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元若嶋津が開頭手術4時間半昏睡状態、自転車で転倒


 19日午後4時20分すぎ、元大関若嶋津の二所ノ関親方(60=本名・日高六男)が千葉県船橋市行田2丁目の路上で倒れているのを通行人に発見された。自転車で転倒して頭部を強打。船橋市内の病院で4時間半に及ぶ手術を受けて、集中治療室(ICU)に入った。意識不明の重体だったが、手術後に一時意識を回復。関係者によると、医師は命に別条はないと説明しているという。親方は日本相撲協会理事で16年3月から審判部長を務めている。夫人は元歌手の高田みづえさん。

 二所ノ関親方が倒れて発見された現場は、二所ノ関部屋から約750メートル離れた住宅や公園がある地域だった。千葉県警船橋署によると、目立った外傷はなく、近くには自転車も倒れていたが、大きな破損はなかった。車道と歩道の間に段差があり、車道側に体の右側を下にして、横向けに倒れていたという。当時は雨が降っていたとみられ、同署が状況を調べている。

 通行人の女性に発見された当初は話もできる状態だった。だが、意識不明の重体に陥り、船橋市内の病院に搬送されて午後5時20分ごろから開頭手術を受けた。手術は午後10時すぎに終わり、直後に対応した高田みづえ夫人は「意識はまだ回復していません。予断を許さない状況というのは確かです」と説明した。その後、午後11時に対応した部屋付きの湊川親方(元小結大徹)は「無事手術は終わり、ICUに入っている。意識は1度戻った。今は昏睡(こんすい)というか眠っている状況」と話した。命に別条はないという。

 湊川親方によると、二所ノ関親方はこの日も部屋の朝稽古に姿を見せていた。その後はいつも通っている銭湯に向かったそうで、転倒したのは「そのサウナからの部屋に戻る途中だと思う」と説明。持病を耳にしたことはなく「自転車で走り回るぐらい運動し、一生懸命歩いたり、体に気を使っていた」とも話した。

 二所ノ関親方は鹿児島県中種子町に生まれ、鹿児島商工高(現樟南高)を経て「土俵の鬼」で知られる初代横綱若乃花の二子山部屋に入門。75年春場所で初土俵を踏んだ。浅黒い体に俊敏な動きから「南海の黒豹」の異名を取り、82年九州場所後に大関に昇進。84年は春、名古屋場所で優勝。綱とりこそかなわなかったが、71勝19敗とその年の年間最多勝も獲得。翌85年2月には、当時アイドル歌手として絶頂期だった夫人との婚約を発表した。87年名古屋場所途中で引退し、年寄「松ケ根」を襲名。90年2月には独立して松ケ根部屋を興し、14年12月に「二所ノ関」を襲名。現在、部屋には幕内松鳳山ら12人の力士が在籍。また、14年に日本相撲協会理事となり、16年3月からは審判部長を務めている。

 ◆二所ノ関六男(にしょのせき・むつお)元大関若嶋津。本名・日高六男。1957年(昭32)1月12日、鹿児島県中種子町生まれ。鹿児島商工高(現樟南高)相撲部から二子山部屋に入門。75年春場所初土俵。浅黒い体に俊敏な動きから「南海の黒豹(ヒョウ)」の異名を取り、82年九州場所後に大関昇進。84年春、名古屋場所優勝。87年名古屋場所途中で引退し「松ケ根」、14年12月から「二所ノ関」襲名。夫人は元歌手高田みづえさん。通算515勝330敗21休、優勝2回。

86年9月、二子山部屋の若嶋津

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白鵬「考えている」来年末にも大阪に記念館誕生へ

横綱審議委員から送られた記念額を見つめる白鵬(撮影・鈴木正人)


 大相撲の横綱白鵬(32=宮城野)の記念館が大阪市内に出来ることが4日、分かった。名古屋場所で通算最多勝利記録を更新したのを記念して、東京・両国国技館で横綱審議委員会から記念の書を贈呈され「白鵬記念館を考えている」と明かした。

 白鵬によれば18年末から19年初めにかけて、春場所中に宿舎を構えている大阪市上本町に建てる予定。大阪観光局担当者は「記念館の話はあります。相撲の伝統を多くの方々に知ってもらえるように協力していきます」と話した。

 白鵬は優勝した同場所で魁皇(現浅香山親方)の1047勝を抜き、1050勝まで更新。書には自らが選んだ「夢 心 運」の3文字が書かれ「豊かな心で運をつかんだら夢がかなう。魂を入れてもらった」と喜んだ。今日5日から始まる秋巡業は、左膝痛を理由に休場する。しかし「明日、明後日動いてみる。もう少し早くなるかもしれない」と、参加時期が当初の中盤から前半に早まる可能性を示唆した。

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稀勢の里が力士選士権2連覇「横綱として勝て光栄」


 日本最古の大相撲トーナメント「第76回全日本力士選士権」が2日、東京・両国国技館で行われ、左上腕付近のけがで秋場所を全休していた横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が大会2連覇を果たした。

 初戦から千代の国、大栄翔、正代、朝乃山を左四つから寄り切ると、決勝戦ではベテラン豪風に右で張り、左を固めて、右を抱える形で前進。あえなく寄り切り、4年前の日馬富士以来、史上8人目の連覇を達成した。「体をつくってきたことが出た感じです。鍛えた下半身もそうだし、全身を使いました。(大関だった昨年と違って)横綱としてトーナメントで勝てたことは非常に光栄。これをきっかけにして行きたい」と振り返った。

 久しぶりの関取との相撲には、これまでの「なす紺」から新たに、青みがかった「紫」の締め込みに替えて臨んだ。まだならしの段階だが、心機一転の意味合いも込められていただろうか。「非常に楽しかったというか、良かったです」と、土俵に上がって相撲を取れる喜びが、体からあふれていた。

