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寺地会長が拳四朗の年内「0防衛」覚悟「動けない」

寺地拳四朗(中央)。左は父の永会長、右は加藤トレーナー(2019年12月24日撮影)

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(28=BMB)の父で、所属ジムの寺地永会長(56)は、年内「0防衛」も覚悟した。

政府は14日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、発令されていた緊急事態宣言を解除する方向を示した。当初は、BMBジムがある京都府も含まれる見通しもあったが、見送られていた。

寺地会長は、解除の時期にかかわらず「今月いっぱいは休業」と決めていた。一方で、王者の8度目防衛戦のマッチメークについては「全くですわ。動けない」と現状を説明した。

7月から、ボクシング興行再開の動きはあるが、世界戦で海外から挑戦者を呼ぶとなれば、相手国の事情も絡んでくる。当初の計画は今年、3回の防衛で2桁「V10」を遂げ、元WBA同級王者具志堅用高氏の日本記録、13回連続防衛に迫るものだった。

しかし、現状を冷静に見据え、寺地会長は「年内に1試合できるか。試合できないことも頭に入れている」と語った。

勢いがあり、脂が乗りきった1年を棒に振るのは苦渋の選択。拳四朗は年明け1月6日には29歳の誕生日で、寺地会長も「この先は年齢との戦いになる」と話す。

新型コロナウイルス禍の出口は、ようやく見えつつある。だが、ボクサー、特に世界王者レベルはまだまだ闇の道を進んでいる。【実藤健一】

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井上尚弥がパヤノ3発70秒KO/寺地拳四朗の一撃

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズバンダム級トーナメント WBAバンタム級タイトルマッチ 1回戦・井上尚弥対フアンカルロス・パヤノ(手前) 1回、フアンカルロス・パヤノを攻めダウンを奪い、そのままKO勝ちする井上尚弥(2018年10月7日撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~6>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。

WBC世界ライトフライ級王座を7連続防衛中の寺地拳四朗(28=BMB)の「一撃」は、モンスターの右ストレートだ。WBA、IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦で、元同級スーパー王者フアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を70秒で沈めた一撃。具志堅用高氏の日本記録、連続13回防衛更新を目指す現役王者の視点で「倒す」難しさを語った。(取材・構成=実藤健一)

▼試合VTR 18年10月7日、横浜アリーナでWBSS1回戦が行われ、井上がパヤノと激突した。開始40秒すぎに繰り出した右アッパーが距離を縮めてきた相手のあごをかすめると、50秒経過直後に左ジャブでパヤノの視界を奪い、即座に放った右ストレートでフィニッシュ。繰り出したパンチはわずか3発。1分10秒のKO勝ちは、日本選手世界戦最速KOタイムを更新した。

◇ ◇ ◇

衝撃というより、あれ!? いつの間にという印象しか残っていない。一瞬やった。知らん間に終わってしまったという感じ。それが逆にすごい。

井上選手はプレッシャーのかけ方がすごくうまい。自分はスタイルが違うし、戦い方も違うけど、ボクサーとしては早く終わらせるにこしたことはない。テレビ局は大変ですけど。

あらためて思ったのは狙って倒すのは難しいな、と。あの試合の井上選手も狙って打ったというより、流れの中で繰り出したパンチだと思う。自分の経験を振り返っても、たまたまのパンチで倒したというケースは少なくない。

ただ、その「たまたま」は、それまでの練習の積み重ねから生まれるもの。練習で死にものぐるいにやっていないと、体に染みこんでいかない。やればその分、試合で発揮できる。

「知らん間に終わった」井上選手のあの試合は、その典型のように思う。

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう) 1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。奈良朱雀高から関大に進み国体優勝。14年8月プロデビュー。17年5月にWBC世界ライトフライ級王座を獲得し、7連続防衛中。拳四朗は漫画「北斗の拳」の主人公に由来しリングネームにしてきたが前回防衛戦から本名。戦績は17勝(10KO)無敗。父で会長の永氏は元日本ミドル級、東洋太平洋ライトヘビー級王者。身長164・5センチの右ボクサーファイター。

寺地拳四朗

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V7寺地拳四朗が東京暮らし決意「めっちゃ楽しみ」

7度目の防衛に成功し、一夜明け会見で笑顔を見せる寺地(撮影・狩俣裕三)

V14御殿となるか!? 7度目の防衛に成功したWBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が24日、都内ホテルで一夜明け会見に臨み、来年2月にも東京都内に“移住”することが分かった。

練習拠点は三迫ジムで一年の半分以上は都内のホテル生活だった。経費や生活の負担から“わが家”を持つことを決断。京都の実家から独立し、初めてのひとり暮らしに寺地は「めっちゃ楽しみ。家具とか一からそろえるのは大変だけど、ホテル暮らしは不便だったから」。来年は3度の防衛戦で年末に2桁、V10のプラン。拠点を構え、腰を落ち着けて臨むことになる。

元WBA同級暫定王者のランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)をボディー攻めで4度のダウンを奪い、4回1分8秒TKOで17勝(10KO)無敗とした。「(昨夜は)3時間ぐらい。いつも1~2時間なので眠れたと思う。疲れた感もそんなになくて、練習した後ぐらいの感じ」と余裕の表情で振り返る。

