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村田戦の裏でWBO王座決定戦 どうなるミドル級トップ戦線

20日(日本時間21日)、米国ネバダ州ラスベガスで村田諒太(32=帝拳)対ロブ・ブラント(28=米)のWBA世界ミドル級タイトルマッチが行われるが、同じ日、マサチューセッツ州ボストンでは同じ階級のWBO王座決定戦が挙行される。ドーピング違反が発覚したビリー・ジョー・サンダース(29=英)が11日に王座を返上したため、急遽、1位のデメトリアス・アンドレイド(30=米)と2位のウォルター・カウトンドクワ(33=ナミビア)が拳を交えることになったのだ。20日、リングのなかではどんな動きがあるのだろうか。

ミドル級では9月15日、サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が、8年間に20度の防衛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)を僅差の判定で破ってWBAスーパー王座とWBC王座を獲得したばかりだ。そのアルバレスは12月15日に1階級上のスーパーミドル級でWBA王座に挑戦することが内定しており、その結果しだいでは転級も考えられる状況といえる。

こうしたなか20日にWBAとWBOのミドル級タイトルマッチが行われるわけだが、2試合ともすんなりと挙行にこぎ着けたわけではない。村田対ブラントはWBAが義務づけたカードで、8月には興行権入札が行われたが、村田側は参加せず、ブラント側が落札。

一時は村田が王座を返上する可能性まで浮上したが、その後、両陣営が条件合意に達したという経緯がある。

それ以上に慌ただしかったのがWBOタイトルマッチだ。サンダースのドーピング違反が表面化したのが9月下旬で、試合を管理するマサチューセッツ州のコミッションがサンダースの出場を不可と決めたのが試合10日前のことだった。これを受けサンダースに挑戦する予定だったアンドレイドは、待機状態にあった2位のカウトンドクワと暫定王座決定戦を行うことが決定。その後、11日になってサンダースが王座を返上したためアンドレイド対カウトンドクワ戦が正王座の決定戦になったという経緯がある。

アンドレイドは08年北京五輪ウェルター級ベスト8の実績を持ち、プロではスーパーウエルター級でWBO王座とWBA王座を獲得している。身長185センチ、リーチ187センチの大柄な技巧派サウスポーで、25戦全勝(16KO)と負け知らずだ。カウトンドクワは5年前のデビュー戦で判定勝ちのあと16連続KO中の強打者だが、世界的強豪との対戦経験は皆無で、アフリカ大陸を出て戦ったこともない。17戦全勝(16KO)とKO率は高いが、実力そのものは未知といえる。順当にいけばアンドレイドが2階級制覇を成し遂げそうだが、カウトンドクワがKOで戴冠を果たすようなことがあるとミドル級トップ戦線は大荒れ状態に陥る可能性もある。

村田対ブラント、そしてアンドレイド対カウトンドクワ。日本時間の21日、米国からどんなニュースがもたらされるのだろうか。

稽古が楽しそう 秋巡業に見た稀勢の里の余裕

稀勢の里(2018年10月5日撮影)

9月の秋場所を10勝5敗で9場所ぶりに皆勤した、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、現在行われている秋巡業で精力的に稽古を重ねている。

秋巡業は10月3日に開始。栃木・足利市で行われた5日に、前頭隆の勝にぶつかり稽古で胸を出し、秋巡業で初めて稽古土俵に上がった。甲府市で行われた10日には、前頭佐田の海を相手に三番稽古を行い、相撲を取る稽古も再開。佐田の海には10番取って全勝だったが、付け入る隙を与えない完勝ばかりだった。

佐田の海とは、秋場所前の夏巡業中にも何日も胸を合わせ、勝敗では常に圧倒していた。だが内容では、必ずといっていいほど、何番かは一方的に敗れることもあった。勝敗で圧倒していたのも、稀勢の里の方が34キロ重い体格差を生かした「体力勝ち」の部分が大きかった。だが甲府市では、低く鋭い立ち合いから左を差し、腰が高くなる悪癖ものぞかせず、相手に何もさせずに寄り切る相撲が目立った。

