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ヘビー級王座統一戦は来春か 簡単には決まらない事情も


 ヘビー級のWBAスーパー王座、IBF王座、WBO王座を持つアンソニー・ジョシュア(28=英)と、WBC王者のデオンタイ・ワイルダー(32=米)の4団体王座統一戦が期待されているが、そんななか両陣営が早くも交渉の駆け引きを始めている。21戦全勝(20KO)のジョシュア、40戦全勝(39KO)のワイルダー。最重量級の英米決戦は来春が濃厚とみられている。

 この3月、統一戦に向けて両者は難関とみられた第一関門を突破した。3日、ワイルダーは元WBA暫定王者のルイス・オルティス(38=キューバ/米)と対戦し、ダウン寸前のピンチを乗り切って10回TKO勝ちを収めた。これで7度目の防衛戦すべてKO(TKO)で片づけたことになる。戴冠試合が判定勝ちだったためデビューからの連続KO勝ちは32で止まったが、世界戦で再び倒しまくっている。身長201センチ、オルティス戦での体重は約97キロと細身の体格だが、パンチにはスピードがあって破壊力もある。以前は耐久力やスタミナに疑問を投げかける関係者やファンもいたが、オルティス戦では両方とも問題ないことを証明した。

 ワイルダーが知名度と評価を上げたのに対し、31日にWBO王者のジョセフ・パーカー(26=ニュージーランド/米)との統一戦に臨んだジョシュアは、勝ったもののアピールに欠ける内容だった。プレッシャーをかけ続けながら危なげなくポイントを稼いだ末の大差の判定勝ちで、豪快なKOを期待したファンは肩透かしをくらったかたちとなった。それでも抜群の安定感をみせており、評価を落とすことはなかった。デビュー戦からの連続KO勝ちは20で止まったが、「ボクシングだから、こういうこともある。大事なのは私が3団体の統一チャンピオンになったことだ。ワイルダー、私と戦おう」とリング上からライバル王者に対戦を呼びかけた。

 両陣営は4団体王座の統一戦に向け下交渉を開始している。現時点で主導権を握っているのは、人気に加え3本のベルトを持つジョシュアだ。すでに報酬に関してはジョシュアが6、ワイルダーが4という比率で分配されることに両陣営が合意しているという。こうしたなか3団体王者陣営は先制打としてWBC王者に1250万ドル(約13億3700万円)の報酬を提示した。これに対しワイルダー陣営は「私たちの見積もりでは5000万ドル(約53億円)の報酬が見込まれているのに、その金額は解せない。私たちを軽視するのならばワイルダーは別の相手と戦うことになる」として、2年7カ月ぶりに復帰する元3団体王者のタイソン・フューリー(29=英)の名前を出してライバル陣営を牽制している。ジョシュア陣営も「提示した条件がのめないのならばジョシュアは別の相手と防衛戦を行う」と、こちらも譲るつもりはなさそうだ。

 ただし、これは両陣営の軽いジャブの交換とみられており、本格的な交渉はこれからということになる。英米対決だけに開催地や放送するテレビ局の問題もあり、そう簡単にスーパーファイトが決まるとは思えない。8月か9月に両者が1試合ずつを挟み、来年3月か4月に頂上決戦が実現、という可能性が最も高そうだ。

宮原健斗を支えるプロレス愛 ホーガン参考に高みへ

宮原健斗(2018年3月25日撮影)


 プロレスの世界でトップに立つ選手には、独特の雰囲気がある。畏敬の念を抱かせるようなオーラと、観客の期待を一身に集めるような存在。そんな選手が、全日本プロレスにも出てきた。3冠ヘビー級王者宮原健斗(29)だ。1番気に入っているのは、宮原がコーナーのロープに足をかけ、観客席に向かって手を耳にあて、歓声をあおるポーズつくる姿だ。

 それが、ある選手のポーズとダブって見えることがある。宮原が最も尊敬し、目標にもしてきた米国のスーパースター、ハルク・ホーガンだ。体格は一回りほど違うが、かつて世界を熱狂させたホーガンのように、宮原も全日本の観客を熱狂させている。

 「子どものころから、ビデオを借りて何回も見てきた。ただのあこがれだったんですが、今、チャンピオンになってホーガンの動きがとても参考になることが分かった。お客さんのじらし方であるとか、お客さんの求めるものに120%応えようとするパフォーマンスとか」。

