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千代の国で4人目「横綱戦不戦勝」×2

鶴竜が休場で不戦勝となった千代の国(撮影・前岡正明)


 運も実力のうちと言うべきなのか。千代の国が今場所2度目の横綱戦不戦勝となった。4日目の白鵬に続き、鶴竜が休場。相撲を取らずに勝ち名乗りを受けて、涼しい顔で支度部屋へと戻ってきた。

 昭和以降、1場所で2度も横綱戦で不戦勝した力士は4人目となった。絶対的存在として立ちはだかる横綱。平幕上位力士にとっては、金星獲得の好機でもある。そんな相手に相撲を取らずして2勝は、単に勝ち越しのことだけを考えれば最高の白星だ(不戦勝は金星にならない)。

 過去の3人は、その場所で勝ち越している。中でも元関脇栃乃洋の竹縄親方は、2度目の不戦勝で勝ち越しを決めた。同親方は「それで勝ち越しましたから。疲れで言えば楽は楽。でも流れが変わらないように体は動かしてました」と、当時を振り返った。

 横綱戦で2度も不戦勝となり、千代の国はさぞかし喜んでいるだろうと思ったが違った。「結びの一番でやりたいというのはありました。喜んでばかりはいられない」とポツリ。まずは今場所勝ち越して、横綱と対戦できる地位を守る。そして、来場所こそ真っ向勝負を挑む。【佐々木隆史】

昭和以降、1場所で横綱に2度不戦勝した力士

岡山出身の西大司、西日本豪雨の地元へ勇気を

記者の質問に答える西大司


 岡山市東区出身の西幕下60枚目西大司(24=入間川)が、西日本豪雨で被災した地元をおもんぱかった。桜児竜を寄り切り2番目にして初日を出したが、もどかしい気持ちは抜けきれなかった。

 「自分が育った場所のすぐそこなので本当に大変だなと」

 豪雨の影響で県内の死亡者は11日(午前11時)時点で56人に上る。実家は無事だが、近所の河川は氾濫。中心部が濁流にのまれた倉敷市真備町の中学校では、相撲部のまわしが豪雨で流された。自身の母校ではないが「心配です」と遠くを見据えた。

 地元出身の力士として勇気を与えたい。岡山県出身の力士で最後の関取は、09年7月名古屋場所で在位した元十両琴国が最後。自己最高位は先場所の幕下42枚目で簡単な道ではないが「目指してやっていく」と目線はぶれない。

 母校の岡山理大付高は野球部を中心に運動部が盛ん。同学年の野球部員と食事などで交流することも多く、1学年上でOBのロッテ藤岡裕やDeNA柴田がプロの舞台で活躍する姿を見て、刺激を受けている。面識はないが「同じ岡山県出身として盛り上げていければ」と活躍を誓った。【佐藤礼征】

白鵬の「すっきりしたか?」に豪風が出した答え

碧山を突き落としで破る豪風(左)(撮影・岡本肇)


 西十両1枚目の大ベテラン豪風(38=尾車)が10日目で勝ち越しを決め、再入幕に大きく前進した。相手は、幕内のV戦線に残る碧山。土俵は中入り後の幕内。当たり勝ち、突き落とした。「勝ち越しまで長期戦になるなと思っていたんですが…」と振り返った。

 決意の春だ。東前頭13枚目の初場所で5勝10敗、十両に落ちた。05年夏場所から77場所、12年半守った幕内から陥落した。「糸が切れた。引退ってこういうものか、と」。それでも悩んだ。約2週間、稽古場に下りず自問自答した。2月10日のNHK福祉大相撲で、白鵬に声を掛けられた。「すっきりしたか?」-。「僕がすっきりした顔をしていたのか…」。出ていた答えを、教えてもらった。

 心機一転の今場所は、すべてを変えた。マウスピース、テーピングバッグ、部屋の照明…。02年秋場所の新十両記念に尾車親方(元大関琴風)から贈られたまわしを引っ張り出し、締めて臨んだ。「十両の土俵も立派。でも、十何年も幕内で相撲を取った人間が、1つ下で…。その土俵に上がれたのは、今は誇りですね」。夏場所初日の5月13日には「38歳10カ月」。再入幕となれば、昨年九州場所で安美錦が記録した「39歳」に次ぐ、2番目の年長記録(昭和以降)になる。【加藤裕一】

