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中国では超有名王者・木村翔、大みそか日本で顔売る

大みそかの世界戦が決定し記念撮影するWBO世界フライ級王者の木村(左)と同級1位の五十嵐(撮影・江口和貴)


 ボクシングのWBO世界フライ級王者木村翔(28=青木)の初防衛戦が21日に発表された。12月31日に東京・大田区総合体育館で、元WBC同級王者の同級1位五十嵐俊幸(33=帝拳)との日本人対決。敵地中国で奪取して一気に名を上げたが、今度は全国に顔を売って勝つ。五十嵐は4年半ぶりの世界戦で返り咲きを狙う。同日はWBAライトフライ級王者田口良一(30)、IBFミニマム級王者京口紘人(23)とのトリプル世界戦となる。

 木村は香港で前日まで1週間、1次合宿を行ったが、現地プロモーターの招待だった。日本ボクシングコミッションの安河内事務局長は「日本では無名でも、中国ではサッカーの本田、香川に次ぐ人気」と評した。卓球女子の福原が断トツの人気者だが、木村は「愛ちゃんよりも有名になりたい」と訴えた。

 7月に上海で五輪2大会金メダルの英雄鄒市明から金星奪取した。その後は香港などに3度のイベントで招待され、中国、香港、台湾からの取材もいまだに続く。今度は初のテレビ中継で大みそかに全国ネットと、国内で名を上げる絶好のチャンス。「昨年は友人宅でグダグダとテレビを見ていた。出るなんて想像もできなかった。興奮する」と笑みが広がった。

 世界王者になっても酒を運搬するアルバイトは続けている。その動画が中国で配信されたのも話題になったという。「稼いで時計や車も買いたい。一番の目標はTBSオールスター感謝祭の赤坂マラソンに出場」と真顔で言った。「オリンピアンの元王者に、雑草魂でベルトを守って年を越したい」。2週間の2次合宿でスパー特訓のため、24日にタイへ向かう。【河合香】

 ◆中国で人気の日本人 男優矢野浩二は日本でエキストラから中国に渡ってドラマや映画出演で知られるようになり、バラエティー司会でブレークした。木村拓哉、佐藤隆太らが続き、映画で人気の高倉健、ブルース・リーの盟友倉田保昭らが上位。女性は浜崎あゆみ、藤原紀香に福原愛が続くという。タレントの蒼井そらは中国では女神様とも呼ばれる。トップアイドル時代から酒井法子、歌手の倉木麻衣も根強い人気。スポーツはバスケットボール人気が高く、卓球の福原が断トツもフィギュアスケート羽生結弦の非公認ファンクラブがいくつもある。

会見中に倒れた名札を戻すWBO世界フライ級王者の木村(左)。右はJBC安河内事務局長(撮影・江口和貴)
最近の世界王者経験者の日本人同士による世界戦

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井上尚弥V7へスパーリング本格化 強烈左ボディー

本格的なスパーリングを開始した井上尚弥(左)


 WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24=大橋)が21日、横浜市内の所属ジムで、12月30日の7度目の防衛戦(横浜文化体育館)に向けた本格スパーリングを開始した。

 30連勝中という挑戦者の同級7位ヨアン・ボワイヨ(フランス)を想定し、まず4回を消化。早速、強烈な左ボディーを練習パートナーに食い込ませた。今後は9月にWBOフェザー級王座に挑戦したセルバニアらフィリピン人3選手と拳を交えながら最終調整に入る。「これからどんどん調子を上げていくだけ」と意欲を示した。

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井上尚弥V7へスパー開始「調子を上げていきたい」

本格的なスパーリングを開始した井上尚弥(左)


 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24=大橋)が21日、横浜市内の所属ジムで、7度目の防衛戦に向けた本格的なスパーリングを始めた。

 12月30日に横浜文化体育館で、挑戦者の同級7位ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)とのV7戦を控える井上尚は、4回を消化した。フィリピン人の練習パートナーに対し、何度も強烈な左ボディーをヒットさせ、大橋秀行会長からも「ナイスボディー!」の声が飛んだ。

 昨年からスパーリング相手として招請するフィリピン人で、9月に世界王座に挑戦したばかりのゼネシス・カシミ・セルバニア(カシミ)ら3選手を練習パートナーに週2、3回のペースでスパーリングを続ける。既に熱海合宿などで下半身や体幹の強化を図っており、スタミナ面に不安はない。1日に消化するスパーリング数も「ケガをしないように」(井上尚)と平均4~6回で調整する方針だという。「熱海合宿の疲れも取れたので、調子を上げていきたい」と口にした。

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木村翔が元王者の五十嵐俊幸と大みそかに初防衛戦

都内のホテルで記者会見に臨んだWBO世界フライ級王者・木村翔


 プロボクシングWBO世界フライ級王者・木村翔(28=青木)が12月31日に東京・大田区総合体育館で、元WBC同級王者の同級1位・五十嵐俊幸(33=帝拳)と初防衛戦に臨むことが21日、発表された。

 同日に都内のホテルで会見した木村にとって、7月に同級王者・鄒市明(中国)を11回TKO勝ちして以来の世界戦。「格で言ったら五十嵐選手が上。ボクのパンチもしっかり当たればKO決着になるかなと思う。ボクが王者ですが、挑戦者の気持ちで初防衛に成功したい」と口調を強めた。

 五十嵐は13年8月に八重樫東(大橋)に判定負けし、世界王座を失って以来の世界戦。「大舞台は4年半ぶり。すごく興奮していますし、楽しみにしています」と意気込んだ。

 なお同日同会場では、WBA世界ライトフライ級王者・田口良一(30=ワタナベ)-IBF世界同級王者ミラン・メリンド(29=フィリピン)の団体王座統一戦、IBF世界ミニマム級王者・京口紘人(23)-同級3位カルロス・ブイトラゴ(25=ニカラグア)も行われる。

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ゾラニ・テテ11秒でKO勝ち!世界戦史上最短記録

ゾラニ・テテ(2014年7月15日撮影)

<プロボクシング:WBO世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇18日(日本時間19日未明)◇英・北アイルランド・ベルファスト・SSEアリーナ


