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横綱鶴竜が無傷の6連勝、両大関は敗れる 初場所

琴奨菊(後方左)を寄り切りで破り、ホッとした表情を見せる鶴竜。右は高安(撮影・狩俣裕三)

<大相撲初場所>◇6日目◇19日◇東京・両国国技館


 横綱鶴竜(32=井筒)が貫禄を見せた。琴奨菊(33=佐渡ヶ嶽)を寄り切りで白星。今場所6連勝となった。

 一方横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は左大胸筋損傷疑いで6日目から休場が決定。これで5場所連続の休場となり、白鵬に続き2人の横綱が初場所から姿を消した。

 白鵬と稀勢の里から金星を挙げた前頭2枚目嘉風(35=尾車)は大関豪栄道(31=境川)を叩き込みで3勝目。小結阿武咲(21=阿武松)も大関高安(27=田子ノ浦)を叩き込みで白星。両大関は見せ場なく敗れた。

 関脇御嶽海(25=出羽海)は前頭筆頭北勝富士(25=八角)押し出しで無傷の6連勝となった。今場所無敗の前頭三枚目栃ノ心(30=春日野)と前頭16枚目朝乃山(23=高砂)の2人も白星を挙げて6勝目を飾った。

 人気力士の前頭5枚目遠藤(27=追手風)は、前頭四枚目正代(26=時津風)寄り切りで敗れ、3連勝とはならなかった。

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豪栄道、阿武咲下し通算600勝「これからです」

阿武咲(手前)を上手投げで下す豪栄道(撮影・河野匠)

<大相撲初場所>◇2日目◇15日◇東京・両国国技館


 豪栄道が勢いのある若手の阿武咲を下して、通算600勝を挙げた。

 突き押しで距離を取ろうとする相手に右を差し、体勢が崩れたところで上手投げを決めた。「イメージ通りではないけど流れは良かった」と得意顔。昨年の九州場所に続き、2場所連続で初日から2連勝。通算勝利数も節目の一番になったが「そこは意識してやっていない。これからです」とさらなる上積みを狙う。

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稀勢の里に初日!横綱、大関陣は安泰 初場所

北勝富士(後方)を寄り切り、どうだと言わんばかりの表情を見せる稀勢の里(撮影・河野匠)

<大相撲初場所>◇2日目◇15日◇東京・両国国技館


 横綱、大関は安泰だった。

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、前頭筆頭北勝富士(25=八角)を寄り切って1日遅れの初日を出した。前に出ながら左を差した。

 通算41度目の優勝を狙う横綱白鵬(32=宮城野)は、2日続けて立ち合いで張り差し、かちあげを封印し2連勝を飾った。左で前頭筆頭の逸ノ城(24=湊)のまわしを引き、時間をかけて寄り切った。

 横綱鶴竜(32=井筒)は、立ち合いから小結貴景勝(21=貴乃花)に押し勝って2連勝をマークした。

 大関はともに2連勝を飾った。高安(27=田子ノ浦)は、前頭2枚目琴奨菊(33=佐渡ケ嶽)にもろ差しを許しながらも右上手投げで勝った。豪栄道(31=境川)も、小結阿武咲(21=阿武松)を右上手投げで下した。立ち合いで右を差すとかいなを返して上手を引いた。通算600勝目をなった。

 人気力士の前頭5枚目遠藤(27=追手風)は、同6枚目勢(31=伊勢ノ海)に押し込まれながらも土俵際での逆転の突き落としで2連勝とした。

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白鵬かち上げ、張り手封印「ホッとした」白星発進

阿武咲(左)を突き落とす白鵬(撮影・河野匠)

<大相撲初場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館


 横綱白鵬(32=宮城野)が張り手、かち上げなしで初日を突破した。元横綱日馬富士関による暴行事件、立行司の式守伊之助によるセクハラ行為と、相次ぐ不祥事の末に迎えた初場所は初日で小結阿武咲(21=阿武松)を突き落とした。取り口に苦言を呈していた横綱審議委員会(横審)からも合格点をつけられた。それでも右足親指を負傷したこともあり、若手に土俵際まで追い込まれるなど、不安も露呈した。

 歴代最長タイの横綱在位63場所目を迎えた白鵬の取り口に、かつてないほど注目が集まった。相手は立ち合いの圧力に定評がある阿武咲。これまでなら張り手などで勢いをそぐことも視野に入れる相手だが、グッとこらえた。立ち合いで狙った右差しは不発。左上手もつかまえきれず気付けば土俵際だった。さらに突進を続ける阿武咲を、最後は闘牛士のようにヒラリとかわしつつ右腕をたぐり、土俵外へと突き落とした。

