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リングにかける

ノア清宮海斗、2年越しに己に打ち勝ち王者の自覚 実力でオカダ・カズチカを振り向かせてみせる

22日、ノア東京ドーム大会のカードが決まりオカダ・カズチカ対清宮海斗の対戦が発表される

プロレスリング・ノアのGHCヘビー級王者清宮海斗(26)が、2年越しに己に打ち勝った。1月21日、新日本プロレス横浜アリーナ大会で、新日本のIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカ(35)とタッグマッチで対戦した。2年連続となる両団体の対抗戦。昨年と同じタッグマッチで、相手も同じオカダ。だが、1年前に敗れて号泣し、もろさを露呈した清宮は、もうそこにはいなかった。

試合開始前から目の色が違った。先発を買って出ると、オカダとの対戦を熱望。相手は「眼中にない」とでも言わんばかりに目を合わせようともせず、試合中には自身に背中を見せる無関心な態度を取った。それでも清宮は、死角からの顔面蹴りで、有無を言わさずに振り向かせた。

額から流血を見せ、激怒したオカダと、場外乱闘。会場全体が自身へのブーイングで包まれる中、最後まで引かずにつかみかかり、マイクでは「シングルで決着付けろ! びびってんのか? だったら帰れよ」と言い切った。昨年はオカダに「調子乗ってんじゃねえぞ!」と厳しい言葉を投げかけられても、泣いて退場するだけしかできなかっただけに、大いに成長を実感させた一幕だった。

昨年9月にN1を制覇し、2度目のGHCヘビー級王座を獲得。師匠の武藤から伝授された秘技を駆使し、ここまで3度の防衛を成功させた。常に口にするのは「新時代」を背負う自覚と自負。元日の日本武道館大会では、因縁の挑戦者拳王を下し「俺を見にノアに来い」と叫んだ。

リングを降りると、心優しき好青年。その真面目さがたたり、1度目にベルトを失った際には自分自身を見失うことがあった。だが、今は違う。謙虚さは変わらずも、王者の自覚が芯を太くさせた。ファンからの信頼も厚い、ノアの顔だ。

新日本との対抗戦は無効試合に終わったが、見据えるのはプロレス界の頂点だ。武藤の引退試合となる2月21日の東京ドーム大会のセミファイナルで、オカダとの王者同士のシングル対決が決定した。オカダは対戦拒否の姿勢を示しているが、関係ない。今度は実力で振り向かせてみせる。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

リングにかける

UFCヘビー級王者ガヌーがUFC離脱 ボクシング王者フューリーと最重量級頂上決戦実現か

カメルーン初のUFCヘビー級王者となったフランシス・ガヌー(36)がUFCとの契約を更新しなかった。

今月中旬の会見で、UFCのデイナ・ホワイト社長から明らかにされ、そのまま王座剥奪となった。現在は前UFCヘビー級王者、そしてフリーエージェントのガヌー。同社長によると、ヘビー級でUFC史上最高額のオファーを提示したものの、契約に至らず。同様の熱烈オファーを断ったのは元PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)以来、2人目の選手だったという。

打撃練習に励む写真を自身のSNSに投稿した前UFCヘビー級王者フランシス・ガヌー(左=ガヌーの公式インスタグラムより)

UFCで6連勝中のガヌーは22年1月のUFC270大会で同級暫定王者シリル・ガーヌ(フランス)との王座統一戦を制し、初防衛に成功、総合格闘技界の最重量級の頂点に立った。しかしガーヌ戦前からひざの内側側副靱帯(じんたい)断裂などの重傷を負っていたことに加え、UFCとの契約問題が浮上。ガヌーは最終的に契約しない選択を取った。

注目されるのは今後の進路だ。昨年4月、プロボクシングWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリー(34=英国)が同級暫定王者ディリアン・ホワイト(34=英国)との王座統一戦で勝利した後、リング上にガヌーの姿があった。両者は将来的に対戦することを熱望した。もともとカメルーンからフランスに移住した際、強い興味があったのはボクシング。貧困から脱出し、稼ぐために勧められた総合格闘技に転向していた経緯もある。

米TMZスポーツに対し、ガヌーは「私は彼(フューリー)のアドバイザーの何人かと話しました」と明かした。今年4月開催を目指し、フューリーがWBA、IBF、WBO世界同級王者オレクサンドル・ウシク(36=ウクライナ)との4団体王座統一戦に向けて交渉中である現状を説明。

「彼らは4月にウシクとの試合に取り組んでいる。それまで彼は自由にはならない。ただ、その試合の前に合意できるかどうか試しているところだ」と明かした。

夏ごろにフューリーとのボクシングマッチが組まれることになれば、ガヌーにとっては準備期間が増える。そのため「私が望んでいるタイムラインに問題はなく、6月か7月になると予想している。これは実行可能だ」とプラス思考でトレーニングを積んでいるようだ。ウシク戦に勝利し、ヘビー級の4団体統一王者となったフューリーと対決することが、ガヌーにとって最高のシナリオだろう。

ガヌーは「結論を出すこと、何かを言うのは時期尚早だと思う。ただ私たちが検討していることは間違いない」と前向きに交渉を続ける姿勢だ。プロボクシングと総合格闘技の最重量級頂上決戦が実現すれば大きな話題になる。フューリーとの交渉は初期段階だが、ガヌーが総合格闘技最強の称号を捨て、フューリー戦に真剣であることは間違いない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

原功「BOX!」

ブリッジャー級初代王者オスカル・リバス、網膜剥離で引退の危機 階級新設も世界戦1試合だけ

WBCが2020年11月に新設した18階級目のクラス、ブリッジャー級の初代王者、オスカル・リバス(35=コロンビア)が昨秋に網膜剥離を患い引退の危機にある。WBCは「休養王者」の扱いをしてリバスの状態をみながら去就の意思確認をしていくとしているが、王座が宙に浮いたかたちとなっているのは事実だ。ブリッジャー級新設から2年以上が経ったが、開催された世界戦は決定戦の1試合だけ。リバスの選手生命だけでなく階級の存在そのものが危うくなっている。

ブリッジャー級はWBCが「重量級の体格差を少なくして選手の健康・安全性を担保する」ことを理由にクルーザー級とヘビー級の間につくった階級で、体重の幅は200ポンド(約90.7キロ)以上、224ポンド(約101.6キロ)以下とされる。ただし、「ヘビー級の体重で戦うことも可」とするなど曖昧な部分もある。階級名は、犬に襲われた妹を救うために闘った6歳の男児の名前から付けられた。

ライト(軽量)、ミドル級(中間)、フェザー(羽)、フライ(蠅)など重量に関係のある階級名とかけ離れた名称だけに、それだけで違和感を抱くファンは少なくないだろう。

WBCは毎月、各階級の世界ランキングを40位まで発表しており、2020年12月からブリッジャー級も加わった。6カ月間は猶予期間としてヘビー級やクルーザー級からの転向者を募ったが、2年以上経っても40位まで埋まることはなかった。2022年をみると4月には26位まで選手がリストアップされていたが、5月=25位、6月=21位、7月=20位、8月=20位、9月=18位、10月=21位、11月=20位、今年1月に発表された最新ランキングでも20位までしか埋まっていない。

