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元琴奨菊の秀ノ山親方 佐渡ケ嶽部屋の優勝力士輩出は「近いんじゃないですか」/インタビュー後編

引退相撲を支援するレコチョクのキャラキュター「レコチョクマ」の横でポーズをとる秀ノ山親方(撮影・菅敏)

元大関琴奨菊の秀ノ山親方(38)が、10月1日に東京・両国国技館で引退相撲を開催する。5月30日からチケットの販売が始まった。インタビューの後編は、親方としての指導の現状などについて聞いた。【取材・構成=佐々木一郎】

-朝稽古でまわしは締めていますか

秀ノ山親方 締めています。半年くらい前に琴勝峰と(相撲を取る)稽古をしたんですよ。それまではどっこいどっこいだったんですが、3番連続で電車道でもっていかれた。それで稽古はやめておこうと。それからは、胸を出すだけになりました。あらためて力士って毎日稽古して体を鍛えて、その積み重ねは本当にものすごいんだなと思いました。

-琴ノ若の成長はいかがですか

秀ノ山親方 琴ノ若ともやったんですけど、天性のやわらかさで吸い込まれます。白鵬関に近いんですよ。むちゃくちゃ分が悪くて、若とやっても感覚が合わないなと思って。勝峰はがつっとくるので、自分もやりやすい。若は本当に強いですよ。

-あの2人が佐渡ケ嶽部屋を引っ張っていかないといけません

秀ノ山親方 2人だけでなく、関取では琴恵光も頑張っています。自分が優勝した時に付け人についてくれていて、恵光は「あの時があったから頑張れています」と言ってくれている。恵光がしっかり、みんなのバランスを取りながらやってくれています。

-関取衆に具体的なアドバイスはしますか

秀ノ山親方 一時期、むちゃくちゃ(助言を)したんですよ。でも、ちょっと勝峰が低迷して、苦しい時期や結果が出ない時期も、自分の感覚を取っちゃいけないなと思って、あまり言わなくなりました。仕切り方とか、その前の気持ちの持っていき方とかは言って、相撲は好きにするようにと伝えました。

-技術面を言っていた時期があったということですか

秀ノ山親方 そう。でも、人それぞれ、身長も体重も違う。取り口も違う。いくら言っても感覚が伝わらなかった。なので、ベースとなる部分は、稽古して地力を上げるしかない。勝峰は今回(夏場所)6勝9敗。持っているものを考えると、もっと上位で戦わないとおかしいんですけど、気持ちの作り方が弱いことなど、自分で気付かないといけません。

-琴ノ若と琴勝峰は稽古場ではどちらの分がいいですか

秀ノ山親方 稽古場では勝峰も結構よくて5分、6-4くらいで若ですが、いい勝負をするんですよ。勝峰は自分以上に才能があるし、努力もするので、あとは本人の力で自分の強みを知ってもらったらどんどん強くなる。

-佐渡ケ嶽部屋から優勝力士出る可能性は

秀ノ山親方 近いんじゃないですか。若を含めて。若は感覚がすごくいいんです。一緒にトレーニングをしていても、感覚が違ったらやめたりとか。

-どういうことですか

秀ノ山親方 一緒にトレーニングをしていた時のことです。重い重量を持ってやっていたんですけど、若は相手をさばくような取り口なので、それはいらないなと思ったら、次の日からやらないとか。勝峰はまじめにやるんですけど、相撲に生かせない。もっと自分を感じてやってくれたらいい。

-指導の試行錯誤はありますか

秀ノ山親方 ありますね。自分はもう1回振り出しに戻りまして、ぶつかり稽古って本当に大事だなと思っています。兄弟子が胸を出してくれて、いつ終わるかわからないという永遠のぶつかり稽古でメンタルも鍛えられるし、力を出さなければ転がされるし。相撲のバランスが取れて、気持ちも強くなっていく。あらためてぶつかり稽古の大事さを感じました。

-理不尽な稽古はもうやらない時代。力士をどう頑張らせますか

秀ノ山親方 環境作りが大切だと思います。例えば、時間調整の稽古ではなくて、気合が入ったらもうすぐ終わるとか。わくわくしたまま「終われ」と言われたら、各自でトレーニングもするし、体を動かすと思うので、そういう指導の方が今の子たちは伸びる。昔はいやでもやらされて強くなったんですけど、今は気持ちが折れちゃうので、そこはちょっといいところの1歩前で終わらせて、あとはトレーニングをさせます。自分からやる環境だとどんどん強くなると思います。

-今、体重は

秀ノ山親方 170キロあります。引退相撲までやせられないんですよ(笑い)。最大で190キロありました。引退相撲にあんまり小さくなって出るのもあれなので…。食べる量はあんまり変わりません。

-最後に、引退相撲を待っているファンに向けてメッセージを

秀ノ山親方 多くの方の支えがあったからこそ、現役時代を乗り越えることができました。最後の大銀杏(おおいちょう)姿も多くの方に見ていただいて、来場者の方にも思い出に残る断髪式にしていきたいです。

引退相撲への意気込みを語った秀ノ山親方(撮影・菅敏)
引退相撲への意気込みを語った秀ノ山親方(撮影・菅敏)
引退相撲への意気込みを語った秀ノ山親方(撮影・菅敏)
引退相撲への意気込みを語った秀ノ山親方(撮影・菅敏)
レコチョクのキャラキュター「レコチョクマ」の横で琴バウアーを披露する秀ノ山親方(撮影・菅敏)
引退相撲への意気込みを語った秀ノ山親方(撮影・菅敏)
引退相撲のポスターを手に意気込みを話す秀ノ山親方(撮影・菅敏)

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元大関琴奨菊の秀ノ山親方「お客さんに喜んでいただけるよう」引退相撲へ工夫/インタビュー前編

引退相撲への意気込みを話す秀ノ山親方(撮影・菅敏)

元大関琴奨菊の秀ノ山親方(38)が、10月1日に東京・両国国技館で引退相撲を開催する。5月30日からチケットの販売が始まった。準備状況や、指導者としての近況など、インタビューを2回に分けてお送りする。前編は、引退相撲への思いについて。【取材・構成=佐々木一郎】

