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横審、稀勢の里Vに感動 白鵬には「衰えた」の声も

稀勢の里

 大相撲の横綱審議委員会が27日、東京・両国国技館で開かれ、春場所で優勝した横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)に称賛の声が上がった。北村正任委員長は「大変ドラマチックな結果だった。委員の中で批判はなかった。私もそう思う。普段相撲を見ない人も感激していた」と左肩付近を負傷してでも土俵に立ち、逆転優勝した姿に感嘆した。都倉俊一委員も「鶴竜に負けたけど出てきた。終始右でいったところに彼の覚悟を感じました。(横綱に)推薦して本当によかった」と話し「肩を治してもらって、あと4年ぐらいは大いに暴れてもらわないと困る」と、さらなる活躍に期待した。

 優勝同点だった大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)についても言及。北村委員長は「最後まで優勝争いをしたのは照ノ富士だけ。膝が悪い中で頑張った。ケガをきちっと治して欲しい」と話した。夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)での綱とりについて都倉委員は「年間勝率も考えるべきだという話も出た。今場所が起点。前は4勝だったからね」と安定した成績を求める声が上がったことを話した。

 17年ぶりの4横綱時代を迎えた春場場所で唯一、休場した横綱白鵬(32=宮城野)に北村委員長は「若干衰えたんじゃないか、と言う人もいる。まだまだきちっと体調整えて出てくれば、成績をあげられる横綱だと思うので頑張って欲しい」と話した。

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稀勢の里V一夜明け「忘れられない場所になった」

一夜明け会見に臨む稀勢の里(撮影・岡本肇)

 大相撲春場所で左上腕の負傷を乗り越え逆転優勝を果たした横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が千秋楽の激闘から一夜明けた27日、大阪市内の宿舎で会見した。

 約100人の報道陣が集まり、宿舎到着時には待ち構えたファンから「横綱おめでとう」と祝福を受けた稀勢の里は「忘れられない場所になった。初めての土俵入りもそう。まったく違うことがたくさんあった。一生の思い出になる」と語った。

 千秋楽の照ノ富士との2番については「上がだめなら下でやろうと。下半身の出来はすごい良かったから。疲れもなかったですし、下で動き回ろうという気持ちだった」と明かした。

 痛みについては「ほぼほぼない」と話し、今後については「維持することじゃなく、1つ1つ今までやって来た通り、階段を上っていくような気持ちで、追い求めてやり続けていきたい」と、さらなる高みを目指す決意を語った。

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稀勢の里、逆転V2に男泣き!左腕は全治3カ月か

稀勢の里(右)は優勝決定戦で小手投げを決め照ノ富士を下した(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 歴史に残る逆転優勝が生まれた。13日目の取組で左肩付近を痛めていた新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が95年初場所の貴乃花以来22年ぶり、史上8人目の新横綱優勝を飾った。1差で直接対決となった大関照ノ富士を本割で突き落として13勝2敗で並び、決定戦でも逆転の小手投げ。初優勝から2場所連続の優勝は史上7人目の快挙で、君が代斉唱の場面では観客総出の大合唱に男泣きした。

 激しく乱れた息など気にしなかった。肩はいからせたまま。大歓声を背に支度部屋に戻った稀勢の里は、血走った目でテレビを見つめた。それは1分前の決定戦の映像だった。逆転の小手投げが決まり、勝った。その瞬間に「ヨッシャー!!」と声を張り上げた。形相はまるで鬼だった。16年前の01年夏場所の貴乃花のように。「苦しかった分、うれしい」。激しい呼吸音の中で、言葉にならない喜びの声。目が潤んでいった。

 試練の土俵だった。13日目に負ったけが。関係者によれば、上腕二頭筋の筋肉の損傷だった。幸い断裂はしていないが、見立ては全治3カ月。その夜、静岡から治療の先生を呼び寄せた。休む選択は最初からなかった。だが、弱音を吐かずに出場した14日目は完敗。そこで覚悟を決めた。「気持ちだけぶつける」。

 上腕の内出血をテーピングで隠した左手は使えない。だが、何が何でも勝つと挑んだ。最初の本割。1度目の立ち合いで右に動いた。変化だった。不成立で作戦は露呈したが「違うことをしよう」と、次は左に動いた。不器用な変化は決まらない。それでも懸命にもがき、動いた。回り込み、右手で突き落とした瞬間、館内が大きく揺れた。

 迎えた20分後の決定戦。今度はもろ手で立ったが、もろ差しを許した。絶体絶命の体勢。後ろに下がる。それでも、あきらめなかった。左ははなから捨てていた。体を開いて狙ったのは、得意とは反対の右小手投げ。「やったことなかったけどね」。左腕から土俵下に落ちようが構わなかった。奇跡の逆転優勝に館内はまた沸いた。22年ぶりの新横綱優勝。神風が吹いた。

 あの日もそうだった。1月27日。第72代横綱として推挙式に臨んだ東京・明治神宮。青空の下、推挙状を受け取る際、普段とは反対の本殿の方角から風が吹いた。人が振り向くほどの温風が舞った。横綱土俵入りの際も2度、同じ風が吹いた。宮司は「50年に1度吹く風です。神風ですね」と言ったという。土俵の神が与えた試練に、鬼の気迫で応えた稀勢の里。その姿だから、神風はまた吹いた。

