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栃ノ心が波乱呼ぶ 2敗9人、後半は東9人全員勝利

貴景勝(左)をはたき込みで破る栃ノ心(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇8日目◇20日◇東京・両国国技館

東前頭4枚目栃ノ心(32=春日野)が、波乱の展開を巻き起こした。

負ければ大関貴景勝が単独トップになる結びの一番。注目の立ち合いで頭から突っ込んできた貴景勝を、変化気味に右に動いてはたき込んだ。勝負は一瞬で決まり、結果、2敗が9人となった。立ち合いについて栃ノ心は「作戦じゃない。たまたまそうなった。いつも通りやってやろうという気持ちだった」と話した。

また栃ノ心が勝ったことで幕内後半の取組は、東方の力士9人全員が勝利するという珍事が起きた。若手の若隆景から始まり、先場所優勝の照ノ富士や好調の正代が順当に白星を挙げ、朝乃山は不戦勝。自身の取組までに東方の力士が全勝だったことについて栃ノ心は「知らなかった。全然意識してなかった」と驚いた様子だった。

◆記録メモ 8日目を終えてトップに9人が並ぶのは、2敗で10人(大関魁皇、千代大海、武双山、栃東、平幕の雅山、土佐ノ海、時津海、海鵬、春日錦、琴光喜)の2003年名古屋場所以来の多さ。2敗が首位で折り返すのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で、68年夏場所、75年名古屋場所と合わせて4度目。03年名古屋場所は朝青龍と武蔵丸の2横綱が序盤から負け込み、ともに途中休場したことも混戦のきっかけになった。最終的には魁皇が千代大海との千秋楽相星決戦を制し、12勝3敗で4度目の優勝を果たした。

貴景勝(右)をはたき込みで破る栃ノ心(撮影・鈴木正人)
貴景勝を破り、懸賞金の束を手にする栃ノ心(撮影・河田真司)     

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琴奨菊、照ノ富士復活Vに刺激受け「俺もまだまだ」

琴奨菊(2017年11月12日撮影)

現役最年長関取で西前頭11枚目の琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)が5日、初の角界ドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」(10月30日から公開)の鑑賞を、相撲ファンに熱望した。

この日、千葉・松戸市内にある部屋で秋場所(13日初日、東京・両国国技館)に向けた稽古で汗を流した後、報道陣の電話取材に対応。ひと通り、近況などを話した後、最後に自ら「あと個人的にひと言、いいですか?」と切り出し、話したのが、前述のドキュメンタリー映画のこと。「相撲ファンの方に向けて、すごくアピールになると思う。そういう生きざまで力士が頑張っているというのが伝わると思うし、そちら(映画)も見て大相撲を見たら、もっとファン層が広がると思う。目に見えているものより、もっと陰で頑張っているんだよ、というところが力士の尊さじゃないけど、あるべき姿だと思う」と熱弁をふるった。秋場所も各日、上限約2500人の有観客で開催されるが「ひたむきに頑張る姿をみてほしい」と最年長関取らしく、全力士の声を代弁するように語った。

5人の関取衆を含め角界最多37人の力士を抱える大所帯の佐渡ケ嶽部屋。もともと出稽古禁止の影響は受けておらず「総合的にバランスが取れている琴恵光、柔軟さがある琴ノ若、フィジカルがすごくいい琴勝峰、押しの形がしっかりしている琴勇輝。いろいろなタイプがいるから、すごくいいと思う」と充実の稽古を重ねて本場所を迎える。

気分転換も可能な範囲で図っている。先場所後は師匠(元関脇琴ノ若)の許可をもらい神奈川・湯河原温泉に足を運び「行けたことが活力になるかなという感じ」とリフレッシュした。

幕内勝利数は現役2位で歴代6位の716勝。断トツの白鵬(1076勝)や2位の元大関魁皇(879勝=現浅香山親方)ら、そうそうたる顔触れが上位に控える。「すごいことですよね、本当に。そこに挑戦できるのは昔の教えと、稽古と、いろいろな環境があったから。そこをもう1度、思い出しながらやっていきたい」と独特の言い回しで前向きな姿勢を示した。7月場所では8場所ぶりに勝ち越し。まだまだ白星を積み重ねる。

周囲から刺激ももらった。やはり大関経験者の照ノ富士が先場所、復活優勝したことには「俺も、まだまだ出来るぞという気持ちを持って」。一回り年下の大関貴景勝の婚約には「うはははっ…。喜ばしいことで、何にも言えない」と笑いながら「幸せも本当に多くなると思う」と“人生の先輩”らしく話した。

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北勝富士あと横綱2人 金星獲得10傑入り/新番付

北勝富士(2020年1月14日撮影)

