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貴乃花Vに小泉首相が絶叫名言/夏場所プレイバック

2001年5月28日付の日刊スポーツ

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった5月24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。千秋楽は大相撲史に残る、貴乃花の22回目の優勝です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇千秋楽◇2001年5月27日◇東京・両国国技館

横綱貴乃花が奇跡を起こした。前日14日目の大関武双山戦で初黒星を喫した際、右膝を亜脱臼。千秋楽に強行出場したが、結びで横綱武蔵丸にあっさり敗れ、13勝2敗で並んだ。優勝決定戦、貴乃花の気迫が武蔵丸を圧倒。執念の上手投げで22度目の優勝を飾った。

顔はゆがみ、口から血の塊が飛んだ。まゆをギュッと引き絞った鬼の形相で勝ち名乗りを受けた。まるで別人のように、貴乃花は土俵の上で感情をあらわにした。「何か今でもちょっとボーッとしてます。(優勝の)実感が分からないです」。22回も優勝を飾った大横綱が、支度部屋に戻っても冷静さを失っていた。

本割は、3度の仕切り直しの立ち合いで集中力を奪われ、わずか0秒9、武蔵丸の突き落としにバッタリ倒れた。「やはりダメか……」。絶望的ムードの東支度部屋に一門の花籠親方(元関脇太寿山)、若者頭が飛んでくる。優勝決定戦が可能か、確認のため。貴乃花は即答した。「大丈夫です」。

異様な静けさだった。柝(き)が入り、武蔵丸が西の花道に出た後も、貴乃花は支度部屋に5分近くとどまった。乱れた集中力を修正し、気の高まりを待った。本割で全く合わなかった立ち合いで、武蔵丸は見入られたように貴乃花の呼吸で立った。貴乃花がすかさず左上手を奪い、右を差す得意な形。武蔵丸が、右のかいなを返し上手を切りにきた瞬間を逃がさない。相手の力も利用した上手投げが、219キロの巨体を土俵にたたきつけた。

表彰式での優勝インタビュー。ケガの痛みを聞かれ「特にないですよ」と答えると、大きな拍手と歓声が沸いた。内閣総理大臣杯を手渡した小泉純一郎首相は、表彰状を読んだ後、突然「痛みに耐えて、よく頑張った! 感動した!」と絶叫で貴乃花をたたえた。大相撲史に残る感動の優勝だった。

01年5月27日、夏場所千秋楽・優勝決定戦 優勝決定戦で武蔵丸(左)を上手投げで破った貴乃花

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高安10勝 大関昇進ほぼ確実/夏場所プレイバック

17年5月25日、宝富士を破って勝ち名乗りを受ける高安

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった5月24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。12日目は大関とりの懸かっていた高安を振り返ります。

〈大相撲夏場所プレイバック〉◇12日目◇17年5月25日◇東京・両国国技館

大関とりの関脇高安が、場所後の大関昇進をほぼ確実にした。宝富士を上手投げで退けて10勝目。昇進目安となる直近3場所での33勝目に届いた。

今場所初めてもろ手で立つと、突っ張る意識とは裏腹に「反射的にまわしを取りに行ってしまった」。肩越しの右上手。宝富士を呼び込む「危ない相撲」だった。だが、思い切りが良いのも今場所の高安。「1度行ったら、上手から振り切るしかない」。強引に振り回し、最後は力ずくで転がした。割れんばかりの拍手が身を包んだ。

明確な昇進の声はまだないが、内容への評価は高い。八角理事長(元横綱北勝海)は「安定した力はつけた印象。特に今場所は落ち着いている」とし、審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「12日目で一応の目安ですからね。内容は力強い。何となく勝っているわけではなく、力がある勝ち方だ」と示唆した。

高安は13日目に横綱日馬富士を破って昇進を決定づけた。

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武双山、214日ぶり勝ち越し/夏場所プレイバック

95年5月21日、大相撲夏場所の殊勲賞と敢闘賞を受賞した武双山

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった5月24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。11日目は、ケガから完全復活した大関候補(当時)です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇11日目◇95年5月17日◇東京・両国国技館

13勝を挙げた94年秋場所以来、214日ぶりに怪物武双山が勝ち越しを決めた。大関候補から一転、度重なるケガにより平幕に陥落して2場所目。大関若乃花の右からのおっつけを、右からおっつけ返して押し出しで破る会心の相撲で完全復活を証明した。「久しぶりですからね、勝ち越すのは。場所前はとにかく勝ち越せればと、それだけ考えていましたから」と笑顔を見せた。

関脇だった昨年秋場所は優勝次点で、大関とりが期待された同年九州場所前に左肩を亜脱臼した。以降、脱臼の再発を繰り返し、思うような力が出せず。年明けの初場所は途中休場、春場所は全休と歯がゆい思いが続いた。そして満を持して出場した今場所でようやく勝ち越し。取組後の支度部屋で、場所前の連合稽古で胸を借りた横綱曙から「おめでとう。よかったな。完全復活したな」と声をかけられ、頭を下げた。

