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優勝の照ノ富士、初めて語った第1子長男への思い「モチベーション」の回答に見えた横綱の責任感

大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)

大相撲夏場所で8度目の優勝を飾った横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、初めて第1子の長男について語った。同場所千秋楽から一夜明けた29日、都内の部屋で会見。長男の杉野森照務甚(すぎのもり・てむじん)くんについて「去年の11月に生まれて、自分の子ですし、何て言うのか…。本当にかわいいですね」と話した。千秋楽の支度部屋では、一緒に記念撮影に納まったり、抱っこしてあやしたりといった場面を披露していた。

昨年9月の秋場所から4場所休場していた照ノ富士にとって、夏場所は照務甚くん誕生後、最初の本場所だった。それがモチベーションになったか問われると「何かがあるから、余計にこうしよう、ああしようという思いでは、もともと場所に臨んでいない。その場所、その場所、その日、その日が全部大事だと思っている。いつ何が起きるか分からないので。こういうことがあったから、この場所が大事という思いはない。もちろん、家庭のことだから、この子にこうしてあげたいなという思いは、ありますけど。だからといって、その場所だけということではありません」ときっぱり。あくまで横綱の責任感、復活と目標とする優勝10度への思いが、原動力だった様子だ。

「テムジン」は、モンゴル帝国の初代皇帝チンギスハンの本名と同じ。大きく育ってほしいという父親としての思いをうかがわせた。

それだけに昨年7月の名古屋場所以来となる、本場所15日間を完走し「(疲れが)ないと言ったらウソになる。無事に終わったなという感じ。1日1日を無駄に過ごしていなかったのがよかった」と、心身への負担が大きかったことをうかがわせた。昨年10月に手術した両膝については「大丈夫です」と断言。名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)では、自身3度目の2場所連続優勝の期待が懸かる。

その名古屋場所では、関脇霧馬山が大関に昇進して臨むことになる見通しだ。同じモンゴル出身の先輩として「(大関に)上がるのは、もちろん努力を積み重ねたからのこと。(大関の地位を)維持するという思いでやれば、落ちることしかない。逆にその上(横綱)を目指して、という思いでやってほしい」と、エールを送っていた。

大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
大相撲令和5年夏場所の優勝一夜明け会見に臨む横綱照ノ富士(撮影・小沢裕)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会で長男・テムジン君を抱きながら笑顔を見せる照ノ富士(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を笑顔で抱く照ノ富士。前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽、伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を抱く照ノ富士。前列左は師匠の伊勢ケ浜親方、前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽 優勝し、賜杯を手に愛息のテムジン君にキスする横綱照ノ富士(2023年5月28日撮影)
夏場所千秋楽 優勝し、賜杯を手に愛息のテムジン君を抱いて笑顔を見せる横綱照ノ富士(2023年5月28日撮影)

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【若乃花の目】貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士 鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる

「若乃花の目」

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

照ノ富士は前日に優勝を決め、一方の貴景勝もかど番脱出を既に決めていました。昨年名古屋場所以来となる、千秋楽結びの横綱-大関対決でしたが、1人横綱と1人大関を背負ってきた2人の、それなりに意味のある一番でした。やるだけのことはやった、というのが貴景勝です。突っ張りではなく、もろ差し狙い。意表を突いて横綱を少し慌てさせました。かど番を脱出して相手が横綱だからこそ出来たのだと思います。あえてもろ差し狙いの相撲で向かった、こういう相撲を取り入れていけば今後、余裕が出てきます。精神的に土俵際まで追い詰められて学ぶことがあります。今場所の貴景勝はまさにそうで、最後のもろ差し狙いの相撲にそれが表れていました。

貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士の横綱としての生きざまは、優勝インタビューに表れていました。若い力士と戦うのは楽しい、というニュアンスのことを話していましたね。そんな言葉には横綱としての責任感が込められています。自分のレベルまで後輩を引き上げないと引退できない、自分を倒して追い出す力士が出ないことには辞められない-。大相撲の歴史に脈々と受け継がれてきたことで、それが本来の姿なんです。鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる。今場所の照ノ富士が体現してくれました。看板力士がいてこそ大相撲ということを2人が身をもって示してくれた場所でした。(日刊スポーツ評論家)

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)
照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)