元WBA同級王者具志堅用高氏が持つ連続防衛13回超えへ、寺地は「勝つごとに自信がついている。統一戦もしたいし、海外も視野に入れている。だれがきても勝てる調整できるし、だれでもどんどんきてほしい」と安定王者の自信をみなぎらせる。

本格的な東京進出の前に年明けは自分へのごほうびにベトナム旅行を計画。「近場のリゾート地で選んだ。のんびりしたい」。日本ボクシングに歴史を刻む記録へ、まずはしっかり英気を養う。

一夜明け会見で、記念撮影する寺地(中央)。左は父の永会長、右は加藤トレーナー(撮影・狩俣裕三)

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ペタルコリン、寺地拳四朗のボディー攻め「予想外」

3回、ペタルコリン(右)からダウンを奪い笑顔を見せる寺地(撮影・横山健太)

<プロボクシング:WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇横浜アリーナ

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が4回1分8秒TKO勝ちで7度目の防衛に成功した。元WBA同級暫定王者ペタルコリン(フィリピン)に対し3回、ボディー攻めで3度のダウン。4回に左ボディーで仕留めた。寺地の戦績は17勝(10KO)無敗。

挑戦者のペタルコリンは2回に左ストレートを当てるなど優位に立つ場面もあったが、3回に崩れた。「予想していなかった」というボディー攻めを浴びて3度ダウン。何とか立ち上がったが4回に再びボディーにとどめを刺された。寺地と対戦予定だった選手が体調不良で欠場し、通常より短い約1カ月間の調整で挑んだ。「フィジカルを考えると短かった。本来ならもう少しいい試合ができたかもしれない」と残念がった。

4回、ペタルコリン(右)に左ボディーを放ちダウンを奪う寺地(撮影・鈴木みどり)

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村田V1!八重樫● 拳四朗○/トリプル世界戦詳細

<プロボクシング:トリプル世界戦>◇23日◇横浜アリーナ

◆WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦

WBA世界ミドル王者村田諒太(33=帝拳)がKO率8割を誇るホープの同級8位スティーブン・バトラー(23=カナダ)の挑戦を受け、5回TKO勝ちを収めた。

【村田の話】控え室で調子が良くて、倒せると空回りした。負けたら(アナウンサーの)木村さん泣くでしょ。だから一生懸命やったんですよ。(次戦に向けて)会長、リアルな試合をお願いします。トップ・オブ・トップに行きつきたい。(来年に向けて)東京五輪で花を添えるためにも頑張ります

村田諒太5回TKOバトラー

試合後、腫れた左目で会見を行う村田(撮影・狩俣裕三)

【5回】王者村田はプレッシャーを強めたまま。村田陣営は「力まないように」。王者村田がコーナーに追い詰め右連打。王者村田が再び強烈な右ストレート。バトラーの足が一瞬ひるむ。王者村田がさらに圧をかけ手を出していく。王者村田の左フックでバトラーがダウン!審判が試合を止め王者村田が初防衛!

5回、バトラーにKO勝ちし、両手を突きあげる村田(撮影・鈴木みどり)

5回、バトラー(下)からダウンを奪い、TKO勝ちした村田(撮影・鈴木みどり)

【4回】王者村田が距離を詰めプレッシャーを強めてくる。バトラーが右ストレート。王者村田も負けじと返す。王者村田は接近戦に持ちこむ。王者村田がワン、ツー。バトラーは王者村田の打ち終わりを狙う。終盤に激しいパンチの交換。王者村田が右フック。王者村田はバトラーを逃がさない

4回、バトラー(左)に右ストレートを食らわす村田(撮影・狩俣裕三)

【3回】王者村田は手数を増やしてきた。王者村田はコツコツと当てて右ストレートを狙う。王者村田が右アッパー。王者村田がコーナーに追い詰め連打。すかさず相手がクリンチ。王者村田がロープ際で右ストレート。終盤にも王者村田が圧をかけ連打。王者村田は上々の立ち上がり

3回、バトラー(左)をコーナーに追い込む村田(撮影・狩俣裕三)

3回、バトラーをリング際に追い込む村田(撮影・鈴木みどり)

【2回】この回もお互いに距離をつめる。王者村田が右ストレート。バトラーも左のカウンターを合わせる。村田陣営は「バトラーの右に警戒」と指示。バトラーの積極的な手数に王者村田は多少後手に。王者村田が終盤に圧をかけ左ジャブから右ストレート

2回、バトラー(左)に強烈な右フックを食らわす村田(撮影・狩俣裕三)

【1回】王者村田いざ初防衛へ!お互いに前に出る。王者村田がいきなり右ストレート。王者村田は細かいパンチで組み立て。王者村田が右から左ボディー。バトラーも足を使わず細かいパンチ交換。王者村田は圧をかける

1回、パンチを放つ村田(撮影・横山健太)

【入場】王者村田は厳しい表情でリングへ。KO率80%を誇る相手にどんな戦いをみせるか

大歓声を浴びながら入場する村田(撮影・鈴木みどり)

