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正代、初Vなら大関昇進も ダブル歓喜へ今日大一番

朝乃山(左)を押し倒しで破る正代(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。正代が人生最大の大一番を迎える。

   ◇   ◇   ◇

まるで重戦車の突進だった。「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。

「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。進撃の相撲でついに単独トップに立った。「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。

弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。

場所前にはなかった「昇進ムード」も急浮上。高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は「明日の相撲を見ての判断」と、千秋楽の結果次第で大関昇進の可能性を示唆した。そんな機運を知らずに場所を後にした正代は「(単独トップで千秋楽は)初めての経験ですから。明日になってみないと分からないが明日で終わり。思い切り相撲をとれたらいいと思います」。

故郷の熊本・宇土市では市民体育館で応援会を開催する。前日13日目は20人程度が、この日は100以上の大盛況。熊本出身力士初の賜杯に期待は高まる。初優勝と大関。ダブルの歓喜を目指し、正代が人生最大の一番に臨む。【実藤健一】

◆大関への道 昇進目安は三役で直近3場所33勝。しかし、32勝以下での昇進も珍しくない。平成以降では朝乃山、豪栄道、稀勢の里、千代大海が32勝で昇進。また照ノ富士は、昇進3場所前(15年初場所)が平幕で8勝、2場所前(16年春場所)が関脇で13勝の優勝次点だったが、関脇だった16年夏場所を12勝で優勝すると昇進した。正代は今場所13勝でも直近3場所の合計は32勝。しかし八角理事長(元横綱北勝海)は、正代の直近3場所の成績よりも、この1年の安定感を評価している。

朝乃山(右)を押し倒しで破る正代(撮影・鈴木正人)

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正代突進V王手、朝乃山へのライバル心で弱気打破

正代(左)は朝乃山を押し倒しで破り2敗を死守した(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。正代が人生最大の大一番を迎える。

   ◇   ◇   ◇

まるで重戦車の突進だった。「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。

「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。進撃の相撲でついに単独トップに立った。「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。

弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。

朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。地道な努力で大関を連破する立ち合いの馬力を身につけた。「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。

場所前にはなかった「昇進ムード」も急浮上した。高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は「明日の相撲を見ての判断」と、千秋楽の結果次第で大関昇進の可能性を示唆した。そんな機運を知らずに場所を後にした正代は「(単独トップで千秋楽は)初めての経験ですから。明日になってみないと分からないが明日で終わり。思い切り相撲をとれたらいいと思います」。

故郷の熊本・宇土市では市民体育館で応援会を開催する。前日13日目は20人程度が、この日は100以上の大盛況。熊本出身力士初の賜杯に期待は高まる。初優勝と大関。ダブルの歓喜を目指し、正代が人生最大の一番に臨む。【実藤健一】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 正代の馬力勝ち。朝乃山も悪い立ち合いではなかったが浮いた。ちょっと想像できなかった。正代を褒めるべきでしょう。12勝は立派。内容がいい。優勝に近づいたが本当のプレッシャーはここから。新入幕で翔猿も立派。千秋楽は思い切って行けば面白くなる。

▽幕内後半戦の高田川審判長(元関脇安芸乃島) 正代は立ち合いが強い。迷いなく真っ向勝負。小細工がなく好感が持てる。貴景勝は硬くなっていたけど、無難に勝った。プレッシャーはあったと思う。

◆優勝争いの行方 千秋楽結び前の一番で正代が翔猿に勝てば、13勝2敗で正代の優勝が決定。正代が翔猿に敗れ、結びで貴景勝が敗れると、3敗で並んだ正代と翔猿による決定戦。貴景勝が勝って正代、翔猿と並べばともえ戦(3人での優勝決定戦)となる。実現すれば幕内では94年春場所の曙、貴ノ浪、貴闘力以来7度目で、当時は曙が制した。

◆大関への道 昇進目安は三役で直近3場所33勝。しかし、32勝以下での昇進も珍しくない。平成以降では朝乃山、豪栄道、稀勢の里、千代大海が32勝で昇進。また照ノ富士は、昇進3場所前(15年初場所)が平幕で8勝、2場所前(16年春場所)が関脇で13勝の優勝次点だったが、関脇だった16年夏場所を12勝で優勝すると昇進した。正代は今場所13勝でも直近3場所の合計は32勝。しかし八角理事長(元横綱北勝海)は、正代の直近3場所の成績よりも、この1年の安定感を評価している。

正代(左)に押し倒しで敗れる朝乃山(撮影・鈴木正人)

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引かない翔猿V争いトップ「ワクワク強い」緊張なし

2敗力士同士の直接対決で若隆景(左)の攻めをこらえる翔猿(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇12日目◇24日◇東京・両国国技館

新入幕の東前頭14枚目翔猿(28=追手風)が、西前頭8枚目若隆景との2敗対決を制し、10勝目を挙げた。

12日目を終えて新入幕がトップに立つのは57年夏場所の房錦、07年秋場所の豪栄道以来3人目。13日目は隆の勝との対戦が組まれた。しこ名も含め個性満点のイケメン小兵が1914年(大3)夏場所の両国以来、実に106年ぶり2人目の新入幕優勝へ突き進む。不戦勝の大関貴景勝、関脇正代が2敗でトップを並走している。