 同級王者ゾラニ・テテ(29=南アフリカ)が世界戦史上最短記録となる11秒でKO勝利した。挑戦者となる同級3位シボニソ・ゴニャ(南アフリカ)に対し、1回早々に右フックでダウンを奪取。カウントを数え始めたレフェリーが試合をストップし、11秒KO勝ちが成立し、初防衛に成功した。

 過去の世界戦では94年9月にオーストラリアで開かれたWBOスーパーバンタム級タイトルマッチで、王者ヒメネス(プエルトリコ)が17秒KOでゲイアー(オーストラリア)を倒した試合が最短KO記録とされていた。また96年1月にはIBF世界ミドル級王者ホプキンス(米国)が24秒TKOでフランク(ガイアナ)に勝利している。

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王者アンカハス6回KO勝ちで3度目防衛に成功

<プロボクシング:IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇18日(日本時間19日未明)◇英・北アイルランド・ベルファスト・SSEアリーナ


 同級王者ジェルウィン・アンカハス(25=フィリピン)が3度目の防衛に成功した。

 敵地で同級4位ジェイミー・コンラン(31=英国)の挑戦を受け、右フックでダウンを奪取して6回52秒、KO勝利をおさめた。コンランに初黒星をつけたアンカハスの戦績は27勝(19KO)1敗1分けとなった。

 強打のサウスポーとなるアンカハスはWBO世界同級王者・井上尚弥(24=大橋)が団体統一戦の相手として希望する注目のターゲット。来年2月に米国で開催予定となるスーパーフライ級の強豪が集う「Superfly2」で激突する可能性がある。

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田口良一「攻守ともに一流の相手」V7統一戦に意欲

肩を組み記念撮影する田口(左)と京口(撮影・狩俣裕三)


 プロボクシングWBA世界ライトフライ級王者・田口良一(30=ワタナベ)が12月31日に東京・大田区総合体育館で、IBF同級王者ミラン・メリンド(29=フィリピン)と団体王座統一戦に臨むことが17日、発表された。7度目の防衛戦で王座統一できれば、WBO同級王者・田中恒成(22=畑中)と日本初の3団体統一戦の夢も広がる大一番だ。IBF世界ミニマム級王者・京口紘人(23)も同日、同級3位カルロス・ブイトラゴ(25=ニカラグア)と初防衛戦に臨む。

 日本人3人目の2団体統一王者を目指す田口が拳を交えるのは、5月に3階級制覇王者・八重樫東を下したメリンドとなる。田口は「攻守ともに一流の相手。激闘して勝ちたい」と声をはずませた。今回から中継局がテレビ東京からTBSに変更。中継局問題もクリアされ、田中との王座統一戦も現実的になった。田口は「勝ち続けて田中君と試合をやりたい」と2団体王座統一だけに集中する。

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王者アンカハス計量パス、井上尚弥と来年2月激突も


 プロボクシングIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は18日(日本時間19日未明)、英・北アイルランドのベルファストで開催される。

 同級王者ジェルウィン・アンカハス(25=フィリピン)、挑戦者の同級4位ジェイミー・コンラン(31=英国)は17日、同地で前日計量に臨み、両者ともに115ポンド(約52・1キロ)のリミットでクリアした。

 強打のサウスポーとなる王者アンカハスは3度目の防衛戦となる。WBO世界同級王者・井上尚弥(24=大橋)が団体統一戦の相手として希望する注目のターゲット。来年2月に米国で開催予定となるスーパーフライ級の強豪ばかりが集う「Superfly2」で激突する可能性がある。

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田口良一V7達成で3団体統一戦へ「すごいカード」

大みそかに行われるダブル世界戦の会見で相手のミラン・メリンドボードにこぶしを出す田口(撮影・狩俣裕三)


 プロボクシングWBA世界ライトフライ級王者・田口良一(30=ワタナベ)が12月31日、東京・大田区総合体育館で、IBF世界同級王者ミラン・メリンド(29=フィリピン)と団体王座統一戦に臨むことが17日、発表された。

 田口にとって7度目の防衛戦で、ビッグマッチを迎え「今の気持ちは意外に落ち着いている。これから不安も出るかと思いますが、絶対の自信を持ちたいと思います」と決意を新たにした。

 過去、日本人出場の2団体王座統一戦は4試合あり、井岡一翔、高山勝成がミニマム級で2団体統一王者となっている。田口は「勝つことが第1でKO勝ちできれば。こういったチャンスはめったにない。さらにすごいカードを実現したいので絶対に勝ちたい」と口調を務めた。

 本来ならばWBO王者・田中恒成(畑中)との王座統一戦になるはずが、田中の両目負傷の影響で、メリンドとの王座統一戦に方向転換されていた。田口は「お互いが勝ち続ければ試合はやれると思うのでメリンド戦を考えています」と気持ちを切り替えている。

 今回から中継局がテレビ東京からTBSに変更された。これでネックとなっていた中継局の問題も解消。WBAとIBFの王座統一に成功すれば、田中との3団体王座統一戦も現実味を帯び「すごいカード」になる。2017年最後のボクシング世界戦という大トリを務める田口は「強い相手に勝って評価してもらいたい。王座統一、7度目の防衛という目標ができたので頑張りたい」と責任感もにじませた。

大みそかに行われるダブル世界戦の会見で相手のミラン・メリンドボードを背に記者の質問に答える田口(撮影・狩俣裕三)

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井上尚弥「30連勝男」倒し2月米国統一戦でV8だ

写真に納まる、左から井上拓、井上尚、拳四朗、清水(撮影・丹羽敏通)


 モンスターVS30連勝男!! ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が12月30日に横浜文化体育館で、同級7位ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)と7度目の防衛戦に臨むことが16日、発表された。13年から30連勝を誇る挑戦者を返り討ちにし、来年2月の米国再上陸に弾みをつける。興行は、WBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(25)の2度目の防衛戦とのダブル世界戦となる。