後頭部へ「村田」と書き込んで、入場する村田(右)とタッチを交わそうと手を伸ばす観客(撮影・横山健太)

◆IBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦

元世界3階級制覇王者の八重樫東(36=大橋)は、IBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南ア)に挑戦し9回TKO負けを喫した。

【八重樫の話】久しぶりの世界戦で楽しかったし、やれることはやった。結果を出せなかったのは悔しい。自分の力のなさを受け止めて考えたい。

八重樫東9回TKO ムザラネ

ムザラネ(後方)に敗れ天を仰ぐ八重樫(撮影・横山健太)

【9回】ピンチを脱した八重樫。八重樫はセコンドの問いかけに「まだまだ」と闘志をみせる。八重樫は距離をとり再度組み立て。王者ムザラネのジャブが伸びてくる。八重樫の左目が腫れてきた。王者ムザラネの右。八重樫がコーナーに追い詰められる。王者の連打。八重樫は懸命に腕を振るも審判が試合を止める。八重樫は王座獲得ならず。

9回、レフェリーストップでムザラネ(左上)にTKO負けの八重樫(撮影・狩俣裕三)

9回、レフェリーストップでムザラネ(右)にTKO負けする八重樫(撮影・鈴木みどり)

【8回】八重樫が前に出て手を出す。王者ムザラネの強烈左ボディー。王者ムザラネの連打に八重樫ふらつく。八重樫が防戦一方。王者ムザラネの手は止まらない。大橋会長はタオルを持ち立ち上がる。なかなか八重樫はクリンチできず。耐えるか八重樫。八重樫が闘志で耐えた

8回、ムザラネ(右)と打ち合う八重樫(撮影・鈴木みどり)

8回、ムザラネ(右)にボディを食らう八重樫(撮影・鈴木みどり)

【7回】八重樫は足を止めて打ち合いに持っていく。お互いに頭がつく距離。八重樫は王者ムザラネのコンビネーションをもらうも八重樫は前に出る。王者ムザラネのガードはなお堅い。八重樫がワン、ツー。八重樫の手数は落ちない。

【6回】八重樫の顔が腫れてきた。八重樫は突進のごとく相手の懐へ。八重樫がボディーからアッパー。ガードの堅い王者ムザラネに手数で攻める。八重樫が低い姿勢から右ボディー。八重樫はひたすらボディー。王者ムザラネもコンビネーションで対応。八重樫が終盤にも右ボディー

6回、パンチを浴びる八重樫(撮影・横山健太)

【5回】この回も八重樫は打ち合う構え。八重樫が激闘スタイルにスイッチ。王者ムザラネの強烈ボディーもお構いなし。八重樫が強烈な連打。王者ムザラネの懐で勝負。王者ムザラネも長いリーチを駆使し腕を振る

【4回】八重樫は足で王者ムザラネのリーチを上手く外す。八重樫が強烈ボディー。王者ムザラネの足が止まる。八重樫はすかさず連打。王者ムザラネも負けじとパンチを返す。お互いに足を止めて激しい打ち合い。八重樫は足を使わなくなる。八重樫はひたすら距離を詰める

4回、ムザラネ(右)に左ボディーを打ち込む八重樫(撮影・狩俣裕三)

【3回】八重樫が良い距離感で手を出していく。八重樫が得意のコンビネーション。八重樫は足を使い王者ムザラネに連打を許さない。八重樫は前に出て細かいパンチ。八重樫のワンツー。王者ムザラネの左ジャブに八重樫も負けじと手を出す。王者がギアを上げてくる

3回、パンチを浴びる八重樫(撮影・横山健太)

【2回】八重樫は細かいジャブを出していく。八重樫の軽快なワンツー。王者ムザラネも距離を詰め圧力を出してくる。八重樫が踏み込んで右。八重樫は足を使い良いリズム感で手を出していく。八重樫は王者ムザラネのリーチの長い左ジャブは警戒していきたい。八重樫が右ボディー。八重樫はまずまずの立ち上がり

2回、ムザラネ(右)に左フックを食らわす八重樫(撮影・狩俣裕三)

【1回】激闘王が再び王座に挑戦。まずはお互いに距離を測る。八重樫は足を使い手を出していく。八重樫の左。王者ムザラネも強固なガードで守備から組み立て。王者ムザラネの左に八重樫は一瞬ノーガードで誘うような構え。

【入場】

花道を通り、リングへ向かう八重樫(撮影・狩俣裕三)

◆WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦

WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(27=BMB)が挑戦者の同級12位ランディ・ペタルコリン(フィリピン)に4回KO勝利を収め、7度目の防衛に成功した。

【拳四朗の話】結果的に倒せて良かった。統一戦は流れたが、来年ぐらいにできたらいい。防衛の回数とベルトを増やすのを目標に、より格好良くなりたい。

寺地拳四朗4回KOペダルコリン

防衛に成功し笑顔を見せる寺地(撮影・横山健太)

4回、ペタルコリン(右)からダウンを奪いTKO勝ちする寺地(撮影・鈴木みどり)