 初場所初日は横審の本場所総見とあって、観戦した北村委員長は「今日も張ったりするのかと(横審メンバーで)言っていたので、みんなホッとした。ちょっとは気にしているのかな」と合格点を付けた。これを伝え聞いた白鵬も「私もホッとしましたよ。まあ、いいスタートが切れたのではないかな」と笑顔だった。

 昨年12月20日に、横審から苦言を呈された。張り手やかち上げの多さに「美しくない」「見たくない」といった投書が相次いだといい、横審の委員も次々と同調。「待ったなし」で立ち合いの改善が必要だった。

 張り手やかち上げは、意図的に繰り出すばかりではなく、癖になって無意識に出ることもある。だからこそ今場所前は稽古の様子をビデオ撮影し、修正に努めた。5日の横審稽古総見でも、張り手が飛び出して不穏な空気となったが、改善に取り組み続けた。

 初日こそ突破したが、阿武咲に押し込まれ、張り手、かち上げなしでは付け入る隙を与えることも露呈した。しかも報道陣に非公開だったこの日の朝稽古では古傷の右足親指を負傷。腫れた患部を氷水で冷やし、部屋関係者によると両国国技館内の相撲診療所で痛み止めの注射も打った。今後の不安要素は重なり、初場所中に張り手やかち上げを繰り出す可能性は高い。

 元日馬富士関の暴行事件は酒席に同席し、式守伊之助は同部屋と、一連の不祥事で白鵬は常に“震源地”の近くにいた。それだけに「お客さんが来てくれることがありがたい。残り14日間、それに応えていきたい」と神妙な表情。横審の北村委員長は、歴代最長69連勝の記録を持つ横綱双葉山が得意とした、受けて立ちつつ先手を取る「後の先」を引き合いに「そういう相撲を見たい」と、新たな宿題を課した。取り口よりも白星を追求した立ち合いに変えるのか、今後がさらに注目される。【高田文太】

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阿武咲、白鵬に敗戦も前向き「こっからッス」

白鵬を追い込むも突き落としで敗れた阿武咲(右)(撮影・小沢裕)

<大相撲初場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館


 阿武咲は白鵬に敗れたが、前向きさを失わなかった。最後は体をかわされ、土俵を割った。対戦成績は2戦2敗。決まり手は、昨年11月九州場所での初顔合わせと同じ突き落としだった。

 「立ち合いは悪くない。足の運びがいいんで。しっかり相手も見えました。また明日からじゃないですか。こっからッス」。初体験の初場所初日の結びの一番を「気持ち良かったです」と振り返っていた。

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稀勢の里は初日に土、白鵬、鶴竜は白星発進 初場所

貴景勝(左)は稀勢の里の右腕をつかみ、とったりに持ち込む(撮影・小沢裕)

<大相撲初場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館


 通算41度目の優勝を狙う横綱白鵬(32=宮城野)は、小結阿武咲(21=阿武松)に攻め込まれたが突き落として白星スタートをきった。

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、小結貴景勝(21=貴乃花)に土俵際でとったりを食らい、いったん軍配が上がったものの物言いの末、行司軍配差し違えで黒星となった。

 横綱鶴竜(32=井筒)は、前頭筆頭北勝富士(25=八角)に鋭い立ち合いから突っ張り、押し込んでからの引き落として、昨年の名古屋場所以来の白星を挙げた。大関豪栄道(31=境川)は、前頭筆頭逸ノ城(24=湊)を押し出した。

 人気力士の前頭5枚目遠藤(27=追手風)は、同6枚目宝富士(30=伊勢ケ浜)をすくい投げで白星をあげた。

 前頭3枚目貴ノ岩(27=貴乃花)と同9枚目豊響(33=境川)、前頭11枚目宇良(25=木瀬)は休場。

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白鵬「いつも通りやるだけ」幕内1000勝へM30

元横綱日馬富士関の優勝額の前で記念撮影に応じる白鵬(撮影・鈴木正人)


 横綱白鵬は13日、土俵祭りを終え「いよいよ。今年1年もいろいろあると思うけれど」などと話した。

 前人未到の幕内1000勝まであと30勝として新しい年を迎えた。一方で横綱審議委員会から、張り手、かちあげが目立つ立ち合いに苦言を呈されている。初日は阿武咲、2日目は逸ノ城が相手で「いつも通りやるだけです」と余裕を感じさせた。

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阿武咲「自分は挑戦者」初日白鵬戦は全力でぶつかる


 大相撲初場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた13日、同所で土俵祭りが行われた。

 小結阿武咲(21=阿武松)も参加し、初日に横綱白鵬戦が組まれたことに「楽しみでしかないです。(初場所初日から)最高ですね」と喜びを隠せなかった。張り手、かちあげなどの多用で横綱審議委員会から苦言を呈された白鵬の立ち合いにも注目が集まる。「それは何も考えていません。自分は挑戦者ですからね」と全力でぶつかる覚悟を明かした。