 圧倒的な強さゆえに挑戦者選びが難航し、数日前に決まった相手は国外戦の経験が豊富な30連勝中のフランス人だ。「映像をみていない」と前置きした上で、井上は「いい戦績を残している。気を抜かないでしっかりとやりたい」と、KOで仕留める意識を高めた。

 15日の熱海合宿終了時、来年2月24日に米国で開催される同階級の強豪が集う「Superfly2」参戦を希望した。この日も「その(階級の)くくりならしっかり入れろ、と」とあらためて強調。希望する相手には、2度の対戦交渉が決裂したIBF王者アンカハス(フィリピン)の名を挙げ「決まれば、気持ちよくバンタム級にいける」と団体統一戦の実現を熱望した。

 2カ月弱の連戦になるが、父真吾トレーナーは「年末の延長線でやれれば」と太鼓判を押し、大橋会長も「今は2月に出る方向です」と明言した。その前に4年連続となる年末恒例マッチ。「井上尚弥らしい試合をみせたい」。最高の形で17年を締めくくり、18年の米再上陸へとつなげていく。【藤中栄二】

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井上尚弥「12月30日も…」7度目防衛へ意気込み

「FUJI BOXING2017 井上尚弥・拳四朗ダブル世界戦」を発表して写真に納まる、左から井上拓、井上尚、拳四朗、清水(撮影・丹羽敏通)


 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が12月30日に横浜文化体育館で、同級7位ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)と7度目の防衛戦に臨むことが16日、発表された。同日に都内のホテルで会見に出席した井上は4年連続となる年末恒例の世界戦に向け「17年はいい試合が続いているので、12月30日も井上尚弥らしい試合をみせたいと思います」と抱負を口にした。

 対戦相手のボワイヨは現在30連勝中で、攻撃的な右ボクサーファイター。「また(来年)2月に米国で(試合)という話もあるので、そこに向けてという意味でも、またいい試合を見せられたらいいなと思います」と口にした。

 9月9日に米カリフォルニア州で開催された同じ階級の強豪が集う「Superfly」に参戦。アントニオ・ニエベス(米国)に6回終了KOで下して以来の防衛戦となる。井上が出場意欲を示す米国での2月24日の興行は「Superfly2」という同じシリーズの興行となる。わずか2カ月弱での連戦の防衛戦となるが、大橋秀行会長は「尚弥本人がぜひ出たいと。その意向は向こうのプロモーターに伝えてある」とサポートを約束した。

 井上は「今は12月30日の試合のことだけを考えている。試合が待ち遠しいです」と、気持ちを高揚させていた。

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拳四朗「名前知ってもらいたい」世界戦初KOに意欲

「FUJI BOXING2017 井上尚弥・拳四朗ダブル世界戦」を発表して写真に納まる、左から井上拓、井上尚、拳四朗、清水(撮影・丹羽敏通)


 WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(25=BMB)の2度目の防衛戦が16日に発表された。12月30日に横浜文化体育館で、同級8位ヒルベルト・ペドロサ(25=パナマ)を迎え撃つ。WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)のV7戦と、ダブル世界戦でのセミファイナルとなった。

 V1に成功した10月22日から、約2カ月での試合となる。話が来たのは10日前で、試合まで2カ月を切っていた。当初は来年2月ごろを予定していた。ロードワークや軽いジムワークは始めていたが「ちょっと複雑。祝勝会続きの最中だったし、体重も戻っちゃったし」と拳四朗は顔を曇らせた。

 ただし、最大のチャンスでもあった。「名前を知ってもらって有名になりたい」と常々言ってきた。過去世界戦2試合はトリプルの第1試合で、テレビの生中継がなかった。「三度目の正直。年末でテレビが生中継なのが最大のモチベーション。たくさんの人に見てもらえるのでワクワクする」と目を細めた。寺地会長も「ゆっくり年を越したかった」が本音も「前回12回戦ってもダメージはなかった。チャンスはチャンス」と即決した。

 相手は右のファイターに、拳四朗は「来てくれれば当てやすい」と歓迎する。これまで2カ月間隔での試合も3度こなしている。過去世界戦2試合はいずれも12回判定勝ち。「KOはこの時にとっておいた。KOで勝ってインパクト与え、名前を知ってもらいたい」。12月は京都から上京して本格スパーリングに入り、世界戦初のKOへパンチに磨きをかける。

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井上尚弥&拳四朗 12月30日にダブル世界戦

「FUJI BOXING2017 井上尚弥・拳四朗ダブル世界戦」を発表して写真に納まる、左から井上拓、井上尚、拳四朗、清水(撮影・丹羽敏通)


 大橋ボクシングジムは16日、12月30日に横浜文化体育館で行われるダブル世界戦(日刊スポーツ新聞社後援)の発表会見を行った。

 WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)は、同級7位ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)と7度目の防衛戦を行う。井上は米国デビュー戦となった9月以来の試合で、戦績は14戦全勝(12KO)。ボワイヨは41勝(26KO)4敗1無効試合となっている。

 WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(25=BMB)は同級8位ヒルベルト・ペドロサ(26=パナマ)と2度目の防衛戦に挑む。初防衛戦に成功した10月20日以来の試合で、戦績は11戦全勝(5KO)。ペドロサは18勝(8KO)3敗2分となっている。

 他に東洋太平洋フェザー級王者清水聡(31=大橋)が挑戦者に同級14位エドワード・マンシト(25=フィリピン)を迎える初防衛戦。WBCバンタム級9位井上拓真(21=大橋)と元日本バンタム級王者益田健太郎(34=新日本木村)の54・0キロ契約10回戦も組まれた。

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井上尚弥、異例の連戦プラン 中2カ月弱でV8へ

早朝の砂浜トレーニング中に鋭い視線を送る井上


 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、異例の連戦希望を明かした。

 15日、静岡・熱海での合宿を打ち上げ。冬の砂浜での練習を終えると、寒さの中で言葉がひときわ熱さを帯びた。「新しい挑戦になりますが、チャンスですし、出たい」。話題は今後の試合日程。希望したのは、来年2月24日に米国で計画される興行「Superfly2」出場だった。年末には国内で7度目の防衛戦が控え、近日中に発表見込み。試合間隔は2カ月弱になるが、「挑戦」ととらえた。