4回、ペタルコリン(中央)にボディを放ちダウンを奪う寺地(撮影・鈴木みどり)

リングに上がる前に、火打石でお清めをしてもらう寺地(右)(撮影・狩俣裕三)

花道を通り、リングへ向かう寺地(撮影・狩俣裕三)

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寺地拳四朗が安定防衛、来年海外&年末V10青写真

防衛に成功し笑顔を見せる寺地拳四朗(撮影・横山健太)

<プロボクシング:WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇横浜アリーナ

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が4回1分8秒TKO勝ちで7度目の防衛に成功した。元WBA同級暫定王者ペタルコリン(フィリピン)に対し3回、ボディー攻めで3度のダウン。4回に左ボディーで仕留めた。来年は3回の防衛戦を予定し節目のV10、さらに海外進出も見据える。寺地の戦績は17勝(10KO)無敗。

   ◇   ◇   ◇

寺地はびびった。3回終了間際にペタルコリンから3度目のダウン。「3回目でさすがに終わったと思ったら、(ラウンド終了の)違うゴングやった。メンタルつえーと思いましたよ」。ゾンビのようにはい上がる挑戦者に驚きながら「どうせ終わるやろ」と4回に左ボディーで仕留めた。

V7の安定王者の真骨頂だった。当初はIBF同級王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が、相手の体調不良により急きょ、1カ月前に対戦相手変更となった。構えもオーソドックスからサウスポーとなったが、寺地は気にもとめない。「気にするのは(トレーナーの)加藤さんなんで。自分は何も」。腹が弱い分析通り、弱点を攻めまくった。

拳四朗に本名の寺地をつけた初の試合で快勝した。海外では「ケン・シロウ」と解釈されるため「しっかり名前をアピールしたい」と踏み切った。さらにボクシング以外の活動をマネジメントする事務所と契約し、年明けに関西ローカルのテレビ番組の収録が決まっていた。負けて王座陥落となればおじゃん。そんな想定はかけらもない。「(テレビ出演は)勝つ前提。負けることなんて考えてなかった」と言い放った。

最高の形で19年を締めくくり、さらなる大きな目標を目指す新年へ展望が開けた。父の寺地永会長によると3回の防衛戦を予定し、年末に節目のV10戦を迎える青写真。東京五輪が開催される夏場は米国西海岸か中国へ、海外進出のプランも上がっているという。

減量苦もない寺地は「どこでやっても同じ。自然にやれば(連続防衛回数)13回は超えられる。僕が13回防衛する姿を見てください!」と猛アピール。その中には、各団体のライトフライ級のベルトを束ねる夢も含んでいる。

その前に「とりあえずメリークリスマスですね」。クリスマスイブは「残念ながら」と男の友人2人で過ごす予定。「おじさんが行くような店に行くでしょうね」。安定王者に君臨し、防衛回数を重ねてもおごらず、変わらない。連続防衛回数13回の元WBA同級王者具志堅用高超えへ、その挑戦権を20年につないだ。【実藤健一】

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)1992年(平4)1月6日、京都府城陽市生まれ。奈良朱雀高から関大に進み国体優勝。14年8月プロデビュー。17年5月にWBC世界ライトフライ級王座獲得。拳四朗は漫画「北斗の拳」の主人公に由来しリングネームにしてきたが今回から本名。父で会長の永氏は元日本ミドル級、東洋太平洋ライトヘビー級王者。身長164・5センチの右ボクサーファイター。

防衛に成功し笑顔を見せる寺地(左)と父の永氏(撮影・横山健太)
3回、ダウンを奪い笑顔を見せる寺地(撮影・横山健太)

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寺地拳四朗4回TKOでV7ドM調整実り日本記録へ

4回、ペタルコリン(右)からダウンを奪いTKO勝ちする寺地(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇23日◇横浜アリーナ

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が挑戦者の同級12位ランディ・ペタルコリン(フィリピン)に4回1分8秒のTKO勝利を収め、7度目の防衛に成功した。3回に3度ダウンを奪うなど優位に試合を進めた。

当初はIBF同級王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)との統一戦が予定も、体調不良による回避で急きょ、対戦相手が変更となった。寺地はハプニングにも「全く気にしない」ときっぱり。マイペースの調整を続けてきた。

2番目に軽量のライトフライ級。年齢を重ねれば体重調整は厳しくなるが、寺地は工夫を重ねた。今回は700~800グラムオーバーの計量前日に水抜きを敢行。それも動画サイトYouTubeで水を飲む音「ゴクゴク」を聞きながら眠る、ドM調整でリミット48・9キロから100グラムアンダーに仕上げた。

複数階級制覇が主流の中、連続防衛回数にこだわる。目標はWBA同級王者具志堅用高氏が持つ13回超え。父の寺地永会長は「来年末には2桁を」ともくろむ。今回V7、来年3回防衛で節目のV10が青写真。その夢をつないだ。

リングに上がる前に、火打石でお清めをしてもらう寺地(右)(撮影・狩俣裕三)

