上へ戻る

au版ニッカン★バトル

新着

大相撲裏話

東大・須山2連勝 同部屋・志摩ノ海「東大生らしい学ぼうという姿勢」宇良「自分たちも刺激に」

前相撲で須山は若大根原を破り2連勝(撮影・足立雅史)

日本の最難関大学とされる東大から初の角界入りを果たした須山(24=木瀬)が前相撲2日目も白星を挙げ、初日に続き2連勝を飾った。対戦相手はともに10代だったが、「(土俵に上がれば)年齢なんて関係ないです」ときっぱり言った。師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)から言われた「前に出ろ」というアドバイスを忠実に実践している。

異色の経歴を持つ須山は、一から学ぼうとする姿勢を崩さない。先輩の幕内力士たちも、そんな弟弟子に大きな注目を寄せている。

同じ木瀬部屋に所属する平幕の志摩ノ海(32)と宇良(29)に後輩について尋ねると、2人とも貪欲な姿に好感を持っていた。志摩ノ海は「すごく学ぼうという姿勢がある。いろいろ聞いてきてくれて、そこが東大生らしい」と答えた。

宇良は須山とまだ世間話程度しか会話したことがないようで、「(相撲を学ぶ相手として)この人は違うなと思われてるかもしれない」と笑った。それでも「学ぼうという姿勢は自分たちも刺激になる。こちらも東大に興味があるし、(須山は)相撲取りに興味がある。これからが楽しみですね」と、後輩との交流を心待ちにしていた。【平山連】

前相撲で須山(左)は若大根原を破り2連勝(撮影・足立雅史)
大相撲裏話

ジョージア出身の相撲ヨーロッパチャンピオンが角界入り目指す「相撲の文化が好き」迫る年齢上限

好きな日本語は「頑張る」。ジョージアから角界入りを目指すアミラン・ツィコリゼ(撮影・平山連)

ジョージア出身の若者が、角界入りを目指して入門できる相撲部屋を探している。アマチュア相撲ヨーロッパチャンピオンに輝いたアミラン・ツィコリゼ(23)は、知人を頼り5月に来日。複数の部屋に訪れて入門先を探したが、今回の約1カ月間の滞在では見つからなかった。力士になれる年齢上限が迫る中でも、希望は失わない。近く再来日し入門先を決めたいという。

帰国前の6月中旬、都内でアミランに会った。大好きな相撲について質問すると、英語と独学で学んだ日本語を駆使して一生懸命に語る。好きな力士には「北の湖、千代の富士、白鵬」を挙げ、現役幕内力士の栃ノ心(34=春日野)や元小結の臥牙丸らジョージアから海を渡った先輩たちに憧れていることを熱弁した。自分もいつかスポットライトを浴びる日を夢見てやまない好青年に映る。

幼い頃は柔道に打ち込んだ。「新しいチャレンジがしたい」と、相撲大会に出るようになったのは5年ほど前。16年にモンゴルで行われた世界選手権U-18部門で優勝すると、アマチュア相撲界のトップ選手に名乗り出た。21年度は欧州選手権のU-23部門で優勝、シニア部門では3位、さらに欧州杯のシニア部門で優勝した。199センチ、170キロの恵まれた体格で「押しも四つもどっちもできる」という万能さが武器だ。

日本の相撲界に入りたかったが、世界的に拡大が続いた新型コロナウイルスにより来日が遅れた。気がつけば、23歳。日本相撲協会が定める新弟子検査受検の年齢制限はスポーツ経験者を対象に23歳未満から25歳未満に緩和される特例があるため、少し時間は残されている。ただ、同協会の内規により外国出身力士は1部屋1人と決まっているため、入門先を探すだけでも一苦労だ。

入門先が決まらず少し落ち込んでいるように見えたが、今後について尋ねると「あきらめるつもはないよ」と強調した。相撲の魅力について「ただ、体がデカいだけではないけない。心技体を合わせて向かっていく、相撲の文化が好きなんです」と目を輝かせた。そんな若者の行く末に注目せずにはいられない。【平山連】

ジョージアから角界入りを目指すアミラン・ツィコリゼ。好きな日本語は「頑張る」(撮影・平山連)
リングにかける

リハビリ中のぱんちゃん璃奈、来春復帰目指す「1カ月後からシャドーができるようなので楽しみ」

右拳を突き出し、元気な姿をみせる人気キックボクサーのKNOCK OUT女子2階級制覇王者ぱんちゃん璃奈

人気キックボクサーでKNOCK OUT-BLACK女子2階級制覇王者のぱんちゃん璃奈(28=STRUGGLE)は1年後のリング復帰に向けてリハビリを続けている。

4月、練習中に断裂した左ひざ前十字靱帯(じんたい)の手術を受けたぱんちゃんは今月12日、東京・書泉グランデでファースト写真集「虹色ぱんちゃん」の発売記念イベントに参加。ファンとのサイン本お渡し会、特典会前に報道陣に対応し、リハビリ状況なども報告した。

1年後の復帰に向け、はやる気持ちを抑えることはできないのだろう。トレーニングの負荷をあげた影響で左ひざに水がたまり、2週間程度の安静を担当医から指示されたことも明かした。イベントも歩き方も左足をかばっていた。他ファイターがリングで躍動しているところがうらやましいのだという。

ぱんちゃんは「すごくストレスがたまります。格闘技の試合を見るたびに『いいな…』と。1カ月後からシャドー(ボクシング)ができるようなのでそれを楽しみにしています」と自身の気持ちをコントロールしようと心掛けている様子がうかがえた。

アスリートは常にけがと隣り合わせでプレーしている。サッカーなどの取材を通じ、何人もひざ前十字靱帯を断裂する選手を目の当たりにしてきた。アスリートたちが周囲から言われる言葉は共通している。「休むことも練習だ」と。難しいことかもしれないが、立ち止まることもトレーニングという心身のコントロールが大事になる。長く競技生活を続けるためにも重要なのだと思う。

ぱんちゃんは「(リング復帰まで)1年は待てなくて、10カ月とか11カ月弱では復帰したいなと。来年2、3、4月ぐらいにやりたいなと思って、焦ってしまったので…。4月13日に手術したので、1年はかからずに復帰したいです」と意欲を示していた。

再びリングで躍動するため、今は忍耐の時。何も花が咲かぬ日は下へ下へと根を伸ばす-ではないが、来春、パーフェクトな状態でぱんちゃんがカムバックすることも、ファンに向けた恩返しの1つになるのではないか。焦らないで欲しいと切に願うばかりだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

自身の初写真集を披露する人気キックボクサーのKNOCK OUT女子2階級制覇王者ぱんちゃん璃奈
原功「BOX!」

スーパー・バンタム級アフマダリエフ対リオスに注目 「モンスター」井上尚弥が近い将来参入確実視

スーパー・バンタム級のWBAスーパー王座とIBF王座を持つムロジョン・アフマダリエフ(27=ウズベキスタン)が25日(日本時間26日)、WBA1位、IBF4位のロニー・リオス(32=アメリカ)を相手にアメリカのテキサス州サンアントニオで両王座の3度目の防衛戦に臨む。スーパー・バンタム級といえばバンタム級3団体王者の井上尚弥(29=大橋)が近い将来に参入することが確実視される階級だ。日本のファンならずとも王座の行方が気になるところといえる。

