ドネアが井上尚弥との再戦熱望「本能呼び戻した」

ボクシングの元5階級制覇王者ノニト・ドネア(38=フィリピン)が、約1年前となる現WBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27=大橋)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝を回顧した。
WBSSを運営するカレ・ザワーランド氏によるポッドキャスト「カレのWBSSハングアウト」エピソード5のゲストとして登場。フィリピンの閃光(せんこう)と呼ばれる元世界王者は「もう1度(井上との試合を)やらなければいけない。それだけだ!」と井上との再戦も熱望した。
昨年11月7日、さいたまスーパーアリーナで開催されたWBSSバンタム級決勝。「本当に恐れはなかった。自分の能力を疑ったことはない。井上が自分をKOできるとは思っていなかった」と振り返るドネアは「自分は他選手と違い、彼を走らせることができた。井上は(2回に)右目上をカットさせた後も素晴らしいパンチを返してきた。良い戦いだったし、本当に楽しかった」と回顧した。
試合は先にドネアが9回に井上をロープ際まで追い込むラッシュをみせたものの、11回は逆にダウンを許した。ドネアは「彼は本当に素晴らしい若き選手だ。リングの中に多くのオプションを持っているファイターだ。ダウン後に立ち上がっても攻めてくることはわかっていたし、自分もやめるつもりはなかった」と12回まで戦い抜こうとしていた当時の心境を口にした。
ザワーランド氏には「9回はKOできる好機だったのでは? W杯決勝でPKを逃したサッカー選手のように頭を悩ませたのでは?」と問われたドネアはこう言った。「おそらく半年間、それは私を悩ませた。しかし(新型コロナウイルスの)パンデミックにより、自分の欠けていたのは『キラー・インスティンクト』(殺し屋の本能)だと気づいた。これまでならできたのに、井上戦ではできなかった。自分は井上戦で自分自身を取り戻した、私のキラー・インスティンクトを呼び戻したと思う」。本来の自分自身を取り戻した状態で、再び井上と拳を交えたい気持ちが強くなった。
WBC世界同級1位のドネアは19日、米コネティカット州アンカスビルで同級4位で前IBF世界同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(28=プエルトリコ)と同級王座決定戦に臨む予定となっている。この勝者が現同級休養王者ノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)との統一戦に臨むことが義務づけられている。
- 井上尚弥(2020年11月19日撮影)
- 井上尚弥(左)のパンチによろけるドネア(2019年11月7日撮影)