 大合唱の君が代斉唱。多くの観客が泣いていた。稀勢の里の目も涙であふれた。「今までの相撲人生15年間とは全く違う場所。見えない力を感じた15日間でした。あきらめないで、最後まで力を出して良かった」。稀勢の里の時代が確かに幕を開けた。【今村健人】

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照ノ富士V逸、連日ブーイング「やっと終わった」

本割で稀勢の里に突き落としで敗れる照ノ富士(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)は、15年夏場所以来の賜杯を逃した。手負いの稀勢の里に本割と優勝決定戦で連敗。2度の好機をものにできなかった。

 相手は大きなケガを負っていた。やりづらさについて聞かれると「特になかった。自分の問題です」と言い訳はしなかった。自身4度目のかど番を自己最速の9日目に脱出。力強い相撲が戻り、左膝の故障から復活したように見えた。しかし13日目の鶴竜戦で負傷。それからは稽古も思うようにできず、治療に専念していた。

 流れも悪かった。14日目の琴奨菊戦で変化して勝った影響が残った。観客からは、この日も厳しい声を浴びせられた。連日の異様な雰囲気に「目に見えるつらさと目に見えないつらさがあるんだよね。それを表に出すか出さないかです」とたまっていた気持ちをはき出すように話し「やっと終わった」とつぶやいて支度部屋を後にした。

 15年春場所以来、自己最多タイの13勝を挙げ、優勝次点で幕を閉じた春場所。しかし、審判部などから来場所での綱とりの声は上がらなかった。ここ1年で4度のかど番と、14日目の変化が印象を悪くした。平成生まれ初の横綱への挑戦は、一からのスタートとなった。【佐々木隆史】

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稀勢の里、横綱の責任感 休場危機も迷わず出場決断

祝勝会で、満面の笑みで鯛を持ち上げる稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 19年ぶりに誕生した日本出身の新横綱が、歴史に残る奇跡の優勝を成し遂げた。稀勢の里が本割、優勝決定戦で大関照ノ富士に2連勝。2日前に負った左肩付近のけがで休場危機に陥りながら逆転した背景には、驚異的な回復力と土俵に向き合う真剣な姿勢があった。

 春場所13日目の24日。初黒星の一番で負傷し、激痛に苦しみながら救急車で病院へ運ばれた。東京など遠方からかかりつけの整体師らを呼び寄せ、24日夜には迷うことなく出場を決断。関係者によると、付け人たちに「出るから。準備を頼む」と告げたという。治療を施した柔道整復師は「普通の力士なら休場でしょう。でも横綱の選択肢には全くなかった。責任感と気持ちの大きさだと思う」と声を震わせる。

 稀勢の里の頑丈な肉体を支えるのは回復力だ。2014年秋場所10日目の宝富士戦。左四つとなった土俵中央で左肩を脱臼し、動けなくなった。長い相撲の末に敗れ「立っているのがやっとだった。土俵上で脂汗が止まらなかった」と吐露する。翌日は珍しく患部にテーピングを施して、完敗。しかし取組後に東京都内の治療院へ直行すると、肩は元通りになった。

 15歳で力士になり、先代師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)に限界を超えた朝稽古で連日鍛えられた。血がにじむ傷口は夜にふさがってかさぶたとなり、当時の兄弟子は「天才的な細胞だ」とうなった逸話も残るほどだ。

 愚直に歩み続ける根性も見逃せない。たった1日の休場となった14年初場所千秋楽を今も悔やみ、「決めたことをやり続ける。簡単なようで、実はこれが難しい」と言う。幼稚園から中学卒業まで一度も欠席がなかったという男にとって、休むことは屈辱だった。新横綱場所で訪れた大きな試練を打破。土俵人生にまた1つ、大きな勲章が加わった。

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八角理事長「語り継がれる逆転優勝」稀勢の里を絶賛

八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 後世にまで残る一番で連続優勝を果たした横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の相撲に、協会関係者も賛辞を惜しまなかった。

 役員室で見届けた協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)は、優勝決定戦で勝負が決まった後、開口一番で「今後、語り継がれる逆転優勝だ」とテレビ画面にくぎ付けになった。もろ差しを許しながらの逆転勝ちに「最後まであきらめないことが大切だということ。稀勢の里は本当に大したもんだね。きのう、おとといのことを考えたら、こんなことが起こるとは」と話し、敗者にも「右足が送れなかった。やりづらかったと思うけど、照ノ富士もよくやったと思う」と労をねぎらった。

 6月に65歳の定年を迎え、審判部も春場所が最後の友綱副部長(64=元関脇魁輝)は、この歴史的一番を幕内後半戦の審判長として土俵下から見届けた。「自分にとって最後の最後に、こんな相撲を見られるなんて、審判をやってきて良かった」と巡り合わせに感謝。「稀勢の里に勝てる要素はなかったのにビックリした。体勢は良くなかったけど、動き続けた分、照ノ富士はついて行けなかった。決定戦もうまく逃げ回るようにして、最後は(ケガをしていなくて)使える手の方に回った」と逆転の投げを打ったシーンを述懐した。