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「令和の怪物」落合、十両V逃すも師匠から「いい経験」名古屋場所はざんばら髪での新入幕決定的

十両優勝決定戦を前に塩をまく落合(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が来場所、史上最速となる所要3場所での新入幕を決定的にした。

本割は欧勝馬を押し出し。14勝1敗で並んだ豪ノ山との優勝決定戦は押し出されて敗れ、初の十両優勝はならなかった。それでも優勝同点の好成績を収め、名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)は、ざんばら髪で幕内土俵を盛り上げることになりそうだ。

   ◇   ◇   ◇

「怪物」が最短距離で幕内に到達する見込みとなった。落合は本割で欧勝馬を圧倒。前に出続け、付け入る隙を与えなかった。14勝1敗。引退と陥落による幕内の空きは4枠以上で、名を連ねるとみられる。正式には6月26日の名古屋場所番付発表で決定するが、「どうなるか分からないけど、師匠には『2場所で通過しなかったら引退』と言われていたので、14勝してホッとした。まだ好きな相撲を続けられる(笑い)」と、冗談交じりに話した。

ただ喜んでばかりではない。優勝決定戦は豪ノ山に一方的に敗れた。先場所、今場所11日目に続き、豪ノ山には3戦全敗。取組後は開口一番「負けた。それだけです」と唇をかんだ。引き揚げる花道では、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)に「いい経験だ」と声をかけられた。その師匠が昇進2場所目でつかんだ十両優勝には届かず「絶対にこの悔しさは、これからの相撲人生に生きてくる。いい負けだった」と前を向いた。

幕下15枚目格付け出しでデビューの初場所を全勝。史上初の所要1場所で関取となった。新十両の先場所も10勝。来場所、所要3場所での新入幕なら遠藤と並ぶ史上最速で、新たな怪物伝説となる。4月の稽古で痛めた左肩はテーピングで固め、3日に1度は病院で痛み止めの注射を打った。負傷休場の兄弟子、炎鵬を「誰もが尊敬」と慕い、思いも背負った。新入幕で新たなしこ名も期待されるが「秘密です」。怪物から目が離せない。【高田文太】

十両優勝決定戦で落合(右)は豪ノ山に押し出しで敗れる(撮影・足立雅史)
落合(左)は押し出しで欧勝馬を破る(撮影・足立雅史)

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5場所ぶり実現した横綱-大関戦に八角理事長「締まった場所に」責務全うの照ノ富士&貴景勝絶賛

優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、昨年名古屋場所以来、5場所ぶりに実現した横綱-大関戦を制し、14勝1敗の好成績で優勝に花を添えた。

ここまで5勝4敗と拮抗(きっこう)していた大関貴景勝(26=常盤山)と対戦。突っ張りでなく、もろ差し狙いで向かってきた大関に、少しばかり意表を突かれる格好となったが、冷静に対応し、最後は押し出し14勝目を挙げた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、まず敗れた貴景勝について言及。「今、持っている力を発揮した」と評価。来場所に向けて「体調を治して、もっといい相撲を取れるように」と注文し、最後は照ノ富士との番付上位対決が5場所ぶりに実現したこともあって「締まった場所になった」と責務を全うした1横綱1大関をほめた。

取組前にも、2人の健闘ぶりについて語った。「体調面で難しいが1横綱、1大関ともによくやっている。照ノ富士は(復帰の今場所で)結果を残したけど、貴景勝も1月(の初場所)に(優勝という)結果を残して踏ん張っている。今の精いっぱいの自分を出し切ることが大事」。さらに照ノ富士について「これだけ休んで出てきて優勝。なかなか大変なことだ。1人しか(横綱が)いないプレッシャーの中、休むのも勇気がいるんです。周りは(休場して)楽だな、と思うかもしれないけど、逆にきつい。そんな中、よく我慢して(土俵に)帰ってきて、14日目に優勝。最高の優勝じゃないかな」と、自身も体験した3場所以上の全休明けからの優勝に、賛辞を送っていた。

照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
満員御礼となった両国国技館(撮影・足立雅史)

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霧馬山が大関昇進へ、佐渡ケ嶽審判部長「成績申し分ない」 残る3関脇は来場所大関とりと明言