先ごろアメリカの老舗専門誌「リング・マガジン」で、階級を超越した格付けランキング、パウンド・フォー・パウンドでNO,1に躍り出た井上の近未来は、いまや世界中のボクシングファンの関心ごとといえる。6月7日にノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)を2回TKOで下してWBC王座を吸収した井上は試合直後、WBO世界バンタム級王者のポール・バトラー(英国)との4団体統一戦を第一希望として挙げた。そのうえで「年内にバトラーとやれないのならばスーパー・バンタム級に上げる」と加えた。このプランどおりに行けば早ければ2022年中、遅くとも来春にはバンタム級よりも約1.8キロ重いスーパー・バンタム級に転向することになる。

これにより俄然注目されるようになったのがスーパー・バンタム級のWBC、WBO王者のスティーブン・フルトン(27=アメリカ)とアフマダリエフだ。フルトンは井上対ドネアの3日前に2度目の防衛を果たしており、すでに「モンスター」を迎え撃つ態勢は整っている。そして今回、アフマダリエフが防衛を果たせば、こちらも準備完了となる。

ウズベキスタン出身のアフマダリエフは2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級で銅メダルを獲得するなどアマチュアで320戦300勝(80KO)20敗の戦績を残している。プロ転向は2018年3月で、以来4年間に10戦全勝(7KO)をマークしている。2020年1月にダニエル・ローマン(アメリカ)に競り勝って2団体王座を獲得し、昨年4月にはIBF暫定王者の岩佐亮祐(セレス)を5回TKOで下して初防衛に成功。7カ月後には2度目の防衛を果たしている。

中間距離で強さを発揮するサウスポーの攻撃型で、外から巻き込むようにして叩きつける左フックと返しの右フックが主武器だが、やや攻防分離の傾向がある。井上が階級を上げた場合、アフマダリエフの体力とパンチ力には注意が必要になりそうだ。

挑戦者のリオスは33戦30勝(16KO)3敗の戦績を残している好戦派で、5年ぶり2度目の世界戦となる。こちらも中間距離での戦いを得意としているだけにアフマダリエフとは歯車が噛み合いそうだ。戴冠を果たせば井上との対決も考えられるだけにモチベーションは高いものと思われる。

1年以内に井上がスーパー・バンタム級に上げた場合、対戦が考えられる王者はフルトン、アフマダリエフ、リオス(勝った場合)ということになる。体重および体格差がどんな影響を及ぼすのか不確定要素はあるものの、総合力で井上が3人を上回っていることは間違いない。今後、スーパー・バンタム級も「モンスター」を軸に動いていくことになりそうだ。

まずは、25日のアフマダリエフ対リオスに注目しよう。

WWEの世界

人妻となった「小悪魔」ブリスと大人の香り漂わせてきた「カワイイ系」モーガンが合体で新コンビ

新タッグをスタートさせた「小悪魔」アレクサ・ブリス(左端)と「かわいい系」リブ・モーガン(右端)(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第31回WWEの世界>

WWEに新たな女子タッグチームがスタートした。人妻となった「小悪魔」アレクサ・ブリス(30)、大人の薫りを漂わせてきた「かわいい系」リブ・モーガン(28)が緊急合体。早速、タッグ初戦で快勝するなど好発進した。米専門メディアによると、ブリス、モーガン組として女子タッグ戦線に殴り込みをかけることになるという。WWEファンからも歓迎された新コンビが注目されている。

   ◇   ◇   ◇

6月13日のロウ大会(米カンザス州ウィチタ)でブリス、モーガン組が本格的に始動した。ドゥドロップ、ニッキー・A・S・H組と対戦して勝利。この白星で2人は7月2日に米ラスベガスで開催されるプレミアム・ライブ・イベント(旧PPV)のマネー・イン・ザ・バンク(MITB)大会で組まれたMITB女子ラダー戦出場権も獲得していた。

6選手が出場(予定)し、ラダーによじ登り、リングの天井につるされた王座挑戦権利証入りブリーフケースをゲットするMITBラダー戦。新タッグで出場権を手にしたブリス、モーガン組はWWE製作の番組「ロウ・トーク」にそろって出演し、友好的なジョークを交えながらライバル心をのぞかせた。モーガンは「私はブリスとチームを組むのが楽しいが、ブリーフケースをつかむつもりなので、あなたの友人にはなれないわ」と言えば、ブリスも「それ(ブリーフケース)は私のもの。私へのプレゼントだから、ごめん」と笑顔をみせながらお互いに健闘を誓い合っていた。

WWEファンの間でもブリス、モーガン組の可能性について話題になっており、早くもSNS上でタッグチーム名も議論されているほどだ。WWE女子タッグ王者だったサーシャ・バンクス、ナオミ組の無期限活動停止処分の影響で女子タッグ王座は空位の状態。女子タッグ王座トーナメント開催も計画され、正式決定すれば新タッグがエントリーされることは間違いないだろう。

30歳になった「小悪魔」ブリスは今年4月、婚約者の歌手ライアン・カブレラと結婚式を挙げた。古傷の鼻骨6カ所を手術を受け、コンディションを整えている。ロウ女子王座3度、スマックダウン女子王座2度、WWE女子タッグ王座2度獲得。18年MITB女子ラダー戦覇者でもある。タイトル獲得の経験がないモーガンにとってはブリスの存在こそが大きな刺激、プラス材料になるだろう。

WWEで人気の高い「小悪魔」と人気上昇中「かわいい系」の融合が、どのような化学反応を起こすのか。まずは来月の注目イベントで控えるMITB女子ラダー戦に出場するブリス、モーガンの動向から目が離せない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

原功「BOX!」

WBOバンタム級王者ポール・バトラー、井上尚弥との4団体統一戦に自信

ノニト・ドネア(39=フィリピン/アメリカ)との2年7カ月ぶりの再戦で衝撃的な2回TKO勝ちを収めた井上尚弥(29=大橋)の次戦が早くも注目を集めている。ドネア戦で獲得したWBC世界バンタム級王座を含め同級WBAスーパー王座とIBF王座に君臨する井上は、主要4団体のうち残るWBO王座の収集にも強い興味を抱いている。少々気が早いが、そのWBOのベルトを持つポール・バトラー(33=英国)を紹介しよう。

英国イングランド北西部に位置するチェスターで生まれたバトラーはアマチュアを経て、2010年12月に22歳でプロデビュー。スーパーフライ級の英国王座や英連邦王座を獲得したあと、2014年6月にスチュアート・ホール(英国)に競り勝ってIBF世界バンタム級王座を獲得した。このときは戴冠から1カ月足らずで「本来の階級であるスーパーフライ級に戻るため」という理由で王座を返上している。

その言葉どおりスーパーフライ級に戻ったバトラーは2015年3月、長身サウスポーのゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)の持つIBF王座に挑んだが、左アッパーを浴びて痛烈なダウンを喫し8回TKOで敗れた。18戦目での初黒星だった。

再起して主戦場をバンタム級に定めたバトラーは2018年5月、IBF王座の決定戦に出場するチャンスを得たが、前日計量で約1.5キロの体重オーバーのため失格。その時点で戴冠資格を失いながら試合には出たが、初回に2度のダウンを喫したすえエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に大差の12回判定で敗れた。ちなみに、この20日後に井上はジェイミー・マクドネル(英国)を1回TKOで下してWBA世界バンタム級王座を獲得。さらに、その1年後にはロドリゲスと対戦して2回KO勝ちで2団体王座統一を果たしている。もしも4年前に遡りバトラーがロドリゲスに勝ってIBF王者になっていたら、もっと早く井上対バトラーが実現していた可能性もあったわけだ。

