もあったが、今回は惜しくも逃した。野球WBCの侍ジャパンで世界一になった主砲の村上宗隆内野手(ヤクルト)とは、高校こそ違うが(川副は文徳高、村上は九州学院高)、同学年で交流があり、よく話した間柄だという。

仕切りする時疾風(2023年3月14日撮影)
塵手水(ちりちょうず)する千代栄(2023年3月14日撮影)
春場所初日、峰刃(左)を下手投げで破った川副(2023年3月12日撮影)

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鶴竜親方引退相撲は「大関」で…春場所V霧馬山、夏場所で昇進狙う 会見序盤控えめも後半止まらず

桜を背に笑顔でガッツポーズをつくる霧馬山

大相撲春場所で初優勝した関脇霧馬山(26=陸奥)が、次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)で大関昇進を目指すと宣言した。

優勝から一夜明けた27日、大阪・堺市の部屋宿舎で会見。40分以上にわたる会見の前半こそ「来場所は頑張らないと」「大関のことは考えず、いつも通り」と、控えめに話していた。だが、30分を過ぎた頃から「まず(大関に)上がりたい」と、師匠の陸奥親方(元大関霧島)と肩を並べる、あこがれの地位への思いがあふれてきた。

先場所は小結で11勝、今場所は12勝した。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。35分過ぎに来場所の具体的な目標を問われると「まず勝ち越し。できれば10番勝ちたい」と大関昇進を意識した発言をすると、止まらなくなった。直後には兄弟子で、現在は部屋付きの鶴竜親方(元横綱)が6月に行う引退相撲のことを聞かれた。すると自ら「その時は『大関霧馬山』で(出たい)」と、うれしそうに話した。もはや大関への意識を隠さなかった。

入門から8年間で故郷のモンゴルには、新十両後の1度しか帰国していない。会見が40分に差しかかると「(次は)大関に上がって帰りたい」と、再び質問とは無関係に自ら「大関」の2文字を口にした。会見後は桜の木を背に記念撮影。2カ月後は霧馬山にとってのサクラ満開「大関昇進」を勝ち取る。【高田文太】

笑顔で一夜明け会見を行った霧馬山
26日、春場所を制した霧馬山は八角理事長から賜杯を贈られる

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優勝の霧馬山「うれしすぎてご飯が入らなかった」鶴竜引退相撲に「『大関』として出られれば」

笑顔で一夜明け会見を行った霧馬山

大相撲春場所で初優勝した関脇霧馬山(26=陸奥)が、千秋楽翌日の27日、大阪・堺市の部屋宿舎で一夜明け会見を行った。1差で追う小結大栄翔に本割、優勝決定戦で連勝しての逆転優勝。前夜は「うれしすぎて、ご飯が入らなかった」と、祝杯もそこそこに喜びに浸っていたことを明かした。祝福のメールなども200件ほど届いたという。

先場所が小結で11勝、今場所は12勝を挙げ、大関昇進の目安とされる「三役で3場所33勝」へ、来場所10勝以上で大関昇進が確実視される。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)に向けては「まずは勝ち越し。できれば2ケタ」と語った。さらに6月には、兄弟子であり部屋付きの鶴竜親方(元横綱)の引退相撲が控える。「その時は『大関霧馬山』として出られれば」と、昇進への意欲を隠さず、堂々と話した。

会見では、入門からの8年を振り返り「8年の中で何度も(出身のモンゴルに)帰りたいと思った」と打ち明けた。入門時は「いきなり5時半に起きて稽古と聞いてびっくりした」という。モンゴルで行っていたモンゴル相撲や柔道などと同様に、午後から稽古だと思っていたために、驚かされたことを冗談交じりに話した。

また、前日はウランバートルにいた両親が、千秋楽はそろってテレビ観戦していなかったことも明かした。「いつもは、見ると負けるからと、お母さんがテレビで取組を見ていないけど、昨日はお父さんも緊張して見ていなかったみたい」と、笑って話した。モンゴルへの帰国は新十両を決めた際に1度だけで、次の帰国は「できれば大関に上がって帰りたい」と、再び大関昇進への意欲を見せていた。

桜を背に笑顔でガッツポーズをつくる霧馬山

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大栄翔の地元埼玉・朝霞市PVに200人「本人が一番悔しいと思う」母の高西恵美子さん

