上へ戻る

au版ニッカン★バトル

ランキング

村田戦の裏でWBO王座決定戦 どうなるミドル級トップ戦線

20日(日本時間21日)、米国ネバダ州ラスベガスで村田諒太(32=帝拳)対ロブ・ブラント(28=米)のWBA世界ミドル級タイトルマッチが行われるが、同じ日、マサチューセッツ州ボストンでは同じ階級のWBO王座決定戦が挙行される。ドーピング違反が発覚したビリー・ジョー・サンダース(29=英)が11日に王座を返上したため、急遽、1位のデメトリアス・アンドレイド(30=米)と2位のウォルター・カウトンドクワ(33=ナミビア)が拳を交えることになったのだ。20日、リングのなかではどんな動きがあるのだろうか。

ミドル級では9月15日、サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が、8年間に20度の防衛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)を僅差の判定で破ってWBAスーパー王座とWBC王座を獲得したばかりだ。そのアルバレスは12月15日に1階級上のスーパーミドル級でWBA王座に挑戦することが内定しており、その結果しだいでは転級も考えられる状況といえる。

こうしたなか20日にWBAとWBOのミドル級タイトルマッチが行われるわけだが、2試合ともすんなりと挙行にこぎ着けたわけではない。村田対ブラントはWBAが義務づけたカードで、8月には興行権入札が行われたが、村田側は参加せず、ブラント側が落札。

一時は村田が王座を返上する可能性まで浮上したが、その後、両陣営が条件合意に達したという経緯がある。

それ以上に慌ただしかったのがWBOタイトルマッチだ。サンダースのドーピング違反が表面化したのが9月下旬で、試合を管理するマサチューセッツ州のコミッションがサンダースの出場を不可と決めたのが試合10日前のことだった。これを受けサンダースに挑戦する予定だったアンドレイドは、待機状態にあった2位のカウトンドクワと暫定王座決定戦を行うことが決定。その後、11日になってサンダースが王座を返上したためアンドレイド対カウトンドクワ戦が正王座の決定戦になったという経緯がある。

アンドレイドは08年北京五輪ウェルター級ベスト8の実績を持ち、プロではスーパーウエルター級でWBO王座とWBA王座を獲得している。身長185センチ、リーチ187センチの大柄な技巧派サウスポーで、25戦全勝(16KO)と負け知らずだ。カウトンドクワは5年前のデビュー戦で判定勝ちのあと16連続KO中の強打者だが、世界的強豪との対戦経験は皆無で、アフリカ大陸を出て戦ったこともない。17戦全勝(16KO)とKO率は高いが、実力そのものは未知といえる。順当にいけばアンドレイドが2階級制覇を成し遂げそうだが、カウトンドクワがKOで戴冠を果たすようなことがあるとミドル級トップ戦線は大荒れ状態に陥る可能性もある。

村田対ブラント、そしてアンドレイド対カウトンドクワ。日本時間の21日、米国からどんなニュースがもたらされるのだろうか。

ジョシュアvsポベトキン いよいよ23日にゴング

ヘビー級トップ戦線の主役のひとり、WBA、IBF、WBO3団体統一王者、アンソニー・ジョシュア(28=英)が22日(日本時間23日)、英国ロンドンのウェンブリー・スタジアムで元WBA王者のアレクサンデル・ポベトキン(39=露)を相手に通算6度目の防衛戦を行う。WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(32=米)との4団体統一戦プランもあるジョシュアが大一番に向けて存在感を示すのか、それともポベトキンが番狂わせを起こすのか。KO決着が確実視されている注目カードだ。

12年ロンドン五輪のスーパーヘビー級金メダリストでもあるジョシュアは、プロ転向から2年半後の16年4月にIBF王座を獲得。17年4月、元王者のウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を11回TKOで下した際にはWBAから「スーパー王者」の称号を与えられた。そして今年3月にはWBO王者のジョセフ・パーカー(26=ニュージーランド)に12回判定勝ち。この試合でデビューからの連続KOは20で止まったが、引き換えに三つめのベルトを手に入れた。身長198センチ、リーチ208センチ、体重約110キロの恵まれた体格から速くて正確な左ジャブを突き、射程が合うと破壊力のある右ストレートを打ち抜く。最近は接近戦でアッパーを突き上げるなど攻撃の幅を広げつつある。