-引退相撲へ向けての準備状況はいかがですか

秀ノ山親方 コロナ禍であいさつに行ける期間が決められていますので、結構バタバタしています。しっかりスケジュールを立てて、動いています。5月30日からチケット販売が始まりました。

-引退相撲のポスターは3種類も作りました。その理由は

秀ノ山親方 このコロナ禍のご時世でも、スポンサー企業さんが快く引き受けてくれました。みなさんを載せたいと思い、3種類作りました。

-そのうち2種類は、昨年3月に亡くなった兄弟子で漫画家の琴剣さんの絵を使っています

秀ノ山親方 琴剣さんの絵をどうしても使いたくて、3種類作らせていただきました。大関昇進の時など節目に描いていただき、記憶に残っていました。作るならこの絵だなと。今から戦うぞ、という雰囲気も伝わる琴剣さんの絵なので最後の断髪式に使いたいと思いました。

-琴剣さんとの思い出は

秀ノ山親方 出身が、同じ福岡なんですよね。入門当初に「この子、福岡出身だからかわいがってね」と支援者の皆さんに言ってくれていました。現役中は、勝つごとに毎回、LINEを送ってくれたんですよ。グッズで作ったクリアボードを撮影し、1勝したら1つ、2勝したら2つと、写真を送ってくれたんです。勝ち越した時は8個並べたり、毎日送っていただきました。本当にありがたかったです。毎年、春くらいにお土産用のグッズを作ってきました。その依頼も琴剣さんにしていて、かれこれ15~20種類くらい絵を描いていただいて作っていました。

-引退相撲で琴剣さんの絵を使ったグッズはありますか

秀ノ山親方 それもふまえて、考えています。少しでも琴剣さんに恩返しできるように、そういう断髪式に持っていきたいです。

-引退相撲は、レコチョクがサポートすることになりました。きっかけは

秀ノ山親方 相撲の未来について考え、何か新しい取り組みができないかと思っていたところ、佐渡ケ嶽部屋後援会の方を通じて(レコチョクの)加藤会長とお会いしました。歴史ある大相撲ですが、新たな価値を見つけて、チャレンジできたらなと思っていたところ会長と意気投合し、お願いしました。ありがたいことに、一力士だけでは考えてもできないことを、サポートしていただいています。

-引退相撲では、チケットの半券がNFT(非代替性トークン)としてプレゼントされます

秀ノ山親方 NFTのことは分からなかったけど、話を聞くと相撲界にとってもチャンスになると思いました。大相撲は瞬間のかっこよさ、様式美があります。それが多くの人に伝わったらうれしいという思いで、相撲協会からもOKをもらって進めているところです。今までの大相撲ファンとは違う方にも興味を持っていただいたらうれしいです。

-2月までの引退相撲で参考になった点はありますか

秀ノ山親方 嘉風関の断髪式が印象に残りました。来ていただく方を喜ばせるというコンセプトでやっていました。歌手の方が来たら音楽を流して、違う雰囲気を出したりとか、来ていただく方をあきさせない、盛り上がる断髪式だったので、それは自分も取り入れたい。大変な中きていただくお客さんに喜んでいただけるような、自分も思い出になるような断髪式にしたいです。

※後編は6月2日に公開します。

◆秀ノ山和弘(ひでのやま・かずひろ)現役時代のしこ名は琴奨菊。本名・菊次一弘。1984年(昭59)1月30日生まれ、福岡県柳川市出身。02年初場所初土俵、04年名古屋場所で新十両、05年初場所で新入幕。11年秋場所後に大関昇進。16年初場所で初優勝。20年九州場所限りで引退した。三賞は殊勲3回、技能4回。金星は3個。得意は左四つ、寄り。

引退相撲のポスターを手に意気込みを話す秀ノ山親方(撮影・菅敏)

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元関脇安美錦の安治川親方「好きになった相撲を好きなだけやった人生でした」引退相撲

長男の丈太郎くん(手前左)と最後の土俵入りを披露する元安美錦の安治川親方(撮影・小沢裕)

大相撲の19年名古屋場所で現役引退した元関脇安美錦の安治川親方(43)の引退相撲が29日、東京・両国国技館で行われた。新型コロナウイルスの影響で2度延期、現役引退から約3年が経過しての開催。この日を待ち焦がれたファン、関係者から万雷の拍手を受けた。安治川親方は「2度の延期がありましたが、みなさんのおかげで無事開催できた」と土俵上で感謝の言葉を口にし、一緒に土俵に上がった長男の丈太郎君(4)とともに深々と頭を下げた。

断髪式には落語家の笑福亭鶴瓶、ロックバンド「ザ・クロマニヨンズ」のボーカル甲本ヒロト、柔道男子60キロ級で五輪3連覇の野村忠宏氏ら約350人が参加。弟弟子の横綱照ノ富士、現役時代にしのぎを削った九重親方(元大関千代大海)や浅香山親方(元大関魁皇)がはさみを入れた後、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が止めばさみを入れた。

整髪後に真新しい黒のスーツで再度土俵に上がった安治川親方は「私の相撲人生は、好きになった相撲を好きなだけやった人生でした。本当に幸せでした」と声を震わせながら語り、「今日は親方としての新たな1歩だと思います。これから相撲協会のために一生懸命頑張ります」と決意を述べた。

青森・深浦町出身。祖父も兄も元力士で、師匠の伊勢ケ浜親方は父のいとこに当たるという相撲一家。小1から相撲を始め、鰺ケ沢高から安治川部屋(現在の伊勢ケ浜部屋)に入門。97年1月に初土俵を踏み、00年1月新十両、同年7月に新入幕と順調に番付を上げた。元大関魁皇と並ぶ歴代1位の関取在位117場所目となる19年名古屋場所10日目に引退を表明した。当初は20年10月4日に引退相撲を実施する予定だったが、新型コロナウイルスが発生して21年5月30日に延期。先行きを見通せないコロナ禍は続き、今年5月29日に再延期した。

