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ヘビー級直接再戦経て頂上決戦へ 最後に笑うのは?

7日(日本時間8日)、サウジアラビアの首都リヤド近郊ディルイーヤでWBA、IBF、WBO3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ、王者アンディ・ルイス(30=米国)対前王者アンソニー・ジョシュア(30=英国)の12回戦が行われる。両者は今年6月、今回とは逆の立場で対戦し、16対1のオッズをひっくり返してルイスが7回TKO勝ち、戴冠を果たした。半年のスパンで行われる直接再戦には「Clash On The Dunes(砂丘の激突)」というイベントコピーがつけられている。

ルイスが返り討ちにするのか、それともジョシュアがリベンジして3団体の王座を取り戻すのか、注目の一戦だ。

今年6月1日、ジョシュアは別の相手と通算7度目の防衛戦を行うはずだったが、その選手がドーピング違反が発覚したため挑戦を取り消され、41日前に試合をしたばかりのルイスがピンチヒッターに起用された経緯があった。そんなこともあり初戦はジョシュアの圧勝が予想されていた。

はたして試合が始まっても序盤は王者が優勢だった。身長で10センチ、リーチで20センチ勝るジョシュアが3回、左フックをヒットして先制のダウンを奪ったときは結末が近いと思われたものだ。ところが勝負を急いで距離が詰まったことでルイスの反撃に遭うことになった。ルイスは左右フックを浴びせて同じラウンド内に2度のダウンを奪い返した。ダメージはジョシュアの方が深く、一時は持ち直したものの7回に再び捕まり、2度のダウンを追加されて万事休した。

初戦の契約に沿って短期間で即再戦が行われることになったわけだが、ボクシングでは珍しいサウジアラビアで試合が挙行されることになったのは、同国の投資家グループの誘致があったからだ。提示金額は1億ドル(約109億円)と伝えられる。

両者合わせて5度のダウンシーンがあったカードのパート2とあって、世界的な注目度は高い。オッズは9対4、今回もジョシュア有利と出ている。初戦ではミスを犯して敗れたが、再戦では左ジャブを突いて距離をとる慎重なボクシングに徹するだろうとみられている。そのうえで好機とみれば破壊力のある右ストレートの長距離砲を繰り出すのではないかという見方が多い。

これに対し身長、リーチとも188センチで体重約120キロのルイスは、ガードを上げた構えで接近を図るタイプで、中近距離で回転の速い左右フックを得意としている。踏み込みもパンチも寸胴体型からは想像できないスピードがあるため、そのギャップに相手は戸惑い対応に苦慮することが多い。初戦ではジョシュアの気持ちをも折っており、返り討ちに自信満々だ。

戦績はルイスが34戦33勝(22KO)1敗、12年ロンドンオリンピック(五輪)金メダリストでもあるジョシュアが23戦22勝(21KO)1敗。

同じヘビー級では11月23日にWBC王者のデオンテイ・ワイルダー(34=米国)が右の一撃でルイス・オルティス(40=キューバ)に7回KO勝ち、V10を果たしたばかりだ。そのワイルダーは来年2月22日、18年12月に引き分けた元3団体統一王者のタイソン・フューリー(31=英国)と再び拳を交えることが決まった。

ルイス対ジョシュア、そしてワイルダー対フューリー。当然、この2試合の勝者同士による頂上決戦が期待されるところだ。熾烈を極めるヘビー級トップ戦線。最後に笑うのは?

インスタ炎上も人気抜群、阿炎に求む個の盛り上げ

11月15日、九州場所9日目に大栄翔(手前)に張り手を見舞う阿炎

九州場所で十数年ぶりに相撲担当に復帰し、フル参戦した。休場力士が相次ぎ、横綱白鵬が楽々と43回目の優勝で今年の締めくくり。どの世界でも、活性化に必要なのは世代交代であり、新たなキラ星の台頭といえる。白鵬盤石の牙城を崩すのはだれか。2020年に期待を抱かせる存在は、少なくとも確認した。