大栄翔の母校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた右から母の高西恵美子さん、兄の一直さん、オスのチロル(撮影・平山連)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所千秋楽の26日、小結大栄翔(29=追手風)の地元埼玉・朝霞市でPV(パブリックビューイング)が行われた。

大栄翔の母校朝霞第四小学校に地元住民ら約200人が駆けつけ、黄色のスティックバルーンや手作りのボードを掲げながら声援を送っていた。

本割で霧馬山に敗れた際には「次勝てば大丈夫」「大栄翔頑張れ!」などと会場内で互いを鼓舞する姿が見られた。優勝決定戦で霧馬山に敗れた瞬間は周囲から大きなため息が漏れたが、次第に温かい拍手と歓声に変わった。21年初場所以来2度目の賜杯は惜しくも逃したが、最後まで場所を盛り上げた大栄翔の頑張りをたたえていた。

会場に駆けつけた母の高西恵美子さん(60)は「本人が一番悔しいと思う。親としては、15日間無事に終えられたことの方がうれしいこと。十分だと思います」。兄の一直さんは「結果は残念ですけど、前に出る相撲はできていた。家族として誇りに思います」と話していた。

大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)には地元住民ら約200人が駆けつけた(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた、朝霞市のゆるキャラ「ぽぽたん」(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)で掲げられた「信じてる!!大栄翔」ボード(撮影・平山連)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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2度目の賜杯逃した大栄翔は大学院卒のインテリ力士 修士論文は「相撲文化継承への提言」

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所で関脇霧馬山(26=陸奥)に本割、優勝決定戦と連敗し、21年初場所以来となる2度目の賜杯を逃した小結大栄翔(29=追手風)。実は昨春まで日大大学院の総合社会情報研究科に通っていたというインテリ力士だ。専攻は相撲部屋制度に通じる同族経営、ファミリービジネスについて。修士論文の指導に当たった加藤孝治教授によると論文は5万字近くに及ぶ大作で、次世代へ相撲文化を継承するための提言がまとめられていたという。

加藤教授によると、大栄翔は国内スポーツ界における大相撲を位置づけた上で、相撲部屋の経営手法や協会の制度的な課題を分析。日本人力士が減少傾向にある現状を憂い、大相撲の文化が活性化するために必要なことを提言していた。「特徴的なのは、自分が相撲と出会った時の経験を交えて論じたこと。若い人たちが相撲と触れ合う機会をどうやって作っていくかという問題意識が高かった」と目を見張る。

また、多忙な日々をやり繰りしながら、何事も真面目に取り組む姿が印象に残ったという。「20代後半という現役バリバリで活躍している時に大学院へ通った経験は大きな意義」。卒業した今でも、ゼミ生のグループラインなどで連絡を取り合い交流が続いている。

先場所10勝(西前頭筆頭)、今場所12勝(小結)した大栄翔。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされるだけに、5月の夏場所は霧馬山とともに大関とりのチャンスがある。勝負の来場所。加藤教授は「番付が上がることは彼の論文で書いたような将来像をしていく上でもつながっていくことだと思います」と期待を寄せ、今後の活躍も引き続き温かく見守っていく。【平山連】

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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元幕内鏡桜が引退 幕内在位7場所、最高位は前頭9枚目、15日付で日本国籍取得

鏡桜(17年9月22日撮影)

大相撲の元幕内鏡桜(かがみおう、35=伊勢ノ海)が春場所千秋楽の26日、日本相撲協会に引退届を提出し、受理された。

モンゴル出身の鏡桜は15歳の時に、元関脇多賀竜の鏡山部屋に入門。力士数が少なく、2008年途中からは、師匠の息子の竜聖(現・竜勢)と2人だけとなった。そんな環境でも出稽古などで鍛え、2013年初場所で新十両に昇進。最も力士数の少ない部屋から関取になり、話題となった。初土俵から所要56場所で、外国出身としては史上6位(当時)のスロー出世。1996年12月に鏡山親方が部屋を継承してから初の関取となった。

2014年初場所で新入幕。幕内は通算7場所務め、最高位は西前頭9枚目だった。鶴竜が横綱に昇進した際は、露払いを務めた。近年は両膝や肘などの故障が相次ぎ、2020年九州場所で2番取った後は休場。21年秋場所以降は番付外となっていた。

