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番付の書き手が木村要之助に春場所から代わっていた 木村容堂から16年ぶり戦後8人目の交代

行司の木村要之助(2022年5月9日撮影)

大相撲の幕内行司、木村要之助(ようのすけ、48=八角)が、今月26日に千秋楽を迎えた春場所から、新たに番付の書き手を務めていたことが30日、関係者の話で分かった。

番付の書き手は戦後8人目。07年九州場所から15年余り、木村容堂(61=九重)が務めてきたが、16年ぶりの交代となっていた。容堂が最後に書き手を務めた初場所は、125年ぶりの1横綱1大関、61年ぶりの4関脇4小結という、極めて珍しい番付だった。

要之助が初めて書き手を務めた春場所も、引き続き1横綱1大関だった。初場所では大関貴景勝が優勝したが、春場所では7日目から休場。初日から休場していた横綱照ノ富士とともに、横綱、大関不在という昭和以降初の事態となっていた。

木村要之助が書いた春場所の番付
行司の木村容堂(2022年9月11日撮影)
木村容堂が書いた初場所の番付

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貴景勝、若隆景、霧馬山ら8人が春巡業休場 4場所連続で休場中の照ノ富士は参加

貴景勝(2023年3月16日撮影)

日本相撲協会は30日、4月2日から始まる大相撲春巡業の休場者を発表した。休場するのは大関貴景勝、関脇若隆景、同じく関脇で春場所優勝の霧馬山、前頭玉鷲、阿武咲、明生、輝、琴勝峰の8人。霧馬山について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「できものができたと聞いたが、詳しくは分からない。途中から出場するかもしれない」と話した。

休場する8人に替わり、十両から出場する8人も発表した。巡業出場が決まったのは朝乃山、湘南乃海、炎鵬、千代丸、豪ノ山、北の若、島津海、栃武蔵。大関経験者の朝乃山は、新型コロナウイルスが流行する以前、19年冬巡業以来、3年4カ月ぶりの巡業参加となる。

また4場所連続で休場中の横綱照ノ富士について、芝田山部長は「休場しないということは参加するということ」と明言。ただし、巡業で土俵入りを行うのか、相撲を取るのかまでは不明という。芝田山部長は「休めば休むほど感覚はなくなるもの」などと話し、本場所復帰を目指し、まずは相撲勘を取り戻す狙いではないかと推測していた。

3月26日、春場所を制した霧馬山

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宮城出身の新十両時疾風「ドキドキもあり、ここからだという気持ち」夢と地元復興への思い後押し

新十両に昇進した時疾風(右)と師匠の時津風親方

日本相撲協会は29日、エディオンアリーナ大阪で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、藤青雲(25=藤島)と時疾風(26=時津風)の新十両2人を含む十両昇進力士3人を発表した。再十両は2場所ぶりに復帰の千代栄(32=九重)だけだった。

宮城県栗原市出身の時疾風は、東日本大震災の被災者への思いを背負う。12年前の3月11日、(本名)冨栄少年は翌日に中学の卒業式を控えて準備している最中だった。自宅は「あらゆるものが倒れて電気、水道が1カ月ダメだった」。それ以上に変わり果てたなじみの風景が心に刺さった。

「震災後、しばらくしてそれまでよく行っていた海岸地域に行ったら、何もなくなって更地になっていた。中学生ながら(被災者を)元気づけられるかな。テレビに出るようになれば元気づけられるかと。(大相撲を目指すきっかけに)なりましたね」

教職の選択肢もあったというが、夢と地元の復興への思いが後押しして大相撲の世界へ進んだ。19年春場所で初土俵を踏み、4年をかけて吉報を手にした。「うれしいです。ドキドキもあり、ここからだという気持ちです」と言った。

左四つ、右上手の得意を持つが、課題は「体格」になる。入門当初は115キロほどで、今場所は130キロまで増やした。当面の目標は140キロだが、「食が細い。頑張って食べます」と言った。

師匠の時津風親方(元幕内土佐豊)は「みんなの見本になる力士になってほしい。今の左四つ、右上手を磨いていけば上を目指せる」と期待する。時疾風は「津波で被害にあった地域を見にいって現状を見た。地元に恩返ししたい思い。頑張ります。(今後の目標は)まず幕内ですね。自分の相撲とって白星を重ねていきたいです」と気合十分に話した。

新十両昇進を果たした藤青雲
新十両会見に臨む藤青雲(右)と師匠の藤島親方

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夏場所新十両に藤青雲、時疾風、千代栄は復帰 ヤクルト村神様の“旧友”川副は昇進逃す