 2場所連続で稀勢の里に優勝旗を渡した二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)も「みんな泣いていた。本人は特に(目が)真っ赤だった。感動的だったよね。(お客さんも)2番勝つとは思わなかったんじゃないの」と間近で号泣した新横綱の姿に驚いた様子。稀勢の里の横綱昇進には「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」という横綱審議委員会(横審)の内規に満たないなど、多少の物議はあった。審判部のトップとして自信をもって推薦しただけに「これで納得でしょう」と笑みを浮かべて話した。

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V逸照ノ富士に厳しい声「目に見えないつらさある」

優勝決定戦で稀勢の里に敗れた照ノ富士は、土俵に座ったままぼうぜんとする(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 1敗で単独トップに立っていた大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が、左肩付近の負傷から強行出場した横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)に本割と優勝決定戦で連敗し、15年夏場所以来2度目の優勝を逃した。手負いの相手との一番にやりづらさを聞かれると「特になかった。自分の問題です」と言い訳はしなかった。

 14日目の琴奨菊戦で変化で勝った影響からか、この日も観客からは厳しい声が浴びせられた。

 「目に見えるつらさと目に見えないつらさがあるんだよね。それを表に出すか出さないかです」とたまっていた気持ちをはき出すように話した。

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稀勢の里、横綱初&2連続V 照ノ富士と決定戦制す

内閣総理大臣杯を受け取る時、顔をゆがめる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 手負いの新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が優勝決定戦で、大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)を小手投げで下し2場所連続優勝を果たした。

 稀勢の里は照ノ富士を1差で追う展開だったが、本割で照ノ富士を突き落として13勝2敗で並んで優勝決定戦へ持ち込んだ。

 稀勢の里は13日目、日馬富士戦で左肩付近を痛めながら強行出場。横綱昇進後最初の場所で意地を見せ、昇進後初優勝を決めた。新横綱の優勝は貴乃花以来22年ぶりとなる。

 また、関脇高安(27=田子ノ浦)が3度目の殊勲賞。貴景勝(20=貴乃花)は11勝を挙げ、初の三賞となる敢闘賞を獲得した。技能賞は6場所ぶりに該当者なしだった。

 十両は元幕内の豊響(32=境川)が3人のともえ戦による優勝決定戦を制して3度目の優勝。序二段は若山(阿武松)、幕下は元十両の阿炎(錣山)、三段目は玉金剛(片男波)、序ノ口は一山本(二所ノ関)が優勝を決めている。

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手負いの稀勢の里が号泣V「苦しかった分うれしい」

優勝した稀勢の里は、表彰式での君が代斉唱の時に涙ぐむ(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 手負いの新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が優勝決定戦で大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)を下し、2場所連続2度目の優勝を果たした。

 表彰式に臨んだ稀勢の里は、君が代を聞きながら涙をこらえられなかった。賜杯を受け取ると、左肩の痛みに顔をしかめた。

 「本当に、この応援のおかげ、支えてくれた人のおかげです。すみません。今日は泣かないと決めていたんですが、すみません。苦しかった分、うれしいですね」と声を震わせた。本割については「気持ちだけぶつけようと思って土俵を出ました」。決定戦は「自分の力以上のものが出た。あきらめないで、最後まで力を出せて良かった」と振り返った。

 横綱として初めて迎えた15日間を振り返り「今までの相撲人生、15年間とは全く違う場所でした。横綱土俵入りも初めて務めて、疲れたというのが一番ですが、何か見えないものを感じた15日間でした」と話した。来場所へ向けて「ケガをしっかり治して、5月場所に元気な姿を見せられるように、明日から治療に専念したい。今日の千秋楽は見えない力で勝てた。もっと力をつけたいと思います」と話した。

 稀勢の里は照ノ富士を1差で追う展開だったが、本割で照ノ富士を突き落とし優勝決定戦へ持ち込んでの優勝。横綱昇進後最初の場所で意地を見せ、昇進後初優勝を決めた。

八角理事長(右)から優勝賜杯を受け取る稀勢の里(撮影・鈴木正人)
内閣総理大臣杯を受け取る時、顔をゆがめる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

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稀勢の里、照ノ富士に勝って優勝決定戦に持ち込む

横綱稀勢の里

<大相撲春場所>◇千秋楽◇26日◇エディオンアリーナ大阪

 新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)を破り、13勝2敗で並んで、同じ顔合わせでの優勝決定戦へ持ち込んだ。

 優勝争いは1敗の照ノ富士と、2敗で追う稀勢の里に絞られていたが、直接対決で稀勢の里が勝ち追いついた。稀勢の里は13日目、日馬富士戦で左肩付近を痛めながら強行出場している。

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稀勢の里強行出場も左差せず…師匠「信じている」

鶴竜に寄り切りで敗れた稀勢の里は、唇をかみしめながら花道を引き揚げる(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 13日目の日馬富士戦で左肩付近を痛めながら強行出場した新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は、横綱鶴竜にあっけなく寄り切られて2敗に後退した。左肩から上腕にかけてテーピングを施し、意を決して臨むも、いつもの相撲は取れなかった。それでも、千秋楽の出場も明言。大関照ノ富士にトップの座を明け渡したが、千秋楽の直接対決で逆転優勝に望みをかける。