21戦全勝(20KO)のジョシュアは人気面でも際立っている。直近の3試合を見てみると、ウェンブリー・スタジアムで行われたクリチコ戦が約9万人、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムが会場となった17年10月のカルロス・タカム(37=カメルーン/仏)戦とパーカー戦でも各7万8000人を集めているのだ。この3試合だけでも合計24万6000人の集客となる。最重量級の世界王者に相応しい人気、注目度といえる。今回も実績と知名度のあるポベトキンが相手だけに、ウェンブリー・スタジアムに7万人超の観客が見込まれている。

そのポベトキンは04年アテネ五輪のスーパーヘビー級金メダリストで、プロでは35戦34勝(24KO)1敗の戦績を残している。この1敗は5年前にクリチコに喫したもので、以後は8連勝(6KO)と好調だ。今年3月にはジョシュア対パーカーの前座に出場し、ダウン応酬のすえ豪快な5回KO勝ちを収めている。身長188センチ、リーチ191センチ、体重約103キロと体格ではジョシュアに及ばないが、下から潜り込むようにして打つ左右のパンチは相手にとって脅威といえよう。

とはいえ総合的な戦力と若さに加え地の利もあるジョシュア有利は絶対的なものとみられており、オッズは9対1と出ている。ジョシュアが左ジャブで距離を計り、打ち下ろしの右ストレートでKO勝ち、という可能性が最も高そうだ。

現在のヘビー級はジョシュアを軸にして、統一戦プランが浮上しているWBC王者のワイルダー、さらに戦線復帰した元3団体王者のタイソン・フューリー(30=英)、ワイルダーと激闘を展開した元WBA暫定王者のルイス・オルティス(39=キューバ)、そしてポベトキンと役者が揃っている。こうしたなか、順当にジョシュアが次に駒を進めるのか、それともポベトキンが番狂わせを起こして準主役に躍り出るのか。22日(日本時間23日)、ロンドンのウェンブリー・スタジアムに要注目だ。

ホルヘ・リナレス、ロマチェンコとの再戦へ大事な再起戦

3階級制覇の実績を持つ前WBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(33=帝拳)が29日(日本時間30日)、米国カリフォルニア州インディオで元世界ランカーのアブネル・コット(31=プエルトリコ)と対戦する。今年5月、全階級を通じて最も高い評価を得ているワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)と激闘を展開、10回TKO負けを喫したリナレスにとっては大事な再起戦となる。

ベネズエラから単身来日、17歳のときに大阪でプロデビューしたリナレスも8月で33歳になった。この間、何度かの挫折も味わったが、フェザー級、スーパーフェザー級、ライト級の3階級で世界王座につき、世界的なスター選手の仲間入りを果たしている。リナレスの持ち味はスピードとテクニックだ。速い左ジャブで煽り、相手の出端に合わせて絶妙のタイミングで繰り出すカウンターの右ストレートを主武器に世界のトップ戦線で確かな足跡を残してきた。16年のキャリアで14度の世界戦(11勝7KO3敗)を含め48戦44勝(27KO)4敗の戦績を残している。56パーセントのKO率を誇る一方、4度の敗北はいずれもKO(TKO)によるもので、打たれ脆さが唯一のウイークポイントだ。世界的な注目を集めたロマチェンコ戦では6回に右ストレートでダウンを奪うなど9回までは互角の展開だったが、10回に左ボディブローを浴びて敗れた。プラスとマイナスの両面が出た試合だった。

リナレスは再戦を希望しているが、ロマチェンコは12月にライト級のWBO王者、ホセ・ペドラサ(29=プエルトリコ)との統一戦を計画しており、リマッチが実現するとしても早くて来春になる。リナレスは「とにかくもう一度、ロマチェンコと戦いたい。次は勝てる。でも実現しないならばスーパーライト級に上げて4階級制覇を狙いたい」と話している。