所作を披露する藤青雲(2023年1月13日撮影)

日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士3人を発表した。

新十両は藤青雲(25=藤島)、時疾風(26=時津風)の2人で、念願の関取の座を初めてつかんだ。また、千代栄(32=九重)は2場所ぶりの復帰となる再十両を果たした。

さきの春場所で西幕下2枚目の藤青雲、東幕下3枚目の時疾風は、ともに4勝3敗の成績を収めた。また、西幕下2枚目の千代栄は5勝2敗の結果を残した。

藤青雲(本名・東龍輝)は熊本市西区出身。明大を卒業後、約1年のブランクを経て、年齢制限緩和措置により21年春場所で初土俵(コロナ禍で前相撲はなし)。翌夏場所の序ノ口から3場所連続7戦全勝(優勝は序ノ口と三段目の各1回)の21連勝で幕下入り。幕下では3勝4敗の負け越しが2回あるだけで着実に番付を上げ、所要2年でスピード出世を果たした。181センチ、139キロで右四つ、寄りを得意とする。

時疾風(本名・冨栄秀喜)は宮城県栗原市出身。東京農大を経て19年春場所で初土俵を踏んだ。序ノ口から所要3場所で幕下入り。だが、幕下1ケタ台では壁にはね返されてきた。東幕下15枚目だった21年春場所では、6戦全勝で三役経験者の阿炎と7番相撲で対戦。勝てば優勝&新十両昇進だったが、引き落としで敗れて逃した。その後も勝ち越しと負け越しを繰り返したが、初土俵から4年で関取の座をものにした。178センチ、130キロで左四つ、寄りを得意とする。序二段で優勝経験がある。

再十両の千代栄(本名・岸栄太)は京都府福知山市出身。09年初場所が初土俵で、12年半をかけて昨年7月の名古屋場所で悲願の新十両昇進を果たした。4場所連続で十両の土俵を務めた後、先の春場所で幕下に降格したが、1場所で復帰を果たした。

日大4年時に学生横綱の座に就き、22年9月の初場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ川副(23=宮城野)は、西幕下3枚目の春場所で4勝3敗だった。昇進の可能性もあったが、今回は惜しくも逃した。野球WBCの侍ジャパンで世界一になった主砲の村上宗隆内野手(ヤクルト)とは、高校こそ違うが(川副は文徳高、村上は九州学院高)、同学年で交流があり、よく話した間柄だという。

仕切りする時疾風(2023年3月14日撮影)
塵手水(ちりちょうず)する千代栄(2023年3月14日撮影)
春場所初日、峰刃(左)を下手投げで破った川副(2023年3月12日撮影)

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鶴竜親方引退相撲は「大関」で…春場所V霧馬山、夏場所で昇進狙う 会見序盤控えめも後半止まらず

桜を背に笑顔でガッツポーズをつくる霧馬山

大相撲春場所で初優勝した関脇霧馬山(26=陸奥)が、次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)で大関昇進を目指すと宣言した。

優勝から一夜明けた27日、大阪・堺市の部屋宿舎で会見。40分以上にわたる会見の前半こそ「来場所は頑張らないと」「大関のことは考えず、いつも通り」と、控えめに話していた。だが、30分を過ぎた頃から「まず(大関に)上がりたい」と、師匠の陸奥親方(元大関霧島)と肩を並べる、あこがれの地位への思いがあふれてきた。

先場所は小結で11勝、今場所は12勝した。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。35分過ぎに来場所の具体的な目標を問われると「まず勝ち越し。できれば10番勝ちたい」と大関昇進を意識した発言をすると、止まらなくなった。直後には兄弟子で、現在は部屋付きの鶴竜親方(元横綱)が6月に行う引退相撲のことを聞かれた。すると自ら「その時は『大関霧馬山』で(出たい)」と、うれしそうに話した。もはや大関への意識を隠さなかった。

入門から8年間で故郷のモンゴルには、新十両後の1度しか帰国していない。会見が40分に差しかかると「(次は)大関に上がって帰りたい」と、再び質問とは無関係に自ら「大関」の2文字を口にした。会見後は桜の木を背に記念撮影。2カ月後は霧馬山にとってのサクラ満開「大関昇進」を勝ち取る。【高田文太】

笑顔で一夜明け会見を行った霧馬山
26日、春場所を制した霧馬山は八角理事長から賜杯を贈られる

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優勝の霧馬山「うれしすぎてご飯が入らなかった」鶴竜引退相撲に「『大関』として出られれば」

