<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級王座決定12回戦>◇20日(日本時間21日)◇米ネバダ州ラスベガス・MGMグランド・ガーデンアリーナ
元WBO世界フライ級王者・中谷潤人(25=M・T)が世界2階級制覇に成功した。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦に出場し、同級1位として同級2位アンドルー・モロニー(32=オーストラリア)とベルトを懸けて争い、12回2分42秒、KO勝ちで王座獲得に成功。計3度のダウンを奪い、12回は強烈な左クロスでモロニーを大の字にさせた。日本ジム所属では史上17人目の世界2階級制覇を成し遂げた。
2回に左アッパー連打からの右アッパーでダウンを奪うと、11回には鮮やかな左ストレートでダウンを追加。最終12回、一瞬かがんでカウンター気味の左オーバーハンドで3度目ダウンを奪取し、とどめを刺した。中谷は「(仕留めた左は)ずっと練習してきたパンチでスムーズに出た。最初のアッパーは感触ありましたが、2度目、3度目は手の感触がないほどスムーズでした」と満面の笑みで振り返った。
2回から右まぶた、おでこをカットしたモロニーに対し、中谷も偶然のバッティングで右みけんをカットするなど、両者ともに流血した展開を最後の最後に左で制し「8、9回ぐらいから(モロニーが)疲労してダメージがあるなと分かっていた。良い舞台を用意してもらい。倒せたので高い点数をあげてもいいかな」と満足げだった。
中学卒業後、単身で米国修行した中谷があこがれ続けてきた「聖地」ラスベガスで世界2階級制覇し、本場のファンにも強烈なインパクイトを残し「(ラスベガスの試合は)すごく楽しかった。良い緊張感で楽しめました。良いパンチを当てると歓声もすごくて気持ち良かった」と達成感いっぱいの表情を浮かべた。
減量苦のために昨年10月にWBO世界フライ級王座を返上した後、WBO世界スーパーフライ級1位にランキング。WBOからは当時の同級王者だった井岡一翔(34=志成)との対戦指令が出された。日本人対決の機運が高まったが、井岡が昨年大みそかにドロー決着となったWBA世界同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)との即再戦を優先させて王座を返上。再度、WBOから同級2位モロニーとの同王座決定戦の指令を受けていた。
同興行のメインには4団体統一ライト級王者デビン・ヘイニー(24=米国)-元3団体統一同級王者ワシル・ロマチェンコ(35=ウクライナ)戦が組まれた世界的にも大きな注目を浴びる舞台だった。米国では前4団体統一バンタム級王者井上尚弥(大橋)に続く“ネクスト・モンスター”とも表現される中谷は「(スーパーフライ級で)統一戦をやりたい気持ちが強いです。チャンピオンなら誰でもいいです。また強い中谷潤人をみせていきたい」とスーパーフライ級での野望を口にしていた。
◇日本ジム所属の複数階級制覇
★4階級=井岡一翔
★3階級=亀田興毅、ホルヘ・リナレス、八重樫東、長谷川穗積、井上尚弥、田中恒成
★2階級=ファイティング原田、柴田国明、井岡弘樹、畑山隆則、戸高秀樹、粟生隆寛、亀田大毅、亀田和毅、京口紘人、中谷潤人

- WBO世界スーパーフライ級王座決定戦でモロニー(左)と対戦する中谷(AP)

- WBO世界スーパーフライ級王座決定戦でモロニー(右)と対戦する中谷(AP)

- WBO世界スーパーフライ級王座決定戦でモロニーを倒して王座を獲得し祝福に応える中谷(AP)

- WBO世界スーパーフライ級王座決定戦でモロニーを倒し王座を獲得した中谷(AP=中央)

- WBO世界スーパーフライ級王座決定戦で中谷(後方)にKO負けを喫したモロニー(AP)

- 日の丸旗を掲げ、ファンの声援に応じる元WBO世界フライ級王者中谷潤人(M・Tジム提供)

- WBOスーパーフライ級王座を懸けて対戦する同級2位アンドルー・モロニー(左から2番目)とフェースオフした同級1位中谷潤人(同3番目)(M・Tジム提供)