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照ノ富士「やりましたね、と思った」V一夜明け会見

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

大相撲7月場所で復活優勝を果たした東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が3日、オンラインで行われた一夜明け会見に出席した。序二段から史上初の再入幕を果たした照ノ富士は、新大関の朝乃山や関脇御嶽海を破るなどして自身2度目の優勝を達成。一時は横綱候補とも呼ばれながらも、両膝の負傷や内臓疾患などにより番付を序二段まで落とした大関経験者が、劇的優勝を果たした。

主な一問一答は以下の通り。

-昨日はどんな夜を過ごしたか

照ノ富士 もう普通にいつも通りに。ちょっと疲れたので寝ました。

-幕内の15日間はどうだったか

照ノ富士 15日間というのはいつも疲れるので。

-あらためて優勝の瞬間は。復活という気持ちはあったか

照ノ富士 自分の中ではそんなに。ちょっとずつ元の体に戻りつつあるので、それがいい結果につながってよかったなと思います。

-御嶽海を寄り切った瞬間は

照ノ富士 素直にうれしかったです。

-ここまで来ると思っていたか

照ノ富士 正直そこまで勝つとは思わなかった。10番勝てば三賞狙えるとかは考えた。1日一番勝っていけばと思った。

-優勝を意識した瞬間は

照ノ富士 特にないですね。その日の一番に勝てば結果は後からついてくると思って信じてやってきました。

-優勝した実感がわいたのはどのあたりか

照ノ富士 (御嶽海に)勝って決まって、そこからじゃないですか。

-師匠から優勝旗を受け取った時の気持ちは

照ノ富士 やりましたね、と思いました。

-頑張ったということか

照ノ富士 そうじゃなくて。自分の頑張りもあるけど、親方から始まって周りの人の支えがあったから。それがこういう結果になってますから。

-師匠から声は

照ノ富士 おめでとう、と(部屋に)帰ってきて言われて、抱き合った。

-以前の優勝の時も抱き合った。その時と比べて

照ノ富士 そうですね、もう全然違う。

-前回の優勝の時との違いは

照ノ富士 以前はイケイケの時の優勝だった。俺ができなければ誰ができるんだっていうぐらい。今はそういう考えが全くないというか。1日ずつ自分のことを精いっぱいやってれば、いい結果につながると思いながら毎日過ごしてた。

-部屋の祝福は

照ノ富士 みんな喜んでた。若い衆とかとシャンパンとか買ってきて。

-観客の拍手はどう感じたか

照ノ富士 自分は逆にどっちでもいいっていうか、土俵に上がったらお客さんいてもいなくても全力を出す。(国技館に)来られなくても、テレビの前で見てくれると思ってましたから。

-膝の状態は

照ノ富士 伸びなくなってました。表彰式の時に土俵上がったり下りたりするのはきつかった。

-その状態で上位と対戦してたのか

照ノ富士 そこまでいっちゃったらやるしかないので。

-かなり辛い状況だったか

照ノ富士 辛いのなれてるというか。

-場所前に「上位の力士と対戦は厳しい」と言っていたが上位を破った

照ノ富士 やっぱり前半から勝ってたから、その勢いがあったと思う。今の自分じゃ絶対に勝てないというのが分かってたから。勢いに乗ったから勝っただけで、もうちょっと鍛えないと来場所厳しいかなというのはあります。

-あらためて優勝できた1番の要因は

照ノ富士 自分を信じてやってきたことをやるだけという。それだけですね。

-次の秋場所がすぐ目の前にきている

照ノ富士 そうなんですよね。とりあえずは明後日からもう1回体を鍛えなおそうと思って。やれることを全力出していこうと思っています。

-休みはなく稽古に入るのか

照ノ富士 そうですね。水曜日から汗を流そうと思っている。それは場所前から決めてたことなので。

-筋肉を落としたくないのか

照ノ富士 1週間の休みとかは自分の中では長いと思っているので。1週間やって1日休んで、1週間やって1日休んでっていうのは自分の体のためというか。

-今の楽しみは?

照ノ富士 今観ている映画を終わらせることじゃないですか。

-何を観ているのか

照ノ富士 ちょっと面白い映画見つけた。「The 100」って書いてあるやつ。終わらせないと眠れないので。

-場所中も観ていたか

照ノ富士 場所前から見てました

-寝不足になったことは

照ノ富士 それは特にないですね。

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柔道大野将平も照ノ富士祝福「勇気や感動くれた」

大野将平

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。

   ◇   ◇   ◇

照ノ富士と同学年で親交が厚い、リオ・オリンピック(五輪)柔道男子73キロ級金メダルの大野将平も雄姿を見守った。

「もちろん期待しかしてませんが、応援する側も余計なことをあまり考えずに見守ります」と話したのは13日目。「こうしてまた幕内で強い照ノ富士関が見られるだけで素晴らしい」とエールを送っていた。優勝を見届け、「ケガや病気でつらく苦しい時期も柔道の稽古やトレーニングに来てくれたり、全てを乗り越えての復活優勝は、この状況下にある私たちに勇気や感動を与えてくれました」と祝った。