 米国での興行は、スーパーフライ級の一線級が会した今年9月の「Superfly」の第2弾になる。井上はその舞台で米国デビューを飾り、6回終了時の相手棄権による圧勝で「モンスター」のすごみを見せつけた。本場ファン、関係者に鮮烈な印象を残したからこそ、「もう1回あそこで戦いたい」。

 本場の興行主も参戦を熱望していたが、問題は日程だった。12年にプロデビューしてから14戦し、試合間隔はデビュー戦から第2戦までの95日が最短。そもそも、世界王者が2カ月で2試合を行うこと自体があまりない。ただ、「期間は短いですけど、問題ない」。減量開始時期など、短期間仕様に合わせていく。年末の試合でもダメージがない勝利が求められるが、「それはモチベーションにもなる」と気概を感じさせた。

 この日、恒例の肉体強化合宿を終えた。4日間で体をいじめ抜き、「試合に向けての気持ちのスイッチが入った」とすがすがしい顔をのぞかせていた。また新たな壁を越えるため、オン状態で突っ走る。【阿部健吾】

 ◆「Superfly」(9月9日、米カリフォルニア州カーソン) スーパーフライ級の強豪が集結。重量級が人気の米国では近年は軽量級への関心が高く、象徴的な興行となった。井上はオファーを受け、いきなりのセミファイナルで登場し、挑戦者の同級7位アントニオ・ニエベス(米国)と対戦。ダウン経験のない相手から5回にダウンを奪い、6回終了時に棄権に追い込んでV6を達成した。他にWBC王者シーサケット、元4階級王者ゴンサレス、元WBC王者クアドラス、元WBA、WBOフライ級王者エストラーダが参戦した。

9月、ニエベスを下し防衛に成功した井上(中央)はチャンピオンベルトを腰に笑顔を見せる。右は大橋ジムの大橋会長、左は父の真吾トレーナー

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3冠王者井上岳志、世界挑戦へ「準備していく」

日本に加えて2本のベルトを手にした井上岳志

<プロボクシング:東洋太平洋スーパーウエルター級タイトルマッチ&WBOアジアパシフィック同級王座決定12回戦>◇10日◇東京・後楽園ホール


 ボクシングの日本スーパーウエルター級王者井上岳志(27=ワールド)が3冠王者になった。

 10日に東京・後楽園ホールで、WBOアジアパシフィック王座決定戦を兼ねて東洋太平洋同級王者ラーチャシー(タイ)に挑戦。8回に2度ダウンを奪ってTKO勝ちした。初回から左ボディーを中心に攻勢で「長引いて楽ではなかったがベルト3本はうれしい」。来年4月に日本王座V2戦後は「チャンスがあれば世界をやれるよう準備していく」と宣言した。日本フライ級は王者黒田(川崎新田)が7回TKOでV2に成功した。

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井上岳志KOで3冠王者「いい準備を」世界挑戦狙う

<ボクシング:東洋太平洋スーパーウエルター級タイトルマッチ&WBOアジアパシフィック同級王座決定12回戦>◇10日◇東京・後楽園ホール


 日本スーパーウエルター級王者井上岳志(27=ワールド)がTKOで3冠王者になった。ステップアップを期した東洋太平洋同級王者ラーチャシー・シットサイトーン(32=タイ)との2冠戦。初回から攻勢で8回に2度ダウンを奪うとレフェリーストップ。8回2分51秒TKO勝ちした。

 井上は試合前に話していた左ボディーで初回から攻めていった。くっついてのボディーに右アッパーなど攻勢が続いた。いい右をもらう場面もあったが、中盤からは再三ロープを背負わせた。ボディーから大振りの右フックも決まる。8回に右フックで王者がリング中央でダウン。立ち上がってきたがコーナーに詰めて連打に再びうずくまり、レフェリーが止めた。

 井上は腰に日本王座のベルトを巻き、両肩に新たなベルト2本を担いで誇らしげに「3つのベルトはうれしい」。終始攻勢にも「ボディーが効いているのは分かったが、相手の上体が柔らかく、長引いてしまった。危ないところもあり、楽ではなかった」と振り返った。

 今後は来年4月に日本王座のV2戦を予定している。WBOはすでに世界15位でランク入りしているが、これも一気にアップするはず。IBFでも15位。「4月の防衛後は、チャンスがあれば世界をやりたい。いつでもいい準備をして、常に戦える心を持っていたい」。来年には世界挑戦プランを披露した。

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多田悦子が判定勝ち 王者江畑佳代子との対戦熱望

<ボクシング:WBO女子アジアパシフィック・ミニフライ級王座決定8回戦>◇10日◇東京・後楽園ホール


 日本人女子の元世界王者対決は、元WBA世界ミニマム級王者多田悦子(36=真正)が制した。

 12年にも対戦した元IBF世界ライトフライ級王者柴田直子(36=ワールド)を相手に3-0で判定勝ちした。

 初回から練習したというカウンターの左ストレートに、ボディーがよく決まった。中盤に右ストレートをもらってのけ反るなど反撃を受けたが、終盤に上下に打ち分けなどで攻勢だった。5年前は王者時代でV8成功に続いて連勝となった。多田は「久しぶりの後楽園ホールで、お客さんの顔がよく見えて、ええでんな」とおどけた。これでWBO世界ランク入りとなり、王者江畑佳代子(41=ワタナベ)に挑戦を熱望。「大先輩と対戦が決まれば、きちんと仕上げていきますので」と、視察した江畑に向かってリングから頭を下げた。

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井上岳志2冠戦へ「上に進むため」世界挑戦プランも


 ボクシングの日本スーパーウエルター級王者井上岳志(27=ワールド)が、ステップアップを期した2冠戦に挑む。

 10日に東京・後楽園ホールで、東洋太平洋同級王者ラーチャシー・シットサイトーン(32=タイ)と、同王座とWBOアジアパシフィック王座決定12回戦を争う。9日には都内で前日計量があり、井上がリミットの69・8キロ、王者が69・2キロでパスした。