主要4団体の残り3団体-WBA、IBF、WBOは静観の構えをとっていたが、いまのところ追従する動きは見られない。賢明な判断といえよう。

新階級の苦戦は、この2年の間に開催された世界戦が1度だけだという点にも表れている。ヘビー級で活躍していたリバスと、クルーザー級のライアン・ロジッキ(カナダ)の王座決定戦が行われたのは2021年10月のこと。新設から約1年後のことである。その後、初代王者となったリバスは2022年8月にルーカス・ロザンスキー(ポーランド)と初防衛戦を計画したが、イベントそのものが中止に。今年1月、リバスはヘビー級ランカーと対戦する予定だったが、そのタイミングで網膜剥離が判明している。防衛戦を行わないまま休養状態に入ってしまったわけだ。

こうした事態を受けWBCはリバスを“休養王者”にスライドさせ、1位のアレン・バビッチ(クロアチア)と3位のロザンスキーで王座決定戦を行い、2位のライド・メルヒー(コートジボワール/ベルギー)と4位のケビン・レリーナ(南アフリカ共和国)で次期挑戦者決定戦を行う計画を立てている。ちなみにレリーナは昨年12月、ヘビー級のWBA王座に挑んで3回TKO負けを喫しているが、このときの体重は約104キロだった。

船出から2年2カ月。ブリッジャー級はどこに向かうのだろうか。

大相撲裏話

元隠岐の海の君ケ浜親方と元豪風の押尾川親方 「秋田」つながりの2人が今後の相撲界引っ張る

押尾川部屋“広報部員”のブッチをだっこする押尾川親方(23年1月撮影)

2人にしか分からない絆がある。大相撲初場所の7日目に引退を発表した元関脇隠岐の海改め君ケ浜親方と、元関脇豪風の押尾川親方。押尾川親方の方が6歳上だが、巡業先などで見せた仲むつまじい姿は全く年齢の差を感じさせなかった。相撲ファンの間でもよく知られる存在だった2人の仲について、当人たちから聞いた。

出会いについて、君ケ浜親方の心に深く印象に残っている。若い衆の頃に参加した飲み会。偶然そこに居合わせたのが、当時既に関取だった豪風。父親が同じ秋田出身と伝えると、ひときわうれしそうにしていた。「その場でおやじに連絡したら、電話に代わって話してくれて」。粋な計らいもうれしかった。

押尾川親方は「別にみなさんが思うほど仲良くないですよ」と気恥ずかしそうにしながら、「トレーニングを見たいと言われて、一緒にしたこともありましたね。少しずつ力をつけていった姿を目の当たりにして、こうやって強くなるんだと意識する存在でしたね」。一緒に秋田へ訪れたり、場所後に飲みに行ったりと思い出が絶えない。かわいい後輩の引退会見にもこっそり姿を見せていた。

現役を退いた今、ともに親方として後進の指導に当たる。君ケ浜親方は「どんな稽古をしているのか見てみたいですね」。押尾川親方は「親方として一緒に盛り上げたい」。若い2人の親方が、今後の相撲界を引っ張る。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

引退会見で花束を受け取る隠岐の海(1月14日撮影)
大相撲裏話

元横綱大鵬の三女納谷美絵子さん、亡くなって知る父の偉大さ 海外の人々や若者にも名前浸透

「昭和の大横綱」大鵬の納谷幸喜さん(享年72)が、2013年に亡くなって、命日の19日で10年の節目を迎えた。

第48代横綱大鵬土俵入り

元横綱大鵬の没後10年を前に取材に応じた三女の納谷美絵子さんは「あっという間でした。10年と聞いて、本当に早かったなあと感じます」と振り返った。亡くなってから、父の偉大さを感じることがしばしばあるという。「海外の人たちや、若い方々にも『大鵬』という名を知ってもらっている。うれしいことです」と喜んだ。

生前の父について思い出すのは「子どもの頃にけがをすると、包帯や薬を取り出して何でも治してくれる」という心優しい姿だ。礼儀作法には厳しかったが、「私は末っ子だったので、姉たちと話していると大分甘かったようです」と笑う。長男(プロレスラーの納谷幸男)をのぞく3人(次男・三段目納谷、三男・平幕王鵬、四男・幕下夢道鵬)が角界入り。「大鵬の孫」として注目されながらも、土俵の上で期待に応えようと奮闘している。

大鵬家家系図(敬称略)

本場所の前後で納谷さんは、都内にある父の墓を訪れる。場所前に子どもたちの15日間の活躍を見守ってほしいと伝え、場所後に結果報告を欠かさない。命日の1月19日は初場所と重なるため家族一同で集まることはないが、在りし日の思い出を振り返る機会にしてほしいと願っていた。【平山連】

原功「BOX!」

18戦全KO勝ちの3団体王者ベテルビエフ対「野獣」ヤード KO決着必至の強打者対決

18戦全KO勝ちのWBC、IBF、WBO3団体統一世界ライトヘビー王者のアルツール・ベテルビエフ(試合時38歳=ロシア/カナダ)に、KO率88パーセントの「野獣」、アンソニー・ヤード(31=イギリス)が挑む注目のタイトルマッチが28日(日本時間29日)、英国ロンドンで行われる。KO決着必至の強打者対決、軍配はどちらに挙がるのか。

ベテルビエフは2013年6月にプロデビューしたが、10年間に18試合と活動はスローペースといえる。自身の故障やプロモーターとの摩擦、さらに新型コロナウィルスの蔓延などが理由だが、直近の2年に関しては比較的コンスタントに試合を行っている。今回は、2回TKO勝ちしたWBO王者との統一戦から7カ月のスパンでリングに上がることになる。2017年11月に獲得したIBF王座は7度目、2019年10月に吸収したWBC王座は4度目、WBO王座は初防衛戦となる。

ベテルビエフは戦績が示すとおりのスラッガーで、パンチは左右とも一撃でKOする破壊力がある。かといってパワーだけの雑なファイターというわけではない。プレッシャーをかけながら正確で強い左ジャブを打ち込んで相手を追い込むなど戦術にも長けているのだ。2008年北京大会、2012年ロンドン大会と2度の五輪出場のほか、優勝と準優勝を含め3度の世界選手権出場など豊富なアマチュア経験がベースになっていることは間違いない。

挑戦者のヤードもパンチ力では負けていない。19歳でボクシングを始めたためアマチュア経験は12戦(11KO勝ち、1敗)と少ないが、24歳でプロに転向してからは16連続KO勝ちをマークするなどして注目を集めた。その勢いのまま2019年8月にはセルゲイ・コバレフ(ロシア)の持つWBO王座に挑戦。一時は王者をKO寸前まで追い込む見せ場をつくったが、反撃にあって11回TKOで敗れた。翌年、世界ランカー対決で僅少差の判定負けを喫したこともあったが、再戦では4回KOで雪辱。その試合を含め3連続KO勝ちと以前の勢いを取り戻した印象だ。

ヤードは上体を小さく振りながら相手に迫り、右ストレートから左フックに繋げる攻撃パターンを持っている。接近戦の際に突き上げるアッパーも強烈だ。

18戦全KO勝ちの3団体王者と、25戦23勝(22KO)2敗の挑戦者が拳を交えるのだからジャッジの出番はないといっていいだろう。

まずは先手争いに注目したいが、ここでベテルビエフが左ジャブで易々と主導権を握るようだと挑戦者は厳しくなってくる。逆にヤードがプレッシャーをかけて王者を後退させるような展開に持ち込めれば勝負の行方は分からなくなりそうだ。13対2のオッズが出ているようにベテルビエフに分があることは間違いないが、ヤードの強打が波瀾を起こす可能性も十分にある。

大相撲裏話

新十両の湘南乃海を奮い立たせる原動力は「おやじに認められたい」厳しい父へ白星で恩返し

父に認めてもらうことが、何よりの原動力だ。10日目に狼雅を破り勝ち越しを決めた新十両の湘南乃海(24=高田川)は場所前の取材で「おやじに認められたいから、頑張っているところがあります。十両に上がった時も『俺はおめでとうとは言わない。遅いくらいだ。遅い分を取り返せ』と言われたんですよね」とうれしそうに笑った。