13日目には横綱貴乃花から金星を獲得するなどして11勝を挙げた。さらに殊勲賞と敢闘賞を獲得。千秋楽を白星で飾れなかったが「勝ち越しが目標だったけど、やっぱりうれしいですね」と勝ち越しと三賞獲得、そして自身の復活の喜びをかみしめた。

この時の武双山は、まだ入門3年目。大関昇進は、この5年後のことだった。

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朝乃山が大関昇進へ、富山県出身力士111年ぶり

朝乃山(左)は貴景勝を押し倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇22日◇エディオンアリーナ大阪

関脇朝乃山(26=高砂)の大関昇進が事実上、決まった。

横綱、大関の昇進をあずかる日本相撲協会審判部の錦戸副部長(元関脇水戸泉)は全取組終了後、八角理事長(元横綱北勝海)に、場所後の25日に朝乃山の大関昇進をはかる臨時理事会の招集を要請。これを快諾された。境川部長代理(元小結両国)が明かした。

この臨時理事会で承認され、その後の大相撲夏場所(5月10日初日、両国国技館)番付編成会議をへて、正式に大関昇進が決まる。

朝乃山は千秋楽で大関貴景勝に勝ち11勝4敗で今場所を終えた。大関昇進の目安とされる三役で3場所通算33勝には1勝届かないが、33勝というのはあくまでも数字上の目安。相撲内容や安定した取り口などが評価され、審判部内の総意で推薦することで意見が一致した。

~朝乃山が大関になると~

◆新大関誕生 19年夏場所の貴景勝(千賀ノ浦)以来、平成以降では27人目。

◆富山県出身 1909年6月の太刀山(元横綱)以来、111年ぶり。

◆高砂部屋 02年秋場所の朝青龍以来となる。

◆学生相撲出身 豊山、輪島、朝潮、武双山、出島、雅山、琴光喜に続き8人目で、近大出身では師匠の高砂親方(元朝潮)以来2人目になる。

◆付け出し 豊山(幕下10枚目)輪島(幕下60枚目格)朝潮(同)武双山(同)出島(同)雅山(同)琴光喜(同)に続き、三段目100枚目格では初めて。

◆三役通過 昇進目安の番付を「3場所連続三役」とすれば、新三役から所要3場所で大関昇進は00年名古屋場所の雅山以来約20年ぶり。

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八角理事長「お手本」阿武咲の白鵬かち上げ封じ絶賛

阿武咲(右)に押し出しで敗れる白鵬(撮影・前岡正明)

<大相撲春場所>◇10日目◇17日◇エディオンアリーナ大阪

横綱白鵬(35=宮城野)が、平幕の阿武咲(23=阿武松)に“おはこ”を封じられて今場所初黒星。初日から並べていた白星は「9」で止まった。

指定席ともいえる単独トップの座も、7日目からの2日間で終わり、1敗で平幕の碧山(33=春日野)に並ばれた。無観客開催の静寂な土俵で、このまま独走か…と思われていた優勝争いが、がぜん面白くなってきた。

立ち合いの張り差しと、かち上げは横綱審議委員会(横審)からも“注文”が飛ぶなど、何かと物議を醸してきた。特に、横からのひじ打ちとも思えるかち上げには、横審がたびたび、苦言を呈し協会側に指導を要請することもあった。その“おはこ”のかちあげが、この日はアダとなった形だ。横からでなく、この日は下から上へのほぼ“正当な”かち上げだったが、これを阿武咲は下からはね上げ応戦した。これで慌てた白鵬が押し合いの中で、たまらずはたいてしまった。阿武咲が保っていた、適度な距離も功を奏し押し出し。土俵を割った白鵬は、たまらず土俵下を駆け抜け、通常開催ならファンが座っている桟敷席まで助走するほどだった。

白鵬のかち上げが物議を醸した時、相撲経験のある親方衆は白鵬の非を責めるのでなく、その隙を突けずに負けた力士の、ふがいなさを嘆くことが多かった。かち上げはもろ刃の剣、相手にスキを与えるリスクをはらむ立ち合いの一手-。それが証明された一番に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「白鵬に勝つには、こんな相撲を取ればいいというお手本」と阿武咲を褒めた上で「かち上げに(白鵬が)行っても(阿武咲が)こんな立ち合いをすれば全然、問題ない」と、かち上げをはね上げた阿武咲の対処法をほめ、その後の展開も「足を送れば白鵬は焦ってはたく。距離を空けて、しぶとく足を出していた」と評した。現役時代、かち上げへの対処法は熟知していたことを、同理事長はたびたび口にしていた。