笑顔で一夜明け会見を行った霧馬山

大相撲春場所で初優勝した関脇霧馬山(26=陸奥)が、千秋楽翌日の27日、大阪・堺市の部屋宿舎で一夜明け会見を行った。1差で追う小結大栄翔に本割、優勝決定戦で連勝しての逆転優勝。前夜は「うれしすぎて、ご飯が入らなかった」と、祝杯もそこそこに喜びに浸っていたことを明かした。祝福のメールなども200件ほど届いたという。

先場所が小結で11勝、今場所は12勝を挙げ、大関昇進の目安とされる「三役で3場所33勝」へ、来場所10勝以上で大関昇進が確実視される。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)に向けては「まずは勝ち越し。できれば2ケタ」と語った。さらに6月には、兄弟子であり部屋付きの鶴竜親方(元横綱)の引退相撲が控える。「その時は『大関霧馬山』として出られれば」と、昇進への意欲を隠さず、堂々と話した。

会見では、入門からの8年を振り返り「8年の中で何度も(出身のモンゴルに)帰りたいと思った」と打ち明けた。入門時は「いきなり5時半に起きて稽古と聞いてびっくりした」という。モンゴルで行っていたモンゴル相撲や柔道などと同様に、午後から稽古だと思っていたために、驚かされたことを冗談交じりに話した。

また、前日はウランバートルにいた両親が、千秋楽はそろってテレビ観戦していなかったことも明かした。「いつもは、見ると負けるからと、お母さんがテレビで取組を見ていないけど、昨日はお父さんも緊張して見ていなかったみたい」と、笑って話した。モンゴルへの帰国は新十両を決めた際に1度だけで、次の帰国は「できれば大関に上がって帰りたい」と、再び大関昇進への意欲を見せていた。

桜を背に笑顔でガッツポーズをつくる霧馬山

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霧馬山、大逆転V 陸奥部屋初の優勝、そして部屋初の大関へ「目安」にあと10勝

霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が、逆転で初優勝を飾った。1差で追っていた単独トップの小結大栄翔を、本割で破って12勝3敗で並ぶと、優勝決定戦にも勝った。小結で11勝した先場所に続き、三役で2場所連続2ケタ白星。次の夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)が大関とりとなる。師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとっても、弟子の幕内優勝は初。次は陸奥部屋出身では初の大関となり、恩返しする。

行司軍配を見た。際どい勝負となった優勝決定戦。無我夢中の霧馬山は、勝利の確信がなかった。軍配は自身を差していた。だが物言いがついた。大栄翔の突きに押し込まれながらも、右に回り込んで突き落とした。霧馬山の左足が土俵外につくのと大栄翔が落ちるのが、どちらが先か。1分近い協議後、自身が勝ったとアナウンスされると天を仰ぎ、大きく息をついた。花道では目頭を押さえた。

「本当にうれしかった。勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった。最高。相撲部屋に入った時の最初の夢がかなった」

本割も押し込まれたが、土俵際の突き落としで逆転した。「最初の相撲ですごく緊張した。『やってやるぞ』という気持ちになってからは、負けても勝っても自分の相撲を取ろうと思った」。不思議と決定戦は緊張しなかった。冷静に取ったことが明暗を分け、1差逆転。勝負強さを見せた。

陸奥部屋初の幕内優勝力士となった。初めて陸奥親方と顔を合わせた14年10月のことを、師弟はそろって今も覚えている。霧馬山は「横綱になります」と宣言していた。以来、陸奥親方からは「もっと稽古しないと横綱になれないぞ」と言われた。しこ名も期待の表れ。陸奥親方の現役時代のしこ名霧島の「霧」。それに部屋の所属する時津風一門で、時津風部屋の創設者双葉山から、読みの「ばやま」をもらった。歴代最長69連勝を記録した、大横綱と重ね合わせられていた。

19年9月、本物の横綱が突如、兄弟子となった。横綱鶴竜が、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)の急逝に伴い、転籍してきた。稽古熱心な兄弟子にならい、今場所前は2月のほとんどを出稽古に費やし猛稽古。「今思うとよく『横綱になります』なんて言ってたな。その前に大関があるのに」と苦笑い。ただ昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は、夏場所が大関とりとの見解を示した。「三役3場所33勝」の目安へ10勝と迫った。

