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英雄パッキャオが牽引、更に勢い増すフィリピン旋風


 フィリピンのボクサーというと、ほとんどの人は6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(39)を真っ先に思い浮かべるだろう。その英雄に引っ張られ、このところ同国出身の軽量級選手たちの奮闘が目立つ。24日(日本時間25日)には3階級制覇の実績を持つドニー・ニエテス(35)と、元2階級制覇王者のブライアン・ビロリア(37)が米国カリフォルニア州イングルウッドで揃って世界戦のリングに上がる。ニエテスはIBF世界フライ級王座の初防衛戦、ビロリアはWBA世界フライ級王座決定戦に臨む。さらに3月1日には岩佐亮佑(28=セレス)の持つIBF世界スーパーバンタム級王座に同級13位のエルネスト・サウロン(28)が挑戦することになっている。さらなるフィリピン旋風が巻き起こるか。

 21世紀に入ってから、フィリピンのボクシング界は米国で大成功を収めたパッキャオに牽引されてきたといっていいだろう。パッキャオは無名の状態で渡米し、並み居る強豪をバッタバッタと倒してスーパースターの座に上り詰め、3年前のフロイド・メイウェザー(米)戦では約140億円を稼いだほどだ。

 これに続いたのがノニト・ドネア(35)だ。貧しい環境で育ち少年時代に家族で米国に移住していたドネアは、フライ級からフェザー級までの5階級で世界王座を獲得。「フィリピンの閃光」として一時代を築いた。

 24日の試合に出場するニエテス(45戦40勝22KO1敗4分)はミニマム級とライトフライ級で王座についたあと、昨年4月にフライ級王座も獲得。パッキャオ、ドネアに続いてフィリピン人として3人目の3階級制覇を成し遂げた。今回の初防衛戦では元ライトフライ級、フライ級王者のファン・カルロス・レベコ(34=亜 42戦39勝19KO3敗)の挑戦を受ける。レベコは3度の来日経験があり、井岡一翔(井岡)には2敗しているものの世界戦だけで17戦14勝(8KO)3敗という戦績を残している強豪だ。接戦が予想されるなか、ニエテスは王座を守ることができるか。

 ビロリア(45戦38勝23KO5敗2無効試合)は井岡が返上して空位になったWBA世界フライ級王座をアルテム・ダラキアン(30=アゼルバイジャン/ウクライナ 15戦全勝11KO)と争う。ビロリアはハワイ生まれだが、両親がフィリピン人で自身も生後9カ月から5歳までフィリピンで過ごしたことがある。ライトフライ級とフライ級で世界一になった実績を持ち、勝てば5年ぶりの返り咲きとなる。

 フライ級では今月4日に15連続KO勝ちを収めたばかりの比嘉大吾(22=白井・具志堅)がWBC王座に君臨している。統一戦を熱望している比嘉は24日に行われるライバルたちの試合を観戦することになっており、結果と交渉しだいではニエテス、あるいはビロリアとの対戦が現実味を帯びてきそうだ。

 その4日後にはサウロン(24戦21勝8KO2敗1分)が岩佐に挑む。スピードとテクニックを併せ持つ王者にどこまで迫ることができるか。予想は岩佐有利だが、サウロンの攻撃力は侮れない。

 前後するが、今月3日にはIBF世界スーパーフライ級王者のジェルウィン・アンカハス(26)が米国で4度目の防衛戦を行い、10回TKO勝ちを収めたばかりだ。さらに4月にはパッキャオが米国、ドネアが英国のリングに上がる予定になっている。フィリピン勢の活躍は、しばらく続きそうな気配だ。

比嘉大吾が目指す羽生、小平の「すばらしい」強さ


 19日に都内ホテルで行われたボクシングの世界戦発表会見で、WBC世界フライ級王者比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)を鍛え上げる名物トレーナー、野木丈司氏(57)に話を聞いた。

防衛戦が決まりポーズをとるWBC世界フライ級王者の比嘉大吾(2018年2月19日撮影)

 「羽生さん、小平さん、ああいうすばらしさに近づきたいですよね」。

 4月15日に横浜アリーナで愛弟子が挑む同級2位クリストファー・ロサレス(23=ニカラグア)との防衛戦に向けた調整について質問を向けると、いの一番にそんな感嘆が返ってきた。

 前日18日に平昌五輪スピードスケート女子500メートルで小平奈緒が金メダルを獲得したばかり。17日にはフィギュアスケート男子で羽生結弦が66年ぶりの2連覇を成し遂げた。

