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真正ジムの山下会長「来るべき時に頑張ったらええ」

18年7月、山中竜也(左)と笑顔を見せる山下正人会長

<もしもし日刊です>

元世界3階級王者の長谷川穂積らを育てた真正ジムの山下正人会長(57)が19日までに、日刊スポーツの電話取材に応じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、日本ボクシングコミッション(JBC)は5月末までの興行自粛を要請。各ジムは休業と厳しい経営状況をしいられる中、西日本ボクシング協会会長を務める山下会長は「今は我慢。くるべき時に向けて力をためたい」と語った。

   ◇   ◇   ◇

今月10日、西日本ボクシング協会は大阪市内で理事会を開催した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で興行中止、各ジムは休業せざるをえない。先に日本プロボクシング協会が全国の加盟ジムに助成金10万円の給付を発表したが、西日本協会も独自にプラスで5万円の給付を決めた。苦しいジム経営を少しでも救いたいと計15万円となる。

西日本協会の会長でもある山下会長が経営する神戸市内の真正ジムも、8日から休館した。元世界3階級王者の長谷川に久保隼、山中竜也ら多くの世界王者を育てた名指導者はその際、選手を集めて話した。

山下会長 「また試合できる」。選手のモチベーションが落ちるんが一番心配やった。ただ、選手は意外とみんな楽観視してた感じやったけど。現状に関しては仕方ないよ。(4月中ごろには収束すると)みんなそう思ってたと思うけど、悪い方向にいってるわね。でも仕方ない、こればかりは。見えない敵が相手やし、今は我慢するしかないんちゃう。

JBCは6日、当初は5月15日までとしていた国内の興行自粛要請を5月末まで延長した。予定していた多くの興行が中止となり、西日本協会の理事会でも「せっぱ詰まった声もあがった」という。

山下会長 今はとにかく、自粛要請を守って(感染拡大を)妨げるしかないと思っている。(ジムを)再開できるなら1日でも早くと思っているが、どんな仕事でも同じ。やりたいことを取り戻すには、みんなで乗り越えるしかない。1人1人が我慢することが、大事やと思うよ。

厳しい状況もプラスにとらえたい。

山下会長 今はゆっくりしようと。来るべき時に頑張ったらええんやと。自分も今は時間あるからね。何でも知恵つけていこうと。今できるんは、そういうことちゃうかな。

戻ってくる日常を見据え、力と知恵を蓄える。【聞き手=実藤健一】

◆山下正人(やました・まさと)1962年(昭37)4月30日、兵庫県伊丹市出身。伊丹東中から村野工へ。野球部で俊足巧打の1番打者として活躍。3年夏の県大会ではベスト4と甲子園に迫った。卒業後、兵庫県警で暴力団対策の刑事。99年に民間の警備会社に移り、千里馬神戸ジムでトレーナー。長谷川穂積を世界王者に育て、05年度にトレーナーのMVP「エディ・タウンゼント賞」。07年に真正ジムをたち上げる。昨年度から西日本ボクシング協会会長。

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山中竜也さん妹菫がプロ挑戦 狙うは兄妹世界王者

20年の必勝祈願を行う真正ジムの所属ボクサーたち(撮影・加藤雄一)

ボクシングの元WBO世界ミニマム級王者山中竜也さん(25)の妹菫(相生学院高3年)がプロ挑戦を決めたことが21日、分かった。

真正ジムの山下正人会長(57)が明らかにしたもので「先週、ウチに来て“プロでやりたい”と。うれしいですね。まだスパーリングもさせていないので、しばらく様子を見たい」と言い、時期を見てプロテストを受験することになりそうだ。

菫は兄の背中を追ってボクシングを始め、同高ボクシング部へ。しかし、山中さんが18年7月の2度目の防衛戦で硬膜下血腫を負い、引退を余儀なくされると、ショックを受けてか、約1年半、ボクシングから遠ざかっていた。今後は“兄妹世界王者”を目指す。

また同ジムの元WBO世界女子ミニマム級王者佐伯霞(23)が昨年7月に一般人男性と結婚、5月に第1子を出産予定であることも分かった。山下会長は「出産後、カムバックする意欲を見せている」と言い、こちらは“ママさん世界王者”を目指すことになりそうだ。

同ジムではこの日、所属ボクサーが集合して、神戸市の湊川神社で今年の必勝祈願を行った。山下会長は「春にはいろいろアクションを起こしたい」と言い、長谷川穂積、久保隼、山中など多くの世界王者を輩出した名門ジムとしての飛躍を誓った。