狼雅(左)を引き落としで破る湘南乃海(撮影・河田真司)

野球少年で相撲未経験ながら、神奈川・大磯中時代に高田川部屋を見学したことで入門を決めた。卒業後の進路が決まると、幸先よくスタートを切るために父との猛特訓が始まった。学校から帰ってくると一緒に公園に向かい、1時間の四股踏み、腕立て伏せ300回、電柱めがけたテッポウ、すり足…。冬場でもびっしょりと汗をかくほどのメニューを毎日こなした。「体を動かしているうちに暑くなって、パンツ一丁でやっていました。大人同士がけんかしてるんじゃないかと間違えられて、警察を呼ばれたこともありましたね」という笑い話もあるほど。鍛え上げた足腰は今も自慢だ。

狼雅(右)を攻める湘南乃海(撮影・菅敏)

14年春場所で初土俵を踏んだ“中卒たたき上げ”は、約9年かけて関取の地位をつかんだ。新十両場所で勝ち越しを決めても、浮かれることはない。「明日があるんで。1日一番集中して、全力を出し切ります」と白星を積み重ねる。厳しい父への恩返しになると信じて。【平山連】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける

“くりそつ”元世界王者ランダエタ氏とコットンきょん どちらが先に“世界”とるか密かな楽しみ

ランダエタ氏(左)とコットンきょん

だれからも支持されないが個人的に推している。KWORLD3ジムにトレーナーとして加入した元世界王者のファン・ランダエタ氏(44)のことだ。

個人的にお笑い大好き。昨年のキングオブコントも見た。優勝したビスケットブラザーズは素晴らしかった。そして準優勝だったコットンというコンビを初めて知った。その1人、きょんがKWORLD3ジムにいるじゃないか、と大興奮してしまった。くりそつ(=そっくり)ですねと、本人にきょんの画像を見せるなど大はしゃぎしたが、ランダエタ氏はただただ苦笑い。だれからも賛同を得ることはなかった。

ボクシング興行「3150FIGHT」を手がける元世界3階級制覇王者・亀田興毅ファウンダー(36)が、初めてベルトを獲得したWBA世界ライトフライ級王座決定戦の対戦相手。ベネズエラ人ボクサーの技術力の高さを肌で知る興毅氏がトレーナーに招いた。

すべてのスポーツにおいて、教えを受ける環境が競技に与える影響は計り知れない。その上で、ランダエタ氏は大きな存在感をもたらしているという。同ジムの大毅会長(33)は「技術的なことは説得力がある。世界までいったテクニシャンだし、中南米で指導者としてのキャリアもある。選手の(技術力の)底上げに間違いなくつながっている」と大きな信頼を寄せる。

その効果は今後、より鮮明に出てくると期待する。大毅会長は「やはりまだコミュニケーションの部分で問題がある。言葉の弊害はあっても、伝えたいことが伝わるようになると思っている。だから、これからもっとよくなると思いますよ」と断言した。

ランダエタ氏は家族と離れ、日本で1人暮らし。ジムが借り上げた3LDKの部屋で、遠征のボクサーが利用するなどの以外は悠々と楽しく生活しているという。ただ、目標はもちろん日本で成功し、家族を呼び寄せる1点しかない。

同ジムからランダエタ氏が育てる世界王者か、コットンのきょんがタイトルを獲得するのが先か。だれも興味を示さない中で、ひそかに楽しんでいる。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

大相撲裏話

押尾川部屋“広報部員”オスのパグ「ブッチ」にメロメロ 親方が飼うことを決めた理由とは

押尾川親方とブッチ(撮影・平山連)

愛くるしい顔立ちとつぶらな瞳に、うっとりが止まらない。22年2月に新設された押尾川部屋にいるオスのパグ「ブッチ」が、稽古に励む力士たちを和ませている。

師匠の押尾川親方(元関脇豪風)から部屋の“広報部員”に抜てきされ、同部屋のSNSにもたびたび登場する。生後10カ月ほどとまだ小柄だが、その存在は既に部屋に欠かせないものとなっている。

同親方は「ペットを飼うことを決めたのは、息子と娘の教育のためなんです。生き物を飼うことを通して、命の尊さを学んでほしいなと思っていました」。名前の由来は長女が以前大切にしていたぬいぐるみからで、それになぞって同じ名のブッチと付けた。普段は部屋の上階にある押尾川親方の自宅で飼っているが、稽古終わりの食事時になると下に降りて力士たちと触れ合うことも少なくない。部屋頭で幕下の矢後(28)も「僕らも戯れて、安らいでます」とメロメロだ。

ブッチの存在について、押尾川親方は「部屋のマスコット犬として、地域の人たちに相撲部屋を親しんでもらえることにつながる」と期待を寄せる。ペットは飼い主に似るというが、ブッチの顔もどことなく笑った親方に似ている気がする。愛くるしいマスコットの存在で、部屋の雰囲気が一層明るくなっていた。【平山連】

押尾川部屋のブッチ(中央)とたわむれる飛燕力(左)と風賢央(撮影・平山連)
押尾川部屋の“広報部員”のブッチ(左)をしつける、師匠の押尾川親方(撮影・平山連)
押尾川親方と同部屋の“広報部員”のブッチ(撮影・平山連)
押尾川親方と同部屋の“広報部員”のブッチ(撮影・平山連)
押尾川親方と同部屋の“広報部員”のブッチ(撮影・平山連)
押尾川部屋の“広報部員”のブッチを見守る風の湖(左)と風賢央(撮影・平山連)
食卓に並んだ果物を見つめる押尾川部屋の“広報部員”のブッチ(撮影・平山連)
大相撲裏話

貴景勝と張り手合戦の翠富士 先場所変化で怒られ基本に立ち返る「次もバチバチに」真っ向勝負

大相撲の西前頭3枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)は、最後まで真っ向勝負を挑んだ。初場所7日目の結びの一番で、同学年の大関貴景勝(26=常盤山)とバッチバチの張り手合戦を演じた。白星とはならず対貴景勝戦は3戦全敗となったが、取組後は「気持ち良く負けた感じ。悔いはない」と晴れ晴れした表情を見せ、2カ月前の姿は、そこにはなかった。

貴景勝(左)に張り手を見舞う翠富士(撮影・野上伸悟)

昨年11月の九州場所7日目。2度目の大関戦に挑むが、翠富士は立ち合いで左に変化。が、貴景勝に自分の戦法を見透かされたようについてこられ、そのままなすすべなく土俵外へと押し出された。取組後の取材で語ったのは、自分が選んだ攻め方への後悔だった。大関相手に真っ正面から当たることをしなかった。「情けない」と振り返るほど肩を落として会場を去る姿が印象に残った。

その翌日の取材でも大関戦について話題に上り、翠富士は「めちゃくちゃ怒られました」と反省しきりだった。当時伊勢ケ浜部屋の部屋付き親方だった安治川親方(元関脇安美錦)からは会場から宿舎までの帰りの車中で「変化をやるんだったら、ちゃんと当たってからにしろ」などと散々叱責(しっせき)を受け、師匠の伊勢ケ浜(元横綱旭富士)からも「お前、何考えてんだ」と言われたという。立ち合いから思いっきりぶつかる。もう1度基本に立ち返った。

にらみ合う貴景勝(左)と翠富士(撮影・野上伸悟)