夏場所で初優勝を飾り、新小結の九州場所でも11勝をあげた朝乃山は、その筆頭株だろう。個人的に期待したいのは、同年代の小結阿炎だ。九州場所は序盤の出遅れが響いて、9勝にとどまった。しかし、そのスケール感から常に2桁、優勝争いに加われる素材と感じている。

他の担当記者に聞くと、これまでは勝ちにこだわった引き技、立ち合い変化が目立ったという。しかし、九州場所ではとにかく「前」にこだわった。負けた相撲でも「攻める相撲が取れている。負けたからってへこむ内容じゃない」と前向きに捉えることができた。基本は突き、押し。上の番付を意識して、引きたくても我慢して前に出る相撲の意識付けを徹底してきた。

187センチの長身で手足も長い。四つ相撲でも十分に出世しそうだが、現役時代に高速回転の突っ張りで場内を沸かせた元関脇寺尾の錣山親方が、前に出る、攻める相撲を徹底させているのだろう。

九州場所前にインスタグラムへの不適切な投稿で炎上し、八角理事長(元横綱北勝海)に謝罪する“事件”もあった。役力士として自覚の欠如だが、反省して2度繰り返さなければいい。九州場所でも連日、満員御礼で相撲人気を実感した。ただ、かつての空前の若貴ブームも、上りきってから下降線の時代をへてきた。「お客さん」を引きつけるのは、何より力士の「個」。阿炎には魅力的なお相撲さんに育ってほしい。(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

11月11日、九州場所2日目で懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる阿炎

ナバレッテが4度目の防衛戦 井上尚弥のライバルになる存在

WBO世界スーパーバンタム級王者、エマヌエル・ナバレッテ(24=メキシコ)が12月7日(日本時間8日)、メキシコのプエブラで同級13位のフランシスコ・オルタ(26=メキシコ)を相手に4度目の防衛戦を行う。

まだナバレッテの知名度は高くはないが、遠くない将来に井上尚弥(26=大橋)のライバルになる可能性を秘めた強打者だ。ボクシングファンはいまからナバレッテをチェックしておいて損はしないはずだ。

ナバレッテは12年2月、17歳になってすぐにプロデビューし、ここまで30戦して29勝(25KO)1敗という戦績を残している。唯一の敗北はプロ6戦目に4回判定負けを喫したもので、以後は24連勝(20KO)をマークしている。昨年12月、ロンドン五輪にも出場した経験を持つアイザック・ドグボエ(ガーナ/英国)に米国ニューヨークで挑戦し、番狂わせの12回判定勝ちで現在の王座を獲得した。地域王座にすら挑戦したことがなかったナバレッテにとってはメキシコ国外で初の試合でもあった。

このときは「ドグボエの調子が悪かったのだろう」という声もあったが、今年5月の再戦で新王者は12回TKOで前王者を返り討ちにした。一方的に打ちまくっての圧勝とあって、今度は多くのファンや関係者がナバレッテの実力を認めることになった。ボクシング界最大手ともいえるトップランク社がナバレッテとプロモート契約を結んだのは、単に力量だけではなく積極的でエキサイティングなファイト・スタイルを評価してのことと思われる。同社が井上と契約したのと理由は同じといってもいいだろう。

若くて怖いもの知らずのナバレッテは8月にセットされた2度の防衛戦を3回KOでクリアすると、その28日後にV3戦を行い4回TKOで挑戦者を一蹴してみせた。そして今度は3カ月足らずの短いスパンで4度目の防衛戦に臨むわけだ。

公表されているナバレッテのサイズは身長170センチ、リーチ183センチだが、リング上ではもっと大きく感じられる。躍動的なスタイルがそうした印象を与えるのかもしれない。パンチは左右とも強く、中近距離でそれらをテンポよく打ち込んでくる。スタミナもあり、一戦ごとに経験値も高めている。

今回の挑戦者、オルタは24戦20勝(10KO)3敗1分の戦績を残しているが、地域王座への挑戦もなくメキシコ国外での試合経験もない。25対1で王者有利というオッズも当然といえよう。戴冠前のナバレッテ自身がそうだったように、上を目指す者のモチベーションを甘くみるのは危険だが、現時点での両者間の力量差は大きい。ナバレッテのKO防衛が濃厚だ。