北青鵬(左)を外掛けで破りホッとした表情を見せる霧馬山(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇霧馬山(27=陸奥)の、事実上の大関昇進が決まった。この日午後、日本相撲協会の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)が、八角理事長(元横綱北勝海)に、霧馬山の大関昇進をはかる臨時理事会の招集を要請し、これを受諾された。31日の臨時理事会と大相撲名古屋場所の番付編成会議を経て、大関霧馬山が正式に誕生する。

打ち出し後、佐渡ケ嶽部長は霧馬山について「成績も(3場所)合計34勝で申し分ない」と14日目時点の数字を挙げたことから、千秋楽の結果を待たずに大関昇進を審判部内で決め、理事会招集を要請したことを示唆した。相撲内容についても「初日からぎこちなかったが、勝つごとに内容が良くなってきた」と総評した。霧馬山の良さについても、私見としながら「いろいろな見方がありますが、足腰の良さ、土俵際の粘りで最後は自分の形になっているように見えた」と評価した。

大関昇進が決まれば「立ち合いの変化とかをなくして真っ向勝負で行ってほしい。自分の相撲を磨いてほしいですね」と看板力士になるからこその注文を付けた。

また、今場所の残る3関脇についても言及。先場所と今場所の合計が22勝の大栄翔(29=追手風)、ともに21勝の豊昇龍(24=立浪)と若元春(29=荒汐)の3人だが「来場所は(3人とも)大関とりの場所になるか」の問いに「大関をかける場所になります」の明言。その上で「この3人が『俺が先に』という気持ちで頑張ってほしい。そうすれば平幕から(新たな候補が)また上がってくる」と相乗効果に期待。「来場所が楽しみです」と話し、場合によっては9月の秋場所で最大5大関も考えられる飽和状況にも「いいんじゃないですか」と活性化は歓迎、の様子だった。

豊昇龍に下手投げで敗れた霧馬山(手前)(撮影・足立雅史)
【イラスト】名古屋場所の予想番付

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横綱照ノ富士「本当に優勝したんだな」恒例の優勝賞品、金色の巨大マカロンも受け取る

優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

6場所ぶり8度目の優勝を決めていた横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)は千秋楽に大関貴景勝を押し出して14勝1敗で場所を終えた。

表彰式では八角理事長から1年ぶりに賜杯を渡された。日仏友好杯の副賞で恒例の巨大な金色のマカロンも受け取った。土俵下での優勝インタビューでは、まず四方に頭を下げ「本当に優勝したんだなと。(膝の)手術して復帰できて本当にうれしいです」とホッとした表情を見せた。若手力士も台頭してきたが「力をつけた若い力士と対戦するのはうれしいし、ワクワク感がある」と振り返った。

14日目の27日は1差で迎えた2敗の関脇霧馬山との直接対決。寄り切りで制して13勝目を挙げ、千秋楽を残して6場所ぶり8度目の優勝を決めていた。3場所以上続けて全休して優勝した横綱は3人目。1989年初場所を制した北勝海(現八角理事長)以来34年ぶりの復活劇となっていた。

幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
照ノ富士(右)の優勝インタビューに拍手を送る所ジョージ(中央左)と格闘家の安保瑠輝也(同右)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
八角理事長から賜杯を受け取る照ノ富士(代表撮影)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
夏場所で優勝し、木原誠二内閣官房副長官(右)から内閣大臣杯を受け取る照ノ富士(左)(代表撮影)
満員御礼となった両国国技館(撮影・足立雅史)
賜杯を手に万歳する横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に愛息のテムジン君を抱いて笑顔を見せる横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に愛息のテムジン君にキスする横綱照ノ富士(代表撮影)
賜杯を手に万歳する横綱照ノ富士(代表撮影)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
オープンカーの上でバンザイする照ノ富士。左は翠富士(代表撮影)
オープンカーの上で敬礼する照ノ富士。左は翠富士(代表撮影)
優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
照ノ富士の優勝パレードを見送る大勢のファンら(撮影・足立雅史)
伊勢ケ浜部屋前で地元住民の祝福を受ける照ノ富士(撮影・小沢裕)
師匠の伊勢ケ浜親方と抱き合う照ノ富士(右)。左は淳子夫人(撮影・小沢裕)
師匠の伊勢ケ浜親方から水を付けてもらう照ノ富士(右)。左は親方の淳子夫人(撮影・小沢裕)
伊勢ケ浜部屋前で子供から花束贈呈を受けハイタッチする照ノ富士。後方左から師匠の伊勢ケ浜親方とおかみさんの淳子夫人(撮影・小沢裕)
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を抱く照ノ富士。前列左は師匠の伊勢ケ浜親方、前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人
伊勢ケ浜部屋での祝賀会で長男・テムジン君を抱きながら笑顔を見せる照ノ富士
伊勢ケ浜部屋での祝賀会で、前列左から師匠の伊勢ケ浜親方、1人おいておかみさんの淳子夫人、長男・テムジン君を抱くツェグメド・ドルジハンド夫人と関係者に囲まれながらお祝いの鯛を掲げる照ノ富士
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でツェグメド・ドルジハンド夫人(右)から手渡された長男・テムジン君を笑顔で抱く照ノ富士。前列右から2人目はおかみさんの淳子夫人
伊勢ケ浜部屋での祝賀会でお酒が注がれた大盃を手に笑顔を見せる照ノ富士