オカダ1カ月ぶり試合後の沈黙破る「勝ちたいねえ」

<新日本:G1クライマックス28>◇15日◇大田区総合体育館


 前IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカが、1カ月ぶりに試合後に口を開いた。

 14日の開幕戦初戦で、「CHAOS」の後輩ジェイ・ホワイトにまさかの敗戦を喫したばかり。レフェリーの見ていないタイミングを利用されての金的、椅子攻撃と反則技の連続に屈した形だったが、前夜はコメントを残さずに会場を去っていた。そもそも、6月9日の大阪城ホール大会でケニー・オメガに敗れて13度目の防衛に失敗してからは、沈黙を続けてきていた。

 この日は外道と組み、17日の札幌大会の公式戦で戦うバッドラック・ファレ、タンガ・ロア組と対決。外道が3カウントを取られて敗れた後に、コメントブースに登場すると「皆さん、お久しぶりです」と切り出した。そして、言った。「勝ちたいねえ、負けてばっかりだけど、やっぱり勝たないとつまんないでしょ。オカダが勝たないと、新日本プロレス見に来たなって気にならないでしょ。ドロップキック見ても満足できない、レインメーカー見ても満足できない、勝たなきゃ満足できないでしょう」。

 前日会見では新入場曲、新衣装で戦ってきたこの1カ月間を振り返り、「変わろうとしたけど、変われなかった。前のただ強くてカッコいいオカダ・カズチカと、何も変わることができませんでした」と自己肯定していた。あと必要な「変わらないもの」は勝利。初戦こそ不覚を取ったが、ここから巻き返していく。

貴公俊、処分明け初白星「親方、ファンに恩返しを」

貴公俊の取組を見守る貴乃花親方(撮影・岡本肇)


 西幕下49枚目貴公俊(21=貴乃花)は、自然と笑みをこぼした。春場所中の付け人への暴力行為により下った、夏場所出場停止処分。その処分明け最初の取組で、東幕下49枚目琴欣旺を寄り切りで破って白星を挙げた。「久しぶりに緊張した。(休場は)1場所だけど懐かしい感じがしました」と本土俵に立った喜びをかみしめた。

 立ち合いで鋭く踏み込み、一気に寄り切った。圧勝にも見えたが実は取組直前、土俵に上がろうとした時に右膝が外れるアクシデントに見舞われていた。しかし、その場で自分ではめ直して土俵に上がった。「気合が張りすぎました」と、気持ちが空回りするほどに力が入っていた。

 しかし謹慎中、気持ちは落ちに落ちていた。そんな時、スマートフォンでインターネットを見ていると、10年に起こった大相撲の野球賭博問題の記事が目に入った。記事を読んでいるうちに、謹慎処分を受けながらも今なお、幕内上位で活躍する先輩力士の存在を知った。「僕と同じように謹慎を受けても、上位で活躍しているのに励みを受けました」と発奮材料にした。

 当然、これでゴールではない。「結果を残して残念な気持ちにさせた親方、ファンの方に恩返しがしたい。心も体も強い力士になりたい」。まずはみそぎの場所を全うする。【佐々木隆史】

貴乃花親方も振分親方も 豪華すぎる審判部

序の口、序二段の審判をする貴乃花親方(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館


 今場所から阿武松審判部長(元関脇益荒雄)をはじめ、新たに8人の親方衆が審判部として、土俵下から取組に目を光らせている。年寄へと計5階級降格し、自らを「一兵卒」と呼ぶ注目の貴乃花親方(元横綱)のほか、副部長の錦戸(元関脇水戸泉)、玉ノ井(元大関栃東)、友綱(元関脇旭天鵬)の各親方といった優勝経験者、さらに二子山(元大関雅山)、西岩(元関脇若の里)、振分(元小結高見盛)という人気者の各親方が新たな顔ぶれだ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「審判部はもとから出島、千代大海、魁皇がいて、栃東、雅山も入った。元大関が多くて、どこの審判でも『オーッ』となる。お客さんを喜ばせることができる。そこに貴乃花がいる。今回(の人事)はだいぶ、そういうのも気を使った。充実している」とメンバー構成に自信を持つ。