20年の必勝祈願を行う真正ジムの所属ボクサーたち(撮影・加藤雄一)

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久保隼2階級制覇ならず ジム後輩の悔しさ晴らせず

久保隼(17年撮影)

<プロボクシング:WBA世界フェザー級王座戦12回戦>◇26日◇中国・撫州

WBA世界フェザー級10位久保隼(29=真正)が敵地中国で王者徐燦(25=中国)に6回TKO負けを喫し、2階級制覇を逃した。17年4月にWBA世界スーパーバンタム級王座を獲得したが、同年9月の初防衛に失敗。2年越しの雪辱を目指したが、日本に吉報を届けることはできなかった。

   ◇   ◇   ◇

2年越しで目指した頂に届かず、久保が散った。敵地の重圧、王者の粘り腰を想定した上で「いろいろな人にメッセージをいただき『日本でも試合をしてほしい』と言われた。勝って、日本で試合ができるようにしたい」と乗り込んだ中国のリング。だが、輝くベルトは遠かった。

相手の徐燦は試合前時点で16勝2敗。そのうちKO勝ちは2試合と、粘り強さが数字にも表れていた。「気持ちが強い選手だが、ボクシングでも、気持ちでも負けない」。昨年10月にはスパーリングで、右目を負傷するアクシデントにも見舞われた久保だが「いつもと変わらない。いつも通り45日前から準備をしてきた。調整についても深く考えていない」と冷静だった。

2年前に世界王座から陥落。山下会長は「この間の負けまでは『これでいい』と流してきた部分があった」と振り返る。防御時に体が起き上がってしまう部分を修正し、カウンターへ持ち込む形を落とし込んだ。同会長が「これまでで一番いい仕上がり」と評し、調整は万全だった。

今や「世界の顔」となったWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)ら、昨今のボクシング界の話題は関東から多く発信される。所属の真正ジムは長谷川穂積氏(38)が巣立った関西の名門だが、昨年7月に山中竜也さん(24)がWBO世界ミニマム級王座から陥落し、急性硬膜下血腫で無念の現役引退。今月には小西伶弥(25)が2度目の世界戦に挑み、地元神戸で散った。その戦いを見守り「気持ちの面でいいものを見せてもらったと思うし、そこは負けずに頑張りたい」と誓った兄貴分だったが、またしても悔しさが残った。

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久保隼、右目負傷の引退危機乗り越え2階級制覇挑む

WBA世界フェザー級タイトルマッチで2階級制覇に挑む前同スーパーバンタム級王者久保隼。右は真正ジムの山下会長(撮影・加藤裕一)

前WBA世界スーパーバンタム級王者で、同フェザー級10位の久保隼(29=真正)が5月26日に中国・撫州市でWBA世界フェザー級王者徐燦(シュ・チャン、25=中国)に挑戦することが決まり、19日、神戸市内で会見した。久保は昨秋に右目を負傷し、3月8日に手術した。引退危機を乗り越えて、世界2階級制覇に挑む。前WBOフライ級王者木村翔がWBAライトフライ級王者カルロス・カニサレスに挑む試合と合わせ、ダブル世界戦となる。

久保は17年9月にダニエル・ローマンに9回TKO負けを喫し、スーパーバンタムの王座を陥落。減量苦の軽減を狙い、昨年4月に階級をフェザーに上げて再起したが、同10月のスパーリングで右目を負傷した。診断は眼筋を痛めた滑車神経マヒ。「ものが上下に2重に見える状態」。最もショックだったのは、水差しからコップに注ごうとして机にこぼしたこと。「本音を言えば(引退を)考えました」-。

ジムの後輩、元WBO世界ミニマム級王者山中竜也さん(24)が同7月の防衛戦で硬膜下血腫になり、引退していた。最も心の通い合った“戦友”の“悲劇”を目の当たりにしていた。手術直前にはジムの山下正人会長に「目が見えへんようになっても構わないから(世界戦を)やらせてください」と訴えた。ところが、そんな怖さ、不安は手術から一夜明けて一気に晴れた。包帯を取ると「ものがちゃんと1つに見えた。あれはほんまにうれしかった」と安堵(あんど)した。