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1年ぶり復活優勝の横綱照ノ富士、貴景勝を下して14勝目 豊昇龍は11勝で来場所大関とり挑む

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が復活優勝を14勝目で飾った。大関貴景勝との一番。もろ差しを許すが、かまわず前に出て最後は押し出した。

照ノ富士の14勝以上は全勝した21年九州場所以来。両膝の不安を抱えながら、横綱としてきっちり土俵を締めた。

関脇豊昇龍は、霧馬山を下手投げで11勝目。先場所も関脇で10勝をあげており、来場所は大関とりに挑む。

照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
霧馬山(手前)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)
豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)
豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)

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照ノ富士「1日でも早く復帰して闘う姿を見せたかった」1年ぶり8度目V 賜杯手にし喜び語る

照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が復活優勝を14勝目で飾った。1年ぶりの賜杯を手にし館内インタビューで喜びを語った。

-今の心境は

照ノ富士(以下照) 本当に優勝したんだな、と。手術してからやっと相撲をとることができた。途中で優勝は決まったけど、最後まで気を抜かずにいきました。

-支度部屋に戻って

照 本当にやったなという思い。

-休場明けで

照 昨年の10月に手術して1日でも早く復帰して闘う姿を見せたかった。最初からやれるという気持ちでいった。その気持ちで最後までいくことができた。

-優勝争いは

照 力つけている若い力士も多い。(霧馬山との一番は)優勝かかった一番でもあったし、もう大関になったというつもりで対戦した。

-ファンへ

照 国技館へ足を運んでくれた人たち、声援を聞いて頑張ってよかったと思った。

-来場所へ

照 まだ場所が終わったばかりなんで。次の場所にむけてもう1回、体と向き合って頑張りたい。

照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)

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関脇霧馬山の事実上の大関昇進が決まる 審判部が八角理事長に臨時理事会の招集を要請し受諾

豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇霧馬山(27=陸奥)の、事実上の大関昇進が決まった。この日の打ち出し後、審判部(佐渡ケ嶽部長=元関脇琴ノ若)が、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)に、霧馬山の大関昇進をはかる臨時理事会の招集を要請し、これを受諾された。

31日の臨時理事会と大相撲名古屋場所の番付編成会議を経て、大関霧馬山が正式に誕生する。

豊昇龍(右)は下手投げで霧馬山を破る(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)
霧馬山(手前)を下手投げで破る豊昇龍(撮影・足立雅史)

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序二段は聖富士が決定戦制す「緊張より楽しいが勝ちました。お客さんも満員で明るい」

序二段優勝の聖富士(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

序二段は東60枚目の聖富士(さとるふじ、18=伊勢ケ浜)が、西7枚目・欧勝竜(27=鳴戸)との決定戦を上手投げで制し、優勝を飾った。

「緊張より楽しいが勝ちました。お客さんも満員で明るいというかまぶしくて。早く上がりたいと思いました」

初めて番付に載った先場所は、東序ノ口12枚目で5勝2敗に終わった。横綱照ノ富士からもアドバイスをもらえる恵まれた環境で、力をつけた成果を出した。

同じ静岡・飛龍高出身の十両・熱海富士が当面の目標になる。「今は体作りですね。体を大きくしてから。小さくても大きな相手を投げられるのが相撲の醍醐味(だいごみ)。徐々に(番付を)上げていけたら」と意気込みを新たにした。