この日の朝稽古後、霧馬山は言った。「大関は…、ちょっと近づいたかな」。師匠と、部屋付き親方となった鶴竜親方への恩返しを夢見ている。【高田文太】

◆八角理事長(元横綱北勝海) 霧馬山は(安定感や重みなど)ドッシリしてきた。最後も押されたがいなせた。立ち合いの重さ、速さが出ればもっと楽に勝てる。新関脇で優勝。持っていると言えば持っている。(大関を)つかむかどうかは本人次第だろう。

◆幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻) 大栄翔も良かったが、霧馬山が足腰の良さ、土俵際の粘りで勝った。横綱、大関が不在だったが番付通り三役陣が頑張った。

<霧馬山鉄雄アラカルト>

◆生まれ 1996年4月24日、モンゴル・ドルノドゥ生まれ。本名・ビャンブチュルン・ハグワスレン。

◆スポーツ歴 バスケットボールが小、中学校の6年間、柔道は15~18歳。並行してモンゴル相撲は10~18歳で、18歳の時にモンゴルでベスト4。

◆入門 高校卒業後の14年10月、モンゴル人4人で来日し、陸奥部屋に体験入門。そこから1人だけ選ばれ、翌15年1月正式入門。

◆入門後 15年夏場所初土俵。19年春場所新十両。20年初場所新入幕。21年九州場所新三役。三賞は敢闘賞1回、技能賞2回。

◆遊牧民 両親は今も遊牧民生活だが霧馬山の取組は欠かさずテレビ観戦。テレビを見るだけでなく「SNSもやっている」(霧馬山)という。

◆家族 両親と兄、妹。

◆サイズ 186センチ、140キロ。

◆得意 左四つ、寄り、投げ。

◆血液型 A。

霧馬山(右)は優勝決定戦で大栄翔を突き落としで破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)

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【こんな人】霧馬山「馬で1日30キロ」遊牧民生活で培われた強い足腰とバランス感覚

霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が、逆転で初優勝を飾った。1差で追っていた単独トップの小結大栄翔を、本割で破って12勝3敗で並ぶと、優勝決定戦にも勝った。

       ◇       ◇       ◇

霧馬山の強さは、強い足腰とスタミナに裏付けられている。幼少からの遊牧民生活で自然と養ってきた。乗馬は日常茶飯事で「1日に30キロぐらい馬に乗って走っていた」という。足腰の強さに加えてバランス感覚も身に付けた。さらに井戸水の水くみを週に何度も、1日何十回も繰り返したことも、相撲のすり足と同じ効果があった。長い取組になればなるほど、しぶとく食らいついて白星を挙げる理由がある。陸奥親方には「相撲が長くなるということは、まだ強くないということ」と、さらなる稽古を求められている。来月で64歳となる師匠の定年退職まで1年余り。それまでに、最初に交わした「横綱になります」の約束を果たしたい思いにあふれている。

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大栄翔の地元埼玉・朝霞市PVに200人「本人が一番悔しいと思う」母の高西恵美子さん

大栄翔の母校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた右から母の高西恵美子さん、兄の一直さん、オスのチロル(撮影・平山連)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所千秋楽の26日、小結大栄翔(29=追手風)の地元埼玉・朝霞市でPV(パブリックビューイング)が行われた。

大栄翔の母校朝霞第四小学校に地元住民ら約200人が駆けつけ、黄色のスティックバルーンや手作りのボードを掲げながら声援を送っていた。

本割で霧馬山に敗れた際には「次勝てば大丈夫」「大栄翔頑張れ!」などと会場内で互いを鼓舞する姿が見られた。優勝決定戦で霧馬山に敗れた瞬間は周囲から大きなため息が漏れたが、次第に温かい拍手と歓声に変わった。21年初場所以来2度目の賜杯は惜しくも逃したが、最後まで場所を盛り上げた大栄翔の頑張りをたたえていた。

会場に駆けつけた母の高西恵美子さん(60)は「本人が一番悔しいと思う。親としては、15日間無事に終えられたことの方がうれしいこと。十分だと思います」。兄の一直さんは「結果は残念ですけど、前に出る相撲はできていた。家族として誇りに思います」と話していた。

大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)には地元住民ら約200人が駆けつけた(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)に駆けつけた、朝霞市のゆるキャラ「ぽぽたん」(撮影・平山連)
大栄翔の母校埼玉・朝霞市の朝霞第四小学校で行われたPV(パブリックビューイング)で掲げられた「信じてる!!大栄翔」ボード(撮影・平山連)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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2度目の賜杯逃した大栄翔は大学院卒のインテリ力士 修士論文は「相撲文化継承への提言」