この間に伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たりながら、21年4月より早大の大学院スポーツ科学研究科に通った。安治川親方は「2年の延期、辞めてから約3年にわたり断髪式をできなかったことは正直疲れましたけど、この3年間延びたことでいろんな出合い、学びがありました」と振り返る。

逆境をプラスにはねかえし、ようやく訪れた引退相撲。往年のライバルたちからはさみを入れられた時には涙をぬぐう光景もみられ「はじめは粛々と進んでいたけど、いろんな人との出会いを思い出して気持ちが高ぶった」。今後について「こうありたいという理想ではなく、力士たちと一緒に成長したい」と気持ちを新たに親方としての第二の相撲人生を歩む。

断髪式で師匠の伊勢ケ浜親方から止めばさみを入れてもらう元安美錦の安治川親方。行司は木村寿之(撮影・小沢裕)
伊勢ケ浜部屋の関取たちと記念撮影に臨む元安美錦の安治川親方(左から4人目)。左から錦富士、宝富士、照ノ富士、1人おいて照強、翠富士、熱海富士=2022年5月29日(撮影・小沢裕)
断髪式を終えた元安美錦の安治川親方(右)は、左から絵莉夫人、次女公緑さん、長男丈太郎くん、長女友緑さんと記念撮影に臨む(撮影・小沢裕)
断髪された元安美錦の安治川親方の大銀杏(おおいちょう)(代表撮影)
断髪後に整髪を終えた元安美錦の安治川親方は絵莉夫人(右)、手前左から長女友緑さん、長男丈太郎くん、次女公緑さんら家族と記念撮影に臨む(代表撮影)
左から長男丈太郎くん、絵莉夫人に見守られながら断髪後に整髪してもらう元安美錦の安治川親方(代表撮影)
断髪式で笑福亭鶴瓶(右)にはさみを入れてもらう元安美錦の安治川親方。行司は木村寿之介=2022年5月29日(撮影・小沢裕)
断髪式で元横綱白鵬の間垣親方(右)にはさみを入れてもらう元安美錦の安治川親方。行司は木村寿之介(撮影・小沢裕)
家族や両親との記念撮影に臨む元安美錦の安治川親方(後列左から2人目)。前列左から長女友緑さん、次女公緑さん、長男丈太郎くん、後列左から父杉野森清克さん、1人おいて絵莉夫人、母杉野森和江さん=2022年5月29日(撮影・小沢裕)
元安美錦の安治川親方へ向けた相撲甚句を披露する元安壮富士で兄の杉野森清寿さん(撮影・小沢裕)
断髪式で感極まる元安美錦の安治川親方(撮影・小沢裕)
断髪式ではさみを入れてくれた照ノ富士(右)と握手をかわす元安美錦の安治川親方。行司は木村寿之介(撮影・小沢裕)

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元豊ノ島・井筒親方断髪式にダウンタウン浜田雅功ら400人参加「まだちょんまげがある気分」

断髪式でダウンタウン浜田雅功(右)にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)

大相撲の20年春場所を最後に現役を引退した元関脇豊ノ島の井筒親方(38)の引退、年寄井筒襲名披露大相撲が28日、東京・両国国技館で行われた。

断髪式にはダウンタウンの浜田雅功、タレントの東山紀之ら約400人が参加。現役時代から親交のあった二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)や武隈親方(元大関豪栄道)、間垣親方(元横綱白鵬)らがはさみを入れ、時津風親方(元前頭土佐豊)が止めばさみを入れた。

式典を終えて土俵上で集まった人たちにお礼を述べた井筒親方は「私、豊ノ島は現役時代、相手から1度も逃げることはしませんでした。これが私の相撲人生の一番の誇りです」と胸を張った。波瀾(はらん)万丈の現役生活18年をたたえるかのように、館内は温かい拍手に包まれた。

高知・宿毛高から02年初場所で初土俵。04年夏場所で、体の小さな入門希望者を対象とした第2新弟子検査合格者で初の新十両に上がった。

身長170センチ前後と小柄ながら、持ち前の体の柔らかさや、天才的な差し身のうまさを武器にして三役を13場所務め、三賞10回、金星4個。幕内優勝こそなかったが、10年九州場所では14勝1敗として白鵬と優勝決定戦を戦った。16年名古屋場所前に左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負って幕内から幕下に転落したが、19年春場所に再入幕。翌20年4月に18年間にわたる現役生活に幕を閉じた。

マゲに別れを告げ、短髪に整え報道陣の前に登場した井筒親方は「まだちょんまげがある気分」と不思議そうに頭をさすった。

お世話になった約400人の方から、1人ずつはさみを入れてもらったことに、「いろいろな方々のおかげで今がある。本当に幸せ者だった」と感慨深そうに話した。

「引退した後でも2年間ちょんまげがあったんで、どこか力士っぽさがあった」と語る井筒親方にも、ようやく実感が湧いてきた様子だった。「これで本当に終わった」と少し名残惜しそうな表情を浮かべながらも、「よく頑張ったと自分に声を掛けたい」と誇らしそうに言った。

現役生活を終えても、相撲と向き合う日々は続く。今後について「自分が関脇だったので、豊ノ島以上の力士を育てたいですね」。希望に満ちあふれた表情で、第2の人生を進む決意を語った。【平山連】

東山紀之にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
照ノ富士にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
元稀勢の里の二所ノ関親方(右)にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
父にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
元白鵬の間垣親方(右)にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
鶴竜親方(右)にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
時津風親方(右)にはさみを入れてもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
長女・希歩さんから花束を贈られる元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
花束を手に家族と笑顔を見せる元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
妻の沙帆さん(左)、長女の希歩さん(中)と記念撮影する元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
妻・沙帆さん(右)がスマホで撮影する中、整髪してもらう元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
整髪を終え、妻・沙帆さん(左)にネクタイを直してもらう元豊ノ島の井筒親方。右は長女・希歩さん(代表撮影)
整髪を終え、(右から)妻・沙帆さん、長女・希歩さんと記念撮影する元豊ノ島の井筒親方(代表撮影)
記念撮影する(左から)正代、時津風親方、元豊ノ島の井筒親方、豊山(代表撮影)

