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安美錦のファンを引きつける発信力/連載最終回

引退会見を終え報道陣から贈呈された花束を手に笑顔を見せる安美錦(2019年7月18日撮影)

大相撲の最年長関取、安美錦(40=伊勢ケ浜)が現役を引退し、年寄「安治川」を襲名した。いかにして歴代1位の関取在位117場所目にたどり着いたのか。その横顔を3回にわたって紹介する。最終回は、安美錦の発信力について。

名古屋場所前、日本相撲協会の企画で、関取衆が七夕の短冊に願い事を書いた。安美錦は「スーツがにあいますように」と記した。

力士は引退して親方になると、着物や浴衣からスーツになる。引退したくはないはずだが、自虐的なジョークを書いた。

「言葉を用意していたわけでなく、一瞬で書いたよ。願いがかなっちゃったよ。書いてかなっちゃうのが、俺っぽいよね」

取組後の支度部屋では、勝っても負けても気の利いたコメントを残すため、多くの記者に囲まれる。16年初場所3日目、横綱鶴竜から金星を挙げた。「DAIGO風に言うと『KY』だね。金星、やったね」と言って笑わせた。

情報番組をザッピングし、SNSも駆使する情報通。金星の前日は、DAIGOと北川景子が結婚したばかりだった。

なぜ、リップサービスをするのか? 安美錦はこう答える。

「プロなんて、しゃべってなんぼ。聞きにきてもらえるだけ華なんだから。求められるものを提供するのがプロでしょう」

力士は多くを語らない-。そんなタイプを否定はしない。

「そういう人がいてもいい。負けて悔しいなら、悔しい気持ちを言えばいいんじゃないかな。野球でも何でもプロ選手は答えるでしょう?」

今場所2日目にケガを負っても、悲壮感を漂わせることなく、ひょうひょうと取材に応じた。引退会見でもしんみりすることなく、冗談もまじえた。技術を駆使する相撲っぷりと同様、コメントでも巧みに聞く者を魅了した。

7年前の11月、九州場所を控えた時期だった。福岡・久留米市の保育園を慰問し、子供や老人と交流した。質問コーナーで園児から「夢は何ですか?」と聞かれた。すると安美錦は「夢はお相撲さんになることでした。だから、今が夢の中なんです」と答えた。

引退した今、当時のことを聞くと、すっかり忘れていた。

夢はこれで終わるのか? そんな話を振ると、静かに言った。

「また次の夢があるでしょ」

土俵の中でも外でも、ファンを引きつけた安美錦。これからは年寄「安治川」としての夢を追っていく。(おわり)【佐々木一郎】

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スーパー・ストロング・マシン引退「やりきった」

ワカマツ(右)に導かれて入場するスーパー・ストロング・マシン(撮影・小沢裕)

<新日本:後楽園大会>◇19日◇後楽園ホール

 メインで「スーパー・ストロング・マシン引退記念試合」が行われた。自身はセコンドで、5人の「マシン軍団」を率いて「ロス・インゴブレナブレス・デ・ハポン」と10人タッグ戦で激突。場外で内藤にラリアットを打ち込み、勝利に貢献した。

 その後の引退セレモニーでは、1月25日に妻マサミさんをがんで亡くしたことをリング上で告白。引退理由とし、「全く悔いはない。やり切った」と声を張った。84年に将軍KYワカマツ率いるマシン軍団の一員として新日に初見参。ヘビー級マスクマンとして人気を博した。

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SSS、最後の最後に明かした引退理由は妻の逝去

引退記念試合に勝利しスーパー・ストロング・マシン(左から2人目)、マネジャーのワカマツ(同3人目)と記念撮影に臨むマシン軍団(撮影・小沢裕)

<新日本:後楽園大会>◇19日◇後楽園ホール◇観衆1596人

 マスクマンの先駆者の引退理由には、愛妻の逝去があった。スーパー・ストロング・マシン(年齢不詳)の引退記念興行が行われ、自身はセコンドを務めたメインの引退記念試合後に、引退セレモニーが開かれた。84年に新日マットに出現して以降、数々のユニットに参加しながら、ファンに愛され続けたヘビー級マスクマンに、惜しみない拍手が送られる中、ヒロ斉藤や垣原賢人、魔界倶楽部などの盟友たちも駆けつけた。

 暖かい声援を受けて最後のマイクを握ったマシンは「当時としてはかなり奇抜なデザインのマスクとコスチューム。いまじゃあ、なんのことはないんですけど、あるマスコミからも批判されました。でもリング上ではストロングスタイルを貫きました」と自信をもって回顧した。

 引退理由について「ケジメ」と言った。重なるケガで受け身も取れない状態が決断の理由の1つとしたが、10カウントゴングは終わり、セレモニーの最後の最後に明かしたのは、家族のことだった。