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白鵬-阿武咲、稀勢の里-貴景勝 初日取組決まる 

稀勢の里


 日本相撲協会審判部は12日、東京・両国国技館で大相撲初場所(14日初日、両国国技館)の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。

 連続優勝で通算41回目の優勝を目指す横綱白鵬(32=宮城野)は、初日に小結2場所目の阿武咲(21=阿武松)と結びの一番で対戦する。

 4場所連続休場からの再起をかける横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は初日に新三役の小結貴景勝(21=貴乃花)、2日目は東前頭筆頭の北勝富士(25=八角)と勢いのある若手の挑戦を受ける。

 やはり4場所連続休場中の横綱鶴竜(32=井筒)は初日に北勝富士、2日目は貴景勝と、やはり難敵との対戦が組まれた。

 なお十両以上の初日からの休場者は、いずれも十両で東3枚目の貴ノ岩(貴乃花)、西9枚目の豊響(境川)、東11枚目の宇良(木瀬)の3人。貴ノ岩は昨年10月、元横綱日馬富士関に暴行された際に負った頭部外傷などのため。手術した宇良は、右膝前十字靱帯(じんたい)断裂で加療中の診断書を提出。豊響は不整脈のため休場を届け出た。初日、2日目の三役以上の取組は以下の通り。

 【初日】(左が東)

 千代大龍-玉鷲

 御嶽海-琴奨菊

 嘉風-高安

 豪栄道-逸ノ城

 鶴竜-北勝富士

 貴景勝-稀勢の里

 白鵬-阿武咲

 【2日目】(左が西)

 千代大龍-御嶽海

 玉鷲-嘉風

 阿武咲-豪栄道

 高安-琴奨菊

 逸ノ城-白鵬

 貴景勝-鶴竜

 稀勢の里-北勝富士

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鶴竜“背水の陣”初場所へ「不安は減りました」

稽古総見で高安(手前)を破る鶴竜(撮影・鈴木正人)


 大相撲初場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が5日、両国国技館で行われた。

 4場所連続休場中の横綱鶴竜が自信を口にした。稀勢の里、高安、御嶽海、阿武咲と14番取って13勝と圧倒。左足首痛と腰痛が不安視されていたが、鋭い踏み込みが目立った。師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)は次に出場する場所で進退を懸けるとしており、出場すれば背水の陣となる初場所に向けて「目の前のことに集中して確認していく。(今日で)1つ不安は減りました」と前向きだった。

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東小結貴景勝は貴乃花部屋初の新三役、貴ノ岩は十両

貴景勝(2017年11月15日撮影)


 日本相撲協会は26日、来年1月の大相撲初場所(14日初日、両国国技館)の新番付を発表。

 元横綱日馬富士関に暴行され、東前頭8枚目だった11月の九州場所を全休した貴ノ岩(27=貴乃花)は、東十両3枚目に番付された。20日の理事会で決定された通り、診断書を提出して初場所を全休した場合、3月の春場所は十両最下位(14枚目)にとどまる。

 2場所ぶりに東の正横綱に就いた白鵬(32=宮城野)は横綱在位63場所となり北の湖と並び史上1位となった(3位は千代の富士の在位59場所)。日馬富士の引退で1年ぶりの3横綱となり、西は稀勢の里(31=田子ノ浦)、東の2枚目に鶴竜(32=井筒)が付けられた。大関は東が豪栄道(31=境川)、西が高安(27=田子ノ浦)で変わらない。

 関脇は、東の御嶽海(25=出羽海)が4場所連続在位(三役は6場所連続)で、西は3場所ぶりに玉鷲(33=片男波)が返り咲いた(三役は2場所ぶりの復帰)。

 東小結の貴景勝(21=貴乃花)は、貴乃花部屋初の新三役。西小結は2場所連続で阿武咲(21=阿武松)とフレッシュな顔ぶれが並んだ。

 新入幕は2人。東前頭14枚目の阿炎(23=錣山)は、錣山部屋からは現師匠(元関脇寺尾)が04年1月27日に部屋を創設以降、3人目の新入幕力士。埼玉県出身では戦後11人目。また東前頭16枚目の竜電(27=高田川)は、現師匠(元関脇安芸乃島)が09年8月5日に部屋を継承してからは、輝(23)に続く2人目の幕内力士となった。竜電は12年九州場所で新十両昇進を果たしながら1場所で陥落。ケガもあり序ノ口まで番付を落とした。関取経験者が序ノ口陥落後に新入幕を果たすのは、92年九州場所の琴別府以来、史上2人目となった。

