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白鵬と鶴竜に「大変厳しい意見」横審で処分の声も

横綱白鵬(左)と鶴竜

日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審=矢野弘典委員長)が、大相撲秋場所千秋楽から一夜明けた28日、東京・両国国技館で定例会合を開いた(出席7委員)。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2場所連続で中止されていたが、1月の初場所後以来、8カ月ぶりの開催となった。

関脇正代の初優勝で幕を閉じた秋場所だが、横綱は白鵬(35=宮城野)、鶴竜(35=陸奥)ともに初日から休場。83年夏場所以来、複数横綱全員が37年ぶりに初日から不在という事態に陥った。白鵬の2場所連続皆勤は3年前にさかのぼり、以降の18場所で全休5場所を含め休場は11場所。ただ、皆勤した7場所で5回優勝と万全を期して出場すれば強さを発揮している。一方の鶴竜は、3場所連続休場明けで出場した今年3月の春場所は、12勝3敗の優勝次点で復活のきざしを見せたかと思われたが、故障になき2場所連続休場。鶴竜の師匠である陸奥親方(元大関霧島)が、次に出場する時は進退をかける場所になると示唆するなど、両横綱に対する横審の反応が注目されていた。

会合後に代表取材に応じた矢野委員長は、会合で両横綱に対し「横審の内規に基づいた処分をするかどうかまでの踏み込んだ、たいへん厳しい意見が出た」とした上で「今場所は、そこまで踏み込まないことにした」と「激励」などの決議は行わないことにした。その上で「横綱の自覚を待つことに注視していこうと。第一人者としての自覚をもっと徹底してもってほしい」と奮起を促した。「過去1、2年を振り返っても断続的に休場が続いている。たいへん厳しい意見が出ました」と語った。

横審の内規では、不本意な成績や休場が続く横綱に対し、委員の3分の2以上の決議があれば「激励」「注意」「引退勧告」ができると定められている。最近では稀勢の里に「激励」が言い渡されたことがある。今回は両横綱に対し「1、2人」(同委員長)の委員から何らかの決議を出すことを検討してもいいのでは、という意見があったという。「問題意識は(委員の)共通したもので横綱は立派であってほしい。休場しても地位が守られているのは国技の象徴であるから。横綱は特別な地位であり、権利だけでなく義務も伴う。他の力士より一段と高い自己規制の基準を持つべき」と同委員長。次に出場する場所後に、その成績次第で白鵬だけ、鶴竜だけ、あるいは2人に対し、何らかの決議を下す考えを示した。それが次の11月場所なのか、その場所も休場し次に出る場所なのかについては明言を避けた。

秋場所で初優勝して大関昇進を確実にした関脇正代については「大器がようやく花を咲かせた。次の場所は3大関になる。上を目指して競って励んでほしい。以前から話しているように世代交代の時期に来ていることを強く感じている」と3大関からの横綱待望論を説いていた。さらに3人には「上(横綱)に上がる候補のには、われわれの期待を受け止めて『自分が横綱になったら』という心構えを持ってほしい。次に横綱を目指せる人は、そうたくさんはいない。強くなるだけでなく、心の準備もしておいてほしい」と期待を寄せた。

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正代しこ名「変えるつもりない」大関昇進へ本名貫く

オンラインによる一夜明け会見に参加する秋場所で初優勝した正代

正代は「正代」を貫く。大相撲秋場所で13勝2敗で初優勝し、大関昇進を確実にした関脇正代(28=時津風)が28日、東京都内の部屋からリモートで一夜明け会見に臨んだ。本名のしこ名は大関昇進後も「変えるつもりはない」と明言。5人目の「本名大関」となる。口上は稀勢の里(現・荒磯親方)にならい、シンプルな言葉で決意を伝える考えを示した。

   ◇   ◇   ◇   ◇

重圧から解き放たれた正代は熟睡した。千秋楽前夜は明け方5時すぎまで眠れず、睡眠時間は2時間程度だった。「緊張感から解放された感じですね。だいぶグッスリ眠れたと思う」。心地よい眠りに落ちた。

しかし、新たな緊張が押し寄せる。30日に大関昇進を諮る臨時理事会が開催され、伝達式が行われる運び。注目の口上について「いろいろ考えてますけど、まだ決めかねてます。いくつかの候補の中から、どれが自分に当てはまるか」。その上で、心に残る口上に元横綱稀勢の里を挙げた。

稀勢の里は大関、横綱昇進時ともに「精進します」の簡潔な言葉で決意を伝えた。その印象が強いという。「稀勢の里関の『精進』はすごくシンプルで大事な言葉だなと自分の中で感じました」。場所前はなかった昇進の機運。初優勝で一気に高まり、現実となる。正代は「今まで以上に負けられない地位。責任が伴う。今まで以上に“精進”しないといけない」と言った。現状に甘んじることなく、さらに進む。その思いはピタリ合致する。

双葉山が創設した時津風部屋からの新大関は、63年春場所の豊山以来57年ぶりとなる。名門部屋ならではのしこ名もあるが、正代は「変えるつもりはないです」と本名を貫く。ある統計サイトによると、全国で約380人しかいない珍しい名字。その由来は「海賊」という説もある。父の巌さん(60)は「確かにそういう説はありますが、何とも分からない」と話し、真相は分からない。