 3月の春場所で負傷し、5月の夏場所と7月の名古屋場所は途中休場、9月の秋場所は全休と3場所連続で休場した。苦しい土俵が続いているが「いいきっかけになるようにやっていきたい。こういうチャンスを生かしたい」と、5日から始まる秋巡業での稽古を見据えていた。

稀勢の里(右)は豪風を寄り切り連覇を決める(撮影・滝沢徹郎)

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若乃島17年半の土俵人生に別れ「やり切った感じ」


 右膝痛のため大相撲秋場所を最後に現役を引退した、元十両若乃島(33=芝田山、本名・再田史也)の断髪式が9月30日、東京・両国国技館で行われた。

 若乃島は00年春場所、放駒部屋から初土俵を踏み、師匠だった先代放駒親方(元大関魁傑)の定年に伴い、13年2月に芝田山部屋へ移籍。得意は突き、押しで14年あまりをかけ、14年名古屋場所で新十両昇進を果たした。最高位は15年秋場所の西十両7枚目。十両は通算7場所務め、現役最後の秋場所は東幕下43枚目(4勝3敗)だった。

 断髪式には、荒磯親方(元前頭玉飛鳥)、君ケ浜親方(元前頭宝智山)、前頭琴奨菊(佐渡ケ嶽)、阿武咲(阿武松)ら一門の親方、関取衆はじめ関係者約250人が出席。最後に師匠の芝田山親方(54=元横綱大乃国)が留めばさみを入れ、17年半の土俵人生に別れを告げた。その後、両国国技館内で行われたパーティーでは、親交があり同じ鹿児島・奄美出身で歌手の元ちとせ(38)、中孝介(37)が前途を祝し、美声を披露した。

 「やり切った感じで、すがすがしい気持ちだった。いろいろな人に来てもらったから笑顔を見せないと」と、涙を流すことはなかった。ただ、さまざまな思いが頭の中を巡る中「やっぱり先代の親方のことを考えてました。何と言ってくれるか…。『頑張ったな』と言ってくれると思います」と、しんみり話した。

 一番の思い出は、初土俵から約14年で新十両昇進を決めた14年夏場所。その場所中に先代が急死したこともあり「突然すぎて本当に信じられなかった。絶対に忘れられない場所」と振り返った。何度も引退しようと思ったことがあったが、先代から口酸っぱく言われた「あきらめるな」「我慢しろ」の言葉が押しとどめてくれた。「自分は出会いに恵まれた。すごい偉大な親方2人に出会えました」と感謝した。

 第2の人生は、11月から東京・世田谷区内にある、しゃぶしゃぶ店でスタートする。見習いの身だが、将来的には「自分の店を出したい。勝負するなら都内で」と目を輝かせた。

同じ二所ノ関一門の阿武咲に、はさみを入れられる若乃島
断髪式を終え同郷で歌手の元ちとせ(右)にネクタイを直してもらう若乃島

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炎鵬が三段目3場所連続V、初土俵から21連勝

三段目優勝の炎鵬(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館


 三段目は炎鵬(えんほう、22=宮城野)が7戦全勝で優勝した。

 優勝決定戦で満津田を押し倒しで下して、序ノ口だった夏場所、序二段だった名古屋場所に続いて3場所連続で優勝した。名古屋場所でも優勝決定戦に進んでいたが「両国の雰囲気は違いました」と緊張したが快勝。史上5位の初土俵からの21連勝を「伸ばせるものなら伸ばしたい」と意気込んだ。

 ◆炎鵬 西18枚目。本名・中村友哉。石川県金沢市出身。17年春場所初土俵。169センチ、94キロ。左四つ、下手投げ。

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豪栄道「この経験あったからと言える相撲人生に」

優勝決定戦で日馬富士(手前)に寄り切りで敗れた豪栄道(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、16年名古屋場所以来、7場所ぶり9度目の優勝を飾った。本割で大関豪栄道を寄り切って11勝4敗で並び、優勝決定戦でも寄り切った。

 日馬富士の優勝インタビューの音声が流れる支度部屋で、豪栄道ははっきり言った。「横綱が上でした。完敗です」。本割は両まわしを取られ、力で寄り切られた。優勝決定戦は瞬時に懐に入られ、なすすべなく土俵を割った。何もできなかった。

 昨年秋場所の涙の全勝初Vから1年。九州で初の綱とりに失敗、今年の春場所は右足関節外側靱帯(じんたい)損傷で途中休場した。復活へ、原点に戻った。巡業のない6月、毎週水曜日は母校・埼玉栄高に出向いた。トラックタイヤを2本つなげて100キロ、3本つなげて150キロにしたゴムのかたまりを土俵で押し込んだ。名古屋場所直後の7月末、大阪市で母真弓さん(61)と焼き肉を食べながら「どっか、痛いの?」と聞かれて「そら全身痛いよ」と笑った。31歳の体にむち打ち、休場から半年で戦える体を作った。

 相撲を始め、ずっと目指す日本一の夢。大関では満足しない。横綱を目指し続ける。「いつか、この経験があったから…と言える相撲人生にしたい」。屈辱の逆転負けを胸に刻み、再出発を誓った。【加藤裕一】

 ◆豪栄道の来場所綱とりについて否定的な二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)の話 2番とも相撲にならなかった。印象が悪いね。13勝と12勝の優勝でも違うし(それが)11勝(の優勝同点)ではね。まして横綱3人が休んでいる。今日の2番は痛い。

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日馬富士1人横綱の責任全う、逆転Vを支えたものは

日馬富士(左)は寄り切りで豪栄道を下し優勝決定戦へ持ち込んだ(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、16年名古屋場所以来、7場所ぶり9度目の優勝を飾った。本割で大関豪栄道を寄り切って11勝4敗で並び、優勝決定戦でも寄り切った。千秋楽の直接対決から1差逆転優勝は今年春場所の横綱稀勢の里以来。1918年(大7)夏場所以来99年ぶりの3横綱2大関休場という異常事態となった場所を“1人横綱”が締めた。