 井上は32歳までに世界挑戦のプランを描いている。「アジアをとってこそ上に行ける。上に進むために絶対落とせない。ベルトも2本を目にしてほしくなった」と笑みを見せた。相手はリミットを600グラムも下回り、元々は下のウエルター級と体格差がある。「体のハンディがあるのに、日本人2人にも勝っている。すごい」と警戒を緩めていない。

 今回は初めて12回スパーリングもこなすなど、準備も調整も順調だった。「体格以外にもいい距離で引き出しを見せたい。左ボディー、コンビネーションやトリッキーな動きも」と意欲満々だった。

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王者黒田雅之V2戦に自信「伸びている感がある」


 日本フライ級タイトルマッチ10回戦の前日計量が、9日に都内で行われた。

 V2戦となる王者黒田雅之(31=川崎新田)は50・7キロ、同級6位松山真虎(31=ワタナベ)はリミットの50・8キロでクリアした。試合は10日に東京・後楽園ホールで行われる。

 黒田は前回暫定王者だったが、正規王者粉川拓也(宮田)に判定勝ちで王座を統一した。4団体すべてで世界ランク入りも「肩書で強くなるわけでない。課題をクリアして勝ち続けていくだけ」。13年に世界挑戦経験あるベテランらしく落ち着いた表情。「今は毎日楽しく、伸びている感がある。前回より強くなったところを見せたい」と自信を見せた。

 松山は初のタイトル挑戦となる。水道橋の居酒屋「もつ焼きでん」で働くが、8月に試合が決定後は仕事を休んで備えてきた。「計量をパスできて安心した。どこまで通用するかだが、やることはやってきた。それを出せれば勝てる」と控えめに話した。

 前座では36歳の女子日本人元世界王者対決もある。WBOアジアパシフィック・ミニフライ級王座決定8回戦で、WBC世界同級4位多田悦子(真正)とWBC世界ライトフライ級10位柴田直子(ワールド)が対戦する。2人は12年にWBAミニマム級で対戦し、王者多田が柴田に判定勝ちしている。多田は「やっと日本人とできるので楽しみ。左カウンターを練習してきた。チョウのように舞い、蜂のように刺す」と豪語。柴田は「タイトルよりこの一戦に勝つこと。5年前と違うところを見せ、通過点にしたい」と世界王座奪回へのステップを期した。

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藤本京太郎、世界戦へ熱い訴え 問題は「資金」

5回、レイモントをKOで倒し、WBOアジアパシフィック・ヘビー級王座を防衛した藤本京太郎(撮影・酒井清司)

<プロボクシング:東洋太平洋&WBOアジア・パシフィック・ヘビー級タイトルマッチ12回戦>◇4日◇東京・後楽園ホール


 ボクシングの東洋太平洋とWBOアジアパシフィックのヘビー級王者藤本京太郎(31=角海老宝石)が、KO防衛で世界挑戦をアピールした。

 4日に東京・後楽園ホールで、挑戦者レイモント(オーストラリア)に右ストレート連発で5回KO勝ちした。東洋太平洋は2度目、WBOは初防衛。WBO王者パーカー(ニュージーランド)に挑戦が浮上しているが「やるべきことはやった。人生の目標と決めた世界戦のリングに上がりたい」と熱い訴え。萩森マネジャーは「向こうは日本でやりたがっている。問題は資金」と話した。

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藤本京太郎KO防衛で世界挑戦へ「人生の目標」

5回、レイモントをKOで倒し、WBOアジアパシフィック・ヘビー級王座を防衛した藤本京太郎(撮影・酒井清司)

<ボクシング:東洋太平洋&WBOアジアパシフィック・ヘビー級タイトル12回戦>◇4日◇東京・後楽園ホール


 王者藤本京太郎(31=角海老宝石)がKO防衛で世界挑戦をアピールした。

 挑戦者のランドール・レイモント(22=オーストラリア)に対し、初回から足を使いながら、ボディー攻撃などでペースをつかんだ。5回に右ストレートで鼻血を出させ、さらに右ストレートでぐらつかせた。そこへ再び右ストレートをアゴに見舞い、5回2分50秒KO勝ちを収めた。東洋太平洋は2度目、WBOは初防衛となった。

 計量で予告していた6回KOを上回る快勝だった。相手は9戦目で総合格闘技の経験者。「調子が悪く、体が動かず、やりづらい相手だった。パンチも思った以上にあったが、カウンターがよく、最後を締められてよかった」と振り返った。

 あとは世界挑戦への思いを熱く訴えた。ここまでにもWBO王者ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に挑戦が浮上している。「やるべきことはやった。まだまだ弱いかもしれないが、人生の目標と決めた世界戦のリングに上がりたい。30歳までとK-1から転向して、1年半伸びているのも世界戦のため」と話した。

 鈴木会長は10月のWBO総会にも出席したが「みんな日本でやると思っていた。びっくりした」と、周囲の機運は上がっているようだ。萩森マネジャーは「向こうは日本でやりたがっている。次は20戦目の節目にもなる。来年3月ごろにできれば。問題は理解と資金。ファイトマネーは最低100万ドルは必要では」と、周囲の協力、支援を期待した。

5回、レイモントに右フックを浴びせるチャンピオン藤本(右)(撮影・酒井清司)

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ヘビー級藤本京太郎101キロでパス「6回で倒す」


 ボクシングの東洋太平洋とWBOアジアパシフィックのヘビー級2冠戦の前日計量が3日に都内で行われた。王者藤本京太郎(31=角海老宝石)は101キロ、挑戦者のランドール・レイモント(オーストラリア)は106キロでパスした。

 藤本は計量前にうどんを食べ、洋服を着たまま計量した。「今回は1度100キロを切った。いい練習ができて体重がうまく落ち、動きがいい。最後は右ストレートで6回に倒したい」とKOラウンドまで予告した。陣営では以前からWBO王者パーカー(ニュージーランド)に挑戦へ交渉を続けている。「世界へのステップになるようにしたい」と自信を口にした。

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村田はゴロフキンに固執せず、強豪ひしめくミドル級

新王者に輝きポーズを決める村田(撮影・中島郁夫)


