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天風「関取の命」汚され涙と怒り、ファンも分別を

天風(写真は2017年5月21日)

 必死に笑顔を取り繕うとしていた。それでも、心の中は怒りに震え、悲しさのあまり、泣きじゃくっていた。

 大相撲の夏巡業が佳境に入っている。久々の相撲人気を反映して、どの会場も満員御礼の盛況ぶりだ。本場所同様、やっとのことでチケットを入手したファンも多いだろう。それも地方巡業とあれば、年に1日、巡業ならではの力士を至近距離で見ることができるチャンス。記念撮影にもサインにも、力士は気さくに応じてくれる。だからファンが熱狂するのも分かる。ただ、それが度を超してしまっては、お互いが悲しむ結果になる。

 「これですよ。見てください」。悲しそうな表情でそう話すのは、十両の天風(26=尾車)だった。見れば、化粧まわしに付けられた黒いサインペンの跡。今月11日に開催された山形・上山市巡業の支度部屋で、普段は愛嬌(あいきょう)たっぷりに報道陣へのリップサービスには事欠かない天風が、うなだれていた。ファンへのサービス精神も角界屈指の旺盛な男が…。

 聞けば今巡業中、十両土俵入りに備え会場入りし、ファンが求めるサインに応じている際に、押し寄せるファンが持つサインペンが、化粧まわしに触れて付けられたという。もちろん、そのファンが故意に、落書きしたのではない。弾みで起きたアクシデントだ。それは分かっているが、関取の象徴ともいえる化粧まわしに、もう消しようもない痕跡を付けられた当事者としては、たまったものではない。

 「関取にとって命なんです。お金には換えられない、世界に1つしかない逸品なんです。応援してくれる、いろいろな人たちの思いが、この化粧まわしに込められているんです。ファンの人には気持ちよく相撲を見て『ああ、来て良かったな』と思って帰ってもらいたい。だから自分たちは、握手でもサインでも写真でも、気持ちよく応じているんです。お互いに、いい気持ちのまま、お別れしたいんですよ」

 悲痛な心の叫びの、ほんの一部分だ。1本100万円するといわれる化粧まわしだが、お金の問題ではない。それでも、ファンあっての相撲界をわきまえている天風は、こんな悲しい出来事があっても、ファンの求めには応じるという。ただし、化粧まわしを締めているときのサインだけは応じない、という。

 実は、化粧まわしにサインペンの跡を付けられた、この手の「被害者」は、天風にとどまらず何人かいる。その中には、もうファンサービスには応じたくないという力士もいると聞く。人気があるのは喜ばしい限り。ただ節度だけは、わきまえたいところ。力士はアイドルとは違う。相撲には「粋」の良さがある。その分別はファンにも求められる。【渡辺佳彦】

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井上尚弥、山中V13失敗に決意「自分が引っ張る」

気迫のこもった表情でミットに打ち込む井上

 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が日本ボクシング界のけん引役になる覚悟を示した。17日に横浜市内のジムで、6度目の防衛戦(9月9日、米カリフォルニア州)へ練習を公開。同級7位アントニオ・ニエベス(米国)を迎える米国デビュー戦に「重要な一戦だと理解しています」と口元を引き締めた。

 先月長くボクシング界の顔役だった内山、三浦が引退。15日の世界戦では山中が13度目の防衛に失敗した。1つの時代は移り、新世代の若き王者も誕生している。「自分の立ち位置は分かっている。デビューが19歳でいま24歳ですから、自分が引っ張っていく気持ちはある。盛り上げていかないといけない」と自覚を述べた。

 その格好の舞台として米デビュー戦が待つ。本場ファンへの衝撃こそ、日本ボクシング界のPRにもなる。「日本の選手がそのステージに立つことにもつながる」と後進のためにも、圧巻のKO劇を見せる。