 支度部屋は熱気に包まれていた。待ち構えていた大勢の関係者から浴びせられる「横綱」コール。日馬富士は表情を緩めて万歳三唱で喜びを分かち合った。風呂に入り汗を流し終えると、やっと一息ついた。「土俵の神様が味方してくれた」と感慨にふけった。

 1差で迎えた豪栄道との直接対決。立ち合いは受け止められ押し込まれたが、頭を体につけて前みつを取りにいき、体勢を入れ替えて寄り切った。賜杯の行方は優勝決定戦へ。支度部屋では弟弟子の十両照強を立たせて、立ち合いを確認。花道に向かう途中も繰り返し、イメージは仕上がった。頭からぶつかって右を差すと、一気に寄り切った。「命を懸けて全身全霊で相撲を取りました」。7場所ぶりの賜杯を手にした。

 この日朝、数種類の生野菜などを絞って作るコールドプレスジュースの大阪の専門店「B.up」(ビー・アップ)から直接、ジュースが届けられた。春場所前から愛飲し「体調が全く違う。傷口の治りが早い」という。時間の経過とともに栄養素が失われることから、目の前で絞る必要がある。そのため、今場所は大阪から材料を持参した担当者から、作りたてを数回、提供してもらった。「土俵の上では1人に見えても、支えてくれる人がいるから土俵に上がれる」と感謝した。

 10日目終了時点では、豪栄道と3差あった。そこからの逆転は1場所15日制が定着した49年夏場所以降では初。満足に伸ばせない左肘をはじめ、多くのケガに悩まされてきたが、土俵に上がり続けた。優勝ラインは21年ぶりの11勝に下がり、金星を4個配給しての優勝は初めて。それでも喜びは変わらない。「ホッとしている」。全ての重圧から解放されたかのように、低い声で絞り出した。満身創痍(そうい)の体で“1人横綱”を全うした。【佐々木隆史】

 ◆日馬富士のけがとの闘い 今年の初場所5日目の隠岐の海戦で右太ももを肉離れして途中休場。迎えた春場所は左目付近を負傷するなどケガが絶えず、春巡業では「全身が痛い」と漏らすほど。特に古傷の左肘の炎症は重症で夏巡業も前半は休場していた。手術の選択もあったが長期離脱を避けるために回避。整体、電気治療器具、栄養ジュースなどさまざまな治療法を試みている。

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)のコメント 日馬富士は本割でいい相撲を取っただけに決定戦も「真っすぐ行っても勝てる」と迷いがなかった。あの3連敗から気持ちを折らず、よくやってくれた。情けない気持ちからグッとこらえて取り続けた。そこは偉い。豪栄道は立ち合いで負け引かざるをえなかった。

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炎鵬3場所連続V 初土俵から史上5位の21連勝

三段目優勝を果たし笑顔を見せる炎鵬(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館


 西三段目18枚目炎鵬(22=宮城野)が、東三段目82枚目満津多(まつだ、23=峰崎)を優勝決定戦で下して優勝した。

 序の口だった春場所、序二段だった夏場所に続き、3場所連続で優勝した。

 立ち合いから低い姿勢で、何度も懐に潜り込んだ。それを嫌った相手に後ろに引かれたが、足を運んで懸命についていき押し出した。名古屋場所でも優勝決定戦を経験していて「両国ですので雰囲気は違いましたね。緊張はしたけど先場所よりは落ち着けました」と気持ちに余裕があった。

 今場所は、初土俵からの連勝を史上5位の21連勝にまで伸ばした。「伸ばせるものなら伸ばしたい」と、九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)でさらに星を積み重ねる。

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安美錦、優勝決定戦も戦後最年長十両優勝逃す

十両の優勝決定戦に進出し笑顔を見せる安美錦(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館


 東十両2枚目の安美錦(38=伊勢ケ浜)が、惜しくも戦後最年長十両優勝を逃した。

 本割で天風を上手出し投げで下して10勝目を挙げて、同部屋の誉富士や阿炎ら4人によるトーナメント形式の優勝決定戦に持ち込んだ。だが、1回戦で琴勇輝と対戦すると、立ち合いの不成立が2度。その中で左頬を張られる場面もあった。3度目の立ち合いでは左に変わったが、あえなく突き出された。

 支度部屋に戻った関取最年長力士は、珍しく怒り心頭だった。「あんなんじゃ、やる気がなくなるよ。手をつけってんだよ。こっちが気を使って手を合わせないといけない。(直前に決定戦があった)三段目の相撲を見習ってほしいよね。何十年ぶりに決定戦に来て、優勝どうのこうのより楽しんでいたのに、味わう前に台なしだよ。あんな立ち合い、するつもりじゃなかったのに」と腹の虫が治まらない様子だった。

 本割に全てを懸け、決定戦では「体がもう、言うことを聞かない。足は動かないし、気持ちで取るしかなかった」という。それだけに、決定戦1回戦の相手を決めるくじ引きでは「誉富士と当たれ!と思っていた。どうせなら誉富士とやってみたい。燃え尽きるつもりでやろうと『当たれ、当たれ』と思ってやっていた」と、願いながらくじを開いたが、祈りは届かなかった。

 初めて番付にしこ名が載った97年春場所の序ノ口以来、20年半ぶり2度目の決定戦も、当時と同じく優勝はできず。「相変わらず、負けた。優勝できないんだね」と苦笑いだったが、11月の九州場所では昭和以降最高齢の再入幕が確実。10勝に上積みできたことで番付も上がる。「まぁ、本割に集中できたから」と最後はなんとか留飲を下げていた。