2013年に結婚して1男1女。15日付で日本国籍を取得したばかり。詳細は未定で、今後も日本で生活していく。

三段目優勝した鏡桜(18年7月22日撮影)
水戸龍(後方)を破り幕下優勝した鏡桜(17年9月22日撮影)

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東大相撲部出身の須山、会心の一番で5勝目 今春東大卒業し相撲一本に「もっともっと強くなる」

北勝伊(左)を土俵際へ攻め込む須山(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲史上初の東大相撲部出身で東序二段20枚目の須山(25=木瀬)が、七番相撲で北勝伊(八角)を力強く押し出して5勝目を挙げた。「今場所のテーマは初日から変わらず思いっきり当たって、はたかれても前に出ることでした。最後に会心の一番が出ました」と、やってきたことを発揮できて喜んだ。

今場所の須山は4連勝で自身初のストレート勝ち越しを決めた。その後に2連敗を喫しても、気落ちせず目の前の一番に集中して5勝2敗で終えた。「今場所はメンタル面が良かった。連敗したらどうしようとか、余計なことを考えずに前に出続けた。迷いなく一番、一番に集中できた」。大きな手応えを得た。

昨年5月に初土俵を踏んで以来東大生との二足のわらじを履く生活を送っていたが、今春無事に大学を卒業。気持ち新たに来場所からは相撲一本の道に進むことについて「相撲のことを考え続けて、もっともっと強くなりたい」と意欲を見せた。

北勝伊(左)を土俵際へ攻め込む須山(撮影・小沢裕)

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大栄翔ついに単独トップ、3連敗翠富士を逆転 13場所ぶり2度目Vへ「変わらず同じ気持ちで」

明生(左)を突き押しで土俵際へ攻め込む大栄翔(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔(29=追手風)が、ついに単独トップに立った。明生を突き出して11勝2敗。10日目終了時点では、トップに2差つけられていたが3連勝し、初日から10連勝後、3連敗した翠富士を逆転した。14日目の翠富士戦に勝ち、3敗の関脇霧馬山と小結若元春が敗れれば、14日目に21年初場所以来、13場所ぶり2度目の優勝が決まる。

迷いはなかった。立ち合いで先に両手をついた大栄翔は突いて出た。1度いなして明生の体勢を崩すと、回り込もうとする相手を逃さず、最後は腹を押して完勝。これで12勝3敗となった合口の良さも手伝い、終始落ち着いて取り切った。「しっかり相手を見て攻めようと思っていた。その考え通りの相撲を取れた。初優勝の時ほど緊張もしていない」。優勝を争う3敗の3人は、全員優勝経験はない。心身充実の大栄翔が、優勝に大きく近づいた。

文字通り、相手を寄せつけない取組が続く。いくら突っ張りを繰り出し続けても、疲労の色を見せないのは「回転の速いてっぽうをやるのと、何番稽古しても突くことを意識している」と、稽古の成果と認識。その前段階として「腕立てをしっかりやる」と、基礎の積み重ね、日々の地道な努力の成果だと強調する。

大栄翔の転機は、埼玉・朝霞市立第四小1年時だった。「朝霞市で相撲大会があると、小学校でプリントが配られた。友だちみんなで『出よう』となって、出たら優勝。相撲道場の人に誘われた」。参加者30人足らずの大会で優勝。「相撲のことは全く知らなかったし太ってもいなかった」。それでも、何かで1番になれたことがうれしかった。

真面目な性格は、相撲との相性が抜群だった。一直線に突き進む、押し相撲のスタイルが確立された。磨きをかけ、21年初場所で大相撲の頂点に立った。今場所も、翠富士が先頭を独走しかけても「しっかりと切り替えられている」と連敗は回避し、慌てず、じっくりと追走。ついに逆転し、2度目の優勝に近づいた。それでも「変わらず、同じ気持ちで取りたい」。優勝経験者ならではの余裕が漂っている。【高田文太】

明生(左)を突き押しで攻める大栄翔(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き出しで明生を敗る(撮影・石井愛子)
大栄翔(左)は突き出しで明生を敗る(撮影・石井愛子)
大栄翔(左)は突き出しで明生を敗る(撮影・石井愛子)
大栄翔(手前)は突き出しで明生を敗る(撮影・石井愛子)
懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・石井愛子)