 ボクシングのWBA世界ミドル級新王者となった村田諒太(31=帝拳)が、変わらぬ「挑戦」を誓った。直接再戦となった前王者アッサン・エンダム(フランス)を棄権による7回終了TKOで下してから一夜明けた23日、都内ジムで会見。防衛回数へのこだわりはみせず、さらなる「トップ・オブ・トップ」がそろう、ミドル級覇権争いの中心に踏み込む決意を言葉にした。

 欧米人の平均体格に近く世界的に強豪が集うミドル級。いま、その頂点に君臨するのがゴロフキン。3団体のベルトを束ね、専門誌などでパウンド・フォー・パウンド(全階級通じての最強選手)の1位に立つ。

 ただ、この2戦はKOを逃した判定勝ち、引き分けと陰りがみえ始めている。村田も「ピークは過ぎたかもしれない」と見定め、「ゴロフキンにこだわっているわけではない」とも話す。来年5月には9月に引き分けた元2階級制覇王者アルバレスとの再戦がうわさされ、その結果次第で「割り込み方」も影響を受けるだろう。

 各団体の世界ランク上位にも「1軍」が連なる。WBO王者サンダースは12月16日に元IBF王者レミューとV3戦を控え、復活を期す元WBA王者ジェイコブスは現在WBC3位、1階級下のIBFスーパーウエルター級王者だったチャーロはWBCミドル級1位に位置する。

 村田の現在地点は、1軍候補筆頭か。流動的に変わる戦況を見定め、ターゲットを決める。

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比嘉伝説14連続KO、大晦日に井岡との統一戦熱望

5回、比嘉(右)はマソンに連打を浴びせる(撮影・浅見桂子)

<プロボクシング:WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇22日◇東京・両国国技館


 WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が14戦全勝全KOで初防衛に成功した。同級5位トマ・マソン(27=フランス)を7回にとらえてダウンを奪取。同回1分10秒、レフェリーストップのTKO勝ちをおさめた。沖縄出身王者で初めてKO初防衛に成功。大みそかにWBA同級王者・井岡一翔との団体統一戦もぶちあげた。

 ロープ際にマソンを押し込み、比嘉がボディーに、顔面に左の5連打を打ち抜いた。ガード上手な挑戦者を眼前に「ロマゴンを思い出した」。尊敬する元世界4階級制覇王者ゴンサレス(ニカラグア)ばりのラッシュをみせた。7回、再び左で右目上をカットさせ、さらに傷口に左フックの嵐。痛みに耐えかねてヒザをついたマソンを人生初のダウンに追い込んだ。そのままドクターストップ。具志堅会長のKO指令が出る前に決着をつけた。

 「最後は(マソンが)目を痛がって座っちゃいましたね。タフだなと思ったので目を狙った。KOは気分良かったですね」

 試合後、米プロモート大手トップランクのボブ・アラムCEOと握手を交わし「グッドファイター」と祝福を受けた。「通訳さんがいてくれたら話せた。米国で試合できたかな」と冗談も飛ばす余裕があった。

 初防衛戦に備え、フライ級のリミット(50・8キロ)とほぼ同じ50キロの重さのバーベルを両腕で持ち、重量挙げ選手さながらにスナッチやジャークで瞬時に持ち上げる練習メニューを繰り返してきた。「ハードな練習してきたのでKOでないと満足できない」。マソンの体をロープ際まで吹っ飛ばすパワーが肉体に十分、備わっていた。

 高校時代は全国的に無名の存在だった。同学年に「スーパー高校生」と言われたWBO世界ライトフライ級王者・田中恒成、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥の弟で元東洋太平洋同級王者の拓真がいた。「雲の上の存在」と振り返る2人に追いつき、追い越すことが目標だった。「あの2人はうまいけれど一番面白い試合をするのは比嘉と言われたい」。沖縄出身王者で初めてKO初防衛に成功。日本人の対フランス人世界戦初勝利を挙げた。日本記録に王手をかける14連続KO勝ちのパーフェクトレコード。十分すぎるインパクトを残した。

 勝利後、リング上でWBA世界フライ級王者・井岡の名を挙げ「大みそかでもいいので統一戦をやりましょう」と叫んだ。具志堅会長も本人の意向を受けて交渉に入る構えだ。井岡戦で日本記録を達成する最高の舞台を、自らの両拳で整えてきた。【藤中栄二】

<比嘉大吾(ひが・だいご)アラカルト>

 ◆生まれ 1995年(平7)8月9日、沖縄・浦添市。

 ◆スポーツ歴 保育園まで水泳と体操の教室に通う。宮城小2年から野球をはじめ、宮城ドリームズに所属。6年で主将を務め、市内大会で創部初の優勝。仲西中でも野球部で主将。

 ◆具志堅に憧れ 中学3年の時、具志堅用高会長の現役時代のKO動画をテレビで見て触発され、宮古工でボクシング部へ。国体8強が最高成績。通算36勝(8KO・RSC)8敗。

 ◆プロ転向 高校卒業後に上京し、白井・具志堅スポーツに入門。14年6月にデビューし1回KO勝ち。

 ◆王座 15年7月にWBCユース・フライ級王座を奪取。16年7月に東洋太平洋フライ級王座も獲得。

 ◆家族 両親と兄。

 ◆スタイル 身長160・8センチの右ファイター。

比嘉&マソン・ラウンドVTR

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村田がリングで涙を流した理由、不可解判定から雪辱

7回終了TKOでエンダムを下し、泣き崩れる村田(撮影・滝沢徹郎)

<プロボクシング:WBA世界ミドル級王座決定戦12回戦>◇22日◇東京・両国国技館


 2つ目の頂を極めた。12年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級1位村田諒太(31=帝拳)が王者アッサン・エンダム(33=フランス)を7回終了時の棄権によるTKOで下した。主要4団体のミドル級では、最速14戦目での王座奪取。5月の王座決定戦では不可解な判定で敗れた相手に雪辱した。日本人では竹原慎二以来2人目の同級王者、さらに五輪メダリストとして初の世界王者にも輝いた。