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横綱、大関が休場した場所は大関以上が優勝/データ

豪栄道(左)は1敗差で追う日馬富士の勝利を土俵下で見届け支度部屋へ引き揚げる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇23日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、逆転優勝へ望みをつないだ。1差で追いかける大関豪栄道が勝ったため、負ければ優勝を譲ってしまう結びの一番で関脇御嶽海を下した。並走していた平幕の朝乃山が黒星を喫し、優勝は日馬富士と豪栄道に絞られた。春場所の稀勢の里以来11例目となる、千秋楽直接対決から1差逆転優勝へ向けて全身全霊で戦う。

 ◆横綱、大関が4人以上休場した場所の優勝力士 3横綱2大関の5人が休場したのは1918年(大7)夏場所以来99年ぶりだったが、当時は大錦、西ノ海、鳳の3横綱と九州山と伊勢ノ浜の2大関が休場したものの結局、1人横綱の栃木山が優勝を飾った。4人の休場も昭和以降7例あるが、44年秋は大関前田山、53年初は大関鏡里、99年春は大関武蔵丸、02年名古屋は大関千代大海、同年九州と03年初は大関朝青龍が優勝。関脇以下が優勝をもぎ取ったのは01年秋の平幕琴光喜だけで、今回もまた、大関以上の優勝になった。

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1場所15日制の11勝4敗優勝は過去2例/データ

96年11月、九州場所千秋楽で史上初の5人による優勝決定戦となり、くじを引く曙と、順番を待つ左から魁皇、貴ノ浪、武蔵丸、若乃花

<大相撲秋場所>◇14日目◇23日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、逆転優勝へ望みをつないだ。1差で追いかける大関豪栄道が勝ったため、負ければ優勝を譲ってしまう結びの一番で関脇御嶽海を下した。並走していた平幕の朝乃山が黒星を喫し、優勝は日馬富士と豪栄道に絞られた。春場所の稀勢の里以来11例目となる、千秋楽直接対決から1差逆転優勝へ向けて全身全霊で戦う。

<11勝4敗の優勝>

 1場所15日制が定着した49年(昭24)夏場所以降、最少勝利数での優勝は11勝4敗で2回しかない。

 ◆72年初場所 4敗で3人が並んで千秋楽へ。琴桜と福の花が敗れ、勝った平幕の栃東が初優勝。栃東も敗れていれば8人による優勝決定戦に持ち込まれるところだった。

 ◆96年九州場所 3敗の若乃花と武蔵丸が敗れ4敗の曙、貴ノ浪、魁皇が勝ったため史上初の5人による優勝決定戦に。大関武蔵丸が2度目の優勝を決めた。

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日馬富士「4個金星配給」での優勝なら史上初の珍事

<大相撲秋場所>◇14日目◇23日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が、逆転優勝へ望みをつないだ。1差で追いかける大関豪栄道が勝ったため、負ければ優勝を譲ってしまう結びの一番で関脇御嶽海を下した。並走していた平幕の朝乃山が黒星を喫し、優勝は日馬富士と豪栄道に絞られた。春場所の稀勢の里以来11例目となる、千秋楽直接対決から1差逆転優勝へ向けて全身全霊で戦う。

 日馬富士は、落ち着いていた。負ければ豪栄道の優勝が決まる結びの一番。御嶽海にもろ差しを許したが「落ち着いてさばけた」と外四つに組み、まわしを引きつけて寄り切った。千秋楽までもつれ込ませた優勝争い。「自分の相撲に集中して」と、自らに言い聞かせるように同じ言葉を繰り返した。

 誰がこの展開を予想しただろうか。今場所の4敗は全て金星配給。1場所で4個金星配給して、優勝した横綱は過去に1人もいない。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も3個目の金星を配給した翌6日目の朝、優勝争いについて「そこらへんは考えていない。どうしても左腕が使えないから。やれることをやるだけ」と、千秋楽まで土俵に上がり続けることだけを願った。しかし、気が付けば優勝争いをしている。「勝負事は予想できない」と日馬富士だけは、最後の最後まで諦めていなかった。

 千秋楽直接対決から1差逆転優勝は、過去に10度ある。日に日に高まる1人横綱への期待にも気負わない。「明日も一番残っているので、しっかりと務める。務めるというのは土俵に上がり続けることですよ」。今場所は何度も、土俵に上がり続ける大切さを口にしてきた。そして上がり続けた結果、最高の舞台が整った。16年名古屋場所以来9度目の賜杯は、手が届くところにある。【佐々木隆史】

千秋楽直接対決の1差逆転優勝

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豪栄道-日馬富士、千秋楽の1差直接対決は72例目

豪栄道(右)は日馬富士から水付けを受ける(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇23日◇東京・両国国技館


 大関豪栄道(31=境川)が、優勝に王手をかけた。東前頭9枚目貴ノ岩に執念の渡し込みを決め、11勝3敗とした。千秋楽は1差で追う横綱日馬富士との大一番。勝てば、昨年秋場所以来2度目の優勝だ。前日までの2連敗で、残り2日で16力士に優勝の可能性が残る混戦を招いたが、3横綱2大関休場の場所は大関-横綱決戦で締めくくられる。

 ◆千秋楽の1差直接対決 「一方が勝てば優勝、他方が勝てば優勝決定戦」のケースは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降、72例目。過去71例のうち本割の勝敗は、豪栄道のような「勝てば優勝」が40勝31敗と分が良い。決定戦に持ち込まれた31度でも、逆転優勝できたのは17年春場所の稀勢の里ら10度だけ。圧倒的に優位に立つ。ただ、今回のように大関が逃げて横綱が追う展開は13度で、大関の本割は8勝5敗だが、決定戦になった5度は、4度も優勝を逃している。