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【初場所各段優勝争い】幕下は12年目苦労人龍王と初場所三段目優勝の魁禅が6戦全勝で並ぶ

龍王(2023年1月13日撮影)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所13日目(24日、エディオンアリーナ大阪)に各段で6戦全勝同士の取組があり、優勝が決まる可能性がある。各段の6戦全勝は以下の力士。

▽幕下 西26枚目の龍王(29=二所ノ関)は12年初場所で初土俵を踏み、12年目の苦労人。かつては竜風のしこ名で昨年夏場所に改名した。最高位は昨年九州場所の東幕下16枚目。東50枚目の魁禅(29=浅香山)は今年初場所で三段目優勝。3場所連続全休から昨年九州場所に復帰を果たし、好成績をあげている。

▽三段目 西23枚目の東俊隆(23=玉ノ井)は日体大出身。先場所は途中休場、途中出場で勝ち越した(4勝1敗2休)。東35枚目の勝誠(36=境川)は05年春場所初土俵のベテラン。最高位は東幕下3枚目で、幕下一桁台は何場所もある。東80枚目の清乃海(26=玉ノ井)は5場所連続負け越しから復活した。

▽序二段 西40枚目の三島(22=鳴戸)は最高位西幕下38枚目。4場所連続休場からの復帰場所。西60枚目の勝呂(25=藤島)は拓大出身で21年九州場所、三段目100枚目格付け出しデビュー。3場所全休からの復帰場所。隆翔生(17=常盤山)は21年春場所初土俵。2場所休場から復帰。

▽序ノ口 モンゴル出身の西11枚目朝白龍(24=高砂)がただ1人全勝。今場所から番付に載った。1敗で東13枚目の若碇(18=伊勢ノ海)と西13枚目の豪ノ湖(18=武隈)が追う。

魁禅(2022年11月23日撮影)

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21、22年アマ横綱の日体大・中村泰輝が二所ノ関部屋入門 夏場所で初土俵へ

入門が決まり、師匠の二所ノ関親方(左)と記念撮影に納まる中村泰輝(二所ノ関部屋提供)

この3月に日体大を卒業した21、22年アマチュア横綱の中村泰輝(22)が、大相撲の二所ノ関部屋に入門することが23日、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)から発表された。中村は幕下10枚目格付け出し資格を有しており、4月の新弟子検査を経て、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)で初土俵の予定。石川県津幡町出身で193センチ、175キロの大型力士。この日から春場所に際して同部屋が構える、大阪・大東市の宿舎に合流。24日の稽古から参加を予定している。

二所ノ関親方は「稽古や取組も何番か見ていますが、高い素質を持っている印象を受けています。何と言っても体に恵まれているのが魅力的です。なかなか190センチを超える力士はいないし、相撲っぷりも元気がいいというかガッツがある。まだ伸びしろがあると思っています。私も足が長くて背が高い力士でしたので、しっかり自分のやってきたことを伝えていければ将来楽しみです。スピード出世とかは気にせず、じっくり鍛えてやるべきことをやり続けてほしい」と話した。

中村は「入門も決まっていよいよという気持ちです。希望していた部屋でもありますし、入れてうれしい。プロの第1歩に立てたので、早く部屋の生活に慣れて、関取に上がれるよう夏場所までしっかり稽古していきたいです」と話した。

21年12月5日、全日本選手権を制してアマ横綱に輝いた日体大の中村泰輝
23年3月15日、日体大卒業式を終え笑顔を見せる中村泰輝(左)と阿部詩

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東大相撲部出身の須山が2連敗 美浜海の突き落としに屈し4勝2敗に後退「悔しいです」

須山(左)は突き落としで美浜海に敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲史上初の東大相撲部出身で東序二段20枚目の須山(25=木瀬)が、2連敗となった。六番相撲で美浜海(玉ノ井)の突き落としに屈し、4勝2敗に後退した。

美浜海の激しい突っ張りを警戒しながら下から入り込んでの一気の攻めを試みたが、相手の仕掛けに対応できず勢いあまって土俵下へ落ちた。「立ち合いは負けている感じがしなかった。落ちてもいいから前に出ようと思って落ちてしまった。悔しいです」と振り返った。