 強い責任感と、断固たる決意で臨んだ土俵のはずだった。それでもまだ、覚悟は足りなかったのか。それ以上に重傷なのか。あっけなく俵を割った直後、稀勢の里は顔をしかめた。左腕を力なく下げた格好で。優勝争いの先頭を照ノ富士に明け渡し、自身は2敗に後退した。短く「まあ明日。大丈夫です」と言った。

 13日目に負った左肩付近のけが。周囲は「肩の付け根付近を痛めたのでは」という。朝は稽古場に姿を現さなかった。それでも出場を直訴した。15年間の相撲人生で、1度だけ休場した14年初場所千秋楽。この日を「今までで一番つらかった」と振り返るほどに強い出場への思い。これに、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)も「本人は大丈夫だ、出ると。そういう強い意志がある」と承諾した。事実、肩から上腕にかけてテーピングを施しただけ。土俵入りでは、かしわ手こそ音は小さかったが、手を高々と上げた。「いつもと変わらなかった」と露払いの松鳳山。公の場で、表情は少しも崩さなかった。

 ただ、出番前の稽古で1度だけ、うめき声を上げる場面があった。試した形も、もろ手でぶつかったり左を固めたり、組んだり…。1つに決めきれない。迎えた鶴竜との結びで選んだのは張り差しだったが、痛めた左は差せなかった。もろ差しを許し、わずか2秒5で寄り切られた。審判員として土俵下で見守った師匠は「ちょっと消極的だった」と心配しつつ「本人を信じている」と言い切った。

 引き揚げた支度部屋。弱みは見せたくなかったのだろう。先に日馬富士が入っていた風呂には向かわず、トイレでテーピングを外した。けが関連の質問には答えず「やるからには最後までやりたい。明日、しっかりやる」と言った。49年夏場所以降、千秋楽直接対決から1差逆転優勝を飾ったのは9例。出るからには横綱の責任が生まれる。覚悟を決めたときにだけ、10例目も生まれる。【今村健人】

 ◆おしん横綱 83年に30歳10カ月の遅咲きで第59代横綱に昇進した隆の里(先代鳴戸親方)は「おしん横綱」と言われた。糖尿病を患うも、栄養学を独学で学び、徹底した節制で克服。その困苦に耐える姿が当時大ヒットしたNHK朝の連続テレビ小説「おしん」の主人公と重なったことから、そう呼ばれた。

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照ノ富士、V王手も立ち合い変化で理事長ら苦言

照ノ富士(右)は立ち合い右に跳び、はたき込みで琴奨菊を破る(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が1敗を守り、単独首位に立った。大関復帰を目指す関脇琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)をはたき込みで下し優勝次点だった15年春場所に並ぶ自己最多の13勝目を挙げた。15年夏場所以来2度目の優勝をかけ、今日26日の千秋楽で2敗の稀勢の里との直接対決に臨む。

 異様な雰囲気が会場を包んだ。大関復帰まで1敗も許されない琴奨菊相手に、照ノ富士は立ち合いで右に変化した。前のめりになった相手の頭を右手で押してはたき込み、わずか0秒6で決着。「お前なんか応援しねーぞ」「そこまでして勝ちたいんか」「2度と横綱目指すなんて言うな」。まさかの展開にブーイングが飛び交った。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「良くない」と苦言を呈した。

 誰も予想していなかった立ち合いの変化。「上がってから」と土俵の上で決めていた。1度立ち合いが合わなかったが「1度決めちゃったから」と気持ちは変わらなかった。だが、予兆はあった。初顔合わせとなった14年秋場所で、照ノ富士が右に変化してはたき込んで白星。15年夏場所の千秋楽では、今度は琴奨菊が左に動いてはたき込んで勝ち越しを決めた。ここ一番で互いに注文相撲を選ぶ因縁があった。

 今場所初めて昨年初場所を途中休場して手術した左膝のテーピングの上からサポーターを着けた。「大丈夫です」とあっけらかんと話すが、ダメージは確実に蓄積されている。この日の朝稽古は四股を数回踏んで終わり、足を引きずりながら引き揚げ、病院に向かった。場所中盤から「痛いのを我慢してる」と漏らしていた左膝で、立ち合いで踏み込むのは厳しかった。

 15年夏場所以来2度目の優勝をかけて今日26日の千秋楽で稀勢の里と直接対決する。「自分もケガして苦しいとき、ちょっとずつ良くなってきた。良くなってほしい」と回復を願ったが、土俵の上では関係ない。「全力でやるだけです」。真っ向勝負を挑む。【佐々木隆史】

 八角理事長(元横綱北勝海)のコメント (照ノ富士には)真っすぐ行ってほしかった。勝ちたい気持ちは分かるけど大関だからね。残念は残念。お客さんもいい相撲を見て満足してくれる。その見せるという認識がね。

