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井岡ら米国で日本選手の試合続々 旋風巻き起こすか


 去る7月28日に米国フロリダ州キシミーでWBO世界スーパーフェザー級王座を獲得した伊藤雅雪(27=伴流)に続けとばかり、8月から9月にかけて元世界3階級制覇王者の井岡一翔(29=SANKYO)ら、日本のトップ選手が相次いで米国のリングに上がる。旋風を巻き起こすことができるのか、注目と期待を集めている。

 先陣を切るのはWBAスーパーウエルター級14位の亀海喜寛(35=帝拳 33戦27勝24KO4敗2分)だ。8月17日(日本時間18日)、カリフォルニア州インディオで22戦19勝(12KO)2敗1分のグレグ・ベンデティ(28=米国)と対戦する。亀海は昨年8月に世界的なビッグネーム、ミゲール・コット(プエルトリコ)とのWBO王座決定戦で12回判定負けを喫しており、これが1年ぶりの再起戦となる。過去に9度も米国のリングに上がっており経験は十分。豪快なKO勝ちが期待される。

 25日(日本時間26日)にはアリゾナ州グレンデールでWBOスーパーバンタム級6位の大竹秀典(37=金子 36戦31勝14KO2敗3分)が、同級王者アイザック・ドグボエ(23=ガーナ)に挑む。大竹は14年11月に英国でWBA王座に挑んで12回判定負けを喫したが、以後は9連勝(5KO)と復調している。ただ、王者のドグボエは12年ロンドンオリンピック(五輪)出場の経験を持つうえ、プロでも19戦全勝(13KO)と勢いがあるだけに、大竹にとっては厳しい戦いが予想される。

 9月8日(日本時間9日)には井岡(23戦22勝13KO1敗)がカリフォルニア州イングルウッドのリングに上がる。相手はスーパーフライ級でWBCとWBOで3位にランクされるマクウィリアムス・アローヨ(32=プエルトリコ)。昨年4月のWBAフライ級王座5度目の防衛戦で勝利を収めたのを最後に引退していた井岡にとっては、これが1年5カ月ぶりの実戦となる。父親のジムを離れ、米国のプロモーターと契約を交わすなど環境を一新、4階級制覇を目指して復帰戦に臨む。相手のアローヨは2度の世界挑戦には失敗しているものの20戦17勝(14KO)3敗の戦績を残している実力者。楽観視できない相手といえる。

 9月14日、カリフォルニア州フレズノで行われるWBCスーパーライト級タイトルマッチ、ホセ・カルロス・ラミレス(25=米国)対アントニオ・オロスコ(30=米国/メキシコ)の前座には、同級WBA4位、WBC9位、IBF5位、WBO3位にランクされる岡田博喜(28=角海老宝石)が出場する。岡田は先ごろ、WBAミドル級王者の村田諒太(32=帝拳)も提携している米国のトップランク社とプロモート契約を締結。これが本場のリング初登場となる。35戦27勝(11KO)6敗2分のクリスチャン・ラファエル・コリア(35=アルゼンチン)を相手に、自慢の強打を披露することができるか。存在感を示せば世界挑戦が具体化する可能性もあるだけに、内容も問われることになりそうだ。

 日本勢の活躍に期待したい。

棚橋弘至、苦境語らずとも想起させる絶妙な言語感覚


G1を制し祝福のテープを浴びる棚橋(2018年8月12日撮影)

 「今まで、苦しんだ分……」。

 棚橋弘至、G1クライマックス28を3年ぶり3度目の制覇で飾った直後。バックステージでの2問目だった。「今のお気持ちは?」。定番の質問に、ゆっくりと息を整え、気持ちを吐き出し続ける…、かに思えたが、すぐに訂正した。

 「苦しんでない! 苦しんでない!」。

 そう、それが棚橋弘至。「楽しんで、喜んでやってきたけど、結果が出なかった分、今日はいつもより、倍うれしいです」。思わず出た本音に照れ笑いなのか、勝利の喜びなのか、止めどなく噴き出る汗をぬぐう顔には笑顔が広がっていた。

 「疲れない、落ち込まない、あきらめない。それが逸材三原則ですから」。100年に1人の逸材は、この2年あまり、IWGPヘビー級のベルト戦線から離れ、故障の連鎖に苦しむ中でも、そのスタンスを崩さなかった。苦労話を探る報道陣との“攻防戦”は度々だっただろう。記者もその1人だ。スポーツに付き物の逆境をはねのける物語を求め、数々の質問を浴びてきたはずだ。ただ、逸材はぶれなかった。G1優勝後のバックステージでもそうだった。「苦しんでないと言われましたが、気持ち的には追い込まれたりは?」の問いかけにも、「はい……、ないです! ないです!」と切り返した。