そして2カ月後に迎えた3度目の大関戦。立ち合いから頭と頭でぶつかり、次第にバッチバチの張り手合戦へと突入。貴景勝が右フックを繰り出すと、負けじと翠富士も強烈な張り手を見舞った。取組中には互いににらみ合う場面もあった。最後は貴景勝の執念の小手投げで敗れたが、館内からはこの日一番の大きな拍手と歓声が起きた。

取組を終えて翠富士は「やっぱり力が半端じゃなかったですね」と苦笑い。張り手の応酬については「クラッときたけど、負けたくない気持ちもあった。お客さんも喜んでくれたのでよかった」。敗れはしたが、その顔には全く後悔はない様子だった。

学生時代からトップを走り続ける同学年の貴景勝に、今度こそ勝ちたい。戦法は変わらない。もちろん真っ向勝負だ。「次もバチバチにいきたいなと思います」と語る姿が、何とも言えないほどかっこよかった。【平山連】

張り合う貴景勝(左)と翠富士(撮影・野上伸悟)

◆翠富士一成(みどりふじ・かずなり)1996年(平8)8月30日、静岡県焼津市生まれ。相撲は小学2年から始め、静岡・飛龍高2年時にはインターハイ団体戦で埼玉栄高の佐藤(現大関貴景勝)を破って団体3位に入賞。近大を2年で中退し16年秋場所初土俵。20年春場所新十両、21年初場所新入幕。171センチ、117キロ。

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

元白鵬の宮城野親方まげ姿も今場所が最後 引退相撲前に「関取が出れば良いお祝い」愛弟子に期待

宮城野親方(2022年12月20日撮影)

125年ぶりの1横綱1大関という異例の事態で行われている今場所。史上最多45回の優勝を誇る大横綱も危機感を募らせていた。元横綱白鵬の宮城野親方は昨年の暮れ「弟子を育てる立場である親方の我々にも責任がある。将来の相撲界を盛り上げてくれる力士を育てるべく全国を歩き回って、有望な若手をスカウトしていかなければいけない」と険しい表情で言った。

先代が65歳の定年を迎えたのに伴い、昨年7月に年寄「宮城野」を襲名。宮城野部屋を継承し、部屋には十両の北青鵬(21)をはじめ、幕下上位の川副(23)や向中野(20)といった若手の有望株が多く在籍する。今場所は幕下15枚目格付け出しの落合(19)がデビュー。一番相撲では対戦相手の休場により不戦勝となったが、二番相撲、三番相撲と相手を寄せ付けず3連勝。鳥取城北高時代に2年連続で高校横綱に輝いた実力を披露し、同親方も「本当に相撲を知っている」と太鼓判を押す。

28日には自身の引退相撲が両国国技館で行われる。まげ姿でいられるのも今場所が最後。名残惜しそうにしながら「幕下上位の3人(川副、向中野、落合)の中から関取が出れば、良いお祝いになるね」と愛弟子の活躍に期待していた。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

照強19連敗で止めた「悲観的になっても何も始まらない」土俵に立つことが仕事、揺るがない決意

豪快に塩をまく照強(撮影・中島郁夫)

西十両10枚目の照強(27=伊勢ケ浜)が、長いトンネルを抜けた。激しい攻防の末に英乃海を寄り切り、初日を出した。昨年9月の秋場所14日目以来の白星。十両以上のワースト記録で五ツ海と双ツ龍の21連敗に迫っていたが、この勝利で連敗を19で止めた。取組後の取材対応はなかった。

東前頭16枚目として臨んだ昨年11月の九州場所は15戦全敗した。幕内の同一場所での15戦全敗は、91年名古屋場所の板井以来で31年ぶり5人目。今場所前の取材では、九州場所について持病の糖尿病の影響で力が入らなかったことを明かしていた。体の異変を感じながらも、最後まで出場することを選んだ。土俵に立つことが力士の仕事。揺るがない決意がにじんだ。

「全敗して悲観的になっても、何も始まらない。良い記録も、悪い記録も土俵に立ち続けたからこそ打ち立てられたものだから」。前向きな姿勢が頼もしい。今年の目標については「また上で相撲が取れるように」と幕内復帰を目指す決意だ。阪神・淡路大震災が起きた95年1月17日に兵庫県南あわじ市で生まれ、場所中の17日に28歳となる。ようやくつかんだ初白星。反転攻勢はここからだ。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

2月で48歳セルヒオ・マルチネス、史上最年長世界王者なるか ターゲットはゴロフキン

今年、もしかしたら48歳の世界王者が誕生するかもしれない。その可能性を秘めているのが元世界2階級制覇王者のセルヒオ・マルチネス(47=アルゼンチン)だ。一度は9年前に引退したマルチネスだが、2020年に戦線復帰を果たし5連勝(3KO)をマーク。現在はWBA世界ミドル級2位にランクされている。ターゲットはWBAスーパー王座とIBF王座を持つゲンナディ・ゴロフキン(40=カザフスタン)だという。2月21日に48歳の誕生日を迎えるサウスポーに要注目だ。

少年時代にサッカーと自転車競技に親しんだマルチネスは20歳でボクシングを始めた。アマチュアで41戦(39勝2敗)を経験後、22歳でプロに転向。2008年にスーパーウェルター級のWBC暫定王座を獲得(のちに正王者に昇格)し、2年後にはWBC、WBO世界ミドル級王者になった。このときすでに35歳になっていたが、その後の4年間で6度の防衛を果たすなど一時代を築いた。キャリア晩年は故障が目立ち、10回終了TKO負けで王座を失ったミゲール・コット(プエルトリコ)戦では痛めていた右膝の踏ん張りが利かず計4度のダウンを喫したほどだった。この試合を最後に39歳でグローブを壁に吊るした。

引退後は現役時代から携わっていたマネージャー業や試合のプロモートにエネルギーを注いでいたが、古傷が癒えたこともあって2020年に45歳でカムバック。6年ぶりの実戦で7回KO勝ちを収めると、居住地のスペインでコンスタントにリングに上がり続けた。当時のWBA王者、村田諒太(帝拳)の名前を出して挑戦をアピールしたこともあった。昨年12月には復帰後初めてアメリカで戦い、はるか格下の相手に2回KO勝ちを収めている。カムバック後の5勝を加えた戦績は61戦56勝(31KO)3敗2分とみごとなものだ。

すでにWBAはミドル級で世界2位にランクしているが、さすがにこれはサービスし過ぎの印象が強い。直近の試合を見ると47歳とは思えないほど引き締まった体をしているマルチネスは攻めたり間合いをとったりしつつ、ときにはノーガードで相手を誘うなど余裕も感じさせた。最後は左ボディブローを決めて10カウントを聞かせる圧勝だったが、相手が6勝6敗2分の選手であることを差し引いて考えなければなるまい。

それでもマルチネスは確かな手応えを感じ取っているようだ。「誰と戦いたいかと問われれば私はゴロフキンと答える。殺されてしまうという意見があることも知っているが、逆に私が彼にレッスンをしてやるつもりだ」と強気のコメントを発している。もしも今年4月以降にゴロフキン、あるいは他の団体の王者への挑戦が実現し、そしてマルチネスが勝ったとしたらバーナード・ホプキンス(アメリカ)の持つ48歳1カ月を更新する史上最年長戴冠記録となる。それが容易ではないことはマルチネス自身がいちばん分かっているはずだが、可能性がないわけではない。

「マラビジャ(驚異の男)」と呼ばれる万能型のサウスポーの夢にもう少し付き合ってみたい。

リングにかける

23年のボクシング界は重量級の夜明け?元世界王者伊藤雅雪氏が亀田興毅氏に呼びかけも

伊藤雅雪氏(2022年10月22日撮影)