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千代栄、31歳での新十両「あきらめずやってきて良かった」入門13年、戦後4番目の高齢昇進

新十両に昇進し、九重親方(左)とオンライン記者会見で笑顔を見せる千代栄(日本相撲協会提供)

日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、千代栄(31=九重)の新十両昇進が決まった。入門から苦節13年、遅咲きの花を咲かせ31歳が関取の座をものにした。

師匠の九重親方(元大関千代大海)とともに、報道陣のリモート取材に応じた千代栄は「今日までずっと『どうなんだろう』と思っていましたが、ようやく親方から『上がったよ』と言われて『上がったんや』と」。そこから約40分間の会見は“苦節”とはかけ離れ終始、爆笑ありの明るい空気に包まれた。

31歳での新十両昇進は戦後、4番目の高齢昇進。「年をとっても、あきらめずにやっていれば上がれるんだと。あきらめずにやってきて良かった。(入門から13年半で)おじちゃんですけど(笑い)、まだ全然、頑張ってやれるので応援してもらいたい」と、まだまだ花を咲かせるつもりだ。

13年半のうち約10年は幕下生活。「最高位を更新しては1勝6敗、上位に来て(幕下)1ケタ台になっては1勝6敗」と、気持ちがなえかける時期もあったが、今場所は師匠の言葉が奮い立たせてくれた。「今場所も初日に負けて、やばいなと思ったけど、親方からカツを入れてもらったのが良かった。“何してるんだ”と強めに言ってもらって。“人生が変わる場所なんだよ”と言われて思い切りやろうと。メンタルがすごく弱くて肝っ玉が小さいけど、今場所は勝っていくごとに自信がついていく感じでした」と師匠に感謝した。

入門時の師匠は、昭和の大横綱千代の富士の先代九重親方(故人)。代を引き継いだ現九重親方も「ようやく先代からお預かりした弟子を、十両まで持って行けて安心しました。1つ肩の荷が下りました」と喜んだ。その先代から稽古中に「(そんな稽古をしていたら)親が泣くぞ」とかけられた言葉が今も胸に残るという。「おかげさまで(十両に)上がれました」と報告するそうだ。

31歳の年齢にも、師匠の期待は広がる。「小結…、控えめに三役に上がってほしい」と九重親方。「千代栄栄太」のしこ名に「栄」の字が2つ入る。本名の「岸栄太」と出身校の京都共栄学園高から取ったもの。「2つの『栄』を(しこ名に)もらっている。名前の通り、どんどん栄えてもらって部屋頭に上り詰めてほしい」と期待は大きい。

最近は「一目置いている」と師匠が言うほど、稽古も積極的になったという。31歳、土俵人生はこれから。大輪の花を咲かせてみせる。

新十両に昇進し、オンライン記者会見で笑顔を見せる千代栄(日本相撲協会提供)
新十両に昇進し、オンライン記者会見で笑顔を見せる千代栄(日本相撲協会提供)

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十両昇進の欧勝馬、元大関琴欧洲の鳴戸親方が目標「師匠の番付までいきたい」大関を目指す覚悟

新十両昇進会見に臨んだ欧勝馬(左)と師匠の鳴戸親方(日本相撲協会提供)

日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を行い、7戦全勝した欧勝馬(25=鳴戸)の新十両昇進を決めた。師匠の元大関琴欧洲の鳴戸親方(39)が部屋をおこしてから5年がたち、初となる関取誕生となった。

欧勝馬は「師匠の番付までいきたい」と、大関を目指し稽古に励む覚悟を見せた。モンゴル出身の欧勝馬は、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏の紹介で高校2年の4月に千葉・日体大柏高へレスリング留学。高3のインターハイではレスリング男子120キロ級で優勝を果たすほどの実力がありながら、来日前から抱いていた相撲への情熱がやまず。日体大では相撲部に入部し、4年時には学生横綱になった。

21年九州場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んで4勝3敗、今年の初場所で5勝2敗と2場所連続で勝ち越した。しかし、次の春場所は3勝4敗で負け越した。「自分のできていないことを見つけて、場所後に見直した」と立ち合いなどを改善し、東幕下8枚目で臨んだ今月の夏場所で7戦全勝優勝を果たした。4場所での新十両昇進を決めたことに「自分の中では4場所は長いなと思いました。2場所で上がりたいと思っていた」と率直な感想を述べた。

十両で迎える名古屋場所で対戦したい力士に炎鵬(27=宮城野)の名を挙げた。「体が小さくてもデカい人に勝っている」と注目を寄せた。高校時代一緒に来日した小結豊昇龍(23=立浪)にも対抗心を燃やし「相撲を取れば、負けたくない。追いつけるように頑張る」と意気込みを見せた。

念願の関取誕生に鳴戸親方は「いろんな大変なことがありましたけど、初の関取は素直にうれしい」と目を細めた。愛弟子は日体大卒業後、ビザ取得を待つために鳴戸部屋で研修を重ねた。そんな日々を振り返りながら「研修に1年かかった。相撲が取れない中でも、ひたすらトレーニングしていた」と回想した。十両昇進したことでの楽しみは「私以外が部屋で白まわしを着けてくれる」ことを挙げ、ここからさらに上を目指して稽古に精進してほしいと願った。「若い子の手本になって、もっと下の子が付いていくような存在になってほしい。(来場所は)白星2桁を目指して頑張って欲しいですね」と期待を込めた。

「大関を目指したい」と新十両昇進会見で意気込みを語る欧勝馬(日本相撲協会提供)
新十両昇進会見に臨んだ欧勝馬(左)と師匠の鳴戸親方(日本相撲協会提供)

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西川改め豪ノ山が新十両「しこ名かっこいい」「気迫のこもった押し相撲を」武隈部屋第1号の関取

新十両に昇進した西川改め豪ノ山(左)は武隈親方と写真に納まる(日本相撲協会提供)