今回の再起戦はライト級のリミットを超えた体重での試合になる予定で、リナレスにとってはテストマッチとなる。しかも、相手は12年から13年にかけて世界ランキング入りしていたこともあるコットである。名前でも分かるように、あの元世界4階級制覇王者、ミゲール・コット(プエルトリコ)のまたいとこにあたる血縁の選手だ。プロでは26戦して、元あるいはのちの世界王者に喫した3敗以外はすべて勝利を収めている(23勝12KO3敗)。16年以降は5連勝(4KO)と好調を維持しているだけに、油断できない相手といえる。

ロマチェンコ戦のショックを引きずっていないか、心身ともに十分なコンディションをつくれるか、など不安もないわけではないが、順当にいけばリナレスが中盤から終盤で仕留める可能性が高い。

WBSSバンタムは好カード目白押し 井上の相手は誰だ

階級最強を決める賞金トーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級初戦は、第2シードのWBA王者、井上尚弥(25=大橋)が元王者のファン・カルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)に70秒でKO勝ち、順当に準決勝に駒を進めた。試合時間は短かったが、そのなかでスキルとパワーを見せつけた衝撃のKO劇だった。このあと13日、20日、11月3日に準々決勝に臨むライバル6選手に与えたプレッシャーは大きいものがあったはずだ。

13日にはロシアのエカテリンブルクでWBO王者のゾラニ・テテ(30=南ア)対6位のミーシャ・アロイアン(30=アルメニア/露)が行われる。スーパー・フライ級に続いて17年4月に戴冠を果たしたテテは175センチのサウスポーの技巧派強打者で、初防衛戦では右フック一発で世界戦史上最短記録となる11秒KO勝ちを収めている。今年4月のV2戦では、フライ級で16度、スーパー・フライ級で11度の防衛実績を持つオマール・ナルバエス(43=アルゼンチン)に大差の12回判定勝ち、長丁場にも強いところを証明した。30戦27勝(21KO)3敗。

挑戦者のアロイアンはプロでは4戦すべて判定勝ちとキャリアは浅いが、アマチュア時代には12年ロンドンオリンピック(五輪)フライ級で銅メダルを獲得。11年と13年の世界選手権では優勝している。16年リオデジャネイロ五輪にも出場して準優勝したが、のちにドーピング違反が発覚して銀メダルを剥奪された。体格、技術、パンチ力で勝る第3シードのテテが勝ち上がりそうだ。

20日、米国フロリダ州オーランドでは18戦全勝(12KO)のIBF王者、エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)対17戦全勝(14KO)のジェイソン・モロニー(27=豪)のタイトルマッチが行われる。勝者が準決勝で井上と拳を交えることになっており、ファンの注目度も高いカードだ。KO率の高い全勝同士の組み合わせだが、12対1のオッズが出ているようにロドリゲス有利は不動と見られている。アマチュアで182戦171勝11敗の戦績を残しているロドリゲスはスピード、テクニック、パワーを備えており、WBA王者自身が「井上が危ないのではないか、と思われている相手」と認める実力者だ。どちらが勝ち上がるにしても井上との試合は興味深いものになりそうだ。

11月3日には井上を差し置いて第1シードに推されたWBAスーパー王者のライアン・バーネット(26=英)が登場する。英国グラスゴーのリングに迎えるのは、5階級制覇の実績を持つスター選手、ノニト・ドネア(35=比)だ。6対1で有利と見られているバーネットは昨年6月にIBF王座につき、4カ月後にはWBAスーパー王座も獲得。ロドリゲスとの指名戦を強制されたためIBFは返上したが、今年3月にはWBAスーパー王座の初防衛を果たしている。戦績は19戦全勝(9KO)だが、相手の質が上がっていることもあってか、このところ8試合続けてKOを逃している。

フライ級からフェザー級までの5階級で世界一になった実績を持つ43戦38勝(24KO)5敗のドネアは左フックや右ストレートに一撃KOの威力を秘めている強打者だが、近年はパワー偏重の雑な戦いぶりが目立つ。年齢に加え7年ぶりのバンタム級ということで減量など不安は少なくないが、万全のコンディションをつくることができればバーネット撃破だけでなく、トーナメントの台風の目になる可能性がある。決勝で井上と戦うことになれば盛り上がることは間違いない。