 再入幕は東前頭12枚目の蒼国来(33)、西前頭14枚目の豊山(24)、東前頭15枚目の石浦(27=宮城野)の3人。

 晴れて関取の座を射止めた新十両は2人。東十両13枚目の水戸龍(23=錦戸)は、02年12月1日に創設された錦戸部屋(師匠=元関脇水戸泉)から初の関取誕生となった。モンゴル出身では33人目、日大からは節目の50人目、学生相撲出身では124人目の新十両昇進だ。

 東十両14枚目の天空海(あくあ、27=立浪)は、現師匠(元小結旭豊)が99年2月22日に部屋を継承してから5人目の関取。茨城県出身では、10年九州場所の高安以来、戦後21人目の新十両昇進を果たした。

 再十両は西12枚目の栃飛龍(30=春日野)、同13枚目の大翔鵬(23=追手風)、同14枚目の希善龍(32=木瀬)の3人となった。2場所ぶりの十両復帰となった希善龍は、8度目の十両昇進。これは須磨ノ富士と並ぶ史上1位の記録となった。

 初場所は、来年1月12日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。14日の初日を迎える。

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高安、自信戻った巡業V 足の不安「ないです」

幕内トーナメントで優勝して優勝大皿を受け取る高安


 右太もも肉離れで2場所連続休場中の大関高安が、沖縄・宜野湾巡業初日の16日、幕内トーナメント決勝で若手で勢いのある阿武咲を下し、優勝して自信をつけた。

 「足が動くから良かった。集中できた」と納得し、足の不安は「ないです」ときっぱり。朝稽古も積極的に行っており「限られた時間の中でも出来る限りのことをやっている。調子はいい方だと思います」と表情に余裕を見せた。

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白鵬悔し宮古島巡業V逃す 脅迫文書は協会が対応へ

横綱土俵入りを行う白鵬


 大相撲冬巡業の沖縄・宮古島巡業最終日が14日、JTAドーム宮古島で行われ、横綱白鵬(32=宮城野)が悔しさをあらわにした。

 最後に行われた幕内トーナメントに出場し、1回戦で小結阿武咲、2回戦で平幕の栃煌山、準決勝で関脇照ノ富士を下して決勝に進出したが、平幕の千代大龍に負けて優勝を逃した。支度部屋では「あー優勝したかったなー」と悔しがった。

 冬巡業も移動日を含めて残り3日となった。前半は九州場所の疲れが取れなかったというが「少しはね」と徐々に取れてきたという。初場所(来年1月14日初日、両国国技館)まで残り1カ月となり「早いなー」とつぶやいた。

 帰り際に報道陣から、11日の福岡・北九州市の巡業で脅迫する封書が届いたことは相撲協会に任せるか、と問われると「そうだね」と話した。

横綱土俵入りを行う白鵬

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北勝富士「いい夢見させてもらった」隠岐の海と散る

玉鷲にはたき込みで敗れる隠岐の海

<大相撲九州場所>◇14日目◇25日◇福岡国際センター


 横綱白鵬(32=宮城野)が、前人未到の40回目の優勝を果たした。自身の取組前に、1差で追いかけていた平幕の隠岐の海と北勝富士が負け、勝てば優勝の結びの一番で、東前頭9枚目遠藤を押し出しで下した。

 白鵬を追走していた八角部屋コンビは、そろって力尽きた。兄弟子の隠岐の海が玉鷲に敗れると、3番後の北勝富士も合口の悪い阿武咲に逆転負け。千秋楽まで優勝争いを演じることはできなかった。「負けた相撲はいいです。明日です」と隠岐の海。北勝富士は「いい夢を見させてもらった。もしかしたらいけるんじゃないかと思った」と言い「(隠岐の海が)勝っていたら(自分も)勝ってたなぁ~」と苦笑いだった。

阿武咲に突き出される北勝富士

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北勝富士3敗目「いい夢を見た」賜杯には届かず

阿武咲に突き出される北勝富士(福岡国際センター)

<大相撲九州場所>◇14日目◇25日◇福岡国際センター


 2敗で横綱白鵬を追走していた西前頭3枚目の北勝富士(25=八角)は小結阿武咲(21=阿武松)に突き出されて3敗目となり、賜杯の行方を千秋楽に持ち越させることはできなかった。

 1度は左ののど輪で押し込み、土俵際まで持って行ったが、阿武咲のいなしに体が泳ぎ、逆転負けを喫した。過去0勝2敗で「やりにくい。嫌い(なタイプ)です」と話していた難敵にまたしても苦杯をなめさせられた。「(阿武咲は)やわらかい。土俵際はもう一押しだった。相性はありますね」と悔しがった。

 それでも、3横綱1大関が休場した場所で、兄弟子の隠岐の海とともに横綱白鵬の背中を追った。「意識しないようにしていたけど、いい夢を見させてもらいました。もしかしたら、行けるんじゃないかと思った」と正直に打ち明けて「(隠岐の海が)勝っていたら(自分も)勝ってたなぁ~。それは言える」と苦笑いを浮かべていた。