日本相撲協会は8月31日、開催を目指す大相撲秋場所(9月13日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、開催の可否や開催形態は理事会で決定する見込み。

現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。

【通算勝利数】

既に横綱白鵬(35=宮城野)が1170勝で歴代トップに君臨。どこまで伸ばせるか注目だ。ちなみに現役2位は琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)の825勝。歴代10位の寺尾(元関脇=現錣山親方)まで35勝だ。

【幕内在位場所数】

今場所で白鵬が歴代5位の96場所。11月場所在位で高見山(元関脇=元東関親方)、安美錦(元関脇=現安治川親方)に並ぶ同3位に浮上する。琴奨菊は安芸乃島(元関脇=現高田川親方)に並ぶ同7位タイの91場所。現役3位は横綱鶴竜(34=陸奥)の81場所。ちなみに歴代1位は元大関魁皇(現浅香山親方)の107場所。

【幕内出場回数】

琴奨菊が歴代6位の1321回、白鵬が同8位の1265回。現役3位は鶴竜の1027回。なお歴代1位は、元関脇旭天鵬(現友綱親方)の1470回。

【幕内勝利数】

白鵬が1076勝で、2位の魁皇に197勝もの差をつけ歴代トップ。歴代6位に琴奨菊(716勝)が名を連ねる。同5位の元横綱大鵬までは、あと30勝で届く。

【通算連続出場】

初土俵以来、無休の「鉄人記録」の歴代9位に1271回の玉鷲(35=片男波)が入っている。04年春場所の序ノ口デビューから足かけ17年の「皆勤賞」だ。

【金星獲得】

現役力士で歴代10傑入りは不在だが、今場所チャンスがあるとすれば現在7個の北勝富士(28=八角)。横綱2人を倒せば通算9個で10位タイに滑り込む。東前頭2枚目まで番付を上げ、上位総当たりは確実だが果たして…。

なお8個で現役トップの逸ノ城(27=湊)は再入幕だが、上位とは当たらない幕尻の東前頭17枚目。ただ「幕尻の17枚目」といえば、今年1月の春場所で西の徳勝龍が、7月場所では東の照ノ富士が、アッと驚く幕尻優勝を果たしている。両者とも、両横綱が途中休場したため横綱戦はなかったが、大関戦は組まれた。もし逸ノ城が快進撃の末、優勝争いに加わり横綱対戦が実現すれば…。1つでも勝てば歴代10傑入りする。なお7個で追う遠藤は、返り三役のため金星のチャンスはない。

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貪欲なエストニアの怪人把瑠都/夏場所プレイバック

大相撲夏場所9日目 魁皇(左)を押し出した把瑠都(10年05月17日)

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。9日目は「エストニアの怪人」の新大関場所です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇9日目◇10年5月17日◇東京・両国国技館

エストニア出身の新大関、把瑠都が勝ち越しを決めた。今場所初の大関戦で魁皇(現浅香山親方)を押し出しで破って8勝1敗とした。立ち合いで得意の右四つになれず、押し込まれる場面もあったが、すぐに右を入れて体勢を入れ替え、そのまま押し出した。過去4勝5敗と決して得意ではない相手を退け、取組直後にはホッとした表情。「プレッシャーはなかった。何でもいいから、かっこわるい相撲でもいいから勝ちたかった」と、笑顔で話した。

当時25歳の把瑠都は04年に19歳でエストニアから来日し、外国出身8人目、欧州出身では2人目の大関となった。198センチ、188キロの大柄な体で、100キロ近い握力に、背筋力は300キロ以上と規格外のパワーを誇った。

12年初場所で初優勝を飾ったが、ひざの負傷が響いて13年9月に引退した。その後はタレント活動などを経て、昨年母国で国会議員に。農家出身で、農産品の日本への輸出や農家の後継者問題など農業分野を中心に取り組んでいきたいと抱負を語り「日本とエストニアの懸け橋となって両国の交流に尽力したい」と強調した。

大相撲夏場所9日目 魁皇を押し出しで破り、勝ち越しを決めた把瑠都(2010年5月17日)

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栃ノ心、平幕初4連続大関撃破/夏場所プレイバック

大相撲夏場所5日目 魁皇(右)を寄り切る栃ノ心(2010年5月13日撮影)

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。5日目は、平幕初の連続撃破です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇5日目◇10年5月13日◇東京・両国国技館

ジョージア出身の怪力が、快挙を成し遂げた。西前頭2枚目の栃ノ心が、4連勝していた大関魁皇を止めた。2日目から日馬富士、琴欧洲、琴光喜を下し、08年九州場所の豊ノ島以来9人目となる平幕の4大関撃破。さらに平幕の4日連続大関撃破は、史上初の快挙となった。