ロドリゲス戦後、バトラーは8連勝を収めてWBO王座に挑む権利を得たが、王者のジョンリエル・カシメロ(フィリピン)の事情によって2度も直前に試合が中止となった。今年4月、カシメロの代役と対戦して12回判定勝ちを収め、WBO暫定王座を獲得した。のちにカシメロの王座が剥奪され、バトラーが正王者に昇格したという経緯がある。戦績は36戦34勝(15KO)2敗。

バトラーはガードを固めながら足をつかって動き、左ジャブから右ストレート、距離が詰まるとボディブローを多用する。右のボクサー型のカテゴリーに入る選手だ。KO率は約42パーセント。ただ、直近の8勝のうちKOはひとつだけで、23戦全勝(20KO)の「モンスター」と比較するとパワー不足の感は否めない。体格面でもバトラーが身長168センチ/リーチ165センチ、井上が165センチ/171センチとWBO王者に優位性はない。

バトラーは昨秋にドネアと同じプロベラム社とプロモート契約を結んだ。大きな試合を前提にしてのことである。その夢の大舞台が現実のことになろうとしているのだから、井上との一戦に対して「ノー」という返事はないと信じたい。バトラーは「条件が合えば日本に行って戦う準備がある。10月上旬なら調整が間に合う」と4団体統一戦に前向きなコメントを発している。そして「井上は特別な選手だが、私は勝てると信じている」と自信もみせている。

すでに交渉が始まっていると伝えられるだけに、今後の動きに注目していきたい。

リングにかける

朝倉未来のメイウェザー攻略の糸口は?過去のエキシビションマッチ3戦を振り返り解説

9月に日本での対戦が決定したメイウェザーと朝倉 (C)RIZIN FF

プロボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45=米国)が9月に日本で、RIZINフェザー級を主戦場とする朝倉未来(29=トライフォース赤坂)とエキシビションマッチで対戦することが14日、発表された。

詳細日程、会場、ルールは今月中に発表される予定。17年の正式引退後、4試合目となるエキシビションマッチとなる。過去3戦を振り返りながら、メイウェザー攻略の糸口を探る。

   ◇   ◇   ◇

ヘッドギアを装着しないボクシングのスパーリング形式というエキシビションマッチの新分野イベント。自ら考案したと主張するメイウェザーは相手によってパターンを変えつつも、現役時代の「打たせずに打つ」スタイルを貫き、イベントを成功させてきた。過去3戦を振り返りながらエキシビションマッチ仕様メイウェザーの攻略ポイントをチェックしてみる。

<1>那須川天心戦(18年12月31日=さいたまスーパーアリーナ)身長173センチのメイウェザーが同165センチの那須川にヒヤリとさせられた。スピード感あふれる左ストレートが顔面をかすめるとリラックスした表情と動きが一変。引退直前はウエルター級(66・6キロ)だったメイウェザーに対し、那須川はRISEフェザー級(57・15キロ)。ボクシングの階級で言えば4階級下となるため、体格差を生かした圧力をかけて距離を詰め、左フックなどでダウンを奪ってみせた。

<2>ローガン・ポール戦(21年6月6日=米マイアミ・ハードロック・スタジアム)人気ユーチューバーでプロボクサーのポールは身長188センチでクルーザー級(90・72キロ)が主戦場。メイウェザーにとって5階級上の相手だったが、体格差の不安は杞憂(きゆう)に終わった。ポールがボクサーらしい右ストレートを打てないと分かると、自らの距離を保って強烈な左右両フックも堅いガードやタイミングで回避。判定なしのルールのために最終8回まで戦い切ろうとクリンチしてきたポールに合わせて戦った。会場からはブーイングが出たものの、終始笑顔だった。

<3>ドン・ムーア戦(22年5月21日=UAEアブダビ・エティハド・アリーナ)42歳のムーアは16年に引退した19戦無敗の元ボクサー。メイウェザーの叔父ロジャー氏のもとで現役を続け、メイウェザーの練習パートナーでもあった間柄。体格はほぼ同じで、メイウェザーは身長178センチのムーアとの距離感をすぐつかみ、ロープに追い込んで連打する展開を続けた。6回終了後にはラウンドガールの持つラウンドボードを持ってリングを歩くパフォーマンスとダンスも披露。最終8回、左ボディーでダウンも奪った。判定なしも、内容は完勝だった。

 ◇   ◇   ◇

今回、エキシビション4戦目の対戦相手となる朝倉はRIZINフェザー級(66キロ)が主戦場。身長177センチでムーア戦と同様、ほぼ同じ体格、ウエートでの対戦になりそうだ。過去3戦でただ1度、ヒヤリとさせられたのは那須川戦のスピード感ある左拳。メイウェザーにとって那須川戦以来となるサウスポーとの対戦でもある。

朝倉が左ストレートのスピードを上げ、狙いどころを磨いていけば、活路があるのではないかとみる。45歳となったメイウェザーの動体視力の低下もあるだろう。ボクシングのスキル、経験で百戦錬磨のメイウェザーにかなわないが、現在未定の決着ルールに関係なく、いかにパンチを当てることができるかで観客や視聴者は勝敗を判断するだろう。

朝倉が左拳のスピード、的中率を上げることが大きなカギになると見ている。そういった想像を膨らませながら9月を待つのも面白い。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

リングにかける

朝倉未来、堀口恭司の予想は天心 6・19「THE MATCH」那須川天心-武尊戦勝敗予想

2022年4月7日、「THE MATCH 2022」記者会見でポーズを決める那須川天心(左)と武尊(右)。中央は榊原信行実行委員

立ち技格闘技界の世紀の一戦、あなたはどちらが勝つと予想しますか?

RISE世界フェザー級王者・那須川天心(23)-K-1の3階級制覇王者で現スーパーフェザー級王者・武尊(30)戦をメインに組んだ「THE MATCH 2022」が19日、東京ドームで開催される。41戦無敗の那須川と、41戦40勝の武尊。最強の中の最強を決める戦いは、スポンサーや所属団体の問題などを乗り越え、8年越しで実現した。

格闘技ファンならば1度はその実現を妄想し、勝敗を議論して楽しんだことがあるという人もいるのではないだろうか。試合だけでなく、大会前の勝敗予想や展開予想も格闘技の醍醐味(だいごみ)の1つ。ここでは、プロ格闘家が今回の一戦をどのように予想しているのか、振り返っていきたい。

◆RIZINファイター朝倉未来 勝利予想:那須川(自身のユーチューブチャンネルより)

「那須川天心の判定勝ちです。スピードは那須川選手の方が絶対に早い。パワーは武尊選手があるし、KO率も高い、根性もあります。そう考えるといい試合になるかと思うが、武尊選手はスロースターターなんですね。天心が1回はもらわずに当てていく。武尊選手はパンチが空振りになっちゃうと思う。2回くらいまでは天心有利の展開が続くんじゃないか。ギアを上げて、だんだん詰められて、さばききれなくなる。3回は武尊選手。延長も同様。ぎりぎり天心の判定勝ちなんじゃないか」