世界挑戦に山中さんも喜んでくれた。「珍しく“絶対”という言葉を使って“勝ってください”と言われました」。場所は完全アウェーの中国だが「どこでも一緒です」と気にしない。「チャンスをいただいた感謝の気持ち。応援してくださる皆さんのためにも、自分のためにも。竜也の分までと言えば何ですが、頑張ります」。また戦える、世界に挑める喜びを胸に、久保はリングに立つ。

WBA世界フェザー級タイトルマッチで2階級制覇に挑む前同スーパーバンタム級王者久保隼(撮影・加藤裕一)

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元王者の山中竜也さん、あだ名がつないだ第2の人生

大阪・北新地のおにぎり店店主として再出発する元WBO世界ミニマム級王者山中竜也さん(撮影・加藤裕一)

ボクシングの元WBO世界ミニマム級王者山中竜也さん(24)が店主を務めるおにぎり専門店「おにぎり竜」は19日、大阪・北新地にオープンする。

その試食会が17日に行われた。

山中さんは「場所が新地でしょ? 怖いです。人生をかけてるという意味では、世界戦と同じ。みんながくつろげて、お客さんの途絶えない店にしていきたい。今度はおにぎりのチャンピオンを目指します」と、緊張気味に抱負を語った。

山中さんは昨年7月、2度目の防衛戦で硬膜下血腫を負い、現役を引退。第2の人生を探していた昨年10月に神戸・真正ジムの先輩、元世界3階級王者長谷川穂積さんがインスタグラムに、山中さんの画像を「おにぎりマン」としてアップ。これを見た山中さんの後援者から「おにぎり店はどう?」とオファーを受けて「現役の時から、頭の形や顔の感じで周りに『おにぎり』と言われていたし…。ぜひやりたいと思った」。そこから、とんとん拍子で話が進んだ。

開店に当たっては飲食店を運営・サポートする「RETOWN」炊飯器メーカー「タイガー魔法瓶」米穀卸メーカー「幸南食糧」が運営する「おにぎりで向上委員会」がサポート。山中さんは約半年前から“修業”をはじめた。

「包丁の持ち方から勉強しました。僕は本当に不器用やし、人よりも覚えが悪くて大変でした。一番、苦労したのは、おにぎりの握り加減ですね」。今では、店のおにぎりメニュー23種類のほとんどの具材を自分で準備できるまで腕を磨いた。

使用する米は、おにぎりに最適な山形県産「つや姫」。山中さんのイチオシは「乱王しょうゆ漬け」(1個300円)。現役時代から高タンパクな食材として卵黄をよく食べていたといい、店では濃い黄身が特長の大分県産「蘭王」を4日間、だししょうゆにつけ込んだ具材を使っている。またメニューにはおでん、季節ものもある。

「おにぎり竜」の所在地は大阪市北区曽根崎新地1丁目1-16 クリスタルコートビル103号。営業時間は午後6時半~深夜、定休日は日曜・祝日。

大阪・北新地のおにぎり店店主として再出発する元WBO世界ミニマム級王者山中竜也さん(撮影・加藤裕一)

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挑戦者谷口「どう転んでも大丈夫」7種の攻撃に自信

予備検診を終えて写真に納まるWBO世界ミニマム級王者のビック・サルダール(右)と挑戦者の谷口(左)(撮影・丹羽敏通)

ボクシングのWBO世界ミニマム級2位谷口将隆(25=ワタナベ)が7種の攻撃プランで同級王者ビック・サルダール(28=フィリピン)を撃破する自信を示した。

26日、東京・後楽園ホールで同級タイトルマッチ12回戦に備え、都内で開かれた予備検診に臨んだ。身長は159・8センチの王者よりも1・7センチ高い谷口だったが、リーチは王者の170センチに対し、163・5センチと6・5センチも短かった。

谷口は「自分よりもリーチが長い相手は初めてですが、170センチ以上のリーチがある選手とも(スパーリングを)やってきたので問題ないです」と強調した上で「どう転んでも大丈夫」という攻撃プランを準備してきたことも明かした。15年末、負けながらも当時の同級王者田中恒成(畑中)から強烈なダウンを奪取し、昨年7月には前王者山中竜也(真正)から王座を奪ったサルダールの右の強打は警戒しなければならない。自らのリーチが短い分、接近戦や中距離での打ち合いなど多彩なファイトを準備を整えてきたという。井上孝志トレーナー(49)も「本当に引き出しは多いです」と付け加えた。