得意の右四つに持ち込み、寄り切りで魁皇を破った。「あの体勢になったら、もう負けないですよ」。この日の朝稽古。最後に春日野親方(元関脇栃乃和歌)から呼ばれ、4日連続はたき込みで勝った魁皇への対策を伝授された。頭を下げ過ぎずに強く当たり、得意とする形に持ち込んだ。

初土俵は06年の3月。入門時に190センチ、129キロだった体格は、192センチ、157キロ、ももの太さは90センチ以上に成長した。09年6月にはジョージアからの要請で母国に戻り、約1カ月の軍事訓練を受けた。銃も撃った。だが「こっち(相撲の稽古)の方が大変」というほど、当時5人の関取衆がいる春日野部屋の厳しい環境で強くなった。

「これまで上位にいた時は1回も3役に上がっていない。負けてもいいから、いい相撲を取りたい」と意気込み、戦った残りの10日間。千秋楽に勝ち越しを決め、自身2度目の敢闘賞を受賞。そして翌名古屋場所で悲願の新小結に昇進した。

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琴奨菊あと43 寺尾に並ぶ通算勝利10傑/新番付

琴奨菊(撮影・河田真司)

日本相撲協会は27日、大相撲夏場所(5月24日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。十両以上の番付は以下の通り。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、夏場所開催の可否は決まっていない。

現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。

【通算勝利数】

既に横綱白鵬(35=宮城野)が1160勝で歴代トップに君臨。どこまで伸ばせるか注目だ。ちなみに現役2位は琴奨菊(36=佐渡ケ嶽)の817勝。歴代10位の寺尾(元関脇=現錣山親方)まで43勝だ。

【幕内在位場所数】

今場所で白鵬が歴代5位の95場所、琴奨菊が同8位タイの90場所。現役3位は横綱鶴竜(34=陸奥)の80場所。ちなみに歴代1位は元大関魁皇(現浅香山親方)の107場所。

【幕内出場回数】

琴奨菊が歴代6位の1306回、白鵬が同10位の1253回。現役3位は栃煌山(33=春日野、今場所は十両)の1132回。なお歴代1位は、元関脇旭天鵬(現友綱親方)の1470回。

【幕内勝利数】

白鵬が1066勝で、2位の魁皇に187勝もの差をつけ歴代トップ。歴代8位に琴奨菊(708勝)が名を連ねる。

【通算連続出場】

初土俵以来、無休の「鉄人記録」の歴代10位に1256回の玉鷲(35=片男波)が入っている。04年春場所の序ノ口デビューから足かけ17年の「皆勤賞」だ。

【金星獲得】

現役力士で歴代10傑入りは不在だが、今場所チャンスがあるとすれば現在7個の北勝富士(27=八角)。横綱2人を倒せば通算9個で10位タイに滑り込む。西前頭5枚目で、番付通りなら上位総当たりとはならないが、優勝争いに加わるような快進撃を見せ、両横綱との対戦が組まれればチャンス到来となるが、果たして…。

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志村さん愛した犬ちび、コロナ禍も朝日山部屋で元気

朝日山部屋の愛犬ちび(朝日山親方撮影)

志村けんさん(享年70)が愛していた捨て犬のちび(7)は、大相撲の朝日山部屋で元気に過ごしている。日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」で有名になり、2017年4月に部屋が引き取った。力士にとって癒やしの存在になり、朝日山親方(元関脇琴錦)は志村さんに追悼の意を表した。

  ◇    ◇    ◇

志村さんになついていたちびは、千葉・鎌ケ谷市の朝日山部屋で力士たちと暮らしている。朝日山親方は「元気ですよ。志村さんがおっしゃっていた通り、そうめんやうどんなど麺が好きなんです。あの時と変わらず、ちびに癒やされますし、力士は生きものを大事にするという心を持つことができます」と話した。

部屋の中で放し飼いにし、稽古がある日は夕方、ない日は朝と夕、ちゃんこ番でない力士が2、3人で散歩に行く。その際も力士はマスクを着け、帰ると手洗いを欠かさない。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け落ち着かない日々だが、ちびと一緒に乗り越えようとしている。

ちびはもともと捨て犬だった。13年4月から番組に出演し、志村さんと旅する様子が放送され、人気者になった。出演しない時に預けられていた千葉・松戸市のドッグスクールの関係者と朝日山親方が知り合いだった縁もあり、声をかけられた。かつて愛犬の死去による苦しみを経験した親方は当初は乗り気でなかったが、3年前に弟子たちと相談して受け入れた。

