上へ戻る

au版ニッカン★バトル

記事検索

夏場所新十両に藤青雲、時疾風、千代栄は復帰 ヤクルト村神様の“旧友”川副は昇進逃す

所作を披露する藤青雲(2023年1月13日撮影)

日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士3人を発表した。

新十両は藤青雲(25=藤島)、時疾風(26=時津風)の2人で、念願の関取の座を初めてつかんだ。また、千代栄(32=九重)は2場所ぶりの復帰となる再十両を果たした。

さきの春場所で西幕下2枚目の藤青雲、東幕下3枚目の時疾風は、ともに4勝3敗の成績を収めた。また、西幕下2枚目の千代栄は5勝2敗の結果を残した。

藤青雲(本名・東龍輝)は熊本市西区出身。明大を卒業後、約1年のブランクを経て、年齢制限緩和措置により21年春場所で初土俵(コロナ禍で前相撲はなし)。翌夏場所の序ノ口から3場所連続7戦全勝(優勝は序ノ口と三段目の各1回)の21連勝で幕下入り。幕下では3勝4敗の負け越しが2回あるだけで着実に番付を上げ、所要2年でスピード出世を果たした。181センチ、139キロで右四つ、寄りを得意とする。

時疾風(本名・冨栄秀喜)は宮城県栗原市出身。東京農大を経て19年春場所で初土俵を踏んだ。序ノ口から所要3場所で幕下入り。だが、幕下1ケタ台では壁にはね返されてきた。東幕下15枚目だった21年春場所では、6戦全勝で三役経験者の阿炎と7番相撲で対戦。勝てば優勝&新十両昇進だったが、引き落としで敗れて逃した。その後も勝ち越しと負け越しを繰り返したが、初土俵から4年で関取の座をものにした。178センチ、130キロで左四つ、寄りを得意とする。序二段で優勝経験がある。

再十両の千代栄(本名・岸栄太)は京都府福知山市出身。09年初場所が初土俵で、12年半をかけて昨年7月の名古屋場所で悲願の新十両昇進を果たした。4場所連続で十両の土俵を務めた後、先の春場所で幕下に降格したが、1場所で復帰を果たした。

日大4年時に学生横綱の座に就き、22年9月の初場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ川副(23=宮城野)は、西幕下3枚目の春場所で4勝3敗だった。昇進の可能性もあったが、今回は惜しくも逃した。野球WBCの侍ジャパンで世界一になった主砲の村上宗隆内野手(ヤクルト)とは、高校こそ違うが(川副は文徳高、村上は九州学院高)、同学年で交流があり、よく話した間柄だという。

仕切りする時疾風(2023年3月14日撮影)
塵手水(ちりちょうず)する千代栄(2023年3月14日撮影)
春場所初日、峰刃(左)を下手投げで破った川副(2023年3月12日撮影)

関連するニュースを読む

大栄翔2敗守り21年初場所以来2度目V王手 不戦勝で1差霧馬山に逆転の可能性

大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔が21年初場所以来2度目の優勝に王手をかけた。

前日13日目に単独トップに立った大栄翔は、西前頭5枚目の翠富士と対戦。立ち合い、もろ手で首元を攻めて押し込み、一気に前に出て突き倒した。

初日から10連勝と場所を盛り上げてきた翠富士だが4連敗で優勝の可能性が消滅した。

3敗で追っていた小結若元春も関脇豊昇龍の上手投げに敗れ、可能性が消えた。不戦勝で11勝3敗とした関脇霧馬山だけが逆転の可能性を残した。

新入幕の金峰山が阿炎を押し出して、2桁10勝目をあげた。

大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔は翠富士(下)を突き倒しで破る(撮影・小沢裕)
大栄翔(左)は突き倒しで翠富士を破る(撮影・和賀正仁)
懸賞金を手にする大栄翔(撮影・小沢裕)
若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)
若隆景の休場により霧馬山の不戦勝となった(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

新入幕金峰山10勝「けがしないよう8番勝とうと」阿炎を一方的に押し出し目標上回る

阿炎(右)を押し出しで破る金峰山(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇14日目◇25日◇エディオンアリーナ大阪

新入幕の東前頭14枚目金峰山(25=木瀬)が、勝ち星を2桁10勝に乗せた。

昨年の九州場所で幕内最高優勝を飾った阿炎との一番。立ち合いから力強い突き押しで圧力をかけ、一方的に押し出した。「10番勝ててうれしいですね。けがしないよう8番勝とうと思っていた」という当初目標を上回った。