   ◇   ◇   ◇

翔猿のちゃめっ気たっぷりの明るい性格が、画面からもあふれ出た。2敗を守って向かったNHKのインタビュールーム。賜杯争いの先頭を走る心境を問われると「それは考えずに、あと3連勝ぐらいしたら考えます」と答えた。残りは3日間、つまり全勝宣言? 噴き出す汗も、乱れる呼吸も止まらなかったが、天然とも冗談とも取れる発言が、精神的な余裕をうかがわせた。

しこ名通り、機敏な動きが光った。立ち合いで左に変わった同じ2敗だった若隆景の動きも想定内。差し身のうまい相手に距離を取り続け、左に開いてはたき込んだ。「すぐに引かないで攻めることができた」。最注目の取組に懸かる懸賞「森永賞」も獲得。「(懸賞を)全然もらえてないのでうれしい。まだまだ人気ないですね」。こんな自虐発言とは裏腹に、存在感は増すばかりだ。

177センチ、131キロと幕内では小兵の部類だが、まともに引く場面はほとんどない。師匠の追手風親方(元前頭大翔山)によると、基本は押し相撲。日大時代に足首にボルトを入れるほどのけがをしている。それもあって、一時は立ち合いでの小細工が目立つようになったが「今は当たれている」と師匠。十両を3年以上抜け出せず「悔しい思いをしている。稽古場ではずっと体を動かしている。ここ1、2年で変わった」。師匠も認める努力が実を結びつつある。

初の優勝争いの中でも、師弟ともリラックスしている。コロナ禍で千秋楽はあらゆるセレモニーが中止となった。この日の朝には師匠から「パレードもないから、優勝してこいよ」と一風変わった激励が。翔猿本人も緊張とは無縁で「ワクワクの方が強い」という強心臓だ。横綱不在の大混戦で、優勝争いが混沌(こんとん)とする中、千秋楽は歌舞伎俳優が大活躍するTBS系の大人気ドラマ「半沢直樹」の最終回。歌舞伎役者似? で甘いマスクの翔猿にも、劇的なクライマックスが待っているかもしれない。【佐藤礼征】

▽幕内後半戦の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士) 朝乃山は押し込まれても引かれてもついていけている。正代は立ち合いが高いが、前に出る相撲を続けている。翔猿は動きがいい。やったこともない相手ばかりだが、いい相撲を取っている。

◆106年前の新入幕優勝 1914年(大3)夏場所は新入幕で東前頭14枚目の両国が9勝1休で優勝(10日間制)。初日から7連勝で8日目は相手の寒玉子が休場(不戦勝制度がなく、相手が休めば自分も休場扱い)、9日目から2連勝。2場所連続優勝中だった横綱太刀山も負けなしだったが、9日目の関脇朝潮戦が預かり(物言いがついて判定できない取組)となり8勝1休1預かりで、勝ち星1つ両国に及ばなかった。

▽翔猿アラカルト

◆本名 岩崎正也(いわさき・まさや)

◆出身 1992年(平4)4月24日、東京都江戸川区。

◆相撲歴 小学1年の時に東京・葛飾区の葛飾白鳥相撲教室で始める。高校相撲の名門、埼玉栄高では3年時に全日本ジュニア体重別で優勝。高校の同級生に前頭北勝富士。日大では2年時に全日本相撲選手権16強。

◆入門の動機 大学4年時に角界入りを意識し、日大の2年先輩である遠藤を追って追手風部屋を選ぶ。初土俵は15年初場所、新十両は17年名古屋場所。

◆兄弟幕内 3学年上の兄で木瀬部屋の十両英乃海は幕内経験者で、兄弟幕内は史上11組目。

◆しこ名 自身の相撲が素早く逃げ回る猿のようで、干支(えと)も申(さる)年のため。

◆締め込み 青色。コロナ禍の最前線で戦う医療従事者への感謝の気持ちを込めている。

◆英語に関心 元々抱いていた興味と「外国の人に話しかけられることが多かった」ため、今年の自粛期間中にオンライン英会話などで語学力を強化。外国人から注目を浴びようと、土俵下で使う座布団に「flying monkey」と入れるか悩んだというが、見送った。

若隆景(右)の攻めに耐える翔猿(撮影・河田真司)     

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翔猿トップ8勝「力通じる」106年ぶり新入幕Vへ

竜電(下)を下手投げで破った翔猿(撮影・鈴木正人)

<大相撲秋場所>◇10日目◇22日◇東京・両国国技館

新入幕の東前頭14枚目翔猿(とびざる、28=追手風)が、106年ぶりの快挙にまた1歩近づいた。三役経験者の竜電を下手投げで破って早くも勝ち越し。2敗を守り、10日目終了時点で新入幕がトップに立つのは、1場所15日制が定着した49年(昭24)以降では07年秋場所の豪栄道以来6人目。1914年夏場所の両国以来、史上2人目の新入幕Vに向けて、新鋭のイケメン小兵が“大混戦場所”を抜け出してみせる。

   ◇   ◇   ◇

端正なマスクを真っ赤にして、ぶん投げた。翔猿は右前みつを取ると、15センチ長身の竜電に頭をつけて隙をうかがった。「胸を合わせたらしんどい。胸を合わせないように、思い切り相撲を取った」。寄り切れないと見るや175センチ、131キロの小柄な体を沈めて、左から下手投げ。「幕内で力が通じる。勝ち越せたのでうれしい」と、手応え十分の8勝目だった。