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拳四朗改め寺地拳四朗、ドMの減量法で計量クリア

ガッツポーズするWBC世界ライトフライ級王者寺地(撮影・中島郁夫)

WBC世界ライトフライ級王座7度目の防衛を狙う寺地拳四朗(27=BMB)が22日、都内ホテルで前日計量に臨み、リミットを100グラム下回る48・8キロでクリアした。

年齢を重ねれば減量が厳しくなるのは常だが、寺地は工夫を重ねて「楽だった」と言える域に達した。今回、減量の手助けとなったのが動画サイトのユーチューブ。700~800グラムオーバーだった前日は「水抜き」を敢行。それをユーチューブのアシストで達成した。

「水を飲む音だけのものがあるんです。ゴクゴクって。早く水を飲みたい気になる。それを聞きながら寝ました」。

あえて誘惑にかられるのが寺地流。ドMの減量法で1キロ近く落とし、見事に計量をクリアした。計量後はペットボトルの水をがぶ飲み。なぜか汗が噴き出る現象に「汗がやばい」。年齢を重ねて代謝が落ちるどころかより向上している。

挑戦者ペタルコリンは700グラムもアンダーだったが「全然気にならない」と一蹴し、「いいイメージはできている。いつものようにやるだけ」。19年をV7で締めくくり、目標の日本選手の連続防衛回数記録V13へ、近づく新年を迎える。

記念撮影するWBC世界ライトフライ級王者寺地(左)と挑戦者ランディ・ペタルコリン。中央はトップランクCEOのボブ・アラム氏(撮影・中島郁夫)

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王者拳四朗をKO宣言、ペタルコリン「最高の状態」

バレンデス・トレーナー(左)と軽快なミット打ちをみせるペタルコリン

ボクシングのWBCライトフライ級タイトルマッチ(23日・横浜アリーナ)で王者の寺地拳四朗(BMB)に挑戦する同級12位のランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)が18日、都内で練習を公開した。

IBF王者フェリックス・アルバラード(ニカラグア)が体調不良で欠場し、先月22日に挑戦が決定。1カ月で練習量2倍という急ピッチ調整にも「最高の状態にある。必ず(KOで)フィニッシュする」と口にした。

寺地拳四朗(2019年12月11日撮影)
23日のWBC世界ライトフライ級王座挑戦に向け、練習を公開した同級12位ペタルコリン

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寺地拳四朗の父「倒せる」ペタルコリン視察で手応え

バレンデス・トレーナー(左)と軽快なミット打ちをみせる元WBA世界ライトフライ級暫定王者ペタルコリン

ボクシングWBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)の父で、所属ジムの寺地永会長(55)が18日、都内のジムで開かれた同級12位ランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)の公開練習を視察した。

23日、横浜アリーナでペタルコリンとの7度目の防衛戦を控え、元WBA世界同級暫定王者のミット打ちやサンドバッグ打ちで動きをチェック。「試合動画で見た印象の違いというものはまったくない」と前置きした上で「サウスポーは苦手ではない。(同じ左のガニガン・)ロペス、(ジョナサン・)タコニンと良い結果を出しているし、拳四朗のボクシングで倒せると思う」と手応えを口にした。

寺地拳四朗(2019年12月11日撮影)

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拳四朗改め寺地拳四朗「圧倒する」7度目防衛へ自信

寺地拳四朗(下)はリングネームを本名に変更し臨む一戦を前に父の寺地永会長と「TTポーズ」を決める(撮影・足立雅史)

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)が11日、同14位ランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)との7度目の防衛戦(12月23日、横浜アリーナ)に向け、都内で練習を公開した。

まさかの相手変更にも全く動じなかった。試合1カ月前の11月中旬、対戦予定だったIBF世界同級王者フェリックス・アルバラードがデング熱の疑いなどで体調不良を訴え、団体王座統一戦が消滅。ペタルコリンに相手を変えた防衛戦となった。さらに右の相手からサウスポーへと変わったが、「(練習の)最初からアジャストしていた」と加藤トレーナー。7月の防衛戦も左だったため、難なく対応。すでに左相手に50回前後のスパーリングをこなし、順調に調整している。寺地は「自信はめっちゃあります。圧倒する姿を見てもらえれば、僕の魅力が伝わる」と堂々と宣言した。

6度の防衛は現役の国内ジム所属王者中、最長記録。王者としての風格、安定感は試合を経るごとに増している。さらに「縦、横のプレッシャーの使い分けを意識できるようになり、いろんな角度から攻められるようになった」と技術的にも進化。成長はまだ続く。父である寺地永会長は「息子は天才肌ではなくて、プロになってから開花して、さらに世界王者となって開花した。ちょっとした才能がどんどん伸びていって、天才をしのぐぐらいの値に来ている」と1戦ずつ強くなる息子をたたえた。

「日本人としての誇り」を示すため、リングネームを拳四朗から、本名の寺地拳四朗に変更して初の試合。圧倒的な試合で、世界にアピールする。

練習を公開しサンドバッグを打ち込む寺地拳四朗(撮影・足立雅史)
練習を公開し笑顔でポーズを決める寺地拳四朗(撮影・足立雅史)