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司)

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照ノ富士が消沈…変化し批判浴びた一番元付け人述懐

15年6月、照ノ富士(左)と付け人の駿馬

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇

照ノ富士の付け人を約5年間務めた元幕下駿馬(しゅんば)の中板秀二さん(38)は、劇的な復活劇を信じて疑わなかった。「目標があれば、必ず戻れると思っていた」。入門は照ノ富士より7年早い。13年3月の間垣部屋から伊勢ケ浜部屋への移籍や15年夏の大関昇進。兄弟子として苦楽をともに過ごしてきた。

両膝のけがなどでどん底の中、照ノ富士は弱音をたくさん吐いたという。「『何をやってもうまくいかないんです』と。(番付が)上がってるときは弱みを全く出さなかったので驚いた」。印象的だったのは優勝を争っていた17年春場所14日目。立ち合い変化で琴奨菊の大関復帰を絶つと、周囲から厳しい批判を浴びた。「あれから元気がなくなったように見えた。(その後の低迷は)体のことはもちろんだが、気持ちの問題も大きかったんじゃないか」と述懐する。

序二段で復帰した昨年春場所前、照ノ富士はすでに引退を決断していた駿馬さんの自宅を訪れ「もう1回、幕内で頑張ります」と決意の報告をした。駿馬さんは昨年夏場所限りで引退。直後に部屋で行われた断髪式では、照ノ富士に「お疲れさまでした」とはさみを入れられ、ほおにキスされた。「モンゴル流なんですかね。涙が出ました」。現在は都内で介護事業を展開する企業の職員として働いている。優勝の瞬間は仕事のためラジオで聞き「感慨深いものがあった」。元付け人にとっても格別な優勝となった。【佐藤礼征】

御嶽海(右)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・河田真司)
幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

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伊勢ケ浜親方「よく頑張ったな」弟子の復活Vに感慨

優勝旗を照ノ富士に渡す師匠の伊勢ケ浜親方(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇

師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は、弟子の復活優勝に感慨深げだった。「よく頑張ったなと言ってあげたい。最初の状況だったら優勝とかは考えてない。場所前は勝ち越して、ケガなく終わればいいと思っていた」。賜杯を抱く姿までは想像できなかったという。照ノ富士が序二段まで番付を落とした際、引退を相談されたが翻意させた。「序二段に落ちた時に『序二段で勝っても負けても恥ずかしい話じゃない』と言った」と励ました。力も番付も順調に戻ってきたように見えるが「今はまだ一生懸命、ケガと闘っている最中。ただ、ケガを克服して本人も納得してると思う」と弟子の気持ちを代弁した。

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八角理事長振り返り、力士らが約束「守ってくれた」

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇

コロナ禍で開催された異例の場所が幕を閉じた。無観客開催の春場所以来、4カ月ぶりに開催した7月場所。日本相撲協会はガイドラインに沿って、観客数の上限を1日約2500人に設定し、来場者にマスク着用や声援自粛を求めた。力士には支度部屋で準備運動をする際にマスクの着用を義務づけ、座る場所もアクリル板で仕切るなどした。千秋楽終了時点で協会員の新型コロナ感染者は0。八角理事長(元横綱北勝海)は「力士も頑張って、協会員も(約束を)守ってくれた。内容は、横綱、大関が休場して申し訳ないが、頑張ってくれた力士がいた。お客さんには本当に拍手(の応援)で後押ししてもらった」などと振り返った。

芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、今場所後には新弟子勧誘や帰省などの外出は師匠の許可次第とする一方、新たなガイドラインを設けて制約を設けるという。また、2週間後には力士全員に、新型コロナの抗体検査を受けさせることも明かした。政府の緊急事態宣言が再び出れば「場所の開催は難しい状況になる」と話し、開催の方向性については「模索」と表現。当面は1場所ごとに開催か否かが最重要事項となる。

御嶽海を破り土俵下で天を仰ぐ照ノ富士(右)と、優勝を逃し静かに目を閉じる正代(撮影・河田真司)  

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復活V照ノ富士「恩返し」引退慰留の師匠から優勝旗

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、5年ぶり2度目の優勝を果たした。

関脇御嶽海を寄り切って13勝目。ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。優勝は15年夏場所以来。30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランクで、大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目。両膝の負傷や内臓疾患に苦しみ序二段まで番付を落とした男が、大相撲史に残る復活劇を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇

優勝を決めて土俵下に下りると、照ノ富士は30場所前の自身の優勝額を見上げた。「いつもあと何場所で写真がなくなるか考えていた。なくなる前に、もう1つ飾りたかった」。国技館の優勝額は直近の優勝力士32人。大相撲ファンが忘れないような、記録ずくめの優勝でつないだ。

混戦模様を振り払うように、本割1発で決めた。御嶽海に敗れれば、ともえ戦に突入。「やってきたことを信じてやるだけだと思った」。立ち合い当たってすかさず両上手を取ると、引きつけて一直線。勝って涙ぐむことも、笑みを浮かべることもない。「うれしくて何がなんなのか分からなかった。いろんなことが頭に浮かんで、落ち着いてこらえた」。23歳の初優勝時は支度部屋で涙。感情を整理して優勝の実感に浸った。

1897日前の初優勝とは、歓喜の味が違った。「イケイケのときに優勝してる。今は慎重に、1つのことに集中してやってきた。それが違う」。15年の大関昇進後は、けがと病気との闘いだった。両膝の負傷に加えて、C型肝炎、糖尿病なども患い、移動の際は人の手が必須。トイレに行くのさえ容易ではなかった。幕下陥落が決定した18年6月に両膝を手術。右膝は前十字靱帯(じんたい)が、左膝は半月板がなくなった。

17年の大関陥落後、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)には何度も引退を申し出たが、認められなかった。「必ず幕内に戻れる」と粘り強い説得を受け、照ノ富士も「もう1度新弟子になろう」と決意。大好きな酒を断ち、幕下以下が締める黒の稽古まわしで再出発した。

表彰式で引退を慰留してくれた師匠から優勝旗を手渡された。「みんなが支えてくれて、恩返しがしたかった。こうやって笑える日がきてうれしい。こういう時期だから、みんなに勇気と我慢を伝えたいと思って一生懸命やった」。4カ月ぶりに再開した本場所。心身を見つめ直したかつての横綱候補が、コロナ禍で暗雲が垂れ込める世の中を明るく照らした。【佐藤礼征】

◆照ノ富士春雄(てるのふじ・はるお)本名・ガントルガ・ガンエルデネ。1991年11月29日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。18歳で逸ノ城らと一緒に来日し、鳥取城北高に留学して相撲を始める。3年時に中退して間垣部屋に入門。しこ名「若三勝」として11年技量審査場所で初土俵。13年春場所後に伊勢ケ浜部屋に転籍。同年秋が新十両昇進で「照ノ富士」に改名。14年春場所が新入幕。関脇だった15年夏場所で初優勝を果たし、場所後に大関昇進。17年秋場所に大関陥落。5場所連続休場して19年春場所に西序二段48枚目で本場所に復帰。192センチ、180キロ。血液型はO。家族は両親と姉、妹。得意は右四つ、寄り。愛称は「ガナ」。

▽八角理事長(元横綱北勝海)「照ノ富士はよく戻ってきた。戻ってすぐの優勝だから素晴らしい。こんなに早く優勝できるとは、本人も思っていなかっただろう。やっぱり、いろいろ経験してきた元大関だ。緊張感の中、気持ちで相撲を取っていた。ただ、まだ膝をかばっている感じで不安もあるだろう。来場所は難しいものがあるのでは」

▽照強(照ノ富士に前日)「明日頑張って下さい」と言ったら「ありがとう」と。優勝してもらって気持ちよく祝いたい。

引退を引き留めた師匠の伊勢ケ浜親方から優勝旗を受けとる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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八角理事長が照ノ富士優勝を称賛「よく戻ってきた」

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

復活優勝を遂げた東前頭17枚目の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)を、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)も称賛した。

取組前は「決定戦にはなりたくないから集中していると思う。(膝に不安があるから)もちろん、1番で(決める)というね。立ち合いで圧力をかけて御嶽海の出足を止めたいところだろう」と話していた。

そして優勝が決めると、復活優勝について「大関が序二段まで落ちて相撲を取る。何とも言えないが、よく戻ってきた」とほめた。さらに「幕内の緊張感の中、今場所は気持ちで(相撲を)取っていた。こんなに早く優勝できるなんて、本人も考えていなかっただろう。戻ってすぐの優勝だから素晴らしい。優勝経験があるから、やっぱり元大関だ」と続けた。

平幕上位に番付アップが予想される来場所については「なかなか難しいものがあるんじゃないか。まだ(膝に)不安もあるだろうし、今場所のように、というのは難しいだろう。まだ(大関の頃のように)戻っていない気がする」と見通しを述べていた。

また、1差の優勝次点だった新大関の朝乃山(26=高砂)についても言及。「新大関としては合格じゃないかな。12勝は立派。最後は横綱、大関が(朝乃山以外)全部、休場して、自分のことで精いっぱいだったところで、いろいろなものが(朝乃山の双肩に)のしかかって集中できなかったような気がする」と推察。その上で「でも頑張った。いい勉強になったのでは。これからだから」と次期横綱候補に期待を寄せた。