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琴奨菊「前を向いて行けばいい」大関復帰の望み絶つ

照ノ富士に敗れ6敗目を喫し、ガックリと引き揚げる琴奨菊(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 関脇琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)は6敗目で、1場所での大関復帰を逃した。

 大関復帰への望みは、あっけなく絶たれた。1敗もできない中で迎えた照ノ富士戦。右に動いた相手についていけず、6敗目を喫した。10勝の復帰ラインに到達する可能性が消滅した。

 大関から陥落した初場所後、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)に誘われ焼き肉店へ出向いた。酒は飲めないのに「何かしら自分を変えていかないと」と、おちょこ2杯の日本酒を口にした。出稽古も志願した。「結果はどうなるか分からないけど、持ってるものを出せたらいい」。気持ちを新たに臨んだ春だったが、結果を残せなかった。

 それでも、土俵人生が終わるわけではない。「前を向いて行けばいい。自分なりに考えてきた結果やから。明日も、しっかり相撲を取る」。自分に言い聞かせるようにして、引き揚げた。

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変化の照ノ富士に「勝負しろよ」「取り直せ」と怒号

単独トップに立った照ノ富士は、記者の質問に答える(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が優勝争いで単独トップに立った。ただ、大関復帰を目指し真っ向勝負を挑んできた琴奨菊に対し、立ち合いで右に変わっての勝利。館内では「勝負しろよ」「取り直せ」と怒号が飛び、騒然となった。

 照ノ富士が突っかけて待ったとなり、2度目の立ち合いだった。厳しい声を浴びた大関は「その(待ったの)時に何か気持ちが…。一度(変化すると)決めたら迷ったらあかん」と13勝目を解説した。

 千秋楽は手負いの稀勢の里と当たる。勝てば23歳だった2年前の夏場所以来、2度目の優勝が決まる。来場所の綱とりまで見えてくるが、昇進を預かる日本相撲協会審判部の二所ノ関部長(元大関若嶋津)は「規定はそうだが、内容もある」と慎重だった。

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八角理事長「残念は残念」照ノ富士の変化に注文

立ち合いに右へ変化した照ノ富士は、琴奨菊をはたき込みで破り13勝目を挙げる(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 立ち合いの変化で勝負をつけ、館内に大ブーイングと落胆の嵐を巻き起こした大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)の相撲に、協会関係者も残念そうな言葉を口にした。

 役員室のテレビで見守った協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)は「真っすぐ行ってほしかった。勝ちたい気持ちは分かるけど、大関だからね」と、穏やかな口調ながら注文をつけた。満員御礼が続くファンあっての大相撲。「いい相撲を見て、お客さんは満足してくれる。残念は残念だね。(ファンに)見せるという認識がね」と、大関の意識不足を指摘した。

 幕内後半戦の審判長として正面土俵下から見守った審判部の二所ノ関部長(60=元大関若嶋津)も「上(=横綱)を狙う人がガッカリだね」とチクリ。照ノ富士が今場所優勝すれば「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規に照らせば、来場所は綱取りになるが「今日みたいな相撲だと印象がね」と、昇進問題に影響しかねないことも示唆した。

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日馬富士4敗目…照へのブーイング余波で集中できず

玉鷲に寄り倒しで敗れ土俵に座る日馬富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)が、関脇玉鷲(32=片男波)に寄り倒されて、4敗目を喫した。

 集中力が武器の日馬富士だが、この日は異様な場内の雰囲気に心が乱れた。直前の取組で変化して琴奨菊を下した照ノ富士へのブーイングが止まらず「オレが土俵に上がってるのに、すごい言葉を言ってくるから」と戸惑った。

 「相撲を取るどころじゃなかった。集中してるけど耳に入ってしまう。次の一番に集中してる人のことも考えてほしい。大けがにもつながるから」と、ヤジを続けた観客に苦言を呈した。一方で、優勝に近づいた弟弟子の照ノ富士にも「今日の内容は悪いよ」とチクリ。前日の対戦で左肩から胸付近を負傷しながら強行出場した稀勢の里については「(思うことは)ないよ。勝負だから」と多くを語らなかった。

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琴奨菊、来場所の大関復帰消滅「結果論…仕方ない」

琴奨菊(手前)を、はたき込みで下した照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 大関から転落した関脇琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)が、大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)に敗れて6敗目を喫し、場所後の大関復帰の望みを絶たれた。

 立ち合いで右に変化した相手の動きにまったくついていけずに、でんぐり返し。過去にも変化されて黒星を喫していた相手に、またもやられて「自分との戦いだと思った。結果論だから仕方ない」と悔やんだ。痛恨の敗戦になったが「前向いて行けばいい」と話した。

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強行出場の稀勢の里2連敗「明日しっかりやります」

鶴竜(右) に寄り切りで破れた稀勢の里(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 13日目の日馬富士戦で左肩から胸付近を負傷し、強行出場となった新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は、横綱鶴竜(31=井筒)に寄り切られ手痛い2敗目を喫した。