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所で関脇霧馬山(26=陸奥)に本割、優勝決定戦と連敗し、21年初場所以来となる2度目の賜杯を逃した小結大栄翔(29=追手風)。実は昨春まで日大大学院の総合社会情報研究科に通っていたというインテリ力士だ。専攻は相撲部屋制度に通じる同族経営、ファミリービジネスについて。修士論文の指導に当たった加藤孝治教授によると論文は5万字近くに及ぶ大作で、次世代へ相撲文化を継承するための提言がまとめられていたという。

加藤教授によると、大栄翔は国内スポーツ界における大相撲を位置づけた上で、相撲部屋の経営手法や協会の制度的な課題を分析。日本人力士が減少傾向にある現状を憂い、大相撲の文化が活性化するために必要なことを提言していた。「特徴的なのは、自分が相撲と出会った時の経験を交えて論じたこと。若い人たちが相撲と触れ合う機会をどうやって作っていくかという問題意識が高かった」と目を見張る。

また、多忙な日々をやり繰りしながら、何事も真面目に取り組む姿が印象に残ったという。「20代後半という現役バリバリで活躍している時に大学院へ通った経験は大きな意義」。卒業した今でも、ゼミ生のグループラインなどで連絡を取り合い交流が続いている。

先場所10勝(西前頭筆頭)、今場所12勝(小結)した大栄翔。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされるだけに、5月の夏場所は霧馬山とともに大関とりのチャンスがある。勝負の来場所。加藤教授は「番付が上がることは彼の論文で書いたような将来像をしていく上でもつながっていくことだと思います」と期待を寄せ、今後の活躍も引き続き温かく見守っていく。【平山連】

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
霧馬山は大栄翔(左)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

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【若乃花の目】最後の最後にもったいないことをした大栄翔 霧馬山は持って生まれた体の柔らかさ

「若乃花の目」

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

本割、優勝決定戦ともに大栄翔の当たり、突き押しの威力が半減してしまいました。

本割は霧馬山が何をやってくるか気をつけるように、相手を見ながらもろ手で立ちました。頭から当たるしかなかった決定戦は、頭より先に手で行ってしまいました。こうなると腰も引けて2番とも威力半減です。やはり押し相撲は立ち合いの当たりが弱いと、二の矢の攻めもなくなり土俵際の落とし穴ははまります。今場所は腰をぶつけるようにして足を運んでいた大栄翔だけに、最後の最後になってもったいないことをしたなと思います。

1差で追う立場で臨んだ霧馬山は、精神的には大栄翔より楽だったでしょう。押し込まれはしましたが、土俵際で弓なりになって粘ったことで、突きにくくさせました。四つに組んだら勝ち目はない、と大栄翔に思わせる強さも、先場所から光ります。初優勝にも浮かれず「相撲自体は良くなかった」とインタビューで話していた言葉は、まだまだ自分を向上させようという自覚の表れでしょう。来場所は大関とりです。体の柔らかさは持って生まれたものとして、力強さをアピールしてほしい。当たり負けしない強さ、重さを全部の相撲には求めませんが、プラスアルファしてほしいと思います。霧馬山に引っ張られるように豊昇龍は10勝、若元春も11勝で足がかりをつかみ、大栄翔も次期大関に名乗りを上げた今場所。終わったばかりなのに、もう来場所が楽しみです。照ノ富士と貴景勝が復帰した上で、上位陣による「実力者による混戦」に期待します。(日刊スポーツ評論家)

優勝決定戦で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)
八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)

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元幕内鏡桜が引退 幕内在位7場所、最高位は前頭9枚目、15日付で日本国籍取得

鏡桜(17年9月22日撮影)

大相撲の元幕内鏡桜(かがみおう、35=伊勢ノ海)が春場所千秋楽の26日、日本相撲協会に引退届を提出し、受理された。

モンゴル出身の鏡桜は15歳の時に、元関脇多賀竜の鏡山部屋に入門。力士数が少なく、2008年途中からは、師匠の息子の竜聖(現・竜勢)と2人だけとなった。そんな環境でも出稽古などで鍛え、2013年初場所で新十両に昇進。最も力士数の少ない部屋から関取になり、話題となった。初土俵から所要56場所で、外国出身としては史上6位(当時)のスロー出世。1996年12月に鏡山親方が部屋を継承してから初の関取となった。

2014年初場所で新入幕。幕内は通算7場所務め、最高位は西前頭9枚目だった。鶴竜が横綱に昇進した際は、露払いを務めた。近年は両膝や肘などの故障が相次ぎ、2020年九州場所で2番取った後は休場。21年秋場所以降は番付外となっていた。