初対面したサルダールと目を合わせ「もっとオーラがあると思ったけれど、今日は感じなかった」との印象を明かした谷口は「試合へのイメージ、頭にあるプランは変わらない。想定外のことが起きても対処できるようにしてきたので。7~8種類はプランがあります」と静かに燃えていた。

医師の検診を受ける挑戦者の谷口。後方はWBO世界ミニマム級王者のビック・サルダール(撮影・丹羽敏通)

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井上尚弥が異例の満票で2度目の最優秀選手&KO賞

授賞式後にガッツポーズで写真に納まる、左から兄の井上尚、父でトレーナーの井上真氏、弟の井上拓(撮影・河田真司)

ボクシングの18年度年間表彰式が8日に都内で開催され、最優秀選手賞にはWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が満票で輝いた。4年ぶり2度目の受賞。昨年5月に当時国内最速の16戦目で3階級制覇を達成し、10月にも連続初回KOで初防衛に成功した。候補は4人いたが、文句のつけようがない成績に異例の満票だった。KO賞も3年ぶり3度目の受賞となり、年間最高試合と3冠だった14年以来の2冠獲得となった。

技能賞は世界最速12戦目で3階級制覇した田中恒成(畑中)、殊勲賞は海外奪取でKO初防衛の伊藤雅雪(伴流)がいずれも初めて選ばれた。この賞は日本ボクシングコミッション、日本プロボクシング協会、東京および関西運動記者クラブ・ボクシング分科会の主催、選考による。

また、日本連盟の最優秀選手賞も同時に選出、表彰された。98年から合同開催していたが、山根前会長時代の15年からプロと一線を引いて独自開催していた。今回は日本連盟からお願いする形で再び合同開催に戻った。

各賞の受賞者は以下の通り。

◆最優秀選手賞 井上尚弥(大橋)=4年ぶり2度目

◆技能賞 田中恒成(畑中)=初

◆殊勲賞 伊藤雅雪(伴流)=初

◆努力・敢闘賞 中谷正義(井岡)=初

◆KO賞 井上尚弥(大橋)=3年ぶり3度目

◆新鋭賞 竹迫司登(ワールド)=初

◆年間最高試合 9月24日のWBOフライ級タイトルマッチ 木村翔(青木)-田中恒成(畑中)

◆年間最高試合(世界戦以外) 7月27日の日本スーパーバンタム級タイトルマッチ 久我勇作(ワタナベ)-和気慎吾(FLARE山上)

◆女子最優秀選手賞 天海ツナミ(山木)=初

◆女子年間最高試合 12月1日のWBO女子世界ミニマム級タイトルマッチ 江畑佳代子(ワタナベ)-多田悦子(真正)

◆優秀選手賞 井上拓真(大橋)、井上尚弥(大橋)、伊藤雅雪(伴流)、岩佐亮佑(セレス)、亀田和毅(協栄)、京口紘人(ワタナベ)、木村翔(青木)、田中恒成(畑中)、ホルヘ・リナレス(帝拳)、村田諒太、山中竜也(真正)

◆特別功労賞 山中慎介(帝拳)

◆特別賞 五十嵐俊幸(帝拳)、山中竜也(真正)、小関桃(青木)、柴田直子(ワールド)、好川菜々(堺東ミツキ)

◆優秀トレーナー賞 井上真吾(大橋)=初

◆社会貢献賞 藤岡菜穗子(竹原&畑山)

◆JBC功労賞 田畑親一(タイムキーパー)、故手崎弘行(レフェリー)

◆協会功労賞 斉藤寛、島川威、熊崎広大

<日本連盟>

◆男子最優秀選手賞 成松大介(自衛隊)=初

◆女子最優秀選手賞 並木月海(自衛隊)=初

世界戦最高試合賞に選ばれた田中恒成(右)と木村翔(撮影・河田真司)
18年10月、WBAバンタム級タイトルマッチでパヤノ(右)にKO勝ちする井上尚弥

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山中竜也が引退表明 トレーナーなど第2の人生模索

急性硬膜下血腫のため引退を表明した前WBO世界ミニマム級王者山中竜也(撮影・加藤裕一)

ボクシングの元WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が8月31日、神戸市内で会見し、引退を表明した。

7月13日の2度目の防衛戦で判定負け後に頭痛を訴えて病院に緊急搬送され、急性硬膜下血腫と診断された。日本ボクシングコミッションの規則で頭蓋内出血の場合はライセンスを失効するため、無念の引退。「最初は自分のことじゃないような気持ちでした。今後についてはまだ全然考えてません」。トレーナーなども含め第2の人生を探していく。