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朝乃山は12勝で2年ぶりの幕内復帰場所を終える「背中を押してくれた」相撲ファンに感謝

朝乃山(右)は寄り切りで剣翔を破る(撮影・足立雅史)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、幕内では自己最多に並ぶ12勝目を挙げ、2年ぶりに幕内力士として戻った今場所を終えた。

剣翔をじっくり攻め、最後は上手を引きつけて万全の寄り切り。12勝3敗とし、他の力士の結果を待たずに、14日目に優勝を決めた横綱照ノ富士の優勝次点となることが決まった。

取組後は「自分の形になった。上手を取れたので、引きつけて出ていった」と、落ち着いて取り切った相撲にうなずいた。12勝という結果には「幕内では12番までしか勝ったことがない。あと1、2番は勝ちたかった」と、率直な感想を述べた。

15日間を振り返り「十両と違って、負けたくないプレッシャーもあった。でも土俵に上がると、声援が力になった。背中を押してくれた。楽しく、思い切ってできた」と、相撲ファンに感謝した。

来場所は大きく番付を上げることも予想されるが「来場所が勝負。今の三役は非常に強い。(このままだと)全く通用しないと思う」と、強い危機感も示した。最後、報道陣に「15日間、ありがとうございました」と、頭を下げ、大きな声で感謝の思いを伝えて引き揚げた。

朝乃山は寄り切りで剣翔を破る(撮影・足立雅史)
朝乃山(左)は剣翔を寄り切りで破る(撮影・小沢裕)

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2年連続アマ横綱の大の里、デビュー場所は6勝1敗「最初の負けがあったからこそ」

大の里(左)は大辻を押し出しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

日体大で2年連続アマチュア横綱に輝いた、幕下10枚目格付け出しの大の里(22=二所ノ関)が、6勝1敗でデビュー場所を終えた。

立ち合いから前に出続け、大辻を押し出す完勝。「自分の相撲を取り切ろうと思って取れた。よかった」と、ホッとした表情を見せながら話した。

プロデビューとなった初日の取組は、日体大の2学年先輩の石崎に、土俵際で逆転負けした。だが、そこから6連勝。来場所は幕下5枚目以内、勝ち越した段階で新十両昇進に前進する番付となることが予想される。「最初の負けがあったからこその6勝1敗。最初の負けが、いい形になってくれた。そこから6番につなげられたのでよかった」と話し、黒星デビューは長い力士生活を考えれば、好材料だったと今は思える。

15日間を振り返ると「長かったし難しかった。(6番相撲から)最大の3日間相撲がなかったけど、国技館に来たらスイッチが入った」と、心身の調整の難しさを感じた。また、審判部の師匠、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の付け人として、結びの一番まで会場内で相撲を見ることもあった。「幕内の土俵は、負けても勝っても華がある。1日も早くそこで、幕内以上で相撲を取れるように頑張りたい」と、あこがれの気持ちが日に日に強まった様子だ。

「本当に初めてのことだらけ。最初の1週間は気疲れもした。2週間目からはプロの生活も理解できて集中できた。師匠にも目配り、気配りができたかなと思う」。部屋での生活、場所中の取組までの準備などにも慣れてきた。「来場所も(目標は)とにかく勝ち越し。初日が課題」。気を緩める様子もなく、終始前を向いて話していた。

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照ノ富士3場所連続全休から復活V「今もやめたい」漏らしたことも 日々鍛錬で両膝手術から再起

霧馬山(左)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(31=伊勢ケ浜)が、3場所連続全休からの復活優勝を果たした。1差で迎えた2敗の関脇霧馬山との直接対決。寄り切りで制して13勝目を挙げ、千秋楽を残して6場所ぶり8度目の賜杯を決めた。3場所以上続けて全休して優勝した横綱は3人目。1989年初場所を制した北勝海(現八角理事長)以来34年ぶりの復活劇となった。

    ◇    ◇    ◇

強い横綱が帰ってきた。1年ぶり8度目の優勝を飾った照ノ富士は「素直にうれしいです」と実感を込めた。両膝のケガから復活を果たし、願っていた結果を手にした。「10月に手術をして1日、1日を無駄にしたくないという思いでやっていました。頑張ってきてよかった」とかみしめた。