カザフタン出身初の関取。家族とはまめに連絡をとっているという。「昨日も電話したら『よかったね。頑張って』と言ってもらった」と明かし、原動力かの問いに「そうです」と明確に答えた。

幕内でも通用する力を示して残り1番。「最後まで頑張りたい」と言った。

金峰山(右)は押し出しで阿炎を破る(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

翠富士が初日から10連勝 追う大栄翔は豊昇龍に敗れて2差に 琴ノ若と遠藤も2敗でV戦線残る

翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

西前頭5枚目の翠富士が初日からの連勝を「10」に伸ばした。

小結翔猿との一番。右四つがっぷりの体勢から、右の差し手を抜いてはず押し。最後は珍しい「割り出し」の決まり手で勝利した。

ただ1人1差で追っていた小結大栄翔が、関脇豊昇龍に寄り切られ、その差は2に開いた。

小結琴ノ若が阿炎を破って2敗を守り、相撲巧者の遠藤は大関経験者の正代を逆転のすくい投げで勝ち越し、2敗に残った。

翠富士(左)は割り出しで翔猿を破る(撮影・小沢裕)
花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)
懸賞金を手に花道を引き揚げる翠富士(撮影・小沢裕)
大栄翔(右)を寄り切りで破る豊昇龍(撮影・和賀正仁)
大栄翔は豊昇龍(手前)に寄り切りで敗れる(撮影・小沢裕)
琴ノ若(右)は阿炎を押し倒しで破る(撮影・小沢裕)
阿炎(左)を押し倒しで破る琴ノ若(撮影・和賀正仁)
阿炎(右)を押し倒しで破る琴ノ若(撮影・和賀正仁)
遠藤は正代(手前)をすくい投げで破る(撮影・和賀正仁)
遠藤は正代(手前)をすくい投げで破る(撮影・和賀正仁)
遠藤は正代(手前)をすくい投げで破る(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

【WBC】八角理事長も侍ジャパンに賛辞惜しまず「感動を呼んだ」逆転サヨナラ勝利メキシコ戦

八角理事長(2023年3月12日撮影)

<大相撲春場所>◇10日目◇21日◇エディオンアリーナ大阪

西前頭5枚目の翠富士が初日からの連勝を「10」に伸ばした。 小結翔猿との一番。右四つがっぷりの体勢から、右の差し手を抜いてはず押し。最後は珍しい「割り出し」の決まり手で勝利した。 ただ1人1差で追っていた小結大栄翔が、関脇豊昇龍に寄り切られ、その差は2に開いた。 小結琴ノ若が阿炎を破って2敗を守り、相撲巧者の遠藤は大関経験者の正代を逆転のすくい投げで勝ち越し、2敗に残った。

     ◇    ◇    ◇

メキシコに劇的な逆転サヨナラ勝ちした、野球WBC準決勝の侍ジャパンの姿に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)も「感動を呼んだ」と賛辞を惜しまなかった。

この日も、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は取組の合間に、WBCをテレビ観戦したかを問われると、「最後、見ました。一生懸命やっているのが分かる。強い相手がいて、勝ったり負けたりするのが感動を呼ぶ。相手を敬うことが大事」と勝負をあきらめず、最終回にサヨナラ勝ちした日本代表をほめた。

さらに、協会トップの立場を踏まえて言及。「強い相手がいてこそ、いい相撲になる。それがいい経験になる。相撲も上位と当たるのが一番の経験になる」と語っていた。

関連するニュースを読む

大栄翔2日連続V経験者撃破、1敗守り翠富士との1差キープ 直接対決残すため自力Vの可能性も

玉鷲(右)の張り手を受ける大栄翔(撮影・石井愛子)

<大相撲春場所>◇9日目◇20日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔(29=追手風)が2日連続で幕内優勝経験者を破り、1敗を守った。

前日8日目の阿炎に続き、同じ押し相撲で4連敗中だった玉鷲に完勝。立ち合いから回転の速い突っ張りを繰り出して突き倒した。全勝の翠富士との1差をキープ。直接対決を残しており、自力優勝の可能性は残したままだ。「前に圧力を伝えられたのでよかった。自分の動きはいいので、相手の動きに反応することを考えた」と、状態の良さに胸を張っていた。