照ノ富士(右)は御嶽海を寄り切りで破り優勝を決める(撮影・小沢裕)

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殊勲賞は3人、照ノ富士は技能とダブル受賞 三賞

幕尻優勝を果たし、八角理事長(右)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

日本相撲協会は両国国技館内で、7月場所の三賞選考委員会を開き、千秋楽本割前に、さまざまな条件での候補力士を決定。全取組終了後、三賞力士が確定した。

殊勲賞は3人が受賞した。復活優勝を果たした、幕尻の再入幕で東前頭17枚の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は2度目の受賞。また照ノ富士は、初の技能賞と合わせダブル受賞となった。殊勲賞は他に、関脇御嶽海(27=出羽海)が6回目の受賞。横綱白鵬(35=宮城野)と大関朝乃山(26=高砂)を下し優勝争いを盛り上げたことが評価された。また、小結大栄翔(26=追手風)も受賞。11日目に全勝だった白鵬を破った相撲が評価され、千秋楽で勝てばという条件もクリアし、2度目の殊勲賞となった。

敢闘賞は、優勝した照ノ富士に14日目に勝ち、千秋楽まで優勝の可能性を残した関脇正代(28=時津風)が、5回目の受賞を果たした。

手にした懸賞を額に当てる照ノ富士(撮影・小沢裕)

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御嶽海Vならず「悔しい」照ノ富士の強烈圧力に屈す

照ノ富士(左)に寄り切りで敗れる御嶽海(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

関脇御嶽海(27=出羽海)が自力で優勝の可能性をつなげられずに悔しがった。

照ノ富士(伊勢ヶ浜)に両上手を許し、強烈な圧力になすすべなく寄り切られた。「しっかり自分の相撲を取りきれなかった。悔しい」と言った。

部屋に関取は1人だけ。新型コロナウイルス感染防止のため、出稽古も禁止された中、難しい調整で迎えた場所だった。その中での11勝は「目標の2桁は達成できた」。横綱白鵬を破るなど優勝争いを盛り上げ、殊勲賞を獲得した。

再び大関とりへの起点となる。「来場所はその上を目指して頑張りたい」と早くも先を見据えた。

照ノ富士(右)は御嶽海を寄り切りで破り優勝を決める(撮影・小沢裕)

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復活照ノ富士、優勝後に序二段経て幕内Vは史上初

幕尻優勝を果たし賜杯を手にする照ノ富士(撮影・河田真司) 

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。

◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。幕尻優勝は00年春場所の貴闘力、今年初場所の徳勝龍に続いて史上3人目(1年に2度は史上初)。返り入幕の優勝は徳勝龍以来。優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。同一年に平幕優勝が2度あったのは92年初場所の貴花田、名古屋場所の水戸泉以来28年ぶり。

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復活Vの照ノ富士「笑える日くると信じやってきた」

御嶽海を寄り切りで破り幕内優勝を決めた照ノ富士(右)は手にした懸賞を額に当てる(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。単独トップの12勝2敗で迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む一番で、関脇御嶽海を破った。両上手を取って直進。大関経験者が、力で大関候補をねじ伏せた。

取組後、照ノ富士は晴れやかな表情でNHKのインタビューに対応し「いろんなことがあって最後にこうやって笑える日がくると信じてやってきた。一生懸命やったらいいことがあると。やってきたことを信じてやるだけだと思っていた」と話した。

14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。照ノ富士は殊勲賞、敢闘賞の三賞2つも獲得。両膝のけがや内臓疾患を乗り越え、序二段から史上初の幕内復帰を果たした不屈の男が、劇的なカムバックを遂げた。

前回優勝したのは5年以上前になる。照ノ富士は「イケイケのときに優勝してる。今は慎重に、ひとつのことに集中してやってきた。それが違う。こうやって笑える日がきてうれしい」と喜んだ。

朝乃山は史上9人目の新大関優勝を、関脇正代は初優勝を、関脇御嶽海は史上初の関脇以下で3度目となる優勝を逃した。

朝乃山は結びで正代を破って12勝3敗。横綱不在の場所で看板力士の責任を果たした。

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76年魁傑は後に大関復帰果たす/復活Vアラカルト

御嶽海を寄り切りで破り満足そうな表情を見せる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。

3敗の単独トップで迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む本割の関脇御嶽海との一番を制し、13勝目を挙げた。14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。殊勲賞、敢闘賞の三賞2つも獲得した。

大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降では2人目。優勝と優勝の間で十両以下に陥落した力士はおらず、史上初の快挙となった。

◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。幕尻優勝は初場所の徳勝龍以来、史上3人目。返り入幕の優勝も徳勝龍以来。優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。