 あふれるものは、止められなかった。「泣いてません」。勝利者インタビューでおどけても、その涙は恐怖に打ち勝った者しか流せない勲章だった。村田は目を真っ赤にしてリング上から叫んだ。「ありがとう!!」。拳を振り回し、五輪でも見せなかった姿。「みんなで作った勝利です!」。夢じゃないと何度も確かめた。最後は笑顔が咲いた。

 序盤から攻めた。顔から左ガードを離すことを恐れずに、左ボディーを見舞った。鉄壁のガード、前に出続ける勇気、そして強打。距離をつぶすことで右ストレートを封じようとするエンダムを突き放す。「4回からぜーぜーしていた。チャージし続けた」。自信をまとった拳を顔に腹に。鈍い音を響かせた。そして、7回で心を折った。

 「あの涙は男として良かったんだろうか」。5月には違う涙に悔恨があった。敗戦後の控室、20分以上泣いた。周囲への申し訳なさだったが「女々しかった。許しを乞うているみたいで」。自分を許せなかった。

 「ボクサーは辞め時を探している」とも言った心境から、先を考えられたのは、その周囲の声だった。「試合の夜にも数百件の連絡をもらい、90%以上は味方だった。助けられた」。再戦への道が開けた6月、現役続行会見で臨席した田中トレーナーが言った。「村田に申し訳ない。タイトルを取れなかったのは、セコンドが勝ちを確信してしまったから」。終盤、倒しにいく指示はなかった。ただ、痛感した。「僕の負けはチームの負けになる」。敗戦の責は自分にある。雪辱の覚悟を背負い込んだ。

 その頃、再戦に向け注目度は急上昇した。自ら半信半疑だった実力も初戦で自信を得た。「認められたという楽さがあった。『オレを見て』としなくてすむようになった」。3人兄弟の末っ子。関心を引こうと父誠二さんにパンチした幼少期から変わらぬ本性。不登校がちだった中学時代は突然金髪にしたり、マラソン大会に飛び入りして優勝、周囲をあぜんとさせた。もがき、居場所を求めてきた。

 「チャンピオン」と呼ばれることにもいらついたこともあった。「『違う、まだですよ』と言い直すのが嫌だった。情けない」。軽量級とミドル級では動くお金も1桁違う。最も層が厚い階級で戦う苦境は理解されない。だが、そう嘆く姿は、この5カ月間にはなかった。「世間でここに存在して良い、と認められた」。味方の存在が満たしてくれた。虚勢も消えた。

 五輪は夢見心地。手にしたベルトは「現実味がある。責任がある」。それは勝ち続けることでしか晴らせない使命だ。「ミドル級には4団体あり、僕より強い王者がいる。そこを目指す」。ここは終わりではない。始まりだ。【阿部健吾】

 ◆ミドル級戦線 君臨するのは3団体(WBAスーパー、WBC、IBF)統一王者ゴロフキン。10年にWBAベルトを獲得すると、KO街道で米国でもスターとなった。WBO王者サンダースは12月に元IBF王者レミューと3度目の防衛戦を行う。他有力選手では、9月にゴロフキンと「ミドル級頂上決戦」で引き分けた元2階級王者アルバレス、WBAを4度防衛したジェイコブス、7月のWBC挑戦者決定戦勝者で元IBFスーパーウエルター級王者チャーロらがひしめく。

<村田諒太アラカルト>

 ◆生まれ 1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれ。

 ◆中学でジムへ 中学3年時に大阪・進光ジムに通い、日本スーパーライト級王座を10度防衛した桑田弘に素質を見込まれ、南京都高(現京都広学館高)を勧められて進学。高校で5冠を達成した。

 ◆アマ 東洋大に進学し、04年全日本選手権ミドル級で優勝。大学卒業後、東洋大職員となり、08年に一時引退も09年春に復帰し国内13冠に。11年世界選手権で銀、12年ロンドン五輪で日本人48年ぶり金メダル。

 ◆プロ 13年8月にプロデビューし、当時の東洋太平洋ミドル級王者・柴田明雄に2回TKO勝ち。

 ◆趣味 読書と子育て。選択する本のジャンルは哲学的なものを中心に多岐にわたる。

 ◆家族 佳子夫人と1男1女。

 ◆タイプ 身長182センチの右ボクサーファイター。

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村田諒太勝つだけ、超一流審判ズラリ あす大一番

調印式に出席した、左からリングアナウンサーのレノン・ジュニア氏、レフェリーのベイレス氏、ジャッジのホイル氏、同プラヤドサブ氏、同カイズ・ジュニア氏(撮影・松本俊)


 ボクシングのWBA世界ミドル級タイトルマッチは22日に両国国技館でゴングが鳴る。挑戦者で同級1位村田諒太(31=帝拳)は都内で20日、王者アッサン・エンダム(フランス)と調印式と会見に臨んだ。5月の王座決定戦では、1-2の判定負けが批判を呼び、誤審を認めたWBA会長の指令による異例の直接再戦。審判団には経験豊富な一流たちがそろった。村田が契約するトップランク社CEOの大物プロモーター、ボブ・アラム氏(85)は、王者になれば米国で試合を組む意向を示した。

 壇上から左右を見渡しながら、村田は言った。「小さい頃から夢見ていた世界。うれしく思う」。隣には50年以上も本場米国ボクシング界に君臨するアラム氏。リングアナウンサーを務める殿堂入りのジミー・レノン・ジュニア氏。会見に並んだ「顔役」に、幼少期から海外ボクシングに夢中になった村田の心は躍った。そして、何よりも審判団も一流ぞろいだった。

 立会人を務めるのはWBAの実質的NO・2、選手権委員会委員長のマルティネス氏。5月の第1戦でエンダムを支持した2人のジャッジに6カ月の資格停止処分を下した経緯もある。「僅差だった前回の試合の映像は何回も見直して今回に臨んでいる」と述べた。