正代も「珍しい名字。このしこ名で定着しているし、頑張っていけたら」と誇りを持つ。「本名大関」は5人目となるが、「本名横綱」は輪島だけ。さらに上について正代は「大関に上がって実績を積んでから。活躍するのが先」。ただ、大関に上がった瞬間から「横綱正代」への戦いは自然に始まる。【実藤健一】

○…正代の「初優勝&大関昇進」を祝す垂れ幕は、10月1日に故郷の熊本・宇土市役所に掲げられる予定だ。30日の昇進伝達式を受けて行う計画で、同市スポーツ振興係の担当者は「祝う形の文言を入れた垂れ幕の準備を進めています」。祝賀パレードも実施へ向けて動いているが、実現するかは微妙。「計画しようとしていますが、まだ出来るか分からない」と語った。

◆正代姓 名前や名字に特化したアプリなどを開発、運用するリクルーティングスタジオ(本社・千葉県市川市)のアプリ「名字由来net」によると、名字の全国ランキングで1万5001位で全国に約380人いる。正代の地元・熊本や隣県の福岡に多数みられるとしている。1位の「鈴木」は約187万人。

◆本名大関 過去に本名のまま大関に昇進したのは、輪島、北尾、出島、高安の4人。輪島は昇進目安の「三役で3場所33勝」を72年秋場所で達成して昇進。自身2度目の優勝を果たした73年夏場所後には、本名のまま横綱に昇進した。北尾は86年名古屋場所後に横綱昇進した際、立浪部屋の先輩横綱、双葉山と羽黒山にちなんで「双羽黒」に改名。出島は99年名古屋場所で初優勝して大関に昇進し、大関を12場所務めた後に平幕に陥落。高安は17年秋場所で昇進目安を達成して昇進。15場所務めたが、平幕に陥落した。

◆稀勢の里の口上 11年九州場所後に大関昇進。伝達式では「謹んでお受けします。大関の名を汚さぬよう精進します」と述べた。初優勝した17年初場所後に横綱昇進した際の伝達式では「謹んでお受けします。横綱の名を汚さぬよう精進します」と大関昇進時と同じく、簡潔な言葉に思いを込めた。

オンラインによる一夜明け会見に参加する秋場所で初優勝した正代
初優勝した秋場所千秋楽から一夜明けてリモートでの会見に出席した正代

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正代、熊本の応援「背中を押してもらった」一夜明け

オンラインによる一夜明け会見に参加する秋場所で初優勝した正代

大相撲秋場所で初優勝を果たした関脇正代(28=時津風)が千秋楽から一夜明けた28日、リモートでの会見に出席した。東農大で学生横綱にも輝いた大器は、初土俵から6年で素質が開花。熊本県出身では初めて賜杯を抱いた。大関の足固めとみられていた場所で13勝を挙げ、場所後の大関昇進も確実。30日にも「大関正代」が誕生する。

主な一問一答は以下の通り。

-昨日と表情が違う

正代 そうですね。緊張感から解放された。

-実感は湧いたか

正代 理解はしているが、まだ。1日たったら落ち着くかと思ったが、優勝したんだなという感じです。今のところ。いろんな方々からの連絡で優勝したというのは分かっているが、自分がそれに追いついていない。

-朝を迎えての心境は

正代 精神的な疲れが大きい。すごくだるく感じる。

-初優勝の味

正代 最高と答えておきます。

-熊本では初優勝

正代 とても光栄に思っています。

-昨日は熊本が大変なことになっていた

正代 うれしい。そんなにたくさんの方に見ていただいて応援してもらった。大勢の方々に背中を押してもらった。どこかのタイミングで1度帰られたらいい。

-時津風部屋でも久々の優勝

正代 師匠にもおかみさんにも喜んでいただいた。前回が北葉山さんというのは知っていた。すごく光栄、すごくうれしい。

-審判部が臨時理事会の招集をする。事実上の大関昇進が決定

正代 今まで以上に負けられない地位。責任もともなう。自分なりに精進していきたい。

-今場所の意気込み

正代 関脇の地位を維持できればいいと思っていた。まず勝ち越し。上がれたらいいかなというくらいに考えないと緊張してしまう。

-原動力になったこと

正代 しっかり自分の中でオンとオフができた。日頃からそうだけど、稽古終わってから自分の部屋に帰って、ほとんど相撲のことを考えないようにしている。休むときは休んで、土俵に立ったらオンが入るようにメリハリをつけるようにしている。ここまできっちり分けたのはここ最近だと思う。

-12日目で2桁。節目となったか

正代 早い段階での2桁だったので、僕の中ではすごい意外というか、信じられないというか、そんな感じだった。

-2日間の大関戦。貴景勝戦は下がらなかった

正代 立ち合いが良かった。自分の中でも2桁勝ってだいぶ余裕が生まれた。相手は大関。思い切り取ることだけに集中した。

-朝乃山戦は

正代 今場所の15日間で一番いい立ち合いができた。角度もすごい良かった。自信にもなった。今までやってきた稽古が間違ってなかったんだと思った。

-千秋楽勝てば優勝だった

正代 (単独)先頭になったのが千秋楽だけ。それが気持ち的に楽だった。ずっと先頭だと気負ってしまう。

-相手は新入幕の翔猿

正代 千秋楽に当たる相手としては最悪。千秋楽で初顔というのはなかなかない。それですごく好調。やりづらい。同じ大学出身なので。あの場所では一番意識した相手だった。

-前日の夜も寝られなかった

正代 2時間くらいですね。(気持ちの整理は)つかなかった。土俵に上がるときは立ち合いどういうふうに当たるか考えていたが、それまでどういう相撲を取るかなかなか決まらなかった。自分はそんなに選択肢の多い力士ではない。相手がどうくるか考えた。とりあえず立ち合いだけ圧をかけて、その後は相手の変化にも対応できたらなと、土俵に向かった。振り返ってみて立ち合いは当たれていなくて、良くない立ち合いだった。手をつくときにも時間をかけた。頭の中では決めていたけど、なかなか体はついてきてくれなかった。