 立ち合い右の張り差しを試みたが、差し手争いで左を差せなかった。鶴竜にもろ差しを許すと、そのまま力なく土俵を割った。

 負傷した左肩付近を広範囲のテーピングで固定し、満身創痍(そうい)の状態だったが、本来の実力を発揮できなかった。

 千秋楽は逆転優勝の望みを懸けて、1敗で優勝争いのトップを走る大関照ノ富士と対戦する。稀勢の里は「明日(千秋楽)しっかりやります」と厳しい表情で話し、会場を引き揚げた。

 前日13日目に負傷した際はうめき声を上げるなど、痛々しい姿を見せていたがこの日は終始ポーカーフェイスを貫いていた。

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強行出場の稀勢の里2連敗!照ノ富士トップ1敗守る

鶴竜(右)の立ち会いを左肩で受ける稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 13日目の日馬富士戦で左肩から胸付近を負傷し、強行出場となった新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は、横綱鶴竜(31=井筒)に立ち合いもろ差しを許し、寄り切られて2敗目を喫した。稀勢の里は逆転優勝の望みを懸けて千秋楽で1敗の大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)と対戦する。

 横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)は、関脇玉鷲(32=片男波)に寄り倒され4敗目。玉鷲は5場所連続の勝ち越しを決めた。

 大関照ノ富士は、立ち合い右に変化する注文相撲で関脇琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)をはたき込んで13勝目。琴奨菊は6敗目で10勝に届かず、来場所の大関復帰はなくなった。

 関脇高安(27=田子ノ浦)は、前頭3枚目宝富士(30=伊勢ケ浜)を押し出して11勝目、自身の連敗を3で止めた。宝富士は8敗目で負け越し。

 小結御嶽海(24=出羽海)は、前頭6枚目千代の国(26=九重)を押し出して8勝目、昨年11月の九州場所以来、2度目の三役で初の勝ち越しとなった。

 前頭10枚目栃煌山(31=春日野)は、同13枚目貴景勝(20=貴乃花)にはたき込まれて12日目から3連敗で10勝4敗。貴景勝は2桁10勝目。

 人気力士の前頭5枚目遠藤(26=追手風)は、同9枚目輝(22=高田川)に押し出され7敗目。同じく新入幕の前頭12枚目宇良(24=木瀬)も、同16枚目錦木 (26=伊勢ノ海)に押し出されて7敗目、ともに千秋楽に勝ち越しを懸ける。

 14日目を終え1敗は照ノ富士、2敗で稀勢の里となった。

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横綱稀勢の里が出場 師匠「出たいと言っている」

24日の日馬富士戦で土俵下に転落した稀勢の里は、左肩付近を押さえ苦痛に顔をゆがめる

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

 13日目の横綱日馬富士戦で左肩から胸付近を負傷した新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は、14日目も出場することになった。師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が25日午前、大阪市内の宿舎前で報道陣に対応して「今朝、本人といろんな話をしました。本人は出る、出たいと言っている。本人の強い意志がある」と出場することを明かした。

 症状の詳細については「動く。まだ2日間あって相手の力士もいるので」と明かさなかったが「これから先も長いが、今日の様子は、昨日よりまだ少しマシになっている」と話した。

 「今日の相撲を見て、ダメなら(再考するの)だが、大丈夫なら2日間ある。土俵入りももちろん含めて、体は動く」と説明した。テーピングなどで固めて出場するとみられる。

 稀勢の里は初日から12連勝で迎えた13日目の相撲で日馬富士に寄り倒された際に、左肩から胸付近を負傷。左腕を動かせず、土俵に上がれないほどの痛みに襲われた。打ち出し後は三角巾でつって、救急車で大阪市内の病院に搬送されていた。

 現在は12勝1敗で、大関照ノ富士とともに優勝争いのトップに並んでいる。14日目は横綱鶴竜との対戦が組まれている。

稀勢の里の出場を明言する田子の浦親方(撮影・鈴木正人)

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照ノ富士びっくりトップタイ「最後まで頑張るだけ」

鶴竜(左)を寄り切りで破った照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が、15年秋場所の優勝決定戦を含めて過去11戦3勝と合口の悪かった横綱鶴竜(31=井筒)を破って12勝目を挙げ、兄弟子の横綱日馬富士が土をつけた横綱稀勢の里と1敗で並んだ。関脇の高安と平幕の栃煌山がともに3敗目を喫して後退し、15年夏場所以来2度目の優勝の好機が到来した。

 止められる者はもういないのか。照ノ富士は立ち合いで鶴竜に踏み込まれてもろ差しを許した。いったん外四つから巻き替えて左四つになるも巻き替えられ、再びもろ差しを許した。だが、今場所は不利な体勢からでも強い。足を踏み出して両上手を引き、体を密着させて強引に寄り切った。

 過去11戦3勝と合口の悪かった横綱に完勝。支度部屋で「全力でやってるだけなので何とも言えないでず。精いっぱいやるだけです」と息を切らしながら話した。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「前かがみになって圧力をかけられた」と勝因を分析した。

 髪を結ってもらっている時に、テレビの大相撲中継の音声で結びの一番での異変に気がついた。「あれどうしたの?」と記者に質問し、負傷した稀勢の里の状況をうなずきもせずに聞いた。「最後まで頑張るだけです。一番一番ですよ」と浮かれなかった。