 同氏は元プロボクサーながら千葉・佐倉高時代は陸上部に在籍。シドニー金メダリストの女子マラソン高橋尚子らを育てた小出義雄監督の薫陶を受けた。五輪を観戦しているのは五輪競技(ボクシングはアマチュアが参加)出身の出自もあるだろうが、すごく視野が広く、比嘉の強さの源を感じた。

野木丈司トレーナー(左)と二人三脚でフィジカルトレに臨む比嘉大吾

 というのは、その「すばらしさ」についてこう続けたから。「全体的な強さがある。だからああいう状態でも勝てるんですよね」。それは右足首の負傷で試合は4カ月ぶりのぶっつけだった羽生を指した言葉で、「それがあるから自信もあるし、動きも美しくなると思うんです」と25連勝とした小平のスケーティング技術にも対象を向けた。そして、「大吾も最近の発言をみるとね…」。

 比嘉は2月4日に37年ぶりとなる故郷沖縄での世界戦で、1回KOで日本記録に並ぶ15連続KO勝ちで防衛に成功した。その時を振り返り、「『調子悪くても自分の方が少し上』と言っていたでしょう。いいですねえ、あれは」とニッコリした。「勝負の舞台では100%の力を出せないものですよね。ただ絶対的な力量差があれば、それでも相手を封じ込めることはできる。本人も(普段から)猛練習している意味を理解しているのかな」。猛烈な練習の意図を自然と体得していそうな教え子の発言だった。

15連続KO勝ちで防衛に成功した比嘉大吾(左)は具志堅用高会長と笑顔を見せる(2018年2月4日撮影)

 次戦は日本新記録の16連続KO記録がかかる。試合間隔2カ月にも、比嘉は「何の問題もない。1回から12回のどこかで必ず倒す」と意に介さない。「すばらしい」強さでの快勝を期待したい。【阿部健吾】

ノア杉浦貴、拳王にフォール勝ち ベルト奪取へ弾み

3・11横浜大会のGHCヘビー級選手権前哨戦で王者拳王にフォール勝ちした杉浦貴

<プロレスリングノア:後楽園大会>◇22日◇後楽園ホール


 GHCヘビー級選手権の前哨戦で、挑戦者の杉浦貴(47)が王者拳王(33)にフォール勝ちし、ベルト奪取へ弾みをつけた。

 セミの3WAY戦で、清宮海人を交え対戦も、清宮は眼中になく、2人は激しい攻防を展開した。終盤、拳王がペースをつかみ、杉浦の上に清宮を重ね、その上からジャンピング・フットスタンプ。さらに、蹴暴(PK)で勝負あったかに思われたが、杉浦は、一瞬のすきを突き、フランケンシュタイナーから拳王を丸め込み、11分15秒、勝負を決めた。

 杉浦は「おい、チャンピオン。びっくりしたよ。こんなに簡単に負けてよ。前哨戦で、大丈夫か?」と王者を挑発した。さらにインタビュールームでは「完璧に勝つのもいいが、あのくらいでいい。3・11横浜は、完全にあいつをKOして勝つ」と3月11日の横浜文化体育館でのタイトル戦へ向け、自信をみなぎらせた。

リナレス近未来の大舞台へ、勝利&内容問われるV3戦


 WBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(32=帝拳)の3度目の防衛戦が27日(日本時間28日)、同級15位のメルシト・ヘスタ(30=比/米)を相手に米国カリフォルニア州イングルウッドで行われる。すでに3階級制覇を成し遂げているリナレスにとっては通過点と位置づけられる試合だが、ビッグマッチのプランも浮上しているだけに取りこぼしは許されない。スピードとテクニックでサウスポーの挑戦者を圧倒することができるか。

 リナレスは14年12月にWBC世界ライト級王座を獲得し、フェザー級、スーパーフェザー級に続き3階級制覇を達成。2年前、そのWBC王座のV3戦を前に拳を負傷したため“休養王者”に格下げされたが、復帰戦ではWBA王座を獲得して鬱憤(うっぷん)をはらした。昨年3月には前王者を返り討ちにし、9月には12年ロンドン五輪金メダリストを退けた。いずれも12回判定勝ちだったが、2試合ともダウンを奪って貫録を示している。02年12月に日本でプロデビューを果たしてから15年、故国ベネズエラのほかメキシコ、アルゼンチン、米国、英国、パナマなど世界各地のリングに上がり46戦43勝(27KO)3敗のレコードを残している。