 福岡の市立福翔高校を卒業して、健介オフィス入り。08年にデビューして今年が10年目となる。14年1月に入団した全日本では、16年2月に26歳11カ月で、史上最年少の若さで3冠ヘビー級のベルトを巻いた。そこから歴代2位の連続8回防衛を達成し、一気に団体のトップを背負う存在になった。

 「全日本の3冠王者は誰でも背負えるものじゃない。オレは、全日本を神様に託された、選ばれた存在だと思っています」と宮原は言い切る。その思いに負けないくらいの練習。練習と食事、寝るとき以外は、ほとんど昔のプロレスのビデオを見るというプロレス愛が、宮原を支えている。

 「全日本をさらなる高みに持って行きますよ。全日本はこんなもんじゃない」。趣味はないと言っていた宮原が、最近は歌手の安室奈美恵に注目しているという。「安室さんのコンサートで、アンコールへの持って行き方とか、マイクパフォーマンスとか参考になりますね」。やっぱり、プロレスのことしか考えていない。【桝田朗】

尾川堅一処分軽減も資格停止6カ月、現役続行を希望

会見を終え深々と頭を下げる、手前から帝拳ジム浜田代表、尾川(撮影・足立雅史)


 昨年12月に米ラスベガスで行われたボクシングのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦で新王者となった尾川堅一(30=帝拳)が、米ネバダ州コミッションから6カ月間の資格停止処分を受けた。19日に帝拳ジムが記者会見を開き、発表した。1月、試合前の薬物検査で2種類の合成テストステロンに陽性反応を示していたことが判明していた。無効試合となり、王座獲得の事実がなくなる。

 尾川は「プロとしての自覚のなさでご迷惑をおかけしました。すみませんでした」と深く頭を下げた。故意ではないと主張も、摂取経路を明確に示せなかった。当初はアトピー性皮膚炎を抑える塗り薬が該当薬ではないかと考えてきたが、証明できなかった。

 米国滞在中の12月5日の検査で陽性反応だったが、テビン・ファーマー(米国)に判定勝ちした同9日の試合後の検査では陰性だった。調査に全面的に協力した経緯なども考慮され、通常1年間の停止処分が半年に軽減され、6月9日に解除される。通常30%の罰金もファイトマネーの20%1万4000ドル(約154万円)に減額された。同州で再び試合を行うには追加の薬物検査は求められる。

 IBF、JBC(日本ボクシングコミッション)からの処分通知は今後となる。尾川は現役続行を望み、「リングに戻りたい。しっかり反省して、2度と起こさないようにする」と険しい表情で決意を述べた。

まさに黄金カード、五輪連覇者同士がプロ王者として世界戦


 9日(日本時間10日)、米国ネバダ州ラスベガスでは尾川堅一(29=帝拳)対テビン・ファーマー(27=米)のIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦が行われるが、同日、ニューヨークでは同じ階級のWBOタイトルマッチがセットされている。プロ3戦目でフェザー級を制覇し、7戦目でスーパーフェザー級王者になったワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ/米)が、2階級下のWBAスーパーバンタム級スーパー王者、ギジェルモ・リゴンドー(37=キューバ/米)の挑戦を受けるのだ。アマチュア時代に五輪連覇を果たした実績を持つレジェンド同士の頂上決戦だ。

 ロマチェンコは08年北京五輪フェザー級、12年ロンドン五輪ライト級で金メダルを獲得しているほか、世界選手権でも2度の優勝実績を持つ。そうした大会での勝利を含めたアマチュア戦績は397戦396勝1敗という驚異的なものだ。唯一の敗北を喫した相手には国際大会で2度のリベンジを果たしている。プロ転向は4年前で、その4カ月半後に世界王座に挑んだが、このときは体重オーバーの相手に惜敗。続く3戦目でフェザー級王座を獲得すると、昨年6月には階級を上げて現在の王座を獲得した。7戦目での世界2階級制覇は井上尚弥(大橋)の8戦目を更新する最速記録だ。

 「ハイテク(高性能)」というニックネームを持つロマチェンコは、単に記録だけの選手ではない。素早く立ち位置を変えながら相手の死角に出て瞬時にパンチを打ち込み、スピードとスキルで圧倒してしまう。豪快なKOで現王座を奪ったあとの3度の防衛は、相手を翻弄したすえ棄権に追い込むという内容だった。見る者の記憶にも残るテクニシャンといえる。10戦9勝(7KO)1敗。