◆RIZINバンタム級王者堀口恭司 勝利予想:那須川(ABEMA格闘技CH公式ユーチューブチャンネルより)

「KOでも天心君だと思うし、判定でも天心君がとりに行くんじゃないかなと思う。細かい技術であったり、体重の戻しの制限など、武尊君に不利まではいかないけれど厳しい条件なんじゃないか。テクニックとスピードの天心君と、パワーとスタミナの武尊君って感じです」

◆日本人初のK-1 WORLD MAX世界王者魔裟斗 勝利予想:那須川より(ABEMA格闘技CH公式ユーチューブチャンネルより)

「天心は子供の頃から格闘技の英才教育を受けてきたエリート。武尊は努力と根性でここまで上がってきた根性の塊。勝負は1回。天心のスピードがすごくあると思うので、そこに武尊がついていけるか。しかもサウスポーで、どちらかと言ったら武尊はサウスポーがそんなに得意じゃない。1回に天心の攻撃、左ストレートなどが見えないとちょっと怖い。1回をクリアできれば、武尊のぺースになるが、ボコボコに打たれたらそのまま1回決着の可能性も」

◆RIZINバンタム級日本GP2021優勝者扇久保博正 勝利予想:武尊(自身のユーチューブチャンネルより)

「武尊選手の判定勝ち。体格差や階級さもあるので、押し切りそうなイメージがある。最初は蹴りで削っていくので軸がぶれない。サウスポーに対して、どれだけ右のインロー、右の前蹴りを蹴っていけるかじゃないか。ただ、天心選手を捕まえるのはなかなか難しい」

番外編

◆ABEMA視聴者投票

9日放送の特番内で視聴者によるリアルタイム投票を実施。武尊が70%、那須川が30%を獲得した。

◆ベットチャンネル

13日現在、那須川のオッズが1・89倍、武尊が1・87倍となっている。

【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

原功「BOX!」

圧倒的有利17戦全KO勝ちベテルビエフに「シンデレラマン」スミスが番狂わせ狙う

今年は各階級でチャンピオン同士が対戦して雌雄を決するケースが目立つが、18日(日本時間19日)にはアメリカのニューヨークでライト・ヘビー級の3団体王座統一戦が行われる。17戦全KO勝ちのハードパンチャー、WBC、IBF王者のアルツール・ベテルビエフ(37=ロシア/カナダ)と、何度も番狂わせを起こしてきたことから「シンデレラマン」と呼ばれるWBO王者、ジョー・スミス(32=アメリカ)が拳を交えるのだ。王者同士の頂上決戦だが、オッズは7対1でベテルビエフの圧倒的有利と出ている。

ベテルビエフは2008年北京大会(2回戦敗退)、2012年ロンドン大会(2回戦敗退)と五輪に2度出場したほか、2009年世界選手権で優勝、2007年世界選手権では準優勝するなど輝かしいアマチュア実績を持つ。

アマチュアで長いこと活躍したためプロ転向は28歳だったが、その遅れを取り戻すかのようにKO勝ちを続けていった。元世界王者を下したり複数の地域王座を獲得したりしながらトップ戦線に割り込み、2017年11月にはIBF世界ライト・ヘビー級王座を獲得した。このときの戦績は12戦全KO勝ちだった。その後、自身の故障やプロモーターとの摩擦が生じるなどして試合間隔が空いたが、そんななか2019年にはWBC王者に10回TKO勝ちを収めて2団体王者になっている。昨年は2試合こなし、半年のスパンで今回の3団体王座統一戦に臨む。

WBO王者のスミスは2009年10月にプロデビューした。6連続KO勝ち後、7戦目で4回TKO負けを喫したのが響いたのか出世までに時間がかかった。ベテルビエフとは対照的な歩みといえる。初めて大きな脚光を浴びたのは26歳のときだった。13対1という悲観的な予想のなか世界上位ランカーに1回TKO勝ちを収めたのだ。続いて元世界2階級制覇王者のバーナード・ホプキンス(アメリカ)との試合が組まれたが、またもスミスは5対2のオッズをひっくり返して8回KO勝ちを収めた。その後も不利とみられた試合で勝利を収め、「シンデレラマン」と呼ばれるようになった。

初の世界挑戦は失敗に終わったが、昨年4月に現在の王座を獲得している。ベテルビエフのような派手な戦績ではないが、31戦28勝(22KO)3敗となかなか高い勝率を残している。

鋼鉄のハンマーのような硬質感のある強打を持つベテルビエフが有利であることは間違いない。この2団体王者の右ストレート、左右フック、あるいは左右アッパーがクリーンヒットすればスミスは立っていられないだろう。打撃戦のなかでカウンターが打てるのもベテルビエフの強みだ。

そうしたなか、スミスは今度も番狂わせを狙っている。カギは相手の死角から巻き込むように打ち込む右だ。これがジャストミートすればベテルビエフも甚大なダメージを被るはずだ。一発でダウン、あるいはKOも考えられる。

7対1のオッズどおりの結果が出るのか、それとも「シンデレラマン」が意地をみせるのか。いずれにしてもKOで決着がつくことは間違いなさそうだ。

リングにかける

元3階級王者田中恒成、完全復活へ米武者修行で刺激 目標はSフライ級で4団体制覇

2日、WBOAP王者の西田(右)とスパーリングを行う元世界3階級制覇王者の田中恒成

元世界3階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級3位の田中恒成(26=畑中)が今月1日、2日と大阪市の六島ジムへ“出稽古”を行った。WBOアジアパシフィック・バンタム級王者の西田凌佑(25)と両日とも4ラウンドのスパーリング。「課題は入り方、距離感の意識。米国で教えてもらったことに取り組んでいる」と語った。

田中は20年12月に4階級制覇をかけた同級王者の井岡一翔(志成)との一戦で初黒星を喫した。昨年12月に再起を果たし、6月29日に後楽園ホールでWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級王者の橋詰将義(28=角海老宝石)と同タイトルをかけた対戦が決まっている。

日本選手最年少で3階級制覇を成し遂げた。すでに十分な実績を残しているが、その向上心は尽きることがない。3月上旬から約1カ月、ボクシングの本場米ラスベガスに武者修行。井岡も師事するイスマエル・サラス・トレーナーの指導を受ける目的もあった。

「(学んだことは)バランスです。自分のよさを取り戻そうとしている。スパーリングでも変化あり、よかったと思う。いろんな国の人が集まり、本当に多国籍。刺激は受けました」

井岡戦に敗れた後は守りの強化に取り組んできたが、石田匠(井岡)との再起戦も2-1判定勝ちと精彩を欠いた。「自分に最も合っている階級だし(選手も)粒ぞろいなんで」というスーパーフライ級で輝きを取り戻そうとしている。

「4つのベルト(WBA、WBC、WBO、IBF)すべてとりたい」

橋詰との次戦もあくまで通過点と位置づける。「自分はその先を見ている。早く世界王者になりたい」と力をこめた。まだ26歳。その伸びしろは、どこまでの可能性を秘めているのか。今後の進化を楽しみにしたい。【実藤健一】

20年12月31日、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで井岡一翔(手前)に敗れた田中恒成
2日大阪市の六島ジムへ出稽古を行なった元世界3階級制覇王者の田中恒成(右)とWBOAP王者西田
WWEの世界