土俵下で幕内後半戦の審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「かち上げに下がらず、下からおっつけていくと(白鵬の上体は)上がるんです。アレです」と、かち上げを攻略した阿武咲をほめた。さらに「今まではみな(白鵬に)やられ放題で気持ちで負けていた。白鵬からすれば一番、嫌な相撲を取られたのではないでしょうか」とこの日の阿武咲のように、ひるまずに立つことを期待した。

阿武咲に敗れた白鵬は土俵下で呆然とした表情(撮影・河田真司)

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白鵬が誕生日に白星も「何でこの日に」3・11思う

報道陣の質問に答える白鵬(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇4日目◇11日◇エディオンアリーナ大阪

横綱白鵬(宮城野)が笑顔なき誕生日星を飾った。35回目の誕生日を迎えた11日、隠岐の海を寄り切り無傷の4連勝とした。

9年前に起きた東日本大震災、そして新型コロナウイルスの感染拡大で今場所が無観客開催という特殊な状況に笑顔はなく、神妙な表情で思いを語った。大関とりの関脇朝乃山も4連勝。大関貴景勝が2敗目を喫した。

   ◇   ◇   ◇

力強い相撲で4連勝を飾った取組後、「誕生日おめでとうございます」の声に「ありがとうございます」と返した。その白鵬の表情に笑顔はなかった。9年前にいまだいえない傷痕を残した3・11。そして今場所は新型コロナウイルスの感染拡大で無観客開催となった。「重ね重ねだから、喜んでいいのかというのが正直な気持ち」と言った。

「9年前、何で私はこの日に生まれてしまったのかと思った。怖さ、悲しみ。1日前でもよかったのにと思ったりしたけど、相撲で何ができるか、そういうふうに切り替えた。頑張っている姿を見せられたら、勝つことが勇気になってくれたらという思い」

9年前は26歳だった。以降の3・11は、出場して取組があった場所はすべて白星を飾っている。35歳まで相撲をとるイメージはあったか聞かれ「なかった。自分がそこにたどり着くとは思わなかった」。白鵬自身も「励み」を与えられてきた。

実際、昭和以降に昇進した横綱で35歳を超えて引退したのは6人だけ。白鵬は「20代は35歳というのはおじさんというイメージがあったけど、自分がその年になるとね。精神的には(普通の人に比べ)倍だけど、肉体的には動いているし。この年齢で土俵に上がれているのはうれしいというか、幸せ者だなと思う」。2年前の春場所で単独1位となった横綱在位数は76場所となった。長く務めるからこそ格別な思いがあった。

昨年9月3日に日本国籍を取得後、初めての誕生日でもあった。この日の朝稽古後に「自分には誕生日が2回ある。(3月11日が)生みの親、(9月3日が)育ての親みたいなもの」と話した。第一人者としての責務を背負う。連日、誰も観客がいない中、横綱土俵入りで力強く四股を踏む。初日の協会あいさつで八角理事長(元横綱北勝海)が言った、邪気を払う「大相撲の持つ力」を横綱が体現する。【実藤健一】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 白鵬は、これだけやってケガが少ないのも珍しい。準備運動をしっかりやっているからでしょう。若い頃に比べれば(衰えは)あるだろうが、よくやっている。朝乃山は堂々としたもの。押されない、という自信をつけた感じがする。

▽幕内後半戦の藤島審判長(元大関武双山) 白鵬は右が入り左を探りながらという万全の相撲じゃないですか。朝乃山は元気な北勝富士相手に、あの相撲が取れるんだから力をつけた証拠。高安は投げの打ち合いで足が伸び片方に負担がかかったんでしょう。

白鵬は上手投げで隠岐の海を破る(撮影・渦原淳)

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日本相撲協会が日本プロスポーツ協会から脱退へ

八角理事長(左から3人目)(2020年3月1日撮影)

日本相撲協会は6日の理事会で日本プロスポーツ協会からの脱退を決定。内閣府公益認定等委員会から組織ガバナンスの是正を求める命令を受ける状況から、相撲協会は加盟継続が適切でないと独自に判断した。

また年寄若松(元前頭朝乃若)、藤島(元大関武双山)、高田川(元関脇安芸乃島)の副理事選任を承認した。

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12年ぶり無投票で理事決定 相撲協会の役員候補選

日本相撲協会の理事候補、副理事候補が出そろい、掲示された

日本相撲協会は30日、東京・両国国技館で、1期2年の任期満了に伴う役員候補選挙の立候補を受け付けた。定員10人の理事候補に10人、定員3人の副理事候補に3人がそれぞれ立候補。前回当選者のうち阿武松親方(元関脇益荒雄)はすでに退職しており、現職では山響親方(元幕内巌雄)が立候補せず、新たに伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と花籠親方(元関脇太寿山)が出馬した。

定員を超えなかったため、無投票での就任が確実になった。無投票での理事、副理事の決定は、2008年以来6期12年ぶりになる。候補者は、評議員会の承認を経て、3月の春場所後に就任。新たな理事メンバーで、理事長を互選する。