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朝乃山103年ぶり新入幕Vへ2差「恩師と戦う」

<大相撲秋場所>◇11日目◇20日◇東京・両国国技館


 新入幕の東前頭16枚目朝乃山(23=高砂)が平幕の魁聖を寄り切り、デビューから10場所連続の勝ち越しを決めた。富山県出身力士の幕内勝ち越しは、94年夏場所の琴ケ梅以来。00年春場所の貴闘力以来となる幕尻優勝の可能性をわずかに残した。

 会心の相撲だった。朝乃山は魁聖と右の相四つでがっぷり胸を合わせた。「自分は下手だから」と小細工はせず、正面から頭でぶつかって、右を差して寄り切った。勝ち越しを報告したい人がいるかと問われ「やっぱり先生です。ずっと土俵の上で見守ってくれたと思う」としみじみ言った。

 頭に浮かんだのは、富山商高相撲部監督の浦山英樹さん。朝乃山が幕下優勝と関取の座を確定させた初場所13日目、恩師は40歳の若さで、がんのために死去した。その2日後の葬儀で遺族から「横綱になるのは大変だけど頑張れ」と書かれた遺言を渡されて涙を流した。あれから8カ月。この日は25人の報道陣に囲まれた。デビューから10場所連続で勝ち越して、注目度は横綱級だ。

 しこ名には、今の相撲の型を教えてくれた恩師に思いをはせて「英樹」をつけている。化粧まわしは、浦山さんの知人から贈られたものを着用。「闘虎」と書かれていて「先生と一緒に戦います。千秋楽まで着けます」と誓った。

 初日は両親が富山から応援に駆けつけ、千秋楽には地元からの応援ツアーが組まれているという。千秋楽パーティーにも参加予定で三賞や優勝の報告ができれば最高だが「(意識は)ないです」と冷静に言った。先を見ることなく「次は9番勝つこと。9、10ですね」と引き締めた。

 上位に休場者が相次いだ今場所。豪栄道との2差を残り4日間で詰めるのは容易ではないが、幕内で最も番付が低い幕尻の男が優勝争いに食らいついている。【佐々木隆史】

 ◆朝乃山優勝なら 平幕では12年夏場所の旭天鵬以来で、幕尻なら00年春場所の貴闘力以来2人目。新入幕なら1914年(大3)夏場所の両国以来103年ぶり。富山県出身では1916年(大5)夏場所の横綱太刀山以来101年ぶり。

上位4人の残り対戦予想

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今場所まで10場所連続勝ち越し中/朝乃山アラカルト

朝乃山アラカルト

<大相撲秋場所>◇11日目◇20日◇東京・両国国技館


 新入幕の東前頭16枚目朝乃山(23=高砂)が平幕の魁聖を寄り切り、デビューから10場所連続の勝ち越しを決めた。富山県出身力士の幕内勝ち越しは、94年夏場所の琴ケ梅以来。00年春場所の貴闘力以来となる幕尻優勝の可能性をわずかに残した。

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千代大龍、平幕の勝ち越し1号に「あとはノビノビ」

栃ノ心(手前)を押し出しで破る千代大龍(撮影・江口和貴)

<大相撲秋場所>◇10日目◇19日◇東京・両国国技館


 西前頭3枚目の千代大龍(28=九重)が、平幕の勝ち越し1号となった。「素直にうれしいです。番付は下がることはないので、あとは自分らしい相撲をノビノビ取れれば満足です」と気分よく話した。

 奇襲だった。かち上げやもろ手が多かった立ち合いで、まさかの左上手狙い。「取った瞬間に、横から崩したかった」。だが、すぐにがっぷり四つに組まれてしまった。しかも、形は栃ノ心の得意とする右四つ。誰もが万事休すと思った。しかし、ノッている男は何かが違う。怪力栃ノ心の引きつけをものともせず、反対に自らの腹に乗せてつり上げた。どよめく館内。「そんなに足は上がってないと思いますよ」と涼しい顔で振り返ったが、一気に前に出た。最後は俵で粘る相手の胸を突いて押し出し。「内容は良くないけど、勝ち越したんで、結果オーライでしょう」と喜んだ。

 取組後は、念願だったNHKのインタビュー室に久しぶりに呼ばれた。日体大時代に学生横綱に輝いたときも、横綱と初めて対戦したときも「全く緊張しなかった。相撲で緊張したことはない。人生で1番緊張したのは、マージャンで大四喜(ダイスーシー)をテンパったとき」という強心臓の持ち主が「久しぶりで緊張しました」とうそぶいた。それだけうれしい勝ち越しでもあった。

 10日目での勝ち越しは、前頭6枚目だった13年九州場所以来4年ぶりの早さ。ただ、前頭3枚目以内での勝ち越しは自身初めてだった。しかも、3月の春場所から4場所連続の勝ち越しで、トップを走る大関豪栄道をただ1人、1差で追走する。だが「顔じゃない(分不相応)」といつもの言葉を並べて「優勝なんて夢のまた夢」と意に介さない。その強調される無欲さが、怖い。

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豪栄道1敗守り中日首位「15日トータルですから」

1敗を守った豪栄道は引き締まった表情で引き揚げる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇8日目◇17日◇東京・両国国技館


 大関豪栄道(31=境川)が小結玉鷲を寄り切り、7勝1敗。トップタイで中日を折り返した。昨年11月の九州場所から3月春場所の不戦敗を含めて4連敗中の相手を力強い立ち合いからもろ差しにし、一連の流れで土俵外へ運んだ。

 今場所最速とも言える取り口を「あまり無理に一気にならないよう気をつけた」と振り返る。イメージ通りの内容に満足そうだ。7連勝は全勝で初の賜杯を手にした昨年9月秋場所以来だが、気の緩みは一切ない。「まだ7日ある。場所は15日トータルですから。また明日から一番一番を大事にとっていきたい」と表情を引き締めた。