23年は日本ボクシング界で重量級が盛り上がるかもしれない。今月7日、元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏(31)が手がけるトレジャー・ボクシングプロモーションは公式SNSを通じ、4月に韓国で興行を行うと発表。昨年12月、赤穂亮(横浜光)-ジョンリール・カシメロ(フィリピン)戦をメインに据えた旗揚げ興行に続く第2弾となる。

この興行と同時に3団体統一世界ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(35=ウクライナ)の運営するプロモート会社ウシク17プロモーションと提携したことも発表。ウシクのスパーリングパートナーでプロ戦績4勝(3KO)のヌルスルタン・アマンジョロフ(カザフスタン)の参戦が決まったと報告した。続く8日にはWBC世界ミドル級5位メイリム・ヌルスルタノフ(カザフスタン)の参戦も決まったという。

この発表後、伊藤氏は公式ツイッターを通じて日本ヘビー級王者の但馬ミツロ(28=KWORLD3)をプロモートする亀田興毅氏(36)に呼びかけた。「ウシクのパートナーを務めるヘビー級の選手と契約しました! 圧倒的な力で勝ち続けている 但馬ミツロ選手と、この本物のヘビー級ボクサーとの試合を皆さん見たくないですか!? 亀田さん、ミツロ選手 是非韓国で4月よろしくお願いします!!」とつづった。

日本プロボクシング協会は先月18日の理事会で来年5月19日の「ボクシングの日」に東京・後楽園ホールで重量級の4階級トーナメントを始めることを承認した。スーパーミドル級、ライトヘビー級、クルーザー級、ヘビー級で4回戦のトーナメントを組み、全国のジムから選手を募集。格闘技界からの転向組も期待しながら2月10日には後楽園ホールで重量級4階級のプロテストを予定。来年4月までに西日本でも同様の重量級プロテストを行う。優勝者には「協会認定王者」とする見通しだ。

重量級の日本ランカーは乏しく、ヘビー級には王者但馬以外はランキング選手不在。スーパーミドル級、ライトヘビー級、クルーザー級にはランキング選手もいないのが現状だ。興行を展開する伊藤氏、亀田氏という元世界王者たちが契約するヘビー級選手の動向、日本ボクシング界の重量級育成の動きを見守りつつ、23年は重量級の夜明けになることを祈りたい。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

大相撲裏話

3年前V徳勝龍、幕下から黒まわしで再出発 関取で来場所地元に帰る目標へ力強く前進

友風を押し出しで破った徳勝龍(撮影・鈴木正人)

3年前に賜杯を抱いた36歳がちょんまげ、黒まわしで再出発を飾った。20年初場所で14勝1敗、幕内最高優勝を飾った徳勝龍(木瀬)だが、今場所は西幕下2枚目。同じく幕内経験者の友風との同体取り直しの激闘を押し出しで制した。

「取り直しになったが、前に攻めていたんで内容はよかった。やると決めたんで貫いていきたい。どの地位でもやることは同じ。幕下とか関係なく、いい相撲をとっていきたい」

歓喜からわずか3年。初優勝で自己最高の西前頭2枚目まで番付を上げたが、苦難の始まりでもあった。先場所は東十両12枚目で4勝11敗。12年春場所以来の幕下転落となったが、徳勝龍の心は折れなかった。

「ご苦労さま」の言葉を考えていたという母えみ子さん(60)は場所後すぐ、現役を続ける決意を聞いたという。「十分に頑張ってくれたし、できることはやったと思ってこれで引退するのかなと。でも本人は『笑われてもいい。周囲に何を言われても自分が納得して辞めたい』と」。そんな思いを知るだけにこの日の勝利は母にとっても格別だった。

成績次第ですぐ十両復帰はかなう地位だ。奈良出身の徳勝龍にとって来場所は準ご当地の春場所。「白星がついたんで頑張ります」。関取で地元に帰る目標へ力強く進んだ。【実藤健一】

原功「BOX!」

2023年実現が期待されるスーパーファイト ヘビー級4団体王座統一戦フューリー対ウシクに注目

井上尚弥(29=大橋)や寺地拳四朗(30=BM)に代表されるように2022年の世界のボクシング界は複数団体の王座統一が目立った。

これは近年の傾向でもある。その流れは今年も続きそうで、すでにいくつもの注目ファイトが交渉段階にあると伝えられる。今回は2023年に実現が期待されるスーパー・ファイトを選んでみた。

実現すれば最もスケールが大きなイベントになるのがタイソン・フューリー(34=英国)対オレクサンダー・ウシク(35=ウクライナ)の世界ヘビー級4団体王座統一戦だ。WBC王者のフューリーが34戦33勝(24KO)1分、WBA、IBF、WBO王者のウシクが20戦全勝(13KO)と無敗同士の頂上決戦となる。両王者の合計報酬は100億円を超えるものと予想される。ともに技巧派だが、スイッチヒッターのフューリーが身長206センチ、体重120キロの超大型なのに対しサウスポーのウシクは身長191センチ、体重100キロと体格の差があり、2対1でフューリー有利というオッズが出ている。

ウェルター級のエロール・スペンス(32=米国)対テレンス・クロフォード(35=米国)も4団体の王座統一戦となる。このカードは昨年から交渉が続いており、早ければ今年上半期に実現する可能性がある。28戦全勝(22KO)のスペンス、39戦全勝(30KO)のクロフォード。オッズは5対4でクロフォード有利と出ている。

ライトヘビー級も全勝同士の4団体王座統一戦が期待される。18戦全KO勝ちのWBC、IBF、WBO王者、アルツール・ベテルビエフ(37=ロシア/カナダ)と21戦全勝(11KO)のWBA王者、ドミトリー・ビボル(32=キルギス/ロシア)の対決だ。典型的なファイター対技巧派のカードだが、まだ交渉のテーブルについているというニュースは伝わってこない。まずは今月28日(日本時間29日)に予定されるベテルビエフの7度目の防衛戦に注目したい。

すでにライト級の4団体王座統一を果たしているデビン・ヘイニー(24=アメリカ)は今年、元王者のワシル・ロマチェンコ(34=ウクライナ)との対決に臨むことになりそうだ。両者間にはビジネス面の障壁が少なく、早ければ上半期の実現があるかもしれない。

下半期にはヘイニー対ロマチェンコの勝者とWBA王者のジャーボンテイ・デービス(28=米国)の対戦が期待される。

軽量級では注目が井上尚弥に集中しそうだ。すでにスーパーバンタム級への転向を明言しており、次戦で誰と対戦するのか熱い視線が注がれている。ターゲットはふたり、WBCとWBO王座を持つ21戦全勝(8KO)の技巧派、スティーブン・フルトン(28=米国)、そして11戦全勝(8KO)の強打者、サウスポーのムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)だ。井上が「これからが本当の挑戦」と話すように、ふたりとも井上よりも若くて体も大きい全勝の選手だけに冒険のしがいがあるというものだ。ただ、両王者とも統括団体から次戦に関して指令を受けていることもあり先は不透明な状況といえる。

このほか世界的なスーパースター、スーパーミドル級の4団体統一王者、サウル・カネロ・アルバレス(32=メキシコ)対26戦全勝(23KO)のWBC暫定王者、デビッド・ベナビデス(26=米国)、ヘビー級の元王者同士のサバイバル戦、デオンテイ・ワイルダー(37=米国)対アンソニー・ジョシュア(33=英国)なども実現が待たれる興味深いカードといえる。