2013年に結婚して1男1女。15日付で日本国籍を取得したばかり。詳細は未定で、今後も日本で生活していく。

三段目優勝した鏡桜(18年7月22日撮影)
水戸龍(後方)を破り幕下優勝した鏡桜(17年9月22日撮影)

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大栄翔「悔しい」V逸「土俵際の甘さが自分の弱いところ」本割、決定戦と霧馬山に突き落とし食らう

優勝決定戦で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ

2度目の優勝に王手をかけていた小結大栄翔(29=追手風)は悔しい「V逸」となった。

1差をつけての関脇霧馬山との決戦。「気合入れていったんですけど、土俵際の甘さが自分の弱いところ」と振り返る。

本割、優勝決定戦とも同じような流れだった。本割は大栄翔が立ち合いから突き押しで攻め込み、霧馬山は俵に詰まってのけぞる。あと一撃のところで、突き落としを食らった。

優勝決定戦も大栄翔が攻めた。しかし、土俵際は同じく突き落とし。物言いがつくも軍配通りの決着。「自分の相撲で負けたんで仕方ないです」と言いつつ、「悔しい」と本音がもれた。

2度目の技能賞を獲得した。「押し相撲はなかなかとれない。評価してもらったのは自信になる。突き押しの技術を磨いていきたい」と悔しさの中で励みになった。

先場所は西前頭筆頭で10勝しており、来場所は霧馬山とともに大関とりのチャンスになる可能性がある。「今場所はいい相撲が多かった。来場所も15日間通してとれるようにしたい」と話し、「悔しい気持ちを忘れず、しっかり稽古していきたい」。昇進争いで負けるわけにはいかない。

本割で霧馬山(右)に突き落とされる大栄翔(撮影・和賀正仁)

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正代2ケタ勝利で締めくくり「けっこう遠のいていたので素直にうれしい」翠富士きめ出し

花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)

〈大相撲春場所〉◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

大関経験者の西前頭筆頭正代(31=時津風)が2桁勝利で締めくくった。

今場所を盛り上げてきた幕内最小兵の翠富士と対戦。もろ差しにきたところをがっちり固め、最後はきめ出した。2桁10勝は大関時代の昨年名古屋場所以来。「(2桁は)けっこう遠のいていたので素直にうれしい。全体的に持ち味が出た相撲が多かった。それに成績が伴ってきた」と振り返った。

来場所は三役復帰の可能性も。「持ち味を出せたら成績もついてくる。来場所はもっと自分の相撲をとれるようにしたい」と自信も回復させた。

翠富士(左)を決めだしで破る正代(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)を決めだしで破る正代(撮影・和賀正仁)
翠富士(左)を決めだしで破る正代(撮影・和賀正仁)
正代(左)はきめ出しで翠富士を破る(撮影・小沢裕)
正代(左)はきめ出しで翠富士を破る(撮影・小沢裕)

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八角理事長、初優勝霧馬山に「立ち合いの重さ、速さ出ればもっともっと楽に勝てる」指摘と期待

八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

新関脇の霧馬山(26=陸奥)が初優勝を遂げた。1差で追っていた小結大栄翔(29=追手風)を、本割で土俵際の逆転で突き落とした。

続く優勝決定戦も、同じように押し込まれながら土俵際、右足一本で残り、大栄翔の左腕を手繰って逆転。霧馬山の足が出たのではないかと物言いがついたが、足は残っており軍配通りの勝利。星勘定も相撲内容も「逆転」の展開で、初の賜杯を抱いた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「やっぱり(本割同様に)真っすぐに押されたけど、いなせた」と語った。三役で11勝、12勝と星を重ね、いよいよ5月は大関とりの夏場所。本割で勝ち12勝目を挙げた時点で「来場所のことを考えると、とても大きな一番だった」と分析した八角理事長は、優勝決定戦後に、霧馬山に今後、求められるものや課題について問われると「立ち合いで押し込まれないこと。立ち合いの重さ、速さが出れば、もっともっと楽に勝てる」と指摘。ここ数場所の成長に「ドッシリしてきたような気がする。新関脇で優勝だから持っていると言えば持っている。(大関の座を)つかむかどうかは本人次第」と話しつつ「上がってもらわないと」と1横綱、1大関の状況から脱する担い手として、霧馬山への期待を寄せた。

優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
懸賞金を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)

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霧馬山「勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった」優勝決定戦制し大逆転で初優勝

優勝インタビューを受ける霧馬山(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

関脇霧馬山(26=陸奥)が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔を本割の対戦で突き落とし。優勝決定戦も大栄翔に立ち合いから突き放されるが土俵際、右足をしぶとく残して突き落としを決めた。