大栄翔(左)は突き倒しで玉鷲を破る(撮影・石井愛子)
懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

大栄翔「力士なのでケガはつきもの」休場の貴景勝にエール送る白星で1敗キープ

大栄翔(左)は阿炎と顔面をぶつけ合いながら土俵際へ攻め込む(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇8日目◇19日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔(29=追手風)が1敗を守り、全勝の翠富士との1差をキープした。同じ押し相撲の阿炎を押し出し。前日7日目に小結若元春に、逆転で今場所初黒星を喫した反省を生かして攻めきった。その7日目から埼玉栄高の後輩で、仲の良い大関貴景勝が休場。再出場はしない見通しで、綱とり場所から一転、来場所はかど番となる貴景勝に、エールを送る2度目の優勝を目指す。全勝と1敗は各1人で、2敗で琴ノ若、正代、高安らが追う。

  ◇   ◇

大栄翔は、止まらなかった。長い両手から繰り出される阿炎の突っ張りに、何度も上体を起こされた。それでも右をおっつけると勢いは加速。休まず攻めて押し出した。「落ち着いて、しっかり、相手をよく見て相撲を取れた。立ち合いで当たり負けないこと。先に攻めることが、突き、押し同士だと大事。さらに乗っていける」と胸を張った。

前日は一方的に押し込みながら、土俵際で逆転の突き落としに敗れた。無敗を守った翠富士とは1差に後退。この日も先に翠富士が勝っており、負ければ折り返しの8日目で2差。21年初場所以来、2度目の優勝が遠ざかるところで踏ん張った。「昨日は勝ち急いだというか、勝手に自爆したようなもの」。取組は映像で確認。上体が流れた前日とは一転、下からあてがって最後は阿炎をバンザイさせる隙のない白星だった。

前日から仲の良い貴景勝が休場した。普段は年齢が上の大栄翔の方がいじられ役だが、綱とりが消滅した心中を察し、この日は「力士なのでケガはつきもの。自分は自分で頑張るだけ」と、先輩らしく多くを語らなかった。優勝した2月の大相撲トーナメントでは、最後まで残って祝福してもらった。今度は傷心の貴景勝に刺激を与え、ライバル心をくすぐる幕内2度目の優勝を狙う。【高田文太】

大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
1敗を死守し懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

翠富士8連勝で単独トップ守る 大栄翔1敗死守、高安は2敗後退 霧馬山、豊昇龍3敗で追う

碧山(左)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇8日目◇19日◇エディオンアリーナ大阪

西前頭5枚目の翠富士が体重差72キロの碧山を寄り切って8連勝。初のストレート勝ち越しを決め、単独トップを守った。

小結大栄翔は同じ突き押し相撲の阿炎を押し出し、1敗を死守した。高安は平戸海に寄り切られて2敗に後退した。

関脇勢は若隆景が錦木を突き落とし、5連敗からの3連勝と星を戻してきた。霧馬山は翔猿を上手投げで5勝目。豊昇龍は御嶽海を寄り切って3連勝で5勝目とした。

碧山(左)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)
碧山(左)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)
碧山(左)を寄り切りで破る翠富士(撮影・和賀正仁)
翠富士は碧山(左)を寄り切りで破り中日勝ち越しを決める(撮影・小沢裕)
翠富士は碧山(左)を寄り切りで破り中日勝ち越しを決める(撮影・小沢裕)
平戸海(右)は高安を寄り切りで破る(撮影・和賀正仁)
平戸海(右)は高安を寄り切りで破る(撮影・和賀正仁)
平戸海(右)は高安を寄り切りで破る(撮影・和賀正仁)
平戸海(右)は高安を寄り切りで破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔は阿炎(右)と顔面をぶつけ合いながら土俵際へ攻め込む(撮影・小沢裕)
阿炎(右)を土俵際へ攻め込む大栄翔(撮影・小沢裕)
1敗を死守し懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・小沢裕)
霧馬山(右)は上手投げで翔猿を破る(撮影・和賀正仁)
翔猿(右)に手を貸す霧馬山(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

大栄翔1敗守り1差キープ「相手よく見て相撲取れた」胸張る白星「昨日は勝手に自爆」黒星薬に

大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)

<大相撲春場所>◇8日目◇19日◇エディオンアリーナ大阪

小結大栄翔(29=追手風)が、1敗を守って全勝の翠富士との1差をキープした。

幕内優勝1回、押し相撲、埼玉県出身と、共通点の多い東前頭2枚目の阿炎との顔合わせ。相手の回転の速い突っ張りに、上体を起こされる場面もあったが、右おっつけで押し返して押し出し。