 そのリナレスには現WBC世界ライト級王者のミゲール・マイキー・ガルシア(30=米 37戦全勝30KO)、WBO世界スーパーフェザー級王者、ワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ/米 11戦10勝8KO1敗)らとの対戦プランが持ち上がっている。ともに世界的な知名度が高いスター選手で、彼らに勝てばリナレス自身がもう一段上のステージに上がることができる。

 そういった意味でも今回の防衛戦は、勝利はもちろんのこと内容も問われる試合といえる。挑戦者のヘスタはキャリア14年、34戦31勝(17KO)1敗2分の戦績を残しているサウスポーで、世界挑戦は2度目となる。12年12月のIBF王座挑戦は12回判定負けに終わったが、以後は6戦5勝(3KO)1分と復調している。リナレスとはスパーリングをしたことがあり「彼の戦い方は頭に入っている。難しい試合になることは覚悟しているが、何が起こるか分からないのがボクシング。勝って世界王者になる」と意気込んでいる。

 体格に加え経験値、さらにスピードやテクニックなど個々の戦力でもリナレスが上回っており防衛が濃厚とみられているが、打たれ脆い面があるだけに油断はできない。存在感を示したうえで近未来の大舞台に繋げることができるか。リナレスのV3戦に要注目だ。

「白姫」完敗でリングネーム返上 仙台女子プロレス

DASH・チサコに完敗した白姫


 仙台女子プロレスの白姫美叶こと岩田美香(21)がDASH・チサコに完敗し、リングネーム返上を宣言した。22日、宮城・仙台市宮城野区文化センターでシングル戦に挑み17分31秒、ホルモンスプラッシュから片エビ固めで沈んだ。

 試合後、ふがいない内容にチサコからはマイクで「全然まだまだだね~ショック」と吐き捨てるように言われた。

 対して白姫はマット上でリングネーム返上を宣言した。1カ月前のホーム戦では首を負傷し、当初のカードが流れていたが、復帰戦で粘りを見せられなかった。「自分の甘さがあった。1発のエルボーでも気持ちのデカさが違った」。次戦からは本名の岩田美香で戦う見込み。

中邑真輔の最新プロモ公開「アーティスト」再確認

ロイヤルランブルを制し、レッスルマニアのロゴに手を向ける中邑 (C) 2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:スマックダウン大会>◇20日(日本時間21日)◇米アリゾナ州フェニックス・トーキング・スティック・リゾート・アリーナ


 「ロックスター」中邑真輔(37)の最新プロモーション映像が公開された。

 1月のPPV大会で開催されたロイヤルランブル戦で30選手の中から勝ち残り、日本人初優勝の快挙を成し遂げた「アーティスト」ぶりを振り返る内容で、4月8日のレッスルマニア34大会(米ニューオーリンズ)でのヘビー級王座挑戦権を獲得し、上昇気流に乗る活躍ぶりを紹介された。

 新日本プロレス時代にはボマイェと呼ばれていた必殺技もキンシャサ(ニー・ストライク)として米国でも定着。入場から観客を最高潮に盛り上げる「たぎる」パフォーマンスも人気を集めていることが強調されている。

 WWE最大の祭典では、ヘビー級王者AJスタイルズ(40)への挑戦を熱望する中邑。日本人初の同級王座獲得の快挙にも期待がかかっている。

引退しても輝く内山高志の実績、人柄、人望、営業力

内山高志(2017年7月29日撮影)


 最後の晴れ舞台は謝罪で始まった。

 「窮屈になって申し訳ありません。こんなに来ていただけると思っていませんでした」

 破壊力あるパンチで世界王座を11度防衛した内山高志氏は、引退記念パーティーでこうあいさつして頭を下げた。

 12月4日の都内の一流ホテルの大宴会場。立すいの余地のないほど、後援者、友人、ファンに関係者が約1000人も詰めかけた。当初は700人想定も、声を掛けた9割の人が来てくれたという。拓大では下積みも経験し、卒業後は観光バスの営業マンなどもしていた。王者時代に1000枚を越すチケットを売ったこともある。

 世界王者が引退を決めても、ほとんど記者会見しない。最近はSNSで表明も多く、日本ボクシングコミッションに引退届を出して終わりもある。相撲などと違って寂しい限りだが、内山氏は7月に会見し、盛大な引退パーティーを開催し、来年には後楽園ホールでの引退式も予定する。実績、人柄、人望、営業力をあらためて知らされた。

 その宴の最中に後楽園ホールのリングで凱旋(がいせん)報告した王者がいた。前日に大阪で東洋太平洋とWBOアジア太平洋のミドル級2冠となった秋山泰幸。東洋太平洋王者太尊に挑み、2回にゴング後パンチで減点も、5回に2度目のダウンを奪うとタオル投入。王座決定戦だったもう1本のベルトも手にし、2度目の王座挑戦で番狂わせの新王者になった。