表彰式後、館内インタビューで喜びの声を発した。

-今の気持ちは

霧馬山(以下霧) 本当うれしくて、すごく緊張してます。

-決定戦で物言いが

霧 全然分からなかったので、勝ちと分かった瞬間、どこにいるか分からなかった。緊張したけど自分の相撲をとろうと気持ちで。(2番とも)いい相撲じゃなかったが、最後に勝ってよかった。

-優勝の意識は

霧 全くなくて。1日一番の気持ちだけでした。

-8年前に入門

霧 最初は何も分からなくて。8年で優勝できたのはうれしい。(優勝の要因は)気持ちだけです。

-来場所は大関とり

霧 はい、頑張ります。自分の力を出していきたい。

-優勝はだれに

霧 最初に親方にあいさつしたい。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
優勝決定戦で霧馬山は大栄翔(手前)を突き落としで破り幕内初優勝を決める(撮影・小沢裕)
八角理事長から賜杯を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
内閣総理大臣賞を贈られる霧馬山(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する霧馬山陣営と霧馬山(中央)(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
幕内初優勝を決めた霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山はタオルで顔を押さえながら花道を引き揚げる(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山は内閣総理大臣杯授与に訪れた西村経産相(左)から表彰状を受け取る(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ。右は陸奥親方
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、優勝旗を手にする霧馬山(代表撮影)

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関脇霧馬山、大逆転で初優勝 大栄翔に本割・優勝決定戦で連勝 自力で初の賜杯手に

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

関脇霧馬山が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔との本割での対戦は、土俵際まで一気に攻められたが最後は突き落としを決めた。

優勝決定戦も大栄翔が立ち合いから突き放しにくるが、霧馬山は右足を俵に残して勝利した。物言いがつくも軍配通り。1日2連勝の自力で、霧馬山が初の賜杯を手にした。

新入幕の金峰山は11勝まで星を伸ばし、敢闘賞を受賞した。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(左)は大栄翔を突き落としで破る(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)

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霧馬山初優勝「ちょっと緊張」優勝決定戦で物言いも大栄翔破り来場所大関取りへ 陸奥親方初弟子V

霧馬山は大栄翔(右)を突き落としで破り幕内優勝は決定戦に持ち込まれた(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

モンゴル出身の関脇霧馬山(26=陸奥)が12勝3敗の優勝決定戦を制し、大逆転で初優勝を飾った。

14日目を終えて1差で単独トップの小結大栄翔との本割での対戦は、土俵際まで一気に攻められたが最後は突き落としを決めた。

優勝決定戦も大栄翔が立ち合いから突き放しにくるが、霧馬山は右足を俵に残して勝利した。物言いがつくも軍配通り。1日2連勝の自力で、霧馬山が初の賜杯を手にした。

「ちょっと緊張したが、自分の相撲を取るとの気持ちだった。そんなに良い相撲ではないが、勝てて良かった。全然優勝は考えなかった。1日一番のつもりだった。(入門から)8年で優勝、最高です」

これで小結で11勝した先場所に続き、今場所も関脇で12勝を挙げた。大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」とされるだけに、来場所で2ケタ白星を挙げれば昇進は濃厚。今場所の優勝が考慮されれば、場合によっては2ケタ白星に到達しなくても、来場所後の昇進の可能性も出てきた。「1日一番、しっかり頑張ります」。師匠の陸奥親方(元大関霧島)にとっても、初めての弟子の幕内優勝となった。「まずは親方に報告したい」と感慨深げな表情を見せた。

霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破り初優勝を決める(撮影・和賀正仁)
霧馬山(右)は突き落としで大栄翔を破(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配は霧馬山(右)に上がるも物言いがつく(撮影・和賀正仁)
軍配通り霧馬山の勝ちとなる(撮影・和賀正仁)
幕内初優勝を決め優勝旗を手にする霧馬山(撮影・小沢裕)
霧馬山(左)は祝勝会会場のホテル前で陸奥親方から水付けを受ける(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝し、オープンカーに乗り万歳する霧馬山(右)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する時津風一門の関取衆と霧馬山(中央)(代表撮影)
支度部屋で力士らと万歳三唱する時津風一門の関取衆と霧馬山(中央)(代表撮影)
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ。右は陸奥親方
幕内初優勝を決めた霧馬山は祝勝会会場でお祝いの鯛を手に笑顔でガッツポーズ
幕内初優勝を決めた霧馬山は内閣総理大臣杯授与に訪れた西村経産相(左)から表彰状を受け取る(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を決めた霧馬山はタオルで顔を押さえながら花道を引き揚げる(撮影・小沢裕)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝を果たし、賜杯を手に笑顔を見せる関脇霧馬山(代表撮影)
大相撲春場所で初優勝し、優勝旗を手にする霧馬山(代表撮影)