 苦境に雄弁である必要はない。この日のバックステージの棚橋を見て思った。苦しかったかと聞かれ、思わず透けてしまう本音、それを必至に打ち消すまでの間。その絶妙な言語感覚で十分だ。苦境はあった。ただ「逸材三原則」はぶれない。だから、少し、ほんのわずかのぞいたその本音をきっかけに、想像力を働かせれば十分。そしてその想像を喚起させるところが、棚橋の類いまれな魅力ではないか。

 優勝で来年1月4日の東京ドーム大会メイン、IWGPヘビー級選手権の挑戦権利証を手にした。18年の下半期は、その言語感覚を発揮してくれる場が多々あるだろう。耳を傾けたい。【阿部健吾】

G1を制し優勝旗を手にポーズを決める棚橋(2018年8月12日撮影)

稀勢の里、アクシデントも「やります、頑張ります」

終戦記念日に際し、黙とうする白鵬(前列右端)、鶴竜(同左から2人目)、稀勢の里(同左端)の3横綱ら


 大相撲の夏巡業は15日、岩手・陸前高田市で行われた。

 終戦記念日のこの日は、巡業に参加している親方衆、幕内力士らが土俵回りに集まり、正午から黙とう。また11年の東日本大震災では、大きな被害に遭った地域でもあり、春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)は「相撲で元気になるのであれば、いくらでもやる。率先して復興の力になりたい」と話した。

 また、この日の朝稽古では横綱稀勢の里、大関豪栄道、高安らが精力的に相撲を取った。前頭佐田の海を相手に9勝1敗だった稀勢の里について同部長は「(今回の巡業途中で)足に傷ができて稽古できないというアクシデントは仕方ない。それでも『やります』『頑張ります』と言ってくれている。徐々に仕上げていって、最終的には(巡業中に)横綱同士や横綱と大関の稽古も見たい」と、期待していた。

 また、同部長が「1番充実している」と話す豪栄道は、この日は前頭豊山に5戦全勝の後、先場所優勝の関脇御嶽海を指名して5勝1敗。計10勝1敗だった。

終戦記念日に際し、黙とうする巡業参加の親方衆と幕内力士ら
佐田の海(右)と三番稽古を行った稀勢の里

サモア・ジョー、動揺誘う「AJ妻の手紙」内容は…

王者AJスタイルズに心理戦を仕掛けた挑戦者のサモア・ジョー (C) 2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:スマックダウン大会>◇14日(日本時間15日)◇米サウスカロライナ州グリーンビル・ボン・セコース・ウェルネス・アリーナ


 WWEヘビー級王座に挑戦するサモア・ジョーが、王者AJスタイルズに心理戦を仕掛けた。

 19日の真夏の祭典、PPV大会サマースラム(米ブルックリン)での王座戦を控えたジョーは「家族を犠牲にした王者」とののしってきた。先に登場したAJスタイルズが「オレはジョーの挑発に感情的になったが、妻から冷静さを失ってはダメと言われた」と王座戦に向けた所信表明をしていると、この日もジョーが割って入るように姿をみせた。

 左手に1枚の手紙を持ち「紹介する」と説明したジョーは「AJスタイルズはチャンピオンでいるために家族を犠牲にした。ジョーが勝ってAJスタイルズが失う苦しみを味わうことを望んでいます。ウェンディ・スタイルズ」と読み上げ、この手紙はAJスタイルズの妻のものだと一方的に主張。王者の動揺を誘っていた。

卑劣なイタミはノーリスペクト!会場大ブーイング

トレント・ニューマン(左)を蹴りつけるヒデオ・イタミ (C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:205Live大会>◇14日(日本時間15日)◇米サウスカロライナ州グリーンビル・ボン・セコース・ウェルネス・アリーナ


 元ノアのKENTAことヒデオ・イタミ(37)が圧勝劇後の追撃で会場からブーイングを浴びた。

 格下となるトレント・ニューマンとのシングル戦はキックなど打撃で圧倒。1度はフォールしたが、なんと自らカウント2でニューマンの頭をつかみ上げてフォールを外した。不敵に笑いながら、続いてファルコンアロー、顔面蹴りで痛めつけると、最後は串刺しドロップ2発でレフェリーストップに追い込んだ。