◆大関経験者の関脇以下での優勝 昭和以降では1976年(昭51)秋場所の魁傑(先代放駒親方)以来2人目。このとき魁傑は西前頭4枚目で14勝1敗。8日目の横綱北の湖戦が唯一の黒星だった。同年九州場所に関脇で11勝、翌年の77年初場所でも関脇で11勝を挙げ、同年春場所で8場所ぶりに大関復帰を果たした。大関陥落の翌場所に10勝を挙げられず、後に大関復帰した力士は魁傑ただ1人。

大関陥落後、76年に復活V、後に大関復帰を果たした魁傑(77年)

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照ノ富士が奇跡の大復活V、序二段経て30場所ぶり

かみしめるように下がりを外す照ノ富士(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。

3敗の単独トップで迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む本割の関脇御嶽海との一番を制し、13勝目を挙げた。14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。殊勲賞、技能賞の三賞2つも獲得した。

両膝の負傷や内臓疾患に苦しんだ男が、4カ月ぶりに再開した本場所で主役となった。大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降では2人目。優勝と優勝の間で十両以下に陥落した力士はおらず、史上初の快挙となった。

初優勝から5年2カ月がたっていた。当時の優勝は初土俵から所要25場所で、年6場所制となった1958年(昭33)以降では貴花田、朝青龍に続き歴代3位となるスピード記録。その場所後には大関昇進を決めるなど“次期横綱”の呼び声が高かった。

しかし昇進後は両膝のけがに加えて、糖尿病や肝炎にも苦しみ、17年秋場所で大関から陥落。「大関から落ちて親方に何回も『やめさせてください』って言いに行った」と気持ちは切れかけたが、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に「とりあえずは治してから話をしよう」と引退を慰留された。1年以上かけて土俵に戻る決心を固め、昨年春場所に西序二段48枚目で本場所に復帰。負け越し知らずで番付を上げ、初場所で再十両。返り入幕となった今場所、ついに“奇跡のカムバック”を実現させた。

◆照ノ富士春雄(てるのふじ・はるお)本名・ガントルガ・ガンエルデネ。1991年11月29日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。18歳で逸ノ城らと一緒に来日し、鳥取城北高に留学して相撲を始める。3年時に中退して間垣部屋に入門。しこ名「若三勝」として11年技量審査場所で初土俵。13年春場所後に伊勢ケ浜部屋に転籍。同年秋が新十両昇進で「照ノ富士」に改名。14年春場所が新入幕。関脇だった15年夏場所で初優勝を果たし、場所後に大関昇進。17年秋場所に大関陥落。5場所連続休場して19年春場所に西序二段48枚目で本場所に復帰。192センチ、180キロ。血液型はO。家族は両親と姉、妹。得意は右四つ、寄り。愛称は「ガナ」。

◆記録ずくめの復活V 30場所ぶりの優勝は、琴錦の最長43場所ぶりのブランクに次ぐ。優勝制度ができた1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は32人目。幕尻優勝は00年春場所の貴闘力、今年初場所の徳勝龍に続いて史上3人目(1年に2度は史上初)。返り入幕の優勝は徳勝龍以来。優勝と優勝の間で十両以下に落ちたケースはなく、序二段まで落ちて幕内復帰を果たしての優勝は史上初。照ノ富士が初優勝した15年夏場所は関脇で、関脇以下で2度の優勝は貴花田、琴錦、御嶽海らに続いて8人目。同一年に平幕優勝が2度あったのは92年初場所の貴花田、名古屋場所の水戸泉以来28年ぶり。

御嶽海(左)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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照ノ富士が復活優勝!決戦制す/千秋楽写真特集

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

14場所ぶりに幕内復帰した大関経験者の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、30場所ぶり2度目の優勝を果たした。

3敗の単独トップで迎えた千秋楽。敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込む本割の関脇御嶽海との一番を制し、13勝目を挙げた。14日目には同部屋の照強が新大関朝乃山を破る“援護射撃”も受け、15年夏場所以来の優勝が決まった。殊勲賞、敢闘賞の三賞2つも獲得した。

両膝の負傷や内臓疾患に苦しんだ男が、4カ月ぶりに再開した本場所で主役となった。大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降では2人目。優勝と優勝の間で十両以下に陥落した力士はおらず、史上初の快挙となった。

優勝争い

【2敗】照ノ富士

【3敗】朝乃山、御嶽海、正代

照ノ富士寄り切り御嶽海

土俵際の攻防 照ノ富士(左)に攻め込まれる御嶽海(撮影・鈴木正人)

御嶽海(左)を寄り切りで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

かみしめるように下がりを外す照ノ富士(撮影・小沢裕)

照ノ富士は控えに座り、タオルで顔をぬぐう(撮影・小沢裕)

観客席を感慨深げに見つめる照ノ富士(撮影・河田真司)

手にした懸賞を額に当てる照ノ富士(撮影・小沢裕)