急性硬膜下血腫のため引退を表明した前WBO世界ミニマム級王者山中竜也(左)と真正ジムの山下正人会長(撮影・加藤裕一)

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山中竜也が引退表明 今後の事は「全然考えてない」

急性硬膜下血腫のため引退を表明した前WBO世界ミニマム級王者山中竜也(撮影・加藤裕一)

ボクシングの元WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が31日、神戸市内で会見を行い、引退を表明した。7月13日の2度目の防衛戦で判定負けした後、会場を去り際に頭痛を訴えて同市内の病院に緊急搬送され、急性硬膜下血腫の診断を受けた。日本ボクシングコミッション(JBC)の規則で頭蓋内出血をした者はライセンスを失効することが定められており、引退を余儀なくされた。

山中は「最初は自分のことじゃないような気持ちでした。病名は聞いたことがあって“そういえば、先輩にそれで引退した人がいた”と思い、自分もそうなるのかなあと考えました」という。ボクシング歴12年でプロ生活6年。中卒のたたき上げで、同ジムの山下正人会長が「本当に努力の男。これからの選手に見習ってほしい」と評する男が突然、思わぬ形でキャリアを断たれることになった。

「これからのことはまだ全然考えてなくて。白紙? はい、そうです。でも、いつまでもブラブラしてたらあかんと思うので…」。ボクシングを始めるきっかけになった人気漫画「はじめの一歩」では、くしくも主人公の幕之幕一歩がパンチドランカーの症状を訴え、トレーナーの道を歩み出している。「ねえ、そうなんです」と苦笑いする山中だが、今後はトレーナーなどの選択肢も含めて、第2の人生を模索していく。

急性硬膜下血腫のため引退を表明した前WBO世界ミニマム級王者山中竜也(左)と真正ジムの山下正人会長(撮影・加藤裕一)

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ジム先輩の長谷川穂積、山中は「ダウンまでは完璧」

がっくりと肩を落とし引き揚げる山中(左)(撮影・渦原淳)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇13日◇神戸市立中央体育館

 WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が0-3の12回判定負けで、2度目の防衛を逃した。同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)の右ストレートで7回にダウンを喫し、終盤は約15キロの減量の影響で両脚がつった。

 山中のジムの先輩で元世界3階級王者長谷川穂積氏(37)は、テレビ解説として山中の敗戦を見届けた。「接近戦がはまっていたし、ダウンまでは完璧な戦い方」と話し「(ダウンが)有利になった瞬間だったかもしれない」。後輩に長期防衛を期待していただけに、無念さを隠さなかった。

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山中竜也1発で沈む 階級上げた再挑戦も視野に

7回、サンダール(右)の右パンチが山中の顔面にヒット(撮影・白石智彦)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇13日◇神戸市立中央体育館

 WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が0-3の12回判定負けで、2度目の防衛を逃した。同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)の右ストレートで7回にダウンを喫し、終盤は約15キロの減量の影響で両脚がつった。流血しながら意地を見せたが、ライトフライ級への転向を含めて、今後のプランは再考することになる。中卒から、たたき上げの男が大きな壁にぶち当たった。

 快調だったはずの山中が、1発の右ストレートで沈んだ。徐々に距離を詰め、戦略通りに進んでいた7回。サルダールのワンツーをあごに受け「かなり効きました」。起き上がると、今度は両脚がつった。言うことを聞かない体に加え、終盤には左まぶた付近から流血。懸命に立ち向かったが「向こうが勝ったと思いました」と覚悟を持ち、12回終了のゴングを聞いた。

 順調に見えた減量にも落とし穴があった。山下会長は「減量やね」とつった両脚について分析。3月の初防衛以降、祝いの場が増え、山中の体重は62キロ台に達した。47・6キロのリミットまでは約15キロ。最近の世界戦では体重超過が度々問題となっており、王者として「怖いのは怖い。計量失敗する夢を見ることもある」と、その不安は増した。

 減量期間中は神戸市内の自宅に母理恵さん(47)が訪れ、減量食を用意。前日計量では100グラムアンダーでパスし「体調はいいです」と笑った。この日はママチャリで会場入りし、普段通りかと思われた流れだったが、足をすくわれた。

