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明生3敗に後退「全部ダメ」相性悪い隠岐の海に完敗

隠岐の海に押し出しで敗れた明生(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

貴景勝と2人、2敗を守っていた西前頭10枚目明生(24=立浪)が隠岐の海に敗れ、3敗となった。

過去2戦2敗の相手に対し、自分の流れに持ち込めず、後手に回って押し出された。「相撲が悪かったです。全部ダメ。圧倒されました。気持ちで負けて、攻める姿勢が足りなかった」。

13日目はベテラン松鳳山戦。残り3日。「今まで通り、精いっぱいやります」と、気持ちを切り替えて、V戦線に食らいつく。

明生(右)は押し出しで隠岐の海に敗れる(撮影・加藤諒)

豊山が7場所ぶり幕内勝ち越し 新妻の存在が力に

千代翔馬(右)をひっかけで破る豊山(撮影・河田真司)

<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

再入幕の東前頭16枚目豊山(25=時津風)が、昨年名古屋場所以来7場所ぶりの幕内勝ち越しを決めた。千代翔馬に土俵際で体勢がのけぞるまで押し込まれたが、耐え抜いて逆転の引っ掛けを決めた。

「絶対に負けない、と必死でした。決まり手は何ですか? ひっかけ? 初めてですね」。勝負が決まった後、土俵上でほえたが、それも覚えていないほど興奮状態だった。

「今場所からは、もう自分1人じゃない。そういう思いも力になっていると思います」。場所前に結婚を発表した妻真梨絵さん(31)の存在も大きい。角界入り当時からライバル視された同学年の朝乃山が、名古屋場所で初優勝。度重なる負傷で伸び悩んできた大器が、ようやく復活ロードを歩み出した。

豊山は引っ掛けで千代翔馬を下してほえる(撮影・加藤諒)
豊山(右)は千代翔馬を引っ掛けで破る(撮影・柴田隆二)

歴代2位の11回目 不戦勝が魁聖の活力源

青狼の休場により不戦勝の勝ち名乗りを受ける魁聖(撮影・小沢裕)

東前頭4枚目の玉鷲(34=片男波)と東十両8枚目の魁聖(32=友綱)が、不戦勝で星を伸ばした。玉鷲は鶴竜、魁聖は青狼と取組予定だったが相手が休場。実はこの2人、不戦勝の回数が歴代1位と2位タイ。玉鷲は5日目の逸ノ城戦に続く今場所2回目で通算13回目、魁聖は11回目となった。

出羽錦と並ぶ1年半ぶり不戦勝に魁聖は「コツは他のことでツイてないことかな」と笑うが、すぐに真顔で「幕内上位で取ることが多かったから」と話した。結果も内容も問われる上位は途中休場も多く、その副産物だと分析する。玉鷲は「お客さんに相撲を見せられず残念」と話した。

この1年半の間に、玉鷲に追い越された魁聖は「名前を残したい。また幕内の上位に」と活力源となっている。魁聖は現在も継続中の横綱戦37連敗という、不名誉な1位記録も保持。「そっちは抜かれないと思うけど…」。【高田文太】

アルバレス4階級制覇なるか コバレフは危険な相手

現役ボクサーのなかで「最も稼ぐ男」として知られるサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)が11月2日(日本時間3日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBO世界ライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフ(36=露)に挑むことが決まった。アルバレスはスーパーウエルター級、ミドル級、スーパーミドル級で世界王者になっており、勝てば4階級制覇となる。ただ、「クラッシャー(破壊者)」の異名を持つコバレフは76パーセントのKO率を誇る強打者だけに、アルバレスにとってはリスクの高い冒険マッチといえそうだ。