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白鵬が遠藤下し40度目V、追う平幕2力士敗れる

40度目の優勝を決め懸賞金を手にする白鵬(撮影・栗木一考)

<大相撲九州場所>◇14日目◇25日◇福岡国際センター


 横綱白鵬(32=宮城野)が2場所ぶり40度目の優勝を飾った。2敗で追う平幕2力士がいずれも敗れ、勝てば優勝が決まる結びの一番で、前頭9枚目遠藤(27=追手風)をあっさりと押し出して1敗を守った。

 先場所の3横綱2大関に続き、今場所は3横綱1大関が休場。横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)による、平幕貴ノ岩(27)への暴行問題も取りざたされる中、1人横綱の重責を果たした。

 星1つの差で追っていた前頭3枚目北勝富士(25=八角)は小結阿武咲(21=阿武松)に突き出され、前頭12枚目隠岐の海(32=八角)は同筆頭玉鷲(32=片男波)にはたき込まれ、いずれも敗れた。

 大関豪栄道(31=境川)は前頭5枚目宝富士(30=伊勢ケ浜)を寄り切り9勝5敗とした。

 39歳で再入幕の前頭13枚目安美錦(伊勢ケ浜)は同8枚目千代丸(26=九重)に突き出され7勝7敗となった。

遠藤を押し出しで下す白鵬(撮影・栗木一考)

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北勝富士「普通の人じゃない」白鵬に驚愕も2敗追走

嘉風(左)を寄り切り2敗を守った北勝富士(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇13日目◇24日◇福岡国際センター


 平幕の北勝富士(25=八角)が関脇嘉風を破り、自己最多の11勝目を挙げた。日体大の大先輩に対し、1度は中に入られ、下がりかけたが、前傾姿勢を崩さず押し返し、最後は右下手でまわしを取って寄り切った。「まわしを取ることは考えてなかった。最後は突き押しのままいきたかったけど、逆転の投げがあるから」と慎重を期した。

 2敗を守って、トップの白鵬とは1差のまま。直後の結びの一番で、その白鵬が宝富士に2度も背後をとられかける場面があった。勝ち残りの土俵下で「行け! と思った。そりゃ人間ですから」と笑い、それでも勝った横綱に「さすがです。普通の人じゃないですよ」と首をひねった。

 今場所は付け人4人全員が勝ち越した。関取になって9場所目で初の“快挙”だ。特に驚いたのは、東序ノ口16枚目北勝里が入門7年目、デビュー39場所目にして初めて勝ち越したことだ。「奇跡ですよ。なんかオリンピックよりすごい」。付け人に渡す“骨折り(小遣い)”は勝ち越したら“ボーナス付き”と決めている。「いつも、みんなに『何で勝ち越すんだよ』って言うんです。出費がかさむでしょ?」と言いつつも、うれしくてたまらない。

 部屋の兄弟子、隠岐の海も2敗を守った。「支度部屋に戻ってきた時に、すごい笑顔だった。“お先”みたいな」。ともに平幕優勝の可能性を残す終盤戦が楽しい。14日目は番付は小結と上だが、4つ年下の阿武咲戦。「あまり勝ってるイメージがない。十両で1回勝ったかな。いつもはたき落とされてるような」。幕下時代から通算1勝4敗。合い口は悪いが、ここまで来て星を落とすつもりはない。

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琴誠剛が7戦全勝で序ノ口優勝 次は幕下入り目標

序ノ口優勝の琴誠剛(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇13日目◇24日◇福岡国際センター


 両膝を手術した苦労人が、再起への1歩を初の各段優勝で飾った。序ノ口で、ここまでただ一人、6戦全勝だった東序ノ口18枚目の琴誠剛(23=佐渡ケ嶽、本名・高岸翔太、福岡県北九州市八幡西区出身)が、序二段で6戦全勝だった斉藤(24=陸奥)を、もろ手突き2発の押し出しで破り、7戦全勝で優勝を決めた。

 13年初場所で初土俵。序ノ口から1年で西三段目3枚目まで順調に番付を上げたが、左膝の前十字靱帯(じんたい)を痛め2度の手術をして土俵復帰。だが今年春場所の2番相撲で、今度は右膝の同箇所と半月板を負傷し、4月に手術。本来は来年1月の初場所で本場所の土俵に復帰する予定だったが「(出身地が北九州市で)ご当所で出たいと思い、リハビリを頑張って不安もなくなり(医師らから)出てもいい、ということになったので出られました。土俵に上がれるだけで幸せ、という気持ちで今場所は取りました」と感激に浸りながら話した。