「いまだに根強い人気があり、表を歩いていると『ちびちゃん元気ですか?』と声をかけられることもあります。この前は、相撲診療所の看護師さんにも言われました」と朝日山親方。受け継いだ後も2度、巡業などで親方は不在だったが、志村さんらが部屋を訪ねてきたという。訃報については「志村さんは我々世代にとって大スター。幼少のころから楽しませてもらいました。早すぎるし、残念です」と悔やんだ。

志村さんの命を奪った新型コロナウイルスの影響で、ちびや力士たちも耐え忍ぶ日が続く。4日に志村さんを追悼して放送された志村どうぶつ園は、受け入れ当時を知らなかった力士も一緒になって見たという。朝日山親方は「志村さんがかわいがっていたちびですが、うちの部屋に来て幸せになった。志村さんには、安心していただけると思います」と天国へメッセージを送った。【佐々木一郎】

◆主な相撲部屋とペット 荒汐部屋の猫のモル(モンゴル語で猫の意)が最も有名。16年に写真集が発売された。佐渡ケ嶽部屋は先代師匠(元横綱琴桜)の時からオスなら「チェリー」、メスなら「さくら子」と名前を決めており、現在はトイプードルの4代目さくら子がいる。浅香山部屋はともに犬の「シェビー」と「フォード」。車好きの師匠(元大関魁皇)が命名した。伊勢ノ海部屋には、トイプードルの「ゆき」がいる。

◆志村どうぶつ園 2004年に放送が始まった日本テレビのバラエティー番組で、毎週土曜日午後7時から。志村けんさんが「園長」となり、動物たちとの触れ合いを描いてきた。志村さんを追悼した4日放送分は、平均世帯視聴率が番組最高となる27・3%を記録した。主な出演者は、山瀬まみ、相葉雅紀、ベッキーら。

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豪栄道「落ちたら辞める」恩師に引き際明かしていた

支度部屋を引き揚げる豪栄道(2020年1月22日)

日本相撲協会は28日、大関豪栄道(33=境川)の現役引退、年寄「武隈」襲名を承認したと発表した。

かど番だった初場所で負け越して関脇陥落が決定。千秋楽翌日の27日までに、現役引退の意向を固めたことを協会に伝えていた。引退会見は29日に行う。大関のまま引退するのは11年名古屋場所の魁皇以来。春場所(3月8日初日、大阪・エディオンアリーナ)で大関は貴景勝だけとなり、1大関は1982年初場所の琴風以来38年ぶりとなる。

年始に豪栄道と会ったという埼玉栄高相撲部の山田道紀監督は「負け越して落ちたら辞めるつもりと聞いていた」と明かした。昨年九州場所で負傷した左足首の靱帯(じんたい)は切れていて、一時は歩くのも困難だったという。これまでケガに苦しみながらも、大関在位33場所は歴代10位。初めて大関となった教え子に対して「立派だと思う。ものすごい記録。治してもう1回挑戦するのもあったけど、引き際がすごいと思う」と思いやった。

今後は境川部屋付きの武隈親方として、後進の指導にあたる。2月3日に地元の大阪・寝屋川市の成田山大阪別院で行われる節分祭に、予定通りに参加する。

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浅香山審判長が力士落下で負傷「バリバリと音が」

隠岐の富士と天風の取組の時、浅香山親方が力士と激突し負傷した(撮影・柴田隆二)

<大相撲初場所>◇12日目◇23日◇東京・両国国技館

幕下の勝負審判を務めていた浅香山審判長(元大関魁皇)が、隠岐の富士-天風の一番で、両力士が土俵から落下してぶつかり、負傷した。

自力では立てず、車いすで両国国技館内の相撲診療所へ運ばれた。右の股関節付近を負傷したといい「バリバリと音がした」と顔をゆがめながら説明。その後、都内の病院へ移動した。

隠岐の富士と天風の取組の時、浅香山親方が力士と激突し負傷し車いすで運ばれる(撮影・柴田隆二)
隠岐の富士と天風の取組の時、浅香山親方が力士と激突し負傷し車いすで運ばれ、手前左の審判員が不在(撮影・柴田隆二)

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小結に新三役朝乃山、富山出身は戦後3人目 新番付

大相撲夏場所千秋楽、笑顔で優勝インタビューに臨む朝乃山(2019年5月26日撮影)

日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。

ともに先場所は途中休場だった両横綱は3場所連続で東に鶴竜(34=陸奥)、西に白鵬(34=宮城野)が就いた。鶴竜は、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)死去により今場所が陸奥部屋所属となって初の本場所で、2場所ぶり7度目の優勝を狙う。白鵬は、日本国籍取得後としては初となる、4場所ぶり43回目の優勝を目指す。