候補者は以下の通り。

▽理事候補 八角(元横綱北勝海)、春日野(元関脇栃乃和歌)、出羽海(元幕内小城ノ花)、境川(元小結両国)、高島(元関脇高望山)、伊勢ケ浜(元横綱旭富士)、尾車(元大関琴風)、芝田山(元横綱大乃国)、花籠(元関脇太寿山)、鏡山(元関脇多賀竜)

▽副理事候補 若松(元幕内朝乃若)、藤島(元大関武双山)、高田川(元関脇安芸乃島)

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【復刻】史上初の幕尻優勝 2000年の貴闘力も涙

貴闘力の史上初の幕尻優勝を伝える2000年3月27日付の日刊スポーツ紙面

<大相撲初場所>◇千秋楽◇26日◇東京・両国国技館

前頭17枚目徳勝龍(33=木瀬)が結びの一番で大関貴景勝(23=千賀ノ浦)を破り、貴闘力以来20年ぶり2度目の幕尻優勝を達成した。

優勝を記念して、2000年の貴闘力の史上初の幕尻優勝を紙面記事で振り返ります。

   ◇   ◇   ◇

<大相撲春場所>◇2000年3月26日◇千秋楽◇大阪府立体育会館

東前頭14枚目貴闘力(32=二子山)が、史上初の幕じり優勝を飾った。勝てば優勝、負ければ決定戦にもつれ込む雅山(22)との大一番。土俵際まで攻め込まれながら執念で回り込み、最後は送り倒した。初土俵から103場所、入幕から58場所は過去の記録を大幅に塗り替えるスロー記録。32歳5カ月の年齢も、年6場所の1958年(昭33)以降の最高齢記録となった。殊勲賞、敢闘賞も獲得。土俵生活18年目で花を咲かせ、涙、涙の初賜杯だった。

貴闘力 13勝2敗(送り倒し 4秒6)雅山 11勝4敗

子供のように泣きじゃくった。武双山に力水をつけながら、花道を引き揚げながら、そしてインタビュールームで。貴闘力は、何度も青い手ぬぐいを両目にあてた。「泣くなんて、絶対オレはないだろうなって思ってた」。家族が待つ東の支度部屋。美絵子夫人(25)は「涙を見たのは初めてです」と声を震わせた。長男の幸男君(5)も「アイスが食べたい」と泣きじゃくっていた。

「運がよかったとしか言えない。本当に夢のようで、オレみたいのがとってええんかなみたいな」。史上初の幕じりの快進撃は、フィナーレも劇的だった。雅山の強烈な突き放しに後退した。両足が俵にかかる絶体絶命から、執念を発揮した。はねるように右へ回り込み、雅山を送り倒した。

がけっぷちに追い込まれた男の強さだった。持病の痛風、高血圧に悩まされ、気力もなえかけた。幕内58場所目で初めて幕じりまで落ちた。場所前のけいこでは幕下に負けた。引退も覚悟していた。だが、二子山親方(50=元大関貴ノ花)の言葉で消えかけた闘志に火がついた。「師匠にまだ老け込む年じゃない。今からでも遅くないぞ、と言われたのが一番励みになった」。14日目夜には、横綱貴乃花から「緊張しないで思い切りいったらいい結果が出るから、頑張ってください」と激励された。部屋の大きな支えがあって、栄冠を手にした。

「貴闘力」のシコ名は89年3月、新十両昇進時におかみさんの憲子さん(52)が付けてくれた。当初は「貴闘志」だったが、字画を調べて今のシコ名になった。いずれも「ただ暴れるだけじゃなく、道徳を持って闘って」との願いが込められた。それほどの熱血漢だった。今場所も獲得した敢闘賞は通算10回で史上1位。一時は若乃花、貴乃花以上のけいこ量を誇った角界一のファイターが、どん底から奇跡を起こした。

90年秋場所、若乃花と同時入幕だった。その若乃花が土俵に別れを告げた春の土俵に、遅咲きの花が鮮やかに咲いた。弟弟子たちの優勝に、ひそかな思いもあった。「いつかは自分もと……。幕内で優勝するのが夢でした」。初土俵から所要103場所、入幕から58場所、そして32歳5カ月の最高齢。長い苦労を裏付ける記録ずくめの初優勝には、大粒の涙が似合った。【実藤健一】

   ◇   ◇   ◇

◆同級生柔道古賀「俺も」

貴闘力の優勝は、4度目の五輪出場を狙う「平成の三四郎」の奮起を促すことにもなった。バルセロナ五輪柔道71キロ級金メダリスト古賀稔彦(32、慈雄会)は、優勝の瞬間をテレビでしっかり見届けた。2人は同い年で、古賀が東京・弦巻中、貴闘力が福岡・花畑中の3年時、全国中学柔道大会団体戦で対戦した縁がある。直接対決はなかったが、古賀にとって貴闘力は気になる存在で、角界での活躍も注目していた。