 喜んでばかりもいられない。「同期はみんな、上がってますから」と新三役の阿武咲(阿武松)や十両の石浦(宮城野)らの名前を挙げた。もちろん苦い経験から、焦りは禁物も言い聞かせている。目標の関取の前に、まずは博多帯を締めることが許される幕下入りが目標。「早く帯を締めたいですね」。表彰式が行われる千秋楽には、家族が北九州市からかけつける。

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白鵬「7年前のことを思い出した」阿武咲にしみじみ

阿武咲を突き落としで破り7連勝を飾った白鵬(撮影・今浪浩三)

<大相撲九州場所>◇7日目◇18日◇福岡国際センター


 白鵬が“白鵬チルドレン”の挑戦を退けた。

 初顔合わせの阿武咲は10年スタートの少年相撲「白鵬杯」第1回大会優勝の青森県メンバーで、この日は右張りから左に回って突き落とした。自らメダルを首にかけた思い出があり「今朝起きた時、7年前のことを思い出した。1つの夢がかないました」としみじみ。一方の阿武咲は新入幕から4場所連続2桁勝利の可能性が消えた。「明日ッス」と繰り返し、気持ちを切り替えていた。

全勝を守り、笑顔で引き揚げる白鵬(撮影・岡本肇)

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白鵬「夢がかなった」少年相撲時代知る阿武咲に勝利

阿武咲を突き落としで破り7連勝を飾った白鵬(撮影・今浪浩三)

<大相撲九州場所>◇7日目◇18日◇福岡国際センター


 横綱白鵬(32=宮城野)が“白鵬チルドレン”の初挑戦を退け、ただ1人の全勝を守った。

 10年スタートの少年相撲「白鵬杯」第1回の団体優勝メンバー、小結阿武咲を、右張りから右はず押しで勢いを止め、ひらりと左に回って突き落とした。

 「今朝起きた時に7年前を思い出した。不思議な感じですね。(阿武咲は)もう役力士。関取になって花を咲かせて。対戦して、1つの夢がかないました」。当時、阿武咲の首にメダルをかけただけに感慨深げ。「勢いはあるけど、横の動きが鈍い。場所前に稽古して、本人にも伝えたんだけどね」と助言も忘れなかった。

 今年通算49勝、年間最多勝トップの御嶽海がこの日負けて50勝で動かず、その差はわずかに1まで接近。日馬富士の暴行騒動で雑音が多い場所にあって、抜群の安定感を見せる。「まあまだ抑え抑えでね。今から1番1番です」。出場3場所連続Vでの通算40度目の優勝へ。現時点で死角はない。

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白鵬7連勝、稀勢の里は好調北勝富士に敗れ3敗目

白鵬

<大相撲九州場所>◇7日目◇18日◇福岡国際センター


 40度目の優勝を目指し、単独首位に立つ横綱白鵬(32=宮城野)が7連勝を飾った。立ち合いで小結阿武咲(21=阿武松)を張って、最後は突き落とした。

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、前頭3枚目北勝富士(25=八角)に敗れ4勝3敗となった。北勝富士は6勝1敗。

 大関豪栄道(31=境川)は、前頭3枚目松鳳山(33=二所ノ関)に押し出され連敗、5勝2敗となった。かど番大関高安(27=田子ノ浦)は、前頭4枚目千代の国(27=九重)を押し出し5勝2敗とした。

 39歳で再入幕の前頭13枚目安美錦(伊勢ケ浜)は、38歳の同13枚目豪風(尾車)とのベテラン対決にはたき込みで勝利し、6勝1敗とした。人気力士の前頭9枚目遠藤(27=追手風)は、6枚目千代翔馬(26=九重)を肩透かしで下し、4勝3敗とした。

 7日目を終え勝ちっ放しは白鵬、1敗で北勝富士、前頭4枚目逸ノ城(24=湊)同5枚目荒鷲(31=峰崎)同12枚目隠岐の海(32=八角)、安美錦が続いている。

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御嶽海、阿武咲に対抗心あらわ「負けらんないすよ」

阿武咲をはたき込みで破る御嶽海(撮影・今浪浩三)

<大相撲九州場所>◇6日目◇17日◇福岡国際センター


 24歳の関脇御嶽海が21歳の小結を退けた。阿武咲と激しい突き、押しの応酬となったが、最後はうまくはたき込んだ。

 幕内最年少の阿武咲の存在は意識している。「負けたくない気持ちはあります。まだ負けらんないすよ。まあでも、強いな…」。本音を隠さない若手リーダー格が1敗をキープ。年間最多勝争いのトップも守った。

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御嶽海「まだ負けらんない」阿武咲下し貫禄見せる

阿武咲をはたき込みで破る御嶽海(撮影・今浪浩三)

<大相撲九州場所>◇6日目◇17日◇福岡国際センター


 関脇御嶽海(24=出羽海)が小結阿武咲をはたき込みで下し、1敗を守った。

 激しい突き押しの応酬で若手のリーダー格が、新星の勢いを受け止めた。「負けたくない気持ちはあります。まあでも、まだ負けらんないっすよ」と貫禄を見せながら「まあでも(阿武咲は)強いな」と力を認めていた。

