ジョシュ・テイラー対テオフィモ・ロペス 元4団体王者の実力者同士の緊迫した試合に注目
19戦全勝(13KO)の戦績を誇るWBO世界スーパーライト級王者、ジョシュ・テイラー(32=イギリス)が6月10日(日本時間11日)、アメリカのニューヨークで元3団体統一世界ライト級王者で現WBO世界スーパーライト級1位、テオフィモ・ロペス(25=アメリカ)を相手に2度目の防衛戦に臨む。テイラーは1年前まで4団体統一王者だったが、各団体から課された別々の指名試合をクリアできないことから3本のベルトを放棄、現在はWBO王座だけを保持している。下馬評はテイラー有利と出ているが、両者の実力は伯仲しており緊迫した試合になりそうだ。
テイラーは2019年5月にIBF王座を獲得し、5カ月後にWBA王座を吸収。両王座の防衛戦を挟んで2021年5月にはWBC、WBO王者のホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)と対戦し、2度のダウンを奪って12回判定勝ち、4団体の王座統一を果たした。昨年2月にはWBO1位のジャック・カテロール(イギリス)を退けて統一王座の防衛も果たした。カテロール戦は顔面をカットしたりダウンを喫したり、はたまたゴング後の加撃で減点されたりと散々だったが、その試合を含めて5度の世界戦すべてで全勝の相手と戦っているのだから価値がある。
しかし、その後は各団体が異なる相手との防衛戦を指名してきたためテイラーはWBOのベルトだけを手元に置いて3本は放棄。さらに今年3月に計画されたカテロールとの再戦を自身の足の負傷でキャンセルしており、1年4カ月のブランクができてしまった。3対2のオッズで有利とみられてはいるが、ロペスの地元に乗り込んでの試合ということも加わり不安を抱えての試合となる。
ロペスは2019年12月にIBF世界ライト級王座を獲得し、翌2020年10月にWBAスーパー王座、WBCフランチャイズ(特権)王座、WBO王座を持つワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に12回判定勝ちを収め、事実上の4団体王者になった。まさに飛ぶ鳥を落とすほどの勢いで、そのまま一時代を築くかと期待されたものだ。
ところが13カ月後の防衛戦でジョージ・カンボソス(オーストラリア)に12回判定負けを喫し、無冠に逆戻りしてしまった。パワー依存の雑な戦いぶりだったこともあり評価も急降下した。これを機にスーパーライト級に転向して2連勝を収めているが、直近の試合ではダウンを喫するなど内容は芳しいものではない。以前のような勢いが感じられなくなっている点が気になる。戦績は19戦18勝(13KO)1敗。
体格で勝るサウスポーのテイラーがアウトボクシングをベースにして戦い、攻撃型のロペスがプレッシャーをかけながら飛び込む機会をうかがう展開が予想される。王者有利は不動といえるが、テイラーも16カ月前の試合でダウンを喫するなど安定感を欠いており、ロペスが付け入る隙は十分にありそうだ。