今年も数多くの注目ファイトが実現してほしいものだ。

WWEの世界

ロウとスマックダウンの最高位王座が統一、22年ベスト男子レスラーは誰?トップ10選定を紹介

WWEヘビー級、ユニバーサル王者として君臨したローマン・レインズ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第49回WWEの世界>

22年が終わる。ロウとスマックダウンの最高位王座となるWWEヘビー級王座、WWEユニバーサル王座、そしてロウ・タッグ王座、スマックダウン・タッグ王座が統一されるなど、両ブランドの選手たちが入り乱れた1年となった。22年のWWEマットで活躍したトップレスラーは誰か? 海外メディアのランキングの男子レスラー編を紹介し、今年を締めくくる。

◇  ◇  ◇  ◇

このほど英スポーツメディア「GIVE ME SPORTS」選定のWWE男子レスラー22年トップ10が発表された。男子はビッグE、ランディ・オートン、コーディ・ローデスといった主力メンバーが故障で長期離脱した一方、両ブランドのシングル、タッグ王座が統一されたことで「一極集中」した1年となった。10位から順に紹介する。

【10位】フィン・ベイラー

USヘビー級王座を獲得したことに加え、本格的にヒール転向。悪党集団「ザ・ジャッジメント・デイ」のリーダーとしてAJスタイルズ率いるユニットO・G(オリジナル・クラブ)との抗争でマットを盛り上げた。

【9位】ウーソズ(ジェイ、ジミーのウーソ兄弟)

ロウ、スマックダウン・タッグ統一王者として君臨。WWEの歴史の中でもっとも長く王座を保持するタッグ王者となっている。WWEヘビー級、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ、ソロ・シコアら親族、「名誉兄弟」サミ・ゼインを加えたユニット、ザ・ブラッドラインが1年間、WWEをけん引したと言っていい。

【8位】ドリュー・マッキンタイア

22年前半はハッピー・コービン、マッドキャップ・モスとの抗争をステップに統一王者レインズとの開始。夏に調子を上げ、30年ぶりの英スタジアム大会となったクラッシュ・アット・ザ・キャッスル大会でレインズ挑戦した。負けはしたものの、プロボクシングWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリーとの友情でメインを締めた。

【7位】ケビン・オーエンズ

4月のレッスルマニア38大会で19年ぶりの試合復帰となった“ストーンコールド”スティーブ・オースチンと対戦。WWEファンを熱くさせた。ファンを引きつけるトークと万能のレスリング能力で存在感を示し、現在はブラッドラインの「名誉兄弟」となった元盟友サミ・ザインとの抗争でマットを盛り上げている。

【6位】シェイマス

親友でもあるマッキンタイア、グンターとのシングル戦で存在感を示しつつ、ユニット対決でも目立った。ブッチ、リッジ・ホランドとともにユニット、ブロウイング・ブルーツとして活動。インペリウム(グンター、ルドヴィグ・カイザー、ジョバンニ・ビンチ)との抗争に続き、その後もザ・ブラッドラインと激突し、11月のサバイバーシリーズ大会での男子ウオーゲームズでも激しファイトをみせた。

【6位】ボビー・ラシュリー

46歳になっても「筋肉魔人」の愛称通り、パワフルだった。20歳代と変わらないような軽快な動きをリングでみせ、才能の幅を見せつけている。またトーク能力も飛躍的に向上し、ファンのくぎ付けにしている。WWEヘビー級王座を2度戴冠し、待望のブロック・レスナー戦も実現させた。

【4位】グンター

大型のオーストリア人レスラーとしてスマック談に登場。ユニットのインペリアムとして活動し、WWEインターコンチネンタル王座も半年以上保持。中邑真輔との抗争もあった。来年にはブロック・レスナーとの対決もうわさされるなど期待のレスラーとして期待度は大きい。

【3位】サミ・ゼイン

毎週のテレビ中継される大会で常に動き、問題を起こす。それがWWEリングの大きな波となっている。レスリングスタイル、トーク能力ともにファンをひきつけるオールラウンドな選手。今は「名誉兄弟」としてザ・ブラッドラインで問題を起こし、火種となっている

【2位】セス・ロリンズ

今年もタイトル戦線にも絡みつつ、個人抗争でも目立つタレント性あふれる看板選手として活躍した。AEWから移籍してきたコーディ・ローデスとの抗争、リドルとの全面戦争に加え、年初からユニバーサル王座を巡ってレインズと対戦し、USヘビー級王座を巡ってラシュリーと闘ってUSヘビー級王座も保持するなどメインイベンターの1人として輝いた。

【1位】ローマンレインズ

統一王者として、人気ユニット、ブラッドラインのリーダーとして常にWWEマットの中心にいた。4月のレッスルマニア38大会以降、WWEヘビー級、ユニバーサル王者として君臨。今年途中からフルタイムから試合出場を選ぶスポット参戦契約に変更され、登場回数は減ったものの、ほぼすべてのレスラーを倒してきた。

スマックダウンに所属する日本勢の中邑真輔は仲間のリック・ブーグスが4月のレッスルマニア38大会以降に負傷離脱したことで勢いが止まってしまったことが残念でならない。1月1日にはWWEと契約しつつ、異例中の異例となるノアに参戦。グレート・ムタと対戦する。世界が注目する1戦が23年の起爆剤になるかもしれない。ロウ所属の戸沢陽、NXT所属のイケメン二郎の躍進も待ちたいところだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

ロウ、スマックダウン統一タッグ王者としてWWEを盛り上げたウーソズ(左がジェイ・ウーソ、右がジミー・ウーソ)(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ザ・ブラッドラインの「名誉兄弟」として活躍したサミ・ゼイン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEインターコンチネンタル王者として、ユニット「インペリアム」のリーダーとして活動したグンター(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
年間通じ、タイトル戦線、個人闘争でメインイベンターとして活躍したセス・ロリンズコピー(C) WWE, Inc. All Rights Reserved.
本格敵なヒール転向し、悪党集団ザ・ジャッジメント・デイを率いるフィン・ベイラー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
「筋肉魔人」としてWWEマットを暴れたボビー・ラシュリーコピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEの世界

ロウとスマックダウンの最高位王座が統一、22年ベスト男子レスラーは誰?トップ10選定を紹介

WWEヘビー級、ユニバーサル王者として君臨したローマン・レインズ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第49回WWEの世界>

22年が終わる。ロウとスマックダウンの最高位王座となるWWEヘビー級王座、WWEユニバーサル王座、そしてロウ・タッグ王座、スマックダウン・タッグ王座が統一されるなど、両ブランドの選手たちが入り乱れた1年となった。22年のWWEマットで活躍したトップレスラーは誰か? 海外メディアのランキングの男子レスラー編を紹介し、今年を締めくくる。

◇  ◇  ◇  ◇

このほど英スポーツメディア「GIVE ME SPORTS」選定のWWE男子レスラー22年トップ10が発表された。男子はビッグE、ランディ・オートン、コーディ・ローデスといった主力メンバーが故障で長期離脱した一方、両ブランドのシングル、タッグ王座が統一されたことで「一極集中」した1年となった。10位から順に紹介する。

【10位】フィン・ベイラー

USヘビー級王座を獲得したことに加え、本格的にヒール転向。悪党集団「ザ・ジャッジメント・デイ」のリーダーとしてAJスタイルズ率いるユニットO・G(オリジナル・クラブ)との抗争でマットを盛り上げた。

【9位】ウーソズ(ジェイ、ジミーのウーソ兄弟)

ロウ、スマックダウン・タッグ統一王者として君臨。WWEの歴史の中でもっとも長く王座を保持するタッグ王者となっている。WWEヘビー級、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ、ソロ・シコアら親族、「名誉兄弟」サミ・ゼインを加えたユニット、ザ・ブラッドラインが1年間、WWEをけん引したと言っていい。