-土俵際の勝負だった

正代 一気に持って行かれることはないと思っていたが、自分にも焦りがあった。

-いなされて中に入られた

正代 内容としては良くない。

-逆転の突き落とし

正代 最後まで諦めない気持ちがそこに出た。

-何度かうなずいた

正代 最初は、勝ったんだと。緊張から解放されて安心しているのが出たのかな。

-付け人を見た瞬間に目に光るものがあった

正代 付け人を見たときもそうだし、弓取りの(同部屋の)将豊竜が目が潤んでるように見えた。お客さんもいたので何とか堪えたが、花道にいって緊張が抜けてきたときに、きた。

-15日間何が良かったのか

正代 立ち合いの圧力が良かった。

-胸から当たる立ち合い

正代 自分的には弱点だと思っている。もう少し前傾の方がいいんじゃないかと感じている。今場所は立ち合いからはじくほどじゃないが、ぶつけにいっている。その勢いを殺さないように前に出る感じ。自分の悪いところは直しつつ、持ち味は伸ばしたい。

-持ち味というのは

正代 差し身の部分だったり、自分の重さを生かしたり、磨いていけたら。

-前向きな性格

正代 そこまでは変わっていないけど、口には出していなかった。

-かつてはネガティブと言われた

正代 そこまで性格は変わっていない。地位も成績も、今まで経験したことが影響しているんじゃないか。

-ご両親に連絡は取れたか

正代 取れました。千秋楽終わって帰った後に自分から連絡した。「おめでとう」「お疲れさま」という感じ。

-4年前には熊本地震もあった

正代 地震が多い土地ではないので、自分の地元に大きな地震がくるとは思っていなかった。慰問に行って現場を見るまでは理解できていなかった。被災地を見て悲しい気持ちになったが、逆に頑張らなきゃいけないという気持ちにもなった。自分に何かできることは何だろうと考えたときに、相撲で活躍することが1番だと考えた。

-水害も起きた

正代 一番被害があった人吉市は去年巡業でお邪魔した場所。すごい思い出もあったし、自分の同級生が人吉の高校で働いていたので心配した。

-避難している体育館でもテレビがついていた

正代 自分の相撲を見て元気になってもらえれば。

-場所入りの染め抜きも熊本城のものだった

正代 地震で熊本城も壊れていた。そういう意味でもきれいな熊本城を見ていただければと思ってあのデザインにした。

-大関という地位はどんな地位か

正代 いろんな責任がともなう地位だと思う。(小さいときは)正直雲の上の存在だと思っていた。まだまだ実感はない。もし昇進できるなら、何とか必死に務めていけたら。今まで以上に負けられない戦いが続く。

-どんな大関になりたいか

正代 いろんな方にあこがれるような、応援してもらえるような力士になりたい。

-伝達式での口上のイメージは

正代 いろいろ考えてはいる。まだ決めかねている。どれにしようかなと。

-本名のしこ名は続けていく

正代 そうですね。変えるつもりはない。珍しい名字。このしこ名で定着しているなら、このしこ名で頑張っていきたい。師匠が、正代はいい名前だからそれでいこうと新十両のときに言っていただいた。これからもずっと正代でいこうかなと思います。

オンラインによる一夜明け会見に参加する秋場所で初優勝した正代

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学生出身10人目、東農大は初/正代初Vアラカルト

学生相撲出身力士の優勝

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。熊本県出身、東農大出身の優勝はともに初めて。

13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請し、30日にも「大関正代」が誕生する。恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。

<正代初Vアラカルト>

◆関脇の優勝 昨年秋場所の御嶽海以来29度目。

◆平成生まれ 照ノ富士、御嶽海、貴景勝、朝乃山と5人目。

◆学生出身 山錦、輪島、朝潮、出島、武双山、琴光喜、御嶽海、朝乃山、徳勝龍に続き10人目。東農大出身では初。

◆時津風部屋 1963年名古屋場所の北葉山以来。4度の鏡里、1度の北葉山に次ぎ3人目。部屋別トップは九重部屋の52度。

◆本名 本名をしこ名に入幕して優勝した力士は長谷川、輪島、保志、出島に次いで5人目。

東農大の化粧まわしを着けて土俵入りする正代(撮影・河田真司)     
1963年名古屋場所で優勝した北葉山

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正代、体の強さを常に出せるか/大ちゃん大分析

翔猿(右)の立ち合いを受け止める正代(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。

 ◇   ◇   ◇

「気持ちは熱く、頭は冷静に」を正代は実践して賢明な相撲を取った。翔猿をよく見て対応したし、出るところは突いて出た。最後は逆転勝ちのように見えたが、勝負どころで攻めているから呼び込めた勝利だ。正代の優勝は体幹の強さのたまものだ。来場所以降も、この体の強さを常に出せるかが問われるだろう。腰が高いとか、体が反ってアゴが上がるとかを直す必要性はある。逆に自分の強みとして、生かすのもアリだ。ただし、その上=横綱を目指すなら体幹の強さだけでは狙えない。そこをどう考えるかだ。今場所は翔猿や若隆景といった若手が頑張って場所を盛り上げたけど、やっぱり強い横綱や大関がいてこその大相撲だ。その一員に正代が加わる。一年納めの場所は、看板力士の奮起に期待したい。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