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逸ノ城14勝1敗で十両優勝「どんな相手でも自分の相撲をとろうと」新十両以来9年ぶり2度目

逸ノ城(左)は上手投げで対馬洋を破る(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

出場停止明けの東十両3枚目逸ノ城(29=湊)が、14勝1敗で十両優勝を飾った。

逸ノ城の十両優勝は新十両の14年夏場所以来2度目。22年名古屋場所では幕内最高優勝を飾っている。

立ち合いこそ、対馬洋に右差しから土俵際まで攻め込ませた。しかし、重い腰を生かして余裕で残すと、引きずるような左からの上手投げを決めた。

「体がそんなにいい状態ではなかった。その中でけがもなく、自分の相撲がとれてこんな成績で終われてホッとしてます。どんな相手でも自分の相撲をとろうとだけ思っていた。長い相撲はとりたくない考えもあった。それがよかったのかと思います」

コロナ禍での外出禁止を破る日本相撲協会が設けたガイドラインを違反したとして今年初場所は出場停止。東前頭7枚目から番付を下げての出直し場所だったが、2月に腰のヘルニアの手術を行い、不安材料を取り除くこともできた。

昨年は師匠湊親方(元幕内湊富士)との確執や、同夫人への暴力疑惑が発覚するなどマイナスな面ばかり表だっていた。幕内復帰が確実な来場所も土俵の上で存在感を示していく。

逸ノ城(左)は上手投げで対馬洋を破る(撮影・和賀正仁)
逸ノ城(右)は上手投げで対馬洋を破る(撮影・和賀正仁)
逸ノ城(右)は上手投げで対馬洋を破る(撮影・和賀正仁)
逸ノ城は対馬洋(手前)を上手投げで破り十両優勝を決める(撮影・小沢裕)

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“令和の怪物”落合、朝乃山に敗れる 新十両場所は10勝5敗「全てが勉強になりました」

朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

昭和以降最速、1場所で新十両昇進を果たした西十両14枚目の落合(19=宮城野)が、朝乃山(高砂)の上手投げに屈し5敗目を喫した。

大関経験者を相手に1歩も引かなかった。土俵際に押し込まれてもしっかりと残り、すぐさま反撃に転じた。もろ差しとなって体を密着させながら今度は逆に土俵際へ追い詰めた。一進一退の攻防。息の詰まるような熱戦を演じたが、最後は朝乃山のうまさが光った。落合は「絶対勝つという気持ちでした。負けたことが悔しいです」と肩を落としつつ、「朝乃山関に絶対に右を差させないことはできたので、そこは良かった」と手応えも得た。

先場所、幕下15枚目格付け出しデビューで7戦全勝優勝して破竹の勢いで関取の座まで上がってきた。今場所でもその力を存分に発揮。順調に白星を積み重ね、9日目に勝ち越しを決めた。一時は優勝争いに絡んでいたが、10日目に同世代の20歳の熱海富士、11日目に逸ノ城、12日目に豪ノ山と3連敗。足踏みが続いた。「もう1度心をリセットして、初日だと思って上がっている」という中で、13日目に對馬洋から勝利を収めて連敗を脱出。勢いそのままに14日目に荒篤山を退け白星を2桁に乗せた。

朝乃山に敗れ11勝目を逃したが、十両として臨んだ初めて場所で10勝5敗という堂々たる成績。師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)が新十両だった04年初場所(9勝6敗)の成績を上回った。

新十両場所について「全てが勉強になりました」。場所前には15日間相撲を取れる楽しさを口にしていたが、「楽しみという言葉がふさわしくなかったと思っています。本当に命がけじゃないと勝てないと痛感しました」。

「勝ちたいという思いが強い。また次の場所に向けて今からが勝負だと思っているんで。もっと大勝ちしたいというよりはもっと強くなりたい」

相撲界に現れた“令和の怪物”。来場所どんな活躍を見せるのか期待が高まる。

朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)
朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)
朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)
朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)
朝乃山(右)は落合を上手投げで破る(撮影・和賀正仁)
朝乃山(右)は落合に土俵際へ攻め込まれる(撮影・小沢裕)
朝乃山(左)は落合を上手投げで破る(撮影・小沢裕)

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