 試合に圧勝した後もイタミは倒れた相手を捕獲し、さらに飛龍裸絞めの体勢から強烈なヒザで追撃。非情かつ卑劣なまでの攻撃で、会場からはブーイングが起こると、イタミは「リスペクト・ミー」と観客をあおってリングを後にした。1週間前には実力者ムスタファ・アリを撃破したばかり。勢いに乗るイタミは「オレになめた態度を取るとどうなるかわかっただろ」と自らのツイッター上でも悪態をついていた。

何が起こったのか 11人→6人に減少した日本の世界王者


 先週はフィリピン勢の躍進について書いたが、それと反比例するかのように日本からの世界王座流出が目立つ。2018年がスタートしたときには日本のジム所属選手として11人の世界王者がいたが、7月30日の時点で6人にまで減少してしまったのだ。この7カ月の間に何が起こったのか。

 昨年12月30日、31日に日本人選手の出場する世界戦が合計5試合行われ、WBAライトフライ級王者の田口良一がIBF王者との統一戦に12回判定勝ちを収めるなど、5人の王者が揃って防衛を果たした。そのため日本のボクシング界は、以下のように11人の世界王者を擁して新年を迎えた。

◆ミニマム級 IBF王者=京口紘人(ワタナベ) WBO王者=山中竜也(真正)

◆ライトフライ級 WBA&IBF王者=田口良一(ワタナベ) WBC王者=拳四朗(BMB)

◆フライ級 WBC王者=比嘉大吾(白井・具志堅) WBO=木村翔(青木)

◆スーパーフライ級 WBO王者=井上尚弥(大橋)

◆スーパーバンタム級 IBF王者=岩佐亮佑(セレス)

◆スーパーフェザー級 IBF王者=尾川堅一(帝拳)

◆ライト級 WBA王者=ホルヘ・リナレス(帝拳)

◆ミドル級 WBA王者=村田諒太(帝拳)

 このうち、尾川は昨年12月の戴冠試合前のドーピング検査で陽性反応を示したとして2月に王座獲得自体を取り消され、比嘉は4月のV3戦を前に規定体重をつくれず失格。この時点で王座を剥奪され、コンディションが整わないまま臨んだ試合では9回TKO負けを喫した。ふたりともリングの外で世界王座を失ったわけで、ドーピング違反、計量で失格という日本初の事例となってしまった。

 リナレス、田口、山中の3人はいずれも防衛戦で敗れて王座を手放した。3階級制覇王者のリナレスは5月12日、アメリカでワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と激闘を展開したが、ボディブローを浴びて10回TKO負けを喫した。その8日後、田口は元ミニマム級王者のヘッキー・ブドラー(南ア)に敗れ、3年以上君臨したトップの座から陥落。そして山中は7月にフィリピン選手に完敗を喫した。

 また、井上は3月にWBOスーパーフライ級王座を返上して上のクラスに転向。5月にはWBAバンタム級王座を獲得して3階級制覇を成し遂げた。無冠の時期は2カ月半と短かった。同じく京口はライトフライ級への転向のため7月に王座を返上している。

 こうしたなか拳四朗、木村、村田は防衛戦で勝利を収めて王座をキープ。井上と、8月16日に2度目の防衛戦を控えている岩佐、さらに7月28日に米国でWBOスーパーフェザー級王座を獲得したばかりの伊藤雅雪(27=伴流)を加えた6人が、現在の日本のジム所属の世界王者ということになる。

 今後、この数字が再び増えていくのか、それとも減るのか。まずは16日の岩佐のV2戦に注目したい。

棚橋が主演映画イベントで「G1話やめて下さい」

映画「パパはわるものチャンピオン」トークバトルイベントに登壇した、左から真壁刀義、寺田心、棚橋弘至、田口隆祐(撮影・村上幸将)


 新日本プロレスの棚橋弘至(41)が15日、東京・六本木ヒルズアリーナで行われた主演映画「パパはわるものチャンピオン」(藤村享平監督、9月21日公開)のトークバトルイベントに登場した。