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村田諒太「6回KO」メイウェザー対マクレガー占う

メイウェザーを真似たポーズをする村田

 元世界5階級王者フロイド・メイウェザー(40=米国)と総合格闘技団体UFCで2階級を制したコナー・マクレガー(28=アイルランド)がボクシングルールで戦うスーパーウエルター級12回戦(8月26日、米ラスベガス)を独占放映する「DAZN(ダ・ゾーン)」が18日に都内でPRイベントを開き、ボクシングのWBA世界ミドル級1位村田諒太(31=帝拳)が展開を予想した。「格闘技界全体が盛り上がる試合。個人的にはウエルカム、うれしいニュース」と切り出し、超異例の一戦を占った。

 結論は「メイウェザーの中盤KO、もしくはTKO勝ちですね」。ボクシングルールのアドバンテージを重く見て、驚異のディフェンス力を持つ49戦無敗の「マネー(金の亡者)」に軍配を上げた。「ラグビーの選手がバルセロナとサッカーで試合をしろと言っているようなもの」と例えた。

 詳しい攻防予想は…。「序盤はマクレガーがラフなパンチで(見ている人は)『おおー』となるかもしれませが、見切ったメイウェザーがパンチを次々に当て始め、中盤に倒す」と見込んだ。逆にマクレガーから見れば、勝つチャンスは序盤にしかないとも言える。「メイウェザーのブランクが2年間あるので、試合勘の部分でどうか。そこにチャンスはあるかも。いかに勝負をかけられるかだと思う」と見越した。

 メイウェザーに同じボクサーとしての思いもある。「ここで負けてくれるなよと思う。パッキャオ、デラホーヤに勝ってきているわけですから。UFCの選手に負けたら何をやっているんだメイウェザー、となりますよね」と期待した。

 試合は「DAZN」で日本時間27日午前10時から独占生中継される。

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時差調整OK!亀海喜寛がWBO世界戦へ米国入り

現地入りした亀海はサムアップポーズをみせる(提供=帝拳)

 8月26日(日本時間27日)に米カリフォルニア州でボクシングのWBO世界ウエルター級王座決定戦に臨む同級5位亀海喜寛(34=帝拳)が20日(同21日)、米国入りした。

 元4階級制覇王者の同級1位ミゲル・コット(プエルトリコ)に挑む過去日本人最大級のビッグマッチ。

 海外での豊富な試合経験から時差調整を重要視して渡米したが、「機内では予定通り1時間ほどの仮眠に抑えたので眠気が襲ってきています。今夜は熟睡できそうですし、この調子で徐々に時差も解消できると思います」と計画通りに過ごせた様子。この日は軽く動かし、翌日から現地での最終調整に入る。

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高安「汗かきますね」三番稽古のちキャッチボール

マイグラブでキャッチボールする大関高安

 大相撲の夏巡業は19日、札幌市で行われ、大関高安(27=田子ノ浦)が幕内錦木と、時間の関係でストップがかかるまで計16番の三番稽古を行った。

 前日は阿武咲と相撲を取るなど横綱、大関陣でただ1人、連日の稽古。「自分はやらないとダメになる。どんな状況でもやらないと、巡業の生活リズムが悪くなる」と当然のように話した。支度部屋でも貴ノ岩らとキャッチボールに興じて「汗かきますね」。力が有り余っている様子だった。

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亀海喜寛「絶対に超えたい」世界初挑戦は王者コット

成田空港から田中繊大トレーナー(左)と渡米した亀海喜寛(撮影・河合香)

 ボクシングのWBO世界スーパーウエルター級5位亀海喜寛(34=帝拳)が20日、世界初挑戦へ向けて成田空港から渡米した。26日に米カリフォルニア州カーソンで、元4階級制覇王者の同級1位ミゲル・コット(36=プエルトリコ)との王座決定戦に臨む。20歳の頃に、コットが王者になるからあこがれだったヒーローとの激突で、大番狂わせを狙う。

 3月には対戦の話が出たことで「長い時間ハードトレができた。いつもの試合よりもしっかり準備ができた」と話す。日本より遅い時間ゴング予定に、ロードワークは夜にこなし、睡眠も遅くして調整してきた。「前回うまくいった」という時差ぼけ対策もある。機中は寝ずに過ごし、到着後も夜まで寝ないという。「我慢して気合で寝ない」。海外経験も豊富で準備には抜かりないが、試合も我慢と気合の戦いになるはずだ。