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幕下豊ノ島、勝ち越しに王手「会心の相撲すぎた」

<大相撲秋場所>◇8日目◇17日◇東京・両国国技館


 ベテランならではの読みが的中した。元関脇で西幕下17枚目の豊ノ島(34=時津風)が、今場所の4番相撲に勝ち、3勝1敗と勝ち越しに王手をかけた。

 東洋大卒で3月の春場所で、三段目最下位格(100枚目)付け出しデビューした若隆景(22=荒汐)と対戦。115キロの細身の体ながら、けれん味のない動きで所要3場所(18勝3敗)で幕下上位まで進んできた相手を圧倒した。

 仕切り中に相手の「(自分とは)初めて対戦する感覚なんだろうけど、動揺が見えた」と心の揺れを見逃さなかった。ならば勝負は一気に…とばかりに、右で張って相手の気勢をそぐと、左をスパッと差し、上体の浮いた相手を右からはハズ押しで攻める速攻相撲で押し出した。

 相手はまだ、まげを結えない、いわゆるザンバラ髪。初土俵から15年半、この日の若隆景が通算223人目の相手だった豊ノ島の口から「勝ってしまえば言えることだけど、ザンバラに負けるわけにはいかない」の言葉が出るのも当然だろう。勝った余裕からか「気迫を全面に出してね。体も小さいんだから」と敗者を叱咤(しった)激励することも忘れなかった。

 もちろん自分も大事な相撲が続く。「人の心配をしてる場合じゃないな」と残り3番に気を引き締めた。「会心の相撲すぎた。言うことがない」の言葉で始まった取材対応。再び「会心の相撲」の言葉で締めくくった。

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大翔丸、新入幕昇進後初5連勝も「内容は良くない」

徳勝龍を突き落としで破った大翔丸(撮影・丹羽敏通)

<大相撲秋場所>◇7日目◇16日◇両国国技館


 大翔丸は徳勝龍を下して、トップタイを守った。

 立ち合いこそ当たり負けしたが、土俵際を回りながらかわして突き落とした。「相撲の内容は良くないです。危ないと思った」と謙遜するも、16年春場所に新入幕昇進してから初の5連勝と勢いに乗っている。兄弟子の大栄翔も1敗を守っているが「意識はないですよ。自分の相撲をとれるようにしたい」と浮足立つことはなかった。

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舛の勝、無傷勝ち越しで新十両昇進の“権利”獲得

<大相撲秋場所>◇7日目◇16日◇両国国技館


 東幕下3枚目の舛の勝(22=千賀ノ浦)が、無傷で勝ち越しを決め新十両昇進の“権利”を得た。

 同5枚目で1年ぶりの再十両を目指す大翔鵬(23=追手風)と対戦。突き落としで勝ち4戦全勝とした。

 立ち合いから突き、右からのおっつけで攻めた。たまらず相手が引き、前のめりになる場面もあったが、体勢を立て直し再び前進。相手が上体だけで出るところを見逃さず、右から突き落として勝負を決めた。

 ストレート勝ち越しに「今まで(1番相撲から)3連勝はあったんですが、そこから先はないんで、4連勝は初めて。うれしいですね」と笑みをこぼした。実は2年前の初場所で1度だけ、1番相撲から4連勝したことがある。ただ、その時の番付は東幕下48枚目。関取の座を目前にした今場所とは重みが違う。本人とすれば「今場所こそ本当のストレート勝ち越し」の思いがあっての“失念”だったのかもしれない。

 10年春場所の初土俵から7年半がたつ。この間に、同じ貴乃花一門の同期や後輩たちが関取に上がっている。「自分も負けたくない」と舛の勝。新十両昇進には、他の幕下力士や十両力士の成績いかんによる。自分に出来ることは、まず残り3番で白星を上積みすること。その先に、部屋として約2年半ぶりとなる関取の座が待っている。

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日馬富士、負けたら86年半ぶりという不名誉だった

日馬富士(右)は寄り切りで千代大龍を下す(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇6日目◇15日◇両国国技館


 横綱日馬富士は千代大龍を下し、連敗を3で止めた。

 86年半ぶりの不名誉は避けられた。日馬富士は負ければ31年春場所の宮城山以来の4日連続で金星配給となる中、千代大龍を寄り切って連敗を3で止めた。「自分の相撲に集中して、落ち着いて取りました」と言い、この3日間の苦しさを聞かれると「忍ぶってことです」。弟弟子の照ノ富士も休場する中、1人横綱として懸命の土俵が続く。

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日馬富士「忍ぶってことだね」連敗3で止め安堵

連敗を3で止めた日馬富士は笑顔で帰りの車に乗り込む(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇6日目◇15日◇東京・両国国技館


 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)が大きく胸をなで下ろした。3連敗で迎えた結びの一番。負ければ、31年春場所の横綱宮城山以来86年半ぶりの「4日連続の金星配給」となる中で、西前頭3枚目の千代大龍(28=九重)に左張り手からもろ差しになる。この3日間で見せていた雑な攻めでなく、慎重な取り口。最後は相手の小手投げもこらえて、寄り切った。「自分の相撲に集中して落ち着いて取れました」と言い、ホッとしたかと聞かれると「そうですね」と大きく息をついた。

 立ち合いでミスを犯した3日目の琴奨菊戦から、泥沼の3連敗。14年ぶりに3日連続の金星配給を記録してしまった。

 ただ、前日の5日目は打ち出し後に戻った部屋から出てくる際、集まった報道陣への第一声で「休場します」と真顔で何度も言い、そして「冗談ですよ。しぶとく取ります。皆さん、休場を期待していたでしょうけど、ご期待に応えられずに、すみません」と笑わせる余裕を見せた。どこか吹っ切れた様子。それが、この日の相撲にも表れた。

 3日間の心境を「忍ぶってことだね」と表した横綱。この日から弟弟子の大関照ノ富士も休場し、今場所は1918年(大7)夏場所以来、99年ぶりに3横綱2大関が休場する異常事態に陥った。「今まで初めてだね、こんなに休むなんて」と驚いた日馬富士だが「一番に対する気持ちは変わらないので、しっかり集中して頑張っていきたい」。残された1人横綱の、懸命の土俵が続く。