 「これはマスコミの方々にも、ファンの皆様にも、伝えてないことがありました。もう1人、大事な人に、深い感謝の言葉を、この場を借りてささげたいと思います。本年、1月25日、午前7時12分、28年間連れ添ったわが妻マサミが、がんのために天国へ旅立ちました。この場を借りて、天国の妻へ感謝の言葉を、声を大にしてささげ、私のあいさつを締めさせていただきたいと思います」。

 そう言うと、マイクをマットに置いた。そして、レスラー最後の言葉として叫んだ。

 「マサミーーー! ありがとーーー!」

 会場は大きな拍手に包まれた。 

 84年に将軍KYワカマツ率いるマシン軍団の一員として新日マットに初見参。183センチ、115キロの大型マスクマンは前代未聞だった。翌85年にはマシン軍団と仲間割れし、藤波の試合後に乱入した末にワカマツを急襲。藤波を救うことになるが、その藤波から「お前、平田だろ!?」とまさかの暴露をされる記憶に残る事件もあった。

 その後は全日本をへて新日本に復帰し、IWGPタッグ王座を2度獲得。代名詞の魔神風車固めを武器に活躍を続けた。94年には蝶野正洋と仲たがいしてマスクを脱いたことも。00年に復帰し、14年の後楽園大会の6人タッグ戦が最後の試合となった。

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スーパー・ストロング・マシン引退「悔いない」

ライガー (中央)とマシンは勝ち名乗り

 新日本プロレスは12日、マスクマンレスラーの第一人者であり、1980年代から長らく日本マット界で活躍してきたスーパー・ストロング・マシンの引退を発表した。6月19日の後楽園ホール大会で、「スーパー・ストロング・マシン引退セレモニー」を行う。

 公式ホームページで「今のコンディションではリングで闘うことは出来ず、今回はセレモニーという形で引退というケジメをつけさせて頂くことになりました」とコメント。当日は引退試合ではなく、引退セレモニーのみを行う。

 「現役生活の中ではさまざまなことがありましたが、悔いのないプロレス人生を送れたと思います。ファンのみなさんの応援があったからこそ、これだけ長く現役生活がおくれたと思います。みなさん、長い間、本当にありがとうございました! ギギギッガガガッ」と感謝も述べた。

 84年からストロングマシンというリングネームで、将軍KY若松をマネジャーにマシン軍団の一員として活躍した。ヘビー級のマスクマンとしては先駆的存在だった。

 85年の藤波辰爾戦で仲間割れし、その後はマシン軍団を脱退、スーパー・ストロング・マシンに改名。90年1月にブロンド・アウトローズの一員となり、12月にはヒロ斉藤とのタッグで第14代IWGPタッグ王座も獲得した。

 94年10月のタッグ戦で蝶野正洋と仲たがいしてマスクを脱いだこともあった。00年10月に6年ぶりに復活すると、獣神サンダー・ライガーとのタッグを結成するなど、活躍を続けていた。

スーパー・ストロング・マシン(上・銀マスク)はT2000マシンのマスクを引っ張り、はがそうとする

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安美錦、鶴竜倒した 対戦横綱全員から金星獲得

安美錦(右)は鶴竜を押し出しで下し、金星をあげる(撮影・横山健太)

<大相撲初場所>◇3日目◇12日◇東京・両国国技館

 関取最年長の東前頭筆頭安美錦(37=伊勢ケ浜)が、横綱鶴竜を押し出しで破る金星を挙げた。8連敗中だった相手を倒し、貴乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬に続き、対戦した横綱全員から金星を獲得。00年名古屋場所の新入幕以来、93場所目での獲得は最長記録、37歳3カ月での金星は歴代5位の年長記録となった(いずれも昭和以降)。

 「DAIGO風に言うと『KY』だね。金星、やったね」。安美錦は、前日に女優北川景子と結婚したロック歌手をまねてこう表現すると、細い目をさらに細くした。鶴竜とは過去14勝17敗も、最近は8連敗。ようやく撃破して8個目の金星を挙げ「今日が最後の結びになるかもしれないと思って、結果にこだわらずにやった。結果までついてきて良かったね」。花道を引き揚げると、ガッツポーズして喜びを爆発させた。

 百戦錬磨の業師の真骨頂だった。2度目の立ち合いが成立すると、頭から当たり、すかさずはたく。鶴竜がバランスを崩すと、休まず攻めて押し出し。「見てから当たってくるだろうな。本当は中に入りたかったけど、思い切っていなして、止まらなかったのが良かった」と、勝機を見極めた。これで対戦経験のある横綱5人全員から金星を挙げ「それが達成できたから、もういいかな」と、引退をにおわせ笑いを誘った。