「落ち着いて、しっかり、相手をよく見て相撲を取れた。こういう相撲がいいのかなと思った」と胸を張った。

前日18日の7日目は、小結若元春に敗れて今場所初黒星を喫した。一方的に押し込みながら、土俵際で逆転の突き落とし。

「昨日は勝ち急いだというか、勝手に自爆したようなもの。そういうのを反省してできたのでよかったと思う」と、黒星を薬にして連敗はしなかった。

「(阿炎とは)突き、押し同士。立ち合いで当たり負けないこと。先に攻めることが、突き、押し同士だと大事。タイプは違うけど、こういう良い相撲を取れていたら、またさらに乗っていけるかなと思う。しっかりと連敗せずにできてよかった」

まずは勝ち越しに王手をかけ、2度目の優勝へと突き進むつもりだ。

大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔(左)は押し出しで阿炎を破る(撮影・和賀正仁)
大栄翔は阿炎(右)と顔面をぶつけ合いながら土俵際へ攻め込む(撮影・小沢裕)
阿炎(右)を土俵際へ攻め込む大栄翔(撮影・小沢裕)
1敗を死守し懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・小沢裕)

関連するニュースを読む

貴景勝3敗目喫し綱とりに暗雲、大関経験者の御嶽海に苦杯 中盤戦の出鼻くじかれ崖っぷちに

御嶽海に敗れ悔しそうな表情で土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇6日目◇17日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、崖っぷちに立たされた。御嶽海(出羽海)に押し出しで敗れ、3敗に後退した。中盤戦に入り白星を積み重ねていきたかったが、出鼻をくじかれた。

貴景勝は初日に小結翔猿に敗れたが、2日目に玉鷲に快勝。星を五分に戻し、3日目に大関経験者の正代を撃破し2連勝。ただ、正代戦後の花道に引き揚げる際には左脚を引きずるような姿を見せた。4日目の阿炎戦では左膝にテーピングを巻いて出場するも、阿炎のいなしについていけず土俵を割り手痛い2敗目を喫した。綱とりに向けて暗雲がたれこめる中で、5日目の竜電戦では力強い攻めで意地を見せていた。

横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚という状況。

場所前の会見では「ここで後悔するようなことだったら、もう一生忘れないと思う。それだけはしたくない」と強い決意をにじませていた。厳しい戦いが続く。

御嶽海(右)に押し出しで敗れる貴景勝((撮影・和賀正仁)
御嶽海(右)に押し出しで敗れる貴景勝((撮影・和賀正仁)
御嶽海(左)に押し出しで敗れる貴景勝((撮影・和賀正仁)
御嶽海に押し出しで敗れ、引き揚げる貴景勝(撮影・和賀正仁)
貴景勝(2023年3月15日撮影)
御嶽海に敗れ土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)
御嶽海に敗れ土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む

迷わず押しに徹した貴景勝に「『これしかない』という気持ちでしょう」八角理事長が心中察する

竜電(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇5日目◇16日◇エディオンアリーナ大阪

綱とり大関の貴景勝(26=常盤山)が、左膝の負傷で不安視される中、持ち前の押し相撲で快勝し、連敗は免れ3勝目(2敗)を挙げた。右の上手狙いで立った平幕の竜電(32=高田川)を電車道で押し切り、わずか2秒1で押し出した。

勝った3日目の正代戦で左膝を痛め、前日4日目は阿炎の引き技に屈した。白い包帯に巻かれた左膝に爆弾を抱える手負いの状態で、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は取組前に「竜電は(立ち合いで)胸を出してくるわけではないし、体も柔らかいから、貴景勝は足を送れないと、はたかれたりする」と思い切り踏み込めるかを勝負のポイントに挙げていた。さらに「土俵に上がったら(ケガなど)何も考えない方がいい。考えたら相撲を取れない」。竜電に勝機があるとすれば、貴景勝の立ち合いの当たりを止められるかにあり、さらに「相手(貴景勝)の足が悪いことは分かっているから、より残れる」とケガを抱えて臨む劣勢さも察した。

勝負は、あっけないほどの貴景勝の快勝。集中して自分の相撲に徹した貴景勝の心中を、同理事長は「『これしかない』という気持ちでしょう」と察した上で「(この先も)大変だけど頑張るしかない」と話した。

懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)

関連するニュースを読む

綱とり貴景勝が竜電下し2敗守る、白星先行で中盤戦へ 前日阿炎に敗れるも意地見せる

竜電(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇5日目◇16日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、竜電(高田川)を押し出し、2敗を守った。序盤戦を3勝2敗で終え、再び白星先行で中盤戦に臨む。

貴景勝は初日に小結翔猿に敗れたが、2日目に玉鷲に快勝。星を五分に戻し、3日目に大関経験者の正代を撃破し2連勝。ただ、正代戦後の花道に引き揚げる際には左脚を引きずるような姿を見せた。4日目の阿炎戦では左膝にテーピングを巻いて出場するも、阿炎のいなしについていけず土俵を割り手痛い2敗目を喫した。綱とりへ暗雲がたれこめる中で意地を見せた。

横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚という状況。

年6場所制が定着した1958年(昭33)以降で横綱昇進したのは29人。綱とり場所で5日目終了時点で2敗を許した力士は朝汐(のちの3代目朝潮)のみ。朝汐は5日目に2敗目を喫した後、そこから負けなしの10連勝。13勝2敗で優勝次点で場所を終え、綱とりを成功した。

場所前の会見で貴景勝は「ここで後悔するようなことだったら、もう一生忘れないと思う。それだけはしたくない」と強い決意をにじませていた。自身の夢に向かって、白星を積み重ねるしかない。

竜電(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)
竜電(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)
懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)
竜電(左)を押し出しで破る貴景勝(撮影・和賀正仁)
貴景勝(2023年3月14日撮影)
3日目、正代戦後に左足を気にする様子で土俵を降りる貴景勝(2023年3月14日撮影)

関連するニュースを読む

「令和の怪物」落合が幕内優勝経験者の徳勝龍を寄り切って3勝目 地元倉吉市には後援会が発足

徳勝龍(右)を攻める落合(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇4日目◇15日◇エディオンアリーナ大阪

昭和以降最速の所要1場所で新十両に昇進した西十両14枚目落合(19=宮城野)が、幕内優勝経験者の36歳の徳勝龍を寄り切り3勝目を挙げた。地元鳥取には後援会が発足。関取として初めて15日間相撲を取る場所でサポートを力に変えている。幕内では綱とりに挑む大関貴景勝は阿炎に屈し2敗に後退した。4連勝は、小結大栄翔、翠富士、高安、錦富士、新入幕の北青鵬の5人となった。

同じ8月22日生まれで17歳先輩に先手を取られたが、19歳の落合は落ち着いていた。183センチ、190キロと一回り大きい徳勝龍の寄り身に1度は土俵際に押し込まれたが、膝を曲げてしっかりと残す。すかさず右前みつをつかむと、力強く前進して寄り切った。20年初場所で幕内優勝を飾った実力者からの白星も「あまり意識してなかった。きょうの一番勝ったという感じです」と淡々と振り返った。

幕下15枚目格付け出しで先場所デビュー。7戦全勝優勝で場所後に新十両に昇進した。昭和以降では初めて所要1場所で関取に昇進した令和の怪物は今場所も勢いを保つ。初日は幕下の塚原を下して白星発進。2日目こそ、同じ新十両の玉正鳳にプロ初黒星も、しっかり立て直して貴健斗、徳勝龍を退け2連勝と白星を伸ばした。

地元鳥取・倉吉市からの後押しが力になる。異例のスピード出世に、急ピッチで後援会が発足。先月下旬にできたばかりだが、10日時点で既に個人201件、法人・団体33件が加入。同後援会幹事兼事務局長の岩本善文さんは「県内外から問い合わせが絶えず、うれしい悲鳴です」と喜ぶ。地元のJR倉吉駅前では電光掲示板を使って取組結果を報告するプランも浮上するなど、地域を挙げたサポートの準備が進む。

地元の期待に応えるためにもスピード出世の歩みを止めるつもりはない。15日間相撲を取るのは初だが、「部屋でおいしいちゃんこを食べてるので大丈夫です」と疲れはない。目標の勝ち越しへ「1日、1日やることが結果につながる」と、5日目の友風戦に照準を定めた。【平山連】