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拳四朗がリングネーム変更 本名の「寺地拳四朗」に

WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(2019年10月16日撮影)

WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)が22日、マネジメント事務所を通じて7度目の防衛戦(12月23日、横浜アリーナ)の挑戦者とリングネームの変更を発表した。

デング熱の疑いなど体調不良を訴えたIBF世界同級王者フェリックス・アルバラード(30=ニカラグア)に代わり、WBC世界同級14位ランディ・ペタルコリン(27=フィリピン)とのV7戦に変更。さらに本名の寺地拳四朗にリングネームを変えることも併せて発表した。

マネジメント事務所を通じ、寺地は「現在のライトフライ級の防衛記録を重ねつつ、今後は他団体王者との統一戦や海外での試合も視野に入れていて、日本人としてもっと“世界”で認知してもらえるように、向上心を高めていきたいと思ったからです」とのリングネーム変更理由を明かした。

さらにアルバラードとの2団体統一戦がキャンセルされたものの、モチベーションは維持していると記し「僕自身は相手が変更しても、モチベーションは変わりません。まずは12月23日の世界タイトルマッチをきっちりした内容で勝ちますので、みなさん応援よろしくおねがいします」とコメントした。

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拳四朗の統一戦キャンセル、アルバラード体調不良

拳四朗(18年10月7日撮)

WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)が12月23日、横浜アリーナで臨む予定だったIBF世界同級王者フェリックス・アルバラード(30=ニカラグア)との団体王座統一戦がキャンセルとなった。

アルバラード陣営から21日までに高熱などの体調不良で試合ができないとの連絡が入ったという。関係者によれば、ニカラグアなどで流行しつつあるデング熱と同じ症状を訴えている。7度目の防衛戦としてカードが組み直される予定で、新たな挑戦者は近日中に決定する。

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拳四朗が山中慎介氏ら所属マネジメント会社と契約 

コモンズ2とマネジメント契約を結んだWBC世界ライトフライ級王者拳四朗

ボクシングWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)がマネジメント会社「コモンズ2」と契約を結んだと11日、発表された。同社は元WBC世界バンタム級王者山中慎介氏らも所属する。

拳四朗は現役王者では最多となる6度目の防衛に成功中。12月23日には横浜アリーナで7度目の防衛戦となるIBF世界同級王者フェリックス・アルバラード(30=ニカラグア)との2団体統一戦を控えている。

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村田諒太、世界トップへ初防衛戦は「夢叶える1歩」

スティーブン・バトラー(右)の挑戦を受けるWBA世界ミドル級王者の村田(撮影・中島郁夫)

ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)が12月23日、横浜アリーナでWBO世界同級1位スティーブン・バトラー(24=カナダ)と初防衛戦に臨むことが16日、発表された。

KO率8割を誇る強打の挑戦者とのKO決着必至のV1戦に勝利し、来年のビッグマッチにはずみをつける。またWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)の2団体王座統一戦となるV7戦、元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)のIBF世界フライ級王座挑戦のトリプル世界戦となる。

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KO率8割の挑戦者だからこそ、王者として迎え撃つ気持ちが高まる。好戦型のバトラーとはKO決着が予想されるV1戦。村田は「彼は打たれ強くないが、その分パンチがある。(KOは)期待できるんじゃないですか。かみ合うし、面白い試合になる」と胸にある躍動感を言葉にした。

WBO1位など主要4団体で世界ランク入りするバトラーを倒せば価値ある勝利になる。村田も「WBOの指名挑戦権を持つ評価された選手。彼に勝つことで自分の評価を上げる試合にしたい」とテーマを掲げた。来年には、IBF王者ゴロフキン(カザフスタン)やWBAスーパー、WBCフランチャイズ王者アルバレス(メキシコ)という世界的な人気を誇るトップ級との試合に臨む可能性がある。

「日本人のプロボクサーとして、ある程度の名声をいただいたが(世界的な)トップ・オブ・トップではない。それを目指したいのが正直な気持ち」。

勝って生き残る。サバイバル戦の気持ちに変わりない。「もっとやりたいこと、かなえたい夢があるので、その夢をかなえる1歩にしたい。必ず面白い試合をします」。19年最後は、目の前に立ちはだかるバトラーを倒すことのみに集中する構えだ。【藤中栄二】

バトラーとの対戦が決まり会見するWBA世界ミドル級王者村田(撮影・中島郁夫)

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王者拳四朗が笑み「夢の第1歩」V7戦は初の統一戦

笑顔でポーズするWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(撮影・中島郁夫)

ボクシングWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)は7度目の防衛戦で自身初の2団体統一戦に臨む。IBF世界同級王者フェリックス・アルバラード(30=ニカラグア)との王座統一戦が16日に発表され、都内のホテルで会見に臨んだ。拳四朗は「7度目の防衛戦で統一戦という試合になる。やっと違うベルトが狙える。新しい拳四朗が見せられたらうれしい」と声を弾ませた。