横綱相撲の理想とも言われる、相手を受け止めつつ先手を奪っている「後の先」の域に達するまでには至っていないかもしれない。それでも、私が以前担当していた7、8年前、主に三役として大関を目指していたころのように、ガムシャラに強さを求めていたころと同じように映った。相撲好きの少年がそのまま大人になったような、若々しさ、いきいきとした雰囲気が全身から出ていた。

8場所連続休場から進退を懸けて臨んだ秋場所、さらにその前の夏巡業では、明らかにピリピリと張り詰めた空気をかもし出していた。それが今回の巡業では、自ら明るい雰囲気をつくって報道陣と談笑することまである。足利市での巡業では、隆の勝に約8分間もぶつかり稽古で胸を出した後に「新聞だと『軽めの調整』って書かれちゃうのかな。よく『軽めの調整』『軽めの稽古』って書かれるけど、四股やすり足だけでも軽くないんだから。1度やってみる? そうしたら軽くないんだなって分かるでしょ」と、笑って話していた。何度も隆の勝にぶつかられ、胸を真っ赤に腫らしながらも冗談っぽく話せるほど、心身ともに余裕が出てきた。

秋場所千秋楽後に行われたパーティーでは、後援者らに向けて「優勝争いはかなわなかったですが、また来場所、もっともっと強くなって優勝争いに絡み、また、いい報告をできるように一生懸命頑張ります」と宣言した。懸念された相撲勘が戻りきらない中で、秋場所は2ケタ勝った。そこに上積みする形で、秋巡業ではその後、関脇御嶽海らとも稽古を重ねている。何より、稽古が楽しそうだ。同じ相手と立て続けに何番も取る、本来は体力的にきつい三番稽古でさえ“軽めの調整”に見えてしまうほどの余裕が見える。表情にも明らかに自信が戻ってきた。稀勢の里が、再び優勝争いの中心に戻ってくる日は、遠くないかもしれない。

【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

アルバレス402億円でDAZNと史上最高契約

DAZNと大型契約を結んだアルバレス(AP)

WBAスーパー、WBC統一ミドル級王者サウル・アルバレス(27=メキシコ)がDAZNと5年11試合で3億6500万ドル(約402億円)の大型契約を結んだことが17日、発表された。

3階級制覇を狙い、12月15日に米ニューヨーク・マディソンスクエアガーデンでWBAスーパーミドル級王者フィールディング(英国)に挑む試合が中継初戦で、日本DAZNでも放送予定。米メディアによるとスポーツ選手の契約ではMLBのジアンカルロ・スタントン(現ヤンキース)が14年にマーリンズと結んだ13年総額3億2500万ドルを抜いて史上最高額だという。

井上「ロドリゲスが勝つと」WBSS次戦の相手予想

米国に出発したWBA世界バンタム級王者井上(左)と大橋会長

WBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が今週末、階級最強を決めるワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)準決勝の対戦相手と米リングで並び立つ意欲を示した。

20日(日本時間21日)に開催(米オーランド)されるWBSS1回戦でIBF同級タイトル戦の王者ロドリゲス(プエルトリコ)-同級3位マロニー(オーストラリア)戦視察のために18日、渡米した。この勝者と来年2月にも米国で予定される準決勝で激突することになる。

次は自身初の2団体統一戦になることが確実で「ついにです」と声を弾ませた井上はリングサイドで視察予定。WBSSの要請があれば「リングに上がって(準決勝の)相手と並んでもいいですよ」と歓迎した。両者の試合ダイジェスト映像をチェック済みで「動画を見る限り、ロドリゲスが勝つと思います」と予想した。

ブラント陣営「村田はよく知っている」不敵な自信

ブラント(右)はムスタファ・トレーナーと勝利を誓った(撮影・阿部健吾)

【ラスベガス(米ネバダ州)17日(日本時間18日)=阿部健吾】ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が2度目の防衛戦を20日(同21日)に控え、ラスベガスのトップランク社のジムで公開練習。一瞬の初対面を果たした対戦相手の同級3位ロブ・ブラント(米国)陣営は、村田を良く知ると豪語する元世界王者の参謀が攻略に自信を見せた。