御嶽海を破り土俵下で天を仰ぐ照ノ富士(右)と、優勝を逃し静かに目を閉じる正代(撮影・河田真司)  

国技館内に君が代が流れ、土俵を見つめる照ノ富士(撮影・河田真司) 

引退を引き留めた伊勢ケ浜親方(左)から優勝旗を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)

幕尻優勝を果たし賜杯を手にする照ノ富士(撮影・河田真司) 


琴奨菊叩き込み北勝富士

北勝富士ははたき込みで琴奨菊(手前)を破る(撮影・小沢裕)


千代丸下手投げ阿武咲

新型コロナウイルス感染拡大防止を呼びかける告知旗が回る土俵の下で待機する千代丸(撮影・河田真司)

千代丸(右)を下手投げで破る阿武咲(撮影・鈴木正人)


隆の勝引き落とし高安

隆の勝(手前)を激しく攻める高安(撮影・鈴木正人)


炎鵬押し倒し豊山

豊山(右)の攻めに耐える炎鵬(撮影・河田真司)

炎鵬(左)を押し倒しで破る豊山(撮影・鈴木正人)

敗れて仰向けになる炎鵬に手を差しのべる豊山(撮影・鈴木正人)

豊山(右)に押し倒しで敗れ、背後で悔しそうな顔をする炎鵬(撮影・河田真司)


遠藤寄り切り徳勝龍

遠藤(右)は徳勝龍を寄り切りで破る(撮影・小沢裕)

懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる遠藤(撮影・鈴木正人)


玉鷲上手投げ隠岐の海

隠岐の海(右)を上手投げで破る玉鷲(撮影・河田真司)


大栄翔引き落とし妙義龍

正代押し出し朝乃山

正代(手前)を押し出しで破る朝乃山(撮影・鈴木正人)

正代(奥)を押し出しで破りながらもさえない表情の朝乃山。左は照ノ富士(撮影・河田真司)

三段目は深井が優勝

深井(右)ははたき込みで大鵬孫・貴闘力四男の夢道鵬を破り三段目優勝を飾る(撮影・小沢裕)

三段目優勝の深井(撮影・鈴木正人)

十両で同部屋3人による優勝決定ともえ戦が実現した

十両優勝決定戦のくじ引きに臨む、左から水戸龍、天空海、豊昇龍、千代ノ皇、明生、旭大星(撮影・河田真司)

天空海(左)を突き落としで破り、十両優勝を決める明生(撮影・河田真司) 

天空海(右)を突き落としで破り、拳を握る明生(撮影・鈴木正人)

十両優勝を決め、顔を紅潮させて花道を引き揚げる明生(撮影・河田真司) 

表彰を受けた、左から三段目の深井、序二段の竹岡、序の口の北青鵬の各優勝力士(撮影・河田真司) 

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照ノ富士、正代、御嶽海 優勝なら三賞ダブル受賞

<大相撲7月場所>◇千秋楽◇2日◇東京・両国国技館

日本相撲協会は両国国技館内で、7月場所の三賞選考委員会を開き、候補力士を決めた。

14日目終了時点で、優勝の可能性がある対象力士(三役以下)が3人いることから、この3人は優勝した場合、殊勲賞を受賞した上で、もう1つの賞を与えダブル受賞となる。優勝を逃した場合は、他の1つを受賞(御嶽海は確定した殊勲賞)することになる。

まず、2敗で単独トップを走る幕尻の再入幕で東前頭17枚の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は技能賞が確定。1差で追う東関脇の正代(28=時津風)は、敢闘賞の受賞となる。横綱白鵬(35=宮城野)と大関朝乃山(26=高砂)を下した西関脇の御嶽海(27=出羽海)は殊勲賞が確定。優勝した場合はさらに敢闘賞が加わる。また、小結大栄翔(26=追手風)は、11日目に白鵬を破った相撲が評価され、千秋楽で平幕の妙義龍(33=境川)に勝ち11勝を挙げた場合、殊勲賞受賞となる。

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両関脇の頑張りで千秋楽が面白い/大ちゃん大分析

正代(手前)に寄り切りで敗れる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>14日目◇1日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が「混沌(こんとん)の千秋楽」に持ち込んだ。単独トップだった元大関の照ノ富士を寄り切り、自身も初優勝の可能性をつないだ。同じ関脇の御嶽海も3敗を守り、結びで大関朝乃山が照強に敗れる波乱で4人が優勝争いに残った。正代か御嶽海が優勝すれば、13日目終了時点でトップとの2差を覆す史上初の大逆転劇となる。