大関昇進を確実にしている霧馬山を盤石の攻めで寄せ付けなかった。「本当に力をつけてきた」という同じモンゴル出身の27歳の挑戦を、がっぷり四つに組んで受け止めた。チャンスとみるや、逃さず土俵際まで持っていき寄り切った。

昨年9月の秋場所で両膝の状態が悪化して途中休場。特に右膝は、骨が完全にずれるほどのダメージを負っていた。翌10月に両膝の手術を受けたが「人工関節が必要」と言われるほどの症状は重かった。痛みがゼロになるわけではなく「将来を考えたら、今でもやめたいよ」と漏らしたこともあった。

2代目若乃花の間垣部屋にいた頃からの縁で、照ノ富士が信頼する伊勢ケ浜部屋の呼び出しの照矢は「手術しても決して完全に治るわけではない。少しでも状態が戻ればと思ったんでしょう」と代弁する。休場中も万全にはならない膝と向き合い、トレーニングを怠らなかった横綱の姿が印象に残っている。下半身の踏ん張りを少しでも補うため、大きな筋肉の間の細かい筋肉まで鍛えるメニューを実践。再起をかけて奮起する日々も「いつもと変わらない横綱。落ち込むことはありませんでした」という。そんな日々の鍛錬があったからこその優勝だった。

手術をするか否か、出場をするか否かも、常に師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と相談しながらやってきた。「親方、おかみさんがいないと今の自分はいない。本当に1つの優勝では返せないくらい恩を感じています」と感謝の言葉を並べた。残すは千秋楽の大関貴景勝戦。「まだ1日ありますから。良い千秋楽を迎えられるように」。引き締まった表情のまま、余韻に浸ることなく気持ちを切り替えた。【平山連】

霧馬山(左)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
霧馬山(左)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
霧馬山(下)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
霧馬山(下)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
照ノ富士は霧馬山(左)を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)
拍手を浴びながら花道を引き揚げる照ノ富士(撮影・中島郁夫)
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材で汗をぬぐう
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材を受ける
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材を受ける

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【若乃花の目】照ノ富士は技術的なうまさがあるからこそ横綱 1人横綱を脅かす2大関に期待

「若乃花の目」

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

数字上は当確でも、前半戦の相撲内容を消極的と指摘された霧馬山としては、不評を払拭(ふっしょく)するためにも「横綱に勝って大関文句なし」の相撲を見せたかったでしょう。

引っ張り込んで前に出たかった照ノ富士に、そうはさせまいと浅い左差しで食い付きました。よく考えて取ったと思います。ただ、相手はやっぱり横綱です。落ち着きはらっていました。引っ張り込むことが無理とみるや、腰をドッシリ落として対処しました。大きな体であれだけ低く構えられ、最後は胸が合ってしまっては、霧馬山も太刀打ちできません。勝負を決める前に、霧馬山の右上手を切ったことも見逃せません。体の大きさが有利なのはもちろんですが、ただ引っ張り込んできめたり、強引な小手投げを打つだけではない、技術的なうまさがあるからこそ横綱なんです。

私の経験からしても、4場所休場明けというのは、精神的にきつかったはずです。今場所の照ノ富士も初日は心配でしたが、3日目ぐらいから流れをつかんだのでは、と思います。強引さもあり、うまさもありの相撲で、現状では頭1つ2つ抜きんでています。来場所は2大関が確実で、関脇陣も複数人が大関挑戦になります。1人横綱を脅かす力士が出て、さらなる白熱した土俵に期待します。(日刊スポーツ評論家)

霧馬山(下)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
照ノ富士は霧馬山(左)を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)
拍手を浴びながら花道を引き揚げる照ノ富士(撮影・中島郁夫)
霧馬山(下)を寄り切りで破り優勝を決めた照ノ富士(撮影・中島郁夫)
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材で汗をぬぐう
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材を受ける
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材を受ける
照ノ富士(右)は霧馬山を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)
照ノ富士は霧馬山(左)を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)

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白鷹山が休場 左膝を負傷し全治4週間の見込み、取組後は車椅子で運ばれる

左膝を痛めた白鷹山は車いすで運ばれる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京両国国技館

東十両6枚目・白鷹山(28=高田川)が夏場所千秋楽を休場する。

14日目の藤青雲戦で8敗目を喫した際に左膝を負傷。取組後は車椅子で診療所に運ばれた。同日、日本相撲協会に「左膝内側側副靱帯(じんたい)不全損傷で全治4週間の見込み」との診断書を提出した。