 これに対しリゴンドーは2000年シドニー五輪と04年アテネ五輪のバンタム級で連続金メダリストになり、世界選手権でも2度の優勝を果たしている。アマチュア戦績は475戦463勝12敗。亡命に失敗したためプロ転向が遅れたが、29歳のときに3回TKO勝ちで初陣を飾ると7戦目には現在の王座(当時は暫定王座)を獲得。その後、正王者昇格、WBO王座吸収、スーパー王者への昇格、王座剥奪、返還といったできごとを経て通算10度の防衛を果たしている。

 ロマチェンコと同じサウスポーだが、こちらはライバルほど運動量が多いわけではない。無駄のない動きで間合いを掴んでズバッと斬り落とすタイプだ。自身は打たれ強くはなく何度かダウンを経験しているが、左ストレートの切れ味はロマチェンコのそれを上回っている。18戦17勝(11KO)1無効試合。

 体格はロマチェンコが身長168センチ/リーチ166センチ、リゴンドーが162センチ/173センチと数字上は決定的な差はない。しかし、体のフレームとスーパーフェザー級に馴染んでいる点でロマチェンコにアドバンテージがあることは確かだ。6連続KO勝ちという勢いや若さでもロマチェンコに分があるといえる。こうしたことが反映されてオッズも9対2でディフェンディング・チャンピオン有利と出ている。ただ、これまでにもスター選手との対戦を打診されながら拒んできたリゴンドーが、2階級上のロマチェンコとの対戦に応じたところに矜持と自信をみてとることもできる。

 五輪連覇者同士がプロの王者として世界戦で拳を交える文字通りの黄金カード。はたして勝者として歴史に名を刻むのは-。

村田のライバル、サンダースが敵地で3度目の防衛戦


 WBO世界ミドル級王者、ビリー・ジョー・サンダース(28=英)の3度目の防衛戦が16日(日本時間17日)、カナダのケベック州ラヴァルで行われる。相手は地元の人気者、前IBF同級王者のデビッド・レミュー(28=カナダ)。スピードとテクニックに定評のあるサウスポーのサンダースが敵地防衛を果たすのか、それともKO率80パーセントの強打者、レミューが団体を変えて王座返り咲きを果たすのか。同じ階級のWBA王者、村田諒太(31=帝拳)も注目する一戦だ。

 祖父がベアナックル(素手)の元王者で、父親は元アマチュアボクサーという家系に生まれ育ったサンダースは、08年北京五輪に出場(ウェルター級2回戦敗退)後、09年2月にプロデビューした。同じ英国のライバルたちとのサバイバル戦を勝ち抜き、2年前にWBO王座を獲得。しかし、その後は故障やビジネス上のトラブルなどが相次ぎ、初防衛戦まで1年、さらにV2戦まで9カ月という間延びした試合間隔となった。この間、村田との対戦プランも浮上したが、実現には至らなかった。

 サンダースはサウスポーの技巧派で、右ジャブを突いて間合いを計り、左ストレートから右フックを返す攻撃パターンを持っている。25戦全勝(12KO)という戦績が示すようにパワーには欠けるが、堅実で大崩れしないタイプといえる。

 これに対しレミューは、デビューからの20連続KO勝ちを含め41戦38勝(33KO)3敗というレコードを残しているハードパンチャーで、カナダでは絶大な人気を誇る。15年6月には、のちに村田と2度拳を交えるアッサン・エンダム(33=カメルーン/仏)との王座決定戦で4度のダウンを奪って判定勝ち、IBF王座を獲得した。この王座はWBA&WBC王者(当時は暫定王者)ゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)との統一戦で8回TKO負けを喫して失ったが、その後は4連勝(2KO)と復調している。

 総合的な戦力ではサンダースが勝るものの敵地での試合ということで、王者は得意とはいえない積極的な試合運びが求められることになりそうだ。打撃戦はレミューの望むところだが、力んで得意の左フックが空回りするようだと見栄えの悪い展開になりかねない。予想は判定でサンダース、KOでレミューといったところか。オッズはサンダース有利ながら10対9と接近している。挑戦者のレミューは「エンダム以上、ゴロフキン以下」という位置づけにある。そのレミューとサンダースがどんな戦いをしてどんな結果が出るのか。WBO王者とWBA王者の村田との間接的な力関係を推し計る意味でも興味深いカードだ。