  ◇   ◇   ◇  

結果的に勝っていれば照強の援護射撃で優勝が決まっていた照ノ富士だが、正代の圧力をかけた相撲に屈した。膝の回復は全盛期のころと比べれば戻っていない。劣勢になると粘りきれないが、そこは仕方ないだろう。一方の朝乃山は照強の足取りは頭にあっただろうが、それでも“まさか”という思いだろう。結びの一番で奇襲をかける相撲はめったにないからな。ただ連敗はしたが、新大関としてはよくやっていると思う。両横綱ともう1人の大関が休場して、番付最上位者として責任を託すのは少し酷だと思う。最後は自分らしい相撲で締めればいい。

さて千秋楽。この日は相手を見て取った御嶽海だったが、正代の相撲を目の前で見て照ノ富士には思い切り行けるだろう。勝てば朝乃山-正代の勝者を含めた優勝決定ともえ戦。上位3人が休場したが、両関脇の頑張りもあって千秋楽が面白くなってきた。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(左)は立ち合いで照強の変化についていけず足取りで敗れる(撮影・小沢裕)

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朝乃山まさかの連敗、照強の足取りにはまり尻もち

朝乃山(左)は立ち合いで照強の変化について行けず足取りで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲7月場所>◇14日目◇1日◇東京・両国国技館

新大関の朝乃山(26=高砂)が、まさかの連敗を喫してトップに並べなかった。

勝てば2敗の照ノ富士(28=伊勢ケ浜)と並ぶ照強(25=伊勢ケ浜)との初顔合わせ。立ち合いすぐに潜り込まれてあっさりと左足を取られると、なすすべなく尻もちをついた。背中に大量の土をつけながら起き上がり、意気消沈の表情。照強は2日前にも足取りを決めていたが、その策にはまってしまった。

勝てば史上9人目の新大関優勝の可能性が高まっていただけに、手痛い3敗目。取組後には2日連続で報道陣のリモート取材には応じなかった。

千秋楽は結びで3敗同士の正代と対戦する。その1つ前の取組で照ノ富士が御嶽海に勝つと優勝が決まってしまうため、自身の優勝のためには他力に頼るしかなくなった。

◆優勝争いの行方 千秋楽で照ノ富士が御嶽海に勝てば、その時点で照ノ富士の優勝が決まる。御嶽海が勝った場合は、照ノ富士、御嶽海、朝乃山-正代の勝者によるともえ戦(3人での優勝決定戦)となる。実現すれば幕内では94年春場所の曙、貴ノ浪、貴闘力以来7度目で、当時は曙が制した。

照強に足取りで敗れ、苦笑いを浮かべ土俵から引き揚げる朝乃山(撮影・河田真司)

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朝乃山3敗「1人で背負うのは荷が重い」八角理事長

照強に足取りで敗れ、うつむき土俵から引き揚げる朝乃山(撮影・河田真司)  

<大相撲7月場所>◇14日目◇1日◇東京・両国国技館

優勝争いが、がぜん面白くなってきた。自力優勝の可能性があるのは照ノ富士(28=伊勢ケ浜)だけで、千秋楽で3敗の御嶽海に勝てば復活優勝が決定。負けた場合、御嶽海と並び、結びの一番に3敗同士で対戦する朝乃山(26=高砂)と正代(28=時津風)の勝者を含めた優勝決定戦ともえ戦に持ち込まれる。

この展開に協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「(14日目の残り3番は)みんな優勝がかかった相撲だった。横綱、大関の休場は申し訳ないが、これで(ファンには)勘弁してもらおう。役者がそろったような気がする」と興味深そうに話した。

優勝の可能性があるのは4人。単独トップだけに「照ノ富士が有利だろうが、御嶽海も勝てば決定戦(に出られる)。集中力もあるし優勝経験もある。照ノ富士は(本割の)一発で決めたいだろう。いい相撲を取ってくれることを願ってる」と話した。

御嶽海が勝った場合、ともえ戦への“進出決定戦”となる結びの一番については、この日、照ノ富士を破った正代の力量を評価した。「正代が力をつけているということ。押し上げて圧力をかけての、いなしだから効いた。それにしても堂々としていた。(大関候補の)自覚が出てきたような気がする。今までだったら(大関候補と)言われても『いやあ、僕は…』と言っていただろう。その気になってもらわないと困る」と期待。一方の朝乃山については精神的重圧をおもんぱかった。照強の奇襲、足取りに屈したことに「警戒は頭にはあっただろうが、集中が散漫だったのかな。優勝争いとか(番付最上位者として)勝たなければならないとか、いろいろなことで意識が散漫して集中できなかったのか。新大関にして、1人で背負うのは荷が重いのではないか」。両横綱に、もう1人の大関(貴景勝)が途中休場。角界の期待、重責を1人で背負わされたような朝乃山の心中を察するように話した。

御嶽海はすくい投げで琴恵光(手前)を破る。右下は朝乃山(撮影・小沢裕)
正代(右)は寄り切りで照ノ富士を破る(撮影・小沢裕)