白鷹山の休場は21年名古屋場所以来、7度目となる。

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朝乃山が738日ぶりに三役から白星 小結正代破り「今日という一番を思い切ってやった」

朝乃山(手前右)は正代を寄り倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

今場所、2年ぶりに幕内力士として土俵に立った東前頭14枚目の朝乃山(29=高砂)が、738日ぶりに三役から白星を挙げた。同じ大関経験者の小結正代を、立ち合いから押し込んだ。土俵際で粘る相手に、覆いかぶさるように寄り倒し。際どい勝負だったが、攻め込んだ朝乃山の左腕が土俵につくのが、正代が落ちるよりも遅く、勝ち名乗りを受けた。

12日目は関脇大栄翔、前日13日目は横綱照ノ富士を相手に連敗していたが、11勝3敗とした。取組終了時点では辛うじて優勝の可能性を残していたが、結びの一番で1敗の照ノ富士が、2敗の関脇霧馬山を破って8度目の優勝が決定。朝乃山の4年ぶり2度目の優勝は、来場所以降に持ち越しとなった。

取組後は「左(前まわし)を取れた感触はあったけど切れた。止まったら、しぶとい正代関。右を差され、土俵際で巻き替えられたけど、体を預けて寄り倒した。(倒れ込んだ際に左腕を引っ込めたのは)無意識。よかったです」と振り返った。前日は照ノ富士に敗れたが「何も考えず、今日という一番を思い切ってやった。昨日(13日目)の横綱戦は精いっぱい、思い切ってやった結果。負けは仕方ないと切り替えられた」と、11勝目を挙げることだけに集中して臨んでいた。

三役に勝つのは、新型コロナウイルスのガイドライン違反で、6場所出場停止となる前の21年5月19日、夏場所11日目で関脇隆の勝に勝って以来だった。「三役とやるのは(12日目の大栄翔戦に続き)2人目。来場所は全員と当たりたい。4関脇3小結に、今のままだと勝てない。1年の謹慎で三役の顔ぶれが変わったけど、負けないようにしたい」。

まずは千秋楽の相手に決まった、剣翔戦に勝って12勝目を挙げることが目標。少しでも来場所の番付を上げ、名古屋場所(7月9日初日、名古屋市・ドルフィンズアリーナ)では、三役以上から多くの白星を重ねるつもりだ。

正代(左)を寄り倒しで破る朝乃山(撮影・中島郁夫)
正代(左)を寄り倒しで破る朝乃山(撮影・中島郁夫)

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新関脇若元春が2桁10勝目で来場所大関とりへ「今の番付をまっとうすることしか考えられない」

貴景勝(左)を押し倒しで破る若元春(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

新関脇の若元春(29=荒汐)が、過去3戦全敗だった大関貴景勝に初めて勝ち、2桁10勝目に乗せた。

「ここまで勝ったことがない大関戦。今日こそはと思っていた。落ち着いて、気持ちは負けないようにいきました」

強烈な張り手を食らった。しかし、ひるむことなく攻め続けた。最後は体を浴びせるように押し倒し。完勝だった。

先場所は小結で11勝。今場所の2桁勝利で、来場所の大関とりに挑む権利を得た。「まだ(千秋楽の)1番あるんで。来場所のことは考えていない」と言った。

同じ関脇の霧馬山が大関昇進を確実にした。「正直、すごいなと思う。自分はまだ、今の番付をまっとうすることしか考えられない」。着実に力は証明している。上の番付へ、より近づくために大事な千秋楽の1番。「頑張りたい」と短い言葉に決意をこめた。

貴景勝(右)を土俵際へ攻め込む若元春(撮影・小沢裕)
貴景勝(右)を押し倒しで破る若元春(撮影・小沢裕)

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照ノ富士が復活の優勝、新関脇の若元春は10勝目、朝乃山は11勝目