 夏場所2日目の14日、最も早い午前8時半から序ノ口、序二段を土俵下で見た貴乃花親方は「新鮮ですよ。将来ある子が多くて気持ちいい」と入門当時を思い出して笑顔。代役で昨年春場所で1場所務めて以来、初の審判部配属となった振分親方は「期待に応えられるよう頑張りたい。マイクも…。苦手ですが頑張ります」とファンを意識。親方衆も歓声を意気に感じる相乗効果が生まれている。【高田文太】

鶴竜W杯に熱視線 同世代の本田、ロナウドに注目

鶴竜(2018年5月28日撮影)


 サッカーワールドカップ(W杯)で、日本代表が決勝トーナメント進出を決めた。名古屋場所(7月8日初日、ドルフィンズアリーナ)が近づく中、相撲界で、誰よりも日本代表の戦いぶりに熱視線を送っているのが横綱鶴竜(32=井筒)だ。8歳の時に94年W杯米国大会をテレビで見て、優勝したブラジル代表に魅了されて以来という、筋金入りのサッカーファン。今大会の開幕前も、日本代表はこう戦うべきと持論を展開し、本紙でも大きく掲載した。

 思い返すと、鶴竜の持論は随所で的中していた。4バックと2ボランチで、個人の能力に秀でた相手FWを挟んで封じる策は、そのまま用いられ、実際に相手エースに仕事をさせなかった。無駄にクロスを上げるなという提言は、鶴竜の言葉を耳に入れて戦ったのではないかと思うほど、従来よりも本数は減った。パスとドリブルで崩したことで、攻撃のリズムが生まれていた。何よりも本田のトップ下起用を大会前から強く推す、数少ない“専門家”だった。本田の活躍はご存じの通り、初戦コロンビア戦で大迫の決勝点をアシスト、2戦目セネガル戦では自ら同点ゴール。1次リーグで日本が得た勝ち点4に大きく貢献した。

 また、今大会で最も注目しているのは、ポルトガル代表FWクリティアーノ・ロナウドだという。同じ1985年生まれというのが、最大の理由だ。日本の制度に当てはめれば、鶴竜は8月生まれでロナウドは2月生まれとあって学年は違う。ロナウドが1学年上に当たるだけに「競技は違うけど、同世代の選手のことは気になりますよね。ロナウド選手は、マンチェスター・ユナイテッドで活躍し始めたころから注目しているけど、ずっと一流のプレーを見せ続けている。本当は肉体的には、20代のころよりも落ちている部分もあると思うけど、それをまったく見せない。本当にすごい」と、余計に尊敬の念を抱く。

 鶴竜は父が大学教授とあって、その血が騒ぐのか、ロナウドの活躍の源が精神的な部分に由来するのか、経験や蓄積に由来するものなのか、それを知りたいという。競技は違えど、横綱と国際サッカー連盟最優秀選手賞受賞という、その道の頂点に立ったアスリートとして、興味は尽きないようだ。

 鶴竜昨年、6場所中5場所で休場し、一時は進退問題にまで発展した。「ただ休んでいたわけではなくて、出場していない時こそ稽古していた」と、今だからこそ言える。だが内心では、稽古が成果として出るかどうか、肉体的な衰えが出てしまうのではないか、不安を抱えていたと思う。それでも今は、そんな不安な日々も糧になったと考えられるようになった。

 同じく同世代で、1学年下の本田の活躍を予想していたことも、きっと自身と重ねて、期待を込めていた部分も大きかったのではないかと思う。そこから、もう1歩先へ。ロナウドのように突き抜けた存在になることを、本田に期待もしているだろうし、自身も相撲界でそういう存在になりたいと願っているのだろう。サッカーについて話す熱い言葉の端々から、そう感じずにはいられなかった。【高田文太】