兄の十両英乃海も幕内経験者という“兄弟幕内”で、猿のような機敏な動きが由来の「とびざる」というしこ名も日に日に存在感が増している。埼玉栄高、日大とアマチュア相撲のエリート街道を歩み、15年初場所に初土俵。十両通過に3年を要しただけに、場所前の新入幕会見では「やっと力士としてのスタート地点に立てた」と話した。待ちこがれた幕内の舞台。「まだまだこれから名前を覚えてもらえるように頑張りたい」と、勝ち越し程度では満足できない。

力士として観客に活力を届ける。今場所から新調した締め込みは、コロナ禍の最前線で奮闘している医療従事者に感謝の気持ちを示して鮮やかな青色にした。「こういうときなので、元気づけていきたい」。

10日目終了時点で新入幕が先頭集団を並走するのは13年ぶり。トップの2敗が5人並ぶ混戦場所だが「そこは全然意識していない。チャレンジャーなので。まだまだ集中して、暴れていきたい」。賜杯争いの緊張感とは無縁の明るい声で、終盤5日間へ気持ちを高めた。【佐藤礼征】

◆記録メモ 10日目終了時点で新入幕のトップは、07年秋場所の豪栄道以来。当時は1敗で横綱白鵬と並び、11日目には白鵬が黒星を喫して単独トップに立った。11日目を終えての新入幕単独トップは史上初だったが、12日目から3連敗を喫して優勝争いから脱落。白鵬が優勝した。新入幕優勝なら、1914年(大3)夏場所での東前頭14枚目の両国以来106年ぶり。両国は初日から7連勝で8日目は相手の寒玉子が休場(不戦勝制度がなく、相手が休めば自分も休場扱い)、9日目以降は2連勝。追いかける横綱太刀山を振り切り、9勝1休で優勝した(10日間制)。

竜電(下)を下手投げで破る翔猿(撮影・鈴木正人)

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貴景勝、顔面攻撃耐えに耐え…/10日目写真特集

<大相撲秋場所>◇10日目◇22日◇東京・両国国技館

新入幕の東前頭14枚目翔猿が、竜電を破って勝ち越しを決めた。右を差して頭をつけ、左手で竜電の右脇腹を押さえながら好機をうかがった。

左を深く差して結び目をつかむと、力いっぱい振って下手投げで転がした。2敗を守りトップで終盤戦へ。新入幕が10日目を終えてトップに立つのは、07年秋場所の豪栄道以来となった。 7月場所で初日から13連敗した西前頭9枚目阿武咲は、同じ二所ノ関一門で大関経験者の高安を破って勝ち越し。幕内3場所目の西前頭8枚目若隆景も、好調の琴勝峰を下して2場所連続で勝ち越した。 三役力士らも意地を見せた。大関貴景勝は、新関脇の大栄翔を下して勝ち越し。関脇正代も、昨年九州場所以来の対戦となった照強を下して勝ち越した。貴景勝、正代、若隆景、阿武咲、翔猿の5人が、2敗で並走して終盤戦に臨む。 2場所連続優勝を狙う東前頭筆頭照ノ富士は、隆の勝に負けて3敗に後退。3敗の大関朝乃山は、霧馬山の休場により、今場所2度目の不戦勝で7勝目を挙げた。3敗の朝乃山、照ノ富士が2敗勢を追いかける。

10日目の取組模様を写真で振り返ります。

幕内

大栄翔押し出し貴景勝

大栄翔(左)の顔と顔が接近する貴景勝(撮影・中島郁夫)

大栄翔(左)に襲いかかるかのような貴景勝(撮影・中島郁夫)

大栄翔(左)の指が貴景勝の顔面に突き刺さるかのように見える(撮影・中島郁夫)

大栄翔(左)の顔面攻撃を耐える貴景勝(撮影・中島郁夫)

大栄翔(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)

顔面攻撃を耐え分厚い懸賞金の束を手にする貴景勝(撮影・中島郁夫)


朝乃山不戦霧馬山

霧馬山の休場で朝乃山の不戦勝(撮影・丹羽敏通)

勝ち名乗りを受ける朝乃山(撮影・鈴木正人)


正代寄り切り照強

高々と塩をまく照強(撮影・丹羽敏通)

照強(左)を寄り切りで破る正代(撮影・中島郁夫)

照強(左)を寄り切りで破りダメ押しで土俵下に突き落とす正代(撮影・中島郁夫)

照強(左)を寄り切りで破りダメ押しで土俵下に突き落とす正代(撮影・中島郁夫)


栃ノ心寄り切り御嶽海

栃ノ心(上)を寄り切りで破る御嶽海(撮影・中島郁夫)


玉鷲送り倒し遠藤

遠藤(左)を破った玉鷲(撮影・丹羽敏通)

遠藤(右)を送り倒しで破った玉鷲(撮影・鈴木正人)


照ノ富士寄り切り隆の勝

隆の勝(右)に寄り切りで敗れる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

隆の勝(右)に寄り切りで敗れ悔しそうな表情を見せる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

(照ノ富士(上)を寄り切りで破った隆の勝(撮影・中島郁夫)


北勝富士肩透かし妙義龍

北勝富士(左)を肩すかしで破る妙義龍(撮影・鈴木正人)


高安叩き込み阿武咲

高安(左)をはたき込みで破る阿武咲(撮影・中島郁夫)

高安(手前)をはたき込みで破る阿武咲(撮影・鈴木正人)


竜電下手投げ翔猿

竜電(下)を下手投げで破る翔猿(撮影・鈴木正人)

竜電(下)を下手投げで破った翔猿(撮影・鈴木正人)


琴勝峰寄り倒し若隆景

琴勝峰(右)を寄り倒しで破る若隆景(撮影・中島郁夫)