いまのところ井上はバンタム級の4団体王座統一を狙っているが、目的を果たしたあとはスーパーバンタム級に転向する計画と伝えられる。ナバレッテは井上と同じトップランク社傘下ということもあり、マッチメークの障壁は少ない。このままふたりが勝ち進めば1年半後、あるいは2年後に井上対ナバレッテが実現するかもしれない。

まずはナバレッテが今回のV4戦でどんな結果を残すのか注目したい。

尾川堅一しゃれたKO宣言 来年世界再挑戦へ前哨戦

計量をクリアした尾川堅一(左)と王者ジョー・ノイナイ

ボクシングWBOアジア太平洋スーパーフェザー級1位尾川堅一(31=帝拳)が、来年世界再挑戦へ前哨戦KOを期した。7日の東京・後楽園ホールで挑戦を控え、6日に都内で前日計量があった。尾川はリミットより100グラム軽い58・8キロでクリアした。V2戦となる同級王者ジョー・ノイナイ(24=フィリピン)は1回目で約400グラムオーバーも、再計量はリミットでパスした。

尾川は試合展開を問われると「イニシャルで」とニヤリ。しゃれた「KO」宣言だった。再起後2連勝し、9月にIBF世界同級挑戦者決定戦が決まったが、相手が来日を拒んで方針変更した。「ちょっとやる気をなくしたが、スライドしたがチャンスをもらえた。すぐに切り替えた」。

王者は3月に坂晃典(仲里)を2回KOで、王座を獲得した。7月には8連勝していた銅メダリスト清水聡(33=大橋)を7回TKOで初防衛している実力者。「右ストレート気味のジャブとカウンターの左を気をつけて。スピードの差があるから大丈夫。調子もいいので自分のやることをやる」と自信を口にした。

IBF3位、WBA4位、WBO10位と3団体で世界ランク入りしている。来年2月には32歳になる。「選手生命はそう長くない。来年は一発勝負をかけたい。次につながる試合にする」と気合を込めた。

個性派揃いのバンタム級トップ戦線から目が離せない

いよいよ明日7日、さいたまスーパーアリーナで階級最強を決めるトーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級決勝戦、WBA&IBF王者、井上尚弥(26=大橋)対WBAスーパー王者、ノニト・ドネア(36=比)が行われる。ダブルメインとしてWBC内の同級王座統一戦、正規王者のノルディーヌ・ウバーリ(33=仏)対暫定王者、井上拓真(23=大橋)も挙行される。この2試合を含め、11月には主要4団体の世界王者が全員リングに上がる予定だ。WBSS決勝で最強が決まるものの、それは一時的なものといえる。バンタム級ウォーズはこれからが佳境といえそうだ。

現在の主要4団体の王座保持者は以下のとおりだ。

WBAスーパー王座 : ノニト・ドネア(36=比)

WBA王座     : 井上尚弥(26=大橋)

WBC王座     : ノルディーヌ・ウバーリ(33=仏)

WBC暫定王座   : 井上拓真(23=大橋)

IBF王座     : 井上尚弥(26=大橋)

WBO王座     : ゾラニ・テテ(31=南ア)

WBO暫定王座   : ジョンリエル・カシメロ(30=比)

スーパー王者や暫定王者を含め6人がベルトを持っている混戦状態といえる。実績では5階級制覇を果たしているドネア(45戦40勝26KO5敗)がトップだが、最も高い評価を受けているのは井上尚弥(18戦全勝16KO)だ。したがってこの両者の対決で勝った方がバンタム級最強といっていいだろう。16戦全勝(12KO)のウバーリと13戦全勝(3KO)の井上拓真のWBC内統一戦も注目カードだ。