 海外で名を上げていった亀海だが、キャリアでは圧倒的に劣る。「フルアクションでプレッシャーをかけ、気持ちを折ることしか考えていない。厳しい試合になる。激しい試合でないと勝ち目はない。ラッキーは当てにしない」と闘志を秘める。

 33戦目で世界初挑戦となるが「ベルトはとったらうれしい。魅力だが、価値観がかわってきた。ビッグネーム、ビッグマッチに勝ちたい。コットに勝つことが大きい。絶対に超えたい」と決意を披露し、田中トレーナーとともに機上の人となった。

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村田諒太が地獄の走り込み!元王者粟生の同伴に感謝

ゴルフ場でのトレーニングでダッシュする村田(右)と粟生

 ボクシングのWBA世界ミドル級1位村田諒太(31=帝拳)が、走り込みキャンプに突入している。

 同級王者アッサン・エンダム(33=フランス)に5月には物議を醸す判定負けとなったが、10月22日に東京両国国技館で直接再戦する。11日には千葉・成田市内で、のキャンプを公開した。

 村田は3日に世界再挑戦を発表後、7日からキャンプに突入している。前回の世界初挑戦時は沖縄の平地だったが、今回はアップダウンの激しいゴルフ場で強度も増している。開始前には中村正彦コーチから「前回勝てなかったのだから、今回はもっと厳しくする」と通告された。村田は「ハイと言うしかない。毎回、あと何回練習と数えてます」と苦笑いする。午前は10キロ走、午後はダッシュ中心とメニューは同じでも、本数やタイム設定が上がった。

 「まずはベースの基礎作り。足腰に負担かけ、心肺機能も高まる。追い込んで乗り切れば、メンタルも鍛えられる。自信を持ってスパーリングにも入れる」と、14日まで走り込む。ジムメイトの元世界2階級制覇王者粟生隆寛(33)が今回のパートナー。5戦目で初めて判定、世界初挑戦はダウン奪うが判定負け、直接再戦で王座奪取と、村田は「同じで聞けることもあり、心強くありがたい」と、先輩の同伴を歓迎した。

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田中恒成、新愛称“ドリームボーイ”に「好きです」

 デビュー8戦で日本最速タイの世界2階級王座を手にしたWBO世界ライトフライ級王者田中恒成(22=畑中)が21日、同級13位パランポン・CPフレッシュマート(32=タイ)との2度目の防衛戦(9月13日、エディオンアリーナ大阪)に向け、名古屋市内の同ジムで練習を公開した。

 シャドーボクシングで体をほぐした後、フィリピンから招いたパートナーと4ラウンドのスパーリングを実施。「疲労がたまってくる時期ですが、そうでもない。調整は順調です」と言う通り、軽快な動きを見せた。

 2度目の防衛戦は、その先を見据えたステップボードだ。猛烈アピールしてきたWBA世界ライトフライ級王座田口良一との統一戦。5月20日の初防衛戦後、マイクを握ってリング上に田口をまねき上げて“了承”をもらい、畑中清詞会長からもGOサインを受け取った。それだけに絶対につまずけない戦いになる。

 「油断じゃないけど、オレが勝って当たり前というムードがあって、それに見合った結果を残せるか。そこに意義がある。最低条件がKO。自分の思い通りの試合がしたい」と語った。

 5度目の世界戦にして初めて、TBS系で全国中継される。従来の異名「中京の怪物」も「いいか、嫌かと言えば、嫌。まあ昔はそうでもなかったんですが…」と“卒業”する。ただ、強豪ボクサーにはつきもののキャッチコピーは「あればうれしい」と歓迎で「スピードに関連するようなものがあれば」という。ならばと、畑中清歌会長(50)は「僕は前から言ってるけど“ドリームボーイ”です。夢の5階級制覇を狙うんやからね」。田中は「う~ん、嫌じゃない。好きですよ」。“中京の怪物”あらため“ドリームボーイ田中恒成”が、満を持して全国デビューを飾る。