琴勝峰(左)を破った若隆景(撮影・丹羽敏通)


炎鵬押し倒し松鳳山

炎鵬(右)を押し倒しで破る松鳳山(撮影・中島郁夫)

炎鵬(右)を押し倒しで破る松鳳山(撮影・中島郁夫)

十両

北はり磨反則剣翔

剣翔(左)は北はり磨のまげをつかんで反則負けとなる(撮影・丹羽敏通)※北はり磨のはりは石ヘンに番


天空海掬い投げ琴ノ若

天空海(左)をすくい投げで破る琴ノ若(撮影・鈴木正人)

序二段

華吹押し出し若一輝

しこ名を呼び出される華吹(撮影・鈴木正人)

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新入幕の翔猿2敗守る 照ノ富士は敗れて3敗目

竜電(右)を破った翔猿(撮影・丹羽敏通)

<大相撲秋場所>◇10日目◇22日◇東京・両国国技館

新入幕の東前頭14枚目翔猿が、竜電を破って勝ち越しを決めた。右を差して頭をつけ、左手で竜電の右脇腹を押さえながら好機をうかがった。左を深く差して結び目をつかむと、力いっぱい振って下手投げで転がした。2敗を守りトップで終盤戦へ。新入幕が10日目を終えてトップに立つのは、07年秋場所の豪栄道以来となった。

7月場所で初日から13連敗した西前頭9枚目阿武咲は、同じ二所ノ関一門で大関経験者の高安を破って勝ち越し。幕内3場所目の西前頭8枚目若隆景も、好調の琴勝峰を下して2場所連続で勝ち越した。

三役力士らも意地を見せた。大関貴景勝は、新関脇の大栄翔を下して勝ち越し。関脇正代も、昨年九州場所以来の対戦となった照強を下して勝ち越した。貴景勝、正代、若隆景、阿武咲、翔猿の5人が、2敗で並走して終盤戦に臨む。

2場所連続優勝を狙う東前頭筆頭照ノ富士は、隆の勝に負けて3敗に後退。3敗の大関朝乃山は、霧馬山の休場により、今場所2度目の不戦勝で7勝目を挙げた。3敗の朝乃山、照ノ富士が2敗勢を追いかける。

勝ち名乗りを受ける朝乃山(撮影・丹羽敏通)
隆の勝に寄り切りで敗れ悔しそうな表情で土俵を引き揚げる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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屈辱3連敗の朝乃山に審判長苦言「強引にでも前に」

照ノ富士に上手投げで敗れ、表情を曇らせゆっくり立ち上がる朝乃山(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇3日目◇15日◇東京・両国国技館

大関朝乃山(26=高砂)が、屈辱の初日から3連敗を喫した。7月場所で敗れた大関経験者の東前頭筆頭照ノ富士に上手投げで転がされた。立ち合いからもろ差し気味に寄っていったが、勝負を急いだ強引な投げが裏目に出る結果となった。大関の初日からの3連敗は、初場所の豪栄道以来。大関貴景勝も敗れるなど、三役以上では関脇正代以外が総崩れとなる波乱の1日となった。

   ◇   ◇   ◇

狂った歯車を修正できない。7月場所を制した照ノ富士を相手に、先に攻めたのは朝乃山だった。得意の右四つではなく2本差して土俵際、寄り切れずに左からすくい投げにかかった。しかし照ノ富士にうまく体を入れ替えられ、逆襲の上手投げを食らった。両横綱の休場で最高位として迎える今場所。平幕だった昨年初場所以来となる初日からの3連敗で、波乱の1日の象徴となってしまった。

周囲も心配の目を向ける。八角理事長(元横綱北勝海)はすくい投げにいった場面を敗因に挙げ「勝ちたいからどうしても投げにいってしまう」と心境を察した。土俵下から取組を見守った伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)も「強引にでも前に出ればいいのに」と苦言。高砂部屋の大先輩、元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏にいたっては「どこの大関なんだよ? 馬鹿ヤロ!! 恥ずかしい!! こんな取り組みならやめろ!! 」とSNSに連続投稿でぶち切れた。その後「好きこそ辛口だ!」と後輩に期待を込めた。

連敗を抜け出せないショックからか、2日連続でリモート取材を拒否。大関2場所目となった角界の看板は、もがき苦しみながら初白星を目指す。【佐藤礼征】

照ノ富士に上手投げで敗れ悔しそうな表情を見せる朝乃山(撮影・鈴木正人)

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朝乃山3連敗など正代除く三役以上全て黒星 秋場所

朝乃山(手前)の攻めに耐える照ノ富士(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇3日目◇15日◇東京・両国国技館

大関朝乃山が、初日から3連敗を喫した。7月場所で敗れた大関経験者の照ノ富士に上手投げで敗れた。大関が初日から3連敗を喫するのは初場所の豪栄道(現武隈親方)以来。先場所12勝の大関が、トンネルから抜け出せずにいる。

初日から2連勝の大関貴景勝は北勝富士に敗れ、今場所初めての黒星となった。

大関昇進を目指す3関脇は、正代が遠藤を圧倒して無傷の3連勝、御嶽海が初黒星、大栄翔が2敗目を喫した。

三役以上では正代以外が敗れる、波乱の1日となった。

人気小兵の炎鵬は元気なく初日から3連敗。新入幕の翔猿が3連勝とした。同じく新入幕で元横綱朝青龍のおい、21歳の豊昇龍は2敗目を喫した。

朝乃山(右)を上手投げで破る照ノ富士(撮影・河田真司)