ワイルダーかオルティスか ヘビー級無敗対決に注目


 3月3日(日本時間4日)、米国ニューヨークのバークレイズ・センターで行われるWBC世界ヘビー級タイトルマッチが注目を集めている。3年間に6連続KO防衛を果たしているデオンタイ・ワイルダー(32=米)に、「キングコング」の異名を持つ元WBA暫定王者、ルイス・オルティス(38=キューバ/米)が挑む一戦だ。ワイルダーが39戦全勝(38KO)、サウスポーのオルティスが30戦28勝(24KO)2無効試合。KO決着が約束された試合といえる。

 身長201センチ、体重104キロ前後という細身のワイルダーは、アマチュア時代には08年北京五輪ヘビー級(91キロ以下)で銅メダルを獲得している。その3カ月後にプロに転向し、いきなり32連続KO勝ちを収めて注目された。慎重なマッチメークの助けがあったことは事実だが、すべて4回以内に倒してしまったのだから驚きだ。長身から打ち下ろす右ストレートに一発KOの威力を秘めている攻撃型で、スピードもある。相手がダメージを受けたと察知したら荒っぽい左右のフックを叩きつけて倒してしまう。世界王座を獲得した試合で初めて12回の長丁場を経験したが、スタミナも問題なかった。その後、6度の防衛を重ねてきたが、どの試合もジャッジの手を煩わせることなくKOで終わらせてきた。

 対するオルティスは選手層の厚いキューバで368戦349勝19敗という豊富なアマチュア・キャリアを積み、30歳でプロに転向した。15年にWBA暫定王座を獲得したが、プロモーターとの摩擦などもあって1年足らずで返上。以来、王座挑戦の機会を待ち続けてきた。本来ならば昨年11月にワイルダーに挑むはずだったが、自身のドーピング違反のためキャンセルになり、今回、あらためて挑戦することになった。こちらもヘビー級を代表する強打者だが、単なる一発屋ではなく、タイミングのいいカウンターなど攻防両面のテクニックを備えたサウスポーの万能型といえる。

 試合が決まった当初のオッズは7対4(ワイルダー有利)と接近していたが、試合が近づくにつれて差が開き、試合10日前時点では11対4となっている。ワイルダーの勢いやオルティスの年齢が数字に反映されているのかもしれない。

 しかし、無敗同士、しかも100キロを超す最重量級の強打者同士のカードだけに、一発でけりがつく可能性もある。予断は禁物といえる。10月に33歳になるワイルダーは3月3日の決戦を控え、「3に縁があるので、試合も3回ぐらいで終わるだろう。もっと早いかもしれない」とKO宣言している。オルティスも「ワイルダーはお喋りが過ぎる。私を倒すって? やってみればいいさ。逆に彼がキャンバスを這うことになるだろう」と舌戦でも譲らない。

 現在、ヘビー級はワイルダーとオルティス、WBAスーパー王座とIBF王座を持つアンソニー・ジョシュア(28=英)、そしてWBO王者のジョセフ・パーカー(26=ニュージーランド/米)が4強といわれている。年内に期待される最終統一戦に向け、3月31日(日本時間4月1日)にはジョシュア対パーカーが組まれている。今回のワイルダー対オルティスは、準決勝第1試合という位置づけにあるわけだ。

 ワイルダーの右ストレートが炸裂するのか、それともオルティスの左カウンターが先に命中するのか-。

ベストパンチは?「神の左」山中慎介が答えたKO劇


 選手が現役生活を引退する時にしか聞けない質問がある。

 「ベスト○○はなんですか?」

 試合や大会が主だが、終わりを迎えていない段階では更新中で総括は適さない。だから引退会見という場では、必ず聞かれることになる。

 26日に都内のホテルで会見を開いたプロボクシングの元WBC世界バンタム級王者山中慎介さん(35)の場合は、「ベストパンチ」だった。世界戦で31回のダウンを生み出してきた通称「神の左」。そのストレートで、日本歴代2位の世界戦連続防衛12回を成し遂げた男の答えは…。

 「迷いなくV2のロハス戦ですね。あの最後の1発。あれがあるからこそ、常にこれくらいのKOしてやろうという思いで調整してこれましたし、あのKOは本当に自分にとっても後援会にもファンにも記憶に残っている試合だと思ってます」