 09年夏場所の朝青龍戦以来、6年8カ月ぶりの金星は、13年2月に結婚した絵莉夫人への恩返しでもある。「自宅に炊飯器もなかったらしいよ」と言うが、妻は結婚後にアスリートフードマイスターの資格を獲得。地方場所や巡業の際も、定期的に食事をチルドパックで送ってくれる。おかずは10種類以上。

 体調管理のため献身的な妻へは感謝の思いばかりで「結婚してから金星取ってなかったからね。自分の時間を削って、やってくれている。ちょっとは恩返しできたのかな」と安堵(あんど)した。

 新入幕から93場所での金星は最長記録。37歳3カ月は5番目の年長記録であることを知ると「まだ5位!?」と頭をかいた。だが三役復帰、三賞を狙う気持ちは何歳になっても変わらない。「まだ3日目。尻すぼみにならないように」。関取最年長はまだまだ元気いっぱいだ。【桑原亮】

 ◆金星 平幕力士が横綱を破ることをいう。三役以上(小結以上)が勝っても金星にはならない。場所ごとに支給される力士褒賞金(給金)も10円アップし、実際には4000倍した4万円の昇給となる。角界では隠語で、美人のことも金星と呼ぶ。

 ◆金星を奪った横綱人数 安美錦は対戦経験がある貴乃花、武蔵丸、朝青龍、白鵬、そして鶴竜の横綱5人全員から金星を挙げた。昭和以降の最高は、6人の横綱から金星を挙げた三根山、北の洋、出羽錦、高見山、巨砲、安芸乃島の6人。安美錦の5人はこれに続き、ほかにも琴錦や寺尾、大錦ら11人いる。

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安美錦絶口調!DAIGO風「KY金星、やったね」

金星をあげた安美錦は笑顔でVサイン(撮影・横山健太)

<大相撲初場所>◇3日目◇12日◇東京・両国国技館

 東前頭筆頭安美錦(37=伊勢ケ浜)が横綱鶴竜(30=井筒)を破り、自身8個目の金星を挙げた。2度目の立ち合いが成立すると、頭で当たってはたき、バランスを崩した相手を力強く押し出した。

 支度部屋に戻ると、まるで準備していたかのように「DAIGO風に言うと『KY』。金星、やったね」。前日に結婚発表した大物カップルになぞらえて爆笑を誘った。

 鶴竜との対戦成績はほぼ互角だが、最近8連敗中と苦戦していた。2日目の横綱白鵬(30=宮城野)戦に続いて結びの一番を迎え「今日が最後の結びになるかもしれないと思って、結果にこだわらずにやった。結果までついてきて良かったね」と安堵(あんど)した。現役関取最年長37歳3カ月での金星は、昭和以降歴代5位の年長記録。それでも「まだ3日目。尻すぼみにならないように」と気を引き締めた。

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豊ノ島が稀勢の里を破り「KYしちゃったかな」

<大相撲九州場所>◇10日目◇17日◇福岡国際センター

 平幕の豊ノ島(32=時津風)は1敗の稀勢の里を破り、存在感を示した。

 もろ差し狙いも右が入らず、最初は攻めあぐねるも「入って力が出た」と押し出しで勝負あり。4勝目に「KY(空気読めない)しちゃったかな? だけどこっちも勝ちたいんだよ。(優勝争いを)盛り下げちゃった」と、6日ぶりの勝利をかみしめた。

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豊ノ島「俺、KYだよなぁ」/初場所

<大相撲初場所>◇初日◇12日◇東京・両国国技館

 東前頭筆頭の豊ノ島(30=時津風)が会心の1勝を挙げた。「俺、KY(空気が読めない)だよなあ。ファンに生卵ぶつけられたりしないかな」。相手は、綱とりを期待される稀勢の里。しかし心配とは逆に、国技館を出るまで約30分、観客からサインや記念撮影を求められ続けた。

 稀勢の里戦は8連敗中。「今日はすぱっと自分の右が入った。硬くなっていたんじゃないですか? 上手も切れたし」。自分が左を差しても相手十分。重点を置いていた右差しを勝因に挙げた。

 稀勢の里が新大関だった12年初場所も4日目に初黒星をつけた。11年名古屋場所に大関とりがかかった琴奨菊との初日でも黒星をつけた。「節目に勝っている。初日の取組を見て験がいいかなと思っていた。完全に俺が空気読めない感じだけど仕方ない。家族もあるし勝ちたいもん」。常に幕内上位の実力者で、今場所は東前頭筆頭。しかし、三役は12年名古屋場所が最後になる。「いいスタートすぎるでしょ。勝ち越して三役」と目標は明確だ。

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