14日目、朝乃山(左)を押し倒しで破る正代     

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父方祖母は正代正代(まさよ)さん/正代アラカルト

幕内初優勝を飾った正代は優勝旗を手にする(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。熊本県出身、東農大出身の優勝はともに初めて。13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ヶ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。

   ◇   ◇   ◇

▽正代直也(しょうだい・なおや)

◆生まれ 1991年(平3)11月5日、熊本県宇土市。

◆経歴 小学1年から相撲を始め、熊本農高3年時に国体優勝。東農大に進み、2年時に学生横綱も卒業を優先してプロ入りせず、14年春場所に前相撲で初土俵。序ノ口、幕下、十両で優勝し16年初場所新入幕。

◆親戚に紅白歌手 遠縁ではあるが、歌手の石川さゆりと親戚関係。

◆祖母は正代正代 父方の祖母は正代正代(まさよ)さん。「正代姓」へのこだわり強く、しこ名も本名のまま。師匠の時津風親方も容認。

◆引きこもり 基本的に“ステイホーム”。部屋でゴロゴロしながら、スマートフォンで動画サイトを見るのが趣味。全国チェーンのハンバーガー店のホットドッグが大好物。

◆得意 右四つ、寄り。

◆サイズ 184センチ、170キロ。

正代(右)は翔猿を突き落としで破り幕内初優勝を飾る(撮影・小沢裕)

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正代大関昇進なら伝達式に謹慎中の時津風親方参加へ

幕内初優勝を飾った正代は伊勢ケ浜審判部長(左)から優勝旗を受け取る(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進を手中に収めた。新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。 打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。八角理事長が承認すれば、30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。 ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。小兵の翔猿に攻め込まれたが何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で逆転の突き落としを決めた。13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。

○…理事会招集を要請した審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「勝ち星が安定している。ここ5場所を見ても分かる通り」と目安の3場所通算33勝よりも、ここ1年の安定感を評価した。今場所は両横綱が初日から休場。そのため対戦がなかったが「とにかく安定して成績を残していることがいい」と話し、「大関になれば常に優勝争いしないといけない。みんなでその力があると認めた」と審判部の総意を明らかにした。

○…臨時理事会で正代の大関昇進が承認された場合、その後に行われる伝達式に謹慎中で師匠の時津風親方が参加できることとなった。日本相撲協会関係者が「晴れの舞台だからいいだろう」と認めた。時津風親方は秋場所前に、協会作成の新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに基づく行動に違反したとして、同場所を休場、謹慎していた。処分は場所後の理事会で協議される見通しとなっていた。

幕内初優勝を飾った正代は優勝旗を手にする(撮影・小沢裕)

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正代なぜ稽古で人気者なのか…大関予言した元豊ノ島

初優勝を決め、賜杯を手に笑顔を見せる正代(代表撮影)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ヶ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。

   ◇    ◇    ◇

正代の快挙を、時津風部屋付きの井筒親方(元関脇豊ノ島)は全く不思議がらなかった。「今年になって近い人には『(大関に)上がりますよ』と言っていた。地力がついている。(14日目に)朝乃山の体を浮かせたのはびっくりしたけど」と笑う。4月に引退したばかりで現役力士の目線には近い。「部屋の一員として、春場所の関脇での勝ち越し、7月の11勝で自信がついたんだと思う」と精神面の成長を語った。

場所前に師匠が不在となる異例の場所だったが「影響はなかった」という。師匠代行の枝川親方らが審判部の職務で不在でも、部屋付き親方として稽古場で目を光らせていた。

躍進を支えたのが、腰高ながら破壊力のある立ち合いの当たり。井筒親方も正代の入門当時から指摘してきたが「正代の場合は体を丸めることが逆にストレスになる」と気付き、ここ1年は矯正しなかったという。「人がまねできない新しいかたちだね」と認めた。

絶好の“稽古台”だからこそ成長できた。場所前には横綱鶴竜が出稽古に訪れ、巡業の三番稽古では横綱、大関陣に指名されることが多かった正代。井筒親方は「高いレベルでやってきて着実に力がついたんでしょう」と分析する。なぜ稽古相手として人気だったのか。「正代はあごを上げてるから、やってる方もいい稽古台になる。思い切り当たれるから」。のけ反るように胸から当たる立ち合い。かつては弱点と呼ばれたが、成長のきっかけとなった。【佐藤礼征】

2016年初場所殊勲賞の豊ノ島(左)と敢闘賞の正代(2016年1月24日)