 内山氏と同じ38歳。国内は37歳定年も昨年にランカーの定年が延長され、秋山は改正後に王座獲得第1号になった。夏に所属していた名門ヨネクラジムが閉鎖となり、移籍初戦でもあった。ワタナベジムには男女合わせて28人目の王者。現役男子は23人目だが、移籍してから王座獲得は7人目になる。

 渡辺会長は「今があるのは内山のおかげ」と話す一方で「秋山が王者になるとは男冥利(みょうり)」と自慢した。75年に故郷栃木・今市で国鉄マンながらジムを開き、81年に五反田へ出てきて、今や日本プロボクシング協会会長も務めるまでになった。

 内山は最初にミットを受けて世界王者になると確信したという。いわば別格で、会長には「来る者は拒まず」の大方針があり、移籍選手も多い。荒川は唯一世界挑戦経験があるが、残る6人はたたき上げでノーランカーが大半。会長は「捨てられた選手でも、必ずチャンスはつくる」を信条にしている。

 ジムの偉大なる存在はいなくなったが、格こそ違えどまた1人王者が誕生した。再生工場長の手腕を発揮。「今がボクシング人生で一番楽しい」と会長はご満悦だった。【河合香】

AJスタイルズ王者の貫禄 コービンにフォール勝ち

フェノミナルフォーアームをコービン(右)に決めるAJスタイルズ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:スマックダウン大会>◇20日(日本時間21日)◇米アリゾナ州フェニックス・トーキング・スティック・リゾート・アリーナ


 ヘビー級王者AJスタイルズ(40)が王者の貫禄を見せつけた。25日のPPV大会「ファストレーン」で控えるフェイタル5ウェイ形式の王座戦で対戦するバロン・コービンとシングルマッチで激突し、フォール勝ちをおさめた。

 体格、パワーに勝るコービンに捕まり、豪快にディープシックスを決められたが、2カウントで回避。相手の必殺技エンド・オブ・デイズを華麗にかわすとカーフ・クラッシャーでコービンの左足を集中的に痛めつけた。動きの鈍った相手のすきを突き、ロープ際の攻防を制してフェノミナルフォーアームをさく裂させ、3カウントを奪取した。

 試合後、同じく王座戦に挑戦するケビン・オーエンズとサミ・ゼインのはぐれコンビにより襲撃を受けたAJスタイルズは場外に倒れ込んだ。代わりに負けたコービンがはぐれコンビにエンド・オブ・デイズを決めて蹴散らした。

 さらに因縁を深まった王座戦。AJスタイルズにとっては暗雲が垂れ込める展開にもなった。バックステージではゼインがオーエンズを王者にするため、王座戦で自らオーエンズのフォールを受けるとも言い出した。策略が交錯する中、果たしてAJスタイルズは王座防衛できるのか。4月8日の最大の祭典レッスルマニア34大会(米ニューオーリンズ)で中邑真輔が挑戦する王者は誰になるのか。

まさに黄金カード、五輪連覇者同士がプロ王者として世界戦


 9日(日本時間10日)、米国ネバダ州ラスベガスでは尾川堅一(29=帝拳)対テビン・ファーマー(27=米)のIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦が行われるが、同日、ニューヨークでは同じ階級のWBOタイトルマッチがセットされている。プロ3戦目でフェザー級を制覇し、7戦目でスーパーフェザー級王者になったワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ/米)が、2階級下のWBAスーパーバンタム級スーパー王者、ギジェルモ・リゴンドー(37=キューバ/米)の挑戦を受けるのだ。アマチュア時代に五輪連覇を果たした実績を持つレジェンド同士の頂上決戦だ。

 ロマチェンコは08年北京五輪フェザー級、12年ロンドン五輪ライト級で金メダルを獲得しているほか、世界選手権でも2度の優勝実績を持つ。そうした大会での勝利を含めたアマチュア戦績は397戦396勝1敗という驚異的なものだ。唯一の敗北を喫した相手には国際大会で2度のリベンジを果たしている。プロ転向は4年前で、その4カ月半後に世界王座に挑んだが、このときは体重オーバーの相手に惜敗。続く3戦目でフェザー級王座を獲得すると、昨年6月には階級を上げて現在の王座を獲得した。7戦目での世界2階級制覇は井上尚弥(大橋)の8戦目を更新する最速記録だ。