大関は、先場所10勝5敗の豪栄道(33=境川)が東、全休した高安(29=田子ノ浦)が西、1場所で復帰を果たした貴景勝(23=千賀ノ浦)が東の2枚目。豪栄道の大関在位32場所は史上10位タイ(1位は千代大海と魁皇の65場所)、高安は昨年名古屋場所以来3度目のかど番、貴景勝の大関復帰は今年名古屋場所の栃ノ心(32=春日野)以来、昭和以降10人(11度)目となった。

関脇は東が、先場所優勝の御嶽海(26=出羽海)が3場所連続(三役は17場所連続)の在位。西の栃ノ心は先場所の貴景勝以来の大関降下で、現行制度では23度目(2度降下は貴ノ浪、栃東に続き3人目)。

小結は東が3場所連続の阿炎(25=錣山)、西が2場所連続の遠藤(29=追手風)。今場所はさらに、付け出しとして2人が名を連ね、06年九州場所(稀勢の里、黒海、安美錦、露鵬)以来13年ぶりの小結4人となった。

東は4場所ぶり小結復帰の北勝富士(27=八角)で、西は待望の新三役となる朝乃山(25=高砂)が就いた。高砂部屋からは06年名古屋場所の朝赤龍以来で、富山県出身では64年夏場所の若見山、85年九州場所の琴ケ梅以来、戦後3人目。近大からは80年夏場所の朝汐(のち朝潮)、15年名古屋場所の宝富士(32=伊勢ケ浜)以来3人目の新小結で、三段目付け出しデビュー力士の新三役は初めてとなる。

九州場所は、11月8日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。10日の初日を迎える。

貴景勝(2019年9月19日)
高安(2019年7月6日)
大関栃ノ心(2019年1月16日)

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豪栄道が新十両魁勝に期待「不器用だけど一生懸命」

魁勝(手前)に稽古をつける豪栄道(右から3番目)(撮影・佐藤礼征)

大相撲秋巡業が17日、愛知・常滑市で行われ、大関豪栄道(33=境川)が九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)に向けて調整をペースアップさせた。

朝稽古で魁勝(24=浅香山)ら十両力士に約10分間胸を出し、汗を流した。相撲を取る稽古はまだ行っていないが「胸を出すのも稽古。体に負担をかけるといい刺激になる。1回受けて押し返すのがいい稽古」と充実した表情を見せた。

十両力士でも特に気になったのは、秋場所が新十両だった魁勝だ。この日だけでなく、前日16日の静岡・浜松市でも約10分間、魁勝に稽古をつけた。「不器用だけど一生懸命やっている。一生懸命稽古をする力士が強くなるべきだと思っているので」と期待を寄せた。

その魁勝は「きつかったけどありがたいこと。いい経験をさせてもらっている」と感謝した。関取として初参加の今巡業。師匠の浅香山親方(元大関魁皇)には「巡業は自分のやりたいことがなかなかできないから、ペースを崩さず四股ひとつも意識しろ」と言葉をもらった。愛知・西尾市出身でこの日は地元開催。「常滑は何度か来たことがある。(残りの巡業は)十両とせっかくやれるので、数をこなしていきたい」と話した。

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魁勝6連勝で勝ち越し、師匠には「また怒られます」

<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

新十両魁勝(24=浅香山)が6連勝で勝ち越しを決めた。千代の海を押し出した。

3連敗スタートから巻き返し、8勝4敗。「連敗したらどうしようと思ったけど…。立ち合いも相撲内容もだんだん良くなって」と笑みを浮かべた。

師匠の浅香山親方(元大関魁皇)が土俵下で審判を務める前での取組。緊張を避けるためか「そっちは見てません」と苦笑い。勝ち越しなどの際、師匠に「おかげさまで…」と報告するのが通例で「また怒られます。怒られて1セットなんで」とうれしそうだ。

勝ち越しを決めて、残り3日。「とりあえず自分らしい相撲を、右四つで下からどんどん前に出る相撲をとりたいです」。“魁勝だけに快勝”を続けるつもりだ。

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魁勝「いや~“快勝”です」4勝4敗験直し効いた

<大相撲秋場所>◇8日目◇15日◇東京・両国国技館

新十両魁勝(24=浅香山)が三役経験者の臥牙丸を寄り切り4勝4敗とした。

支度部屋に戻ってくると、ニッコリ笑って「いや~“快勝”です」。体重199キロもある巨漢の右横に張り付き、一気に勝負を決めた。「皆さん(報道陣)が笑ってるから…」と4個目の白星にしてついに“かいしょうだけに快勝です”が飛び出した。

