【若乃花の目】貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士 鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館
照ノ富士は前日に優勝を決め、一方の貴景勝もかど番脱出を既に決めていました。昨年名古屋場所以来となる、千秋楽結びの横綱-大関対決でしたが、1人横綱と1人大関を背負ってきた2人の、それなりに意味のある一番でした。やるだけのことはやった、というのが貴景勝です。突っ張りではなく、もろ差し狙い。意表を突いて横綱を少し慌てさせました。かど番を脱出して相手が横綱だからこそ出来たのだと思います。あえてもろ差し狙いの相撲で向かった、こういう相撲を取り入れていけば今後、余裕が出てきます。精神的に土俵際まで追い詰められて学ぶことがあります。今場所の貴景勝はまさにそうで、最後のもろ差し狙いの相撲にそれが表れていました。
貴景勝の当たりを受け止めた照ノ富士の横綱としての生きざまは、優勝インタビューに表れていました。若い力士と戦うのは楽しい、というニュアンスのことを話していましたね。そんな言葉には横綱としての責任感が込められています。自分のレベルまで後輩を引き上げないと引退できない、自分を倒して追い出す力士が出ないことには辞められない-。大相撲の歴史に脈々と受け継がれてきたことで、それが本来の姿なんです。鬼気迫る表情の横綱がいてこそ土俵が締まる。今場所の照ノ富士が体現してくれました。看板力士がいてこそ大相撲ということを2人が身をもって示してくれた場所でした。(日刊スポーツ評論家)
- 照ノ富士(左)は押し出しで貴景勝を下す(撮影・足立雅史)
- 照ノ富士(手前)の横綱土俵入りを見つめる所ジョージ(中央)(撮影・足立雅史)
- 幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
- 幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
- 幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
- 照ノ富士(左)に押し出しで敗れた貴景勝(撮影・足立雅史)
- 優勝インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・足立雅史)
- 幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
- 幕内優勝を果たし八角理事長(手前)から賜杯を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)
- 優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)
- 優勝パレードへと向かう照ノ富士(右)。旗手翠富士(撮影・足立雅史)