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朝乃山は黒星締め「負けたくない」正代優勝に刺激

貴景勝(右)に押し倒しで敗れる朝乃山(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

大関朝乃山は横綱不在の場所を白星で締めることはできなかった。貴景勝のおっつけを前に右を差すことができず完敗。「最後は自分の相撲が取れなかった」と悔やんだ。

6場所連続2桁勝利も「12勝の先場所より悪いからダメ」と反省。優勝した正代については「すごく刺激になる。負けたくない1人」と同じ学生出身力士の優勝に刺激を受けた。

貴景勝に敗れ土俵に戻る朝乃山(撮影・河田真司)     

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正代親戚の石川さゆり「母もおばも喜び」祝勝会約束

石川さゆり(2019年撮影)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

秋場所で初優勝した関脇正代へ、親戚の歌手石川さゆり(62)から所属事務所を通じて祝福メッセージが送られた。「親戚」ではあるが、4年前の11月に正代が明かしたところによると「母方の祖母の兄の奥さんの妹の娘が、石川さゆりさんなんです」。正代の兄弟子、井筒親方(元関脇豊ノ島)が「ほぼ他人やん」と突っ込んだ「遠い親戚」ではあるが、優勝を機に演歌界の大御所と新大関はグッと距離が縮まるかもしれない。

 ◇    ◇

正代関 優勝おめでとうございます。

毎日の取り組みに、私の母も親戚のおば達も連日、「今日も勝った!明日も…」と大変な盛り上がり喜びようでした。

熊本の大変な日を過ごす皆さんにも大きな元気とエネルギーが届いたと思います。

拝見していましたよ!おめでとう(祝)!本当に良かった、おめでとうございます!!

今年のコロナ禍の日本に正代関の優勝が、積み上げる相撲が心沸き立つ元気を

日本中の皆さんにお届け出来たとしたら嬉しいですね。

どうぞ、優勝の喜びをかみしめ一層の精進で大関、横綱となられることを応援しています。

一緒に食事をした事ありませんが、お祝い会をしましょう。

おめでとうございます(祝)石川さゆり

(※原文のまま)

優勝賜杯を手にする正代(撮影・鈴木正人)

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正代が悲願初V大関昇進確実に、貴景勝は最多12勝

翔猿(手前)を突き落としで破る正代(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進をほぼ手中に収めた。新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。承認されれば30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。

ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。小兵の翔猿に立ち合いのぶちかましが不発で、175センチの低さを生かした突き押しを受けると、いなされて体勢を崩した。最後は両腕で抱えて、土俵際で逆転の突き落としを決めた。13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。

14日目終了時点で優勝の可能性を残していた3敗の貴景勝は、結びで朝乃山との大関対決に勝利して12勝目を挙げた。直前の取組で正代が勝った時点で2度目の優勝は消滅したが、集中力を切らさず大関としては自己最多の白星を挙げた。

翔猿は正代に敗れたものの新入幕ながら11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。取組後は表情に悔しさをにじませたが、小兵力士として場所を最後まで盛り上げた。

幕内初優勝を飾った正代は伊勢ケ浜審判部長(左)から優勝旗を受け取る(撮影・小沢裕)
貴景勝は朝乃山(手前)を押し倒しで破る(撮影・小沢裕)

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正代1月V争いの経験生き「ペース乱さなかった」

幕内初優勝を飾り賜杯を手にする正代(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ヶ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請。恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。

正代の一問一答は以下の通り。

-最後勝ちきった

「千秋楽で自分で優勝を決めた大きな星です」

-どんな15日間だったか

「気持ちの持っていき方とかペースを乱さなかった。1月に初めて優勝争いした時は分からなくて乱したけど、それが生きた」

-取組を振り返って

「最後まで諦めなかったのがよかった。(翔猿の)いなしや引きが頭にあったけど、何とかこらえて我慢できた」

-優勝が決まった瞬間は

「あんまり思い出せないけど、無我夢中で何とかしようと動いた」

-最近、前向きになってきたと思う

「成績がついてきたり、三役に定着したことでそうなったと思う」

-熊本出身では初優勝

「うれしいけど逆にプレッシャーになると思う。浮かれないようにしたい」

翔猿(手前)を突き落としで破る正代(撮影・鈴木正人)

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正代ぐしゃぐしゃに顔崩壊 初Vと大関に涙止まらず

八角理事長(右)から内閣総理大臣杯を受け取る正代

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)がついに賜杯を手にした。

新入幕の翔猿に攻められ、追い詰められた土俵際で逆転の突き落としを決めた。熊本県出身、東農大出身の優勝はともに初めて。13勝2敗の好成績で審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は八角理事長(元横綱北勝海)に大関昇進を諮る臨時理事会の招集を要請し、30日にも「大関正代」が誕生する。恵まれた体を「ネガティブ」と言われた弱気な性格で生かせなかった大器が目覚め、初優勝と大関の夢を一気にかなえて涙した。

   ◇   ◇   ◇

正代が泣いた。東の花道。出迎えた付け人とグータッチをかわすと、顔はぐしゃぐしゃに崩壊した。青いタオルで涙があふれる両目をぬぐう。「付け人が目を潤ませて、その後ろに井筒親方がいて。涙が止まらなくなった」。支えてくれた顔を見て感情があふれた。