 ベルトを失った控室では、額に巻いた白のタオルを血でにじませながら「その時(ダウン)だけ(ガードを)開いてしまった」とポツリ。それでも「これで終わるつもりはない」と言い切った。山下会長は「本人と話して決める」とし、ライトフライ級転向も含めて、今後のプランを再考する。中学卒業後からボクシングに打ち込む理由を「好きだから。漫画(はじめの一歩)を読んで、長谷川(穂積)さんを見てのめり込んだ」と言い切る男。立ち止まるのは、まだ早い。【松本航】

7回、サンダール(右)の右パンチが顔面にヒットしダウンする山中(撮影・白石智彦)

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大流血陥落の山中竜也が再挑戦意欲、階級上げも視野

山下会長とがっくり引き上げる山中(左)(撮影・渦原淳)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇13日◇神戸市立中央体育館

 王者山中竜也(23=真正)が判定0-3で挑戦者の同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)に敗れ、2度目の防衛に失敗し王座から陥落した。

 立ち上がりから手数で圧倒された山中は7回、ワンツーから右ストレートを食らい、ダウンを奪われる。さらに左右両目上を偶然のバッティングでカット。最終12回は、左目上からの大流血も影響し、最後の挽回も及ばなかった。判定は115-112、116-111、117-110と最大7ポイント差で3人とも挑戦者を支持。山中は「ガードを上げていたけど、ダウンの場面だけ空いていた。相手のパンチ力は思っていた通り。接近戦でなかなか手が出なかった」と振り返った。「これで終わるつもりはない」と再挑戦に意欲。今後は階級を上げることも視野に入れる。

7回 ビック・サンダールの右パンチでダウンした山中竜也(撮影・白石智彦)

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流血山中竜也、判定負け防衛ならず/ボクシング詳細

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇13日◇神戸市立中央体育館

 WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が、同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)に判定負け(0-3)し、2度目の防衛はならなかった。

◆WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦

王者山中竜也(23=真正)判定同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)

7回、サンドール(右)の右ストレートでダウンする山中(撮影・白石智彦)

【1回】1分すぎ、両者一瞬激しい打ち合いを見せたが、その後は様子見。サルダールはノーモーションから速い左ジャブ。山中もジャブに左をカウンター気味に合わせる

【2回】1分20秒すぎ、山中の左ジャブが顔面にヒット。2分すぎ山中の右左の連続ボディーがヒット。サルダールはボディーを嫌がるそぶりも

【3回】1分40秒すぎ、山中は接近戦から左ボディーを連打。2分20秒すぎには山中の右ボディーがヒット

【4回】序盤はお互い距離を取りながら様子をみる。1分40秒すぎ、接近戦から山中の左ボディーがダブルでヒット。2分50秒すぎ、ガードが下がってきたサルダールに山中の右ストレートが顔面をとらえる

【5回】20秒すぎ、山中は右、左、左とボディーをヒットさせる。2分20秒すぎ、サルダールの左ジャブが山中の顔面にヒット。2分40秒すぎにはサルダールの右ボディーがヒット

【6回】1分すぎ、山中は相手の右ボディーにカウンター気味に左ボディーを合わせる。2分すぎ接近戦となり2分30秒すぎに左ボディーの連打。相手も必死のガード

【7回】2分10秒すぎ、サルダールの左ジャブから強烈な右ストレートを顔面にもらった山中はダウン。山中は足元がフラフラになりながらも何とかゴングに救われる

【8回】サルダールは山中を仕留めに入るがなかなかヒットせず。山中はフットワークを使いながら距離をとって体力回復を図る

【9回】40秒すぎ、山中の上から回した右フックが相手の顔面にヒット。2分すぎ、サルダールの右フックが山中の顔面をとらえる

【10回】序盤から山中の左ボディー、右ボディーからのアッパーがヒット。1分40秒すぎ、山中の右ストレートが顔面にクリーンヒット。2分すぎにも山中の右ストレートがヒット。スリップとなったが、相手の足元もフラつきマットに手をつく

【11回】1分40秒すぎ、山中は右ストレートをボディーにヒットさせる。2分すぎ、山中の左ジャブが顔面をヒット。山中はバッティングで左まぶたを切り出血

【12回】山中は顔面血まみれになりながらも2分30秒すぎ、右ストレートを相手の顔面にヒットさせる。相手も2分40秒すぎに右ストレートを山中の顔面にヒットさせる

【判定】115-112、116-111、117-110の0-3。山中は判定負けで防衛ならず

7回、サンドール(右)の右パンチが山中の顔面にヒット(撮影・白石智彦)