右足首のねんざに苦しむ古賀は、五輪代表最終選考会となる4月2日の全日本選抜体重別(福岡)に強行出場する。今回挑戦する81キロ級の代表の争いはライバルたちと横一線。優勝者が代表になる可能性が高い。今場所の貴闘力の相撲に力づけられた古賀は「その年齢に応じた集中力とテクニックを発揮すればやれるんだということを証明してくれた。僕も柔道界でそれが証明できるようにしたい」と決意を新たにしていた。

(2000年3月27日紙面から)

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白鵬横転に八角理事長「なかなか見たことがないね」

白鵬(下)を切り返しで破る遠藤(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇2日目◇13日◇東京・両国国技館

結び前の一番に、両国国技館は地鳴りのような大歓声と、その後の時ならぬ遠藤コールに包まれた。異様な熱気の中、前人未到の優勝回数43回の大横綱が、転がされていた。

横綱白鵬(34=宮城野)に挑んだ東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)の一番。ケンカ四つ同士の一番は、遠藤が自分有利の左四つに持ち込み、白鵬の連続の上手投げを強靱(きょうじん)な足腰で残し、最後は左足をかけるように、ひねりながらの切り返しで白鵬をひっくり返した。

白鵬が横転する姿に、八角理事長(元横綱北勝海)も「なかなか白鵬の、こういう負け方は見たことがないね」と少々、驚きの様子。熱戦の相撲には「白鵬も足腰がいい。最初の(遠藤の)外掛けで食ったと思ったけど、よく残った」と負けた白鵬を評価しつつ、一方の遠藤も「連続の(白鵬の)上手投げをよく残した」と熱戦をほめた。その要因として「強い白鵬がいるからこそ、こうして盛り上げる。遠藤も今日の相撲は立派。ここで浮かれるような力士ではないと思うから、明日からもやってくれるだろう」と場所の主役候補であることに期待した。

土俵下で審判長を務めた藤島審判副部長(元大関武双山)も「あれだけ白鵬が背中から落ちることは、あまりないでしょう」と話した。勝因については「遠藤が左を差せたこと。先場所と同じ立ち合いで、白鵬は左を張って右はかち上げ。それを読んで遠藤は、食わないように左はズラしながら当たった」と分析した。白鵬の最近の傾向として「左でも取れるが本来は右四つ。ここ一番で負けるのは左四つが多い」とした。2日連続金星の遠藤には「(序盤に)上位とやって燃え尽きる人もいる。(また連続金星で)変なプレッシャーになることもある。ここからです」と話しつつ「ここ最近、力をつけている。いかに平常心でいけるか」と期待した。

(撮影・小沢裕)

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遠藤鮮やか切り返し、白鵬転がし連続金星/連続写真

<大相撲初場所>◇2日目◇13日◇東京・両国国技館

人気力士で東前頭筆頭の遠藤(29=追手風)が、戦後3人目の快挙を果たした。2場所連続優勝を狙う横綱白鵬を切り返しで破り、初日の鶴竜戦に続く金星を獲得した。初日から2日連続の金星は99年秋場所の元大関栃東以来、戦後3人目。先場所まともに食らったかち上げに対応して波乱を演出した。

鮮やかな切り返しを迫力たっぷりの連続写真でお届けします。

ケンカ四つ同士の一番。立ち合いで白鵬のかち上げを受けるも、遠藤が自分有利の左四つに持ち込む

立ち合いで白鵬(左)のかち上げを受ける遠藤(撮影・小沢裕)

白鵬の連続の上手投げを強靱(きょうじん)な足腰で残す

 

 

(以上撮影・小沢裕)

最後は左足をかけるように、ひねりながらの切り返し。白鵬が横転する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(以上撮影・河田真司)

背中とお尻に砂がついたまま花道を引き揚げる白鵬。支度部屋で天を仰ぐ

(撮影・小沢裕)

(撮影・河田真司)

◆遠藤の話「勝ってよかったです。しっかり集中できたな、という感じです。また明日以降、自分の相撲を取れるよう頑張ります」

◆八角理事長の話「(白鵬は)最初の(遠藤の)外掛けで食ったと思ったけど、よく残った。(遠藤は)連続の(白鵬の)上手投げをよく残した」

◆土俵下で審判長を務めた藤島審判副部長(元大関武双山)の話「あれだけ白鵬が背中から落ちることは、あまりないでしょう。(勝因は)遠藤が左を差せたこと。先場所と同じ立ち合いで、白鵬は左を張って右はかち上げ。それを読んで遠藤は、食わないように左はズラしながら当たった」

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御嶽海1敗キープ「相撲センスはピカイチ」藤島親方

正代(左)を押し出す御嶽海(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇7日目◇14日◇東京・両国国技館