最後まで試練だった。大一番の相手は新入幕翔猿。「初顔でとても意識したし、やりづらさを感じた。今までの相撲人生で一番、緊張したかもしれない」。前夜は深夜0時前に寝床に入ったが、明け方5時すぎまで寝付けなかったという。「目をつむると相撲のことがよぎって…」。極度の緊張は最後の仕切りまで続いた。「ドキドキして心臓の音が聞こえるぐらい。生きた心地がしなかった」。

立ち合い、14日目に大関朝乃山を吹っ飛ばしたような出足はなかった。攻められ、攻め返したところをいなされて体が泳ぐ。もろ差しを許して追い詰められた土俵際、必死の突き落としが決まった。「最後まであきらめなかったのがよかった」。土俵下の控えで息を整え何度も目を閉じた。

入門時から期待された大器が壁を突き破った。恵まれた体を誇りながら、大事な勝負どころで顔を出す「弱気」。今年初場所、そして先場所も千秋楽まで優勝争いに絡みながら届かず「プレッシャーに負けてしまっていた」。悔しい思いを重ねネガティブを捨てた。

母理恵さん(56)が「あがり症でした」という少年は何となく流される人生だった。小学1年で相撲を始めたきっかけも「体が大きい子どもがいる」と聞いた知人が、公園で遊んでいた正代をなかば強引に道場へ“連れ去って”から。熊本農高を卒業して就職を考えたが、当時は就職口がなくて進学。東農大在学中も高校の教員を目指したが、教育実習1週間で10キロやせるほど「教える厳しさ」を痛感し相撲界に導かれた。

「ネガティブ」は心優しさの裏返しでもある。今年3月、祖母の正代正代(まさよ)さん(91)が体調を崩して入院した。春場所前に帰郷していた正代は滞在の3日間、毎日お見舞いに通ったという。元気になった祖母は毎日、仏壇に手を合わせた。その祈りも、歓喜の瞬間につながった。

大関昇進も確実にした。「あこがれの地位。いろいろ責任のかかる地位…パッと思いつかないなぁ」と実感はわかない。誇りを持つ「正代」の名を熊本初の優勝力士に、そして大関の歴史に刻んだ。【実藤健一】

◆正代直也(しょうだい・なおや)1991年(平3)11月5日、熊本県宇土市生まれ。小学1年から相撲を始め、熊本農3年時に国体優勝。東農大に進み、2年時に学生横綱も卒業を優先してプロ入りせず、14年春場所に前相撲で初土俵。序ノ口、幕下、十両で優勝し16年初場所新入幕。184センチ、170キロ。得意は右四つ、寄り。

▽八角理事長(元横綱北勝海) 正代は初日から内容が良く素晴らしかった。最近3場所というより、この1年の相撲がいい。頑張っていればいつか、こんなこともある。翔猿も最後までうまく攻めたし自信になっただろう。(医療関係者らの)周りの人たちの支えで今場所も開催できた。

初優勝を決めた正代はタオルで顔の汗をぬぐう(撮影・小沢裕)
幕内初優勝を飾った正代は伊勢ケ浜審判部長(左)から優勝旗を受け取る(撮影・小沢裕)
初優勝を決め、賜杯を手に笑顔を見せる正代(代表撮影)

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正代Vで沸く熊本に「自分の時思い出す」八角理事長

八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る正代(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

初優勝と同時に、事実上の大関昇進も決めた関脇正代(28=時津風)について、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)は、今後への期待や課題を口にした。

まずは優勝を決めた翔猿(28=追手風)との一番後に「素晴らしかった、この場所は。初日から内容がいい。本当に今場所は良かった」と何度も褒めた。さらに、最近の数場所に限らず「(大関昇進の目安とされる直近の)3場所というより、この1年、優勝争いに絡んだり、いい相撲を取っているのは確か」と評価し「頑張っていれば、いつかいいことはある、ということ。初場所は悔しい思いをしただろうから」と、徳勝龍と優勝争いを演じた今年初場所などを絡めて、頑張りが報われたことをほめた。

大関昇進を前提とした話ではなかったが、今後に向けては、正代特有の腰高や体が反る体勢について「今更、直せといっても直らないかもしれないし、難しいこと」とした上で「周りがとやかく言おうが、俺の形はコレだというのもね」と、貫いて長所として良さを伸ばすことも否定しなかった。

NHKの中継でテレビ画面に、地元・熊本の後援者らが喜ぶ画面に「この人たちの喜ぶ姿を見ていたら、自分の初優勝の時を思い出すね。これが相撲のいいところ。うれしいよね」と、うれしそうに話していた。

優勝の瞬間、大喜びする、手前左から正代の母理恵さん、父巌さん(撮影・菊川光一)

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正代が悲願初V 熊本出身力士で初、大器の才能開花

土俵入りに臨む正代(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を飾った。ただ1人2敗と初めて単独トップで迎えた最後の相撲。今場所をわかせてきた新入幕の翔猿(追手風)に勝ち、13勝2敗で優勝を飾った。

小兵の翔猿に攻め込まれたが何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で逆転の突き落としを決めた。花道では涙を流し、タオルで顔をぬぐった。

正代は「信じられないです。初顔合わせで意識もしたし、やりづらさも感じた。相撲人生で一番緊張したと思います」と落ち着いた様子で話した。

打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。大関昇進が現実的になったが「実感がわかない。分からないです。相撲界に入る前から憧れの地位でした。まだ信じられない」と話した。