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本田会長がタオル投入の判断に「最悪なストップ」

4回、レフェリーが試合を止め、悔しそうな表情を見せる山中(左)(撮影・渦原淳)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇京都・島津アリーナ京都

 WBC世界バンタム級王者の山中慎介(34=帝拳)が金字塔を前にして散った。挑戦者で同級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)に4回2分29秒、TKO負けでプロ初黒星を喫した。

 帝拳ジムの本田会長は4回のタオル投入について「(トレーナーの)個人的な感情が入った。最悪なストップ。耐える展開は予想通り。トレーナーも分かっていたはず」と述べ、陣営内での判断のズレを認めた。帝拳プロモーションの浜田代表は「俺の指示不足かな。山中は効いてなかった」と複雑な表情だった。また、山中の去就について、本田会長は「分からない。負けたら引退だと思ってやってきた。本人次第」と話すにとどめた。

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山中30戦目初黒星に涙、苦しみ悩み葛藤の防衛期間

4回、ネリ(左)の左ストレートを浴びる山中(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇京都・島津アリーナ京都

 WBC世界バンタム級王者の山中慎介(34=帝拳)が金字塔を前にして散った。挑戦者で同級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)に4回2分29秒、TKO負けでプロ初黒星を喫し、世界戦連続防衛は12回でストップ。具志堅用高が80年に樹立した13回の日本記録に並ぶことはできなかった。「神の左」を武器に戦い続けた長い防衛ロードが終わりを告げた。戦績は30戦27勝(19KO)1敗2分けとなった。

 ロープを背負い、上体を必死に動かして、山中は左拳を握った。4回終盤。ネリの連打を浴びながら、1発、2発、3発、左ストレートを打ち返した。ただ、挑戦者を後退させることはなかった。「自分は大丈夫だと思っていたが、セコンドを心配させた。止まってしまった」。15秒もロープ際で耐えて立ち続けたが、赤コーナーからタオルが舞った。

 「いける」。リングで向き合った時、いつも通りの直感は走った。ジャブも切れた。左ストレートも打ち込めた。誤算は4回の一瞬の判断。戦略では足を使い連打をかわすはずが、ヒョウの愛称を持つネリの獲物を捕食するような素早い追い足で詰められた。「もう少し足を使ったら、心配させなかった」と悔やんだ。

 喜怒哀楽が詰まった長い防衛期間だった。「サラダを食べているみたいだ…」。11年11月から王座を保持してきたが、虚無感に襲われたのはV8サンティリャン戦後。格下のアルゼンチン人にKO勝ちも食べ応えがない。試合後のホテルのベッドで膝を抱え、「おれは何をやっているんだ」と深く沈んだこともあった。

 KO防衛を重ね、海外進出を描いた。強い相手、実力に伴うビッグマッチを求めた。ただ、状況が許さない。バンタム級は流動期。他団体にも絶対的王者がいない。「踏み台にできる選手がいなかった」。かつ、KO量産に対戦を避けられた。次戦の相手を聞いて、がっくりと肩を落とすこともあった。その極限がサンティリャン戦だった。

 苦悩の中、救われたのは、応援してくれる仲間がいたから。勝ち続け、故郷の滋賀と東京で後援会は大きくなった。会員は約1500人。日本最大級。「国内でこれだけ多くのお客さんが来てくれて、気持ちよくやらせてもらっている」。今回も約3300人が駆けつけた。ふくらむ期待感と使命感。いつしか海外の希望は消え、声援を背に戦う生きがいが満ちた。

 37年前の記録には届かなかった。涙はリングを下りて30分以上たってもこみ上げた。「多くの方の期待に応えられず…」。会見の最後、そう言うと目頭を押さえた。それだけ思いは大きかった。30戦目での初黒星。今後は分からない。「何も考えられない」とだけ言い、仲間があふれた会場を去った。【阿部健吾】

 ◆山中慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀・湖南市生まれ。南京都高1年でボクシングを始め、3年時の国体で優勝。専大ボクシング部で主将。06年1月プロデビュー。10年6月に日本バンタム級王座、11年11月にWBC世界バンタム級王座獲得。家族は妻と1男1女。身長171センチの左ボクサーファイター。

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