この2試合のあともバンタム級ウォーズは続く。23日(日本時間24日)には米国ネバダ州ラスベガスでWBCの挑戦者決定戦が組まれている。元WBC王者で現1位のルイス・ネリ(24=メキシコ)と前IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(27=プエルトリコ)が拳を交えるのだ。ネリは17年8月に山中慎介(帝拳)のV13を阻止して戴冠を果たしたが、試合後にドーピング違反が発覚。翌年3月の再戦では大幅な体重オーバーで失格、王座を剥奪されたうえ出場停止処分を科されたことがある。しかしサウスポーから繰り出す強打と実力は折り紙つきで、ここまで30戦全勝(24KO)をマークしている。

一方のロドリゲスは今年5月、WBSS準決勝で井上に2回KO負けを喫してIBF王座を失った前王者で、これが再起戦でもある。20戦19勝(12KO)1敗。こちらも総合的に高い戦闘能力を備えている。勝者がウバーリ対井上拓真の勝者に対する指名挑戦権を手に入れることになるだけに日本のファンも気になる試合といえる。

その1週間後、30日(日本時間12月1日)には英国バーミンガムでWBO内の王座統一戦、正規王者のテテ対暫定王者のカシメロというカードが組まれている。テテはサウスポーの長身強打者で、11秒KOの世界戦最短記録保持者としても知られる。本来なら今年4月にWBSS準決勝でドネアと対戦するはずだったが、右肩を痛めて離脱。これが13カ月ぶりの戦線復帰戦となる。戦績は31戦28勝(21KO)3敗。

テテのWBSS参戦にともなって設けられた暫定王座を獲得し、ライト・フライ級、フライ級に続く3階級制覇を果たしたのがカシメロだ。8月の初防衛戦を含めて4連続KO勝ちと勢いを増している。32戦28勝(19KO)4敗。サウスポー同士の一戦は体格で勝るテテ有利といえるが、打たれ脆い面があるだけにカシメロにも十分にチャンスがある。

井上兄弟をはじめ力のある個性派が揃ったバンタム級トップ戦線。

しばらくは目が離せない状況が続きそうだ。

RENA「今年の汚れは今年のうちに」リベンジ誓う

31日のRIZIN20で6月に敗れたリンジー・ヴァンザントと再戦するRENA

RENA(28)が「今年の汚れは今年のうちに」とリベンジを誓った。4日、12月29日の米格闘技団体ベラトールの日本大会、31日のRIZIN20(いずれもさいたまスーパーアリーナ)に向けた会見に出席。

RENAは、31日のRIZIN20で、6月に米ニューヨークのベラトール222大会で敗れたリンジー・ヴァンサント(26)と再び戦う。「1割ぐらいしか力を出せずに終わった」と6月の試合を振り返り、「別人じゃないかと思わせる戦いをしたい。5年間頑張ってきた思いを爆発させたい」と熱い思いを口にした。

ヴァンザントは「RENAは私とリマッチして大丈夫かしら。ニューヨークでの試合と今回の試合で唯一変わる事は会場と、私の勝利者コールを聞くお客さんだけよ」と挑戦的なコメントを寄せた。

シュートボクシングを主戦場とするRENAは「1度だけ」と15年大みそかに総合格闘技デビュー。ここまでグラウンド技術の向上につとめてきたが、今回は「打撃でKOしたい」と得意の打撃にこだわるつもりだ。

末吉大「全体的にレベルアップした」骨折延期も自信

計量をクリアした挑戦者坂晃典(左)と王者末吉大

ボクシング日本スーパーフェザー級タイトルマッチの前日計量が、7日に都内で行われた。8日に東京・後楽園ホールで、同級王者末吉大(29=帝拳)はV5戦で、同級8位坂晃典(27=仲里)が2階級制覇を狙う。両者ともにリミットで計量をパスした。

末吉は「バッチリ。全体的にレベルアップした。すべてがでかくなった」と自信を見せた。この試合は9月に予定されたが、末吉が右足甲の疲労骨折で延期となっていた。1カ月はジムワークができなかったが、筋トレ、水泳、自転車こぎなどをこなして「いつもと違うことやって体に使い方がよくなった」。災い転じて福の効果を強調した。