現在もミドル級のWBAスーパー王座とWBAスーパーミドル級王座を同時に保持しているアルバレスは、昨秋にDAZNと「5年間に11試合、総額3億6500万ドル(当時のレートで約412億円)」という超大型契約を結んだ。1試合につき約37億円が保証される好条件だが、代わりに強敵とのマッチメークが続くハイリスクの契約でもある。事実、12月の初戦ではWBAスーパーミドル級王座への挑戦試合が組まれ(3回TKO勝ちで戴冠)、今年5月の第2戦ではIBFミドル級王者のダニエル・ジェイコブス(32=米)との統一戦がセットされた(12回判定勝ち)。この2試合でアルバレスは3階級制覇とミドル級3団体王座統一を果たしたが、のちにミドル級のIBF王座は剥奪され、WBCからは「フランチャイズ(特権)王者」にスライドさせられた経緯がある。それでも、このまま2階級の王座を保持したままコバレフに挑んで勝った場合、3階級の王座を同時に保持する可能性があるわけだ。

そんなアルバレス(55戦52勝35KO1敗2分)だが、コバレフ(38戦34勝29KO3敗1分)は文字どおり大きな壁になるかもしれない。米国を主戦場にしているコバレフは10年前のプロデビュー時からライトヘビー級で戦っており、この階級の主ともいえる存在だ。13年8月以降の16戦はすべて世界戦(13勝10KO3敗)で、3度の戴冠を果たしている。身長173センチ/リーチ179センチのアルバレスに対しコバレフは183センチ/184センチと体格でも大きく勝る。体重もライトヘビー級はミドル級よりも約7キロ、スーパーミドル級よりも約3キロ重い。アルバレス自身も「コバレフは大きくて危険な強打者」と認めているが、「だからこそリスクと向き合って挑戦する意味がある」とも話している。

アルバレスにとって危険なカードには違いないが、試合が発表された直後のオッズは9対2で挑戦者有利と出ている。直近の7戦でコバレフがアゴとボディの打たれ脆さを露呈して3敗(2KO負け)していることが理由だと思われる。ボディ攻撃が巧みなアルバレスがコバレフの弱点を突いて攻略してしまうだろうという見方が多いのだ。

予想どおりの結果になるのか、それともアルバレスの冒険が失敗に終わるのか。ゴングが待ち遠しい。

宝富士、初顔合わせ炎鵬下す 親方辛口助言?に奮起

宝富士(右)は上手ひねりで炎鵬を下す(撮影・加藤諒)

<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

西前頭8枚目宝富士(32=伊勢ケ浜)が炎鵬を下し、優勝争いトップと1差の3敗を守った。大ブレーク中の小兵との初顔合わせ。動き回る相手に慌てず、足取りに来たところを上手ひねりでつぶした。

「土俵で見て、予想以上のちっちゃさだった。あの体勢(土俵に落ちても)になっても足を離さず、力が入ってた。根性、すごいですよ」。白星に喜びながら、相手をたたえる。

この日の朝稽古で、部屋の安治川親方(元関脇安美錦)から「絶対に中に入られるな。どうせ入られるだろうけど」と辛口? の助言を受けた。「それを聞いて“絶対に入れるか”と思いました」と笑う。

16年名古屋場所以来となる幕内4度目の2桁白星にも王手がかかった。それどころか、2敗の貴景勝の今後次第で初優勝の可能性だってある。「あんまりこういうチャンスはないんで。でも、そこはあんまり考えずに」と言いながらも「あと3日か…そうしたら、何かいいことあるかもしれない」。人の良さそうな笑顔から、思わず本音がこぼれ出た。

炎鵬(右)は上手ひねりで宝富士に敗れる(撮影・加藤諒)

貴景勝が史上最速の大関復帰、特例母校リハビリ実る

10勝目を挙げて大関復帰を決め、支度部屋で記者の質問に耳を傾ける貴景勝(撮影・加藤諒)

<大相撲秋場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

関脇貴景勝(23=千賀ノ浦)が、史上最速の大関復帰を果たした。平幕の妙義龍を突き落として10勝目。夏場所の栃ノ心以来、現行のかど番制度となった1969年名古屋場所以降では6人7例目となる1場所での復帰となった。