大本命が井上、対抗がロドリゲスとバーネット、それを追うテテという構図だが、13日、20日、11月3日の3試合で変化があるかもしれない。WBSSバンタム級トーナメント戦、今後の動きに注目していきたい。

WBOはアンドラーデ…次々変わるミドル王者顔触れ

WBOミドル級王者となったアンドラーデ(AP)

<プロボクシング:WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦>◇20日(日本時間21日)◇ラスベガス・パークシアター

WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が完敗で王座から陥落した。2度目の防衛戦で同級3位ロブ・ブラント(28=米国)に0-3(110-118、109-119×2)の判定負けを喫した。

村田-ブラント戦と同じ20日、米ボストンでWBOミドル級王座決定戦も行われ、1位アンドラーデ(米国)が2位カウトンドグワ(ナミビア)を下して新王者になった。薬物違反でサンダース(英国)が返上した王座だった。

9月にはアルバレス(メキシコ)がWBAスーパー、WBO同級王者ゴロフキン(カザフスタン)を下したばかり。そのゴロフキンが剥奪されたIBF同級王座は今月27日、1位デレイビャンチェンコ(ウクライナ)-3位ジェイコブス(米国)で争われるなど、ミドル級王者の顔ぶれが変わりつつある。

12回を戦い終え、ガッツポーズをする挑戦者ブラント(右)を前にぼう然と立ちつくす村田(撮影・菅敏)

浜田剛史氏「想定内で攻め疲れると思ったが…」

判定で挑戦者ブラント(右)に敗れ、ぼう然とする村田(撮影・菅敏)

<プロボクシング:WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦>◇20日(日本時間21日)◇ラスベガス・パークシアター

WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が完敗で王座から陥落した。2度目の防衛戦で同級3位ロブ・ブラント(28=米国)に0-3(110-118、109-119×2)の判定負けを喫した。徹底研究を受け、速さに対応できず、劣勢が続いた。

◆浜田剛史・帝拳プロモーション代表のコメント ブラントが最初から出てくるのは想定内。攻め疲れると思ったが…。村田は5ラウンド目にいいパンチが入ったが、それまでの守り疲れがあって流れを変えられなかった。

圧倒的不利予想の呂斌、史上最速プロ2戦目での戴冠なるか

 WBA世界ライトフライ級12位にランクされる呂斌(ルー・ビン 23=中国)が7月15日、マレーシアの首都クアラルンプールで同級王者のカルロス・カニサレス(25=ベネズエラ)に挑む。16年リオデジャネイロ五輪に出場した経験を持つ呂は昨年9月のデビュー戦で3回TKO勝ちを収めており、これがプロ2戦目となる。勝てば現WBA世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ/米)らが持つ「3戦目」を更新する史上最速の戴冠記録となる。この日のメインカードは、6階級制覇の実績を持つマニー・パッキャオ(39=比)がルーカス・マティセ(35=亜)に挑むWBA世界ウェルター級タイトルマッチだが、記録のかかる前座試合も注目を集めそうだ。

 呂はアマチュア時代に12年ユース世界選手権で優勝し、13年アジア選手権では銅メダルを獲得。21歳のときにはリオデジャネイロ五輪にも出場した(ライトフライ級2回戦で敗退)。昨年9月に北京でプロデビュー戦を行い、3回TKO勝ちを収めた。相手は17戦8勝(6KO)9敗という戦績のタイの選手だったが、この試合で呂は空位のWBCアジア・ライトフライ級シルバー王座を獲得。世界戦の計画が浮上した今年になって、取ってつけたようにランキング入りを果たした。中国系ファンの動員を狙ったマッチメークといわれてもいる。

 サウスポーの呂は細かく動きながら出入りしてワンツーを繰り出すボクサーファイター型で、今回の挑戦が決まってからフィリピンに遠征。パッキャオと一緒にトレーニングしてアドバイスをもらい、モチベーションを上げている。