13勝をあげた今年初場所、11勝の7月場所と千秋楽まで優勝争いに絡みながら賜杯を逃した。ただ、その経験から「メンタル的に余裕でもないが、気持ちの持っていき方を学んだ」と話していた。立ち合いの馬力をつけ、磨いてきた相撲が優勝という形で開花した。

東農大2年時に学生横綱となった。恵まれた体で将来を嘱望された大器は、約2年で入幕を果たし、関脇までトントンと出世を果たし、そこから壁に当たった。自らも認めるマイナス思考の「ネガティブ力士」。ここ一番の勝負弱さが課題だったが、その殻を打ち破り、熊本出身力士で初の優勝という栄誉を手にした。

正代が勝てば、花火を打ち上げて祝う故郷の熊本・宇土市も、市民体育館で応援会を開催し、盛り上げてきた。大横綱双葉山からの名門・時津風部屋からは、元大関北葉山以来57年ぶりとなる優勝。新型コロナウイルス禍で行われた異例の場所で、眠っていた大器の才能が花開いた。

◆正代直也(しょうだい・なおや)1991年(平3)11月5日、熊本県宇土市生まれ。小学1年から相撲を始め、熊本農3年時に国体優勝。東農大に進み、2年時に学生横綱も卒業を優先してプロ入りせず、14年春場所に前相撲で初土俵。序ノ口、幕下、十両で優勝し16年初場所新入幕。184センチ、170キロ。得意は右四つ、寄り。

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初V正代が大関昇進へ 審判部「安定感を評価」

翔猿を破り幕内優勝を決めた正代(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇千秋楽◇27日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が悲願の初優勝を果たし、大関昇進を手中に収めた。新入幕で3敗を守る翔猿を下して、自己最多に並ぶ13勝目。熊本県出身の力士として、初の優勝を決めた。

打ち出し後、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請した。八角理事長が承認すれば、30日の臨時理事会、11月場所の番付編成会議を経て「大関正代」誕生が正式に決定する。

ともえ戦に持ち込まず、本割で決めた。小兵の翔猿に攻め込まれたが何度も体勢を立て直し、最後は土俵際で逆転の突き落としを決めた。13日目は貴景勝の突き押しに全く引かない相撲内容で、14日目は朝乃山を立ち合いで吹っ飛ばし、大関に連勝。文句のつけようがない初優勝だった。

○…理事会招集を要請した審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「勝ち星が安定している。ここ5場所を見ても分かる通り」と目安の3場所通算33勝よりも、ここ1年の安定感を評価した。今場所は両横綱が初日から休場。そのため対戦がなかったが「とにかく安定して成績を残していることがいい」と話し、「大関になれば常に優勝争いしないといけない。みんなでその力があると認めた」と審判部の総意を明らかにした。

翔猿(下)を突き落としで破り幕内優勝を決める正代(撮影・河田真司)     

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翔猿、昼は自分で夜は半沢直樹で「楽しんで」

貴景勝(右)にはたき込みで敗れた翔猿は笑顔を見せる(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

自身初の結びで、初の大関戦。新入幕で快進撃を続ける翔猿は「盛り上がり方が全然違う」と土俵上で興奮していた。

馬力のある貴景勝相手に、立ち合いは正面から思い切りぶつかった。押し込むことはできなかったが、手を出し、足を出してくらいついた。それでも攻略はできず、はたき込まれてトップから陥落。「楽しくてしかたなかった。大関にどれぐらい通用するか思い切りいきました。まだまだ稽古が足りないですね」とやりきった表情を浮かべた。

3敗で優勝争いから後退したが、千秋楽は2敗の正代との対戦が組まれた。勝てば、貴景勝の勝敗次第で優勝決定戦にもつれる。1914年(大3)夏場所での東前頭14枚目の両国以来、106年ぶりの新入幕優勝はまだ途絶えていない。「思い切りいくだけ」と無心で臨む。師匠の追手風親方(元前頭大翔山)は「運がいいというか、乗っている。結果が出てるからいつも以上の実力が出ている。残りはいい意味で調子に乗っていってくれればいい」と弟子の快進撃を期待した。

千秋楽の27日は、毎週欠かさずに見ているTBS系の大人気ドラマ「半沢直樹」の最終回。翔猿は「前座に僕の相撲を見て楽しんでもらって、半沢直樹で締めてもらえれば」と言って、報道陣を笑わせた。泣いても笑っても、残り一番。横綱不在の混戦場所を、歴史的快挙で締めくくるためにも、まずは正代に勝って望みをつなげる。【佐々木隆史】

◆優勝争いの行方 千秋楽結び前の一番で正代が翔猿に勝てば、13勝2敗で正代の優勝が決定。正代が翔猿に敗れ、結びで貴景勝が敗れると、3敗で並んだ正代と翔猿による決定戦。貴景勝が勝って正代、翔猿と並べばともえ戦(3人での優勝決定戦)となる。実現すれば幕内では94年春場所の曙、貴ノ浪、貴闘力以来7度目で、当時は曙が制した。

貴景勝(左)の攻めに耐える翔猿を土俵下で見つめる正代(撮影・河田真司)     

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正代、初Vなら大関昇進も ダブル歓喜へ今日大一番

朝乃山(左)を押し倒しで破る正代(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。正代が人生最大の大一番を迎える。