村田より先に公開練習を終えたブラントは、初の世界戦への興奮を隠さず、冗舌だった。「判定までいって勝つことを考えている。1発当ててびっくりさせたいね」と目を輝かせた。

具体的に勝利を描くのは、参謀の存在が大きそうだ。4カ月前から師事するのは、元世界王者のエディ・ムスタファ氏(66)。ライトヘビー級を制した往年の名選手に、この日も細かい指示を受けた。同氏は村田がラスベガスで合宿をしていた際に、スパーリングパートナーを手配したこともあるという。「村田のことはよく知っている。土曜日に(作戦は)お見せしよう」と不敵に笑った。

ブラントは17歳から競技を始め、全米選手権優勝などの実績もあるが、まだ米国では無名に近い存在。キャリアが浅く、手数の多さ、速さは持ち合わすが、技術的には未成熟。この試合を念頭にラスベガスには2カ月前から入り、調整を進めており、新トレーナーの手腕でどう進化しているかが、展開を左右しそうだ。

リナレス、村田は「焦らないこと」7、8回にKOだ

中盤以降で村田のKO勝利を予想したリナレスは、愛車ポルシェの前でポーズ(撮影・阿部健吾)

ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が17日(日本時間18日)、2度目の防衛戦を20日(同21日)に控え、ラスベガスのトップランク社のジムで公開練習を行った。

村田の帝拳ジムの同門で元3階級制覇王者のホルヘ・リナレスは、試合の鍵に「バックステップ」を挙げた。ラスベガスに新装した個人ジムを持ち、村田も直前練習をそこで行ってきた。その動きで気付いたのは、「後ろに下がるのはすごくいいね」。ジャブをきっかけに踏み込んでくるブラント対策。距離感を保つためにバックステップを取り入れたことに目を見張ったという。

ブラントについては「素晴らしい選手。今までで村田さんはこの選手が一番やりにくい」と分析。判定まで考えてくる相手に、「焦らないことが大事」とし、本格的にプレッシャーをかけるのは5回以降でも良いと説いた。「初めは見た方が良い。相手は速いから、動くのもうまい。試合は5回以降に動く。村田さんの右はすごいから、7、8回にKOだね」と予想した。

井岡一翔、復帰戦勝てば日本人初4階級制覇も視野に

3階級制覇を成し遂げている元世界王者、井岡一翔(29=SANKYO)が8日(日本時間9日)、米国カリフォルニア州イングルウッドのフォーラムで昨年4月以来の実戦に臨む。復帰戦の相手は、2度の世界挑戦経験を持ちWBCとIBFでスーパーフライ級3位にランクされるマクウィリアムス・アローヨ(32=プエルトリコ)。環境を一新してカムバックを決めた井岡にとって敗北は許されない試合となる。

井岡はミニマム級、ライトフライ級、そして15年4月にはフライ級で世界王座を獲得し、叔父の井岡弘樹さんが4度挑んで達成できなかった3階級制覇を成し遂げた。その王座は5度防衛し、安定王者の仲間入りを果たしていた。しかし、昨年秋になって王座を返上し、大晦日には「3階級制覇という夢を達成できて満足している」として引退を表明した。

それから7カ月半後、井岡は父親のジムを離れ、世界ミドル級王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)らを擁するアメリカのトム・ローフラー氏の360プロモーションと契約。階級もひとつ上げてスーパーフライ級での再出発となる。

8日のイベントはローフラー・プロモーターが昨年9月に初めて仕掛けて好評を博した「SUPERFLY」シリーズの第3弾として行われる。今回、井岡はスーパーフライ級トリプルマッチの最初の試合に出場する予定だ。メイン格のカードとしては元WBA、WBO世界フライ級王者で現スーパーフライ級WBC1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(28=メキシコ)対WBC同級7位フェリペ・オルクタ(32=メキシコ)、そしてドニー・ニエテス(36=比)対アストン・パリクテ(27=比)のWBO世界スーパーフライ級王座決定戦が組まれている。日本では15度の世界戦を経験している井岡だが、米国では必ずしも知名度が高いとはいえず、評価も定まっていないのだ。今回の顔見せのテストマッチでウィリアムスに敗れるようなことがあると、その先はさらに厳しい道のりになることは間違いない。