【8位】ドリュー・マッキンタイア

22年前半はハッピー・コービン、マッドキャップ・モスとの抗争をステップに統一王者レインズとの開始。夏に調子を上げ、30年ぶりの英スタジアム大会となったクラッシュ・アット・ザ・キャッスル大会でレインズ挑戦した。負けはしたものの、プロボクシングWBC世界ヘビー級王者タイソン・フューリーとの友情でメインを締めた。

【7位】ケビン・オーエンズ

4月のレッスルマニア38大会で19年ぶりの試合復帰となった“ストーンコールド”スティーブ・オースチンと対戦。WWEファンを熱くさせた。ファンを引きつけるトークと万能のレスリング能力で存在感を示し、現在はブラッドラインの「名誉兄弟」となった元盟友サミ・ザインとの抗争でマットを盛り上げている。

【6位】シェイマス

親友でもあるマッキンタイア、グンターとのシングル戦で存在感を示しつつ、ユニット対決でも目立った。ブッチ、リッジ・ホランドとともにユニット、ブロウイング・ブルーツとして活動。インペリウム(グンター、ルドヴィグ・カイザー、ジョバンニ・ビンチ)との抗争に続き、その後もザ・ブラッドラインと激突し、11月のサバイバーシリーズ大会での男子ウオーゲームズでも激しファイトをみせた。

【6位】ボビー・ラシュリー

46歳になっても「筋肉魔人」の愛称通り、パワフルだった。20歳代と変わらないような軽快な動きをリングでみせ、才能の幅を見せつけている。またトーク能力も飛躍的に向上し、ファンのくぎ付けにしている。WWEヘビー級王座を2度戴冠し、待望のブロック・レスナー戦も実現させた。

【4位】グンター

大型のオーストリア人レスラーとしてスマック談に登場。ユニットのインペリアムとして活動し、WWEインターコンチネンタル王座も半年以上保持。中邑真輔との抗争もあった。来年にはブロック・レスナーとの対決もうわさされるなど期待のレスラーとして期待度は大きい。

【3位】サミ・ゼイン

毎週のテレビ中継される大会で常に動き、問題を起こす。それがWWEリングの大きな波となっている。レスリングスタイル、トーク能力ともにファンをひきつけるオールラウンドな選手。今は「名誉兄弟」としてザ・ブラッドラインで問題を起こし、火種となっている

【2位】セス・ロリンズ

今年もタイトル戦線にも絡みつつ、個人抗争でも目立つタレント性あふれる看板選手として活躍した。AEWから移籍してきたコーディ・ローデスとの抗争、リドルとの全面戦争に加え、年初からユニバーサル王座を巡ってレインズと対戦し、USヘビー級王座を巡ってラシュリーと闘ってUSヘビー級王座も保持するなどメインイベンターの1人として輝いた。

【1位】ローマンレインズ

統一王者として、人気ユニット、ブラッドラインのリーダーとして常にWWEマットの中心にいた。4月のレッスルマニア38大会以降、WWEヘビー級、ユニバーサル王者として君臨。今年途中からフルタイムから試合出場を選ぶスポット参戦契約に変更され、登場回数は減ったものの、ほぼすべてのレスラーを倒してきた。

スマックダウンに所属する日本勢の中邑真輔は仲間のリック・ブーグスが4月のレッスルマニア38大会以降に負傷離脱したことで勢いが止まってしまったことが残念でならない。1月1日にはWWEと契約しつつ、異例中の異例となるノアに参戦。グレート・ムタと対戦する。世界が注目する1戦が23年の起爆剤になるかもしれない。ロウ所属の戸沢陽、NXT所属のイケメン二郎の躍進も待ちたいところだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

ロウ、スマックダウン統一タッグ王者としてWWEを盛り上げたウーソズ(左がジェイ・ウーソ、右がジミー・ウーソ)(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ザ・ブラッドラインの「名誉兄弟」として活躍したサミ・ゼイン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEインターコンチネンタル王者として、ユニット「インペリアム」のリーダーとして活動したグンター(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
年間通じ、タイトル戦線、個人闘争でメインイベンターとして活躍したセス・ロリンズコピー(C) WWE, Inc. All Rights Reserved.
本格敵なヒール転向し、悪党集団ザ・ジャッジメント・デイを率いるフィン・ベイラー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
「筋肉魔人」としてWWEマットを暴れたボビー・ラシュリーコピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
原功「BOX!」

2022年優秀ボクサーを振り返る ドミトリー・ビボルと井上尚弥が顕著な活躍

2022年も残り数日。コロナ禍のなかでもスポーツイベントはまずまずの活況を呈しているといっていいだろう。ボクシングでもトップ選手たちの試合が年間1~2試合に留まっている現状はあるが、徐々に大規模なイベントが復活してきたのは喜ばしい状況といえる。そんななか今回は2022年に活躍した優秀ボクサーを選ぶ形式で振り返ってみよう。

2022年に最も顕著な活躍をしたボクサーを挙げるならば、WBAライトヘビー級スーパー王者のドミトリー・ビボル(32=キルギス/ロシア)と、バンタム級の4団体王座を統一した井上尚弥(29=大橋)のふたりに絞られるだろう。ビボルは5月に4階級制覇王者のサウル・カネロ・アルバレス(32=メキシコ)の挑戦を退けて王座を防衛、世界を驚かせた。4対1という不利の予想を覆しての完勝だっただけに殊勲賞も同時受賞だ。また、11月には44戦全勝のヒルベルト・ラミレス(31=メキシコ)にも完勝(12回判定勝ち)して力のあるところを証明した。21戦全勝(11KO)の戦績が示すようにビボル自身は強烈な光を放つ存在ではないが、来年は同じ階級の3団体王者、アルツール・ベテルビエフ(37=ロシア/カナダ)との頂上決戦が期待される。

井上の活躍については詳しく説明するまでもないだろう。6月にノニト・ドネア(40=フィリピン/アメリカ)を2回で屠ってWBC王座を吸収。12月には逃げまくるポール・バトラー(34=英国)を11回KOで仕留めて4本のベルト収集を終えた。2試合とも相手を圧倒したうえで異なるパターンのKO勝ちを収めている点にも注目したい。よってKO賞もダブル受賞だ。来年のいまごろは4階級制覇王者になっているのではないだろうか。

敢闘賞にはスーパーウェルター級王座を統一したジャーメル・チャーロ(32=アメリカ)と、WBC世界ヘビー級王座を2度防衛したタイソン・フューリー(34=英国)を推したい。チャーロは前年に引き分けたWBO王者のブライアン・カスターニョ(33=アルゼンチン)を10回KOで破り4団体王座を統一。フューリーは自ら引退騒動を引き起こしたが活動を継続し、圧倒的有利の予想のなか2試合とも歴然とした力量差を見せつけた。

技能賞はライト級4団体王者のデビン・ヘイニー(24=アメリカ)と、ヘビー級3団体王者のオレクサンダー・ウシク(35=ウクライナ)のふたりだ。ヘイニーはパンチ力に欠けるが、危機回避能力とスキルに長けており、まだ伸びしろが残っている。来年はワシル・ロマチェンコ(34=ウクライナ)やジャーボンテイ・デービス(28=アメリカ)との対戦が期待される。ウシクは8月に前王者のアンソニー・ジョシュア(33=英国)を2対1の判定で返り討ちにして初防衛を果たした。フューリーとの4団体王座統一戦が待たれる。