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正代が照ノ富士撃破、リスク覚悟もろ差しで初V望み

土俵際の攻防 正代(手前)が照ノ富士を攻める(撮影・鈴木正人)

<大相撲7月場所>◇14日目◇1日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が「混沌(こんとん)の千秋楽」に持ち込んだ。単独トップだった元大関の照ノ富士を寄り切り、自身も初優勝の可能性をつないだ。同じ関脇の御嶽海も3敗を守り、結びで大関朝乃山が照強に敗れる波乱で4人が優勝争いに残った。正代か御嶽海が優勝すれば、13日目終了時点でトップとの2差を覆す史上初の大逆転劇となる。異例の場所で最後にドラマをもたらすか。

   ◇   ◇   ◇

興奮を抑えられない。照ノ富士を寄り切った正代はほえるように右の拳を振り上げた。「好調な相手だったんで、前の日の夜から気合が入っていた。そういうのが出てしまったと思います」。結果も内容も完璧な相撲に感情が爆発した。

「(対策は)いろいろ考えたけど、一番納得できる相撲は、自分は立ち合いなんで」。勝負をかけた立ち合いはもろ差し。左上手を許してもかまわず前に圧力をかけ、絶妙なタイミングの引き技でバランスを崩す。逃さず右を差し、最後は土俵下まで吹っ飛ばした。

もろ差しは照ノ富士に抱え込まれるリスクもあった。「きめられることも頭にあったが、中途半端に当たって持っていかれるなら、思い切って前に出ようと集中していた」。13勝を挙げた今年初場所、14日目に徳勝龍に土俵際で突き落とされ、星1つ差で賜杯を逃した。勝ちを意識して足が出ず、逆転された相撲を反省した。味わった悔しさがこの日の相撲につながった。

自ら可能性をつないだ。「(優勝は)意識しても硬くなる。頭の片隅に置いておくぐらいで」。可能性がある4人でただ1人、優勝の経験がない。追う立場でもあり、気持ちは楽に臨める。「千秋楽なんで、楽しめればいいかなと思います」。その千秋楽は結びで大関朝乃山に挑む。先に照ノ富士が敗れていれば、決定戦への生き残りをかけた一戦。そして賜杯が現実になれば、13日目終了時点で2差から初の逆転劇となる。

故郷の熊本・宇土市では毎場所、正代が勝つと3発の花火が打ち上がる。もちろんこの日も。豪雨被害に見舞われた熊本の人々は願っている。【実藤健一】

◆優勝争いの行方 千秋楽で照ノ富士が御嶽海に勝てば、その時点で照ノ富士の優勝が決まる。御嶽海が勝った場合は、照ノ富士、御嶽海、朝乃山-正代の勝者によるともえ戦(3人での優勝決定戦)となる。実現すれば幕内では94年春場所の曙、貴ノ浪、貴闘力以来7度目で、当時は曙が制した。

◆2差逆転優勝 1場所15日制が定着した49年夏場所以降、13日目終了時点で2差から逆転優勝した例はない。12日目終了時点からは4例、11日目終了時点からは8例、10日目終了時点からは5例ある。2差を追いつき優勝決定ともえ戦になったのは65年秋場所のみ。同場所は11日目終了時点で1敗の横綱大鵬を、2敗で平幕の明武谷、3敗の横綱柏戸らが追いかけ、千秋楽で横綱佐田の山、柏戸、明武谷が12勝3敗で並んだ。ともえ戦で連勝した柏戸が優勝した。

正代に寄り切りで敗れ座り込む照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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御嶽海が逆転優勝へ不敵な笑み「最後に笑いたいな」

琴恵光(左)をすくい投げで破る御嶽海(撮影・河田真司)

<大相撲7月場所>◇14日目◇1日◇東京・両国国技館

逆転優勝の可能性が残った御嶽海が、不敵な笑みを浮かべた。

単独トップの照ノ富士が2敗目を喫した後の一番で、琴恵光に力の差を見せつける会心の相撲で3敗をキープ。相手の前に出る動きを利用しつつ、土俵際ですくい投げを決めて「土俵際は落ち着いてましたから。自分の相撲に集中できました」と照ノ富士の負けにも冷静だったことをアピールした。

千秋楽では1差につけた照ノ富士との対戦が組まれた。勝てば結びの一番(朝乃山-正代)を待たずしてともえ戦が決まる。場所前は出稽古禁止の影響からか弱音を吐くことが多かったが、ここまで地力を見せて優勝争いにしっかりと食い込んできた。昨年秋場所以来、3度目の優勝に向けて「しっかり自分の相撲を取ることですね」と話し、一呼吸置いてから「最後に笑いたいなと思います」と締めて会場を後にした。

琴恵光(右)をすくい投げで破る御嶽海(撮影・鈴木正人)
御嶽海はすくい投げで琴恵光(手前)を破る。右下は朝乃山(撮影・小沢裕)

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