その一方、勝った場合のリターンは大きいものがある。カムバック宣言と同時にWBA2位にランクされた井岡(23戦22勝13KO1敗)がウィリアムス(20戦17勝14KO3敗)を下せば、4階級制覇への扉が大きく開かれることになる。ニエテス対パリクテの勝者(WBO王者)、ローマン・ゴンサレス(31=ニカラグア)を連破しているWBC王者のシーサケット・ソールンビサイ(31=タイ)、WBA王者のカリド・ヤファイ(29=英)、IBF王座を5度防衛中のジェルウィン・アンカハス(26=比)らが井岡の挑戦を歓迎してくれるはずだ。

負ければトップ戦線から脱落、勝てば日本人初の4階級制覇が視野に入ってくる。井岡にとってはボクサー生命を左右する大事な試合といえる。初の異国のリングで、元3階級制覇王者がどんなパフォーマンスを披露するのか注目したい。

口数少なく態度で示す 退路断った稀勢の里の挑戦

大相撲秋場所の土俵祭りに臨む稀勢の里(撮影・河田真司)

ファンはもちろん、多くの相撲関係者も、やめてほしいなどと思っていない。何よりも本人が、復活を信じ、現役を続けたいと稽古している。それでも結果が伴わなければ、やめなければならない状況だと腹をくくっている。そんな力士生命をかける思いで秋場所(9日初日、東京・両国国技館)に臨むのが、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)だ。7月の名古屋場所の休場を表明した際に「来場所、すべてをかけて頑張っていきたい」と、決意を語っていた。

稀勢の里は第72代横綱。江戸時代前期の初代明石志賀之助から数えて、横綱はわずか72人しかいない。師弟ともに横綱というケースは少ないが、稀勢の里の師匠も元横綱隆の里の故先代鳴戸親方。現役時代は口数も少なく、師匠としては「朝稽古」が午後まで続くことも当たり前という、厳しい指導で知られる。その隆の里の師匠も「土俵の鬼」と呼ばれた元横綱の初代若乃花。口数の少なさ、厳しい稽古は、その初代若乃花を引き継いだ。極めて少ない、3代続く横綱の系譜を継いだ稀勢の里が、口数が多いわけもない。言い訳はせず、土俵で結果を示してきた。

口数の少ないことで、誤解されかねないこともある。秋場所初日のちょうど1カ月前となる8月9日。地元茨城県の龍ケ崎市で行われた巡業で、稀勢の里は朝稽古の土俵に立たなかった。その3日前の8月6日から、関取衆相手に本格的な稽古を再開し、翌7日まで2日連続で相撲を取っていた。同8日は稽古土俵に立っていなかったが、幼少期を過ごした龍ケ崎市で目いっぱい稽古するための休養だと、報道陣は勝手に思い込んでいた中で、肩すかしを食った格好となった。「9月場所で活躍できるよう、しっかり頑張りたい」などと、稽古を休んだ理由について、多くは語らなかった。

だが龍ケ崎市での巡業の取組を終えて、花道を引き揚げる際に、明らかに異変があった。地元ファンの盛大な拍手と声援に笑顔をつくることもできず、険しい表情で歩いていた。後日、実は左足裏に傷ができていて「龍ケ崎の時が一番ひどかった」と話している。多くを語らないことで、その日は、地元ファンに稽古も見せず、交流も少なめと、冷たい態度を取ったようにも見られたはず。だが立っているだけでも痛みを感じる中で、稽古場には姿を見せて四股を踏み、横綱土俵入りも取組も行った。龍ケ崎市の巡業の翌日、福島・白河市での巡業では稽古場にも来ることができず、土俵入りも回避したことを考えれば、その時点での目いっぱいのファンサービスだった。

秋場所の出場意思を表明した9月6日も「やるべきことは、やってきた」と、短い言葉に決意を込めた。それまでの稽古を振り返り「良かったり悪かったりというのが、逆に良かったと思う」と、けっして順調ではなかったことも自覚している。それでも「しっかりと準備はできた」と言い切った。8場所連続休場で、相撲勘が鈍くなるのも当たり前。言い訳したくなる状況でも、出場する以上は「準備はできた」と断言し、退路を断って臨む秋場所。横綱として歴代最長の連続休場明けの、誰も経験したことのない挑戦が、いよいよ幕を開ける。