ザ・ロックの長女シモン・ジョンソンがデビュー間近

WWEパフォーマンスセンターでトレーニングを積むザ・ロックの長女シモン・ジョンソン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第30回WWEの世界>

WWEで活躍した人気スター、ザ・ロック(ハリウッド俳優ドゥエイン・ジョンソン=50)の長女シモン・ジョンソン(20)のWWEデビューが間近となっている。5月末に新リングネーム「アヴァ・レイン」になったとSNSで報告したばかり。20年2月にWWEパフォーマンスセンター(道場)に入門し、同5月に契約を結んだシモンはレスラーとしてのトレーニングを開始していた。

◇  ◇  ◇

「ロック様」の長女が、ついにWWEマットに登場する日が近づいてきたようだ。シモンは5月末に自らの公式ツイッターでアカウント名をアヴァ・レインに変更。同名が新リングネームになったことを報告した。米メディアはWWE傘下のNXTからデビューすると伝えている。

WWEパフォーマンスセンター入門前からヒザの故障を抱え、計3度の手術も受けていた。長いリハビリ期間を乗り越え、現在は順調に回復。道場ではスクワット回数でも高い能力を示しているという。WWE人気スターのDNAを受け継いでいると道場内の評価も高い。NXTマットでデビューが実現すればシモンは父ドウェイン、祖父ロッキー、曽祖父ハイ・チーフ(ピーター・メイビア)に続くWWE初の4代目プロレスラーになる。

シモンは父ロック(ドウェイン)と母ダニー・ガルシアの間に誕生した。両親は08年に離婚し、一人っ子。高校時代はモデルとして活躍し、17年にはゴーデングローブ賞のアンバサダーも務めた。当初はニューヨーク大学進学が内定していたものの、レスラー一族としての血が騒いだのだろう。高校卒業と同時に急きょプロレスの道を選択した。 WWEパフォーマンスセンターで練習開始した際には団体を通じ「私の家族がレスリングととても個人的なつながりがあるということは、私にとって本当に特別なこと。プロレスをすることに加え、そのレガシーを継承するという機会を与えられたことを感謝します」と決意を新たにしていた。

ロックは自身のインスタグラムに「私の長女シモンはWWE初の4代目レスラーになるための道を進んでいる。誇らしい一家の名を継承するが、シモンの道は常に自身が創造し、稼ぎ、つかんでいく、あなた自身のものだ。とても誇りに思う。夢に生きてください」などと祝福メッセージを送った。

米メディアによると、道場内でシモンはベッキー・リンチ、リア・リプリーからWWE最高位女子王座獲得経験者からもアドバイスを受けていると伝えられている。そんな“英才教育”も吸収している「ロック様」の長女という逸材が、マットで躍動する瞬間が待ち遠しい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

原功「BOX!」

ライト級全勝対決カンボソス対ヘイニー どちらが名実ともに統一王者としてリングを下りるか

ライト級のWBCフランチャイズ(特権)王座を含む主要4団体すべてのベルトを持つジョージ・カンボソス(28=オーストラリア)と、WBC同級王者のデビン・ヘイニー(23=アメリカ)が6月5日、オーストラリアのメルボルンで拳を交える。20戦全勝(10KO)のカンボソスと27戦全勝(15KO)のヘイニー。どちらが名実ともに統一王者としてリングを下りるのか。

カンボソスは2017年から2019年にかけて6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)のスパーリング・パートナーを務めた経験があり、手合わせの総数は250ラウンド以上と伝えられる。

これで体力と自信をつけてトップ戦線に参入し、昨年11月に4団体王者のテオフィモ・ロペス(アメリカ)を12回判定で破って全王座を引き継いだ。ダウン応酬の激闘は「アップセット(番狂わせ)・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるほどだったが、カンボソスが底力を発揮した試合でもあった。

初防衛戦はロペスの前の王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を相手に行われる計画だった。しかし、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことを受け、ロマチェンコが自国防衛を優先するとして挑戦を辞退。代わりにヘイニーがオーストラリアに遠征することになったという経緯がある。

そのヘイニーはアマチュアを経て17歳でプロデビューし、20歳の若さでWBC世界ライト級暫定王座を獲得した逸材だ。すぐに正王者に昇格して初防衛も果たしたが、その試合で右肩を負傷したため「休養王者」に格下げされるという不運にも見舞われた。その後、主張が認められて正王者に復帰し、ここまで4度の防衛に成功している。V3戦では元世界3階級制覇王者のホルヘ・リナレス(帝拳)と対戦し、終盤のピンチを凌いで判定勝ちを収めている。

13対8のオッズが出ているように潜在能力に加えスピードやテクニックで勝るヘイニーが有利と見られている。積極的に攻めて出ることが予想されるカンボソスに対し、ヘイニーは左ジャブで距離を保ってポイント稼ぎを狙うものと思われる。ただ、今回は凱旋試合となるカンボソスが極めて高いモチベーションでリングに上がるはずで、ファンの声援も4団体王者の背中を押すことになりそうだ。そんななかで若いヘイニーが冷静に戦えるかどうかがカギといえる。

なお、アンダーカードには2年前に井上尚弥(大橋)の持つWBA、IBF世界バンタム級王座に挑んで7回KO負けを喫したジェイソン・マロニー(オーストラリア)が出場し、アストン・パリクテ(フィリピン)と対戦する。このパリクテは3年前、WBO世界スーパー・フライ級王座決定戦で井岡一翔(志成)と対戦して10回TKO負けを喫した選手だ。現在はマロニーがWBC2位、WBO3位、WBA9位、IBF12位、バンタム級に転向したパリクテはIBF6位、WBO14位に名を連ねている。この“敗者復活戦”にも注目したい。

原功「BOX!」

熱いライト級トップ戦線 デービス対ロメロ、カンボソス対ヘイニー、2週連続の全勝対決に注目

中量級で3階級制覇を成し遂げているWBA世界ライト級王者、ジャーボンテイ・デービス(27=アメリカ)が28日(日本時間29日)、アメリカのニューヨークで前WBA同級暫定王者のローランド・ロメロ(26=アメリカ)を相手に3度目の防衛戦に臨む。26戦全勝(24KO)のデービスに対しロメロも14戦全勝(12KO)と高いKO率を残している攻撃型だけに、KO決着間違いなしのカードといえる。

   ◇   ◇   ◇

元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(アメリカ)がプロモーターを務めるデービスは、2017年1月に22歳でIBF世界スーパーフェザー級王座を獲得。このときはV2戦を前に体重超過のミスを犯して王座を失ったが、2019年12月にはWBAライト級王座を手に入れた。

翌年10月には再びスーパーフェザー級のWBAスーパー王座を奪取。この二つの王座を持ったまま昨年6月にWBA世界スーパーライト級王座に挑み、11回TKO勝ちを収めて特例として3階級の王座を同時に保持することになった。その後、スーパーフェザー級とスーパーライト級王座を返上し、適正体重のライト級での活動を選択した。

デービスは戦績が示すとおりの強打者で、左構えから相手の懐に潜り込んで多彩なブローを打ち込むスタイルを確立している。左ストレート、右フックに加え左アッパーも一撃で相手を失神させるパワーがあり、パンチの回転も速い。

単純なパンチ力比べならロメロも負けてはいない。相手に圧力をかけながら距離を測り、ここというタイミングで思い切りよく左右のフックを振り抜く。一見すると単調に見える攻撃だが、一発一発に力を込めて打つため、被弾した相手は甚大なダメージを負うことになる。デービスよりも攻撃偏重の傾向が強くディフェンスには常に不安が付きまとうが、これまでの14戦では大崩れしたことはない。