世界ランク入りしていて、日本は卒業し、ステップアップしたいところ。「好戦的相手だが、自分の距離でしっかり差をつけたい。まずは目の前の試合に勝つ」と力を込めた。

坂は日本フェザー級に続く王座を狙う。「世界ランカーで相手に不足はない。もったいないくらいだが、攻撃的に倒せるように練習してきた。どのパンチも自信はある」と負けてはいない。後楽園ホールでは王座陥落など2勝3敗だが「自分に落ち度があった」と振り返る。今回は万全を期している。

計量前にホテルへチャックインする際に、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)と偶然出くわした。関大では同級生で、オフも一生懸命練習した仲良しだった。「前はうらやましかったが、ボクは結果を出していない。今までやってきたすべてを出して王者になる」と誓った。

イバン・ホリフィールドは偉大な父に追いつくことができるのか

クルーザー級とヘビー級で世界王者になったイベンダー・ホリフィールド(56=米)の息子、イバン・ホリフィールド(21=米)がスーパーウエルター級のプロボクサーとしてスタートすることになった。24日、トレーニング拠点のある米国テキサス州ヒューストンで発表したもので、親子での世界王者を目指す。

父ホリフィールドは84年ロサンゼルス五輪銅メダリストで、プロ転向後は1年8カ月でWBA世界クルーザー級王者になり、統一戦でIBF王座とWBC王座も獲得。その後、ヘビー級に階級を上げ、90年10月にジェームス・ダグラス(米)を3回KOで屠って2階級制覇を成し遂げた。ジョージ・フォアマン(米)やラリー・ホームズ(米)らを退けて3度の防衛を果たしたが、リディック・ボウ(米)に敗れて王座を失った。96年11月にはマイク・タイソン(米)に11回TKO勝ちを収めてヘビー級で3度目の戴冠を果たし、翌年の再戦では耳を噛みちぎられたが、相手の失格(反則負け)によって防衛に成功。37歳のときに4度目の王座につき、ヘビー級では最多の戴冠記録をつくった。

身長189センチ、体重100キロ前後と最重量級では小柄な方だったが、ハートの強さと戦術でカバーし、ボウとの3試合やタイソンとの初戦など数々の名勝負を残した。5度目の戴冠を目指して48歳まで戦い続け、27年間で57戦44勝(29KO)10敗2分1無効試合の戦績を残して引退した。

イバンは11人きょうだいの6番目で、アマチュアで85戦70勝15敗の戦績を収めている。154ポンド(約69.8キロ)が体重リミットのスーパーウエルター級にあって身長185センチと体格に恵まれている。プロ転向に際しては父親と同じメインイベンツ社とプロモート契約を結び、同じく父親がコンビを組んでいたコンディションニング・コーチの指導を仰いでいる。現時点ではデビュー戦は未定だが、イバンは「私を支えてくれるチームに感謝したい。世界チャンピオンというゴールを目指して日々努力していく」と決意を口にしている。

ただ、130年を超える近代ボクシングの歴史上、兄弟の世界王者が30例を超しているのに対し親子の世界王者はエスパダス親子、スピンクス親子、バスケス親子、チャベス親子、アリ親娘、ユーバンク親子の6例しかない。年齢が近いため切磋琢磨しながら同じ目標を目指せる兄弟と異なり、20歳~30歳の年齢差がある親子となると環境や価値観に大きな違いが出てくる。そのあたりが数字に表れているのではないだろうか。現にジョー・フレージャー(米)、ロベルト・デュラン(パナマ)、カルロス・サラテ(メキシコ)、アーロン・プライアー(米)といった歴史に名を刻む名王者の息子たちも父親の背中を追いかけたが果たせなかった。

イバン・ホリフィールドは偉大な父親に近づき、いつの日か追いつくことができるのだろうか。

右の長距離砲VS「キングコング」再戦WBCヘビー

42戦41勝(40KO)1分けという驚異的なレコードを誇るWBC世界ヘビー級王者、デオンタイ・ワイルダー(34=米国)が23日(日本時間24日)、米国ネバダ州ラスベガスで元WBA暫定王者で現WBC3位のルイス・オルティス(40=キューバ)を相手に10度目の防衛戦を行う。ワイルダーは昨年3月、7度目の防衛戦でオルティスと対戦し、ダウン寸前の窮地を脱して10回TKO勝ちを収めている。今回も最重量級らしい迫力のある攻防が見られそうだ。