照ノ富士は霧馬山(左)を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が復活の優勝を飾った。

星1つ差で追っていた関脇霧馬山と対戦。外四つの厳しい体勢となったが、右を巻きかえて一気に体を寄せて寄り切った。

昨年秋場所の途中休場から4場所連続の休場。横綱の威厳を示す形で6場所ぶり8度目の優勝を飾った。

新関脇の若元春は大関貴景勝を押し倒して2桁10勝目。先場所は小結で11勝をあげており、来場所は大関とりに挑む権利を得た。

幕内に復帰の東前頭14枚目・朝乃山は、小結正代を寄り倒し、11勝目をあげた。

照ノ富士(右)は霧馬山を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)
幕内優勝を決めた横綱照ノ富士は支度部屋の囲み取材を受ける
貴景勝(右)を土俵際へ攻め込む若元春(撮影・小沢裕)

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「令和の怪物」落合“白鵬超え”13勝目 師匠の教え守り右四つ阻止 豪ノ山と並び千秋楽へ

落合(左)は上手投げで狼雅を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

西十両8枚目の「令和の怪物」落合(19=宮城野)が“師匠超え”の13勝目を挙げた。ともに高校横綱で、鳥取城北高の先輩でもある狼雅に快勝。けんか四つの相手に差し勝って左四つに組み止め、上手投げで仕留めた。これで昭和以降最速に並ぶ、所要3場所での新入幕にも大きく前進。「相手が右四つという強い型を持っているので、右四つにだけはならないように意識した」と、狙い通りの取り口に持ち込み、胸を張った。

今場所前から、師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)が、十両2場所目に挙げた12勝が目標と公言していた。それを超える、この日の白星に「14日間、変わらずやってきたのがこの結果」と、毎日平常心を保ち続けた結果と強調した。落合はこの日の朝稽古のこととして「師匠に教えてもらったことができてよかった。師匠からは『右四つにさせないように』と言われいて、それをできてよかった」と、うなずいた。

今場所は同部屋の兄弟子炎鵬が、1勝もできずに10日目から休場した。来場所は幕下に陥落する可能性がある。「部屋の誰もが尊敬する炎鵬関。炎鵬関もつらいと思うけど、自分はかわいがってもらっていたので、結果で恩返ししたいという思いが強い。同じ土俵で肌を合わせて、技をかけてもらった。胸を借りるのがありがたくて、技を吸収させてもらったし、勉強になった」。感謝の思いは強い。また、今場所の宮城野部屋は北青鵬が幕内土俵で存在感を見せ、西幕下筆頭の川副が来場所の新十両昇進を確実にした。「宮城野部屋は仲間だと思っているので、一緒に盛り上げられたら幸せ」と“仲間”の活躍を刺激にしてきた。

宮城野親方が十両2場所目で12勝した際は、十両優勝も飾っていた。現在、13勝1敗で豪ノ山と並んでいる。千秋楽も勝って自身も十両優勝を手土産に、遠藤と並ぶ所要3場所での新入幕に近づくつもり。「14日間やってきたことを明日(千秋楽)もやりたい」と、短い言葉に千秋楽にかける思いをにじませていた。

狼雅(左)を上手投げで破る落合(撮影・中島郁夫)

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東大出身の三段目須山は2勝5敗で負け越し「通用しない感じではなかった」

八女の里(左)に突き落としで敗れた須山(撮影・中島郁夫)

<大相撲夏場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

大相撲史上初の東大出身、東三段目73枚目の須山(25=木瀬)は、2勝5敗で今場所を終えた。

立ち合いから八女の里の突きに上体を起こされ、左に動きながら、おっつけて攻勢の機会をうかがう中で、足を滑らせるようにして突き落とされた。「若干、立ち遅れた。本当は先手を取りたかったけど、後手に回り、受けてばかりだった」と、悔しそうに話した。

自己最高位、初の三段目土俵を振り返り「力が通用しない感じではなかった。当たった感触は手応えもあった。負けた相撲を振り返ると、足がそろっているといったところ。出直して、基本的なことをしっかりとやっていきたい」と誓った。「むしろ押し込んでいける時もあった」と、自信に感じた取組もあった。来場所は再び序二段となる可能性もあるが、早くも雪辱の思いをにじませていた。

ちりを払う須山(撮影・中島郁夫)
八女の里(手前左)の攻めをこらえる須山(撮影・小沢裕)
八女の里(奥)に突き落としで敗れる須山(撮影・小沢裕)
八女の里(左奥)に突き落としで敗れる須山(撮影・小沢裕)

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