関脇御嶽海(26=出羽海)が平幕の正代を押し出しで下し、1敗をキープした。

立ち合い押し込まれてから、地力を発揮して逆転勝ちだ。白鵬休場、鶴竜3連敗と両横綱が崩れ、不透明な優勝争いの中、2日目から6連勝。「まだ全然」と言うが、8日目は貴景勝戦。勝てば、一気に“場所の主役”も交代、2度目の賜杯に接近する。

土俵際で回り込む正代を、御嶽海が追った。詰めを誤らず押し出した。

「冷静に取れてましたね。立ち合いは完璧に起こされちゃったけど、手が伸びていたから良かった」

合口は過去8勝7敗とほぼ五分。「大学時代から知ってる相手。一方的に勝つか、やられるか。初手が大事」と気をつけた初手をミスした。それでも、勝つ。

幕内後半の審判長・藤島親方(元大関武双山)が少し不満げに言った。「相撲センスはピカイチ。だけど、惜しいね。たいした稽古もしてないのに、あの相撲がとれる。首根っこ捕まえて稽古をやらせたら、どこまで強くなるか。勝負度胸もいいし」-。周囲から“場所相撲”と呼ばれる男は、やっぱり本場所で強い。

昨年名古屋場所で初優勝し、三役は歴代2位の連続16場所目。2度目の賜杯を手にすれば、大関の座は急接近する。今場所は白鵬が休場、鶴竜が3連敗…。2敗の豪栄道を除き大関以上は総崩れで、絶好のチャンス到来だが「主役? いっぱいいるじゃん?」とマイペースを崩さない。

御嶽海が今場所の主役に推すのは大関復帰を狙う貴景勝で、8日目が大一番。勝てば、嫌でもV戦線の“主役”になる。

正代(右)を激しく攻める御嶽海(撮影・鈴木正人)

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貴景勝「気合でしょ。戦うのが仕事」大関復帰へ闘志

土俵祭りに出席した貴景勝(撮影・鈴木正人)

大相撲秋場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた7日、同所で恒例の土俵祭りが行われ、大関復帰を目指す関脇貴景勝(23=千賀ノ浦)らが参加した。貴景勝は初日で平幕の大栄翔、2日目に碧山と対戦。右膝の負傷により2場所連続で休場し、本場所の土俵に立つのは約4カ月ぶりとなる。初日に向けて「気合でしょ。気持ちで負けたらダメ。4カ月間フラストレーションがたまっている。今まで仕事していないニートみたいなもの。戦うのが仕事だから」と闘志をみなぎらせた。

大関返り咲きに向けて10勝以上が必要。「自分が良くても相手が良かったら負ける。負けたとしても14日間ある。あまり考えず、やるべきことをやっていく」。112日ぶりとなる本場所。2、3日に行われた二所ノ関一門の連合稽古など、関取衆との申し合いで大きく勝ち越すことはなかったが、基礎運動などで入念に体を仕上げてきた。「4カ月間で気づいたことがある。食生活だったり、今までより細かく突き詰めてきた」。

00年以降、1場所で大関復帰を果たした栃ノ心、栃東、武双山ら5人6例では、いずれも初日からの連勝発進に成功している。カギとなる序盤戦に向けて、貴景勝は「いいスタートを切りたい」と、短い言葉に力を込めた。

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関脇転落の貴景勝、夏巡業初日から参加せず治療優先

貴景勝(2019年5月19日撮影) 

大相撲の大関貴景勝(22=千賀ノ浦)の関脇転落が決まった13日、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が、7月末から行われる夏巡業を初日から参加させない方針を示した。

師匠によると、貴景勝は14日に帰京して15日から都内で治療、リハビリに励む予定。28日から岐阜市での開催を皮切りに、夏巡業が始まるが、師匠は「最初から出る予定はない。治療して考える」とした。

貴景勝は同日に発表された名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)8日目の取組に入らず、2場所連続での負け越しが確定した。9月の秋場所で10勝以上を挙げれば大関に復帰できる。この日、同所で取材に応じた千賀ノ浦親方は関取衆と相撲を取れる状態になることを、出場における一つの目安としている。「(稽古の)貯金というものはない。常に押し相撲をどんどんやっていって、体をぶつけないといけない」。

大関昇進2場所での転落は現行制度となった69年名古屋場所以降で、00年名古屋場所の武双山(1場所で大関復帰)以来2人目。大関から降下するのは同制度以降で3月の春場所の栃ノ心以来、19人目(22例目)。

貴景勝は新大関で臨んだ5月の夏場所で負傷した。途中休場後に一度は再出場したが、大関以上では極めて珍しく再休場。今場所前は稽古再開後もペースが上がらず、全休の意向を示していた。

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貴景勝「師匠の判断は絶対」事実上の大関陥落に苦渋

名古屋場所の休場を明言し、車に乗り込む大関貴景勝(撮影・佐藤礼征)