別に快勝に絡めたしこ名ではない。「魁」は、師匠の浅香山親方(元大関魁皇)の現役時代のしこ名から「勝」は父勝美さん(69)からもらった。柔道の指導者で、今も中学生相手の乱取りをする勝美さんに「いつも相撲のことでしかられる」とこぼすが、親孝行になる活躍はうれしい。

要所での験直しが効いたのか。3連敗した3日目と、4敗目を喫した6日目、吉野家の牛丼(特盛り)とカルビ丼(大盛り)を食べた。「昔はこの2つでちょうど1500円でした。食べると、いいことがある気がして」。注文時は“つゆ切り”(つゆだくの反対)というこだわりもある。

「臥牙丸関はでかかったですけど、自分は魁聖関の付け人をしてたんで」。折り返して星は五分。「初日はガチガチだったけど、慣れてきました。今日のような一気に持っていく相撲を取りたいですね」。後半戦で“かいしょう連発”を狙う。

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魁勝「まだ言えない」関取初白星も“快勝”はお預け

木崎海(右)を寄り切りで破る魁勝(撮影・中島郁夫)

<大相撲秋場所>◇4日目◇11日◇東京・両国国技館

新十両魁勝(24=浅香山)に初日が出た。木崎海の圧力に耐え、右まわしを頼りに寄り切った。

「いや~、やっとやっと勝てました。全敗したらどうしようと思っていたんで」と関取初白星に破顔一笑だ。おりしも師匠の浅香山親方(元大関魁皇)が土俵下で審判に入っていた。「座った時に気づきました。“そうだ、今日は十両(の審判)やん”って…。緊張しました」。

3連敗を受け、師匠からの助言は「脇が甘いから、締めろ」「もっと思い切り自分の相撲をとれ」だったという。相手の木崎海は当たりが強い。「吹っ飛ばされないように。とりあえず、少しでも中に入れたら、と思って。本当はこっち(左)で(まわしを)とりたかったけど、右が引っ掛かってくれて」と話した。

記念の1勝だ。「“かいしょう”だけに“快勝”ですか?」と振られると、笑顔がさらに崩れた。

「それ、今日はまだ言えません。(幕下)上位の時から言いたかったんですけど。一気に持っていった時に、言わせてもらいます」

十両2勝目こそ、快勝で飾るつもりだ。

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新十両魁勝、部屋初の関取「感謝したい」昇進祝賀会

新十両昇進祝賀会に出席した魁勝(右)と師匠の浅香山親方(撮影・佐藤礼征)

秋場所で新十両昇進を果たした魁勝(24=浅香山)が8月31日、東京・両国国技館で行われた昇進祝賀会に出席した。

約300人の関係者を前に「1人ではここまでくることはできなかった。支えてくれた人に感謝したい」と笑顔。元大関魁皇の浅香山親方が14年2月に部屋を創設後、初めての関取。師匠は「こんなところで満足することなく、稽古を指導したい」と、熱を込めて話した。

魁勝(右)は満面の笑みで浅香山親方と握手を交わす(2019年7月24日撮影)

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幕内昇進4力士 剣翔はうれしい新入幕 新番付

剣翔(2019年7月20日)

日本相撲協会は26日、大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。

幕内昇進は4人で、剣翔(28=追手風)はうれしい新入幕を果たした。追手風部屋からは、現師匠(元前頭大翔山)が部屋創設後として今年春場所の大翔鵬(24)以来、9人目の幕内力士誕生となった。東京都出身では15年名古屋場所の英乃海(30=木瀬)以来、戦後30人目。日大からは17年九州場所の大奄美(26=追手風)以来、37人目となった。再入幕は、幕内復帰2場所ぶりの石浦(29=宮城野)、3場所ぶりの豊山(25=時津風)、史上2位のスロー復帰となった30場所ぶりの東龍(32=玉ノ井)の3人となった。

十両昇進は4人で、玉木改め朝玉勢(26=高砂)と魁勝(24=浅香山)は、うれしい関取の仲間入りを果たした。朝玉勢は、高砂部屋からは17年春場所の朝乃山(25)以来の新十両で、三重県出身では16年名古屋場所の志摩ノ海(30=木瀬)以来、戦後12人目。近大からは朝乃山以来、12人目の関取輩出となった。魁勝は、浅香山部屋からは現師匠(元大関魁皇)が14年2月1日に部屋創設後、初めての関取誕生。愛知県出身では、14年九州場所の出羽疾風以来、戦後26人目の新十両となった。青狼(31=錣山)と彩(27=錣山)は、ともに2場所ぶりの十両復帰となった。

秋場所は、9月6日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。8日の初日を迎える。

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新十両魁勝「ビックリした」浅香山部屋初の関取誕生

魁勝(右)は満面の笑みで浅香山親方と握手を交わす

大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)で新十両に昇進することが決まった魁勝(24=浅香山)が24日、名古屋市の部屋宿舎で会見した。会見には師匠の浅香山親方(元大関魁皇)も同席。