 15年夏場所以来の優勝が手の届くところにきた。兄弟子の十両安美錦が優勝パレードの旗手を務めたい、と話していたと伝え聞くと「やってもらいたいです」。だが、すぐに「まだそこまでは」と全く気を緩めなかった。【佐々木隆史】

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日馬富士「稀勢は大丈夫ですか?」土つけるも心配

日馬富士(左)は稀勢の里を寄り倒しで破る(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 横綱日馬富士がすさまじい集中力で稀勢の里を寄り倒した。

 立ち合いから低く鋭く突き刺さると一気に土俵下へと持っていった。相手がうずくまる間に勝ち名乗りを受け、支度部屋では「稀勢は大丈夫ですか?」と心配。弟弟子の照ノ富士を援護する白星に「お客さんが沸いてくれるような激しい相撲を取ろうと思った」と振り返った。

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琴奨菊8勝目「自分らしさ出す」大関復帰望みつなぐ

琴奨菊(左)は押し出しで正代を下す(撮影・外山鉄司)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 琴奨菊が大関復帰ラインの10勝へ、何とか望みをつないだ。鋭い踏み込みから正代を押し出し8勝目。「一番大事な部分で自分が勝った」と精神力を強調し「まあ、いい相撲」と納得した。

 今日14日目は1敗の照ノ富士戦。負けた瞬間に大関復帰はなくなるが「残りもしっかり自分らしさを出したい」と力を込めた。

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安美錦、2場所ぶり勝ち越し「意味が違ってくる」

北太樹(左)を、はたき込みで破る安美錦(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 西十両12枚目の安美錦(38=伊勢ケ浜)が、2場所ぶりに勝ち越した。東十両11枚目の北太樹(34=山響)に当たってすぐのはたき込み。前半戦は白星がいい薬だと話していたが「勝ち越しは特効薬だね」と笑顔を見せた。

 「内容は褒められたもんじゃないけど。当たろうと決めていたが、足に力が入っているんだか、いないんだか…。ここ(12枚目)で勝ち越しと負け越しでは意味が違ってくるし、普段より取りきりたい思いが出るから、より緊張を感じちゃうんだよね」。

 百戦錬磨のベテランをしてもやはり、勝ち越しを意識して緊張があったという。それでも、我慢して取り続けてきたかいがあった。ただ、これで楽になるかという問いかけには「8番じゃ大して(番付が)上がらないから、みんなが安心できるように残り頑張っていかないと」と気を緩めなかった。

 幕内では弟弟子の大関照ノ富士が優勝争いを演じ、横綱日馬富士は13日目に稀勢の里と対戦する。そんな部屋の状況を踏まえて「後は照ノ富士と横綱に頑張ってもらって。で、オレが(優勝パレードの)旗手。良いところを持って行く。そのためにも、負け越すわけにはいかなかったからね」と、安美錦流のエールを送っていた。

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稀勢の里が初黒星、照ノ富士と1敗で並ぶ 春場所

日馬富士(左)に寄り倒しで敗れ、土俵下に激しく落ちる稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇13日目◇24日◇エディオンアリーナ大阪

 新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)は、日馬富士(32=伊勢ケ浜)に寄り倒しで敗れ今場所初黒星を喫した。土俵から落ちた稀勢の里は、左肩を押さえ花道をさがった。

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)は、横綱鶴竜(31=井筒)を寄り切って1敗を守り12勝1敗とした。

 2敗の関脇高安(27=田子ノ浦)は、前頭4枚目嘉風(35=尾車)に寄り切りで敗れ、10連勝のあと3連敗となった。嘉風は8勝5敗で勝ち越しを決めた。

 10勝で大関復帰となる関脇琴奨菊(33=佐渡ヶ嶽)は、小結正代(25=時津風)を、押し出して8勝5敗とし大関復帰へ踏みとどまった。

 人気力士の前頭5枚目遠藤(26=追手風)は、前頭10枚目栃煌山(31=春日野)を押し出し7勝6敗。栃煌山は3敗目を喫した。

 新入幕の前頭12枚目宇良(24=木瀬)は、同7枚目千代翔馬(25=九重)を寄り切って7勝6敗。

 13日目を終え全勝はいなくなり、1敗で稀勢の里、照ノ富士となった。

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照ノ富士Vへ1差、本調子でなく「我慢しながら」

照ノ富士(右)は遠藤を浴びせ倒しで破った(撮影・宮崎幸一)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が、3連敗中と苦手にしていた東前頭5枚目の遠藤(26=追手風)を浴びせ倒して1敗を守った。昨年初場所途中休場の原因となった、左膝半月板の内視鏡手術から1年。自身4度目のかど番も9日目に脱出して復調ぶりを見せている。関脇高安、平幕栃煌山が敗れ、ともに2敗に後退。照ノ富士が15年夏場所以来2度目の優勝へ向けて全勝の横綱稀勢の里を追いかける。

 強い照ノ富士が戻ってきた。左を張って右のかち上げを遠藤に食らわせた立ち合い。左下手を狙ったがかわされて、もろ差しを許して土俵際に追い込まれた。万事休す、と思われたが右上手1本で一瞬つり上げて押し返し、右に回りながら自らの体と一緒に浴びせ倒した。「つかんでなかったら危なかった。(上手を)取れば持ち上げられると思った」と勝因を話した。