右膝に不安を抱える大関貴景勝(22=千賀ノ浦)が、かど番となる大相撲名古屋場所(7日初日、ドルフィンズアリーナ)を休場することが決まった。4日、名古屋市の千賀ノ浦部屋で明言した。途中出場の可能性も完全に否定し、新大関から2場所で関脇へ事実上、転落することとなった。大関昇進2場所での陥落は、現行制度となった69年名古屋場所以降では、00年名古屋場所の武双山以来、2人目となった。

   ◇   ◇   ◇

右膝の回復を主張し、出場を望んでいた貴景勝が、翻意した。この日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)に「出させてください」と訴えたが、「休場しろ」と説得する師匠は折れなかった。午前10時頃から約4時間30分の話し合いは平行線。一時中断後、テレビ出演や治療を経て、午後6時30分から約15分間、部屋で再度、師匠と顔を合わせた。部屋から出てきた貴景勝は報道陣に「休場します」と一言。全休するかの問いに「もちろんそうです」と、事実上の大関陥落を受け入れた。「師匠の判断は絶対。僕も納得している」と、淡々と話した。

調整遅れは顕著だった。先月12日に土俵上での稽古を再開。名古屋入り後は、2日から若い衆を相手に相撲を取る実戦的な稽古を始めたが、関取衆との申し合いは最後まで行わなかった。貴景勝は「今までも申し合いをしないで(本場所に)出たことはある」と強気だったが、千賀ノ浦親方は「若い力士と取っただけで相撲勘というのは戻るわけない」と断言した。

頭に浮かんだのは、小学生の時から目標に掲げていた横綱の地位だった。最終的な休場の申し出は、貴景勝本人から。「何年後も見据えて力士生活がある。最後の番付を目指すには、しっかり治さないといけない」と将来を見据え、決断した。

大関復帰へ、9月の秋場所では2桁白星が求められる。今後は帰京して、専門のトレーナーなどと治療、リハビリに励む予定。「5、6年後にこの経験があったから今の自分があると言えるくらい、もう1度気合を入れ直してやるしかない」。苦渋の決断に至った22歳は、反骨心をバネにさらなる成長を期した。【佐藤礼征】

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貴景勝かど番脱出なるか/名古屋場所番付アラカルト

大関貴景勝(19年6月16日撮影)

日本相撲協会は24日、名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表した。

<名古屋場所番付アラカルト>

▼大関 貴景勝の昇進2場所目でのかど番は、現行制度以降9人目。過去8人中、負け越して大関陥落は武双山だけ。栃ノ心は昭和以降9人(10度)目の大関復帰を果たした。

▼御嶽海 4場所ぶり関脇復帰で15場所連続三役は昭和以降、単独2位。

▼新三役2人 約3年ぶり。東小結阿炎は現師匠の部屋創設後、豊真将以来2人目で埼玉県からは戦後4人目。西小結竜電は現師匠の部屋創設後初の新三役。山梨県からは戦後3人目、初土俵から所要79場所は史上10位のスロー昇進で、関取経験者の序ノ口陥落後に新三役は史上初。

▼新入幕 貴源治は千賀ノ浦部屋からは18年秋場所の隆の勝以来、栃木県からは戦後4人目の幕内力士。

▼新十両4人 竜虎は熊本県からは戦後33人目。一山本は部屋から約9年ぶり(旧松ケ根部屋を含む)の新十両で、北海道からは戦後78人目、中大からは9人目の新十両。木崎海は兄美ノ海との史上21組目の兄弟関取。琴鎌谷改め琴ノ若は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)との史上10組目の親子関取となった。

関脇御嶽海(19年5月10日撮影)

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鶴竜が東横綱、貴景勝大関2場所目でかど番 新番付

貴景勝

日本相撲協会は24日、大相撲名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の新番付を発表した。

先場所と東西が入れ替わった横綱は、東が鶴竜(33=井筒)、西が白鵬(34=宮城野)となった。鶴竜は横綱在位32場所となり千代の山と並び史上10位(1位は白鵬の72場所)。昨年夏場所以来となる6回目の優勝を目指す。全休明けからの復帰を目指す白鵬は、43回目の優勝を目指す。

大関は東西の正位が豪栄道(33=境川)と高安(29=田子ノ浦)で変わらず。先場所、2度の途中休場があった、かど番の貴景勝(22=千賀ノ浦)は東の2枚目。大関2場所目でのかど番は、現行制度になった69年名古屋場所以降、昨年秋場所の栃ノ心以来、9人目。過去8人中、負け越して大関から陥落したのは武双山だけ。ケガの回復具合が気になるだけに、大関を維持できるか注目だ。西の2枚目は05年春場所の栃東以来の大関復帰となった栃ノ心(31=春日野)。昭和以降の大関復帰は9人(10度)目となった。

関脇は東に昨年九州場所以来、4場所ぶりに復帰した御嶽海(26=出羽海)。15場所連続三役在位は昭和以降、単独2位(1位は若の里の19場所連続)。西の玉鷲(34=片男波)も2場所ぶりの関脇復帰(三役としても2場所ぶり)となった。