14年2月に同親方が部屋を創設して以来、同部屋としては初の関取となった。魁勝は開口一番「信じられない気持ち。おかみさんから電話で『上がったよ』と言われてビックリした」と、声を弾ませた。

名古屋場所では西幕下4枚目で4勝3敗と勝ち越した。だが同5枚目の若元春が5勝2敗としていた。番付編成会議を行う審判部に所属する浅香山親方は「魁勝は、若元春に負けています」と、むしろ自分の弟子よりも、他の部屋の力士が十両昇進にふさわしいとして、進言したという。だが通称「入れ替え戦」と呼ばれる幕下陥落の危機にある十両力士との取組の結果など、総合的に判断して魁勝が昇進にふさわしいと判断された。

この日が47歳の誕生日だった浅香山親方は「正直、上がるとは思っていなかった。驚いた」と、何よりのサプライズのプレゼントに目じりを下げた。6年目での関取誕生だが「早かった」と、振り返る。魁勝は高校3年時に、柔道100キロ級で愛知県大会4強の実績はあったが、相撲経験はなかった。同親方は「うちは素人の子ばかりだから、もっと時間がかかると思っていた。本当によく頑張ってくれた。とりあえず、一つの目標を達成できた」と話し、今後は幕内力士、さらには次の関取育成という新たな目標を掲げた。

実は魁勝は過去に2度、引退を決意し、師匠に伝えたことがあったという。魁勝は「番付が上がらなかったり、全敗したり…。でも辞めないでよかった。親方に『絶対に続けていれば、いいことがあるから』と言われ、それを信じてやってきた」と、満面の笑みを見せて話した。浅香山親方も当時を思い出し「今やっていることは無駄じゃない。やり切ってダメなら仕方ない。でも、まだまだ、やり切っていないと思った」と、熱い口調で語った。

師弟ともに厳しい稽古で成長してきた自負がある。だからこそ浅香山親方は「今後も厳しく指導する」と宣言。それを横で聞いていた魁勝は「ほどほどで…」と、人なつっこい笑顔を見せながら、恐る恐る返し、会見場の笑いを誘っていた。

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朝玉勢と魁勝が新十両 秋場所番付編成会議

魁勝

日本相撲協会は24日、名古屋市のドルフィンズアリーナで秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、玉木改め朝玉勢(あさぎょくせい、26=高砂)と魁勝(24=浅香山)の新十両昇進を発表した。21日まで行われた名古屋場所で、東幕下3枚目だった朝玉勢、西幕下4枚目だった魁勝ともに4勝3敗だった。

朝玉勢は、現在の高砂部屋としては、5月の夏場所で初優勝した前頭朝乃山に次いで2人目の関取。朝乃山とは近大、高砂部屋入門ともに同期だった。魁勝は、現在の浅香山親方(元大関魁皇)の弟子としては初の関取となった。再十両は東西の幕下筆頭だった青狼、彩(ともに錣山)の2人だった。

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安美錦引退会見「本当にいい力士人生」けがにも感謝

引退会見に臨み目頭をハンカチでぬぐう安美錦(撮影・小沢裕)

元関脇安美錦の安治川親方(40)が、笑顔で引退を報告した。11日目の17日の打ち出し後に、引退、年寄安治川襲名が承認されたことを受けて、名古屋市のドルフィンズアリーナで会見。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)同席で約25分の会見後、雑談を交えて単独で約40分の囲み取材に対応、計1時間余りも思いの丈を語った。涙は見せず、持ち前の軽妙な語り口で報道陣の笑いを誘う“業師”ぶりは健在だった。

    ◇    ◇    ◇

1時間余り話した安治川親方は、最後に思わず本音を漏らした。「勝負しないというだけで、気持ちがこんなに楽になるんだな」。午後3時前。出場していれば、自身の出番だった十両取組の時間帯に、着物姿で雑談する自分を客観的にとらえてつぶやいた。引退会見中に何度も「次にケガをしたら終わりだと思っていた」と打ち明けた、22年半の現役生活の晩年とは違う心境が新鮮でもあった。やり切った思いは強く「すっきりしている。悔いはまったくない」と断言した。

2日目に敗れた竜虎戦で右膝を痛め、3日目から休場した。元大関魁皇と並ぶ歴代1位の関取在位117場所目の10日目に引退を表明。「(魁皇の記録に)並べただけでよかった」とかみしめた。37歳で左アキレス腱(けん)を断裂、十両に陥落してからは常に引退危機。それでも「ケガと戦ったというよりは一緒にやってきた仲間。相撲と向き合うことができたのはケガのおかげ。ケガにも感謝している」と笑って話した。