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武隈親方の断髪式が再延期「再来年の初場所後に」

武隈親方(2020年2月11日撮影)

元大関豪栄道の武隈親方(34)が14日、断髪式(東京・両国国技館)を2022年1月の初場所後に延期することを明かした。

NHK大相撲中継の幕内解説の席で「世の中の情勢を踏まえまして、再来年の初場所後にやることになりました」と発表した。今年初場所限りで引退した武隈親方は当初、来年1月31日に予定していた断髪式を同年6月5日に延期していたが、再延期を決めた。

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元大関豪栄道の断髪式再延期、22年1月初場所後に

元大関豪栄道の武隈親方(2020年1月29日撮影)

元大関豪栄道の武隈親方(34)が14日、断髪式(東京・両国国技館)を2022年1月の初場所後に延期することを明かした。

同日、NHK大相撲中継の幕内解説を務め、放送の冒頭に「(断髪式は)世の中の情勢を踏まえまして、再来年の初場所後にやることになりました」と発表した。

今年初場所限りで引退した武隈親方は当初、来年1月31日に断髪式を予定していた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今年6月には師匠の境川親方(元小結両国)が来年6月5日に延期することを明らかにしていたが、さらに約7カ月、再延期になる。

武隈親方は引退後、約2年もまげがついたまま、後進の指導を続けていくことになる。親方業については「徐々に慣れてきました」と話していた。

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初の角界映画「相撲道」境川と高田川に半年密着

10月30日公開の大相撲ドキュメンタリー映画「相撲道」のポスター(2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会提供)

大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」が10月30日から公開されることが31日、分かった。東京・墨田区のTOHOシネマズ錦糸町で10月30日から、中野区のポレポレ東中野で同月31日で始まり、ほかに全国で順次公開される。制作会社によると、過去には初代若乃花など特定の力士に焦点をあてたドキュメンタリー映画はあるものの、大相撲全体をとらえる映画は初めて。俳優の遠藤憲一がナレーションを務める。

18年12月から19年6月の半年間、元大関豪栄道(現武隈親方)らが在籍する境川部屋と、前頭竜電らが在籍する高田川部屋に密着した。朝稽古や独特な相撲部屋での日常生活、本場所での激闘などを歴史、文化のさまざまな角度からひもとく。相撲漫画家の琴剣淳弥さん(60)もコーディネートプロデューサーとして作品に加わり、劇中画を描き、自身も本編に登場する。

メガホンを取ったのは「マツコの知らない世界」をはじめ長年テレビの演出家として活躍し、本作が映画初監督作品となる坂田栄治氏。坂田氏は「映画完成直後、新型ウイルスにより世界は変わり、大相撲の風景も変わりました。あの数カ月間、力士たちの激闘と観客の大声援を両国国技館で撮影できたのは偶然の奇跡。大迫力の大相撲の感動と、力士たちのドラマをぜひ劇場で体感してほしいです」とコメントした。

武隈親方は「相撲は、裸一つでぶつかり合う、シンプルでわかりやすい究極の闘いです。それが人の心を揺さぶり、奮い立たせてくれるのだと思います。若い世代にも、日本の伝統を守っている力士の姿を、劇場で見てほしいです」と呼びかけた。

竜電は「長期間の密着は初めての経験でした。所作の美しさ、力士の個性あふれる着物姿、武器を持たず自分の体だけで勝負する、語り尽くせない相撲の魅力を、相撲ファンはじめ、まだ相撲を知らない方や子どもたちに、映画を通じて感じてほしいです」と話した。

琴剣さんは「大相撲を体験した者としてお薦めできる映画。相撲界の“伝統”“厳しさ”の映像美そして音響の106分。この映画を見終わったあと、きっとあなたも国技館へ行きたくなっているでしょう」とコメントした。

10月30日公開の大相撲ドキュメンタリー映画「相撲道」で特集された幕内力士の竜電(2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会提供)
10月30日公開の大相撲ドキュメンタリー映画「相撲道」で特集された元大関豪栄道の武隈親方(2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会提供)

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引退の栃煌山「寂しい気持ちも」心に残る稀勢の里戦

リモート引退会見に出席した元栃煌山

大相撲の元関脇栃煌山(33=春日野)が15日、現役引退と年寄「清見潟(きよみがた)」の襲名を発表した。春場所で負け越して2度目の十両陥落となっていた。元横綱稀勢の里(現荒磯親方)らと同じ昭和61年度生まれで「花のロクイチ組」として、三役在位は通算25場所。賜杯には届かなかったものの12年夏場所には優勝決定戦を経験した。今後は春日野部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたる。

   ◇   ◇   ◇

一時は「大関候補」の呼び声も高かった栃煌山が、土俵に別れを告げた。「ひとつの区切りがついた。次に落ちたときは自分でやめようと決めていた」。昨年の九州場所で、07年春場所での新入幕から75場所守ってきた幕内から陥落。1場所で返り咲いたものの、3月の春場所で3勝12敗と大きく負け越し、再び十両に転落して決断した。

鋭い寄りを武器に入門から約4年で新三役に昇進し、12年夏場所では旭天鵬と史上初となる平幕同士の優勝決定戦を争った。努力家で「コツコツ長年積み重ねたものを出せるタイプ」と、リモート会見に同席した師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)。賜杯と大関には届かなかったが、栃煌山自身も「しっかり課題を持って、体に染み込ませるように常に稽古をしていた。なかなか最後、上の番付に上がることができなかったけど、自分のやってきたことに間違いはなかったと思う」と胸を張った。