今場所は4連勝で自身初となるストレート勝ち越しを決めた。五番相撲で尼王に屈し、この日も負けて2連敗。残り一番に向けて「その日やろうと思ったことをやって負けているんで仕方ない。これまでと同じで、一番に集中して頑張ろうと思います」と誓った。

須山(左)は突き落としで美浜海に敗れる(撮影・小沢裕)
敗れた須山は花道を引き揚げる(撮影・小沢裕)
土俵に向かって礼をするのを忘れたため花道を引き返す須山(撮影・小沢裕)
土俵に向かって礼をする須山(撮影・小沢裕)
再び花道を引き揚げる須山(撮影・小沢裕)

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世界一の侍ジャパンに八角理事長も賛辞「一生懸命やっての結果。誰でも出来る話じゃない」

八角理事長(2023年3月12日撮影)

<大相撲春場所>◇11日目◇22日◇エディオンアリーナ大阪

野球WBC決勝で米国を3-2で下し、3度目の頂点に立った日本代表「侍ジャパン」に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も前日の準決勝メキシコ戦に続き、賛辞の言葉を送った。

この日も、報道陣のリモート取材に応じた八角理事長は取組の合間に、WBCをテレビ観戦したかを問われると「いい試合だったですね。一生懸命やっての結果。誰でも出来る話じゃない」と柔和な口調で話した。さらに「普段の努力。今やらない人は、いくらその場面になっても力が出ない。力はあっても、出し切れないということが多いですから」と努力のたまものであることを強調。WBCにあやかって、大相撲の盛り上がりにもつなげたいところで「もちろん」と続けた。

日本対米国 優勝し大谷(右)ら選手たちから胴上げされる栗山監督(撮影・垰建太)

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無傷10連勝の翠富士、WBCにも興味示さず「1日1日が長く感じる」V重圧へ小さな体で挑む

懸賞金を手に花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

幕内最小兵の勢いが止まらない。

西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が11年ぶりの珍手「割り出し」で小結翔猿を破り、初日からの連勝を2桁、10に乗せた。1差で追っていた小結大栄翔が敗れたことで、2差に開き、静岡県出身力士初の幕内優勝が現実味を帯びてきた。小結琴ノ若、東前頭6枚目の遠藤が勝ち越して2敗を守った。

     ◇     ◇     ◇

翠富士が巻き起こす春の嵐は、珍手まで呼び込んだ。小結翔猿を右四つがっぷりから、攻め抜いての快勝。決まり手「割り出し」は、12年九州場所で当時大関の稀勢の里が舛ノ山に決めて以来11年ぶり。「何年ぶりとか聞くと、うれしいですね」と無邪気に笑った。

171センチ、117キロの小柄な体で積み重ねた白星は10まで伸びた。「今後またできるか分からないんで、このままの勢いで勝っていきたい」。前夜、宿舎に戻って師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に勝利を報告すると「お前、勘違いすんなよ」とピシャリ。翠富士は「エーッ!? てなりましたけど、笑いながらだったんで。喜んでくれていると思います」と言った。

残り5日間。追いかける2番手集団とは2差に開いた。静岡に初の賜杯をもたらす夢が日に日に現実へと近づいていくが、「(精神的には)意外と変わらずな感じなんです」。悩んでいた不眠症も「(前夜は)ぐっすり眠れました」と快勝。日本中が熱狂するWBCにも興味を示さず、ゲームの「ポケモン」で気分転換を図り、最終盤を迎えた。

11日目も小結の若元春との対戦が組まれた。「1日1日が長く感じる。早く終わらないかなと思うッス」。徐々に忍び寄る重圧にも小さな体で立ち向かう。【実藤健一】

◆割り出し 四つに組み片方の手で相手の腕をつかむかハズに当てがい、もう一方で上手か下手を取るか、小手に巻いて寄り切る。両力士の体が割れたようになるため、名付けられた。

▽幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長(元関脇琴ノ若) 翠富士は翔猿が左上手十分で攻めるところだったがよく動いた。勝っているから体が動くのかな。(琴ノ若は)しっかり下からあてがっていけた。本人にとって今がスタートと言っている。(遠藤は)一方的に攻められたが、本来の相撲勘が目立っている。

花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)

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無傷10連勝でV争いトップの翠富士へ八角理事長「残り3勝2敗でもいいぐらいの気を楽に」助言