徳勝龍(左)を攻める落合(撮影・鈴木正人)
徳勝龍(左)を寄り切りで破る落合(撮影・鈴木正人)
徳勝龍(左)を寄り切りで破る落合(撮影・鈴木正人)
徳勝龍(左)を寄り切りで破った落合(撮影・鈴木正人)
徳勝龍(右)を寄り切りで破った落合(撮影・前岡正明)

関連するニュースを読む

貴景勝2敗目で綱とり暗雲 テーピングが左膝に巻かれ「かばっているような感じ」佐渡ケ嶽審判長

阿炎(後方)にはたき込みで敗れる貴景勝(朝日新聞)

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)に暗雲がたれこめた。過去の対戦成績で3勝5敗と負け越している平幕の阿炎のはたき込みに屈し、横綱昇進を目指す上で手痛い2敗目。左膝に前日にはなかったテーピングが巻かれた中で、阿炎の強気な攻めについていけなかった。ご当地場所で期待するファンからは大きなため息が漏れた。初日から引き続きリモート取材には姿を見せなかった。

幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長(元関脇琴ノ若)は「ちょっと(脚を)かばっているような感じでしたね。本来の貴景勝の足腰だったら残せている」と話した。年6場所制が定着した1958年(昭33)以降で横綱昇進したのは29人。綱とり場所で4日目終了時点で2敗を許した力士はいない。

横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚。大栄翔らトップ5人を2差で追う展開。今後激しくなる優勝争いに加わるためにも、もう負けられない。左脚の状態が不安視される中で、5日目に竜電と対戦する。【平山連】

阿炎にはたき込みで敗れ土俵を引き揚げる貴景勝(撮影・鈴木正人)
貴景勝(左)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝(右)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)

関連するニュースを読む

阿炎が貴景勝キラーぶりを発揮し3勝1敗「動きと速さで勝とうと」右へ回り込みながらはたき込む

貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)

阿炎が貴景勝を破り、3勝1敗とした。もろ手突きの立ち合いから右へ回り込みながらはたき込むと、体勢を崩した大関はこらえられずに土俵を割った。

「当たってから動くと決めていた。イメージ通り。(貴景勝は)2、3日目の相撲を見ても前に出る力が違う。今の自分では太刀打ちできないので動きと速さで勝とうと思った」。本割での対戦成績は6勝3敗。2場所前には優勝決定ともえ戦でも破っており、貴景勝キラーぶりを発揮した格好だ。

貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)
貴景勝(左)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)

関連するニュースを読む

痛恨2敗目の貴景勝に「これから頑張ってくれると思います」埼玉栄高の先輩武隈親方が期待

武隈親方(2020年2月撮影)

<大相撲春場所>◇4日目◇15日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、苦手にしている阿炎(28=錣山)に痛恨の2敗目を喫した。立ち合い、もろ手で立った阿炎を押し込みかけたが、引き足の速い阿炎の引き技をまともに食い、残すことが出来ずあえなく土俵を割った。

前日の正代戦で痛めた左膝には白いサポーターが巻かれる手負いの大関。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「土俵に上がる以上は、そんなこと(ケガのこと)は言ってられない。(阿炎には)先場所のように、踏み込んで距離を置かず、手を伸ばさせないぐらい圧力をかけることだ」と取組前に語っていた。だが、その距離を縮めようと出たところで、阿炎にかわされ目標を失う格好で勝負を決められた。その直後、同理事長は「強気で行くしかない」と短いコメントに、貴景勝の立て直しを期待した。

NHKテレビの大相撲中継で正面の解説を務めた元大関豪栄道の武隈親方は、4日目の土俵に上がる貴景勝について「どれだけ(痛みを)我慢して相撲を取れるか。何でもやる、やりにくい阿炎が相手。持ち前の精神力で、どこまで持ちこたえられるか」と語っていた。痛恨の2敗目を喫した、埼玉栄高の後輩にあたる貴景勝に対し、最後は「負けましたけど、これから頑張ってくれると思います」と期待の言葉を送った。

貴景勝(右)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝(左)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)

関連するニュースを読む

綱とりの大関貴景勝は阿炎にはたき込まれて序盤戦で痛い2敗目 春場所4日目

貴景勝(右)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)

<大相撲春場所>◇4日目◇15日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりの大関貴景勝は阿炎にはたき込まれて序盤戦で痛い2敗目を喫した。前日の取組後に気にするしぐさを見せていた左膝にテーピングを施して臨んだが、今後に向けても不安の相撲内容となった。