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 7回、左ストレートでトマス・ロハス(右)をKOした山中慎介(2012年11月3日撮影)

 2012年11月3日、ゼビオアリーナ仙台、元世界王者トマス・ロハス(メキシコ)を迎えた2度目の防衛戦。左ストレート2発などで7回36秒TKO勝利。ロハスは失神し、そのまま病院に送られた衝撃の試合だった。

 翌4日付の弊紙には「左コークスクリューで失神病院送り」「ホセ・メンドーサだ」「劇画的KO」の文字が躍る。試合を決めた1発は、パンチが当たる瞬間に手首を内側にひねり込む「コークスクリューパンチ」。漫画「あしたのジョー」で矢吹ジョーと対戦した最強王者ホセ・メンドーサも武器にした必殺パンチで、ロハスはその場で失神し、前のめりに頭から崩れ落ちた。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 7回、トマス・ロハス(右)を前のめりに倒し、KO勝ちを飾った山中慎介(2012年11月3日撮影)

 この日、山中が登場する前、会場内には防衛戦の映像などが映し出されたが、集まった報道陣、関係者約150人以上から「おおー」と感嘆の声が上がったのはやはりロハス戦。衝撃シーンはいま見ても、何回見ても鮮烈だ。それは放った本人も同様だった。

 「あれくらいのKOしてやろう」。とてつもなく高いハードルを自分に課すことになったが、次戦から4連続KO勝利、さらに試合内容でも「劇画的」なダウンシーンを量産した。

 会見の最後、その左拳にかける言葉を聞かれると、こう言った。

 「強かったよ、と。まあまあ強かったんじゃないですか(笑)」

 謙遜するところがらしさだが、「まあまあ」なんてとんでもない。間違いなく漫画的とも言えるくらい、とてつもなく強かった。【阿部健吾】

引退会見を行った山中慎介さんは神の左と呼ばれた手をじっと見つめる(撮影・松本俊)

仙台女子岩田美香、赤金コスチュームで「絶対勝つ」

新コスチュームを披露する仙女・岩田(撮影・高橋洋平)


 仙台女子プロレスの岩田美香(21)が今日19日、新コスチュームで時間無制限で行われる木村花(20=レッスル1)戦(後楽園ホール)に挑む。前回の3月11日新宿大会では20分で決着がつかず「もう崖っぷち。ここで勝たないと。勝ちたいじゃなくて、絶対勝つ」と意気込む。

 現状を打破するため、2月にリングネーム「白姫美叶」を返上し、本名に戻した。美しい外見の一方で、実際は私服が黒一色で性格は男そのもの。好物の「にんにくチューブ」をそのまま吸う豪快な一面もあり、「正直、今まで名前に踊らされていた。今は素の自分を出せる。女らしさで売り出しているけど、あえて男臭さ、泥臭さを見せたい」と開き直る。

 さらにコスチュームは白を基調としたものから、大胆に赤と金を使用したデザインに変更した。「気持ちを高めるためにもゴージャス感を出したかった。あとは勝つだけ」。大一番用に「三角蹴り」を新たにマスター。木村の顔面に得意のキックをたたき込み、己の殻を破る。【高橋洋平】

グレート小鹿サンマルチノさん悼む「雲の上の存在」

グレート小鹿(2017年5月10日撮影)


 ジャイアント馬場さん(故人)のライバルで知られたブルーノ・サンマルチノ氏の死去を受け、親交があったプロレスラーが19日、故人をしのんだ。

 「人間発電所」の異名をとったサンマルチノ氏は1967年に初来日し、馬場さんと名勝負を繰り広げた。米国ではWWWF(現WWE)のヘビー級王者として、人気を博していた。

 現在、大日本プロレスの会長を務めるグレート小鹿(75)は「1967年ごろ、米国のナッシュビルでサンマルチノさんに声を掛けられたんだよ。『ハイ、ジャパニーズボーイ、ニューヨークに来ないか』。武者修行に行った米国で各地を回っている時で、こちらはまだ若手だったけど、当時、米国での人気はすさまじく、雲の上の存在だったから、声をかけられてビックリしたよ」と振り返る。穏和な素顔とは対照的に、レスラーとしてはカリスマ性があった。「ニコニコしていたけど、リングに向ける目は厳しかった。選手をスカウトするときの目は怖かったのを覚えていますよ」と話した。