 棚橋は、12日のG1クライマックス優勝決定戦で完全復活を告げる3年ぶり3度目の優勝を飾って以来、初の公の場で、息子役を演じた寺田心(10)を肩車しながら、共演の真壁刀義(45)と田口隆祐(39)を引き連れて入場。テレビ朝日「ワールドプロレスリング」でおなじみの野上慎平アナウンサーから「(入場が)何か、G1が続いているようですね」と呼び掛けられると「その話、やめてもらっていいですか?」と苦笑い。1カ月にわたった壮絶な激闘を思い出したくもないという様子だった。

 すかさず真壁が、「おい、野上! G1の話して、疲れてないヤツ、いないからな!」と野上アナに突っ込みつつ、棚橋にも返す刀で「あれ? 棚橋、疲れてるの?」と突っ込んだ。棚橋が「疲れてないです」と答えると、真壁は「うぉうい、この野郎!」と気合を入れた。

 撮影は、ちょうど1年前のG1クライマックス終わりの時期に行われた。棚橋は撮影前に、寺田と演技の練習を行ったと明かした。「(監督に)都内で、ずっと演技指導してもらって、何回も動画を撮ってチェックし、心先輩に教えてもらってね。演技の正解がない中で、やっていくんですけど(セリフを)自然に言えた瞬間があった。これでいんだな、これでいいんだなとやっていく感じ」と振り返った。寺田は「心先輩」と言われ「やめてくださいっ!!」と照れつつも「(演技が)上手って僕も言えるか分からないですけど、すごい努力していらっしゃってすごい。僕も努力しなきゃ、努力しなきゃって思いました」と棚橋の頑張りを観客に紹介した。

 棚橋は、撮影中に寺田と遊ぶ中で、劇中で最大の敵を演じたオカダ・カズチカ(30)の必殺技レインメーカーを破る“レインメーカー返し”を教えたと明かし、壇上で実演した。オカダには5月のIWGPヘビー級選手権で敗れたが、G1のAブロック最終戦で時間切れ引き分けに終わった際は、レインメーカーを幾度も返した。棚橋は「(寺田のレインメーカー返しが)つながりましたね」と言い、笑った。

 棚橋はG1で、Aブロック1位としてBブロック1位の飯伏幸太(36)と優勝決定戦を行い35分00秒、ハイフライフロー3連発でとどめを刺し、来年1月4日、東京ドーム大会のメイン出場権利証を獲得。その後、「希望があります」と提言し「挑戦権利証を懸けて、オカダと戦いたい」、「倒した上でドームに行きたい」とオカダを逆指名しており、レインメーカー返しを再度、決めるかにも注目だ。

 棚橋は映画への初主演について「責任感が生まれますね。映画全体を引っ張っていかないと生けない。でも初めてなので、何をして良いか分からない。何をしていたか分かります? 笑顔で雰囲気を良くしました」と笑みを浮かべた。

 劇中では、現実にはやったことのないヒール(悪役)レスラーのゴキブリマスクを演じている。「ヒールも手探り。心強いパートナーがいて2人で悪いことをした」と、劇中でコンビを組んだギンバエマスク役の田口に感謝した。そして「プロレス映画として見ても面白いし、そう見なくても、いろいろな人に届く映画。もっとプロレスが広がって欲しい」と胸を張った。【村上幸将】

映画「パパはわるものチャンピオン」トークバトルイベントで、寺田心にレインメーカー返しを決められた棚橋弘至(左は真壁刀義)(撮影・村上幸将)

戸沢が屈辱ラッシュ戦連敗、序盤優勢もフォール負け

リオ・ラッシュ(下)を踏みつける戸沢陽 (C) 2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:205Live大会>◇14日(日本時間15日)◇米サウスカロライナ州グリーンビル・ボン・セコース・ウェルネス・アリーナ


 元WWEクルーザー級王者戸沢陽(33)が、リオ・ラッシュに連敗を喫した。

 因縁のライバルとの再戦に挑み、ハリケーンラナ、風車蹴りで先制。ミサイルキックもたたき込み、試合を優勢に進めていた。1度はラッシュに押されてコーナーポストに衝突したが、持ち前のスタミナでトペ・スイシーダ、さらに卍(まんじ)固めで追いつめた。ところが、コーナーポスト上の攻防に敗れてマットに倒れこむと、ラッシュの豪快なフロッグ・スプラッシュを浴びてフォール負け。これで戸沢はラッシュ戦で屈辱の2連敗となった。