日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を行った。

夏場所、西幕下筆頭で4勝3敗と勝ち越した西川改め豪ノ山(24=武隈)が新十両に昇進。元大関豪栄道の武隈親方が今春におこした部屋から、第1号の関取となった。

中大相撲部で4年時に学生選手権準優勝で三段目100枚目格付け出しの資格を得た。昨年春場所、境川部屋から初土俵。今年初場所で幕下優勝を飾るなど順調に番付を上げ、武隈親方の独立にともない2月1日付で武隈部屋に転籍して関取の座を手にした。

東京都内の部屋からオンラインで会見に臨んだ豪ノ山は「発表されてホッとしています。上がれるか、今日まで分からなかった。上がれてよかったです」と素直な心境を明かした。

師匠の武隈親方は「十両に上がったことはうれしいがここで終わりではなく新たなスタート。自分も気を引き締めて、万全な態勢で名古屋場所に臨ませたい」と話し、しこ名については「関取昇進の節目。十両に上がった際はしこ名をつけようと思っていたので。自分が考えて本人と話をした。いくつか候補があった中で選びました。強い山という意味があって、名前の登輝とも強く山をのぼるという意味でつながると思った」と明かした。

豪ノ山も「しこ名いただけたんで来場所から気を引き締めていきたい。自分の名前の登輝と字面もかっこいいと思った。強い意志を持って来場所も勝ち越せるように頑張りたい」と気合を入れた。

新十両で迎える名古屋場所に向けて「1場所で落ちないよう勝ち越せるよう、今から準備して頑張りたい。気迫のこもった押し相撲を見てもらえたらと思う。楽しみな部分もあるが、しっかり気を引き締めなければと思う。どんどん上を目指していける力士になりたい」と誓った。

新十両に昇進し、オンラインで記者会見する西川改め豪ノ山(日本相撲協会提供)

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西川改め豪ノ山が新十両、元大関豪栄道の武隈部屋から創設3場所目で初の関取が誕生

土俵を引き揚げる西川(2022年3月14日撮影)

部屋創設から、わずか半年の3場所目で、人気大関だった師匠が率いる部屋から関取が誕生した!

日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、西川改め豪ノ山(24=武隈)の新十両昇進が決まった。今年2月1日付で境川部屋から独立し、部屋を創設した元大関豪栄道の武隈親方(36)にとって、初めてのスピード関取誕生となった。

他に欧勝馬(25=鳴戸)、千代栄(31=九重)の新十両と、北青鵬(20=宮城野)の4場所ぶり再十両が決まった。

師匠と同じ大阪・寝屋川市出身の西川改め豪ノ山は、高校相撲の強豪・埼玉栄高から中大に進学。4年時に全国学生選手権で準優勝し、三段目100枚目格付け出しの資格を得て境川部屋に入門。初土俵となった昨年3月の春場所から順調に番付を上げ、今年1月の初場所では東幕下35枚目で7戦全勝優勝。一気に番付を幕下1ケタに乗せ、3月の春場所は4勝3敗、そして今月の夏場所も4勝3敗で新十両の座をものにした。

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元琴欧洲の鳴戸親方 部屋創設5年、初の関取誕生 モンゴル出身・欧勝馬が新十両昇進

欧勝馬は北播磨(手前)を掛け投げで破り幕下優勝を決める(2022年5月20日)

部屋創設から5年、人気大関だった師匠が率いる部屋から待望の関取が誕生した!

日本相撲協会は25日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月10日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、欧勝馬(25=鳴戸)の新十両昇進が決まった。17年4月に佐渡ケ嶽部屋から分家独立し、部屋を創設した元大関琴欧洲の鳴戸親方(39)にとって、うれしい初めての関取誕生となった。

他に西川改め豪ノ山(24=武隈)、千代栄(31=九重)の新十両と、北青鵬(20=宮城野)の4場所ぶり再十両が決まった。

モンゴル出身の欧勝馬は、高校2年の4月に千葉・日体大柏高へレスリング留学。日体大では相撲部に入り4年時に学生横綱に就いた。卒業後は鳴戸部屋で研修。その後、正式に入門し、21年九州場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵。4勝3敗、5勝2敗と勝ち越した後、今年3月の春場所こそ3勝4敗で負け越したが、東幕下8枚目で臨んだ今月の夏場所で7戦全勝優勝を果たし、新十両昇進を決めた。

鳴戸親方(20年2月撮影)

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横審新委員照ノ富士を絶賛 紺野美沙子「心技体が充実」池坊保子さん「大関も関脇も見習って」

横綱審議委員会の定例会合(日本相撲協会提供)

大相撲の横綱審議委員会(横審)が23日、東京・両国国技館で定例会合を開いた。

新委員となった元文部科学副大臣の池坊保子さんと俳優の紺野美沙子が初めて出席し、休場明けの夏場所で3場所ぶり7度目の優勝を果たした横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)の活躍を絶賛した。池坊さんは「『相撲魂』みたいなものを大関も関脇も見習ってほしい」と評し、紺野委員は「体調が万全でない中、序盤戦はたしかにやや不安がありましたが、徐々に調子を上げた」とたたえた。

続けて池坊さんは「(照ノ富士は)ただ、ひたすら横綱はどうあるべきかという責務だけで、頑張っていたと思う」と持論を述べた上で、「今日の彼を育て、叱咤(しった)激励してきた伊勢ケ浜親方が偉かったというふうに思います」と話した。紺野委員は「優勝インタビューをうかがっても、心技体がますます充実してきている」と目を見張る活躍に好評を寄せた。

一方で精彩を欠いた3大関については、委員の中でも辛口な声が相次いだという。皆勤した大関3人全員負け越しは免れたが、勝ち越したのは8勝7敗の貴景勝(25=常盤山)のみ。池坊さんは「大関といえば横綱の予備軍。私たちの話題になってふさわしい方々なのに、正直あまりにもお粗末」と叱咤(しった)した。紺野委員は「本人が一番じくじたる思いではないか」と、おもんぱかった。