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豪栄道「クセになるからダメ」はたき込み勝利に不満

阿武咲(右)をはたき込みで破る豪栄道(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇5日目◇16日◇福岡国際センター


 豪栄道が序盤戦を5連勝で突破した。立ち合いから阿武咲に押し込まれながらも、土俵際で左足を残してはたき込み、逆転した。

 内容には満足しておらず、取組後は「いまひとつ相手に圧力が伝わらなかった。(はたき込みでの白星は)クセになるからダメ」と、首をかしげた。一方で「体は動いている」と、今後は前に出る理想の取り口で白星を重ねる決意を語った。

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豪栄道5連勝、阿武咲に逆転勝ち「体は動いている」

阿武咲(右)をはたき込みで破る豪栄道(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇5日目◇16日◇福岡国際センター


 大関豪栄道(31=境川)が5連勝を飾った。

 阿武咲の低く鋭い立ち合い、一気に土俵際まで押し込まれたがはたき込んで逆転。

 豪栄道は「体は動いている。1番1番やるだけ」と、先場所では目前にまで迫りながら逃した優勝へ、静かに燃えている様子だった。

逆転勝利にも反省を語る豪栄道(撮影・岡本肇)

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白鵬、豪栄道ら5連勝、稀勢の里702勝で単独8位

栃煌山(左)を押し出しで破り5連勝の白鵬(右)(撮影・今浪浩三)

<大相撲九州場所>◇5日目◇16日◇福岡国際センター


 40度目の優勝を目指す横綱白鵬(32=宮城野)は前頭2枚目の栃煌山(30=春日野)を押し出して5連勝を飾った。

 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、前頭3枚目松鳳山(33=二所ノ関)を右からの逆転の突き落としで下し3勝2敗とした。幕内通算702勝とし、貴乃花を抜いて歴代単独8位となった。

 かど番大関高安(27=田子ノ浦)に土がついた。前頭筆頭の玉鷲(33=片男波)の左おっつけから右のど輪で背中を向かされ送り出された。大関豪栄道(31=境川)は、新小結阿武咲(21=阿武松)をはたき込んで5連勝とした。

 初日から4連敗だった関脇照ノ富士(25=伊勢ケ浜)は左膝のケガで、この日から休場した。今場所10勝以上なら大関に復帰できたが、再出場しない方針で、1場所での大関復帰の可能性が消えた。

 39歳で再入幕の前頭13枚目安美錦(伊勢ケ浜)は、同14枚大奄美(24=追手風)に土俵際まで寄り立てられたが右へ回り込みながらのすくい投げで5連勝をマークした。人気力士の前頭9枚目遠藤(27=追手風)は、同11枚目の朝乃山(23=高砂)を寄り切って連敗を止め、3勝目を挙げた。

松鳳山(右)を突き落としで破り3勝目を挙げた稀勢の里(撮影・岡本肇)

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白鵬3連勝、稀勢の里が2勝目 日馬富士は休場

2勝目を挙げ笑顔が戻ってきた稀勢の里(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇3日目◇14日◇福岡国際センター


 40度目の優勝を目指す横綱白鵬(32=宮城野)は、前頭筆頭の貴景勝(21=貴乃花)を寄り倒しで下し3連勝を飾った。

 黒星発進の横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)は、千代大龍(29=九重)を寄り切って2勝目を挙げた。幕内通算701勝とし、貴乃花と並び歴代8位となった。

 2連敗していた横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)は、左腕の負傷でこの日から休場した。

 大関はそろって3連勝とした。大関豪栄道(31=境川)は、前頭2枚目の栃煌山(30=春日野)を肩透かしで下した。大関高安(27=田子ノ浦)は、新小結阿武咲(21=阿武松)にいなされて土俵際まで押し込まれたが、逆転の引き落としで勝った。

 39歳で再入幕の前頭13枚目安美錦(伊勢ケ浜)は、同15枚錦木(27=伊勢ノ海)を肩透かしで下し3連勝をマークした。人気力士の前頭9枚目遠藤(27=追手風)は、同7枚目の正代(26=時津風)に寄り切られて2勝1敗となった。

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貴景勝2個目の金星 阿武咲のツッコミもどこ吹く風

日馬富士(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・岡本肇)

<大相撲九州場所>◇2日目◇13日◇福岡国際センター


 貴景勝は止まらなかった。立ち合いで鋭く当たり、前へ、前へ。横綱に何もさせず押し出した。

 日馬富士から2場所連続の金星。先場所は10日目、はたき込みだったから内容は段違いだ。「あんまり覚えてないんです。考えたら、脳の回転が遅くなるんで」。無意識で会心の相撲を見せた。