中邑真輔がハーディ襲撃も失敗、毒蛇オートンは静観

ジェフ・ハーディ(右)の背後から襲撃するUS王者中邑真輔 (C) 2018 WWE, Inc. All Rights Reserved

<WWE:スマックダウン大会>◇14日(日本時間15日)◇米サウスカロライナ州グリーンビル・ボン・セコース・ウェルネス・アリーナ


 US王者中邑真輔(38)が、次期防衛戦の挑戦者ジェフ・ハーディの襲撃に失敗した。

 19日の真夏の祭典となるPPV大会サマースラム(米ブルックリン)で迎え撃つハーディのシェルトン・ベンジャミン戦を陰で視察。身体能力の高いベンジャミンにてこずりながらも、最後はツイスト・オブ・フェイトで勝利した直後の挑戦者を襲撃した。

 隙を突いてバッグスタバー、さらに必殺キンシャサを狙ったものの、逆にツイスト・オブ・フェイトで迎撃。さらにコーナートップからの必殺スワントーンボムを食らい、返り討ちに見舞われた。また入場ゲート近くで両者との抗争を続ける「毒蛇」ランディ・オートンが静観。中邑-ハーディによるUS王座戦を前に不穏な空気が流れていた。

山中倒すも体重超過で無期限出場停止のネリ、復帰戦の行方は…


 昨年8月と今年3月、WBC世界バンタム級王座をめぐり山中慎介(帝拳)と2度対戦し、連勝しながらドーピング違反、体重オーバーという失態を犯したルイス・ネリ(23=メキシコ)が6月9日(日本時間10日)、出身地でもあるメキシコのティファナで“復帰戦”を行う予定だったが、試合の12日前になって中止が決定した。ネリは世界挑戦の経験を持つジェトロ・パブスタン(28=比)とバンタム級10回戦を行うことになっていたが、WBCから警告があったため出場を見送ることになったという。ネリは山中との再戦を前に大幅な体重超過のため失格、日本ボクシングコミッション(JBC)から永久追放されたうえWBCからも無期限の出場資格停止を言い渡されている。

 ネリは4回TKO勝ちを収めて戴冠を果たした山中との初戦(京都)後、ドーピング違反が発覚したが、「汚染された肉を食べたのが原因だと思う」と言い訳。WBCが調査に乗り出したが、確かな証拠がつかめず「意図的に(禁止物質を)摂取したとは断定できない」という灰色判定を下し、王座の保持を認めたうえで山中との再戦を命じた。

 ダイレクト・リマッチは今年3月1日にセットされた(東京)が、ネリは試合前日の計量で大幅な体重超過を犯して失格、その時点で王座を剥奪された。しかし、試合では山中から合計4度のダウンを奪って2回TKO勝ちを収めた。

 こうしたなかJBCは、ネリの計量失敗が極めて悪質なものとして無期限の出場停止処分を科し、日本のリングから締め出した。ただし、これは日本での試合出場が不可能というだけで、ほかの地域でネリがリングに上がることを規制する効力はない。WBCも同様の罰を科しているが、これも同団体の認可試合への出場を制限するものでしかない。

 当初、ネリは6月9日に米国カリフォルニア州サンディエゴ近郊アルパインで試合を行う計画だった。しかし、ニューヨーク州やネバダ州などとともに選手の健康管理や出場資格に厳しいことで知られるカリフォルニア州もネリに無期限のサスペンドを科しており、この地での試合を断念。そこで出身地でもあるメキシコのティファナに会場を移した経緯があった。ネリは「多くの批判を受けたが、自分がバンタム級最強であることは証明済みだし、いまでも世界王者だと思っている。俺はナチュラルなバンタム級なので、早くベルトを取り戻したい」と話していた。

 今回、自らそのティファナでの試合出場を断念したのは、WBCの警告に従う選択をしたからだ。ネリは山中戦後のWBCの聴聞の際、起こした問題に向き合い行動を正していくことを誓っており、もう少しで約束を反故にするところだった。ギリギリのところで踏みとどまったわけだ。

 バンタム級では、世界のトップ選手8人が高額賞金を狙ってトーナメント戦を行う「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」が9月から開催されることになっている。すでにWBA新王者になった井上尚弥(25=大橋)をはじめWBAスーパー王者のライアン・バーネット(26=英国)、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(25=プエルトリコ)、WBO王者のゾラニ・テテ(30=南ア)らが参戦を表明している。ネリも参加の意思があると伝えられるが、日本やカリフォルニア州、さらにWBC管理下で試合ができない状況とあって、仮に挙手しても受け入れられるかどうか微妙なところといえる。