世界ミニマム級タイトルマッチ 3回 ビック・サルダール(右手前)の左脇に右パンチを浴びせる山中竜也(左奥)(撮影・白石智彦)

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新王者サルダール「すぐにでも」山中との再戦歓迎

新王座のサルダール(右から2人目)(撮影・渦原淳)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ>◇13日◇神戸中央体育館

 WBO世界ミニマム級タイトルマッチで王者山中竜也(23=真正)を倒し、新王者となったビック・サルダール(27=フィリピン)が、喜びをかみしめた。3-0の判定勝ち。7回に右ストレートでダウンを奪い、一気に攻勢をかけた。「勝てたことは神に感謝したい。山中を倒したことは大きい」と笑みがこぼれた。

 ダウンを奪った強烈な右ストレートは「練習していた1つ。うまくハマってくれた」と納得顔。山中については「強いパンチだったけど、自分は彼より強かった。頭のいい王者だったので、引くところといくところを使い分けた」と話した。

 12回まで戦っての勝利もプラン通り。「日本はジャッジがフェアだから攻撃的にいこうと思っていた。ダウンさせた後のビジョンも、その通りにできた」という。今後については「(真正の)山下会長には感謝しているので、リターンマッチをやってもいい。フィリピンでも日本でもどこでも。すぐにでも問題ない」と歓迎した。

7回、打ち合うビック・サルダール(左)と山中竜也(撮影・渦原淳)

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山中竜也が2度目防衛に失敗、サルダールに判定負け

7回、サンドール(右)の右ストレートでダウンする山中(撮影・白石智彦)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇13日◇神戸市立中央体育館

 WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が2度目の防衛に失敗した。同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)と12回フルラウンドを戦い、0-3の判定負けを喫した。序盤は押し気味だったが、中盤7回2分過ぎに強烈な右ストレートを顔面に食らいダウン。それでも王者の意地で盛り返し、終盤は相手をふらつかせる場面もあったが、劣勢を跳ね返すことはできなかった。

 山中は昨年8月に当時の王者・福原辰弥を判定で破り同級王座を獲得。今年3月にカジェロス(メキシコ)を下し初防衛に成功していた。戦績は16勝3敗5KO。

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チリンチリン!王者山中竜也が本当にチャリで来た

自転車で会場入りした山中竜也(撮影・渦原淳)

 宣言通りの“ママチャリ出陣”だ! ボクシングのWBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が13日、2度目の防衛戦に向けてママチャリで会場入りした。同日夜に同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)とタイトルマッチを戦う。

 午後4時38分に会場の神戸市立中央体育館に現れた山中は、リュックサックの1つを前かごに乗せ、もう1つは背負って、1人で正面玄関に向かって自転車をこいだ。“愛車”から降りると、報道陣や居合わせたファンに「こんにちは!」とあいさつした。

 前日12日には「明日はチャリで行きます。普通でしょう、近いんで」とさも当然のようにニッコリ。神戸市兵庫区の自宅から会場は、自転車で約10分の距離だという。ママチャリは1~2年前に購入し、自慢は「(6段の)変速機付きなんです」。現役世界王者の自転車での会場入りは極めて珍しいが、山中は普段通りの自然体で決戦に備える。

自転車で会場入りした山中竜也(撮影・渦原淳)

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山中竜也、愛車「カマキリハンドル」で防衛戦出陣

計量をパスしたサルダール(左)と山中(撮影・加藤哉)

 ボクシングのWBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が今日13日、2度目の防衛戦を迎える。12日は同級3位サルダールと、神戸市内のホテルで前日計量。100グラムアンダーの47・5キロだった山中は「体調はいいです」と笑顔を見せ、47・4キロの挑戦者とともに一発でクリアした。

 庶民派を貫く山中は「明日はチャリで行きます。近いんで」。世界王者となって初めての“ママチャリ出陣”を、平然と明かした。神戸市兵庫区の自宅から会場までは自転車で約10分。ベルトは関係者が持参し、前かごにのせることこそないが、世界王者としては異例の会場入りだ。愛車は「カマキリハンドル」で自慢の6段変速ギア。道中の坂道も問題ないという。

 ピークから約15キロの減量を終え、母理恵さんの鍋料理を食して臨む決戦。「相手も元気そうで、全力で来る。しっかり対応したい」。挑戦者の気迫も、ギア全開でのみ込む。【松本航】

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山中竜也、計量一発クリア「気持ちで負けないよう」

計量をパスしサルダール(左)と2ショットで記念写真に納まる山中(撮影・加藤哉)

 ボクシングのWBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が12日、2度目の防衛戦に向けて神戸市内のホテルで前日計量に臨んだ。13日に神戸市立中央体育館で同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)と対戦。リミット47・6キロに対し、山中は47・5キロ、サルダールは47・4キロで一発クリアとなった。

 経口補水液をゆっくりと飲み、口を開いた山中は「とりあえずこれで、しっかりと試合ができる。少しホッとしました」とニッコリ。MAX62キロだった体重を、約15キロ落としたが「体調はいいです」と、不安はなさそうだ。

 試合前日はこれまで通り母特製の鍋料理、あんこときな粉のおはぎなどを食する予定といい「(3月の初防衛戦の)カジェロス戦より厳しくなると思う。気持ちで負けないようにしたい」と気を引き締めた。

 一方、ピンク髪のサルダールは計量後、ゆで卵、バナナ、チョコレートなどを食べた。ディナーは鶏料理を予定。無事に計量をクリアし「食べられるから幸せだ。明日は必ず勝ちます」とベルト奪取を誓った。

計量をパスし頭を下げるサルダール(左)に一礼する山中(撮影・加藤哉)
計量を1発でパスした山中、左から2人目はサルダール(撮影・加藤哉)
計量を終え散髪した頭を触りながら記者と話す山中(撮影・加藤哉)

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山中竜也、挑発にペコリ紳士対応「僕が勝ちたい」

調印式を終え、写真に納まる山中(左)とサンダール(撮影・奥田泰也)

 WBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が紳士的対応で、挑戦者からの挑発をスルーした。11日、神戸市内で行われた調印式と記者会見に出席。13日の2度目の防衛戦で激突する同級3位サルダールと顔を合わせた。

 壇上で相手陣営から「勝って再戦のチャンスを与えたい」と仕向けられた。これには怒り…かと思われた山中だが、写真撮影ではサルダールにペコリと頭を下げ、両手を差し出して握手。苦笑いで「しっかり(今回の)1回目で僕が勝ちたい」と誓った。ピーク時62キロの体重は、計量前日で200グラムオーバーの47・8キロと順調。「ビッグパンチをもらわない距離」を意識し、ピンク髪の挑戦者に格の違いを見せつける。

 勝敗に関係なく、今回の収益の一部を西日本豪雨の被災地に寄付する予定。勝てば山中が直接被災地を訪問するという。「僕はボクシングしかできない。戦う姿を見てもらいたい」。穏やかな王者は、リングの上で熱くなる。【松本航】

調印式後、にらみあう山中(左)とサンダール(撮影・奥田泰也)
調印式後、笑顔で握手を交わす山中(左)とサンダール(撮影・奥田泰也)

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山中竜也、2度目防衛戦のカギは「相手との距離感」

世界ミニマム級タイトルマッチ調印式後、写真撮影をする山中竜也(左)とビック・サルダール(撮影・奥田泰也)

 ボクシングのWBO世界ミニマム級王者山中竜也(23=真正)が11日、2度目の防衛戦に向けて神戸市内のホテルで調印式に出席した。

 13日に神戸市立中央体育館で行われる同級3位ビック・サルダール(27=フィリピン)とのタイトルマッチを2日後に控え、体重はリミットの200グラムオーバーと順調な様子。ジムの大先輩である元世界3階級王者長谷川穂積氏(37)からは「先週、『あと少し頑張れよ』とメッセージをもらいました」と明かした。

 相手は15年の大みそかに、当時のWBO世界ミニマム級王者田中恒成(23=畑中)に挑戦。5回には右のパンチで田中を人生初のダウンに追い込んだ。最後は6回KO負けを喫したものの、侮れない存在だ。

 ジムによると当日券も販売するといい、“花金”の夜の快勝でさらに名前を売りたいところ。いつも謙虚で、真面目な王者は「(3月の初防衛戦と比べ)全てがレベルアップしたと思う。ポイントは(相手との)距離。余計なビッグパンチをもらわない距離で、しっかりとやりたいと思います」と自信をのぞかせた。

世界ミニマム級タイトルマッチ調印式後、笑顔で握手を交わす山中竜也(左)とビック・サルダール(撮影・奥田泰也)
世界ミニマム級タイトルマッチ調印式で笑顔で記者の質問に答える山中竜也(右)、左は真正ジム・山下正人会長(撮影・奥田泰也)

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