拳を交えるアルバラードは18年10月に王座決定戦を制してIBF王者になると、今年5月には小西伶弥(真正)を判定で下して初防衛に成功している。拳四朗は「(アルバラードは)パンチを振ってくるし、パンチもある。でもボクの距離を保てば問題ない。自分を信じて戦うだけです」と余裕の笑み。V7戦で統一王座を狙うことになり「本当に今までは防衛だけを目標にしていただけですけど、統一が新しい目標。統一していろいろなベルトが欲しい。その夢の第1歩として大事な試合」と決意を新たにしていた。

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村田諒太が初防衛戦12・23WBO1位バトラーと

スティーブン・バトラー(右)の挑戦を受けるWBA世界ミドル級王者村田諒太(撮影・中島郁夫)

ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)が12月23日、横浜アリーナでWBO同級1位スティーブン・バトラー(24=カナダ)と初防衛戦に臨むことが16日、発表された。

また同日、同会場ではWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(27=BMB)がIBF同級王者フェリックス・アルバラード(30=ニカラグア)との王座統一戦、元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)がIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南アフリカ)に挑戦するトリプル世界戦となる。

村田は今年7月、ロブ・ブラント(米国)との再戦を制し、WBA王座に返り咲いた後、8月1日からジムワークを本格的に再開。2度にわたる千葉・成田合宿で走り込み、初防衛戦に向けて調整を続けていた。

スティーブン・バトラー(右)の挑戦を受けるWBA世界ミドル級王者村田諒太(撮影・中島郁夫)
バトラーとの対戦が決まり会見するWBA世界ミドル級王者村田(撮影・中島郁夫)
世界戦が決まりポーズする左からWBC世界ライトフライ級王者拳四朗、WBA世界ミドル級王者村田、八重樫(撮影・中島郁夫)

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中谷潤人「中盤に倒す」無傷20連勝で世界の扉開く

計量をクリアした中谷潤人(左)とミラン・メリンド

ボクシング前日本フライ級王者中谷潤人(21=M.T)が、元世界王者との世界前哨戦に臨む。5日に東京・後楽園ホールで、元IBF世界ライトフライ級王者ミラン・メリンド(31=フィリピン)と対戦する。4日は都内で計量があり、中谷は51・6キロ、メリンドはリミットの51・7キロでクリアした。

中谷はデビュー19連勝中(14KO)で、昨年獲得した日本王座を7月に返上した。WBA2位、WBCとWBO3位、IBF11位と、すでに4団体で世界ランク入り。「大事な一戦。世界へアピールしたい。世界前哨戦とするつもり」と決意を口にした。

メリンドは16年に暫定王座を獲得し、17年に正規王者八重樫東(大橋)との王座統一戦に初回TKO勝ち。その後はWBA王者田口良一(ワタナベ)との団体統一戦、WBC王者拳四朗(BMB)に挑戦は黒星も経験豊富。

今回も米ロサンゼルスでスパーリングを積み、帰国後も統一戦を控える井上拓真(大橋)らを相手に100回以上をこなしてきた。身長差は13センチあるが、タフで大きく振ってくる相手に「最初は気をつけて慎重にいき、中盤に倒すのが理想」と、KOで20連勝を飾って世界へステップを期した。

計量をクリアしてフェースオフする中谷潤人(左)とミラン・メリンド

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久田哲也敗れ涙、16年46戦目で辿り着いた夢舞台

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 京口紘人対久保哲也 3回、パンチを当てる久田(奥)(撮影・清水貴仁)

<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇1日◇エディオンアリーナ大阪

挑戦者・久田哲也(34=ハラダ)の夢が終わった。デビュー16年目の初挑戦。世界2階級覇者のスーパー王者京口紘人(25=ワタナベ)を2回に右ストレートでダウン寸前に追い込んだが、9回にダウンを奪われて失速。国内ジム所属選手として、平成以降最も遅い46戦目の世界初挑戦でのベルト奪取はかなわなかった。

試合後の控室。最初は鏡で顔を見て「ボコボコやん」と笑って見せた久田の感情が高ぶった。

「めっちゃしんどかったけど、最後まで諦めんでやれた。でも、勝ってみんなを感動させるんが一番の夢やったから…。やっぱりチャンピオンは強かったですね」。涙がこみ上げ、言葉が途切れ途切れになった。

ただの夢見がちな少年だった。「ボクシングの世界チャンピオンになる」。日本人初の世界4階級覇者井岡一翔が後輩になる堺市立浅香山中の卒業文集に、そう書いた。球技は全然ダメな“帰宅部”なのに、スポーツテストは学年1位。「大金持ちになれるかも」と妄想し、高校1年の時、自宅から10分のハラダジムに入った。

30歳で覚醒した。29歳の時に2戦連続ドロー。「30歳で日本王者」という目標はかなわず、引退を考え、ジムを2カ月離れた。「ずっと“もっとやれる”と思ってた。だから、あと1年」。15年5月に、日本ランク12位のホープに8回逆転KO勝利。「こんなことってあるんや。神様が“まだ続けてええよ”と言ってくれてる」。そこから6連続KO、日本王座奪取&V5を含む13連勝で世界初挑戦へ。無我夢中で放った左フックが、人生を変えた。