 そんな呂の挑戦を受けるカニサレスは4年のプロキャリアで21戦20勝(16KO)1分のレコードを残している強打者だ。16KOのうち12度は3ラウンド以内でけりをつけており、速攻型ともいえる。16年12月に来日して当時のWBA王者、田口良一(31=ワタナベ)に挑戦したが、このときは前半でリードしたものの中盤から田口の追い上げにあい引き分けに終わった。その後、IBF王座も獲得した田口がスーパー王者に格上げされたことにともない今年3月にWBA王座決定戦が行われ、カニサレスは小西伶弥(24=真正)に判定勝ちを収め戴冠を果たしている。呂との試合が初防衛戦となる。

 130年超の近代ボクシングの歴史上、最も少ない試合数で世界王座を獲得したのはセンサク・ムアンスリン(タイ=1975年にWBCスーパーライト級王座獲得)とロマチェンコ(2015年にWBOフェザー級王座獲得)の「3戦目」だが、呂が勝てばこれを更新することになる。しかし、ムエタイ(キックボクシング)で豊富な経験があったうえプロでも世界ランカーを連破したセンサクと、アマチュア時代に五輪連覇を果たし、プロデビュー戦で世界ランカーを一蹴したロマチェンコと比べると、呂の実績は心許ないものといえる。

 また、呂が戴冠を果たせば熊朝忠(シオン・チャオ・チョン=2012年にWBCミニマム級王座獲得)、雛市明(ゾウ・シミン=2016年にWBOフライ級王座獲得)に次いで中国3人目の世界王者となる。

 圧倒的不利の予想を覆し、呂は新たな歴史を刻むことができるか。

稽古が楽しそう 秋巡業に見た稀勢の里の余裕

稀勢の里(2018年10月5日撮影)

9月の秋場所を10勝5敗で9場所ぶりに皆勤した、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、現在行われている秋巡業で精力的に稽古を重ねている。

秋巡業は10月3日に開始。栃木・足利市で行われた5日に、前頭隆の勝にぶつかり稽古で胸を出し、秋巡業で初めて稽古土俵に上がった。甲府市で行われた10日には、前頭佐田の海を相手に三番稽古を行い、相撲を取る稽古も再開。佐田の海には10番取って全勝だったが、付け入る隙を与えない完勝ばかりだった。

佐田の海とは、秋場所前の夏巡業中にも何日も胸を合わせ、勝敗では常に圧倒していた。だが内容では、必ずといっていいほど、何番かは一方的に敗れることもあった。勝敗で圧倒していたのも、稀勢の里の方が34キロ重い体格差を生かした「体力勝ち」の部分が大きかった。だが甲府市では、低く鋭い立ち合いから左を差し、腰が高くなる悪癖ものぞかせず、相手に何もさせずに寄り切る相撲が目立った。

横綱相撲の理想とも言われる、相手を受け止めつつ先手を奪っている「後の先」の域に達するまでには至っていないかもしれない。それでも、私が以前担当していた7、8年前、主に三役として大関を目指していたころのように、ガムシャラに強さを求めていたころと同じように映った。相撲好きの少年がそのまま大人になったような、若々しさ、いきいきとした雰囲気が全身から出ていた。

8場所連続休場から進退を懸けて臨んだ秋場所、さらにその前の夏巡業では、明らかにピリピリと張り詰めた空気をかもし出していた。それが今回の巡業では、自ら明るい雰囲気をつくって報道陣と談笑することまである。足利市での巡業では、隆の勝に約8分間もぶつかり稽古で胸を出した後に「新聞だと『軽めの調整』って書かれちゃうのかな。よく『軽めの調整』『軽めの稽古』って書かれるけど、四股やすり足だけでも軽くないんだから。1度やってみる? そうしたら軽くないんだなって分かるでしょ」と、笑って話していた。何度も隆の勝にぶつかられ、胸を真っ赤に腫らしながらも冗談っぽく話せるほど、心身ともに余裕が出てきた。