桜庭和志「優勝したい」最軽量チームで頂点目指す

桜庭和志(右から2番目)率いるチーム・リーボック


 IQレスラー桜庭和志(49)が最軽量チームで頂点を目指す。15日、都内で自ら主宰するグラップリング(打撃なし、関節と組み技のみ)ルールによる5対5の団体戦QUINTET2大会(16日、東京・大田区総合体育館)の前日計量と会見に出席。総重量430キロ以内のルールの中、桜庭率いるチーム・リーボックは414・1キロと、もっとも軽いチームとなった。

 14日に49歳になったばかりの桜庭は「優勝したいですね。自分自身が1勝する。それがチームの結果になる」とした上で、この日発表された先鋒・ユン・ドンシク(韓国)、次鋒・所英男、中堅・ハイサム・リダ(ガーナ)、副将・桜庭、大将・中村大介のオーダーにも言及。「野球の打順を考えてもらえれば分かる。そういうイメージ。自分は4番目。4番桜庭、満塁ホームランを打ちます」と高らかに宣言した。

 1回戦の相手となるチーム・タイガームエタイは総重量425・4キロと出場4チームで2番目に重い。桜庭率いるチーム・リーボックは柔よく剛を制することができるか-。

背中で語る勘太夫 緑のこだわり

式守勘太夫の後ろ姿を採用した春場所のポスター(C)日本相撲協会


 今場所のポスターは、行司の後ろ姿の写真を使ったデザインだ。春を思わせる緑色の装束が話題となっているが、この後ろ姿は三役格行司の式守勘太夫(58=高田川)。立行司の式守伊之助がセクハラ行為で謹慎中で、初場所から結びの一番を合わせている。勘太夫は「背中で伝わるものがあったと、いいように解釈しています」と、少し恥ずかしそうに笑顔を見せた。

 一方で緑色へのこだわりが、今回のポスターにつながったことには喜ぶ。写真は昨年夏場所の装束だといい「緑や青は、力士のように大きな体を締まって見せる効果がある」と分析。緑色の装束を多く所有しているのは「幼少からミドリガメを飼うのが大好きだった影響。本能的に緑を好むようになった」という。

 ミドリガメ好きは物心ついたころから、現在まで続いている。生息していそうな池などへ出向いたり購入したり、地方場所にも連れて行く。今はちょうど不在だが、昨年9月までは継続的に飼っていた。「ミドリガメや緑色を見ると、子どものころの景色を思い出してリラックスできる」。判断力が求められる行司だからこそ、こだわりのをまとい、一瞬にかける。【高田文太】

安美錦、大鵬に並ぶ通算872勝「光栄なこと」

豪風(左)をはたき込みで破った安美錦(撮影・前岡正明)

<大相撲名古屋場所>◇8日目◇15日◇ドルフィンズアリーナ


 西十両4枚目安美錦(39=伊勢ケ浜)が、東十両筆頭豪風(39=尾車)を破って、元横綱大鵬に並ぶ歴代8位の通算872勝を挙げた。

 1度目の立ち合い、先に右手を着いて待ったが豪風がなかなか動かず、1度離して再び右手を着けたがそれでも豪風は立ち上がらず、しびれを切らして立った。2度目も先に手を着いたが相手は動かず、離したとたんにつっかけてきた。3度目で成立すると、鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように右手で張って出て、そのまま右で頭を抱えてはたき込んだ。

 心理戦となった立ち合い。「向こうが立ってこないし何考えてんだろうなと。はたきを警戒しているのかな」と、いろいろなことを考えていたという。前みつを取りにいこうとしたが「構えているのも楽じゃないからね」と、多少フラストレーションがたまり、つい張って出てしまったようだ。

 また1つ記録を更新した。「そんなにやってたのかと思っちゃうね」と、積み上げてきたものを振り返った。大鵬に並んだことについて「肩を並ばせていただいたのは光栄なことだなと思います。テレビで見たことしかない神様みたいな存在。数多くいる力士の方々に並んで不思議な気持ちです」とありがたがった。

豪風をはたき込みで破る安美錦(撮影・岡本肇)