元稀勢の里や、小学校からのライバルで同期の元大関豪栄道(現武隈親方)ら同学年の力士としのぎを削ってきた。15年間の現役生活で最も印象に残る取組は、昨年初場所の稀勢の里戦。稀勢の里の現役最後の相手として、白星を挙げた。「同学年で、自分が入門したときには関取に上がっていた。そういう人と最後に相撲が取れたことはうれしい気持ちもあったし、その次の日に引退して寂しい気持ちもあった」。くしくも引導を渡す形になった。

「子どもの頃からずっと相撲しかやってこなかった。自分が相撲を取らないのが想像もつかない」。今後は名門部屋の部屋付き親方として、次の関取を育てる。「相撲に対して真面目で、粘り強い力士になれるように育てたい」。関脇に通算11場所在位した実力者は、第2の人生に向けて決意を固めた。【佐藤礼征】

◆花のロクイチ組 大相撲で昭和61年度生まれの関取の総称。大関以上では元稀勢の里と元豪栄道、三役経験者では栃煌山のほか、宝富士、碧山、勢、魁聖、妙義龍の5人は現在も幕内で活躍。初場所で史上2度目の幕尻優勝を果たした徳勝龍も同学年。

◆栃煌山雄一郎(とちおうざん・ゆういちろう)本名・影山雄一郎。1987年(昭62)3月9日、高知県安芸市生まれ。安芸小2年で相撲を始め、安芸中で中学横綱。明徳義塾高では4冠。05年初場所初土俵。07年春場所新入幕。09年夏場所で新小結、10年秋場所で新関脇昇進。金星は6個、三賞は殊勲賞、敢闘賞、技能賞が各2回。幕内通算573勝563敗19休。得意は右四つ、寄り。187センチ、151キロ。血液型A。家族は夫人と1女。

19年1月15日、初場所3日目に稀勢の里(右)を寄り切りで破る栃煌山

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元大関豪栄道の断髪式が来年6月に、当初は1月予定

武隈親方(2020年1月31日撮影)

大相撲初場所限りで現役を引退した武隈親方(元大関豪栄道)の断髪式が、来年の21年6月5日に東京・両国国技館で行われることが分かった。

27日、師匠の境川親方(元小結両国)が明らかにした。当初は来年の初場所後となる1月31日を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を見越して、日程を遅らせた。

境川親方は「宣伝を協力してもらう時間もある。先が見えない状況で今年はどこも準備が忙しいし、こちらの都合だけじゃない」と説明。武隈親方は現役引退後、境川部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっている。節目となる日が決まった弟子について、師匠は「良かった。日にちが決まると頑張れるよね」と話した。

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境川部屋の力士たちが人命救助「男として当たり前」

力士らが女性を救助した部屋近くの川にかかる「ふれあい橋」、奥の白い建物が境川部屋

大相撲の境川部屋の力士約20人が10日朝に、川に転落した30代の女性を救助していたことが11日、分かった。東京・足立区の部屋近くの毛長川に架かる橋から女性が飛び降り、通行人の男性が助けを求める大声に師匠の境川親方(元小結両国)が気付き、力士らが駆け付け、女性を川から引っ張り上げた。

関係者によると時間は同日の午前5時半ごろ、稽古前の出来事だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、最近の稽古は午前7時開始となっていたという境川部屋。幕下以下の力士を指す「若い衆」も、大部屋で寝ている時間だった。

場所は部屋から徒歩30秒とかからない、毛長川にかかる「ふれあい橋」。女性が橋から飛び降りた。自殺を図ったとみられる。通りかかった男性が助けを求める大声で、師匠の境川親方が事態に気づいた。大部屋につながる内線をかけて、若い衆を起こし、救助に向かわせた。稽古前だったため、まわしを締めていなかったという。力士らは橋の下の一段低くなっている川岸から、女性を引き上げた。女性は搬送時、意識があり命に別条はない。

劇的な人命救助だが、師匠は救助したときの状況について一切語らずに泰然としていた。「(救助された女性を)そっとしておいてあげてほしい。ぺらぺら語るのはかわいそう」と女性の心境を推し量った上で「いいことをしたとかはサラサラない。男として当たり前のことをしただけ」。謙虚な姿勢を崩さず、事もなげに話した。

大相撲は新型コロナウイルス感染拡大の影響で5月に予定されていた夏場所が中止になるなど、本場所の土俵に立てない日々が続いている。日本相撲協会が無観客開催を目指す7月場所(同月19日初日、東京・両国国技館)に向けて、調整を進める中で起きた救出劇。「気は優しくて力持ち」で知られる大相撲の力士が、勇敢な行動で女性の命を救った。

◆境川部屋 元小結両国が92年に現役を引退し、年寄「中立」を襲名。98年に出羽海部屋から独立して「中立部屋」を興し、03年に名跡を交換し、年寄「境川」を襲名。部屋の名称を「境川部屋」に変更、現在に至る。弟子の元大関豪栄道(現武隈親方)が現役引退の際に「師匠の男っぷりの良さを見習いたい」と言うほど、義理人情に厚く、おとこ気あふれる性格で周囲からの人望もある。現在の部屋付き親方は関ノ戸親方(元小結岩木山)、君ケ浜親方(元前頭宝千山)、山科親方(元前頭佐田の富士)、武隈親方の4人で、所属力士は幕内の妙義龍と佐田の海、幕下以下23人の計25人。他に呼出1人、床山2人が所属。東京・足立区舎人に部屋がある。