ふたりとも気の強さを隠さないタイプとあって昨年秋ごろから激しい舌戦を展開してきた。試合でも強気の姿勢を貫くものと思われる。そうなると短期決着も考えられる。11対1のオッズが出ているように総合力で勝るデービスが圧倒的有利と見られているが、ロメロの左右フックが先にヒットした場合は番狂わせの可能性も出てきそうだ。

この試合が注目されるもうひとつの理由として、1週間後の6月5日、オーストラリアのメルボルンで同じライト級の4団体タイトルマッチが行われることが挙げられる。WBAスーパー王座、WBCフランチャイズ(特権)王座、IBF王座、WBO王座を持つ20戦全勝(10KO)のジョージ・カンボソス(28=オーストラリア)と、27戦全勝(15KO)のWBC王者、デビン・ヘイニー(23=アメリカ)が対戦するのだ。

1週間後に控えるカンボソス対ヘイニーの試合を前にデービス、ロメロは圧倒的な存在感を示すことができるか。

ライト級トップ戦線から目が離せなくなってきた。

リングにかける

井上尚弥「トレーニングの熱量が違います」弟拓真、いとこ浩樹ら再集結の連帯感を胸にドネア戦へ

4月下旬に長野県内でフィジカル合宿に取り組んだ井上尚弥(中央)。左端はいとこの浩樹、右端は弟拓真(大橋ジム提供)

6月7日、さいたまスーパーアリーナでプロボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)がWBC世界同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)との3団体王座統一戦を控えている。同興行には、元WBC世界同級暫定王者の弟拓真(26)も日本、WBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級の2冠を懸けた統一戦に臨み、2年7カ月ぶりに兄弟同時出場を果たす。今年2月に現役復帰を表明した元日本、WBOアジア・パシフィック・スーパーライト級王者のいとこ浩樹(30=ともに大橋)も一緒にトレーニングし、年内リング復帰を目指している。

ドネアとの再戦に向け、横浜市内の所属ジムで最終調整を続ける井上は、緊張感を保ちつつも「井上家」の連帯感に胸を躍らせている。拓真との同時出場について「試合までに一緒の気持ちでトレーニングしていけるのは、すごくプラス面になっています。何か一緒に話すことはないですが、やはり普段のトレーニングの熱量が違います。切磋琢磨(せっさたくま)というか、拓真の試合に向け、自分の試合に向けて活性化するという感じがします。もちろん刺激もあるし、相乗効果はあります」と笑顔を浮かべた。

もちろん弟も気持ちは同じだ。「調整は一緒にできるので、高め合いながらできる。きつい時こそ一緒に頑張っていけるかなと思います」と拓真。父真吾トレーナー(50)も「同じ空気、同じメニュー、同じ練習、同じ気持ち、そして同じように仕上がる。減量に入る時も同じなので絶対にいいはずです」とコメント。兄弟同時出陣のシチュエーションは、大きくプラスに働いているようだ。

さらに20年7月に日本王座陥落後、現役引退を表明していた浩樹は今年2月から一緒に練習を再開。昨年11月から井上が始めた元世界3階級制覇王者八重樫東トレーナーによるフィジカル練習にも合流している。井上は「やはり幼少期から一緒にやってきたので、違った良いものがありますね。頼れる存在が身近にいて一緒にやれることが自分には大きなプラス面になっています。3人で練習して試合するのは久しぶりなので」と心身ともに充実している様子だ。

3人そろってトレーニングする状況下で迎える井上の世界戦も19年11月以来。階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズのバンタム級決勝となるノニト・ドネア戦以来約2年7カ月ぶりとなる。前回は12ラウンドの激闘の末、判定勝利を挙げているが、今回は日本人初の3団体統一も懸かった重要な1戦となる。 絶好のタイミングに井上家が再集結し、ドネア戦に臨む形となったのは運命的とも言える。3人の連帯感が大一番を控えた井上にとって大きな後押しになっている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

4月下旬にフィジカル合宿した井上家。左端から八重樫東トレーナー、井上浩樹、井上拓真、井上尚弥、井上真吾トレーナー(大橋ジム提供)
大相撲裏話

正代、豊山が「ペコちゃん」「ポコちゃん」化粧まわし 縁結びは東農大「多くの社員を採用」

大相撲夏場所 初日 正代は菓子メーカー「不二家」のペコちゃんがデザインされた化粧まわしで土俵入りする=2022年5月8日

大関正代(30=時津風)と平幕の豊山(28=同)が土俵入りした際に締める化粧まわしが注目を集めている。

老舗洋菓子メーカーの不二家のマスコットキャラクター「ペコちゃん」「ポコちゃん」が描かれ、正代はペコちゃん、弟弟子の豊山はポコちゃんを着用。同社が化粧まわしを制作したのは初めてで、そもそも相撲界との接点も今までなかったという。一体どんな経緯で贈呈に至ったのか。

同社の広報担当者は「2人は東京農業大学出身。食品メーカーということもあり、同大学から多くの社員を採用している縁がありました」と答えた。また、本社近くの護国寺で行われる節分行事で部屋の関係者と顔を合わせていたということもあり、応援する気持ちが強くなったという。

化粧まわしにペコちゃん、ポコちゃんを選んだ理由については「代表するキャラクターですし、当社を示すのに一番わかりやすい」と説明。気になるお値段は「回答を控えさせていただきます」。社内でも話題になっているようで「かわいらしくて、目立っていてインパクトもあると好評です」と答えた。千秋楽を残し2人とも負け越しが決まったが、「最後までケガなく、みんなが元気になれるような相撲を取ってほしい」とエールを送った。【平山連】

大相撲夏場所 初日 豊山は菓子メーカー「不二家」のポコちゃんがデザインされた化粧まわしで土俵入りする=2022年5月8日
WWEの世界

レインズ率いるユニット「ブラッドライン」がWWE席巻、いとこの双子ウーソズが存在感

スマックダウン・タッグ王者ジェイ(左)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第29回WWEの世界>

今、WWEを席巻しているのは、WWEヘビー級、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ(36)が率いるユニット「ブラッドライン(血統)」だ。特にレインズを支える、いとこの兄ジェイ、弟ジミー(ともに36)の双子ウーソズはスマックダウン(SD)タッグ王者として300日のベルト保持期間に到達。ロウ、スマックダウンを超越し、両ブランドでレインズとともに存在感を示している。

◇  ◇  ◇  ◇

父はWWEで活躍し、15年にWWE殿堂入りしたリキシ。10年からWWEデビューしたジェイ、ジミーのウーソ兄弟が今、いとこのレインズとともに2大ブランド両方で躍動している。4月のレッスルマニア38大会でレインズがブロック・レスナーを下し、WWE最高位王座ベルト2本を統一した後、今度はSDタッグ王者ウーソズがロウ・タッグ王座とのベルト統一を狙っている。

今やロウ・タッグ王者ランディ・オートン、リドル組との抗争は元WWEヘビー級王者ドリュー・マッキンタイアも巻き込み、WWEの話題の中心となっている。昨年7月、レイ・ミステリオJr.、ドミニク・ミステリオ組からSDタッグ王座を獲得したウーソズの同保持期間は今月16日、16年の同王座設立以降、歴代トップとなる300日に到達。WWEのタッグチームとしての記録も残している。