今後の相撲界ついて池坊さんは「スターがほしい」と期待。紺野委員は「大相撲がますます盛り上がるように力添えできたらなと思います」と意気込みを語った。

横綱審議委員会の定例会合に出席する池坊さん(日本相撲協会提供)
横綱審議委員会の定例会合に出席する紺野美沙子(日本相撲協会提供)

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「クンロク大関はいい大関になってしまっている」横審委員長 夏場所期待外れの大関陣に奮起促す

横綱審議委員会の定例会合に出席する高村正彦委員長(日本相撲協会提供)

日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲夏場所千秋楽から一夜明けた23日、東京・両国国技館で開かれた。高村正彦委員長(80)が報道陣の代表取材に応じ、各委員の声も含め夏場所を総括し、同協会への要望も伝えた。

8日目まで3敗を喫しながら優勝を遂げた横綱照ノ富士について同委員長は「両膝が悪くたいへんな状況の中で、最初は不安もあったが最後は横綱としての、しかるべく成績を残してくれた。大変ありがたい」と称賛。今後への期待として「少しでも長く、横綱にふさわしい成績を挙げ続けていただきたい。期待しています」と話した。

3人中、2人が負け越した大関陣については「期待されてしかるべき地位にある方が、必ずしも期待された成績を挙げられなかった。先場所、申しあげた戦国時代の群雄割拠の感想は、今場所においても変わっていない」と厳しい言葉こそ避けたが、期待外れだったことに残念そう。取材対応の最後に「今、クンロク(9勝6敗)大関は、いい大関になってしまっている」と苦笑しながら奮起を促していた。

一部委員からは、日本相撲協会への要望があった。優勝が決まった千秋楽結びの一番で、照ノ富士に負け越しが既に決まっていた大関御嶽海(29=出羽海)を当てた取組編成についてだった。「大関だからといって負け越した人を当てないで、もっと元気な人がいる。違う考え方があるのでは、という意見があった」と、いわゆる「割崩し」の取組編成をしてしかるべき、の意見があったという。その一方で「大関というのは横綱とともに特別な地位であるわけで、あまりそれは崩さない方がいいのではないか、という意見もあった」と本来の番付優先の取組編成を推す声もあったという。大関が番付通りの成績を残していれば起きなかった議論だが、特に協会に何かを求める声ではなかったようだ。

横審としての要望はもう1つ。「コロナもある程度、収まりかけている、専門家の意見もあり、いつからというのは慎重にではあるが、出稽古を認めるような方向で(お願いしたい)。部屋によっては(関取不在や少人数などで)割を食うことがある」と、早期の出稽古解禁を進言した。これは前任の、矢野弘典委員長も要望している。「難しいけど頼みます。出来るだけ早く」と委員会に出席した日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)に語りかけた高村委員長だが、感染状況次第といえそうだ。

横綱審議委員会の定例会合に出席する紺野美沙子(日本相撲協会提供)
横綱審議委員会の定例会合に出席する池坊さん(日本相撲協会提供)
横綱審議委員会の定例会合(日本相撲協会提供)
横綱審議委員会の定例会合に出席する高村正彦委員長(日本相撲協会提供)

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照ノ富士「復活」かの問いに強い口調で「復活って何なんですか?」3場所ぶり優勝一夜明け会見

照ノ富士(2022年5月21日撮影)

大相撲夏場所を12勝3敗で制した横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が23日、東京都内の部屋からオンラインで一夜明け会見に臨んだ。優勝は昨年九州場所以来、3場所ぶり7度目。横綱昇進後、初の休場明けで大混戦の場所を制した。

両膝の大けが、内臓疾患で大関から序二段まで落ち、そこから横綱まで上り詰めた。地獄を見たからこその“金言”を発した。今場所の優勝は「復活」かの問いに「復活って何なんですか? 苦しいことを苦しいと思えば苦しい。苦しいと思わないようにしている。復活とは思っていない」と強い口調で言った。苦しいと思うかは本人次第。経験した横綱の言葉は重い。

自身も厳しい道を模索する。今年の目標は2桁10回の優勝。達成には残り3場所、落とせないが「目標を大きく持たないとモチベーションも上がらない。伸ばしていきたい思いがなければ相撲はとれない」。名古屋場所(7月10日初日、ドルフィン・アリーナ)でも不動の主役は間違いない。【実藤健一】

【イラスト】現役力士の幕内優勝回数
幕内優勝した照ノ富士(右)は、旗手の照強とオープンカーから笑顔で手を振る(22年5月21日撮影)

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貴景勝ようやく勝ち越し 大関の不名誉記録回避「自分が弱いだけ」淡々と

貴景勝(左から2人目)は正代(左)を突き落としで破る。右後方は御嶽海(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

大関貴景勝が“最後のとりで”として、不名誉な記録を回避した。

正代との激しい攻防を制して勝ち越しを決めた。すでに御嶽海、正代の負け越しが決定していた中での一番。仮に番付上の大関全員が皆勤して負け越せば、現行のかど番制度となった69年名古屋場所以降では初めてという屈辱を免れたが「結果論なので、一生懸命100%出し切った自分が弱いだけ。あまり考えずに一生懸命やろうと思った」と淡々としていた。

正代を突き落としで破った貴景勝(撮影・鈴木正人)

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【若乃花の目】照ノ富士「心技」が充実 大関陣は猛省して出直せ

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

隆の勝が負けた時点で優勝は決まったかな、と思いましたが、その通り落ち着くところに落ち着きましたね。

照ノ富士は両まわしを取って、あとは引きつけて出るだけでいいのに、左から振り回したりと御嶽海を完全に、もてあそんでいます。相手にならないよ、と言わんばかりで大きな実力差を感じました。中日で3敗もしてからの優勝ですから、なおさら大関以下に大きく水をあけています。不安もある中、先場所の悔しさをぶつけようと思った、とインタビューで答えていたのが全てです。心技体の特に「心技」の充実ぶりは褒めるしかありません。