【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

村田V2戦相手ブラントと一瞬の交錯「肩幅ない」

公開練習を先に終えたブラント(右)と一瞬だけ目を合わせた村田(左)(撮影・阿部健吾)

【ラスベガス(米ネバダ州)17日(日本時間18日)=阿部健吾】ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が「原点」に奮い立った。2度目の防衛戦を20日(同21日)に控え、ラスベガスのトップランク社のジムで公開練習。プロデビュー前後に単身合宿を繰り返し本場の壁も感じた場所で、気持ちを新たにした。一瞬の初対面を果たした対戦相手の同級3位ロブ・ブラント(米国)陣営は、村田を良く知ると豪語する元世界王者の参謀が攻略に自信を見せた。

米メディアの女性リポーターからインタビューを受けていた村田が視線を上げて、周囲を見渡した。

「感慨深いですね。ここでスパー(リングを)して…。いろいろ思い出しますね」

公開練習の会場は、契約する米プロモート大手社のトップランクが運営するジム。レンガ調の壁、名勝負のポスター、高い天井。「デビュー前にここで練習して、夢に描いていたことの1つが実現できていることをうれしく思う」。ベルトを携えての“凱旋(がいせん)”が、また心を高ぶらせた。

13年8月のデビュー前。12年ロンドン五輪金メダリストながら、まだプロの世界では無名だった頃。数々の世界王者を輩出した本場のジムで単身合宿しながら、「いつか自分も」と誓った。その後も度々訪れては、高い壁を感じ、試行錯誤に引退も考えた場所。艱難(かんなん)辛苦が頭を巡ったのだろう。そして、変わらぬその光景が、立場が変わった自分へのカンフル剤となった。

思いをぶつける相手、ブラントとは一瞬だけ目を合わせた。練習の入れ替わりで対面し、「思ったより肩幅もない」と体格差を感じた。交渉過程の非礼に珍しく怒りをみせてきたが、この日は柔らかな笑み。海外メディアからはWBAスーパー、WBC王者アルバレスと試合の可能性を問われたが、英語で「without mexican beef(メキシコの牛肉がなければ)」。禁止薬物陽性反応をメキシコで食べた牛肉のためと主張してきた対抗王者へ、だめ出しジョークで笑いも取った。

言動に漂うその自信と確信。「心身共に良い状態です」。原点から力をもらい、最後の仕上げに入った。

公開練習で体を動かす村田(撮影・阿部健吾)

悩める納谷 幕下の壁

花道を引き揚げる納谷(2018年9月21日撮影)

元横綱大鵬の孫、東幕下60枚目納谷(18=大嶽)が幕下の壁にはね返された。3勝4敗と初土俵以来、初めての負け越しを経験。来場所は再び三段目に陥落することが濃厚だ。

今場所の六番相撲で3勝目を挙げ、星を五分に戻しても「今場所はずっとモヤモヤした気持ちがある」。四つにならず立ち合いで突き放して前に出る相撲。三段目までは通過できたが、幕下力士の踏み込みには圧力があった。勢いを止められ、今場所は勝ち負けにかかわらず「2歩目、3歩目が出なかった」と何度も反省を口にした。

師匠の大嶽親方(元十両大竜)は、悩める弟子を場所前から不安視していた。「何か変だったんだよね。迷いなのかな。本人は『全然大丈夫です』と言うんだけど」。稽古でもあっさり負けてしまう場面が目立っていたという。ただ「こっちからガミガミ言っても仕方ないから」と、求めるのは自主性。小手先の技術もいつか必要になるが「今はガムシャラに前へ出続けて欲しい」と多くは求めず、温かく見守る姿勢だ。

「元横綱の孫」という代名詞がのし掛かるが「気負うことなく頑張りたい」と納谷。大器はゆっくりと階段を上るつもりだ。【佐藤礼征】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)