 西前頭筆頭で臨んだ先々場所の名古屋から始まった上位戦で、三役以上と18戦7勝11敗。「人より体がないから、これでやっていくしかない」と押し相撲に全力を注ぐ。

 同学年の阿武咲とのライバル関係が注目される。「それは記者さんが一緒にしてるだけ」と話していると、風呂上がりの阿武咲が現れ「いいなあ、勝った人は写真撮ってもらえて」と突っ込まれたが、どこ吹く風。2個目の金星に「自信とは別に、自分の相撲をもっと貫いていいのかな、とは思います」。今日3日目は名古屋場所以来2度目の白鵬戦だ。

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阿武咲、稀勢に黒星も土俵であらたな教え受け笑顔

突き落としで稀勢の里(左)に敗れた阿武咲(撮影・菊川光一)

<大相撲九州場所>◇2日目◇13日◇福岡国際センター


 念願の初顔合わせは一瞬で終わった。

 阿武咲は立ち合いで、稀勢の里得意の左四つを封じるため、右を固めて頭からぶつかった。だが、おっつけから体勢を崩し、両手を土俵についた。「考えていた立ち合いではなかった。右を固めたところ、おっつけられた。相手が全然上ということ」と、足が滑ったように見えた一番にも力の差を痛感していた。八角理事長(元横綱北勝海)も「滑ったのではなくて気負いから。足が動かなかったということ」と、心身ともに稀勢の里が一枚上手だったと解説した。

 それでもあこがれの存在との一番を終え「すごいうれしかった」と、笑顔を見せる場面もあった。幕下に陥落した昨年、当時大関だった稀勢の里に巡業や出稽古で胸を借りた。「相撲は下半身で取るものと教わった」と、先場所まで新入幕から3場所連続2桁白星という初の快挙につなげた。

 十両から陥落した当時を「1度は終わったと思われた人間」と評する。そこから「テレビの中の世界の人」と思っていた稀勢の里がつくってくれた再起への道筋。176センチの新小結は、11センチも大きな恩人と土俵上で向き合うところまでたどり着いた。「いろいろ足りないと思った。やるべきことを毎日一生懸命やるだけ」。土俵でまた新たな教えを受けた阿武咲は、すがすがしい表情だった。【高田文太】

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稀勢の里「左」で復活 阿武咲を瞬殺し幕内700勝

突き落としで阿武咲(下)を下す稀勢の里(撮影・菊川光一)

<大相撲九州場所>◇2日目◇13日◇福岡国際センター


 3場所連続休場からの復活優勝を狙う横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が、新小結の阿武咲(21=阿武松)を突き落とし、今場所初白星を挙げた。途中休場した名古屋場所4日目の正代戦以来124日ぶりの白星で、節目の幕内700勝目となった。わずか0秒7で決着したが、春場所で左上腕付近を負傷してから影を潜めていた左からの攻めが決まり、復活が期待できる一番となった。

 伝家の宝刀が、ついに抜かれた。全休明けからの初日黒星の悪い流れを断ち切るのは、稀勢の里自身しかいなかった。押し相撲を武器に三役まで駆け上がってきた阿武咲よりも先に、左足から踏み込んだ。それだけでも十分にかかった圧力。その瞬間、相手の右脇下を強烈に左で突くと、たちまち阿武咲にべったりと両手を土俵の上につかせた。一瞬で決まった勝負。稀勢の里は、何事もなかったかのように涼しい顔で、観客からの拍手を受けた。

 春場所で左上腕付近を負傷して以来、全くと言っていいほどに左からの攻めが影を潜めていた。稽古場では決まっていても本場所に入ると決まらず、歯がゆい思いを3場所連続で味わった。今場所も初日の玉鷲戦では不発。またも駄目かもしれないと思われた直後に、生命線の“左”が帰ってきた。「まぁ良かったんじゃないですか。今日は今日でまた明日」と控えめながらも、自信を取り戻す一番になったのは間違いなかった。

 阿武咲は、期待する若手の1人だった。共に10代で関取になり、誕生日も1日違いの縁があることから、15年の春巡業で稀勢の里から声をかけて初めて稽古した。その後も、阿武松部屋に出稽古に行っては胸を合わせた。当時から「いずれ三役、それ以上にいける存在」と認め、この日も「非常に力のある力士だと思う。良い相手でした」と振り返った。

 名古屋場所以来の白星だが「また明日。しっかりやるだけです」と浮かれることはなく、幕内700勝にも冷静に「まだまだ伸ばせるようにしたい」と話した。武器と自信を取り戻した稀勢の里が、よくやくスタートラインに立った。【佐々木隆史】

阿武咲に勝利しホッと一息ついて土俵を降りる稀勢の里(撮影・岡本肇)

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