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元大関の琴奨菊、意外や初金星「輝ける場所はある」

<大相撲秋場所>◇3日日◇12日◇東京・両国国技館


 7年ぶりに平幕に落ちた元大関の琴奨菊は新入幕から76場所目で昭和以降最も遅い初金星を獲得した。

 初金星は、図らずもあっけなく訪れた。「待った」をアピールして力を抜いた日馬富士に対して、琴奨菊は最後まで力を抜かなかった。「自分が決めることじゃない。ああいう相撲になったけど、しっかり上手を取る準備をしていた」。それは集中力の表れだった。元大関としては昭和以降10人目となる金星を「素直にうれしい」と受け止めた。

 大関昇進前に金星はなく、33歳7カ月の初金星は58年以降2番目の年長記録。新入幕から76場所目の初金星は昭和以降最長だ。それらは現役を続ける決断をしたからこそ生まれた。

 10勝すれば大関に戻れた春場所は、1勝足りなかった。それでも「優勝を目指せなくなったら辞める」。だから現役を続けると決めた。元大関の誇りを周囲は気にするが「そこを言い出したらきりがない。チャンスは全然ある。輝ける場所はある。違った輝きもある。応援してくれる人にしか分からないものもある。そこを伝えられたらいい」。

 陥落後に関脇以下で優勝した力士は平幕優勝の魁傑1人。そこに挑む。3横綱1大関が不在となって荒れる中、1横綱2大関を倒しての3連勝。33歳の元大関が鈍い輝きを放っている。

<琴奨菊の初金星の記録>

 ◆年長初金星 33歳7カ月は、年6場所制となった58年以降の初土俵で2位。1位は豪風の35歳1カ月。

 ◆初土俵からの最長初金星 94場所目は昭和以降の新入幕で4位。1位は玉龍の102場所で、2位は大潮、3位は貴ノ浪。

 ◆新入幕からの最長初金星 76場所目は昭和以降の新入幕で1位。2位は豪風の68場所目。

元大関の金星(昭和以降)

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琴奨菊が日馬富士寄り切り初金星「素直にうれしい」

<大相撲秋場所>◇3日目◇12日◇東京・両国国技館


 元大関で西前頭筆頭の琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)が初金星を獲得した。

 横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)を寄り切り。08年秋場所の雅山以来、昭和以降10人目の元大関の金星で、新入幕から76場所目の初金星は、昭和以降の新入幕で最も遅い。そんな記録に「素直にうれしい」と話した。

 決して、完全燃焼の一番ではなかった。先に立った日馬富士に、遅れて立ち合った。すると、横綱が待ったを求めて背中をたたいてきた。だが「自分が決めることじゃない。しっかり、こっちも準備していたから」。集中を切らさず、寄り切った。結果、相撲は成立。座布団も舞った。「ああいう相撲になったけど、しっかり上手を取る準備はしていた。まあ良かったです」。

 初場所で大関から陥落し、即復帰もできなかった春場所。それでも現役続行を選んだ。7年ぶりに落ちた平幕で、1横綱2大関を撃破。「勝負は何があるか分からないけど、勝ったことが素直にうれしい」。休場者が続出する秋場所で、ベテランが奮闘している。

国技館を笑顔で引き揚げる琴奨菊(撮影・鈴木正人)

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朝乃山「気持ち良かった」豊山とのライバル対決制す

豊山(左)を押し倒しで破った朝乃山(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇3日目◇12日◇東京・両国国技館


 新入幕で東前頭16枚目の朝乃山(23=高砂)が、ライバル対決に快勝し2勝1敗と再び白星を先行させた。

 昨年春場所、同じ三段目最下位格(100枚目)付け出しでデビューし、学生時代も近大と東農大でしのぎを削った、西前頭15枚目の豊山(23=時津風)との対戦。「朝からずっと、負けたくない気持ちが強かった」と気合は十分だったが、取り口は冷静そのものだった。差されると分が悪いとみた豊山が突き放しにくると、朝乃山もそれに対応。1度は左を差して寄り立てたが、左からの強烈なおっつけ、はず押しで攻め立て「いなして崩したら(相手が)落ちてくれた」という押し倒しで、記念すべき幕内初対戦で白星をもぎ取った。

 開口一番「気持ち良かった」と朝乃山。「前に出てるから、あの相撲を取れた。ライバルに勝つ白星は(喜びが)違います。(仕切り中に)豊山の声援がすごかったから“なにくそ”と思ってました」と喜色満面に浮かべながら、喜びをかみしめた。

 初土俵は同じだが、2場所連続全勝優勝(三段目と幕下)した豊山には、幕下、十両、幕内と、各昇進はいずれも2場所遅れ。今場所、ともにそろっての幕内だが、豊山は再入幕、朝乃山は新入幕。ライバルの後塵(こうじん)を拝しているだけに「今場所(後)か来場所、1枚でもいいから(豊山より)番付上になりたいです」と場所前の誓いを繰り返した。初土俵の昨年春場所は寄り切りで敗れたが、2度目の対戦となった十両時代の先場所は初日に寄り倒した勢いで、8日目まで白星を並べた。そしてこの日の勝利で、ライバル対決は2勝1敗で勝ち越し。勢いに乗り、まずは勝ち越しを目指す。

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高安までも…右太もも肉離れ休場「プチッといった」

車いすに乗せられた高安は痛めた右足を押さえて苦悶(くもん)の表情を見せる(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇2日日◇11日◇東京・両国国技館