 同じ過ちは繰り返せない。用意したのは実績十分の面々だった。レフェリーには「世紀の一戦」15年5月の3団体統一王座戦メイウェザー対パッキャオを裁いたベイレス氏を起用。ジャッジには日本での経験も豊富なプラヤドサブ氏、ホイル氏、カイズ・ジュニア氏を選出。カイズ・ジュニア氏は第1戦で村田を支持したカイズ氏の息子にあたる。うち2人は他団体のジャッジも兼任しており、23日からのWBO総会に出席するため米国に急いで戻るという。強行軍を覚悟でWBAが選んだのは、正確な判定のためだろう。

 村田は言う。「得たいものはベルト。まずベルトを取って、そこから始まるストーリーというのがある」。春の大一番より、さらに「夢見た世界」に近づいた雪辱舞台。「日曜日、必ず勝ちます。それだけです」。毅然(きぜん)と誓った。【阿部健吾】

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六島ジムが4タイトル戦実施 太尊康輝らそろい踏み

12月3日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で地域タイトル戦に臨む六島ジムの(左から)マーク・ジョン・ヤップ、太尊康輝、向井寛史、坂本真宏(撮影・加藤裕一)


 大阪の六島ジムが14日、4つのタイトル戦(12月3日、エディオンアリーナ大阪第2競技場)を行うと発表した。

 東洋太平洋ミドル級王者太尊康輝(24)が3度目の防衛とWBOアジアパシフィックミドル級王座獲得に挑むダブル王座戦に臨む。加えて東洋太平洋バンタム級王者マーク・ジョン・ヤップ(28)による2度目の防衛戦、向井寛史(31)によるWBOアジアパシフィックスーパーフライ級王座決定戦、坂本真宏(26)による同フライ級王座決定戦を実施する。

 同ジムの枝川会長は「ヤップは世界ランク入りしているけど、他の3人は勝てばWBOの(世界)ランク入りする可能性がある。そうなれば、来年にも(世界挑戦の)可能性が出てくる。石にかじりついてでも勝ってもらいたい」とハッパを掛けた。

 メインを務める太尊は「勝って、世界ランクに入ったら、来年は試合のスパンを長めにして、海外で練習するなどキャリアを積むことも考えています」。親交のあるラッパーの仏師(ぶっし、32)が自分のために初めて入場曲を作ってくれた。タイトルは「常勝」で15日からユーチューブで公開予定。PVには自分も出演し、闘志あふれる姿を見せている。

 向井は8月1日に結婚したばかりだ。29歳の愛妻から「絶対にベルトとってよ! 早く養って!」と猛ゲキを受けている。「ベルトを巻いて、式を挙げたいです」と笑顔を見せた。

 坂本は大阪市大の大学院生ボクサー。昨年11月に木村翔に0-2で判定負け。その木村が今年7月にWBO世界フライ級王座を手にした。「去年戦った相手があれよあれよという間に世界チャンプになった。そこに追いつきたい」。木村の戴冠直前に取り付けた企業への内定を辞退し、来年も大学院に残ることを決断。「これまでは奨学金があったんですが、留年でそれもなくなる。学費も稼がんといけませんから」とタイトル奪取に燃えている。

 

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勅使河原弘晶が輪島ジム初王者!虐待非行人生変えた

WBOアジアパシフィック・バンタム級新王者になった勅使河原弘晶

<ボクシングWBOアジアパシフィック・バンタム級12回戦>◇12日◇東京・後楽園ホール


 ボクシングのWBOアジアパシフィック・バンタム級5位勅使河原弘晶(27=輪島)が新王者になった。

 12日に東京・後楽園ホールで、同級王者パブスタン(フィリピン)のV1戦で10回TKO勝ちした。88年に元世界王者輪島会長がジム創設から初の王者。義母に虐待されて非行に走って2度少年院に入った。そこで会長の自伝を読んで改心し、ついにベルトをつかんだ。「目標はあくまで世界。会長にもう1本ベルトをプレゼントしたい」と決意を新たにした。

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2度少年院、勅使河原弘晶タイトル奪取で人生変える


 WBOアジアパシフィック・バンタム級6位勅使河原弘晶(27=輪島スポーツ)が、タイトル奪取で人生を変える。

 同級王者ジェトロ・パブスタン(27=フィリピン)の初防衛戦の前日計量が10日に都内であり、ともにリミットの53・5キロでパスした。波乱の人生を歩んできた勅使河原は、創設29年でジム初のベルトをささげ、元世界王者の輪島功一会長(74)に恩返しするつもりだ。

 勅使河原は物心ついた頃に父が再婚した義母から虐待を受けた。殴られ、万引を強要され、ろくな食事も与えられず、学校にも行かしてもらえなかった。4年で義母がいなくなったが生活は荒れ、窃盗、傷害、暴走行為などを繰り返し、2度少年院に入った。

 19歳の頃、自由時間に手にした本が人生を変えた。会長の自伝「炎の世界チャンピオン」。「努力と根性があれば世界王者になれる」と、その日から心を入れ替えた。模範囚となって少年院を出ると上京。迷わず輪島ジムに向かった。

 11年にプロデビューから7年目で、ようやくタイトル戦がかなった。初のサウスポー相手に世界王者になった岩佐らと100回のスパーリング。神戸まで出向いて元世界王者長谷川氏の指導も受けた。「メチャクチャ調子いい。今までで一番」と手応え十分だ。

 計量をパスすると、ベルトを肩にかけた王者と記念撮影に臨んだ。「あしたはおれのものになる。手ぶらで病院送りにします。死に物狂いで勝ち、ジム初のベルトを会長にささげる」。壮絶な人生から抜けだし、新たな人生を踏み出し、その最初の成果としてベルトをつかむつもりだ。。

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 同級王者パブスタン(フィリピン)の初防衛戦の前日計量が11日に都内であり、ともにリミット53・5キロでパスした。勅使河原は義母に虐待を受けて非行に走り、2度少年院に入った。そこで元世界王者輪島会長の自伝を読んで心を入れ替えた。11年のデビューから初の王座挑戦で、世界王者岩佐らとスパーし、元世界王者長谷川氏の指導も受けた。創設29年でジム初の王者へ「死に物狂いで勝つ。王者を手ぶらで病院送りにし、ベルトを会長にささげる」と誓った。

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