 弟弟子の照強を相手にしたこの日の朝稽古。いつもなら寄り切りや上手投げで汗を流すのがルーティンだが、左張り手からの右のかち上げを入念に繰り返していた。支度部屋では「流れですよ。流れ流れ」とけむに巻いたが、ここまで4戦1勝と苦手にしていた相手に対策は練っていた。

 どん底の1年だった。16年初場所を途中休場し、左膝半月板を手術。同年春場所から出場するも、思うように動けず最高でも8勝止まり。かど番も3度経験した。今場所も4度目のかど番だったが自己最速の9日目で脱出し、15年秋場所以来の2桁勝利。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「前に出られている。前に出れば力がある」とケガからの復調気配にに目を細めた。

 実際は「我慢しながらやってる」と本調子ではない。だが「ケガしてから一番稽古ができた」と場所前の稽古量に手応えを感じていた。さらに新横綱稀勢の里の誕生に「俺も頑張ろうと思った」と刺激を受けた。15年夏場所以来、自身2度目の優勝へ、心も体も準備はできている。【佐々木隆史】

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照ノ富士、苦手の遠藤下し1敗守る「危なかった」

浴びせ倒した遠藤に乗りかかる照ノ富士(撮影・岡本肇)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)が、過去4戦1勝と苦手にしていた東前頭5枚目の遠藤(26=追手風)を下して1敗を守った。

 左張り手からの右かち上げで体勢を崩して、左下手を狙ったが取れず。もろ差しを許して土俵際に追い込まれたが、右上手1本でつって右に回りながら体ごと浴びせ倒した。「つかんでなかったら危なかった。(上手を)取れば持ち上げられると思った」と狙い通りの一番だった。

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稀勢の里、全勝守る 横綱同士の対決へ「また集中」

荒鷲(左)を寄り切りで破る稀勢の里(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が全勝を守った。西前頭4枚目の荒鷲(30=峰崎)に立ち合いで差し勝つと、上手にこだわらずに前進。前のめりになりながら寄り切った。

 新横綱の初日から12連勝は、1場所15日制が定着した49年夏場所以降、先代師匠の隆の里(15戦全勝)に次ぎ、玉の海と旭富士に並ぶ2位タイ。「いいんじゃない。いろいろな展開がありますから」とうなずいた。

 弟弟子の高安と平幕栃煌山が敗れたため、1敗は大関照ノ富士1人となった。優勝争いはかなりしぼられてきた中で、13日目から横綱同士の対決が始まる。「また集中して。明日です」と気を引き締めていた。

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照ノ富士の豪腕に山科副部長うなる「すごかった」

遠藤(手前)と激しい取り組みをする照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)の“豪腕復活”ぶりに協会関係者も、驚きの声を上げた。

 照ノ富士が前頭遠藤(26=追手風)を浴びせ倒した一番を、正面審判長として目の当たりにした審判部の山科副部長(63=元小結大錦)は「あの引きつけはすごかった。ひねり倒したもんなぁ」とうなった。好調の要因は「膝がよほど良いんだろう」とし、豪快さを取り戻した今場所の照ノ富士を「大関になった頃の相撲を取れている」と評した。

 また、協会トップの八角理事長(53=元横綱北勝海)も「膝の不安がないのは大きい。ようやく体に力が入るようになった。体を生かした豪快さというか」と、古傷の膝の状態の良さを好調の要因として指摘。横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)を1差で追う残り3日の土俵も「優勝経験もあるし、今日のような相撲なら『今場所は行ける』と思えるようになるのでは」と期待した。

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稀勢の里12連勝、照ノ富士は1敗守る 春場所

稀勢の里は荒鷲(手前)を寄り切りで下す(撮影・宮崎幸一)

<大相撲春場所>◇12日目◇23日◇エディオンアリーナ大阪

 新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が前頭4枚目荒鷲(30=峰崎)を寄り切って、初日からの連勝を12と伸ばした。

 横綱日馬富士(32=伊勢ケ浜)は、関脇高安(27=田子ノ浦)を小またすくいで下し9勝3敗。高安は10勝2敗となった。

 横綱鶴竜(31=井筒)は、関脇玉鷲(32=片男波)に押し出しされ8勝4敗。

 かど番脱出の大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)は、前頭5枚目遠藤(26=追手風)を浴せ倒し11勝目をあげた。

 同じく1敗で追う前頭10枚目栃煌山(31=春日野)は、同14枚目妙義龍(30=境川)に寄り切られ2敗目を喫した。

 大関復帰を目指す関脇琴奨菊(33=佐渡ヶ嶽)は、前頭3枚目宝富士(30=伊勢ケ浜)に、はたき込みで敗れ7勝5敗。 

 新入幕の前頭12枚目宇良(24=木瀬)は、同6枚目碧山(30=春日野)に、はたき込まれ6勝6敗となった。

 12日目を終え勝ちっ放しは稀勢の里、1敗で照ノ富士、2敗で高安、栃煌山が続く展開となった。

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