76年名古屋場所で13日目に10勝目を挙げた三重ノ海より1日速い最速記録。さらに史上初となる大関復帰と幕内優勝の同時実現に向けて、2敗を守って単独トップに浮上した。関脇御嶽海ら5人の3敗勢が追走する。

   ◇   ◇   ◇

大関貴景勝が戻ってくる。手放さざるを得なかった地位を、再びつかんだ。「ひとまず良かったとかじゃないが、クリアしたかなと思う」。10勝目がかかった妙義龍戦。当たって下から起こすと、体を開いて左から突き落とし。取組時間は1・2秒だった。

「出ずに陥落したことは本当に無念だった」。右膝を負傷しながら再出場して敗れた夏場所8日目から、この日がちょうど4カ月だった。かど番だった名古屋場所も夏巡業も全休し、基本は1人で治療とリハビリ。その間に「離れていく人もいた」と明かす。世の中の関心が薄まり、ある後援会の会員数は一時的に微減した。同時に「変わらず応援してくれる人に恩返ししたい」気持ちが強まった。

大関復帰に向けて、異例の調整を準備してくれたのが、かつての恩師と今の師匠だ。4カ月中の約1カ月半は、初心に戻ろうと母校の埼玉栄高で住み込みのリハビリ。7年前の高校入学直後に「一生付き合っていこう」と誓ってくれた相撲部の山田道紀監督(53)が、寝食そろう環境を用意してくれた。ただ、師弟関係を重んじる相撲界。本来なら部屋で稽古するのが通例だが、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「大関だから自分のやることを信じればいい」と特例を認めてくれた。「師匠も山田先生も自分のやり方を受け入れてくれる。1人ぼっちだなあって思う半面、自分のためにいろんなことをやってくれる人がいると気づいた」。

勝ってかぶとの緒を締める。あくまで来場所の番付が決まっただけ。「1つの区切り。ここで満足したら、終わってる」。2度目の天皇賜杯で、大関復帰に花を添える。【佐藤礼征】

◆かど番制度 69年名古屋場所から、大関は2場所連続で負け越すと関脇に陥落することが決まった。しかし、翌場所10勝以上した場合は大関に復帰できる。

引き揚げる貴景勝は子供の頭をなでなでする(撮影・柴田隆二)
妙義龍を下し2敗をキープする貴景勝(撮影・河田真司)
貴景勝(左)は突き落としで妙義龍を下す(撮影・加藤諒)

御嶽海、北勝富士ら「花のヨン組」が盛り上げる

 若武者が名古屋の土俵を盛り上げている。初日に横綱を倒した24歳の御嶽海と大関初挑戦で初勝利を挙げた24歳の北勝富士、自己最高位の東前頭4枚目で2連勝の25歳宇良は、いずれも平成4年生まれで、しかも15年春場所に初土俵を踏んだ同期だ。

 「花の○○組」といえば「ロクサン組」を思い浮かべる方は少なくないだろう。昭和63年春場所で初土俵を踏んで活躍した力士たちの総称だ。元横綱の曙、3代目若乃花、貴乃花、元大関魁皇らを中心に一時代を築いた。他にも昭和28年生まれの元横綱の北の湖、2代目若乃花、関脇麒麟児らの「花のニッパチ組」なども知られている。

 今まさに「花のヨン組」が盛り上げている。2日目には、御嶽海と北勝富士の元学生横綱同士の対決が組まれた。勝った関脇御嶽海は「(北勝富士は)強いです。(対戦は)うれしい。いい方向に気合が入っている」とうなずいた。自己最高位の西前頭2枚目の北勝富士は「意識しないようにしたけど」と唇をかんだ。

 平成4年生まれには、新十両翔猿や十両大奄美ら他にも有望株がいる。20代半ばで脂が乗ってきた彼らが、近い将来の相撲界を引っ張っていくような気がしている。【佐々木隆史】