期待していた隆の勝は、13日目と千秋楽は全く当たれていません。同じことを繰り返すということは、緊張とかではなく悪い癖として今後の課題にした方がいいでしょう。どんな状況でも相手を見てしまわずに当たること。その後の攻めを生かすも殺すも立ち合いの当たり次第です。勝った佐田の海、大栄翔とともに千秋楽まで優勝を争ったことは間違いないので「来場所こそは」の気持ちでチャレンジしてほしいです。

照ノ富士の優勝、4敗力士の健闘に水を差すつもりはありませんが、やはり大関の不振には触れずにはいられません。最後に貴景勝が勝ち越しましたが、正代との気持ちの入った相撲をなぜ、大関陣は最初から取れなかったか残念です。大関の地位が萎縮させているとしたら、それは勘違いで、横綱だけが感じるものです。必死に力を使い果たすべきなのに、あまりにあっけない相撲が多かった。猛省して出直してほしいです。(元横綱若乃花 花田虎上・日刊スポーツ評論家)

御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
佐田の海(右)はすくい投げで隆の勝を破る(撮影・小沢裕)

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“おにぎり君”隆の勝 悲願初Vならず「後半戦は精神的に削られる相撲に」13日目以降1勝2敗

佐田の海(右)にすくい投げで敗れた隆の勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇14日目◇22日◇東京・両国国技館

「おにぎり君」の悲願は、あと1歩のところで届かなかった。西前頭4枚目の隆の勝(27=常盤山)が平幕の佐田の海(35=境川)のすくい投げに屈し、4敗に後退した。3敗を守った横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が3場所ぶり7度目の賜杯を手にした。

トレードマークの笑顔は消え、険しい表情が広がった。隆の勝は「落ち着いて前にいきたかったけど、(得意の右を差せず)少し慌てた」と振り返った。逆に佐田の海にもろ差しを許し、土俵際で鮮やかなすくい投げを決められた。4敗に後退し「自分らしい相撲が取れなかったのが一番悔しい」と実力を発揮しきれなかった自分を責めた。

千葉県柏市出身。同県出身者としては1991年名古屋場所で平幕優勝を飾った元関脇琴富士以来の賜杯獲得を目指した。今場所では鋭い立ち合いから自慢の押し相撲を展開し、4日目から自己最長の9連勝。12目目まで単独トップに立っていた。

終盤戦にかけて、初めて加わった優勝争いの重圧がのしかかった。13日目以降は1勝2敗(●=関脇若隆景、〇=霧馬山、●=佐田の海)。「後半戦は精神的に削られる相撲になった」と正直に明かし、「緊張している中でも自分の相撲を取りきる」ことを課題に挙げた。

それでも横綱・大関総なめ(同部屋の貴景勝は対戦なし)を達成するなど快進撃を続け、混戦の夏場所を大いに盛り上げた。初の殊勲賞にも輝き「自信になる。部屋ではいつも大関(貴景勝)と稽古していますが、これまでの稽古は間違ってないと感じた」と力強く言った。既に視界は2か月後の名古屋場所に向く。心身をさらに磨きをかけ「名古屋場所でリベンジをしたい」。今後こそ、とびきりの笑顔を待ちわびるファンに届ける。【平山連】

佐田の海(右)はすくい投げで隆の勝を破る(撮影・小沢裕)

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照ノ富士V 兄弟子最後の晴れ舞台に「優勝して花を添えたいと言っていた」29日安美錦引退相撲

撮影を終え一息つく横綱照ノ富士(代表撮影)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が「戦国場所」を制した。3敗で並んでいた隆の勝が敗れて後退。照ノ富士は結びで大関御嶽海を圧倒して寄り切り、3場所ぶり7度目の優勝を飾った。横綱昇進後、初の休場明けで初日に黒星。中日までに3敗と苦しんだが、終わってみれば見事に横綱の責務を果たした。

兄弟子の最後の晴れ舞台に、花を添える優勝となった。安治川親方(元関脇安美錦)の引退相撲が、場所後の29日に国技館で開催される。同親方は「場所前に(照ノ富士が)『優勝して花を添えたい』と言っていた。そんなこと考えなくていいんだけどね。そういう気持ちが、冗談でもうれしい」と柔和な笑みを見せた。くしくもこの日、伊勢ケ浜部屋の関取衆6人全員が勝った。錦富士は十両優勝で照ノ富士とアベックV。“チーム伊勢ケ浜”がもり立てた。

中日までに3敗を喫した横綱だったが、稽古場では常にリラックスした雰囲気を保っていたという。「(前半戦は)本人も『体が伸び上がっちゃう』と言っていたが、立て直したのはさすが」。休場した春場所後も休みなく稽古に励んできたという「そんな優しい部屋じゃないですからね」。古傷の両膝や、右かかとの治療に取り組む姿を、間近で見てきた。同親方は「苦しい経験を乗り越えてきた。その積み重ねだと思う」と敬意を示した。

元安美錦の安治川親方(22年5月9日撮影)
【イラスト】現役力士の幕内優勝回数
幕内優勝した照ノ富士(右)は、旗手の照強とオープンカーから笑顔で手を振る(撮影・河田真司)
優勝し、笑顔でインタビューを受ける横綱照ノ富士(代表撮影)
幕内優勝し、ファンの声援に応える照ノ富士(撮影・河田真司)
優勝し、八角理事長(右)から賜杯を受ける照ノ富士(代表撮影)
八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
協会あいさつ、前列左から貴景勝、照ノ富士、八角理事長、御嶽海、正代、後列左から豊昇龍、若隆景、阿炎、大栄翔(撮影・鈴木正人)
御嶽海を寄り切りで破り勝ち名乗りを受ける照ノ富士(撮影・鈴木正人)
照ノ富士(右)は御嶽海を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)

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照ノ富士「戦国場所」制し7度目V「一緒に優勝するぞ」声かけた弟弟子錦富士十両Vで闘志に火