21年7月にレインズとともに結成されたブラッドラインというユニット名もウーソズはお気に入りの様子だ。2人の血縁にはウマガ、ヨコヅナ、ザ・ロック(ドゥエイン・ジョンソン)がいるプロレス一家。サモアのレスラーで有名なアノアイファミリーのメンバーとなる。ジェイは「全員が集まった時、もうユニット名はブラッドラインしかないと分かっていた。誰が何と言おうとブラッドライン以外の名前が思いつかないさ」と振り返っている。

ユニット拡大も想定されている。ウーソズの弟ソロ・シコア(29)は昨年10月からWWEのNXTでデビューし、活動している。ジェイは「いとこたちが毎週テレビで自分たちを見ている。準備もできている。彼らが(アノアイファミリーの)名前をつなげていきたいと思っている」と明かせば、ジミーは「彼は次の列にいる。ブラッドラインが拡大できるのが待ち切れない」と強調した。

さらにジミーは自らの妻でWWEに所属するナオミのユニット入りにも言及し「彼女も新しいことを試す準備ができている。順応性もある」と可能性を示唆した。同ユニットの「スポークスマン」として働くポール・ヘイマンも「1年以上、ブラッドラインが続き、22年に入った。他の選手が加入することはきっとあるだろう。私たちが一緒にテレビに出ていないからと言ってブラッドラインの視界に入っていないという意味ではない」と付け加えた。

WWEに根づくアノアイファミリーの歴史を受け継ぐウーソズがマットで躍動するのは必然なのだろう。まだまだ拡大する可能性があるブラッドライン。レインズ一派を支える双子タッグチームが、今のWWEをけん引していると言っていい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ジェイ、ジミーのウーソ兄弟 1985年8月22日、米サンフランシスコ生まれの双子。本名は兄ジェイがジョシュア・サミュエル・ファトゥ。弟ジミーはジョナサン・ソロファ・ファトゥ。米ペンサコーラのエスカンビア高ではサッカー、ウエストアラバマ大ではアメフトで活動。プロレスを開始する前は引っ越し店で働いていた。父リキシによってプロレスの訓練を受け、09年にWWEの下部組織だったFCWでデビュー。10年5月にWWEデビューし、フェイスペイントに入場時にはシバタウ(サモア流ハカ)を導入して注目を集めた。14年にWWEタッグ王座を獲得した。スマックダウン・タッグ王座は現在、5度目の戴冠中。サイズはジェイが188センチ、110キロ。ジミーが191センチ、114キロ。

スマックダウン・タッグ王者ながらロウ大会にも姿をみせて活躍するジェイ(右)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
大相撲裏話

鎮魂の思いが込められた幟…常盤山親方の元兄弟弟子が「きっと天国から」見守っている聖地の土俵

2月に死去した千葉公康さん名で贈られた常盤山部屋の幟(のぼり)

湿気を含んだ春風に乗って、色とりどりの幟(のぼり)が両国国技館の敷地内にはためく。ひいき筋が、身びいきする部屋や関取衆のしこ名を記し提供するものだ。その中に、鎮魂の思いが込められた幟がある。「常盤山部屋さん江 ちゃんこ料理新 千葉公康」。そのひいき筋は天国から聖地の土俵を見守っている。

新花山のしこ名で幕下まで相撲を取り引退後は大阪で、ちゃんこ料理店を営んでいた千葉公康さんが2月1日、57歳で死去した。その千葉さんの名前を借りて幟を作ったのが常盤山親方(元小結隆三杉)。現役時代、二子山部屋で兄弟弟子の関係にあった。引退後も親交があり相撲道場で指導していた千葉さんの教え子も同部屋に入門した。「心臓が悪かったのは現役時代から知っていたけど急だったからね。僕の5年ぐらい後輩だけど弟同然。20年以上も店を開けたのも千葉ちゃんの人徳だからね」。

春場所千秋楽翌日には千葉さんの教え子だった新隆山(三段目)、今場所から序ノ口に番付が載った雷輝勝を連れ千葉さん宅で線香を上げた。以前に立てた幟は「大阪ちゃんこ新」の名義だったが、今回の幟は前述のように本名も入れた新調品だ。毎年夏場所で、この幟を必ず掲出すると決めた常盤山親方は少し涙声だった。「きっと天国から応援してくれているからね」。【渡辺佳彦】

2月に死去した千葉公康さん名で贈られた常盤山部屋の幟(のぼり)
原功「BOX!」

好カード目白押し 番狂わせ演じたビボルはアルバレスと再戦も 井上対ドネアは6月7日

4月9日のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)対村田諒太(36=帝拳)の世界ミドル級王座統一戦に始まった世界チャンピオン同士の試合は、14日(日本時間15日)のスーパー・ウェルター級4団体王座統一戦まで6週連続で行われた。このあとも井上尚弥(29=大橋)対ノニト・ドネア(39=フィリピン/アメリカ)など次々とチャンピオン同士の好カードが予定されているが、その前に6試合を総括してみたい。

4月から5月にかけて行われた6試合は以下のとおりだ。

■4月9日@日本 WBA、IBF世界ミドル級王座統一戦

〇ゲンナディ・ゴロフキン 9回TKO ●村田諒太

※戦前のオッズは5対1でゴロフキン有利

■4月15日@アメリカ WBA、WBC、IBF世界ウェルター級王座統一戦

〇エロール・スペンス(アメリカ) 10回TKO ●ヨルデニス・ウガス(キューバ)

※戦前のオッズは6対1でスペンス有利

■4月23日@英国 WBC世界ヘビー級団体内王座統一戦

〇タイソン・フューリー(英国) 6回TKO ●ディリアン・ホワイト(ジャマイカ/英国)

※戦前のオッズは9対2でフューリー有利

■4月30日@アメリカ WBC、WBO世界スーパー・フェザー級王座統一戦

〇シャクール・スティーブンソン(アメリカ) 12回判定 ●オスカル・バルデス(メキシコ)

※戦前のオッズは5対1でスティーブンソン有利

■5月7日@アメリカ WBA世界ライト・ヘビー級タイトルマッチ

〇ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア) 12回判定 ●サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)

※戦前のオッズは4対1でアルバレス有利

■5月14日@アメリカ 世界スーパー・ウェルター級4団体王座統一戦

〇ジャーメル・チャーロ(アメリカ) 10回KO ●ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)

※戦前のオッズは7対4でチャーロ有利

世界チャンピオン同士の対決とあってゴロフキン対村田、スペンス対ウガス、チャーロ対カスターニョなど見応えのある試合が続いた。このなかで圧倒的な力を見せつけたのがフューリーで、暫定王者に何もさせずに一蹴した。

スティーブンソンはバルデスの強打を空転させて大差の判定勝ちを収めた。2016年リオデジャネイロ五輪銀メダリストは順調に成長しているが、物足りなさも感じさせた。今後は魅せるボクシングも求められることになりそうだ。

オッズどおりの結果が多かったが、唯一の番狂わせがビボル対アルバレスだった。世界的にみれば6試合のなかで最も注目度の高かった一戦だが、体格で勝るビボルが巧みな試合運びと手数で人気者を破るという結果に終わった。年内に再戦という計画が浮上しているだけに今後の交渉に注目が集まる。