関脇若隆景は正代に押し出されて初日から4連敗。霧馬山は小結若元春を送り出し、3勝目をあげた。豊昇龍は玉鷲を押し出し、連勝で星を五分に戻した。

4小結では大栄翔が4連勝。翔猿は初黒星を喫した。琴ノ若は3勝目をあげ、若元春は2勝2敗の五分となった。

新入幕の北青鵬は水戸龍を力強い相撲で寄り切り、初日から4連勝とした。

貴景勝(左)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)
貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む

貴景勝、阿炎に敗れ2敗目 2場所連続優勝での綱取りへ苦戦続く

貴景勝(右)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)

<大相撲春場所>◇4日目◇15日◇エディオンアリーナ大阪

綱とりに挑む大関貴景勝(26=常盤山)が、阿炎(錣山)のはたき込みに屈し、手痛い2敗目を喫した。

貴景勝は初日に小結翔猿に敗れたが、2日目に玉鷲に快勝。星を五分に戻し、3日目に大関経験者の正代を撃破し2連勝と白星先行とした。横綱昇進には「2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績」という横綱審議委員会の内規があり、2場所連続優勝なら場所後の横綱昇進は濃厚という状況だ。

場所前の会見では「ここで後悔するようなことだったら、もう一生忘れないと思う。それだけはしたくない」と強い決意をにじませていた。2敗目を喫したが、ここで踏みとどまりたい。今後白熱する優勝争いに加わるためにも、もう負けられない。自身の夢に向かって、ここから白星を積み重ねていきたい。

貴景勝(左)は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝は阿炎にはたき込みで敗れる(撮影・前岡正明)
貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)
貴景勝(手前)をはたき込みで破る阿炎(撮影・鈴木正人)
貴景勝(2023年3月12日撮影)

関連するニュースを読む

若隆景また3連敗発進「押されてしまっている」八角理事長は圧力不足指摘 Vから1年相手も研究

はたき込みで若隆景(左)を破る阿炎(撮影・岩下翔太)

<大相撲春場所>◇3日目◇14日◇エディオンアリーナ大阪

ちょうど1年前の春場所で、初優勝を遂げた関脇若隆景(28=荒汐)が“苦手の序盤”を克服できず、今場所も3連敗スタート。阿炎の突っ張りを、下からあてがいながら何とかしのいで前に出たが、右ノド輪押しを外されると前のめり。はたかれて土俵にはわされた。

報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、まずは「立ち合いでしょう。押されてしまっている」と第1の敗因を挙げた。その後の持ち味のおっつけも「自分から攻めてのおっつけならいいが(ただ単に)こらえているだけ(のおっつけ)。いい相撲はいい相撲だったけど、軽量をつかれている」と圧力不足を指摘した。

高安を優勝決定戦で破った、あの歓喜の大阪から1年。相手に研究されてもいる。そのことについて同理事長は「1年前とは違う。その上(研究する相手の上)を行かないとダメだ。一発でまわしを引くとか、厳しい立ち合いをしないと」と、殻を破れない次期大関候補の一人に、さらなる成長を求めた。

はたき込みで若隆景(左)を破る阿炎(撮影・岩下翔太)

関連するニュースを読む

貴景勝が電車道で連勝も花道で左脚引きずる「よく攻めたが脚を気にしていたのが心配」審判長指摘

正代との取組後、左脚を気にする様子で土俵を降りる貴景勝(撮影・岩下翔太)

<大相撲春場所>◇3日目◇14日◇エディオンアリーナ大阪

貴景勝が綱とりの重圧をはねのけ勢いに乗ってきたが不安材料も出た。

連勝の大関経験者正代との一番。立ち合いの鋭い当たりから突き起こし、電車道で押し出した。初日こそ黒星スタートとなったが連勝で白星を先行させた。ただ、取組後の花道で左脚を引きずるような姿も。取組後の取材対応はなかったが、幕内後半戦の粂川審判長(元小結琴稲妻)は「よく攻めたが、終わってから脚を気にしていたのが心配」と指摘した。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)は「大丈夫。やります」と4日目以降の出場に支障がないことを強調。足の状態も含め、4日目の阿炎戦が注目される。

押し出しで正代(右)を破った貴景勝(撮影・岩下翔太)
正代(右)を攻める貴景勝(撮影・岩下翔太)
正代(右)を押し出しで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)
正代(右)を押し出しで破った貴景勝(撮影・鈴木正人)

関連するニュースを読む