   ◇   ◇   ◇

まるで重戦車の突進だった。「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。

「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。進撃の相撲でついに単独トップに立った。「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。

弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。

場所前にはなかった「昇進ムード」も急浮上。高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は「明日の相撲を見ての判断」と、千秋楽の結果次第で大関昇進の可能性を示唆した。そんな機運を知らずに場所を後にした正代は「(単独トップで千秋楽は)初めての経験ですから。明日になってみないと分からないが明日で終わり。思い切り相撲をとれたらいいと思います」。

故郷の熊本・宇土市では市民体育館で応援会を開催する。前日13日目は20人程度が、この日は100以上の大盛況。熊本出身力士初の賜杯に期待は高まる。初優勝と大関。ダブルの歓喜を目指し、正代が人生最大の一番に臨む。【実藤健一】

◆大関への道 昇進目安は三役で直近3場所33勝。しかし、32勝以下での昇進も珍しくない。平成以降では朝乃山、豪栄道、稀勢の里、千代大海が32勝で昇進。また照ノ富士は、昇進3場所前(15年初場所)が平幕で8勝、2場所前(16年春場所)が関脇で13勝の優勝次点だったが、関脇だった16年夏場所を12勝で優勝すると昇進した。正代は今場所13勝でも直近3場所の合計は32勝。しかし八角理事長(元横綱北勝海)は、正代の直近3場所の成績よりも、この1年の安定感を評価している。

朝乃山(右)を押し倒しで破る正代(撮影・鈴木正人)

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初V王手の正代、八角理事長「12勝は立派」

正代(左)は朝乃山を押し倒しで破り2敗を死守した(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

千秋楽を前に単独トップに立った関脇正代(28=時津風)の破壊力に、協会トップの八角理事長(57=元横綱北勝海)も「馬力勝ちした」と思わずうなった。

1差で追う大関朝乃山(26=高砂)との一番は、はじき飛ばすような立ち合いで大関をのけ反らせ、左にくいつくと上手を結び目あたりに取り、なぎ倒すように押し倒した。

その破壊力に開口一番、八角理事長は「(正代が)馬力勝ちした。ちょっと想像できなかったな…」と重さのある大関を、ここまで圧倒するとは予想できなかった様子。「朝乃山も立ち合いは悪くなかったのに浮いちゃったね」と驚きの様子で話した。立ち合いで圧倒し、さらに前に出る圧力に「押し込んでいるから朝乃山がバランスを崩した。今日は正代を褒めるべきでしょう」と続けた。

にわかに大関昇進の可能性が浮上した。「12勝は立派。ただ横綱2人が休場しているわけだから。ただ出てこないことには仕方ない」と言及は避けたが「でも立派。内容がいいですよ。よく鶴竜とかが出稽古に来てるようだけど、知らず知らずのうちに力がついてきたんじゃないかな」と好成績の要因を推察した。

もう1人の新入幕でトップを並走していた翔猿(28=追手風)は、結びの一番で3敗の大関貴景勝(24=千賀ノ浦)に敗れ3敗に後退。千秋楽の正代との一番は優勝決定戦進出をかけた勝負になる。一歩、後退した新入幕について八角理事長は「新入幕でここまで立派です。何とか、いなしたいと思っても、前に出る力不足で(貴景勝に)見られてしまった。明日は思い切っていくしかないでしょう」と、ねぎらいと期待を込めて話した。

正代に押し倒しで破れ、土俵下でうずくまる朝乃山(撮影・河田真司)     

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翔猿3敗目にも笑顔 初結び&大関戦「楽しくて」

貴景勝(右)に敗れた翔猿は不思議と笑顔を見せる(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

自身初の結びで、初の大関戦。新入幕で快進撃を続ける翔猿(28=追手風)は「盛り上がり方が全然違う」と土俵上で興奮していた。

馬力のある貴景勝相手に、立ち合いは正面から思い切りぶつかった。押し込むことはできなかったが、手を出し、足を出してくらいついた。それでも攻略はできず、はたき込まれてトップから陥落。「楽しくてしかたなかった。大関にどれぐらい通用するか思い切りいきました。まだまだ稽古が足りないですね」とやりきった表情を浮かべた。

3敗で優勝争いから後退したが、千秋楽は2敗の正代との対戦が組まれた。勝てば優勝決定戦にもつれる。1914年(大3)夏場所での東前頭14枚目の両国以来、106年ぶりの新入幕優勝はまだ途絶えていない。「思い切りいくだけ」と無心で臨む。師匠の追手風親方(元前頭大翔山)は「運がいいというか、乗っている。結果が出てるからいつも以上の実力が出ている。残りはいい意味で調子に乗っていってくれればいい」と弟子の快進撃を期待した。

千秋楽の27日は、毎週欠かさずに見ているTBS系の大人気ドラマ「半沢直樹」の最終回。翔猿は「前座に僕の相撲を見て楽しんでもらって、半沢直樹で締めてもらえれば」と言って、報道陣を笑わせた。泣いても笑っても、残り一番。横綱不在の混戦場所を、歴史的快挙で締めくくるためにも、まずは正代に勝って望みをつなげる。【佐々木隆史】

貴景勝(右)にはたき込みで敗れた翔猿(撮影・小沢裕)

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