秋場所千秋楽後に行われたパーティーでは、後援者らに向けて「優勝争いはかなわなかったですが、また来場所、もっともっと強くなって優勝争いに絡み、また、いい報告をできるように一生懸命頑張ります」と宣言した。懸念された相撲勘が戻りきらない中で、秋場所は2ケタ勝った。そこに上積みする形で、秋巡業ではその後、関脇御嶽海らとも稽古を重ねている。何より、稽古が楽しそうだ。同じ相手と立て続けに何番も取る、本来は体力的にきつい三番稽古でさえ“軽めの調整”に見えてしまうほどの余裕が見える。表情にも明らかに自信が戻ってきた。稀勢の里が、再び優勝争いの中心に戻ってくる日は、遠くないかもしれない。

【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

4階級制覇のコットが引退へ、有終の美を飾れるか

 4階級制覇の実績を持つWBO世界スーパーウエルター級王者、ミゲール・コット(37=プエルトリコ)が12月2日(日本時間3日)、米国ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)で同級9位のサダム・アリ(29=米)を相手に初防衛戦に臨む。コットはこの試合を最後に引退すると公言しており、有終の美を飾れるかどうか注目を集めている。

 11歳のときにボクシングを始めたコットは2000年シドニー五輪に出場するなどアマチュアで148戦125勝23敗(他説あり)の戦績を残し、01年にプロ転向を果たした。3年後、21戦全勝(17KO)でWBO世界スーパーライト級王座を獲得し、6度防衛。3度目の防衛戦では五輪で苦杯を喫した相手に9回TKOで借りを返すなど順調にスター街道を歩んだ。

 06年にはウエルター級でWBA王座を獲得し、2階級制覇を達成。ここでも4度の防衛を果たして連勝を32(26KO)まで伸ばしたが、33戦目にアントニオ・マルガリート(39=メキシコ)に11回TKO負けを喫し、一時停止を強いられた。WBOで返り咲きを果たしたものの、V2戦ではマニー・パッキャオ(38=比)に12回TKOで敗れ、キャリアで2度目の挫折を味わされた。

 身長もリーチも170センチと体格に恵まれなかったコットはガードを固めながら圧力をかけて距離を潰し、相手の懐に入って強打をボディ、顔面に打ち分ける好戦的な戦いが多かったが、30歳を超えてからは戦闘スタイルをチェンジした。適度に足をつかいながら踏み込みつつ左ジャブを突き、スピードを生かしたヒット&アウェイのスタイルをベースにして戦うようになったのだ。フロイド・メイウェザー(米)戦を含めて一時は連敗したこともあったが、13年にフレディ・ローチ・トレーナーとコンビを組んでからは新スタイルが板につき、14年6月には身長で8センチ、リーチで15センチも勝るセルヒオ・マルチネス(亜)を破ってミドル級制覇も果たした。

 現在の王座は今年8月、決定戦で亀海喜寛(35=帝拳)を下して獲得したもので、スーパーウエルター級では10年に獲得したWBA王座に続いて2度目の戴冠ということになる。ここまでの戦績は46戦41勝(33KO)5敗だが、特筆すべきはキャリアの半分以上となる24戦が世界戦である点だ(19勝16KO6敗)。現役、元、のちの世界王者との対戦も21度(16勝12KO5敗)と多く、その中身の濃さも特徴といえる。世界的な知名度、人気もあり、惜しまれつつの引退となる。

 ラスト・ファイトの相手、アリは08年北京五輪に出場した実績を持つエリートで、プロでは26戦25勝(14KO)1敗の戦績を残している。スピードのある万能型だけに侮れない相手といえるが、17対2のオッズが示すようにコット有利とみられている。強さと巧さを見せつけたすえ、コットは豪快なKOで有終の美を飾れるか。

アニマル・ウォリアーNWA70周年大会に特別出場

アニマル・ウォリアー

米国老舗プロレス団体NWAは4日(日本時間5日)、WWE殿堂入りのアニマル・ウォリアー(58)が、21日のNWA70周年記念大会に、特別出場すると発表した。

アニマルは21日に米ナッシュビルで開催の同大会に、クリムソンとジャックス・ダン組の特別マネジャーとして出場。クリムソン組は、オープン・チャレンジで名乗りを上げたタッグチームと対戦する。アニマルは80年代に筋肉ムキムキで顔にペイントをしたホークとザ・ロード・ウォリアーズを結成し、日本でも大暴れした。(デーブ・レイブル通信員)