 全日本プロレスの渕正信(64)は「馬場さんの大親友で、1990年5月の馬場さんの追悼大会に来日したのが最後だったかな。馬場さんが亡くなる前に、サンマルチノからキャデラックをプレゼントされて、馬場さんは新車を買っても、そのキャデラックを友情の証しとしてずっと所有していた」と思い出を語った。

 渕はサンマルチノ氏の息子デビッドのデビュー戦の相手も務めた。「外国人の中でも、ルー・テーズと並ぶ紳士だった。いつも笑顔を絶やさなかった。1975年だったか、オレが若手のころに、一緒に麻布十番のジムに行ったんだ。そこで、ベンチプレスをいきなり100キロから挙げた。オレらは20キロか30キロぐらいから始めていたのに。最後は200キロを挙げて、見物に来ていた人たちがビックリしてね。そのときもニコニコしながらバーベルを挙げていたね」と故人をしのんだ。

この春注目 風雲急を告げるバンタム級トップ戦線


 ルイス・ネリ(23=メキシコ)の計量失格とWBC王座剥奪、そして資格停止処分、山中慎介(35=帝拳)の2回TKO負けと引退表明。その5日後には井上尚弥(24=大橋)が3階級制覇を狙って転向-と、このところ53・5キロを体重上限とするバンタム級に関する話題が目立つ。これらは日本関連のニュースだが、世界をみてもこの階級は風雲急を告げる状況になっている。

 主要4団体のうちWBCはネリの王座剥奪にともなって空位になり、IBF王座も3月5日発表のランキングで空位になった。これはWBAスーパー王者でもあるライアン・バーネット(25=英)がIBF王座を返上したためだ。この2団体の王座決定戦は現時点では決まっていない。バーネットは3月31日、元WBA暫定王者のヨンフレス・パレホ(31=ベネズエラ)を相手に自国でWBAスーパー王座の防衛戦を行うことになっている。パレホ(24戦21勝10KO2敗1分)は軽量級の層が厚い中南米で活躍している実力者だが、18戦全勝(9KO)と勢いのあるバーネットに相手国で勝つのは難しいとみられている。

 WBAのレギュラー王座にはジェイミー・マクドネル(31=英)が君臨している。14年5月の戴冠から4年近い在位を誇り、この間に6度の防衛を果たしている安定王者だ。バンタム級では珍しい178センチの長身ボクサーで、WBO王者だった亀田和毅(26=現協栄)にも2度競り勝っている。戦績は33戦29勝(13KO)2敗1分。このマクドネルに5月25日、東京・大田区総合体育館で挑むことになったのが井上だ。プロ6戦目でライトフライ級、8戦目でスーパーフライ級王座を獲得した「モンスター」は、15戦全勝(13KO)と飛ぶ鳥を落とす勢いにある。長身王者の懐に潜り込んで左ボディブロー一閃、鮮やかなKO勝ちで3階級制覇、という映像が目に浮かぶようだ。オッズも7対1で井上有利と出ている。

 こうしたなかWBAは4位のステファン・ヤング(29=米 20戦17勝7KO3分)と、5位のレイマルト・ガバリョ(21=比 18戦全勝16KO)に挑戦者決定戦を命じている。試合は今月23日、米国フロリダ州ハリウッドで行われると予定だ。

 WBO王座にはゾラニ・テテ(30=南ア)が君臨している。この長身サウスポーは昨年11月の初防衛戦で11秒KOという世界戦史上最短KO勝ちを収めた強打者だ。バンタム級では井上の最大のライバル的存在といっていいだろう。4月21日に英国で元2階級制覇王者のオマール・ナルバレス(42=亜)を相手にV2戦に臨む。技巧派サウスポーのナルバエスは14年12月、井上に4度のダウンを奪われて2回KO負けを喫したが、以後は5連勝(2KO)を収めている。この試合で間接的に井上とテテの力関係を計ることができそうだ。テテは29戦26勝(21KO)3敗、勝てば3階級制覇となるナルバエスは52戦48勝(25KO)2敗2分。

 3月23日=ヤング対ガバリョ、3月31日=バーネット対パレホ、4月21日=テテ対ナルバエス、そして5月25日=マクドネル対井上。この春はバンタム級トップ戦線から目が離せない。