通算金星は8個。「初めて取った金星は武蔵丸戦。武蔵丸さんはすごく大きかったし、土俵に上がって初めて『怖いな』と思った。貴乃花さんは(自分が)最後の相手になってしまい、いろいろと葛藤はあったけど、僕をここまで大きくしてくれた一因でもある」。思い出は数知れないが、あえて思い出の一番に挙げたのは17年九州場所千秋楽の千代翔馬戦。39歳で再入幕し、8勝7敗で勝ち越して敢闘賞を受賞した一番だ。「みんなのおかげで、あそこに立てた」と、家族や周囲の支えを最も感じた。決まり手の上手出し投げも幼少期から磨いた技だった。

「好きな相撲をここまで長くできて本当に幸せだった。本当にいい力士人生だった」。汗はぬぐっても最後まで涙は見せなかった。この日の朝稽古で指導者デビュー。「ケガが治れば、がんがん胸を出すよ。若い衆が『ケガしてくれないかな』って思うぐらいね」。自身も周囲も笑いが絶えない、人柄がにじむ引退報告となった。【高田文太】

引退会見で笑顔を見せる安美錦(撮影・小沢裕)
引退会見を終え報道陣から贈呈された花束を手に笑顔を見せる安美錦(撮影・小沢裕)

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愛され安美錦に涙なし「スパッといくのが」引退会見

引退会見で笑顔を見せる安美錦(撮影・小沢裕)

大相撲の元関脇安美錦の安治川親方(40)が、名古屋場所12日目の18日、会場の名古屋市・ドルフィンズアリーナで引退会見を行った。

すでに2日前の10日目に引退を表明しており、前日11日目の打ち出し後に引退と年寄安治川の襲名が承認され、この日の会見となった。会見には師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が同席。時折、神妙な表情こそ見せたが「スパッといくのが安美錦らしいのかなと思って」と、最後まで涙は見せなかった。誰からも愛された力士らしく、会見後も会見場に残って計1時間報道陣と話し込み、最後は盛大な拍手で送り出された。

会見では元大関魁皇と並ぶ、歴代1位タイの関取在位117場所の長い現役生活を振り返った。現役最多の前頭嘉風、逸ノ城と並ぶ8個の金星は、武蔵丸に始まり、貴乃花と続いた。「横綱はみんな強い。初めて取った金星、武蔵丸戦。その後、貴乃花さんから取った金星は思い出に残っている。武蔵丸さんはすごく大きかったし、土俵に上がって初めて『怖いな』と思った横綱。貴乃花さんは(自分が)最後の相手ということに、結果、なってしまいまして、自分の中でもいろいろと葛藤はありましたけど、今思えば、僕をここまで大きくしてくれた一因でもあるかなと思います」と語った。

それでも、22年半に及ぶ現役生活の思い出の一番については、敢闘賞を獲得した17年11月の九州場所千秋楽の千代翔馬戦を挙げた。ケガの絶えない土俵人生だったが、特に16年夏場所、37歳で左アキレス腱を断裂してからは引退と背中合わせ。思い出の一番は、その大ケガで十両に転落し、1年以上かけてようやく戻った幕内土俵で8勝7敗と勝ち越した取組だった。その一番は、低い立ち合いから頭をつけて出し投げという、幼少期から徹底して繰り返してきた相撲。「いろんな横綱、大関とやってきたのは思い出に残っている。ただ、みんなの支えのおかげで、あそこに立てた。記憶に残っている」と、幼少期からの相撲人生の集大成のように感じたようだ。

現役引退も、2日目に関取最年少21歳の竜虎に敗れた際に痛めた右膝の影響だった。ケガに苦しんだ土俵生活。それでも「ケガとの戦いが続きましたが」と質問されると「戦いというより、ケガと一緒にここまで強くなれた。ケガと戦ったというよりは一緒にやってきた仲間じゃないけど、しっかりと相撲と向き合うことができたのは、ケガのおかげ。ケガにも感謝している」と話し、笑った。

「どんな土俵人生でしたか」と聞かれると、一瞬、間をおいて答えた。「長くやったとか、そういうことより、自分の好きな相撲をここまで長くできた、土俵の上に立てたというのは本当に、幸せだったと思います。本当に、いい力士人生でした」。晴れやかな表情で、胸を張って答えた。1日前まで現役最年長関取だった新米親方が、名実ともに区切りをつけた。

引退会見に臨み目頭をハンカチでぬぐう安美錦(撮影・小沢裕)
引退会見を終え報道陣から贈呈された花束を手に笑顔を見せる安美錦(撮影・小沢裕)

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