トイレの壁に写真を貼った。「潜在意識に訴えるのは、リラックスした時に見るのが大事と聞いて」。世界ベルト姿の井岡一翔を自分の顔にすげ替えた写真を見て、用を足す。「2018年、世界チャンピオンになりました。応援ありがとうございました」と書いた紙も貼り、世界王者になる予行演習を繰り返した。

中学の同級生、妻淳子さん(34)に「私はついてくだけや」と支えられ、長女一歌ちゃん(9)に「負けたら口聞かへんで」と励まされ、昨年11月に生まれた朱莉ちゃん、乙葉ちゃんには元気をもらった。

7月に村田、拳四朗のW世界戦の会場で元全日本フライ級新人王奈須勇樹さん(37)に声をかけられた。「まだ頑張ってるんですね。応援してます」。14年前のプロ5戦目にフルマークの0-3判定で完敗した。「こういう人がチャンピオンになる、と思った。その人から…。ゾクッとしました」-。

山より谷が多かった16年。夢見がちの少年が、世界と戦う男になった。

「負けたけど、感動の1日やったかな」。得意の左フックをおとりに右ストレートで決める戦略は当たった。「相手がフラフラっとしたから、一瞬“試合止めてくれるんちゃうかな”と…。僕も舞い上がってたのか、甘さですね」ととどめの追い打ちがわずかに遅れたことを悔いるが、確かに手応えを感じた。互角の打ち合いも演じた。

「僕の中では9割ぐらい諦めるつもり。でも、嫁さんがまた“諦め悪いんが、あんたのええとこちゃうの”と言うかも…」。引退を示唆しながら、苦笑いを浮かべた。

京口紘人対久田哲也 9回、京口紘人は久田哲也からダウンを奪う(撮影・奥田泰也)
WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 京口紘人対久保哲也 2回、京口(手前)をぐらつかせ右手を突き上げる久田(撮影・清水貴仁)

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京口紘人ど根性V2、直前合宿スパーで肋骨折れてた

タイトルを防衛し応援団にあいさつする京口(撮影・清水貴仁)

<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇1日◇エディオンアリーナ大阪

WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)が、同級1位久田哲也(34=ハラダ)を3-0の判定で下し、2度目の防衛を果たした。激しい打ち合いの中で地力の差を示し、来年予定する統一戦へはずみをつけた。

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冷静だった。勝負の12回。京口は「ちょっと逃げたろかな」と捨て身で突進してくる久田をかわし、笑った。相手はもう、足が止まった。あえて打ち合いに応じ、力強いパンチを出し続けて勝った。

2回に右のカウンターをもらい、ロープまで後ずさり。「効いた」が「これで振り出しに戻った」と焦らず、すぐ左のジャブで立て直した。9回には右アッパーに右フックをたたみかけ、ダウンを奪取。KOでの圧勝ではなかったが「自分の中でいいキャリアになった。気持ちのいい選手。強い選手だった」。タフな久田に感謝した。

8月末に行ったフィリピン合宿最終日。1階級上、フライ級の世界トップランカー、マグラモとの激しいスパーリングで肋骨(ろっこつ)の軟骨を折った。診断は全治約3週間。左耳の鼓膜も破れていた。帰国後、最初は大きく息を吸うだけで痛みが出た。9月中に回復したが、パンチをもらい続ければリスクはあった。「前回以上に意識して練習してきた」という防御で、ベルトとともに不安のあった肋骨も守り通した。

世界王者となって約2年。「引き出しを増やしていかないと」と今も研究は続く。刺激となるのは、同い年の3階級王者“モンスター”井上尚弥の存在だ。9月下旬、高級肉のコース料理をごちそうになり、年内に海外旅行に行く約束をした。京口が勝ち、井上が11月7日のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝でドネアに勝った際の“ダブル祝勝旅行”。強敵とぶつかる盟友に、バトンを渡した。

来年中のWBA王者カニサレス(ベネズエラ)や6度防衛中のWBC王者拳四朗との統一戦を見据える。「しっかり休んで。いつかファンが望む統一戦、ビッグマッチ、それがかなうように精進するだけ」。まだ道の途中だ。【高場泉穂】

◆京口紘人(きょうぐち・ひろと)1993年(平5)11月27日、大阪府和泉市生まれ。父が師範代の道場「聖心会」で3歳から空手を始める。12歳でボクシングに転向し中学1、2年時には大阪帝拳ジムで辰吉丈一郎から指導を受けた。大商大卒業後の16年にワタナベジム入りし、4月にプロデビュー。17年7月に日本最速となる1年3カ月でIBFミニマム級王座獲得。2度防衛した後、18年8月に返上しライトフライ級に転級。18年12月にWBAスーパー世界ライトフライ級王座を獲得し、2階級制覇を達成。161センチの右ボクサーファイター。

▽リングサイドで観戦した大阪府の吉村知事 ボクシングの試合を初めて生で観戦したが、非常に感動させてもらった。久田選手も激しく打ち合い、すさまじい戦いだった。最後は気持ちだったと思う。

9回、久田(右)からダウンを奪う京口(撮影・清水貴仁)

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