嘉風引退に角界ショック 影響力の強さ感じさせた

嘉風(19年3月撮影)

関取最年長で元関脇の十両嘉風(37=尾車)が秋場所5日目の12日に日本相撲協会へ引退届を提出し、角界にもショックが広がっている。

5日目の取組後、支度部屋で「嘉風引退」を知らされると、ほとんどの関取が目を丸くしていた。年齢の近い琴奨菊は「本当にいいアドバイスをくれるんだよね。『自分を貫き通せ。(周りの意見は)全部聞き流せ』とか、なかなか言ってくれる人いないよ」。大関復帰を目指す貴景勝も影響を受けた1人だ。「自分がベラベラしゃべるものじゃない。軽くなっちゃうから」と前置きした上で「30代で真っ向勝負。自分も嘉風関の押し方をまねしたこともある」と打ち明けた。初めて幕内上位に上がったときは「上位の先入観にとらわれるな」と言葉をもらったという。幅広い年代からの支持が、影響力の強さを感じさせた。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

天国に旅立ったムギのために活躍届ける荒汐部屋勢

「荒汐部屋のモルとムギ」発売記念イベントで、若い衆の大部屋でファンと交流するムギ(16年10月撮影)

荒汐部屋の看板猫「ムギ」が5日に死んだ。部屋の若い衆によると7月に容体を崩し、足に腫れが見られたという。最初に連れて行った病院では「肉離れ」と診断されたが、食欲が出ないなど体調が回復せず、他の病院での検査で悪性腫瘍と判明。部屋でムギと最も仲が良かったという福轟力は6日、ツイッターで「肺の腺癌でした」とつづった。ムギは同じ飼い猫の「モル」とともに荒汐部屋で暮らしていた。テレビやSNSで紹介され人気を博し、16年にはモルとムギ、部屋の力士が登場する写真集「荒汐部屋のモルとムギ」(リトル・モア社)が発売されるなど、一部でブームを巻き起こした。

突然の別れに部屋で一番の兄弟子、十両蒼国来(35)は「悲しいね。本当に何を言っていいのか分からなかった…」と肩を落としていた。涙を流す若い衆もいたという。その影響か、蒼国来によると「みんな気合が入っている。特に幕下が調子が良くて、期待大だね」と熱弁。部屋全体で4日目終了時点で15勝11敗と白星が先行。天国に旅立ったムギのためにも、活躍を届けたい荒汐部屋勢だ。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

横綱DNA持つ琴鎌谷、重圧から逃げず新十両に前進

支度部屋へ引き揚げる琴鎌谷(撮影・河田真司)

横綱のDNAを持つ逸材が、新十両へ前進した。東幕下2枚目琴鎌谷(21=佐渡ケ嶽)が7番相撲で勝ち越しを決めて4勝3敗。3連勝から3連敗したが「師匠に『十両とか考えずラクにいけ』と言われて吹っ切れた」。父は師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)で、母方の祖父は元横綱琴桜。3代にわたって関取の座をつかむ勢いだ。

「先代は雲の上の存在だと思っている」と、偉大な祖父に敬意を払う。5歳から相撲を始めたが、小4で祖父が亡くなると、意識が一変。師匠は「先代が亡くなった直後に『埼玉栄中にいきたい』って言い出したんだよな」と明かす。親元を離れて、高校相撲の名門、埼玉栄高の付属中学への進学を決意。小5から自発的に地元のサッカークラブに入り、将来の角界入りに向けて下半身を強化した。

血筋を重圧に感じることもあった。中学、高校、入門当時と常に注目を浴びる日々。「勝つたびに周囲から言われて気にすることもあった。今は、他の人にはできない経験だと思えている。自分の実力で、自分を押し上げたい」。将来的な目標は、師匠と先代の番付に追いつくこと。道半ばだが、1歩前進した。【佐藤礼征】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

琴鎌谷(左)は押し出しで美ノ海を下す(撮影・小沢裕)