幕内優勝した照ノ富士(右)は、旗手の照強とオープンカーから笑顔で手を振る(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士(30=伊勢ケ浜)が「戦国場所」を制した。3敗で並んでいた隆の勝が敗れて後退。照ノ富士は結びで大関御嶽海を圧倒して寄り切り、3場所ぶり7度目の優勝を飾った。横綱昇進後、初の休場明けで初日に黒星。中日までに3敗と苦しんだが、終わってみれば見事に横綱の責務を果たした。

    ◇    ◇    ◇

鬼のような形相、そして厳しい攻めだった。御嶽海の左前まわしを取って起こすと、右も差し込み一気に走る。一分の隙もない完璧な相撲で荒れた場所の最後の相撲を締めくくった。

「うーんまぁ、やっと終わったなという感じですね。(休場明けで)いつもより長く感じたのはある。ただ結果はどうあれ15日間、全部取りきろうと。結果に表れてよかったと思う」

3敗で並んでいた隆の勝が4敗に後退した。勝てば優勝の一番でより厳しさを見せつけた。「(負ければ優勝決定戦など)次のことを考えてもしょうがないんで。今まで準備してきたことを全力で出すだけ。でなければ土俵に上がるのは失礼。それだけ自信を持っている」と言った。

先場所は右かかと、左膝の負傷で途中休場した。復帰した今場所も初日に黒星、中日までに3敗を喫した。「(休場明けで)場所前にあせりもあった。筋トレとか稽古、体調の面でとばしすぎた」。修正能力の高さも武器。9日目から7連勝で賜杯を手にした。

星が上がらない中日の朝、稽古場で十両の錦富士に「一緒に優勝するぞ」と声をかけた。「毎場所のように言っているけど、なかなか実現しなかった」。その弟弟子が先に優勝決定戦を制して十両優勝を飾った。「うれしかったです」。自身も闘志に火をつけた。

両膝の大けが、内臓疾患で序二段まで落ちて、再び横綱まで上り詰めた。地獄を見ているから強い。「土俵に上がっている以上は真剣に戦わないといけない。その思いで毎日、繰り返している」。役力士で2桁勝利は照ノ富士と大栄翔だけ。「(横綱として)もちろん、やらなきゃいけないという思いはあったが、みんな頑張ってますから。いい時も悪い時もありますからね」と責任を背負って戦い抜いた。

両肘、両膝、両足首を分厚いサポーターが支える。傷を負ってきた体の不安が消えることはない。サポーター以上に支えるのが、横綱としての責任感。「また来場所も頑張ります」。館内に戻ってきた満員に近い相撲ファンを喜ばせた。【実藤健一】

【イラスト】現役力士の幕内優勝回数
優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・小沢裕)
内閣総理大臣杯を受け取る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
優勝し、八角理事長(右)から賜杯を受ける照ノ富士(代表撮影)
十両優勝決定戦で大奄美(右)を突き落としで破り優勝した錦富士(撮影・小沢裕)
十両優勝決定戦で大奄美(手前左)を突き落としで破り優勝した錦富士(撮影・小沢裕)
御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・鈴木正人)
伊勢ケ浜審判部長(右)から優勝旗を受け取る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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八角理事長「この場所が横綱になって一番、苦しかっただろう」V照ノ富士を称賛

御嶽海は照ノ富士(右)に寄り切りで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

序盤はつまずいたものの、最後は横綱の威厳を守る照ノ富士(30=伊勢ケ浜)の優勝だった。手取り159万円となる53本の懸賞がかかった、今場所最後の結びの一番。不振の大関御嶽海(29=出羽海)に少しばかり抵抗されたものの、両前まわしをグッと引きつけてからの盤石の寄り。3場所ぶり7度目の優勝を決めた。

「体調が万全でない中、大関が不振の中、よく精神的に頑張った。(7度の中で)一番、たいへんな優勝だったんじゃないかな。苦しかった優勝。それだけに価値がある」。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は優勝が決まった直後、報道陣の電話取材にこう答えた。取組前にも、ここまでの横綱について「この場所が横綱になって一番、苦しかっただろう。大関が不振の中、横綱を務め上げた価値ある場所だった。本調子では全然、ないはず。本当に、さすが横綱、ということ」と賛辞の言葉を惜しまなかった。

御嶽海を寄り切りで破り勝ち名乗りを受ける照ノ富士(撮影・鈴木正人)
御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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大関陣“最後のとりで”貴景勝千秋楽で勝ち越し8勝7敗 大関全員皆勤しての負け越し回避

正代(右)を攻める貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

大関陣で“最後のとりで”だった貴景勝(25=常盤山)が、千秋楽で勝ち越しを決めた。

正代との大関対決を制して8勝7敗とした。

すでに御嶽海、正代の負け越しが決定していた中での一番。仮に番付上の大関全員が皆勤して負け越せば、現行のかど番制度となった1969年(昭44)名古屋場所以降では初めてだったが、回避した。

貴景勝は正代(左)を突き落としで破る。右は御嶽海(撮影・小沢裕)
正代を突き落としで破った貴景勝(撮影・鈴木正人)

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横綱照ノ富士3場所ぶり7度目優勝、12勝3敗 貴景勝勝ち越し3大関全員の負け越し防ぐ

御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇22日◇東京・両国国技館

横綱照ノ富士が12勝3敗で3場所ぶり7度目の優勝を飾った。

3敗で並んでいた隆の勝が、佐田の海に敗れて後退。照ノ富士は結びで大関御嶽海を圧倒して寄り切った。先場所は右かかと、左膝の負傷で途中休場。復帰した今場所だが初日に黒星、大関陣も不振と荒れた場所となったが、終わってみれば横綱が責任を果たした。

大関貴景勝は大関正代を物言いがつく激しい相撲の末に突き落としで破り、千秋楽に勝ち越しを決めた。負ければ3大関が皆勤で負け越していた。現行のかど番制以降、初の屈辱は何とかまぬがれた。

照ノ富士(右)は御嶽海を寄り切りで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)
貴景勝は正代(左)を突き落としで破る。右は御嶽海(撮影・小沢裕)
【イラスト】現役力士の幕内優勝回数

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