 「ハイテク(高性能)」というニックネームを持つロマチェンコは、単に記録だけの選手ではない。素早く立ち位置を変えながら相手の死角に出て瞬時にパンチを打ち込み、スピードとスキルで圧倒してしまう。豪快なKOで現王座を奪ったあとの3度の防衛は、相手を翻弄したすえ棄権に追い込むという内容だった。見る者の記憶にも残るテクニシャンといえる。10戦9勝(7KO)1敗。

 これに対しリゴンドーは2000年シドニー五輪と04年アテネ五輪のバンタム級で連続金メダリストになり、世界選手権でも2度の優勝を果たしている。アマチュア戦績は475戦463勝12敗。亡命に失敗したためプロ転向が遅れたが、29歳のときに3回TKO勝ちで初陣を飾ると7戦目には現在の王座(当時は暫定王座)を獲得。その後、正王者昇格、WBO王座吸収、スーパー王者への昇格、王座剥奪、返還といったできごとを経て通算10度の防衛を果たしている。

 ロマチェンコと同じサウスポーだが、こちらはライバルほど運動量が多いわけではない。無駄のない動きで間合いを掴んでズバッと斬り落とすタイプだ。自身は打たれ強くはなく何度かダウンを経験しているが、左ストレートの切れ味はロマチェンコのそれを上回っている。18戦17勝(11KO)1無効試合。

 体格はロマチェンコが身長168センチ/リーチ166センチ、リゴンドーが162センチ/173センチと数字上は決定的な差はない。しかし、体のフレームとスーパーフェザー級に馴染んでいる点でロマチェンコにアドバンテージがあることは確かだ。6連続KO勝ちという勢いや若さでもロマチェンコに分があるといえる。こうしたことが反映されてオッズも9対2でディフェンディング・チャンピオン有利と出ている。ただ、これまでにもスター選手との対戦を打診されながら拒んできたリゴンドーが、2階級上のロマチェンコとの対戦に応じたところに矜持と自信をみてとることもできる。

 五輪連覇者同士がプロの王者として世界戦で拳を交える文字通りの黄金カード。はたして勝者として歴史に名を刻むのは-。

アンカハスは「パッキャオ2世」の域に辿り着けるか


 WBO世界スーパーフライ級王者、井上尚弥(24=大橋)の対抗王者でもあるIBF同級王者、ジェルウィン・アンカハス(26=比)が2月3日、9位のイスラエル・ゴンサレス(メキシコ)を相手に米国テキサス州コーパスクリスティで4度目の防衛戦に臨む。井上との統一戦プランが浮上したこともあったアンカハスは、元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(39=比)がプロモートするサウスポーの強打者で、昨秋にはそのパッキャオも契約している米国の大手プロモート会社、トップランク社と提携。今回の試合を機に本場で「パッキャオ2世」として売り出すことになった。

 アンカハスは09年に17歳でプロデビューしてから9年、30戦28勝(19KO)1敗1分の好戦績を残している。この間、16年9月にはIBF世界スーパーフライ級王座を獲得。昨年は自国を離れマカオ(中国特別行政区)、ブリスベン(オーストラリア)、ベルファスト(英国北アイルランド)で防衛戦を行い、7回終了TKO、7回TKO、6回TKOで3試合とも圧勝した。日本のファンには、7月のV2戦で帝里木下(千里馬神戸)を圧倒したすえ、ボディブローをヒットして7回TKOで退けた試合が記憶に新しいはずだ。このときはパッキャオの防衛戦の前座だった。

 アンカハスはパッキャオと同じサウスポーで、ボディと顔面の打ち分けを得意としている。本家ほどの荒々しさはないが、試合はなかなかエキサイティングだ。KO率は63パーセントと際立って高いわけではないが、直近の15戦(全勝)では14KOと倒しまくっている。

 こうした活躍と好戦的な戦闘スタイルが評価され、パッキャオが契約しているトップランク社と提携することになった。ボブ・アラム・プロモーターは「すでにアンカハスは十分な力を持っているが、まだまだ伸びる可能性がある。米国で実績を積み上げれば軽量級のパッキャオになるだろう」と大きな期待を寄せている。こうした一方、一時は2月下旬に統一戦を行うプランが浮上していた井上にとっては、歯噛みしたくなる思いが残ったはずだ。

 アンカハスの米国進出初戦の相手、ゴンサレスは22戦21勝(8KO)1敗の戦績を残しているが、強豪との対戦は少ない。王者にとっては圧勝がノルマの試合といえそうだ。

 名実ともに「パッキャオ2世」の域に辿り着けるのかどうか。アンカハスの今後に注目していきたい。