東京都足立区にある境川部屋

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今も実感沸かぬ大横綱の死/記者が振り返るあの瞬間

元横綱千代の富士の九重親方死去を報じる16年8月1日付の本紙1面

<スポーツ担当記者 マイメモリーズ>(28)

政府の緊急事態宣言が延長され、スポーツ界も「自粛」状態が続いている。日刊スポーツの記者が自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じた瞬間を紹介する「マイメモリーズ」。サッカー編に続いてオリンピック(五輪)、相撲、バトルなどを担当した記者がお届けする。

  ◇   ◇   ◇ 

暑く、長い夏の1日だった。16年7月31日。元横綱千代の富士の九重親方が亡くなった。その日は、夏巡業取材で大阪から岐阜市内へ日帰りで出張していた。仕事を終えて夕方の新幹線でのんびり帰阪していると、デスクから携帯電話に一報が入った。

「九重親方が亡くなったようだ。福井に行ってくれるか」

えっ…。しばし、絶句した。親方は都内の病院で亡くなったが、力士や親方衆一行は岐阜からバスで次の巡業先の福井市へ向かっていたため、そこで関係者を取材してほしいということだった。新大阪駅に着いたのは午後6時ごろ。自宅まで着替えを取りに行く時間などない。慌てて特急サンダーバードに乗り換え福井へ向かった。午後8時過ぎに着くと、駅前のホテル周辺で関係者を捜し回った。

取材していて、動悸(どうき)が収まらなかった。昭和49年生まれの記者にとって“大横綱”といえば、千代の富士だった。筋骨隆々の体で豪快につり出し、上手投げで勝ち続ける姿は、ヒーローそのもの。子供のころ、狭い家の中で父親と相撲を取る時は、ベルトを前みつ代わりに引きつけて頭をつけ、千代の富士になりきっていた。記者になってから関係者の紹介で食事をした際は「俺は日刊が嫌いなんだ!」と言われてビビリまくったが、マッコリをたくさん飲むと笑ってくれた。そして、ひとたび相撲の話になると現役時代のような鋭い眼光に戻り、言った。「三役が大関を、大関が横綱を目指すなら、もっともっと稽古をやらないと。『もっと』じゃないよ。もっともっと、だ」。少し前まで熱く語っていた“大横綱”が死ぬなんて、信じられなかった。

その夜は結局、午後11時過ぎまで取材を続け、元大関栃東の玉ノ井親方や、豪栄道らから思い出話を聞いた。翌8月1日は1~3面と芸能面で死を悼む記事が掲載されたが、紙面を見ても亡くなった実感は湧かなかった。4年の歳月が流れた今も同じだ。テレビで見た現役時の勇姿も、一緒に飲んだ時の笑顔も、「もっともっと、だ」と力を込めた険しい顔も、すぐによみがえってくる。心の中で生き続けるとは、こういうことなのか。横綱千代の富士が、教えてくれた気がする。【木村有三】

現役時代の横綱千代の富士

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4敗目の朝乃山出直し誓うも千秋楽勝てば昇進可能性

取組後の会見に臨む朝乃山(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

大関とりの関脇朝乃山(26=高砂)が、横綱鶴竜に下手投げで負けて今場所4敗目を喫した。これで大関昇進目安の「三役で3場所33勝」には届かないが、境川審判部長代理(元小結両国)は、これまでの相撲内容を評価。千秋楽で1人大関の貴景勝を破れば、昇進の機運が高まる可能性はある。2敗を守った白鵬と鶴竜の両横綱が、千秋楽の結びの一番で優勝をかけた相星決戦に臨む。

   ◇   ◇   ◇

痛恨の横綱戦2連敗。そして目標としていた12勝に届かず。全てを受け止めた朝乃山は前日同様に、支度部屋外のミックスゾーンに自ら歩み寄った。「出直しです。出直しです」。吹っ切れたかのように、笑みをこぼしながら言い放った。

紙一重の一番だった。立ち合いで右を差し、自分の形を作った。土俵際に押し込んだが鶴竜に体を入れ替えられ、再び土俵際に押し込むも、また体を入れ替えられた。最後は投げの打ち合いとなり、同時に土俵下に落ちて軍配は朝乃山。しかし物言いが付き、協議の結果、朝乃山の左肘が先に着いたとして、軍配差し違えとなった。「悔いはない。勝ち負けがはっきりしているスポーツ。物言いが付いて、協議した結果なので受け止める」と潔かった。

自ら出直し宣言をしたが、大関昇進が消えた訳ではない。幕内後半戦の審判長を務めた境川審判部長代理(元小結両国)は「力は十分についていると思う。内容は初日から充実している。誰に対しても真っ向勝負するのが魅力。好感が持てる」と評価した。横綱戦2連敗が痛手となったのは確か。ただ、千秋楽での貴景勝戦の結果によっては「そこでどういう見解になるのか。話し合いになるのか。数字を見るのか」と含みを持たせた。

過去にも豪栄道や稀勢の里ら32勝以下で大関に昇進したケースはある。さらに今場所は82年初場所以来38年ぶりの1人大関だけに、目安に届かなくとも昇進する可能性はある。「思い切りいくだけです」と吹っ切れた朝乃山が、勝ち越しをかけた貴景勝との運命の一番に挑む。【佐々木隆史】