 荒れる秋が大荒れになった。大関高安(27=田子ノ浦)が小結玉鷲に初黒星を喫した際、右太ももを負傷した。肉離れで、関係者によると休場を決断。高安の休場は15年秋場所以来2度目になる。西前頭4枚目の宇良も平幕貴景勝に突き倒された際に右膝を痛めた。3横綱不在の中、実力と人気の屋台骨を支える2人が負傷し、相撲協会にとって弱り目にたたり目となった。三役以上の全勝は横綱日馬富士1人となった。

 まさか、高安までも-。昭和以降、初めて3横綱が初日から休場した今場所。優勝争いの期待が懸かった大関も、負の連鎖にのみ込まれた。都内の病院で右太ももの肉離れと診断された。関係者によると、やむなく休場を決断したという。

 防戦一方の相撲だった。2連敗中の玉鷲に押し出されて、左半身となって右足を俵にかけた。その粘りが負担を掛けた。土俵を割ると、初黒星に館内からはため息が上がった。だが、なかなか中に戻れず、戻っても足を引きずる姿によってすぐに、どよめきへと変わった。歩けずに付け人を呼び、車いすも求めた。「ブチッといった」「パーンと音がした」。そう漏らして右太もも内側をさすった。

 直行した診療所の帰りは、歩いて車に乗り込んだ。「そんなに悪くない。大丈夫」と弱音は吐かず、打ち出し後は8日に急逝した世話人の友鵬さんの通夜のため、東京・江東区の大嶽部屋へと向かっていた。だが、その後に向かった病院で、重傷であると診断された。電話で話した師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「やったばかりなので、明日の朝の様子を見て決めたい」と言葉を濁したが、半身で残す姿に「一番悪いくせが出た」と指摘した。

 3横綱と1大関の休場は99年春場所の若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海以来18年半ぶりとなる。公傷制度が廃止された04年初場所以降、最多の幕内5力士が不在で始まった今場所。そこに期待の大関までも…。荒れる秋場所は、一向に晴れる気配がない。【今村健人】

 ◆八角理事長(元横綱北勝海)の話 高安はどこを痛めたか(が問題)だ。玉鷲を、うまくつかまえようとしたが押し勝つぐらいの気持ちが欲しかった。ケガばかりは仕方がない。ケガをしない体作りは本人しかできない。日々の鍛錬が必要。荒れている(場所だ)が日馬富士はいい緊張感を崩さずにやってほしい。

 ◆幕内後半戦の二所ノ関審判長(元大関若嶋津)の話 自分もやったことがあるが、大きいの(筋肉)を切っていたら時間がかかる。優勝候補として一番、期待していただけに心配だ。

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高安と宇良が休場 3横綱1大関休場は18年ぶり


 大相撲秋場所3日目の12日、大関高安(27=田子ノ浦)と、西前頭4枚目宇良(25=木瀬)が休場した。2日目の玉鷲戦で右太ももを負傷した高安は「右大腿(だいたい)筋群損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を日本相撲協会に提出。同じく2日目の貴景勝戦で右膝を負傷した宇良は「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷のため9月場所の休場を要する」との診断書を日本相撲協会に提出した。

 高安の休場は15年秋場所以来2度目で、宇良の休場は15年春場所で初土俵を踏んでから初。3横綱と1大関の休場は99年春場所の若乃花、貴乃花、曙の3横綱と大関千代大海以来18年ぶりとなった。

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幕下翔天狼が日本国籍取得、新しい本名は「松平翔」

翔天狼(2015年8月3日撮影)

 日本相撲協会は9日、元幕内で西幕下41枚目の翔天狼(35=本名ダグダンドルジ・ニャマスレン、モンゴル出身、藤島部屋)が8月18日に日本国籍を取得したと発表した。新たな本名は「松平翔」となった。

 翔天狼は2001年春場所初土俵。幕内には通算25場所在位し、敢闘賞を1度受賞している。年寄名跡襲名の資格を満たしており、現役引退後は親方になる権利を持つ。

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稀勢の里、鶴竜が秋場所休場 2横綱は18年ぶり

 大相撲で東横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)と西横綱鶴竜(32=井筒)が秋場所(10日初日・両国国技館)を休場することが7日、決まった。2横綱が初日から休場するのは1999年九州場所の3代目若乃花、曙以来18年ぶり。

 左足首などを負傷している稀勢の里の休場は3場所連続4度目で、2002年春場所の初土俵以来初の全休も確実。田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)によると、稀勢の里から休場の申し出があったという。親方は「今まで以上にもっと鍛え直していくしかない」と述べた。新横綱優勝を遂げた3月の春場所で左上腕などを痛め、5月の夏場所を途中休場。7月の名古屋場所では左足首を負傷して途中から休んだ。

 右足を痛めている鶴竜の休場は3場所連続8度目で、今年4度目。名古屋場所で右足首を負傷して途中休場し、その後、右足甲の剥離骨折も明かした。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)は次に出場する場所に進退を懸けることを明言している。

 左膝痛を抱える東横綱白鵬(32)=本名ムンフバト・ダバジャルガル、モンゴル出身、宮城野部屋=の秋場所出場も不安視されている。春場所から17年ぶりの4横綱となったが、全員の皆勤は4場所続けて実現しなかった。

鶴竜

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稀勢の里、秋場所出場可否は明言せず「また明日」

土の感触を確かめるように歩行運動する稀勢の里

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が6日、東京・江戸川区内にある部屋で朝稽古した。

 前日までの2日間は、二所ノ関一門の連合稽古に参加。十両の矢後(尾車)妙義龍(境川)と合計26番取った(23勝3敗)。この日は土俵に入らず、土俵回りで四股やダンベルを使って、3月の春場所で痛めた左上腕付近の動きを確かめた。状態については「(疲れは)ほとんどない。(体の張りは)まあまあ」と言葉少なに話した。

 午後からは東京場所前恒例の綱打ちを行った。ただ4日後の10日に初日を迎える、大相撲秋場所(両国国技館)の出場については「また明日、様子を見て」と態度を保留した。

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