年間最高試合にはチャーロ対カスターニョの再戦を推したい。初戦同様、スタートからスリルに富んだ試合になったが、10回にチャーロが左フックでダウンを奪い、再開後、左ストレートから左ボディブローでタフで勇敢なカスターニョをキャンバスに沈めた。エロール・スペンス(32=アメリカ)対ヨルデニス・ウガス(36=キューバ)のウェルター級3団体王座統一戦、デービス対ローランド・ロメロ(27=アメリカ)のWBAライト級タイトルマッチもエキサイティングな試合だった。ドラマチックな最終回の逆転KO劇、リー・ウッド(34=英国)対マイケル・コンラン(31=英国/アイルランド)も忘れられない。

新鋭賞には先物買いを承知でヘビー級のバホディル・ジャロロフ(28=ウズベキスタン)を挙げておきたい。2018年にプロデビューして8連勝後、2021年の東京オリンピックに出場。スーパーヘビー級で金メダルを獲得後にプロに戻り4勝を上乗せし、現在は12戦全KO勝ちだ。身長201センチ、リーチ206センチ、体重112キロのサウスポーはスピードには欠けるが、破格のサイズとパワーは「これぞヘビー級!」という魅力に溢れている。

この数年、王座統一戦が増えてきているが、その傾向は2023年も続きそうだ。特にウェルター級、ヘビー級、ライトヘビー級、スーパーフライ級などは一本化に期待がかかる。

WWEの世界

22年WWEマットを駆け抜けた女子レスラーは誰か? アスカやブレアらトップ10選定

WWE女子タッグ王座返り咲き、女子ウォームズ戦勝利に貢献するなど22年も突っ走ったアスカ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第48回WWEの世界>

22年も残り1週間となった。今夏からWWEの現場責任者が会長兼CEOだったビンス・マクマホン氏からトリプルH氏に変更され、コロナ禍による経費削減で解雇されていた選手たちが次々とカムバック。多くの因縁も生まれた1年だった。今年のWWEマットで活躍したトップレスラーは誰か? 海外メディアのランキングを紹介しながら、主要選手たちの躍動ぶりを振り返る。今回は女子レスラー編。

◇  ◇  ◇  ◇

このほど英スポーツメディア「GIVE ME SPORTS」選定のWWE女子レスラー22年トップ10が発表された。年間を通じて数多くの選手が加入、休養しており、入れ替わりの激しい1年と紹介しつつ、WWEの女子10人を選んでいる。

【10位】シャーロット・フレアー

WWEで「女王様」と言われるフレアーは今年5月のレッスルマニア・バックラッシュ大会でロンダ・ラウジーとのアイ・クイット(降参)形式スマックダウン女子王座戦で敗退。その直後から無期限の活動停止が発表されたが、5月までは女王様として存在感を示していた。プライベートでオール・エリート・レスリング(AEW)所属のアンドラデと結婚し、今はリング復帰へのタイミングを待っている状況か。

【9位】サーシャ・バンクス

ナオミとのコンビでレッスルマニアでWWE女子タッグ王座を獲得したが、防衛戦が組まれないとして不満を爆発させ、5月16日のロウ大会を無断欠場。そのまま同王座剥奪となった。俳優業もこなす人気レスラーだが、ナオミとともにWWEから離れている。

【8位】ロンダ・ラウジー

1月のロイヤルランブル大会の女子ロイヤルランブル戦(30人出場時差式バトルロイヤル)で優勝し、スマックダウン女子王座を2度戴冠。しかしGIVE ME SPORTSでは元UFC女子バンタム級王者でもあるラウジーに対し「プロレスは勝敗だけではない」と解説。今年中盤以降のヒール転向がファンの支持を得ていないことを指摘した。

【7位】リブ・モーガン

「かわいい系」レスラーとして人気上昇していたところでマネー・イン・ザ・バンク大会での女子ラダー戦を初制覇。王者ロンダ・ラウジーを下し、スマックダウン女子王座を初めて獲得した。王座保持期間は長くなかったものの、キャリア最高の1年になったことは間違いない。

【6位】ベイリー

昨年7月、練習中にひざを故障し、前十字靱帯(じんたい)損傷。今年7月の真夏の祭典サマースラム大会で復帰した。その際、イヨ・スカイ(紫雷イオ)、ダコタ・カイとユニット結成を示し、現在は3人でダメージCTRL(コントロール)としてWWE女子戦線をかき回している。ロウ女子王者ビアンカ・ブレアへの挑戦は失敗したものの、スカイ、カイのWWE女子タッグ王座獲得もサポートするなどWWEマットに新しい波を起こしている。

【5位】アスカ

22年にシングル王座は獲得できなかったが、アレクサ・ブリスとWWE女子タッグ王座に返り咲き。11月のサバイバーシリーズ大会では女子ウォーゲームズ(5対5チーム戦)で毒霧噴射してチームの勝利をアシスト。GIVE ME SPORTSでは「ここ数年でWWEが獲得した絶対的なレスラーの1人。間違いなく史上最高の日本人スター」と紹介されている。現在は「旅に出る」と一時的な活動休止状態に。

【4位】マンディ・ローズ

昨年10月にNXT女子王座獲得後、SNSなどのセクシー投稿も後押しに「妖艶女王」として人気者に。NXT女子王座保持は1年以上続き、ジジ・ドリン、ジェイシー・ジェインとのユニット、トキシック・アトラクションはNXTで人気を博した。しかし有料SNSでのセクシーすぎる投稿が契約違反と認定され、今月中旬に解雇された。

【3位】リア・リプリー

フィン・ベイラー、ダミアン・プリースト、ドミニク・ミステリオの男子トリオの中で1人、女子レスラーとしてユニット、ザ・ジャッジメント・デイで活動。身長171センチで筋肉質の肉体を持ち、男子との乱闘でも負けない。最近では戸沢陽とのシングル戦でも勝利するなど男子顔負けのパワフルな活躍が高く評価されたようだ。

【2位】ベッキー・リンチ

ヒールの「ビッグタイム・ベックス」として今年前半を走り抜け、4月のレッスルマニアまではロウ女子王者として躍動。7月の真夏の祭典サマースラム大会でビアンカ・ブレアに敗れた後に再び本来の「ザ・マン(超雄)」というベビーフェースに戻った。約3カ月ほどの休養後、11月にリング復帰し、ダメージCTRLらとの抗争を続ける。

【1位】ビアンカ・ブレア

WWEのビッグマッチとなる年間最大の祭典レッスルマニア大会、真夏の祭典サマースラム大会で、ベッキーリンチに連勝。ダメージCRTL結成で勢いづくベイリーも撃破。11月のサバイバーシリーズ大会の女子ウィーゲームズ戦では「大将」として勝利に貢献するなど大活躍だった。

豊富な選手数で年間を通じて活躍するのが難しいWWEマットで22年の1位に輝いたのはブレアだった。ロウ女子の「顔」として十分すぎる活躍をみせており、文句なしのトップとなるだろう。日本勢ではアスカが5位にランキング入り。現在、WWE女子タッグ王座を保持するスカイが来年ランキング入りする可能性は十分ありそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

今年7月から戦列復帰しダコタ・カイ(左端)、イヨ・スカイ(右端)とWWE女子戦線をかき回したベイリー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
スマックダウン女子王座獲得など22年にブレークした「かわいい系」レスラーのリブ・モーガン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
22年にスマックダウン女子王座を2度戴冠したロンダ・ラウジー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ロウ女子王者として絶対的な存在感を示したビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
結婚を契機に22年5月からリングを離れている「女王様」シャーロット・フレアー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.