鶴竜(右)が下手投げで朝乃山を下した(撮影・外山鉄司)

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元豪栄道の武隈親方が初の解説「少しは気が楽かな」

武隈親方(2020年1月31日撮影)

<大相撲春場所>◇7日目◇14日◇エディオンアリーナ大阪

初場所限りで引退した元豪栄道の武隈親方(33=境川)が、初めてNHK大相撲中継の解説を務めた。

黒スーツに紺のネクタイを締めて放送ブース入り。太田雅英アナウンサーから、親方として迎える春場所について聞かれると「地元なんで、成績を残さないといけないというプレッシャーがあったんですけど、今はそういうのものはなく、少しは気が楽かな」と話し、表情をやわらげた。

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元豪栄道の武隈親方「僕なんかで」寝屋川市民栄誉賞

地元の寝屋川市内で行われた、市民栄誉賞授与式に出席した元大関豪栄道の武隈親方(左)(撮影・佐藤礼征)

大相撲初場所限りで引退した元大関豪栄道の武隈親方が28日、出身の大阪・寝屋川市内で行われた市民栄誉賞授与式に出席した。

同市が市民栄誉賞を贈るのは初めてで「第1号」となった武隈親方は「僕なんかでいいのかなとも思うが、素直にうれしい」と笑みをこぼした。

武隈親方は13年10月、同市のふるさと大使に就任。全勝優勝を達成した16年秋場所後に同市内で実施された優勝祝賀パレードでは約2万2000人が集まるなど、寝屋川のヒーロー的存在だった。親方として初めて故郷に戻り「現役のときは寝屋川に戻るとプレッシャーも感じたが、今は何もないですね」と冗談っぽく話し、市の職員、報道陣らの爆笑を誘った。一方で「自分の生まれ育った町。そこでかけられる言葉は、現役時代はすごく力になった」と、感謝の言葉を口にした。

現在は部屋付き親方として後進の指導に当たっている。「我慢強くて男らしい力士を育てたい。横綱を育てられれば最高」と鼻息を荒くした。

親方として初めて迎える春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)だが、コロナウイルスの感染拡大により、開催の是非が検討されている。境川部屋でも一般客の稽古見学を断っているという。現役力士のモチベーション維持が心配される中、武隈親方は「気の毒に感じる」と話しながら「僕も(11年5月の)技量審査場所を経験しているけど、場所前はしっかり稽古した(成績は東前頭筆頭で11勝4敗)。そこで言い訳をするのは話にならないと思う」と、きっぱり語った。

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春場所は貴景勝が82年琴風以来の一人大関 新番付

貴景勝(2020年1月24日撮影)

日本相撲協会は24日、大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表した。

横綱は先場所同様、東が2場所ぶり44回目の優勝を狙う白鵬(34=宮城野)、西が鶴竜(34=陸奥)で4場所ぶり7回目の優勝を目指す。ともに先場所は途中休場しており再起の場所となる。

   ◇   ◇   ◇

初場所でかど番だった大関豪栄道(現武隈親方)が引退したため、春場所は貴景勝の1人大関となった。これに伴い西横綱の鶴竜が大関を兼ねる「横綱大関」として38年ぶりに番付に記載された。1人大関は82年初場所の琴風以来で、当時は北の湖が「横綱大関」と併記された。横綱が力士の最高位となった1909年(明42)以前は大関が最高位。平幕の成績優秀力士から補うことのできる小結、関脇と違い、大関は昇進条件があるため、不在の場合は横綱が大関を兼ねることとなっている。

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大栄翔、高安、阿炎が三役から平幕に降下 新番付

大栄翔(2019年11月13日撮影)

日本相撲協会は24日、大相撲春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表した。

降下、改名、引退などの力士、年寄など協会関係者は以下の通り。

【降下】

〈三役から平幕〉

大栄翔(26=追手風)西小結→東前頭筆頭

高安(29=田子ノ浦)西関脇→西前頭筆頭

阿炎(25=錣山)東小結→西前頭4枚目

〈幕内から十両〉

琴勇輝(28=佐渡ケ嶽)西前頭3枚目→東十両筆頭

琴恵光(28=佐渡ケ嶽)西前頭13枚目→東十両5枚目

〈十両から幕下〉

蒼国来(36=荒汐)東十両10枚目→東幕下筆頭

魁(33=芝田山)西十両14枚目→西幕下筆頭

豊ノ島(36=時津風)東十両11枚目→東幕下2枚目

彩(27=錣山)西十両11枚目→西幕下7枚目

【改名<1>】(しこ名の上の部分)

〈幕下〉

元林→欧勝竜(おうしょうりゅう=鳴戸)

古場→御船山(みふねやま=木瀬)

〈三段目〉

下村→西乃龍(にしのりゅう=境川)

琴宮倉→琴貫鐵(ことかんてつ=佐渡ケ嶽)

〈序二段〉

長谷川→安房乃国(あわのくに=高田川)

千代の天→千代天富(ちよてんふう)

〈序ノ口〉

酒井→鷹司(たかつかさ=入間川)

【改名<2>】(しこ名の下の部分も含める)

元林健治→欧勝竜健汰(おうしょうりゅう・けんた)

酒井慶次朗→鷹司慶(たかつかさ・けい)

【引退年寄襲名】

豪栄道引退武隈襲名

【引退】

荒鷲、浜栄光、鳴海、貴天秀、琴福寿野、海舟、蓮台山、富士寿、若荒輝、北勝佑

【死亡】

東関大五郎(委員=元潮丸)

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