八角理事長(2023年3月12日撮影)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

幕内最軽量力士の連勝が10に伸び、優勝争いで後続に2差をつけた。

西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が、今場所初めてとなる三役陣との対戦で、小結翔猿(30=追手風)を、11年ぶりとなる「割り出し」で破り無傷の10連勝。ただ1人、1差で追っていた小結大栄翔(29=追手風)が敗れたため、残り5日で2差がついた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「いい流れできている。積極的。逆に相手の方が緊張しているんじゃないかな」と、重圧を感じずノビノビと相撲を取っていると感じ取った様子だった。

2差で終盤5日間に臨むにあたり、注意することは? と問われると「(優勝を)意識して体が動かなくなること。慎重に行こうとか(気持ちが)守りに入ってはいけない」と指摘しつつ「ただ、体が動いてナンボの力士だから、それはないと思う」と現状では不安なしを見通した。2差がついたことで優勝争いで有利になったことには「下で星のつぶし合いをするからね」と認めつつ「2つ(差)を意識すると相撲がバラバラになる。(残り5日を)3-2(3勝2敗)でもいいぐらいの、気を楽にしてやったらいい。まあ、そうはうまくいかないけどね」と続けた。

花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)
懸賞金を手に花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)

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元白鵬の宮城野親方が無傷10連勝の翠富士へ「若い衆の頃からよく稽古、この場所で花が咲いた」

懸賞金を手に花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

初日からの連勝を、ついに2ケタの「10」に乗せた翠富士(26=伊勢ケ浜)の相撲を、優勝45回の元横綱白鵬の宮城野親方が称賛した。

取組前には「自分と同じような身長、体重の相手とやるのは嫌じゃないですか」と翔猿(30=追手風)との一番を占っていた。同時に優勝争いで単独トップを走る状況に「ここからが勝負。本人も初めて(の優勝争い)で疲れも出てくる未知の世界」と話し、9日目までの相撲は「無理に突っ込むのではなく胸を合わせて、しっかりまわしを取る新しいスタイル。若い衆の頃から稽古をよくしていて、この場所で花が咲いた」と評していた。

右四つ、左上手を引き胸を合わせた十分な体勢から、最後は右の差し手を抜いてハズにあて体を寄せた。最後は12年九州場所12日目の大関稀勢の里(のち横綱、対舛ノ山)以来の決まり手となる割り出しで勝負を決めた。

取組後、宮城野親方は「緊張、堅さがあるかと思ったが、頭をつけたのが勝機につながったと思います」と解説した。取組前に、翠富士が緊張で前夜は一睡もできなかったというリポートが入ると「それは早いんじゃないですか(笑い)」と、優勝を意識するのは最終盤になってからという、45回Vの経験者ならではの見解を示していた。

翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)

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【WBC】八角理事長も侍ジャパンに賛辞惜しまず「感動を呼んだ」逆転サヨナラ勝利メキシコ戦

八角理事長(2023年3月12日撮影)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

西前頭5枚目の翠富士が初日からの連勝を「10」に伸ばした。 小結翔猿との一番。右四つがっぷりの体勢から、右の差し手を抜いてはず押し。最後は珍しい「割り出し」の決まり手で勝利した。 ただ1人1差で追っていた小結大栄翔が、関脇豊昇龍に寄り切られ、その差は2に開いた。 小結琴ノ若が阿炎を破って2敗を守り、相撲巧者の遠藤は大関経験者の正代を逆転のすくい投げで勝ち越し、2敗に残った。

     ◇    ◇    ◇

メキシコに劇的な逆転サヨナラ勝ちした、野球WBC準決勝の侍ジャパンの姿に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「感動を呼んだ」と賛辞を惜しまなかった。

この日も、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は取組の合間に、WBCをテレビ観戦したかを問われると、「最後、見ました。一生懸命やっているのが分かる。強い相手がいて、勝ったり負けたりするのが感動を呼ぶ。相手を敬うことが大事」と勝負をあきらめず、最終回にサヨナラ勝ちした日本代表をほめた。

さらに、協会トップの立場を踏まえて言及。「強い相手がいてこそ、いい相撲になる。それがいい経験になる。相撲も上位と当たるのが一番の経験になる」と語っていた。

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