ワイルダーは身長201センチ、リーチ211センチと大柄だが、体重は97キロ~104キロとヘビー級にしては常に軽めだ。ワイルダーとの初戦時、オルティスは約109キロ、V8の相手だったタイソン・フューリー(31=英国)は約116キロ、V9戦の相手は約115キロもあった。08年11月にプロデビューしてから11年、ワイルダーが相手よりも重い体重でリングに上がったことはわずか7回しかない。

それでも1度も負けていないだけでなく、95パーセント超のKO率を残しているのだから驚きだ。恵まれたリーチを生かしたスピーディーな左ジャブで距離を測り、相手のガードの間を割って右ストレート一閃(いっせん)。この攻撃パターンで多くの猛者をキャンバスに叩きつけてきた。粘る相手には強引ともいえる左右の連打を叩き込んで戦闘不能状態に追いやってきた。

そんなワイルダーだが、プロになって2度、敗北寸前まで追い込まれたことがある。最終回にダウンを奪って辛うじて引き分けに持ち込んだフューリー戦と、20カ月前のオルティス戦だ。特にオルティスとの初戦は厳しい戦いだった。ワイルダーは5回に軽いダウンを奪って優位に立ったものの7回に猛反撃に遭い、あわやレフェリー・ストップかというほどのダメージを負っている。態勢を立て直し10回に2度のダウンを追加してけりをつけたが、危ない試合だった。

その後、ワイルダーが2戦1勝1分けなのに対しオルティスは世界ランカーらを相手に3連勝(2KO)を収めている。

オルティスはアマチュアで368戦349勝19敗の戦績を残したあと30歳でプロに転向した遅咲きの選手で、15年から16年にかけてWBAの暫定王座に君臨したこともある。

プロ戦績は34戦31勝(26KO)1敗2無効試合。ワイルダーにはおよばないがKO率は76パーセントと高い。スピードとスキル、強打を併せ持ったサウスポーで、「キングコング」というニックネームがある。勝利のあと自らの胸を叩くパフォーマンスは有名だ。

実際に拳を交え10回まで戦ったことで、ともに相手の長所と弱点は分かっているはず。

現有戦力に加え初戦の反省と研究が今回の再戦のカギになりそうだ。それでも、オッズが初戦の11対4から9対2に広がっているようにワイルダー有利は揺るがない。右の長距離砲が序盤で火を噴く可能性もありそうだ。

なお、ワイルダー対オルティスの2週間後には、サウジアラビアのリヤド近郊ディリヤでWBA、IBF、WBO3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ、アンディ・ルイス(30=米国)対アンソニー・ジョシュア(30=英国)が行われることになっている。この2試合で最重量級の勢力図に変化が起こるのか、それとも安定化に向かうのか。まずは日本時間24日にラスベガスで行われるWBCタイトルマッチに要注目したい。

1年で大関陥落4度…新旧交代の予感、新大関誕生か

高安(2019年11月10日撮影)

大関陣が慌ただしい1年となった。高安が大関から陥落することが決定。現行のかど番制度となった69年名古屋場所以降、大関からの陥落は24度目になる。74年には当時大関だった清国と大麒麟が引退、大受が2場所連続の負け越しで関脇に陥落し、一気に3大関がいなくなったことはあるが、この1年も貴景勝(1場所で返り咲き)や2度陥落した栃ノ心を含めると4度も陥落があった。

大関からの陥落者が多い年は、新大関が誕生するケースも多い。琴奨菊、照ノ富士が陥落した17年は大関高安が誕生し、今年も貴景勝が大関昇進を果たした。3大関がいなくなった前述の74年は、北の湖が関脇から横綱まで昇進した。

今場所中、世代交代の波について問われた横綱白鵬は「時代が動いているね」と指摘した。貴ノ浪らが大関から陥落した00年に、入れ替わるように昇進した元大関雅山の二子山親方も「今は上位の実力が拮抗(きっこう)している。来年あたりには新旧交代となるんじゃないか」と予想した。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)