このあとも再びチャンピオン同士の注目ファイトが続く。

★6月5日@オーストラリア 4団体統一世界ライト級タイトルマッチ

ジョージ・カンボソス(オーストラリア)対デビン・ヘイニー(アメリカ) 

★6月7日@日本 WBA、IBF、WBC世界バンタム級王座統一戦

井上尚弥対ノニト・ドネア

★6月18日@アメリカ WBC、IBF、WBO世界ライト・ヘビー級王座統一戦

アルツール・ベテルビエフ(ロシア)対ジョー・スミス(アメリカ) 

特に日本のファンにとっては井上対ドネアが気になるところだ。2年半前の初戦は歴史に残る激闘だったが、今回はどんな試合になるのか楽しみだ。井上が付け入るスキを与えずに完勝するのか、はたまたドネアが雪辱を果たすのか。オッズは14対3で井上有利と出ている。

大相撲裏話

ウクライナ出身獅司対ロシア出身狼雅 国技館を包んだ温かい拍手

<大相撲夏場所>◇10日目◇17日◇東京・両国国技館

両者のしこ名と出身地がアナウンスされると、東京・両国国技館内は温かい拍手に包まれた。幕下上位のウクライナ出身初の力士の獅司(25=入間川)とロシア出身の狼雅(23=二子山)が対戦し、狼雅が下手投げで制した。勝ち名乗りがあがると、再び館内に大きな拍手が起こった。狼雅は2勝3敗、獅司は1勝4敗で負け越しが決まった。

狼雅(右)の寄りをこらえる獅司(撮影・野上伸悟)

この一番を特別な思いで見守ったのが、ウクライナ相撲連盟JAPAN事務所代表の松江ヴィオレッタさん(37)。7月に米国で行われるアマチュア相撲の世界大会に出場するため、今月下旬から大分・宇佐市などで事前合宿を行うウクライナ選手団をサポートしている。仕事の都合でテレビ観戦できなかったが、ウクライナを訪れた際に会った獅司が負け越したと聞いて残念がった。それでも両力士をたたえる拍手が館内から送られたと伝えると「相手のことを深く敬う相撲の良さを感じます」と、ひときわ感慨深げに話した。

ウクライナ相撲連盟JAPAN事務所代表を務める松江ヴィオレッタさん(左)と共同代表の三池さん(撮影・平山連)

母がロシア人、父が日本人の松江さんは「どこの国で生まれたかということよりも、人と人の信頼関係が大事」と信じる。「負けた相手を敬う相撲の考え方を広めたい」(ウクライナ相撲連盟のセルゲイ名誉会長)という言葉に共感して設立したJAPAN事務所はまだ始まったばかりだが、この日の取組から受けた刺激を活力にして自分の道を突き進む。

【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける

棚橋弘至「歴史残せた」USヘビー初防衛戦敗れても気分は別格 再奪取へ「止まっていられない」

5月15日、新日本米ワシントンDC大会で、ハイフライアタックを仕掛ける棚橋(新日本プロレス提供)

成長させてくれて、ありがとう-。14日(日本時間15日)開催の新日本プロレス米ワシントンDC大会で、IWGP・USヘビー級王座の初防衛に失敗したエース、棚橋弘至(45)は、敗れたにもかかわらず、どこか晴れやかな表情を浮かべていた。

それもそのはずだ。初戴冠となった昨年8月以来、約9カ月ぶりとなった米国での「USヘビー」タイトル戦。地元の大歓声。昨年から「アメリカで巻いてこそ意味がある」と“ベルトがあるべき場所”での対戦を熱望してきた通り、気分は別格だった。「ここにベルトを巻いて戻ってこられた。俺としても歴史は残せたかな」。試合後はそう、しみじみと振り返った。

メインイベントの同級選手権試合でジュース・ロビンソン、ジョン・モクスリー、ウィル・オスプレイと4WAYマッチで対戦した。場外の長机にモクスリーをセットし、コーナーポストから場外へハイフライフローをさく裂するなど見せ場を作ったが、王者から直接勝利しなくても他3選手のいずれから白星を挙げれば新王者が決まる一戦だ。リング内で戦っていたロビンソンが、オスプレイにHHB(フィッシャーマンズドライバー)を決めて3カウントを奪取。その瞬間、3度巻いた愛着のあるベルトとともに帰国するという夢は、はかなく散った。

昨年8月、米ロサンゼルス大会でランス・アーチャーを破り、初の日本人同級王者となった。ジェイ・ホワイトに続き史上2人目となる新日本4大シングル王座全戴冠を達成。順風満帆かと思われたUSヘビー級王者だったが、その道のりは険しかった。

昨年11月にKENTAに敗れてベルトを失うと、今年1月の東京ドーム大会ではKENTA発案のノーDQ(反則裁定なし)タイトルマッチを経験。高さ5メートルの巨大ラダーからハイフライフローを決めて勝利するも、「あるのは虚無感だけ」と話した混沌(こんとん)の一戦に、わだかまりは残った。2月にはSANADAに敗れて防衛に失敗。3度目の戴冠は、王者のケガによる返上で巡ってきたチャンスだった。今月1日の福岡大会(ペイペイドーム)で、石井智宏との王座決定戦。20分超の熱戦を制し、再び米国への切符をつかんだ。

酸いも甘いも、ともにしてきたベルトだ。今回のワシントンDC大会では、自身が直接3カウントを奪われて負けたわけではない。もちろんそこには、悔しさも、もどかしさもあったはずだった。だが、棚橋は言い切った。「止まってられないから。次に進むから。USヘビーで得た経験は俺を成長させてくれたから」。そう、敗戦も前向きに捉えている。

4度目に会う時は、一回り大きくなった棚橋を約束する。「またいつか巡り合う日が来るのを俺は信じてる。最後に、USヘビー。本当にありがとう。また、いつか…」。そう、相棒に一時の別れを告げた。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

大相撲裏話

「忘れてもらいたくない」人がいる 御嶽海が育った長野・上松町で続くパブリックビューイング

<大相撲夏場所>◇8日目◇15日◇東京・両国国技館

長野・木曽郡上松町は「相撲どころ」と称される。本場所初日を迎えると、同町の公民館は地元住民でにぎわいを見せる。大関御嶽海(29=出羽海)を応援しようと、PV(パブリックビューイング)が行われるから。初土俵を踏んだ時から続く恒例行事だ。

遠藤(右)をはたき込みで破る御嶽海(撮影・野上伸悟)

主催する同町のスポーツクラブ「木曽ひのきっ子ゆうゆうクラブ」事務局長の辺見元孝さん(63)は「優勝争いに絡む場所では、ほぼ毎日やりますよ」と胸を張る。コロナ禍では感染症対策のために大会議室でイスの間隔を空けるなどして開催。今場所は従来通り公民館玄関のロビーに会場を移した。初日に平幕の高安を退けた一番には、テレビ中継を見ようと25人が駆けつけた。しこ名が入ったそろいのタオルやうちわを手にして応援する姿は、地域に一体感を与える。

PVは今後も実施していく。なぜ続けるのかと尋ねると、辺見さんは「上松町で育った大道久司(御嶽海の本名)のことを忘れてもらいたくないから」と答えた。厳しい戦いが続く今場所だが、「10勝は絶対最低限クリア」と誓う29歳の巻き返しを期待していた。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)