東西の小結は、いずれも新三役でフレッシュな顔ぶれとなった。東の阿炎(25=錣山)は錣山部屋からは現師匠の部屋創設後、11年九州場所の豊真将以来、2人目。埼玉県からは若葉山、若秩父、今年春場所の北勝富士(八角)に続き、戦後4人目の新小結誕生となった。西の竜電(28=高田川)は、現師匠の部屋創設後としては初の新小結。山梨県からは富士錦、富士桜以来、戦後3人目。初土俵から所要79場所の新三役は史上10位のスロー昇進(1位は玉龍の107場所)。関取経験者が序ノ口陥落後に新三役を果たしたのは、史上初の快挙だ。なお、同じ場所で新三役が2人誕生したのは、16年夏場所の琴勇輝、魁聖以来となる。

名古屋場所は、7月5日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。7日の初日を迎える。

横綱鶴竜

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三役経験なしVは58年ぶり/朝乃山優勝アラカルト

優勝を決め、タイを手に笑顔の朝乃山(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇14日目◇25日◇東京・両国国技館

令和最初の本場所で、西前頭8枚目の朝乃山(25=高砂)が初優勝を飾った。昨年初場所の栃ノ心以来となる平幕優勝。富山県出身としては元横綱太刀山以来103年ぶり、三役経験がなく優勝したのは佐田の山(後の横綱)以来、58年ぶりという記録ずくめ。新時代到来を印象づける優勝となった。

<朝乃山優勝アラカルト>

◆三役未経験 三役経験のない平幕Vは佐田の山以来58年ぶり。

◆スピード初V 初土俵から所要20場所は史上8番目(付け出しを含む)。

◆平成生まれ 照ノ富士、御嶽海、貴景勝に続き4人目の優勝。

◆高砂部屋 46度目で九重52度、出羽海50度に続き部屋別3位。

◆富山県出身 9回Vの太刀山に続き2人目。最多は北海道の120度。

◆付け出し力士 輪島、朝潮、出島、武双山、琴光喜、御嶽海に続き7人目。

支度部屋での取材対応中、涙を手で拭う朝乃山(撮影・河田真司)

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八角理事長「小さい人が勝つのが醍醐味」炎鵬に期待

矢後(左)を上手ひねりで破る炎鵬(撮影・加藤諒)

<大相撲夏場所>◇6日目◇17日◇東京・両国国技館

現役関取ただ一人の体重90キロ台力士として奮闘する、新入幕で西前頭14枚目の炎鵬(24=宮城野)が、この日も178キロと腰の重い同12枚目の矢後(24=尾車)を手玉に取り、上手ひねりで転がし5勝目(1敗)。幕内前半の土俵をわかせている。

その奮闘ぶりを、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)も「“こうして勝つんだ”という型を持っている。いろいろなことをして左を差したり、足を取ったり、動いても勝っている。大きい人は(対戦するのが)嫌だろう」と評価した。将来的な注文として「今は(この取り口で)いいが、慣れてくると違ってくる。何番も取るうちに(相手も)扱い方が分かってくる。自分(=炎鵬)も進化しないといけない」としたが、現状では「小さい人が大きい人に勝つのが相撲の醍醐味(だいごみ)。今場所は精いっぱいやればいい」と期待した。

また、この日は幕内後半戦の審判長を務めた審判部の藤島副部長(元大関武双山)も「あの体で幕内にいて、それで好成績。お客さんも喜ぶだろうし、大健闘ではないでしょうか」と評価。連日の奮闘を「相手は(炎鵬の)的が小さく思い切りいけないから、やりづらいだろうけど(一方で)自分の倍ぐらいの人とやる炎鵬もきつい。そこのせめぎ合いでしょう」と解説した。

炎鵬は矢後(左)を上手ひねりで下す(撮影・小沢裕)

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貴景勝休場 早朝から複数病院で検査 再出場絶望的

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

<大相撲夏場所>5日目◇16日◇両国国技館

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷のため夏場所5日目から休場することを決めた。16日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に(相撲を)取って相撲人生を終わらせるわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治して欲しい」と話した。5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

千賀ノ浦は前日から休場させる意向だった。「本人が一番悔しいし出たいとは思う」と弟子の意思を尊重しながらも、「私はもともと休場させるつもりだった」と明かす。貴景勝は早朝から病院を複数軒まわっており、MRIを撮るなどして、けがの詳細を調べている。

貴景勝は前日4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。故障を招いた場面は、貴景勝本人いわく「投げを打った際」という。

新大関場所で、あまりにショッキングな出来事。師匠は「けがは怖いですね…」と神妙な面持ちで話した。再出場の可能性については「考えていないですけどね。その辺はまだ今日病院に行ったばかりなので」と話すにとどめた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

貴景勝(右)は寄り切りで御嶽海を下す(2019年5月15日撮影)

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